説明

粒子状物質および揮発性有機化合物を除去するエアフィルタ

本発明は、空気から汚染物質を除去するエアフィルタに関する。かかるフィルタは、粒子状物質および揮発性有機化合物(VOC)の除去に有用である。特に、本発明のエアフィルタは、ゲルの適用された網目状発泡体基材を含む。基材は、単独で用いても、小さな粒子(例えば、直径が3ミクロン未満)をトラップするのを助ける静電フィルタと組み合わせてもよい。基材自体は大きな粒子(例えば、直径が3ミクロンを超える)をトラップする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気から汚染物質を除去するエアフィルタ、特に、ゲルの適用された網目状発泡体基材に関する。かかるフィルタは、粒子状物質および揮発性有機化合物(VOC)の除去に有用である。
【背景技術】
【0002】
屋内の空気質の問題は重要になってきている。揮発性有機化合物(VOC)放出の減少が、1990年の大気浄化法のような環境法の主な目的である。従来、空気または水から有機化合物を分離する成分媒体は活性炭素であるが、多くのVOC放出の制御に適用されるとき、現在入手可能な活性炭素では適合しない吸着媒体に対する新たな法律上の要望がなされている。これらの要望としては、高い吸収能、高耐湿性、迅速な脱離運動性および現場での再生が繰り返し容易にできる能力が挙げられる。市販の合成ポリマー吸着剤は、これらの要望に適合する可能性を与える。
【0003】
フィルタは、従来から空気を清浄にするのに用いられてきた。(特許文献1)(フレイザー(Fraser))には、発泡体がコートされた空気ろ過媒体が開示されている。エアフィルタは、基材とポリマー発泡体でできている。発泡体は、フィルタの低密度上流部分が大きな粒子をトラップできる密度を有していて、小さな粒子がフィルタを透過して、フィルタの高密度下流部分にトラップできるようになっている。しかしながら、この公報にはVOC除去についての言及がない。
【0004】
層状フィルタ構造が、米国特許公報(特許文献2)(チャップマン(Chapman))に記載されている。この構造には、静電帯電中間層が含まれている。ポリエステルの難燃性プリフィルタ層が、大きな粒子を除去し、難燃性ライナポリエステルのバッキングが引裂き抵抗を与える。少なくとも1枚の層が粒子をろ過するために静電帯電されている。この特許にもVOC除去についての言及がない。
【0005】
特に、VOCの除去は、これらの化合物の存在は様々な健康上の問題に関与しているため、益々重要になってきている。VOCであるアルデヒドおよび酸性ガスの空気からの除去については、米国特許公報(特許文献3)および米国特許公報(特許文献4)(ゲッサー(Gesser))に述べられている。この除去には、強制空気加熱システムにおける炉フィルタのコーティングが必要である。コーティングは、汚染物質と反応する特定の官能基を有するポリエチレンイミンのようなポリマーアミンである。VOC除去はまた、米国特許公報(特許文献5)(グーチ(Gooch))にも述べられている。この特許には、空中浮遊粒子状物質を吸着し、揮発性液体を吸収する粘弾性マトリックスを含むエアフィルタが開示されている。好ましい三次元粘弾性マトリックス材料は、水またはグリセロールで膨潤させた架橋水溶性ポリマーである。ゲル構造が、架橋セグメント間に形成される。しかしながら、粘弾性マトリックス構造は取扱いが難しい。
【0006】
従って、粒子状物質とVOCの両方を空気から除去することが当技術分野では望まれている。かかる構造は粘弾性マトリックス構造に頼らないのが好ましい。
【0007】
【特許文献1】米国特許公開第2003/0084788号明細書
【特許文献2】米国特許第5,419,953号明細書
【特許文献3】米国特許第4,892,719号明細書
【特許文献4】米国特許第4,547,350号明細書
【特許文献5】米国特許第5,529,609号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ゲルを支持する構造を提供することによって、従来技術に関連した問題を解消するものである。具体的には、粘着性ポリマーゲルの適用された基材を用いる。ポリマーゲルは、VOCをトラップする金属封鎖ビーズを含有している。網目状発泡体でできた基材は、有効にVOCを除去する十分な量のポリマーゲルを保持するのに極めて有用であることが分かっている。網目状発泡体はまた、ゲルを適用するための表面積も与え、低圧力降下および蛇行した経路を提供するよう密度を調整することができ、金属封鎖剤とVOCが接触する可能性が最大となる。更に、基材表面が粘着付与されているため、粒子状物質に保持されて、トラップはするが放出されない。
【0009】
加えて、本発明のエアフィルタはまた、静電フィルタまたはエレクトレットも含み、基材に達する前に微粒子を更にトラップすることができる。静電フィルタはまた、粒子が基材の粘着付与された表面に物理的に衝突し、そこにトラップされる可能性が増大するように、フィルタを通過する気流内の粒子の経路を変化させてもよい。このように、静電フィルタは、非常に小さな粒子のプレフィルタとして機能する。静電フィルタと組み合わせた基材を用いると、本発明のエアフィルタは、微粒子とVOCの両方を除去することができる。
【0010】
従って、本発明によれば、空気から汚染物質を除去するエアフィルタが提供される。エアフィルタは、ゲルの適用された基材を含む。基材は網目状発泡体を含む。網目状発泡体はポリエチレンかポリウレタンを含むのが好ましい。
【0011】
更に、本発明によれば、空気から汚染物質を除去するエアフィルタが提供される。本エアフィルタは、ゲルの付着した基材と、基材の片側と接触配置された静電フィルタを含む。任意で、構造上の完全性のためと、最終の微粒子フィルタとして作用させるために、ポストフィルタを基材の他側に用いてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明によれば、空気から汚染物質を除去するエアフィルタが提供される。かかるフィルタの第1の実施形態を図1および2に全体を10で示す。
【0013】
本明細書で用いるエアフィルタとは、空中浮遊汚染物質を空気から分離することのできるシステムのことを指す。フィルタリングプロセスにおいて、汚染した空気を多孔性媒体に強制的に通過させて、汚染物質をトラップし、それらが媒体から流れないようにする。第1の実施形態において、エアフィルタは、ゲルの適用された基材を含む。この実施形態において、0.3ミクロン以上のサイズの空中浮遊汚染物質をゲルによりトラップすることができる。第2の実施形態において、エアフィルタは、静電フィルタと組み合わせた基材を含む。この実施形態において、0.3ミクロン未満のサイズの空中浮遊汚染物質をトラップすることができる。第1か第2のいずれかの実施形態において、本発明のエアフィルタの合計の厚さは1インチを超えてはならない。基材自体の厚さは0.25〜0.5インチの範囲としなければならない。
【0014】
本発明のフィルタは基材12を含む。基材は網目状発泡体を含むのが好ましい。「網目状」とは、独立気泡発泡体ではなく、開放気泡で発泡体が形成されていることを意味する。本発明に用いるのに好適な網目状発泡体は、クレストフォームインダストリーズ社(Crest Foam Industries,Inc.)よりS38として市販されている1インチ当たり38個のポアのある網目状発泡体である。網目状発泡体はポリエステルかポリウレタンのいずれかとしてよい。あるいは、基材は、スパンボンドメルトブローンスパンボンドまたはスパンボンドおよびニードルパンチのようなニードルパンチ、スパンレース、ヒドロエンタングル、メルトブローン、スパンボンド、サーマルボンド、ポイントポンド、樹脂ボンド、エアレイドおよびこれらの複合体の組み合わせとすることのできる不織布とすることができる。不織基材としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ビスコース、レーヨン、ポリエチレンおよびアラミドのようなニードルフェルト、ニードルスパンボンドポリエステル、スパンレースPET、ノーメックス(Nomex)(登録商標)およびケブラー(Kevlar)(登録商標)、PET、ナイロン、ポリプロピレンおよびポリエチレンでできたスパンボンド不織布、サーマルボンド不織布および樹脂ボンド不織布が例示される。当業者であれば、ポリマーゲルでコートできる能力や手頃な価格等といった、エアフィルタ用途に用いる価格および適合性に応じて、その他基材およびファイバーのタイプも許容されることが分かるであろう。基材としての網目状発泡体の利点は、その表面積と、構造上の完全性を失うことなく十分量のゲルを保持できる能力であり、不織基材の場合にはない。更に、網目状発泡体は、フィルタでの圧力降下が比較的低い。
【0015】
ゲルはポリアクリルアミドポリマーを含む。あるいは、本発明のゲルは油または接着剤を含んでいてもよい。ポリアクリルアミドポリマーを用いる場合には、コポリマーかホモポリマーのいずれかとすることができる。いずれの場合も、コポリマーまたはホモポリマーはソルビトール、脱イオン水およびグリセロールと組み合わせて溶液を形成する。ソルビトール、脱イオン水およびグリセロールを組み合わせると、ポリアクリルアミドポリマーを可塑化したり、湿潤剤として作用したり、あるいは両方の機能を果たすとされている。ソルビトール、マンニトール、キシリトール、スクロース、プロピレングリコールまたはエチレングリコールおよびそれらの混合物は、ポリマーの湿潤剤と等価に作用して、その結晶化を防ぐため、粘着状態を維持するものと考えられる。一実施形態において、ゲルは90%のポリアクリルアミドホモポリマーと10%のコポリマーを含む。この場合のコポリマーは、抗菌活性を有するモノマーを含む。かかるコポリマーの一例は、ポリサイエンス(Polyscience)より市販されているポリアクリルアミドポリマーに基づくポリアクリルアミドコ−ジアリルジメチル塩化アンモニウムである。
【0016】
本発明のゲルは更に金属封鎖剤を含む。金属封鎖剤を用いて揮発性有機化合物をトラップする。金属封鎖剤はビーズの形態にある。かかるビーズを図1および2に14で示す。一般的に、ゲルと金属封鎖剤の溶液を作成する。金属封鎖剤は、フィルタにより除去しようとするVOCの種類に応じて、酸形態または塩基形態にあるイオン交換樹脂である。イオン交換金属封鎖剤の酸と塩基形態の混合物が有用である。本発明に用いるのに好適な金属封鎖剤は、ミシガン州ミッドランドのダウケミカル社(Dow Chemicals, Inc.,of Midland Michigan)よりダウエックス(DOWEX)(登録商標)オプティポア(OPTIPORE)(登録商標)V493およびV503吸着剤という商品名で市販されている。ダウエックス(DOWEX)(登録商標)オプティポア(OPTIPORE)(登録商標)製品は両方とも、ダウ(Dow)によれば、スチレンおよびジビニルベンゼンのメチレン橋架けコポリマーと記載されている。更に、アルデヒドと「シッフ」塩基/イミンを形成する第1級および第2級アミンを含有していることから、可逆的に、アルデヒドをトラップするために、弱塩基性イオン交換樹脂を本発明の金属封鎖剤として用いてもよい。弱塩基性イオン交換樹脂は、アルデヒドと「シッフ」塩基/イミンを形成する第1級および第2級アミンを含有している。
【0017】
基材の形状に沿うようにして、ゲルを所望の厚さで基材に適用する。基材に適用するとき、網目状発泡体の特性である開放気泡を極度に劣化することなく、ゲルは発泡体に含浸または発泡体全体に散在する。基材をゲルでコーティングまたは浸漬することをはじめとする数多くの様々な技術により基材の1つまたは全ての表面にゲルを適用することができる。好ましい技術は、「ディップスクイーズ法」であり、基材をゲルに浸漬させて過剰なものを搾り取る。コーティング技術としては、ナイフブレードまたはスパチュラによるコーティングが挙げられる。あるいは、法定発明登録番号USH153−H1(スタウントンら(Staunton et al.))に開示された装置や方法のように、ゲルは、超音波スプレーによりスプレーされてもよい。
【0018】
基材は、媒体に相当のエアフローが通るよう十分に透過性を有していなければならない。一実施形態において、フレージャ透気率法により測定したとき、フィルタは約1030立方ft/分の透気率を有している。水のインチ(ゲージ)で測定したときの基材の初期抵抗は0.5〜0.6の範囲である。
【0019】
ゲルを基材に接着するために、界面活性剤を基材に適用してもよい。界面活性剤はノニオンまたは両性界面活性剤であるのが好ましい。本発明に用いるのに好適な界面活性剤としては、デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company of Wilmington,DE)よりゾニル(Zonyl)(登録商標)FSHという商品名で販売されているノニオン界面活性剤が一例として挙げられる。
【0020】
本発明の第2の実施形態によれば、エアフィルタはまた静電エアフィルタを含んでいてもよい。かかるエアフィルタを図2に20として示す。基材の片側と接触配置されている。本発明の静電フィルタは、好ましくはエレクトレット、すなわち、電気分極の永久状態が設定された誘電体である。静電エアフィルタの目的は、微粒子のトラッピング効率を増大することである。静電フィルタは、複数の帯電ファイバーを含む不織ファイバーを含んでいる。本発明に用いるのに好適な静電フィルタとしては、3Mよりフィルトレット(Filtrete)(登録商標)という商品名で市販されているものが一例として挙げられる。
【0021】
本実施形態において、本発明のエアフィルタはまた、静電フィルタと基材の間に配置された絶縁層(図示せず)を含んでいてもよい。水は、静電フィルタの静電機能を短絡するため、絶縁層を提供して、静電フィルタが、水性である基材のゲルと直接接触しないように分離する。
【0022】
任意で、本発明のエアフィルタは、図2に18で示されるポストフィルタも含んでいてよい。ポストフィルタは、静電フィルタと逆の基材の側に配置される。ポストフィルタの目的は、フィルタの構造上の完全性を付与することである。更に、ポストフィルタは基材を遮蔽して、処理、包装、取扱い等の最中の早期の露出を排除する。また、ポストフィルタは、選択した構造に応じて最終微粒子フィルタとして作用する。
【0023】
本発明の第3の実施形態によれば、空気から汚染物質を除去するエアフィルタが提供される。本実施形態を図3および4に示す。エアフィルタは、全体がそれぞれ10’および10”で示されている。図3に示す本実施形態は、上述したゲルを用いていない点で「ゲル無し」実施形態と呼ばれる。代わりに、エアフィルタは、図3における粘着性の穿孔した媒体22を含む。この媒体22は、図3に示す媒体22の上部表面22に適用された両面テープ、ハエ取紙、または接着剤のような粘着性物質を有する任意の媒体とすることができる。かかる接着剤としては、ポリウレタン系、シアノアクリレート系およびポリアミドまたはポリエステル系樹脂が挙げられる。スーパーボンダー(Super Bonder)(登録商標)瞬間接着剤と呼ばれる好適なシアノアクリレート系粘着付与剤は、06067−3910、米国、コネチカット州ロッキーヒルのヘンケルロクタイトコーポレーション(HENKEL LOCTITE CORPORATION, Rocky Hill,Connecticut,USA)より入手できる。かかる接着媒体の厚さは約0.3ミルである。図3の穿孔媒体22の厚さは約0.5〜10ミリメートルであり、基材12’上の金属封鎖剤を支持する役割を果たす。16で示す穿孔は、粘着付与剤に作成され、媒体22を通過して、表面22に衝突するエアフローが媒体22を通過できる。
【0024】
金属封鎖剤は、粘着付与媒体の片側に配置される。金属封鎖剤は図3において14’、図4において14”でそれぞれ示される。金属封鎖剤は、最初の2つの実施形態に関して上述した金属封鎖剤と同じタイプである。本実施形態のエアフィルタは、図3に12’で示す基材を更に含む。図4の基材12”は、最初の2つの実施形態に関して上述したのと同じタイプの基材であるが、ここでは円筒形状を有している。更に、上述した第2の実施形態に用いるフィルタのような静電フィルタを、金属封鎖剤のビーズを配置した粘着付与媒体の側に用いてもよい。かかるエアフィルタを図3に20’で示す。
【0025】
図4に示す円筒形状の実施形態において、粘着付与媒体は、複数の紙のシート、ボール紙、プラスチック、薄い金属シート等を含む。紙のシートは、例えば、円筒構成のピンホイール状に構成されて、図4に示すボール紙、プラスチックまたは金属シリンダ26内側にラメラを形成する。2つのかかるラメラの代表例を図4に24で示す。金属封鎖ビーズ14”はかかる紙24の両側に配置される。任意の静電フィルタ20”とフィルタ基材12”は、図4のラメラシート支持実施形態の形状と最適に係合させるために、円筒形状を有するものとして示されている。任意で、要素20”および12”、ならびにラメラ24を含有および支持するために、ボール紙、プラスチックまたは金属シリンダ26を十分に延在させてもよい。
【0026】
図3および4の「ゲル無し」実施形態の利点は、フィルタの完全性のために、濡れていて重いゲルを紙に適用する必要がないことである。更に、水性ゲル無しだと、万一用いたとしても静電フィルタの静電機能が短絡する可能性が少ない。更に、図4の構成は、このフィルタの圧力降下が低いという点で非常に有利である。図4のラメラ24の放射構成は、管26を通して、蛇行の少ないエアフロー経路を与えて、空気混入粒子が金属封鎖剤を取り込むことにより、フィルタが詰まる可能性を減じるとされている。ゲルの重みは構造上の完全性を低減するものである。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
フィルタ試験試料を次のやり方で作成した。まず、重量比で1.17gのポリアクリルアミド(ポリサイエンス(Polyscience)、1.30gのポリアクリルアミド−コ−ジアリルジメチル塩化アンモニウム、5.20gのソルビトール、10.53gの脱イオン水、6.50gのグリセロールを混合して、得られた組成物を追加の26.00gの脱イオン水を用いて1:2まで希釈することにより、粘着性ポリマーゲルを合成した。得られた溶液をカバーして、周囲温度で一晩緩速攪拌した(約12時間)。次に、2.5グラムの金属封鎖剤を添加して、機械的な攪拌により均一に懸濁させた。好ましい金属封鎖剤は、ダウエックス(DOWEX)(登録商標)オプティポア(OPTIPORE)(登録商標)V493およびV503(ダウケミカル社(Dow Chemicals, Inc.)より入手可能なポリマー吸着体、V493の特性は、粒径範囲20〜50メッシュ、BET比(平方メートル/グラム)表面積1100、空隙率1グラム当たり1.16平方cm、平均ポア直径46オングストローム、密度0.34グラム/立方cmであり、V503の特性としては、粒径範囲1.5mm、BET比(平方メートル/グラム)表面積1080、空隙率1グラム当たり0.94平方cm、平均ポア直径34オングストローム、密度0.4グラム/立方cmである)。その後、基材に適用する直前、20滴のノニオン界面活性剤、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company)によるゾニル(ZONYL)(登録商標)FSHを添加して、添加前、手短に攪拌した。この組成物を、1インチ当たり38個のポアのある12インチ×12インチの網目状発泡体(クレストフォームインダストリーズ社、ブリティッシュヴィータセルラーポリマーグループ(CREST FOAM INDUSTRIES Inc.,British Vita Cellular Polymers Group)のS38として知られている)で構成された基材に直接適用した。粘着性ポリマーゲルを、基材の12インチ×12インチの一面に均一に、12インチの「ドライウォール化合物」ブレードで直接適用した。適用された粘着性ポリマーゲルの量を秤量して求めたところ208グラムであった。粘着性ポリマーゲルをコートした基材を140℃のオーブンに入れて30分間加熱した。コートした基材を冷却して、室温で3日間周囲水分と平衡させた。次に、縦方向にナイロン、横にポリプロピレンの1×1織布で構成されたプリフィルタ布帛(29702、サウスカロライナ州セントブラックスバーグ、108E.チャーチのウェンデルファブリック社(Wendell Fabrics Corp. at 108 E.Church St. Blacksburg, South Carolina)より入手、織STLO1、パターンQL5620−21)を、12インチ×12インチの面を完全にカバーする、粘着性ポリマーゲルで処理した基材側にレイダウンした。同じ構造のポストフィルタ布を、12インチ×12インチの基材の対向面に適用した。
【0028】
プリフィルタ布、処理済み基材とポストフィルタ布で構成された、得られたサンドイッチ構造を、試験の目的でエアハンドリングダクトの断面スペースに装着可能な枠に固定して保持した。試験手順には、アシュレ法52.1−1992に従った周囲大気ダスト粒子の除去における初期効率、表1aに記録したエアフロー対抵抗、および初期周囲粒径除去、および表1bに記録したタバコの煙の粒子状物質の除去が含まれていた。
【0029】
試験条件は、エアフローレート=23℃および50%相対湿度で1分当たり110立方フィートとした。実施例1のフィルタの初期流動抵抗は、水の1.08インチ(ゲージ)であった。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
(実施例2)
1箇所だけ変えた以外は実施例1と全く同じやり方で第2のフィルタ試験試料を作成した。ノニオン界面活性剤ゾニル(ZONYL)(登録商標)FSHの量を実施例1とは変えた。今回は、10滴を粘着性ポリマーゲル組成物に添加して、適用前短い間攪拌した。コートした基材の同じサンドイッチ構造を試験の目的で組み立てた。
【0033】
試験条件は、エアフローレート=23℃および50%相対湿度で1分当たり110立方フィートとした。実施例2のフィルタの初期流動抵抗は、水の0.13インチ(ゲージ)であった。
【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
(実施例3)
1箇所だけ変えた以外は実施例1と全く同じやり方で第3のフィルタ試験試料を作成した。ノニオン界面活性剤ゾニル(ZONYL)(登録商標)FSHの量を実施例1とは変えた。今回は、5滴を粘着性ポリマーゲル組成物に添加して、適用前短い間攪拌した。コートした基材の同じサンドイッチ構造を試験の目的で組み立てた。
【0037】
試験条件は、エアフローレート=23℃および50%相対湿度で1分当たり110立方フィートとした。実施例3のフィルタの初期流動抵抗は、水の0.045インチ(ゲージ)であった。
【0038】
【表5】

【0039】
【表6】

【0040】
(実施例4)
1箇所だけ変えた以外は実施例1と全く同じやり方で第4のフィルタ試験試料を作成した。ノニオン界面活性剤ゾニル(ZONYL)(登録商標)FSHは粘着性ポリマーゲル組成物に添加しなかった。コートした基材の同じサンドイッチ構造を試験の目的で組み立てた。
【0041】
試験条件は、エアフローレート=23℃および50%相対湿度で1分当たり110立方フィートとした。実施例2のフィルタの初期流動抵抗は、水の0.08インチ(ゲージ)であった。
【0042】
【表7】

【0043】
【表8】

【0044】
(実施例5)
実施例1と全く同じやり方で追加のフィルタ試験試料を作成した。空気からのVOC除去の効率を調べるために、コート基材の同じサンドイッチ構造を、VOCモデル化合物、メチルピリジンおよび酢酸を用いて試験の目的で組み立てた。各VOCモデル化合物は、80〜85PPM(百万分の一)の範囲の負荷濃度であった。試験条件には、VOCモデル化合物を、25℃、50%相対湿度で90〜100立方フィートの範囲のフローレートで空気中負荷濃度とすることが含まれていた。フィルタ直径は11.4cmであり、空気面速度は1秒当たり0.17メートルであった。メチルピリジンの場合には、ゲルはまた、酸形態のイオン交換樹脂(ダウエックス(DOWEX)(登録商標)オプティポア(OPTIPORE)(登録商標))金属封鎖剤を含有していた。ゲルを含有するイオン交換樹脂を、ポリウレタン発泡体およびゲル単体と比較した。酢酸の場合には、塩基形態にあるイオン交換樹脂金属封鎖剤を含有するゲルをポリウレタン発泡体およびゲル単体と比較した。VOCモデル化合物に30秒、60秒および10分露出した後のフィルタ突破濃度(PPM)を以下の表(表5)に示す。
【0045】
表5のこれらのデータによれば、イオン交換樹脂金属封鎖剤を与えることによる利点が明らかに示されている。酸性または塩基性VOCが捕捉されるゲルの一成分としてのイオン交換樹脂は、本発明によるフィルタに有用な形態である。
【0046】
【表9】

【0047】
(対照例)
1インチ当たり38個のポアのある、同じ12インチ×12インチの網目状発泡体(クレストフォームインダストリーズ社(CREST FOAM INDUSTRIES Inc.)のS38として知られている)を用いて対照例を作成した。基材は粘着性ポリマーで処理しなかった。この未処理基材を、前と同じようにして、プレフィルタ布地とポストフィルタ布地と共にサンドイッチ構造にした。このサンドイッチを、試験の目的でエアハンドリングダクトの断面スペースに装着可能な、実施例のものと同様の枠に固定して保持した。
【0048】
試験条件は、エアフローレート=23℃および50%相対湿度で1分当たり110立方フィートとした。実施例2のフィルタの初期流動抵抗は、水の0.03インチ(ゲージ)であった。
【0049】
【表10】

【0050】
【表11】

【0051】
(エレクトレット対照例1)
3Mコーポレーション(3M Corporation)製フィルトレット(FILTRETE)(登録商標)静電フィルタ媒体を用いてエレクトレット対照例を作成した。このフィルトレット(FILTRETE)(登録商標)ブランドの静電フィルタ媒体は、空気から粒子を除去するために、エレクトレットタイプの媒体と合成繊維基材を用いている。このフィルタを前の実施例と全く同じようにして試験した。
【0052】
試験条件は、エアフローレート=23℃および50%相対湿度で1分当たり120立方フィートとした。実施例2のフィルタの初期流動抵抗は、水の0.04インチ(ゲージ)であった。
【0053】
【表12】

【0054】
【表13】

【0055】
(エレクトレット対照例2)
3Mコーポレーション(3M Corporation)製フィルトレット(FILTRETE)(登録商標)静電フィルタ媒体を用いてエレクトレット対照例を作成した。このフィルトレット(FILTRETE)(登録商標)ブランドの静電フィルタ媒体は、空気から粒子を除去するために、エレクトレットタイプの媒体とガラス繊維基材を用いている。このフィルタを前の実施例と全く同じようにして試験した。
【0056】
試験条件は、エアフローレート=23℃および50%相対湿度で1分当たり120立方フィートとした。実施例2のフィルタの初期流動抵抗は、水の0.04インチ(ゲージ)であった。
【0057】
【表14】

【0058】
【表15】

【0059】
これらの例によれば、エレクトレットフィルタの追加により、実施例1〜4のフィルタ試料と連続配置で用いると、微粒子除去において更なる利点が得られることが分かる。VOC除去のために最適化されたフィルタ組み立て体前の効率的な微粒子の除去は、本発明の更なる態様である。本発明のその他の態様は、前述の教示の利点により当業者には明白である。本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく更なる修正または置換を行ってよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の網目状発泡体基材の概略図である。
【図2】本発明による静電エアフィルタおよびポストフィルタと組み合わせた基材の概略図である。
【図3】穿孔したテープに金属封鎖剤を提供した、本発明の変形実施形態の概略図である。
【図4】円筒構成のラメラを形成する紙のシートに金属封鎖剤を提供した、図3の実施形態の修正の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲルの適用された基材を含んでなり、前記基材は網目状発泡体を含むことを特徴とする空気から汚染物質を除去するエアフィルタ。
【請求項2】
(a)静電フィルタと、
(b)片側が前記静電フィルタと接触配置している基材であって、ゲルが適用されている基材と
を含むことを特徴とする空気から汚染物質を除去するエアフィルタ。
【請求項3】
前記網目状発泡体がポリエステルかポリウレタンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ。
【請求項4】
前記ゲルがポリアクリルアミドポリマーを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のエアフィルタ。
【請求項5】
前記ポリアクリルアミドがホモポリマーであり、前記ゲルが90%のポリアクリルアミドホモポリマーと10%のコポリマーとを含むことを特徴とする請求項4に記載のエアフィルタ。
【請求項6】
前記コポリマーが抗菌活性を有するモノマーを含むことを特徴とする請求項5に記載のエアフィルタ。
【請求項7】
前記ゲルが金属封鎖剤を更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載のエアフィルタ。
【請求項8】
前記金属封鎖剤が酸形態にあるイオン交換樹脂であることを特徴とする請求項7に記載のエアフィルタ。
【請求項9】
前記基材の片側と接触配置された静電フィルタを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ。
【請求項10】
前記静電フィルタと逆の前記基材の側と接触配置されたポストフィルタを更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載のエアフィルタ。
【請求項11】
前記基材が前記ゲルを前記基材に接着する界面活性剤を更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載のエアフィルタ。
【請求項12】
網目状発泡体を含む、ゲルの適用された基材を含むエアフィルタを通して空気をフィルタリングすることを特徴とする空気から汚染物質を除去する方法。
【請求項13】
基材と、前記基材の片側と接触配置された静電フィルタとを含むエアフィルタを通して空気をフィルタリングして、エアフローがまず前記静電フィルタ、次に前記基板へ連続して向かうようにすることを特徴とする空気から汚染物質を除去する方法。
【請求項14】
前記フィルタリング工程が、揮発性有機化合物を前記空気から除去することを含むことを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記フィルタリング工程が、微粒子を前記空気から除去することを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
(a)粘着性の穿孔した媒体と、
(b)前記粘着性媒体に配置された金属封鎖剤と
を含むことを特徴とする空気から汚染物質を除去するエアフィルタ。
【請求項17】
前記粘着性媒体がテープを含むことを特徴とする請求項16に記載のエアフィルタ。
【請求項18】
前記金属封鎖剤が前記粘着性媒体の片側に配置された複数のビーズを含むことを特徴とする請求項16に記載のエアフィルタ。
【請求項19】
前記ビーズがイオン交換媒体を含むことを特徴とする請求項18に記載のエアフィルタ。
【請求項20】
前記粘着性媒体の他側に配置された基材を更に含むことを特徴とする請求項18に記載のエアフィルタ。
【請求項21】
前記粘着性媒体がラメラを形成するために円筒ピンホイール様に周囲に配置された複数の紙のシートを含むことを特徴とする請求項16に記載のエアフィルタ。
【請求項22】
前記金属封鎖剤が前記紙の両側に配置されていることを特徴とする請求項16に記載のエアフィルタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−508928(P2007−508928A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535609(P2006−535609)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/033691
【国際公開番号】WO2005/037404
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル (81)
【氏名又は名称原語表記】INVISTA Technologies S.a.r.l.
【住所又は居所原語表記】Talstrasse 80,8001 Zurich,Switzerland
【Fターム(参考)】