説明

粒子検出装置

【課題】粒子検出を高精度に実施する粒子検出装置、を提供する。
【解決手段】粒子検出装置は、生物由来の粒子を検出する装置である。粒子検出装置は、粒子を捕集基板71に捕集する捕集部20と、捕集基板71に捕集された粒子に向けて励起光を照射するとともに、粒子から発せられる蛍光を受光する蛍光検出部30と、捕集部20により捕集基板71に粒子を捕集する捕集・加熱位置および蛍光検出部30により蛍光を受光する検出位置とは離れたリフレッシュ位置で、粒子を捕集基板71から除去する清掃部50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、粒子検出装置に関し、より特定的には、生物由来の粒子を検出する粒子検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の粒子検出装置に関して、たとえば、特開2002−357532号公報には、大気中の浮遊粒子状物質濃度と花粉濃度とを同時に測定することを目的とした浮遊粒子状物質の測定装置が開示されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された測定装置は、試料ガス中の浮遊粒子状物質をろ紙上に捕集する浮遊粒子状物質捕集部と、ろ紙上の浮遊粒子状物質にβ線を照射して、その透過量を検出して浮遊粒子状物質を検知する浮遊粒子状物質検出器と、浮遊粒子状物質内に含まれる花粉に紫外線を照射して、発生する蛍光強度を検出して花粉量を検知する花粉検出器とを備える。浮遊粒子状物質を捕集したろ紙は、ローラとモータとを組み合わせたろ紙供給機構を用いて、浮遊粒子状物質捕集部と、浮遊粒子状物質検出器および花粉検出器との間で搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−357532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献に開示されるように、空気中の粒子に紫外線を照射し、粒子からの蛍光発光を受光することによって粒子の量を検出する装置が知られている。このような粒子検出装置においては、基板など、粒子を捕集するための捕集部材が利用されるが、このような捕集部材が測定毎に新たな捕集部材に交換されると、粒子検出時の費用が高コストになるという問題が生じる。
【0006】
そこでこのような問題を解決する手段として、粒子の検出が終了した捕集部材を清掃することにより、捕集部材を繰り返し使用するという方法が考えられる。しかしながら、清掃によって捕集部材から除去された粒子が、捕集部材に再び捕集されたり、紫外線の照射や蛍光の受光のための光学系に付着したりすると、粒子の検出精度に悪影響を与える懸念がある。
【0007】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、粒子検出を高精度に実施する粒子検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に従った粒子検出装置は、生物由来の粒子を検出する粒子検出装置である。粒子検出装置は、粒子を捕集部材に捕集する捕集部と、捕集部材に捕集された粒子に向けて励起光を照射するとともに、粒子から発せられる蛍光を受光する蛍光検出部と、捕集部により捕集部材に粒子を捕集する第1位置および蛍光検出部により蛍光を受光する第2位置とは離れた第3位置で、粒子を捕集部材から除去する清掃部とを備える。
【0009】
このように構成された粒子検出装置によれば、清掃部によって、第1位置および第2位置とは離れた第3位置で粒子を捕集部材から除去するため、粒子から除去された粒子が、第1位置および第2位置に侵入することを抑制できる。したがって、粒子検出を高精度に実施する粒子検出装置を実現できる。
【0010】
また好ましくは、捕集部材は、第1位置、第2位置および第3位置の間で移動される。捕集部材の移動方向において、第3位置が第1位置から見て第2位置の反対側に位置する。
【0011】
このように構成された粒子検出装置によれば、粒子を捕集部材から除去する第3位置と、蛍光検出部により蛍光を受光する第2位置とを離すことによって、高精度な粒子検出が可能となる。
【0012】
また好ましくは、第1位置、第2位置および第3位置が円周上に並ぶ。このように構成された粒子検出装置によれば、捕集部、蛍光検出部および清掃部をコンパクトに配置することができる。
【0013】
また好ましくは、第1位置、第2位置および第3位置が直線上に並ぶ。このように構成された粒子検出装置によれば、粒子を捕集部材から除去する第3位置と、蛍光検出部により蛍光を受光する第2位置とをさらに大きく離すことによって、より高精度な粒子検出が可能となる。
【0014】
また好ましくは、捕集部材は、第1位置、第2位置および第3位置の間で移動される。第1位置と第3位置との間の捕集部材の移動距離よりも、第2位置と第3位置との間の捕集部材の移動距離の方が大きい。
【0015】
このように構成された粒子検出装置によれば、粒子を捕集部材から除去する第3位置と、蛍光検出部により蛍光を受光する第2位置とを離すことによって、高精度な粒子検出が可能となる。
【0016】
また好ましくは、粒子検出装置は、捕集部材に捕集された粒子を第1位置で加熱する加熱部をさらに備える。さらに好ましくは、加熱部は、捕集部材に設けられる。このように構成された粒子検出装置によれば、捕集部材に捕集された粒子を加熱することにより、生物由来の粒子を高精度に検出することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明したように、この発明に従えば、粒子検出を高精度に実施する粒子検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】加熱前後における生物由来の粒子の蛍光強度の変化と、加熱前後における粉塵の蛍光強度の変化とを示すグラフである。
【図2】生物由来の粒子を検出する捕集工程を示す図である。
【図3】生物由来の粒子を検出する蛍光測定工程(加熱前)を示す図である。
【図4】生物由来の粒子を検出する加熱工程を示す図である。
【図5】生物由来の粒子を検出する蛍光測定工程(加熱後)を示す図である。
【図6】生物由来の粒子を検出するリフレッシュ工程を示す図である。
【図7】加熱前後の蛍光強度の増大量ΔFと、生物由来の粒子濃度との関係を示すグラフである。
【図8】この発明の実施の形態1における粒子検出装置の外観を示す斜視図である。
【図9】図8中の粒子検出装置の外観を示す別の斜視図である。
【図10】図8中の粒子検出装置を示す分解組み立て図である。
【図11】図8中の粒子検出装置の内部構造を示す斜視図である。
【図12】図9中の粒子検出装置からファンが取り外された状態を示す斜視図である。
【図13】移動機構部を構成する回転ベースを示す斜視図である。
【図14】図13中の回転ベースを示す分解組み立て図である。
【図15】捕集工程および加熱工程時の粒子検出装置を示す断面図である。
【図16】蛍光測定工程(加熱前,加熱後)時の粒子検出装置を示す断面図である。
【図17】リフレッシュ工程時の粒子検出装置を示す断面図である。
【図18】この発明の実施の形態1における粒子検出装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図19】粒子検出装置の内部構造を示す斜視図である。
【図20】リフレッシュ工程時の捕集基板およびブラシ清掃アームの動きを示す断面図である。
【図21】リフレッシュ工程時の捕集基板およびブラシ清掃アームの動きを示す別の断面図である。
【図22】リフレッシュ工程時の捕集基板およびブラシ清掃アームの動きを示すさらに別の断面図である。
【図23】ブラシ、ブラシ清掃アームおよび捕集基板の高さ関係を示す図である。
【図24】この発明の実施の形態2における粒子検出装置を示す平面図である。
【図25】図24中の粒子検出装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0020】
(実施の形態1)
[生物由来の粒子の検出原理について]
本実施の形態における粒子検出装置は、花粉や微生物、カビといった生物由来の粒子を検出するための装置である。最初に、本実施の形態における粒子検出装置を用いて生物由来の粒子を検出する原理について説明する。
【0021】
図1は、加熱前後における生物由来の粒子の蛍光強度の変化と、加熱前後における粉塵の蛍光強度の変化とを示すグラフである。
【0022】
空気中に浮遊する生物由来の粒子に紫外光または青色光を照射すると、生物由来の粒子は蛍光を発する。しかしながら、空気中には化学繊維の埃など(以下、粉塵ともいう)の、同様に蛍光を発する粒子が浮遊しており、蛍光を検出するのみでは、生物由来の粒子からのものであるのか粉塵からのものであるのかが区別されない。
【0023】
一方、図1中に示すように、生物由来の粒子および粉塵に対してそれぞれ加熱処理を施し、加熱前後における蛍光強度(蛍光量)の変化を測定すると、粉塵から発せられる蛍光強度が加熱処理によって変化しないのに対して、生物由来の粒子から発せられる蛍光強度は、加熱処理によって増加する。本実施の形態における粒子検出装置では、生物由来の粒子と粉塵とが混合する粒子に対して、加熱前後の蛍光強度を測定し、その差分を求めることにより、生物由来の粒子の量を特定する。
【0024】
図2から図6は、生物由来の粒子を検出する工程を示す図である。図2を参照して、まず、粒子を捕集基板510に捕集する(捕集工程)。
【0025】
本工程では、捕集基板510を静電針530に対向配置するとともに、捕集基板510および静電針530間に電位差を生じさせる。ファン500の駆動により、空気を捕集基板510に向けて導入すると、空気中に浮遊する粒子600は、静電針530の周囲にて帯電される。帯電された粒子600は、静電気力によって捕集基板510の表面に吸着される。捕集基板510に捕集された粒子600には、生物由来の粒子600Aと、化学繊維の埃などの粉塵600Bとが含まれる。
【0026】
図3を参照して、次に、加熱前の粒子600から発せられる蛍光の強度を測定する(蛍光測定工程(加熱前))。本工程では、半導体レーザなどの発光素子550から捕集基板510に捕集された粒子600に向けて励起光を照射するとともに、粒子600から発せられた蛍光をレンズ560を通じて受光素子565にて受光する。
【0027】
図4を参照して、次に、ヒータ520を用いて、捕集基板510に捕集された粒子600を加熱する。加熱後、捕集基板510を冷却する(加熱工程)。
【0028】
図5を参照して、次に、加熱後の粒子600から発せられる蛍光の強度を測定する(蛍光測定工程(加熱後))。既に説明したように、粉塵600Bから発せられる蛍光強度が加熱処理によって変化しないのに対して、生物由来の粒子600Aから発せられる蛍光強度は、加熱処理によって増加する。このため、本工程では、図3中の蛍光測定工程(加熱前)で測定された蛍光強度よりも大きい値の蛍光強度が測定される。
【0029】
図7は、加熱前後の蛍光強度の増大量ΔFと、生物由来の粒子濃度との関係を示すグラフである。図7を参照して、加熱前の蛍光強度と加熱後の蛍光強度との差から、蛍光強度の増大量ΔF1を算出する。予め用意した蛍光強度の増大量ΔFと生物由来の粒子濃度Nとの関係に基づき、算出された増大量ΔF1に対応する生物由来の粒子濃度N1を特定する。なお、増大量△Fと生物由来の粒子濃度Nとの対応関係は、予め実験的に決められる。
【0030】
図6を参照して、次に、生物由来の粒子の検出を終えた粒子600を捕集基板510から除去する(リフレッシュ工程)。
【0031】
[粒子検出装置の全体構造について]
図8は、この発明の実施の形態1における粒子検出装置の外観を示す斜視図である。図9は、図8中の粒子検出装置の外観を示す別の斜視図である。図10は、図8中の粒子検出装置を示す分解組み立て図である。図11は、図8中の粒子検出装置の内部構造を示す斜視図である。
【0032】
図8から図11を参照して、本実施の形態における粒子検出装置10は、筐体としてのキャビネット11と、ファン16と、捕集部20と、蛍光検出部30と、清掃部50とを有する。
【0033】
キャビネット11は、略直方体形状を有し、捕集部20、蛍光検出部30、清掃部50を収容する。本実施の形態では、キャビネット11が、第1筐体としての上キャビネット12と、第2筐体としての下キャビネット14から構成されている。下キャビネット14は、一方向に開口する箱形状を有する。上キャビネット12は、下キャビネット14の開口を塞ぐ平板形状を有する。一例として、キャビネット11は、60mm×50mm(上キャビネット12の縦、横)×30mm(高さ)の大きさを有する。
【0034】
キャビネット11は、側面11mおよび側面11nを有する。側面11mおよび側面11nは、互いに対向して配置されている。側面11mは、上キャビネット12に形成され、側面11nは、下キャビネット14に形成されている。
【0035】
キャビネット11には、筒状部材としての捕集筒15が一体に形成されている。捕集筒15は、側面11mに開口し、側面11mから側面11nに向けて円筒状に延びている。捕集筒15は、後述する静電針22を取り囲むように設けられている。捕集筒15は、静電針22と対向して位置決めされた捕集基板71に向けて、粒子を含む空気を案内する。
【0036】
図12は、図9中の粒子検出装置からファンが取り外された状態を示す斜視図である。図9および図12を参照して、ファン16は、正転方向および反転方向に回転駆動可能である。ファン16が正転方向に駆動されることにより、キャビネット11の内部の空気がファン16を通じてキャビネット11の外部に排出される。ファン16が反転方向に駆動されることにより、キャビネット11の外部の空気がファン16を通じてキャビネット11の内部に導入される。
【0037】
ファン16は、キャビネット11の側面11nに取り付けられている。ファン16が取り付けられたキャビネット11の位置には、開口部120が形成されている。開口部120は、捕集筒15と向かい合う範囲(図12中の2点鎖線122に示す範囲)と、後述するブラシ51と向かい合う範囲(図12中の2点鎖線121に示す範囲)とを含むように開口している。開口部120は、捕集筒15と向かい合う範囲とブラシ51と向かい合う範囲とで連続的に形成されている。
【0038】
このような構成によって、ファン16は、捕集工程と、加熱工程時の冷却と、リフレッシュ工程とで兼用して用いられる。これにより、粒子検出装置10の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0039】
図8から図11を参照して、捕集部20は、図2を参照して説明した捕集工程を実行し、空気中に含まれる粒子を捕集基板71に捕集する。捕集部20は、電源部としての高圧電源21と、放電電極としての静電針22とを有する。
【0040】
捕集基板71は、生物由来の粒子と化学繊維の埃などの粉塵とが混合した粒子が捕集される捕集部材として設けられている。捕集基板71は、ガラス板から形成されている。粒子を吸着するガラス板の表面には、導電性の透明被膜が形成されている。捕集基板71は、ガラス板に限定されず、セラミックもしくは金属などから形成されてもよい。被膜は、透明被膜に限定されず、たとえば、セラミック等から形成された捕集基板71の表面に、金属被膜が形成されてもよい。また、捕集基板71が金属から形成される場合、その表面に被膜を形成する必要はない。
【0041】
高圧電源21は、捕集基板71と静電針22との間に電位差を生じさせるための電源部として設けられている。
【0042】
静電針22は、高圧電源21から延出し、捕集筒15を貫通して捕集筒15の内部に達している。捕集工程時、捕集基板71は、静電針22と対向して配置される。本実施の形態では、静電針22が、高圧電源21の正極に電気的に接続されている。捕集基板71に形成された被膜は、高圧電源21の負極に電気的に接続されている。
【0043】
なお、静電針22が高圧電源21の正極に電気的に接続されている場合に、捕集基板71に形成された被膜が接地電位に接続されてもよいし、静電針22が高圧電源21の負極に電気的に接続され、捕集基板71に形成された被膜が高圧電源21の正極に電気的に接続されてもよい。
【0044】
捕集工程時、ファン16が正転方向に駆動されると、キャビネット11内部の空気が排気されると同時に、キャビネット11の外部の空気が捕集筒15を通って捕集基板71に向けて導入される。この際、高圧電源21によって静電針22と捕集基板71との間に電位差を発生させると、空気中の粒子は、静電針22の周囲で正極に帯電される。正極に帯電された粒子が、静電気力によって捕集基板71に移動し、導電性の被膜に吸着されることによって、捕集基板71に捕集される。
【0045】
このように本実施の形態における粒子検出装置10においては、静電気力を利用した静電捕集により、粒子を捕集基板71に捕集する。この場合、粒子の検出時に粒子を確実に捕集基板71に保持するとともに、粒子の検出後には粒子を容易に捕集基板71から除去することができる。
【0046】
また、放電電極として針状の静電針22を用いることによって、帯電した粒子を、静電針22に対向する捕集基板71の表面であって、後述する発光素子の照射領域に対応した極めて狭い領域に吸着させることができる。これにより、蛍光測定工程において、吸着された微生物を効率的に検出することができる。
【0047】
蛍光検出部30は、図3および図5を参照して説明した蛍光測定工程(加熱前,加熱後)を実行する。蛍光検出部30は、励起光源部31および受光部41から構成されている。励起光源部31は、捕集基板71に捕集された粒子に向けて励起光を照射する。受光部41は、励起光の照射に伴って粒子から発せられる蛍光を受光する。
【0048】
励起光源部31は、光源としての発光素子32と、励起部フレーム33と、集光レンズ34と、レンズ押さえ35とを有する。受光部41は、ノイズシールド42と、増幅回路43と、受光素子44と、受光部フレーム45と、フレネルレンズ46と、レンズ押さえ47とを有する。発光素子32としては、半導体レーザまたはLED(Light Emitting Diode)素子などが用いられる。発光素子32から発せられる光は、生物由来の粒子を励起して蛍光を発せさせるものであれば、紫外または可視いずれの領域の波長を有してもよい。受光素子44としては、フォトダイオードまたはイメージセンサなどが用いられる。
【0049】
清掃部50は、図6を参照して説明したリフレッシュ工程を実行し、粒子を捕集基板71から除去する。清掃部50は、清掃具としてのブラシ51と、ベース部としてのブラシ固定部52およびブラシ押さえ53とを有する。清掃部50は、高圧電源21に対して固定支持されている。リフレッシュ工程時、清掃部50は静止している。
【0050】
ブラシ51は、繊維集合体から形成されている。ブラシ51は、導電性を有する繊維集合体から形成されている。ブラシ51は、たとえば、カーボンファイバから形成されている。ブラシ51を形成する繊維集合体の線径は、φ0.05mm以上φ0.2mm以下であることが好ましい。
【0051】
ブラシ51は、自由端51pと、自由端51pの反対側の端部に配置される支持端51qとを有する(図11を参照)。支持端51qは、ブラシ固定部52およびブラシ押さえ53により支持されている。ブラシ51は、支持端51qから自由端51pに向けて垂れ下がるように設けられる。ブラシ51は、後述するリフレッシュ位置93に固定支持されている。ブラシ51の自由端51pが捕集基板71の表面に接触した状態で捕集基板71が移動することにより、粒子が捕集基板71から除去される。
【0052】
なお、本実施の形態では、捕集基板71から粒子を除去する捕集具としてブラシ51を用いたが、本発明はこれに限られず、たとえば、捕集基板71の表面と接触する平板状のワイパーであってもよいし、捕集基板71の表面に向けて空気を噴き出すノズルであってもよい。
【0053】
粒子検出装置10は、加熱部としてのヒータ76と、移動機構部60とをさらに有する。
【0054】
ヒータ76は、図4を参照して説明した加熱工程を実行し、捕集基板71に捕集された粒子を加熱する。
【0055】
移動機構部60は、捕集基板71を搭載し、捕集工程、蛍光測定工程(加熱前,加熱後)、リフレッシュ工程および加熱工程間で捕集基板71を移動させる。移動機構部60は、モータホルダ61と、回転駆動可能な駆動部としての回転モータ62と、モータ押さえ63と、アーム部としての回転ベース64を有する。
【0056】
図13は、移動機構部を構成する回転ベースを示す斜視図である。図14は、図13中の回転ベースを示す分解組み立て図である。図13中には、裏側(キャビネット11の側面11n側)から見た回転ベース64が示され、図14中には、表側(キャビネット11の側面11m側)から見た回転ベース64が示されている。
【0057】
図11、図13および図14を参照して、回転ベース64には、回転モータ62の出力軸が接続されている。回転モータ62の駆動に伴って、回転ベース64は、図11中に仮想線として描かれた回転中心軸66を中心に回転(正転、反転)する。
【0058】
回転ベース64は、樹脂材料により形成されている。回転ベース64は、その構成部位として、中心部67と、基板支持部68と、清掃具初期化部材としてのブラシ清掃アーム81と、センシング対象部82とを有する。
【0059】
中心部67は、回転モータ62の出力軸に接続されている。中心部67は、キャビネット11により回転中心軸66を中心に回転自在に支持されている。基板支持部68は、中心部67から回転中心軸66の半径方向に延伸し、その先端で捕集基板71を搭載している。基板支持部68は、捕集基板71を搭載する位置で枠形状を有する。ブラシ清掃アーム81およびセンシング対象部82については、後の項目で詳細に説明する。
【0060】
捕集基板71の裏面には、ヒータ76が貼り合わされている。ヒータ76は、回転ベース64の回転時、捕集基板71とともに移動する。ヒータ76には、ヒータ76の電力供給線や、ヒータ76に内蔵されたセンサの信号線を含む、複数の配線111,112,113が接続されている。配線111,112,113は、フレキシブル基板96を通じてキャビネット11の外部に引き出されている。
【0061】
図15は、捕集工程および加熱工程時の粒子検出装置を示す断面図である。図16は、蛍光測定工程(加熱前,加熱後)時の粒子検出装置を示す断面図である。図17は、リフレッシュ工程時の粒子検出装置を示す断面図である。図15から図17中には、キャビネット11の側面11n側から見た粒子検出装置の断面が示されている。
【0062】
図15から図17を参照して、本実施の形態における粒子検出装置10では、捕集基板71が、捕集工程および加熱工程時に、図15中に示す第1位置としての捕集・加熱位置91に移動され、蛍光測定工程(加熱前,加熱後)時に、図16中に示す第2位置としての検出位置92に移動され、リフレッシュ工程時に、図17中に示す第3位置としてのリフレッシュ位置93に移動される。捕集・加熱位置91と、検出位置92と、リフレッシュ位置93とは、互いに離れて配置されている。
【0063】
なお、図17中のリフレッシュ位置93は、代表的な例として示したものであり、実際には、リフレッシュ工程時に捕集基板71を移動させつつ、捕集基板71の表面をブラシ51に接触させて捕集基板71から粒子を除去するため、捕集基板71とブラシ51とが接触する間の捕集基板71の移動範囲がリフレッシュ位置93に相当する。
【0064】
捕集基板71は、捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93間を移動する間、同一平面内に保持される。捕集基板71は、捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93間を移動する間、回転中心軸66に直交する同一平面内に保持される。
【0065】
すなわち、本実施の形態における粒子検出装置10は、捕集基板71を、同一平面内に保持しながら、捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93の間で移動させる移動機構部60を備える。本実施の形態では、捕集基板71を同一平面内で移動させるため、捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93の各位置における捕集基板71の位置決め精度を向上させることができる。また、回転中心軸66の軸方向において捕集基板71が移動しないため、粒子検出装置10の全高を低く抑えることができる。
【0066】
捕集・加熱位置91と、検出位置92と、リフレッシュ位置93とは、円周上に並んで配置されている。捕集・加熱位置91と、検出位置92と、リフレッシュ位置93とは、回転中心軸66を中心とする円周上に並んで配置されている。捕集基板71の移動方向において、捕集・加熱位置91は、検出位置92とリフレッシュ位置93との間に配置されている。言い換えれば、捕集基板71の移動方向において、リフレッシュ位置93は、捕集・加熱位置91から見て検出位置92の反対側に配置されている。捕集基板71の移動方向において、検出位置92、捕集・加熱位置91およびリフレッシュ位置93が挙げた順に並んで配置されている。
【0067】
捕集・加熱位置91とリフレッシュ位置93との間の捕集基板71の移動距離よりも、検出位置92とリフレッシュ位置93との間の捕集基板71の移動距離の方が大きい。捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93の間における捕集基板71の移動範囲は、回転中心軸66の軸周りにおいて180°以下である。
【0068】
続いて、本実施の形態における粒子検出装置10の動作について説明する。図18は、この発明の実施の形態1における粒子検出装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【0069】
なお、以下の説明では、図15から図17中において、回転中心軸66を中心とする時計周りの回転を正転方向といい、回転中心軸66を中心とする反時計周りの回転を反転方向という。
【0070】
図15および図18を参照して、まず、捕集基板71を捕集・加熱位置91に位置決めして、捕集工程を実施する(S101)。この際、ファン16を正転方向に駆動させることによって、キャビネット11内部に空気を導入するとともに、高圧電源21によって静電針22と捕集基板71との間に電位差を発生させ、空気中の粒子を捕集基板71の表面に捕集する。
【0071】
図16および図18を参照して、次に、回転モータ62を駆動させることによって回転ベース64を正転方向に回転させ、捕集基板71を捕集・加熱位置91から検出位置92に移動させる(S102)。次に、励起光源部31によって、捕集基板71に捕集された粒子に向けて励起光を照射するとともに、受光部41によって、励起光の照射に伴って粒子から発せられる蛍光を受光する。これにより、捕集基板71に捕集された粒子の加熱前の蛍光強度を測定する(S103)。
【0072】
図15および図18を参照して、次に、回転モータ62を駆動させることによって回転ベース64を反転方向に回転させ、捕集基板71を検出位置92から捕集・加熱位置91に移動させる(S104)。次に、ヒータ76に通電することによって、捕集基板71に捕集された粒子を加熱する(S105)。次に、ヒータ76への通電を停止して、捕集基板71を冷却する(S106)。この際、ファン16を反転方向に駆動させることによって、空気をキャビネット11内部に導入し、捕集基板71の冷却を促進させる。
【0073】
図16および図18を参照して、次に、回転モータ62を駆動させることによって回転ベース64を正転方向に回転させ、捕集基板71を捕集・加熱位置91から検出位置92に移動させる(S107)。次に、励起光源部31によって、捕集基板71に捕集された粒子に向けて励起光を照射するとともに、受光部41によって、励起光の照射に伴って粒子から発せられる蛍光を受光する。これにより、捕集基板71に捕集された粒子の加熱後の蛍光強度を測定する(S108)。
【0074】
図17および図18を参照して、次に、回転モータ62を駆動させることによって回転ベース64を反転方向に回転させ、捕集基板71を検出位置92からリフレッシュ位置93に移動させる。リフレッシュ位置93において回転ベース64を反転方向に回転させ、さらに正転方向に回転させることによって、捕集基板71の表面をブラシ51に接触させる。これにより、捕集基板71から粒子を除去する(S109)。
【0075】
リフレッシュ工程時、ファン16を正転方向に駆動させることによって、捕集基板71から除去されて空気中を飛散する粒子を開口部120を通じてキャビネット11の外部に排出する。開口部120を通じてキャビネット11の外部に排出された粒子を回収するため、開口部120とファン16との間にフィルタを設けることが好ましい。
【0076】
この際、捕集基板71が、図15中に示す捕集・加熱位置91から図17中に示すリフレッシュ位置93に近づくに従って、捕集基板71と捕集筒15とが重なる範囲が小さくなるため、空気の導入口である捕集筒15の開口面積が大きくなる。これにより、粒子を効率的にキャビネット11の外部に回収することができる。一方、捕集工程時には、捕集基板71に遮蔽されることによって捕集筒15の開口面積が小さくなるため、空気の導入ロスを減らすことができる。
【0077】
本実施の形態では、清掃部50を静止させたまま捕集基板71の移動によってリフレッシュ工程を実施するため、リフレッシュ工程を実施するための移動機構部を別途設ける必要がない。このため、粒子検出装置10の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0078】
図15および図18を参照して、回転モータ62を駆動させることによって回転ベース64を正転方向に回転させ、捕集基板71をリフレッシュ位置93から捕集・加熱位置91に移動させる(S110)。以上のS101〜S110の工程を繰り返すことによって、生物由来の粒子の検出を連続的に実施する。
【0079】
以上に説明した、この発明の実施の形態1における粒子検出装置の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における粒子検出装置10は、生物由来の粒子を検出する粒子検出装置である。粒子検出装置10は、粒子を捕集部材としての捕集基板71に捕集する捕集部20と、捕集基板71に捕集された粒子に向けて励起光を照射するとともに、粒子から発せられる蛍光を受光する蛍光検出部30と、捕集部20により捕集基板71に粒子を捕集する第1位置としての捕集・加熱位置91および蛍光検出部30により蛍光を受光する第2位置としての検出位置92とは離れた第3位置としてのリフレッシュ位置93で、粒子を捕集基板71から除去する清掃部50とを備える。
【0080】
また別に、本実施の形態における粒子検出装置10は、生物由来の粒子を検出する粒子検出装置である。粒子検出装置10は、粒子を捕集部材としての捕集基板71に捕集する捕集部20と、捕集基板71に捕集された粒子に向けて励起光を照射するとともに、粒子から発せられる蛍光を受光する蛍光検出部30と、粒子を捕集基板71から除去する清掃部50と、捕集基板71を、捕集部20により捕集基板71に粒子を捕集する第1位置としての捕集・加熱位置91と、蛍光検出部30により蛍光を受光する第2位置としての検出位置92と、清掃部50により捕集基板71から粒子を除去する第3位置としてのリフレッシュ位置93との間で移動させる移動機構部60とを備える。
【0081】
さらに別に、本実施の形態における粒子検出装置10は、生物由来の粒子を検出する粒子検出装置である。粒子検出装置10は、粒子を捕集部材としての捕集基板71に捕集する捕集部20と、捕集基板71に捕集された粒子に向けて励起光を照射するとともに、粒子から発せられる蛍光を受光する蛍光検出部30と、粒子を捕集基板71から除去する清掃部50とを備える。捕集基板71は、正転方向および反転方向に回転移動することにより、捕集部20により捕集基板71に粒子を捕集する第1位置としての捕集・加熱位置91と、蛍光検出部30により蛍光を受光する第2位置としての検出位置92と、清掃部50により捕集基板71から粒子を除去する第3位置としてのリフレッシュ位置93との間を移動する。
【0082】
本実施の形態では、粒子を捕集基板71から除去するための清掃部50を設けることによって、捕集基板71を繰り返し使用して生物由来の粒子の検出を行なうことができる。このため、1回の検出ごとに捕集基板71を交換する場合と比較して、粒子検出にかかる費用を低コストにできる。
【0083】
また、本実施の形態では、粒子を捕集基板71から除去するリフレッシュ工程が、捕集・加熱位置91および検出位置92から離れたリフレッシュ位置93で実施される。このため、捕集基板71から除去された粒子が、次工程の捕集工程時に再び捕集基板71に捕集されたり、捕集基板71から検出位置92に侵入した粒子が発光素子32や受光素子44などの光学系に付着したりすることを防止できる。特に本実施の形態では、リフレッシュ位置93と検出位置92との間を遮るように捕集・加熱位置91が設けられているため、捕集基板71から除去された粒子が検出位置92に侵入することを効果的に防ぐことができる。これらの理由により、本実施の形態における粒子検出装置10によれば、生物由来の粒子の検出を高精度に行なうことができる。
【0084】
また、本実施の形態では、捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93が円周上に並んで配置されており、捕集基板71は回転することによって、これらの各位置間を移動する。このような構成によれば、捕集部20、蛍光検出部30および清掃部50をコンパクトな空間に配置して、粒子検出装置10の小型化を図ることができる。また、本実施の形態では、捕集基板71が正転方向および反転方向に回転して捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93の各位置に移動するため、フレキシブル基板96を通じて引き出される複数の配線や静電捕集のための配線が絡み合わないという効果も奏される。
【0085】
加熱部としてのヒータ76の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における粒子検出装置10は、捕集基板71に捕集された粒子を加熱するための加熱部としてのヒータ76を有する。蛍光検出部30により把握される加熱前の粒子から発せられる蛍光強度と加熱後の粒子から発せられる蛍光強度との差分から、生物由来の粒子を検出する。ヒータ76によって粒子を加熱するとき、捕集基板71は、第1位置としての捕集・加熱位置91に移動される。ヒータ76は、移動機構部60によって捕集基板71とともに移動される。ヒータ76によって加熱された捕集基板71は、ファン16によってキャビネット11内に導入された空気により冷却される。
【0086】
本実施の形態では、捕集基板71に捕集された粒子を加熱する加熱工程を、捕集基板71に粒子を捕集する捕集工程と同じ位置(捕集・加熱位置91)で実施することにより、粒子検出装置10の小型化を図ることができる。また、ヒータ76を移動機構部60に搭載して、捕集基板71と一緒に移動させる構成により、粒子検出装置10の構造を簡易化できる。
【0087】
[粒子検出装置の構成部品の配置について]
図11、図15から図17を参照して、本実施の形態では、捕集部20、蛍光検出部30および清掃部50の各構成部品が、回転中心軸66を中心にその周方向に並んで配置されている。
【0088】
捕集筒15および静電針22は、捕集・加熱位置91に向かい合って配置されている。高圧電源21および清掃部50は、リフレッシュ位置93に向かい合って配置されている。受光部41は、検出位置92に向かい合って配置されている。
【0089】
捕集筒15と受光部41とは、回転中心軸66を中心とする周方向において互いに隣り合って配置されている。励起光源部31は、回転中心軸66を中心とする周方向において、捕集筒15とは反対側で受光部41と隣り合って配置されている。すなわち、回転中心軸66を中心とする周方向において、励起光源部31と捕集筒15との間に受光部41が配置されている。励起光源部31は、回転中心軸66を挟んで捕集筒15の反対側に配置されている。
【0090】
高圧電源21は、回転中心軸66を中心とする周方向において、受光部41とは反対側で捕集筒15と隣り合って配置されている。すなわち、回転中心軸66を中心とする周方向において、高圧電源21と受光部41との間に捕集筒15が配置されている。高圧電源21は、回転中心軸66を挟んで受光部41の反対側に配置されている。高圧電源21と励起光源部31とは、回転中心軸66を中心とする周方向において互いに隣り合って配置されている。
【0091】
回転中心軸66の軸方向から見た場合に、捕集筒15、受光部41および高圧電源21は、回転中心軸66の軸周りにおける捕集基板71の移動範囲と重なって配置されている。回転中心軸66の軸方向から見た場合に、励起光源部31は、回転中心軸66の軸周りにおける捕集基板71の移動範囲からずれて配置されている。
【0092】
本実施の形態では、捕集基板71の移動方向において、励起光源部31は、受光部41に対して捕集筒15の反対側に配置されている。このように構成により、励起光源部31の配置に起因して、捕集・加熱位置91と検出位置92との間の距離が長くなることを防止している。
【0093】
回転中心軸66の軸方向から見た場合に、清掃部50は、高圧電源21と重なって配置されている。より具体的には、清掃部50を構成するブラシ固定部52が、高圧電源21に取り付けられている。図11中に示すように、励起光源部31および受光部41は、それぞれ、高さH1(回転中心軸66の軸方向の長さ)および高さH2を有する。高圧電源21は、高さH3を有する。高さH3は、高さH1および高さH2よりも小さく、高さH1は、高さH2よりも大きい(H3<H2<H1)。
【0094】
本実施の形態では、清掃部50を、励起光源部31、受光部41および高圧電源21のうち最も小さい高さを有する高圧電源21と重ねて設けることによって、キャビネット11内の限られた空間に捕集部20、蛍光検出部30および清掃部50の各構成部品を効率よく配置している。
【0095】
また、本実施の形態では、清掃部50と捕集筒15とが回転中心軸66を中心とする周方向において互いに隣り合って配置されている。このような構成によって、捕集工程、加熱工程時の冷却およびリフレッシュ工程間におけるファン16の兼用を可能としている。
【0096】
図19は、粒子検出装置の内部構造を示す斜視図である。図19を参照して、受光部41および励起光源部31と、清掃部50との間を遮るように、捕集筒15および移動機構部60が設けられている。
【0097】
このような構成により、リフレッシュ位置93において捕集基板71から除去された粒子が検出位置92に侵入することを効果的に抑制できる。また、リフレッシュ位置93から検出位置92への粒子の侵入を防止することを目的にキャビネット11内に隔壁を設ける必要がなく、捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93がキャビネット11内の同一空間に設けられる。このため、粒子検出装置10を小型化することができる。
【0098】
[ブラシのクリーニング構造について]
リフレッシュ工程時、清掃部50により捕集基板71から粒子が除去されるのに伴って、捕集基板71の表面と接触するブラシ51に粒子が付着する。本実施の形態における粒子検出装置10は、清掃具初期化部材としてのブラシ清掃アーム81を有し、このブラシ清掃アーム81によってブラシ51に付着した粒子を除去する。
【0099】
図13および図14を参照して、ブラシ清掃アーム81は、回転ベース64に一体に設けられている。ブラシ清掃アーム81は、回転ベース64の回転時、捕集基板71とともに移動する。ブラシ清掃アーム81は、回転ベース64の中心部67から回転中心軸66の半径方向に延伸する。ブラシ清掃アーム81がブラシ51の自由端51pに接触した状態で回転移動することにより、ブラシ51に付着した粒子が除去される。
【0100】
ブラシ清掃アーム81は、回転中心軸66の軸周りにおいて基板支持部68と周方向にずれた位置に設けられている。図16中に示すように、捕集基板71が検出位置92に移動された時に、ブラシ清掃アーム81は、捕集基板71とブラシ51との間に配置される。
【0101】
図20から図22は、リフレッシュ工程時の捕集基板およびブラシ清掃アームの動きを示す断面図である。図22中には、リフレッシュ工程時の捕集基板71の移動端が示されている。
【0102】
図20から図22を参照して、粒子の加熱後の蛍光強度を測定した後、回転ベース64を反転方向に回転させ、捕集基板71を検出位置92からリフレッシュ位置93に向けて移動させる。
【0103】
この際、まず、ブラシ清掃アーム81がブラシ51の自由端51pに接触しながら反転方向に移動することにより、ブラシ51に付着した粒子を除去する。同時に、ファン16を正転方向に駆動させることによって、ブラシ51から除去された粒子をリフレッシュ位置93からキャビネット11の外部に回収する。さらに回転ベース64を反転方向に回転させ、捕集基板71の表面をブラシ51に接触させることにより、捕集基板71から粒子を除去する。捕集基板71が図22中に示す移動端まで移動したら、回転ベース64を正転方向に回転させ、再び捕集基板71の表面をブラシ51に接触させることにより、捕集基板71から粒子を除去する。
【0104】
本実施の形態では、捕集基板71が検出位置92に移動された時に、ブラシ清掃アーム81が捕集基板71とブラシ51との間に配置されるため、捕集基板71とブラシ51とが接触する前に、ブラシ清掃アーム81とブラシ51とが接触する。これにより、ブラシ清掃アーム81によってリフレッシュされたブラシ51により捕集基板71を清掃できるため、捕集基板71から粒子を効率的に除去することができる。
【0105】
また、ブラシ清掃アーム81は、捕集基板71を搭載する回転ベース64に一体に設けられている。このような構成により、ブラシ清掃アーム81を移動させるための移動機構部を別途設ける必要がなくなり、粒子検出装置10の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0106】
なお、キャビネット11内部には、粘着性を有する粒子捕獲部が設けられてもよい。粒子捕獲部は、たとえば、粘着性シートから形成される。粒子捕獲部は、リフレッシュ位置93や、リフレッシュ位置93と捕集・加熱位置91との間に設けられることが好ましい。このような構成によれば、ファン16の駆動による粒子の回収に加えて、粒子捕獲部によって捕集基板71もしくはブラシ51から除去された粒子を回収することができる。
【0107】
図23は、ブラシ、ブラシ清掃アームおよび捕集基板の高さ関係を示す図である。図23を参照して、ブラシ清掃アーム81および捕集基板71は、それぞれ、ブラシ51の自由端51pと接触する頂面81aおよび頂面71aを有する。任意の位置を基準とした時のブラシ51の自由端51pの高さをH6とし、ブラシ清掃アーム81の頂面81aの高さをH7とし、捕集基板71の頂面71aの高さをH8とした場合に、H6<H8<H7の関係を満たすことが好ましい。
【0108】
[粒子検出装置の細部構造について]
本実施の形態における粒子検出装置10は、捕集基板71の位置を検出するための位置検出部として、位置センサ77および位置センサ78と、センシング対象部82とを有する。
【0109】
図11、図15および図16を参照して、位置センサ77および位置センサ78は、センシング対象部82の近接を検知することによって捕集基板71の位置を検出するセンサである。位置センサ77および位置センサ78は、キャビネット11の内壁に取り付けられている。位置センサ77および位置センサ78は、回転中心軸66に直交する同一平面内に設けられている。回転中心軸66の軸方向から見た場合に、位置センサ77は、捕集・加熱位置91と検出位置92との間に配置され、位置センサ78は、捕集・加熱位置91とリフレッシュ位置93との間に配置されている。
【0110】
図13を参照して、センシング対象部82は、回転ベース64に一体に設けられている。センシング対象部82は、回転ベース64の回転時、捕集基板71とともに移動する。センシング対象部82は、回転ベース64の中心部67から回転中心軸66の半径方向に延伸するブラシ清掃アーム81の先端に設けられている。
【0111】
図11、図15および図16を参照して、図示しない制御部は、位置センサ78がセンシング対象部82の近接を検知した場合に、捕集基板71が捕集・加熱位置91に位置決めされたことを検出する。このとき、制御部は、捕集基板71への粒子の捕集が開始されるように、捕集部20およびファン16に向けて指令を出す。また、制御部は、位置センサ77がセンシング対象部82の近接を検知した場合に、捕集基板71が検出位置92に位置決めされたことを検出する。このとき、制御部は、生物由来の粒子の検出が開始されるように、蛍光検出部30に向けて指令を出す。
【0112】
位置センサ78および位置センサ77を用いた捕集基板71の位置検出により、捕集工程および検出工程における捕集基板71の位置精度を向上させ、生物由来の粒子の検出の再現性を高めることができる。
【0113】
図16を参照して、本実施の形態における粒子検出装置10は、移動機構部60の移動端に配置され、移動機構部60の移動を規制する規制部材としての突出部19を有する。突出部19は、キャビネット11の内壁から突出して設けられている。突出部19は、検出位置92に隣り合った位置に設けられている。捕集基板71が検出位置92に移動された時、回転ベース64が突出部19に当接することにより、回転ベース64のそれ以上の移動が規制される。
【0114】
なお、本実施の形態における粒子検出装置10は、生物由来の粒子を検出するための装置単体として用いられてもよいし、空気清浄機やエアーコンディショナ、加湿器、除湿機、掃除機、冷蔵庫、テレビなどの家電製品に組み込まれてもよい。
【0115】
(実施の形態2)
図24は、この発明の実施の形態2における粒子検出装置を示す平面図である。図25は、図24中の粒子検出装置を示す側面図である。本実施の形態における粒子検出装置は、実施の形態1における粒子検出装置10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造についてはその説明を繰り返さない。
【0116】
図24および図25を参照して、本実施の形態における粒子検出装置では、捕集・加熱位置91と、検出位置92と、リフレッシュ位置93とが、直線上に並んで配置されている。図示しない移動機構部に搭載された捕集基板71は、矢印131に示す方向に沿って往復運動しつつ、捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93の間を移動する。捕集基板71は、リフレッシュ位置93において矢印132に示す方向に往復運動することによって、捕集基板71に捕集された粒子が除去される。
【0117】
捕集基板71の移動方向において、捕集・加熱位置91は、検出位置92とリフレッシュ位置93との間に配置されている。言い換えれば、捕集基板71の移動方向において、リフレッシュ位置93は、捕集・加熱位置91から見て検出位置92の反対側に配置されている。捕集基板71の移動方向において、検出位置92、捕集・加熱位置91およびリフレッシュ位置93が挙げた順に並んで配置されている。
【0118】
本実施の形態では、捕集・加熱位置91と検出位置92とリフレッシュ位置93とが、直線上に並ぶため、これらが円周上に並ぶ実施の形態1と比較して、検出位置92とリフレッシュ位置93とをより大きく離すことができる。これにより、リフレッシュ位置93において捕集基板71から除去された粒子が検出位置92に侵入することを効果的に防ぐことができる。
【0119】
なお、捕集基板71の移動方向において、検出位置92が捕集・加熱位置91とリフレッシュ位置93との間に配置されるように、捕集部20、蛍光検出部30および清掃部50を構成してもよい。
【0120】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0121】
この発明は、主に、花粉や微生物、カビといった生物由来の粒子を検出する装置として利用される。
【符号の説明】
【0122】
10 粒子検出装置、11 キャビネット、11m,11n 側面、12 上キャビネット、14 下キャビネット、15 捕集筒、16 ファン、19 突出部、20 捕集部、21 高圧電源、22 静電針、30 蛍光検出部、31 励起光源部、32 発光素子、33 励起部フレーム、34 集光レンズ、41 受光部、42 ノイズシールド、43 増幅回路、44 受光素子、45 受光部フレーム、46 フレネルレンズ、50 清掃部、51 ブラシ、51p 自由端、51q 支持端、52 ブラシ固定部、53 ブラシ押さえ、60 移動機構部、61 モータホルダ、62 回転モータ、64 回転ベース、66 回転中心軸、67 中心部、68 基板支持部、71 捕集基板、71a,81a 頂面、76 ヒータ、77,78 位置センサ、81 ブラシ清掃アーム、82 センシング対象部、91 捕集・加熱位置、92 検出位置、93 リフレッシュ位置、96 フレキシブル基板、111,112,113 配線、120 開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物由来の粒子を検出する粒子検出装置であって、
粒子を捕集部材に捕集する捕集部と、
捕集部材に捕集された粒子に向けて励起光を照射するとともに、粒子から発せられる蛍光を受光する蛍光検出部と、
前記捕集部により捕集部材に粒子を捕集する第1位置および前記蛍光検出部により蛍光を受光する第2位置とは離れた第3位置で、粒子を捕集部材から除去する清掃部とを備える、粒子検出装置。
【請求項2】
捕集部材は、前記第1位置、前記第2位置および前記第3位置の間で移動され、
捕集部材の移動方向において、前記第3位置が前記第1位置から見て前記第2位置の反対側に位置する、請求項1に記載の粒子検出装置。
【請求項3】
前記第1位置、前記第2位置および前記第3位置が円周上に並ぶ、請求項1または2に記載の粒子検出装置。
【請求項4】
前記第1位置、前記第2位置および前記第3位置が直線上に並ぶ、請求項2に記載の粒子検出装置。
【請求項5】
捕集部材は、前記第1位置、前記第2位置および前記第3位置の間で移動され、
前記第1位置と前記第3位置との間の捕集部材の移動距離よりも、前記第2位置と前記第3位置との間の捕集部材の移動距離の方が大きい、請求項1から4のいずれか1項に記載の粒子検出装置。
【請求項6】
捕集部材に捕集された粒子を前記第1位置で加熱する加熱部をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の粒子検出装置。
【請求項7】
前記加熱部は、捕集部材に設けられる、請求項6に記載の粒子検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−57634(P2013−57634A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197392(P2011−197392)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【特許番号】特許第5134130号(P5134130)
【特許公報発行日】平成25年1月30日(2013.1.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)