説明

粒子線治療装置

照射領域へ予め定められた方向に荷電粒子ビームを照射するように構成された粒子線治療装置であって、予め定められた方向に荷電粒子ビームを向けるように構成された荷電粒子ビーム源と、荷電粒子ビームの照射と同時に照射領域を含む画像化ボリューム内に磁場を発生する磁場発生手段とを備え、磁場発生手段は、照射領域への荷電粒子ビームの進入を可能にし、荷電粒子ビームの前記照射領域に均一な磁場を生じさせるように構成され、前記磁場は前記予め定められた方向にほぼ向けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石を含み、それによって粒子線治療中に磁気共鳴画像化(MRI)を可能にする粒子線治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
陽子ビーム及び炭素イオンビームによる放射線治療が有効であることは周知である。それによって、従来のガンマ放射線治療よりも組織に対する損傷が少なくなることも分かっている。
【0003】
しかし、照射される線量の値及び位置を決定するための放射計画は、放射線治療が行われる前に、かなりの時間期間にわたって行われてきたMRI画像化またはCT画像化に基づいている。インターベンション期間中に、照射される組織の位置が移動したりあるいは形状を変えている可能性がある。この結果、健康な組織が照射されおよび/または患部組織が照射されない場合がある。
【0004】
イオンビーム治療の場合、一般に、患者は、図6に概略が例示されているように、横断面ZXにおいて横断方向110に送られるビームを照射される。
【0005】
荷電粒子ビームは、MRI画像化が行われるのと同時に患者に照射されるのが望ましい。というのも、対象となる標的の位置及び形状をその現在位置において正確に知ることができるからである。
【0006】
現在のMRIスキャナの大部分は、ビームがクライオスタットによって遮られるので、これには適さない。さらに、C形またはH形の磁石を用いるような「開放」スキャナの場合も、スキャナの磁場が荷電粒子ビームの横断方向110に対して垂直になる。これによって、ビームが意図する方向からそれることになる。
【0007】
図7A及び7Bには、磁場Bが磁束線によって例示された2つの従来技術によるMRIスキャナ例が示されている。図7Aには、従来のソレノイド磁石構成においてMRI画像化を受けている患者が示されている。例示のように、MRI画像化中に、患者に対して横断方向110に荷電粒子ビームを照射することが可能であれば、ビームは、MRI装置によって生じる磁場Bに対して垂直になり、従って、ビームは、磁場Bによってその対象とする標的からそれることになるであろう。このような従来のソレノイド磁石構成の場合、患者の問題となる領域のまわりにソレノイドが存在するために、患者にアクセス(接近)することができない。図7Bには、従来の開放C字形磁石構成においてMRI画像化を受ける患者が示されている。このような磁石構成の場合、患者にアクセスしやすくなる。しかしながら、例示のように、MRI画像化中に、患者に対して横断方向110に荷電粒子ビームを照射することが可能であれば、ビームはMRI装置によって生じる磁場Bに対して垂直になり、従って、ビームは磁場Bによってその対象とする標的からそれることになるであろう。
【0008】
国際公開第02/065149号パンフレットには、主横磁場を発生するMRIシステムのためのコイル構成が記載されている。その文献に記載のコイル構成によれば比較的大きい構造になる。記載された構成の中には製造が困難なものもある。本発明のいくつかの実施形態では、構造全体がより小さく、製造がより簡単なコイル構成を用いた、主横磁場を発生するMRIシステムの代替構成が提供される。
【0009】
米国特許出願公開第2004/199068号パンフレットには、MRIを利用して、患者の標的ボリュームの位置を監視し、治療ボリュームに対する粒子ビームの照射にゲート制御を施して、治療ボリュームが患者の標的ボリュームと一致する場合にのみ粒子ビームが放射されるようにするシステムが記載されている。
【0010】
米国特許第6,198,957号明細書には、MRI画像化及び粒子ビーム治療併用装置が記載されている。粒子ビーム治療が施されている間、MRIシステムの磁場はオフになる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、荷電粒子ビームの意図する照射方向に対して平行な横断方向110の磁場で動作し、荷電粒子ビームに対する磁場の干渉を最小限に抑えながら、患者へのアクセス(接近)を可能にするMRIシステムを提供することによって、粒子線治療と同時にMRI画像化を行うことが可能になる。
【0012】
本発明によれば、このような装置を操作して、MRI画像化と同時に粒子線治療を実施するための方法も提供される。
【0013】
本発明によれば、従って、付属の請求項に記載の装置及び方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のより明確な理解が得られるようにし、これを実行に移すことが可能な方法を示すために、次に、単なる例証として、添付の図面に示された添付の図に関連して本発明による具体的な実施形態、方法、及び、プロセスについて述べることにする。
【0015】
本発明によれば、粒子線治療装置を改良するために、磁場コイルの新規の構成が適用される。本発明によれば、荷電粒子ビーム源は照射領域へ予め定められた方向に荷電粒子ビームを向けるように構成されている。さらに、荷電粒子ビームの照射と同時に照射領域に磁場を発生する磁場発生手段が設けられている。この磁場発生手段は、照射領域への荷電粒子の進入を可能にし、荷電粒子ビームの照射領域に均一な磁場を発生するように構成され、磁場は予め定められた方向にほぼ向けられる。
【0016】
図1には、本発明による磁気共鳴画像化(MRI)システムに主磁場を発生するための主磁場磁石が概略的に示されている。この磁石は、少なくとも1つの開口3が形成された円筒形巻型2から構成される。巻型2は一般に1.0mの内径を有する。図に示す開口3は、矩形であるが、関連技術者には明らかなように、他の形状を適用することもできる。軸XYZからなる座標が表示されている。X軸は円筒形巻型2の軸線と一致する。動作時、患者10は図示のようにX軸と平行に横たわっている。
【0017】
主磁場磁石自体は、円筒形巻型2にコイルとして分布巻きされた複数の導体(図1には示されていない)から構成されている。いくつかの実施形態では、導体中に電流を割り当て、XY面に対して鏡映対称をなすように電流を配分するのが望ましいことが分かった。電流の配分はZX面に対しても逆対称をなすのが望ましい。合成磁場は横断方向110に向けられる。例示の実施形態の場合、横断方向110はZ軸に対して平行である。
【0018】
ダイポール、クアドラポール、及び、ヘクサポールといった高エネルギー円形加速器用の磁石を製造するため、円筒形巻型に複雑な導体形状の巻き付けを行うテクノロジが開発されたが、このような導体形状の巻き付けを行う方法は、高磁場強度の電磁石の製造技術者にはよく知られている。
【0019】
MRI画像化のために十分な強度と均一性を備えた主横磁場を方向110に実現するために、円筒形巻型2におけるコイルの寸法及び配置は慎重に計画しなければならない。
【0020】
図2Aには、提案されたコイル配置の1つが示されている。このようなコイル配置の設計及び実施を簡単にするために、導体パターンがXY、YZ、及び、ZX面に関して鏡映対称をなすように、最大限の対称性が与えられる。これによって、次に、八分円20の1つだけへのコイル配置の計画が可能になる。円筒形巻型2の表面の八分円20は、この表面が、それぞれ円筒形巻型の中心18を通るXY、YZ、及び、ZX面と交差すると、円筒形巻型2の表面から区切られる部分の1つと定義される。このような八分円20の1つに対してコイル配置が設計され、円筒形巻型2の表面の残りの部分に適切な対称をなすように複製される。コイル配置はXY、YZ、及び、ZX面において対称をなし、生じる電流路が、XY面については対称となりZX面については非対称となるようにできるのが望ましい。適切な電流方向の例が図2Bに示されている。もちろん、図2Aに例示のように、巻型の開口3に導体は配置されない。1つの八分円内に完全に収まるようなコイル21を設けることが可能である。このようなコイル21は、巻型表面の8つの位置に配置されることになるであろう。ZX面について対称に2つの八分円内に延びるコイル22を設けることが可能である。このようなコイル22は巻型表面の4つの位置に配置されることになるであろう。
【0021】
図3には、可能性のある別のコイル配置が示されている。図3に例示のように、YZ面について対称に2つの八分円内に延びるコイル23を設けることが可能である。このようなコイル23も、巻型表面の4つの位置に配置されることになるであろう。YZ及びZX面について対称に4つの八分円内に延びるコイル24を設けることも可能である。このようなコイル24は、巻型表面の2つの位置に配置されることになるであろう。重なり合うコイル25を設けることも可能であり、各コイルは個別に非対称に配置されるが、コイル25は重なり合う対称対をなすように配置される。コイルの全てが同じ円筒半径を有する必要はなく、複数のコイル層を互いに重ね合わせて、完成した構成において必要な磁場強度レベル及び均一性を生じるようにすることが可能である。
【0022】
図4に関連して、円筒形巻型2における導体配置を計画するための可能な方法の1つについて述べる。上述のように、このプロセスを単純化するために、八分円対称性は、導体パターンがXY、YZ、及び、ZX面において対称をなすように仮定する。次に、円筒形巻型20の表面の八分円20の1つにおける導体配置を計画することによって、適切な対称性を与えることにより、円筒形巻型の全表面に対する導体配置を導き出すことが可能になる。これに相応して、全画像化ボリュームに対する磁場強度及び均一性を計算するには、画像化ボリューム球体の八分円の1つしか考慮する必要がない。
【0023】
一般に、本例のように、画像化ボリュームは円筒形巻型の中心18に中心を有する球体であると考えられる。本例の場合、画像化ボリュームは半径250mmの球体であると仮定する。導体配置を計画する方法の1つでは、Z軸上に中心を有する一対の開口3を形成した円筒形巻型の半径方向の表面磁化の分布を計算することが必要になる。半径方向の表面磁化の分布は、画像化ボリューム内の磁場が要求された質レベルを満たすようにならなければならない。例えば、円筒形巻型の表面における半径方向の表面磁化は、画像化ボリューム球体の表面における磁場強度のRMS変動が、画像化ボリューム球体の中心での磁場強度の5ppm未満になるようでなければならない。
【0024】
円筒形巻型2の利用可能な表面における半径方向の磁化分布は、数値オプティマイザにより求めることが可能である。図4には、上述の画像化ボリュームに要求された均一性レベルを実現する巻型の八分円20の1つにおける半径方向の磁化分布の一例が示されている。領域41は第1の半径方向における磁化レベルが高く、一方、領域42は逆の第2の半径方向における磁化レベルが高い。
【0025】
図4に例示のように、円筒形巻型の利用可能な表面における要求された半径方向の表面磁化分布が計算されると、導体配置パターンを導き出して、計算された半径方向の表面磁化分布またはそれに許容できるほど近い分布を生じさせるために、どこに導体を配置すべきかを指示しなければならない。これは、電流分布、すなわち、円筒形巻型の利用可能な表面に適用されたときに、要求された半径方向の表面磁化分布を生じる電流分布を最初に計算することによって実施される。
【0026】
この電流分布は、計算された表面磁化分布に一定磁化の閉等高線位置を見つけることによって計算することができる。図5には、適切な対称をなすように配置され、YZ及びZX面について鏡映対称をなす、4つの同じ八分円20を含む円筒形巻型のZ軸の正の半分に関する図4の例に対応する解決法が示されている。図5の図面の上辺51は図2に示す磁石の上部(+Y)に対応する。図5の図面の下辺52は図2に示す磁石の下部(−Y)に対応する。左辺53及び右辺54は円筒形巻型の両端に対応する。
【0027】
図5自体からは明らかではないが、図示の各線55は、一方の辺に正の高磁場強度の等高線を有し、他方の辺に負の高磁場強度の等高線を有しており、線の幅はこれら2つのレベル間の移行を示している。このような要求された磁場強度パターンは、線55に沿って配置された1つの導体または複数の導体に電流を流すことによって得ることが可能である。従って、いくつかの電流導通路を選択して、図5に示す所望の磁化等高線に近い複製を行うことが可能である。選択されたコイルは、所望の均一な横磁場を発生するのに必要な対称性の法則を遵守しなければならない。これらの法則は、電流導通路がXY、YZ、及び、ZX面について鏡面対称をなさなければならないこと、及び、電流導通路がXY面については鏡面対称をなすのが望ましいが、ZX面については逆対称をなすのが望ましいことである。
【0028】
図4に示す半径方向の磁化等高線から導き出される図5に示すパターンによって、実際には実現が困難であることが立証される場合がある。実際に実現可能であり、画像化ボリューム内に磁場強度及び均一性に関して許容し得る質の主磁場を生じさせる1組の導体巻線を識別するためには、あるレベルの技術的判断を下さなければならない。
【0029】
本発明によれば、照射領域へ予め定められた方向に荷電粒子ビームを照射するように構成され、さらに、照射領域に予め定められた方向に磁場を発生するように構成された磁場発生手段を含んでいる粒子線治療装置が提供される。磁場発生手段は上述のコイル構成の1つを含むのが望ましい。
【0030】
磁場発生手段は、荷電粒子ビームの照射と同時に荷電粒子ビームの照射領域の磁気共鳴画像化を実施できるように、磁気共鳴画像化システムでの利用に適合させるのが望ましい。
【0031】
粒子線治療装置には、クライオスタット装置及び傾斜磁場磁石アセンブリも含まれているのが望ましく、前記磁場発生手段がクライオスタット内に配置され、それによりコイルの超伝導が可能である動作温度になり、傾斜磁場磁石アセンブリが予め定められた面に磁場を発生し、それにより磁気共鳴画像化を可能にする。
【0032】
本発明によれば、患者の磁気共鳴画像化と同時に患者に粒子線治療を実施するための方法も提供される。荷電粒子ビームが照射領域へ予め定められた方向に照射される。荷電粒子ビームの照射領域に均一な磁場が発生し、前記磁場は予め定められた方向にほぼ向けられる。
【0033】
磁場発生手段は、それぞれ導電材料の巻線を含む1群のコイルを含むことが可能であり、コイルが中央面(XZ)及び鏡映面(XY)について対称に配置され、鏡映面が中央面に対して垂直となり、それによりコイルが中央面と鏡映面との両方に対して垂直な別の面(YZ)に対して対称面を有し、巻線は、動作時に電流が鏡映面については対称となり中央面については逆対称となって、磁石コイル群の中心に、鏡映面(XY)に対して垂直でありかつ予め定められた方向にほぼ向けられた合成磁場が生じるように構成されている。
【0034】
円筒形巻型に配置された磁石コイルによって均一な磁場が発生するのが望ましく、予め定められた方向は円筒形巻型の軸線に対して垂直である。円筒形巻型の表面の進入領域にコイルが存在すべきではなく、前記進入領域は、予め定められた方向と円筒形巻型の表面との交点に中心がある。コイルは巻型の内側または外側表面に配置することもでき、あるいは、巻型内に組み込むことも可能である。
【0035】
本発明の装置は、粒子ビームと、磁場と、予め定められた方向110との全てが、使用時、ある方向範囲から照射領域に、従って、患者に進入することができるように、巻型2及び荷電粒子源が軸Xのまわりを回転できるように構成することが可能である。これは、ある方向のほうが別の方向よりもアクセスしやすいある特定領域に対して粒子線治療を施す場合に役立つ。
【0036】
この方法には、さらに超伝導が可能である温度まで磁石コイルを冷却するステップを含むことが可能である。
【0037】
電流の方向は鏡映面(XY)については対称であり中央面(ZX)については逆対称であるように、磁石コイルに電流を流すことが可能である。
【0038】
本発明の説明は、単なる例証として限られた数の特定の実施形態に関して行われたが、当該技術者には明らかなように、付属の特許請求の範囲内で本発明の多様な修正及び変更を導き出すことが可能である。
【0039】
本明細書における粒子線治療または粒子ビーム治療及び同様の用語への言及には、とりわけ、イオンビーム治療及び関連する概念が含まれている。
【0040】
上述の実施形態では、円筒形巻型すなわち一様な円形断面の巻型が用いられている。しかしながら、本発明は、円筒形ではない巻型、すなわち、管形状であるが、断面が一様ではなく、それゆえ断面が円形ではない巻型の表面に配置されるコイルに適用することが可能である。このような巻型及びコイルの設計及び製造は、現在利用可能な設計ツールを用いる当該技術者の能力範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】粒子線治療に利用できる磁場発生装置を例示した概略図
【図2A】円筒形巻型に対する磁石コイルの配置例を例示した図
【図2B】円筒形巻型に対する磁石コイルの配置例を例示した図
【図3】円筒形巻型に対する磁石コイルの別の配置例を例示した図
【図4】円筒形巻型の利用可能な表面の八分円の1つにおける半径方向の表面磁化に関して計算された最適な配置を示す図
【図5】図4の半径方向の表面磁化に関して計算された最適な配置から導き出された、円筒形巻型の利用可能な表面の4つの八分円に対する電流分布に関して計算された最適な配置を示す図
【図6】粒子線治療を実施するための粒子ビームの患者への意図する照射方向を示す図
【図7A】粒子線治療を実施するための粒子ビームの意図する照射方向と共に、例示の従来のMRI磁石によって発生する磁場を示す図
【図7B】粒子線治療を実施するための粒子ビームの意図する照射方向と共に、例示の従来のMRI磁石によって発生する磁場を示す図
【符号の説明】
【0042】
2 円筒形巻型
18 巻型の中心
20 巻型表面の八分円
21 コイル
22 コイル
23 コイル
24 コイル
25 コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射領域へ予め定められた方向(Z)に荷電粒子ビームを照射するように構成された粒子線治療装置であって、前記予め定められた方向に前記荷電粒子ビームを向けるように構成された荷電粒子ビーム源と、前記荷電粒子ビームの照射と同時に前記照射領域を含む画像化ボリューム内に磁場を発生する磁場発生手段とを備え、前記磁場発生手段は、前記照射領域への前記荷電粒子ビームの進入を可能にしかつ前記荷電粒子ビームの前記照射領域に均一な磁場を生じさせるように構成されたコイルを含み、前記磁場は前記予め定められた方向にほぼ向けられ、前記コイルは非平面状であり、前記コイルは管状巻型に配置され、前記予め定められた方向は前記管状巻型の軸線(X)に対して垂直であることを特徴とする粒子線治療装置。
【請求項2】
前記コイルが中央面(XZ)及び鏡映面(XY)面について対称に配置され、前記鏡映面が前記中央面に対して垂直であり、前記中央面と前記鏡映面との両方が前記巻型の軸線方向(X)に延び、それにより前記コイルが前記巻型の軸線及び前記中央面と前記鏡映面との両方に対して垂直な別の面(YZ)に対する対称面を有し、前記コイルは、動作時に電流が前記鏡映面(XY)について対称となり前記中央面(XZ)及び前記別の面(YZ)について逆対称となって、前記照射領域に、前記鏡映面(XY)に対して垂直でありかつ予め定められた方向(Z)に向けられた合成磁場が生じるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の粒子線治療装置。
【請求項3】
前記照射領域へ前記荷電粒子ビームを進入させる管状巻型の進入領域にはコイルが存在せず、前記進入領域の中心が前記予め定められた方向(Z)と前記管状巻型との交点にあることを特徴とする請求項1又は2記載の粒子線治療装置。
【請求項4】
前記磁場発生手段が磁気共鳴画像化システムに用いるのに適していることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の粒子線治療装置。
【請求項5】
前記荷電粒子ビームと、前記磁場と、前記予め定められた方向との全てが1つの方向範囲から前記照射領域に進入できるように、前記巻型及び前記荷電粒子ビーム源が前記巻型の軸線(X)のまわりを回転できるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の粒子線治療装置。
【請求項6】
さらに、クライオスタット装置及び傾斜磁場磁石アセンブリを備え、前記磁場発生手段が前記クライオスタット内に配置され、それによりコイルの超伝導が可能である動作温度になり、前記傾斜磁場磁石アセンブリが予め定められた面に磁場を発生し、それにより磁気共鳴画像化を可能にすることを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の粒子線治療装置。
【請求項7】
照射領域へ予め定められた方向(Z)に荷電粒子ビームを照射し、前記荷電粒子ビームの前記照射領域を含む画像化ボリュームに均一な磁場を与え、前記磁場は前記予め定められた方向に向けられ、前記均一な磁場は管状巻型に配置された非平面状コイルによって発生され、前記予め定められた方向(Z)は前記管状巻型の軸線(X)に対して垂直であることを特徴とする磁気共鳴画像化を実施するための方法。
【請求項8】
磁石コイルが中央面(XZ)及び鏡映面(XY)について対称に配置され、前記鏡映面が前記中央面に対して垂直であり、前記中央面と前記鏡映面との両方が前記巻型の軸線方向(X)に延び、それにより前記コイルが前記巻型の軸線及び前記中央面と前記鏡映面の両方に対して垂直な別の面(YZ)に対する対称面を有し、前記コイルは、動作時に電流が前記鏡映面(XY)について対称となり前記中央面(XZ)及び前記別の面(YZ)について逆対称となって、前記照射領域に、前記鏡映面(XY)に対して垂直であり予め定められた方向(Z)に向けられた合成磁場を生じるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
さらに、前記磁石コイルを、前記コイルの超伝導が可能である温度まで冷却し、前記コイルに電流を流すことを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記照射領域へ前記荷電粒子ビームを進入させる前記管状巻型の表面の進入領域にはコイルが存在せず、前記進入領域の中心が前記予め定められた方向(Z)と前記管状巻型との交点にあることを特徴とする請求項7乃至9の1つに記載の方法。
【請求項11】
イオンビーム治療を実施するように構成された請求項1乃至10の1つに記載の装置または方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2008−543471(P2008−543471A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517609(P2008−517609)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【国際出願番号】PCT/GB2006/050159
【国際公開番号】WO2006/136864
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(505409214)シーメンス マグネット テクノロジー リミテッド (33)
【Fターム(参考)】