説明

粒子線照射装置及び粒子線治療装置

【課題】照射野及び照射位置精度の組み合わせ等の粒子線照射における複数のパラメータの組み合わせを可変にし、多様な照射バリエーションの照射を行うことができる粒子線照射装置を得ることを目的とする。
【解決手段】加速器54により加速された荷電粒子ビーム3を照射対象11に照射する粒子線照射装置58であって、荷電粒子ビーム3を走査する走査電磁石1、2と、荷電粒子ビーム3のビーム軸方向における走査電磁石1、2と照射対象11との距離を変更するように走査電磁石1、2を移動する走査電磁石移動装置4と、筒状に構成され、荷電粒子ビーム3が内部を移動するように構成された真空ダクトと、真空ダクトを固定するためのフランジとを備える。走査電磁石移動装置4は、フランジにおいて発熱が懸念されるような磁場を発生する照射の際に、走査電磁石1、2をフランジから離れるように移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子線を用いて癌等を治療する粒子線照射装置及び粒子線治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に粒子線治療装置は、荷電粒子ビームを発生するビーム発生装置と、ビーム発生装置につながれ、発生した荷電粒子ビームを加速する加速器と、加速器で設定されたエネルギーまで加速された後に出射される荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送系と、ビーム輸送系の下流に設置され、荷電粒子ビームを照射対象に照射するための粒子線照射装置とを備える。粒子線照射装置には大きく、荷電粒子ビームを散乱体で散乱拡大し、拡大した荷電粒子ビームを照射対象の形状にあわせて照射野を形成するブロード照射方式と、照射対象の形状に合わせるように、細いペンシル状のビームを走査して照射野形成するスキャニング照射方式(スポットスキャニング、ラスタースキャニング等)とがある。
【0003】
ブロード照射方式は、コリメータやボーラスを用いて患部形状に合う照射野を形成する。患部形状に合う照射野を形成し、正常組織への不要な照射を防いでおり、最も汎用的に用いられている、優れた照射方式である。しかし、患者ごとにボーラスを製作したり、患部に合わせてコリメータを変形させたりする必要がある。
【0004】
一方、スキャニング照射方式は、コリメータやボーラスが不要といった自由度の高い照射方式である。しかし、患部以外の正常組織への照射を防ぐこれら部品を用いないため、ブロード照射方式以上に高いビーム照射位置精度が要求される。
【0005】
加速器から輸送されるビームの大きさは一般に数mm程度であり、それに対して荷電粒子ビームの照射範囲は、医療の場合には数十cm四方の大きさが必要である。細い荷電粒子ビームで広い照射野を得るために、上述したスキャニング照射方式が用いられる。
【0006】
特許文献1には、走査用電磁石の強度を従来のままで偏向面に平行な方向の照射範囲を拡大する回転ガントリを提供することを目的とし、以下の発明が開示されている。特許文献1の発明は、走査用電磁石の上流の偏向電磁石と照射野移動電磁石により、下流側のビーム位置を変更し、そのビーム位置a、bに走査用電磁石を移動して、照射可能な領域Aを照射し、領域Aの照射が終了したら、荷電粒子ビームが偏向電磁石の下流で他の位置bを通過するようにして、ビーム位置bに走査用電磁石を移動して、領域Bを照射することで、領域A及び領域Bの両方の領域に照射範囲を拡大していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−257148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
患部形状に応じて照射範囲(照射野)と照射位置精度は様々であるが、照射範囲が狭い場合は高い照射位置精度が要求され、照射範囲が広い場合は照射位置精度の要求が緩い場合がある。スポットスキャニング照射方式においては、一般的に、照射範囲は狭く高い照射位置精度を要求される場合は、サイズの小さい荷電粒子ビームを小さな間隔(スポット間隔)で照射し、照射範囲は広く照射位置精度の要求が緩い場合は、サイズの大きい荷電粒子ビームを、大きな間隔(スポット間隔)で照射する。
【0009】
荷電粒子ビームで形成する照射範囲の最大照射範囲は、走査用電磁石の励磁電源の最大電流による走査用電磁石の振り角で決まるので、特許文献1の回転ガントリを用いた照射方法では、領域A、Bのそれぞれにおける最大照射範囲は、走査用電磁石と照射位置との距離で決まる。また、荷電粒子ビームの照射範囲における最大位置精度は、励磁電源の制御可能な最小電流による制御可能な最小の振り角で決まるので、特許文献1の回転ガントリを用いた照射方法では、領域A、Bのそれぞれにおける最大位置精度は、走査用電磁石と照射位置との距離により、照射位置での照射位置精度が決まる。
【0010】
特許文献1の回転ガントリを用いた照射方法では、走査用電磁石の上流の偏向電磁石と照射野移動電磁石と走査用電磁石を移動させることで、照射範囲(照射野)を拡大することはできた。しかしながら、走査用電磁石の上流の偏向電磁石と照射野移動電磁石を用いなければならなかった。また、特許文献1の回転ガントリを用いた照射方法では、走査用電磁石と照射位置との距離が一定なので、制御可能な最小の振り角が一定であり、照射位置精度を上げるのは不可能だった。したがって、照射野及び照射位置精度を組み合わせた多様な照射バリエーションの照射を行うことができない問題があった。
【0011】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、照射野及び照射位置精度の組み合わせ等の粒子線照射における複数のパラメータの組み合わせを可変にし、多様な照射バリエーションの照射を行うことができる粒子線照射装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
加速器により加速された荷電粒子ビームを照射対象に照射する粒子線照射装置であって、荷電粒子ビームを走査する走査電磁石と、荷電粒子ビームのビーム軸方向における走査電磁石と照射対象との距離を変更するように走査電磁石を移動する走査電磁石移動装置と、筒状に構成され、荷電粒子ビームが内部を移動するように構成された真空ダクトと、真空ダクトを固定するためのフランジとを備える。走査電磁石移動装置は、フランジにおいて発熱が懸念されるような磁場を発生する照射の際に、走査電磁石をフランジから離れるように移動する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る粒子線照射装置は、荷電粒子ビームのビーム軸方向における走査電磁石と照射対象との距離を変更し、フランジにおいて発熱が懸念されるような磁場を発生する照射の際に、走査電磁石をフランジから離れるように移動するので、照射野及び照射位置精度の組み合わせ等の粒子線照射における複数のパラメータの組み合わせを可変にし、多様な照射バリエーションの照射を行うことができ、かつ走査電磁石の交番磁界によるフランジの発熱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の粒子線治療装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1による粒子線照射装置を示す構成図である。
【図3】図2の走査電磁石の軸方向移動と照射野の広さの関係を示す図である。
【図4】図2の走査電磁石の軸方向移動と照射位置誤差の関係を示す図である。
【図5】実施の形態1による粒子線照射装置の照射を説明する図である。
【図6】実施の形態1による粒子線照射装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図7】走査電磁石の磁極と荷電粒子ビームの関係を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態2による走査電磁石を示す構成図である。
【図9】図8の走査電磁石における磁極間隔が最大になった例である。
【図10】本発明の実施の形態3による粒子線照射装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は本発明の粒子線治療装置の概略構成図である。粒子線治療装置51は、ビーム発生装置52と、ビーム輸送系59と、粒子線照射装置58a、58b(又は60a、60b)とを備える。ビーム発生装置52は、イオン源(図示せず)と、前段加速器53と、シンクロトロン54とを有する。粒子線照射装置58b(60b)は回転ガントリ(図示せず)に設置される。粒子線照射装置58a(60a)は回転ガントリを有しない治療室に設置される。ビーム輸送系59の役割はシンクロトロン54と粒子線照射装置58a、58bの連絡にある。ビーム輸送系59の一部は回転ガントリ(図示せず)に設置され、その部分には複数の偏向電磁石55a、55b、55cを有する。
【0016】
イオン源で発生した陽子線等の粒子線である荷電粒子ビーム3は、前段加速器53で加速され、シンクロトロン54に入射される。荷電粒子ビーム3は、所定のエネルギーまで加速される。シンクロトロン54から出射された荷電粒子ビーム3は、ビーム輸送系59を経て粒子線照射装置58a(60a)、58b(60b)に輸送される。粒子線照射装置58a(60a)、58b(60b)は荷電粒子ビーム3を照射対象11(図2参照)に照射する。
【0017】
図2は本発明の実施の形態1による粒子線照射装置を示す構成図である。ビーム発生装置52で発生され、所定のエネルギーまで加速された荷電粒子ビーム3は、ビーム輸送系59を経由し、粒子線照射装置58へと導かれる。粒子線照射装置58は、荷電粒子ビーム3に垂直な方向であるX方向及びY方向に荷電粒子ビーム3を走査するX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2と、位置モニタ9と、線量モニタ5と、走査電磁石電源7と、X方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2を移動する走査電磁石移動装置4と、線量データ変換器6と、位置データ変換器10と、粒子線照射装置58の照射系を制御する照射制御装置8とを備える。走査電磁石移動装置4は、モータ12と、ボールねじ13を有し、モータ12が回転させるボールねじ13によりX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2に固定された雌ねじ機構を介して、X方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2は移動する。なお、X方向走査電磁石1、Y方向走査電磁石2、位置モニタ9、線量モニタ5は照射系を構成する。荷電粒子ビーム3の進行方向はZ方向である。
【0018】
X方向走査電磁石1は荷電粒子ビーム3をX方向に走査する走査電磁石であり、Y方向走査電磁石2は荷電粒子ビーム3をY方向に走査する走査電磁石である。位置モニタ9はX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2で走査された荷電粒子ビーム3が通過するビームにおけるビームピーク位置(通過位置)を検出する。線量モニタ5は荷電粒子ビーム3の線量を検出する。照射制御装置8は、図示しない治療計画装置で作成された治療計画データに基づいて、照射対象11における荷電粒子ビーム3の照射位置を制御し、線量モニタ5で測定され、線量データ変換器6でデジタルデータに変換された線量が目標線量に達すると荷電粒子ビーム3を停止する。走査電磁石電源7は照射制御装置8から出力されたX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2への制御入力(指令電流)に基づいてX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2の設定電流を変化させる。
【0019】
次に、走査電磁石の軸方向移動と照射野の広さの関係と、走査電磁石の軸方向移動と照射位置誤差の関係を説明する。図3は走査電磁石の軸方向移動と照射野の広さの関係を示す図である。スキャニング照射方式においては、照射対象11を複数層の分割されたその複数層の1つの層(スライス)に荷電粒子ビーム3を2次元的に走査し照射野を形成する。照射野は、照射位置である照射対象11の1つの層と走査電磁石との間のビーム軸方向の距離によって変化する。図3(a)は1つのスライスとY方向走査電磁石2との距離がL1の場合を示し、図3(b)は当該スライスとY方向走査電磁石2との距離がL2の場合を示している。図3ではL1<L2の場合である。ここで、距離L1、L2は荷電粒子ビーム3を走査する走査電磁石2の磁極の中心からの距離とする。図3(a)において、荷電粒子ビーム3を最大振り角αで走査した場合は、Y方向の走査範囲21の一端から他端までの長さである走査範囲長はD1となる。同様に、図3(b)において、荷電粒子ビーム3を最大振り角αで走査した場合は、Y方向の走査範囲21の一端から他端までの長さである走査範囲長はD2となる。
【0020】
走査範囲長D1及び走査範囲長D2は、数式(1)及び数式(2)で表わされる。
D1=2×L1×tanα ・・・(1)
D2=2×L2×tanα ・・・(2)
距離L1<距離L2なので、走査範囲長D1<走査範囲長D2となる。したがって、照射位置(照射対象11の1つの層)と走査電磁石との間のビーム軸方向の距離を大きくする場合は、走査範囲21を広くでき、走査範囲長を長くすることができる。また、照射位置と走査電磁石との間のビーム軸方向の距離を小さくする場合は、走査範囲21を狭くでき、走査範囲長を短くすることができる。
【0021】
図4を用いて、走査電磁石の軸方向移動と照射位置誤差の関係を説明する。放射線や荷電粒子ビーム3に対してリスクの高い臓器が照射位置に隣接している場合には、照射位置精度が重要である。図4は走査電磁石の軸方向移動と照射位置誤差の関係を示す図である。照射位置誤差は、照射位置における荷電粒子ビーム3の位置精度で決まる移動幅であり、照射位置である照射対象11の1つの層と走査電磁石との間のビーム軸方向の距離によって変化する。荷電粒子ビーム3の位置精度は、X方向走査電磁石1、Y方向走査電磁石2の発生磁場精度により決まる。走査電磁石1、2の発生磁場精度により、荷電粒子ビーム3は、ある目標照射位置(目標振り角)に対して、振り角の精度Δθの範囲内で変化する。図4(a)は1つのスライスとY方向走査電磁石2との距離がL3の場合を示し、図3(b)は当該スライスとY方向走査電磁石2との距離がL4の場合を示している。図4ではL4<L3の場合である。ここで、距離L3、L4は荷電粒子ビーム3を走査する走査電磁石2の磁極の中心からの距離とする。図4(a)において、荷電粒子ビーム3の振り角の精度がΔθである場合は、照射位置誤差はΔX3となる。同様に、図4(b)において、荷電粒子ビーム3の振り角の精度がΔθである場合は、照射位置誤差はΔX4となる。
【0022】
振り角の精度がΔθで、例えば振り角βと振り角β−Δθとにおける照射位置誤差ΔX3及び照射位置誤差ΔX4は、数式(3)及び数式(4)で表わされる。
ΔX3=L3×A ・・・(3)
ΔX4=L4×A ・・・(4)
ここで、A=tanβ−tan(β−Δθ)である。距離L4<距離L3なので、照射位置誤差ΔX4<照射位置誤差ΔX3となる。したがって、照射位置(照射対象11の1つの層)と走査電磁石との間のビーム軸方向の距離を大きくする場合は、照射位置誤差が大きくなり、照射位置精度が悪くなる。一方、照射位置と走査電磁石との間のビーム軸方向の距離を小さくする場合は、照射位置誤差を小さくすることができ、照射位置精度を向上することができる。
【0023】
一般に、荷電粒子ビーム3の照射位置における照射スポット(以降、適宜、単にスポットと省略する)のサイズが小さいと、照射対象11を隙間なく、所定の線量で照射するために、小さな間隔(スポット間隔)で照射し、各スポットに対する照射位置誤差要求が厳しくなる。ここで、照射スポットは照射線量を制御するために分割された照射単位である。例えば、スポットの直径が5mmとき、照射位置誤差要求は0.5mm(一割)以下であるとする。いま、照射位置と走査電磁石のビーム軸方向の距離が5mのとき、照射位置誤差が1mmであったとすれば、このままでは、スポット直径5mmの場合の照射位置誤差要求0.5mm以下を実現できないが、当距離を2.5m以下とすることで照射位置誤差0.5mm以下を実現できる。
【0024】
また、一般に、照射位置精度の要求の緩い場合は、スポットのサイズの大きい荷電粒子ビーム3を、大きな間隔(スポット間隔)で照射する。この場合は、照射位置と走査電磁石のビーム軸方向の距離を長くする。上述したように、照射位置と走査電磁石のビーム軸方向の距離を長くすると、走査範囲21を広くでき、走査範囲長を長くすることができる。したがって、照射位置と走査電磁石のビーム軸方向の距離を長くすることで、スポットのサイズを大きくでき、広い照射野を形成できる。
【0025】
実施の形態1の粒子線照射装置58は、走査電磁石移動装置4によりX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2と照射対象11との距離を変更することで、照射対象11に適した最大照射野及び照射位置精度を選択することができる。図5は実施の形態1による粒子線照射装置の照射を説明する図である。図5(a)〜図5(c)は、X方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2と照射対象11との距離が異なる3つの場合を示しており、図5(a)は距離が中間であり、図5(b)は距離が図5(a)に比べて長い場合であり、図5(c)は距離が図5(a)に比べて短い場合である。図において21a、21b、21cはそれぞれの場合の最大走査範囲であり、22a、22b、22cはそれぞれの場合のビームスポットを示している。
【0026】
照射対象11が大きく、最大照射野を大きくしたい場合は、走査電磁石移動装置4により、X方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2を、荷電粒子ビーム3のビーム軸の方向に、図5(b)に示すように照射対象11から離れる向きへ移動する。照射対象11が小さい、または大きい場合であっても、照射位置誤差が小さくしたい場合は、走査電磁石移動装置4により、X方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2を、荷電粒子ビーム3のビーム軸の方向に、図5(c)に示すように照射対象11に近づく向きへ、所定の照射位置精度を達成できる位置まで移動する。
【0027】
照射制御装置8は、治療計画装置で作成された治療計画データの照射位置精度、目標位置座標に基づいてX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2への制御入力(指令電流)を生成する。照射制御装置8は、所定の照射位置精度に対応するために、複数の変換テーブルや指令値生成多項式を有する。変換テーブルや指令値生成多項式は、制御入力を生成する制御入力生成部である。ここでは、変換テーブルを用いる場合を変換テーブル方式と呼び、指令値生成多項式を用いる場合を多項式方式と呼ぶ。
【0028】
変換テーブル方式について説明する。変換テーブルは、実際に照射をして得られた制御入力及び測定された照射位置座標との実データに基づいて、制御入力と照射位置座標をテーブルにしたものである。X方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2の設定電流値は、荷電粒子ビーム3の目標位置座標からこの変換テーブルを用いて演算する。走査電磁石電源7に送る制御入力は、演算して求めた設定電流値を出力させる制御入力(指令)である。変換テーブルは、照射位置精度が異なるものを複数用意する。すなわち変換テーブルは、代表位置精度毎に複数用意する。指定された照射位置精度に一致するものがある場合は、その変換テーブルを使用し、指定された照射位置精度に一致するものがない場合は、前後の変換テーブルのデータを補完(線形補完等)して、照射制御装置8は制御入力を生成する。
【0029】
多項式方式について説明する。指令値生成多項式は、実際に照射した際のX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2の磁場の測定値及び測定された照射位置座標の多項式を、励磁電流と磁場とが1対1の関係を用いて変形し、荷電粒子ビーム3の目標位置座標と制
御入力との関係を多項式で表わしたものである。例えば、制御入力Ic(Ix、Iy)は目標照射位置座標Pt=(xt,yt)を入力として、数式(5)、(6)のように表わされる。
Ix=m+mxt+mxt+myt+mxtyt+myt …(5)
Iy=n+nxt+nxt+nyt+nxtyt+nyt …(6)
ここで、m〜m、n〜nは、最小二乗法などにより求めたパラメータ定数である。この多項式方式では、xtytのような干渉項も考慮でき、変換テーブル方式よりも精度の高い制御入力Icを生成できる。したがって、多項式方式を適用することで、照射位置と走査電磁石との距離に依存する照射位置精度をさらに向上させることができる。
【0030】
多項式方式の場合も、照射位置と走査電磁石との距離に依存する照射位置精度毎に複数の指令値生成多項式を用意する。選ばれたそれぞれの照射位置精度は、代表位置精度である。指定された照射位置精度に一致するものがある場合は、その指令値生成多項式を使用し、指定された照射位置精度に一致するものがない場合は、前後の指令値生成多項式から生成したデータを補完(線形補完等)して、照射制御装置8は制御入力を生成する。
【0031】
次に粒子線照射装置58の動作を図6のフローチャートを用いて説明する。図6は、実施の形態1による粒子線照射装置の制御方法を示すフローチャートである。粒子線照射装置58は、治療計画装置で作成された治療計画データの照射位置精度に基づいて、使用する変換テーブルや指令値生成多項式などの制御入力生成部を選定する(ステップST1、制御入力生成部選定手順)。次に治療計画データの目標位置座標に基づいて、選定した制御入力生成部により制御入力Ic(Ix、Iy)を生成する(ステップST2、制御入力生成手順)。
【0032】
スポットスキャニング方式では治療する部位におけるあるスポットに対し、治療計画で定められた線量を照射対象11に荷電粒子ビーム3により照射するので、まず、あるスポットに対する制御入力により走査電磁石1、2を励磁する(ステップST3)。具体的には、照射制御装置8は、あるスポットの位置に対応する制御入力を走査電磁石電源7に送り、走査電磁石電源7は、X方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石1を制御入力にしたがって、制御入力で指定された励磁電流により走査電磁石1、2を励磁する。
【0033】
走査電磁石1、2の設定が完了したら、例えばX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2から設定完了の信号を受けて、荷電粒子ビーム3を粒子線照射装置58に入射し、当該スポットに対して照射を開始する(ステップST4)。
【0034】
照射制御装置8は、当該スポットに治療計画通りの照射が行われたことを、線量モニタ5で検出した照射線量が満了したか(照射線量が計画線量に達したか)を判定する(ステップST5)。満了した場合は荷電粒子ビーム3を遮断する(ステップST6)。
【0035】
照射制御装置8は、次のスポットがあるかを判定し、次のスポットがある場合は、ステップST8に移り、次のスポットがない場合は照射を終了する(ステップST7)。ステップST8にて、次のスポットに対する制御入力により走査電磁石走査電磁石1、2を励磁する。ステップST3と同様に動作する。
【0036】
走査電磁石1、2の設定が完了したら、荷電粒子ビーム3の遮断を解除し、当該スポットに対して照射を開始する(ステップST9)。ステップST9の動作を行った後にステップST5に戻る。以上のように照射対象11における複数層の1つの層(スライス)におけるスポットが終了するまで繰り返す。1つのスライスに対する照射が終了したら、荷電粒子ビーム3のエネルギーを変更し、ステップST3〜ステップST9を実行し、他のスライスに対する照射を行う。
【0037】
実施の形態1の粒子線照射装置58は、走査電磁石移動装置4によりX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2と照射対象11との距離を変更することで、照射対象11に適した最大照射野及び照射位置精度を選択することができる。実施の形態1の粒子線照射装置58は、走査用電磁石と照射位置との距離がほぼ一定に固定され、照射位置での照射位置精度を自由に変更できなかった従来とは異なり、照射対象11に応じて適切に照射位置精度を変更することができる。また、照射野及び照射位置精度の組み合わせを可変にし、多様な照射バリエーションの設定を行うことができる。
【0038】
実施の形態1の粒子線照射装置58は、照射位置精度をあまり高める必要がなく、最大照射野を拡大したい場合に、許容可能な照射位置精度以内で走査電磁石移動装置4を動かし、X方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2の励磁電流を設定する制御入力(指令電流)Icを生成する。この場合は、図5(b)に示したように、ビームスポット22bが大きくなるので、ビームスポットが小さい場合に比べて、照射対象11に照射するスポット数が少なくなるので、トータルの照射時間を短くすることができる。
【0039】
粒子線照射装置において、荷電粒子ビーム3が大気中で散乱してビームサイズが大きくならないようにするために、照射対象11の近くまで荷電粒子ビーム3が真空ダクト中を移動するようにする場合がある。この場合は、X方向走査電磁石1とY方向走査電磁石2の間に、真空ダクトのフランジなどの金属が在る場合が多く、従来の粒子線照射装置では、交番磁界による当該金属の発熱が懸念される。しかし、実施の形態1の粒子線照射装置58によれば、X方向走査電磁石1とY方向走査電磁石2のビーム軸方向の間隔を自由に変えることができるので、発熱が懸念されるような磁場を発生する照射の際は、当該間隔を一時的に大きくし、発熱を防止することが可能である。
【0040】
一般に、粒子線照射装置を収める建屋は、鉄筋コンクリートで建てられ、経年的または地震などで、床や天井の高さが変わることがある。よって、変位の観測を定期的に行って、走査用電磁石と照射位置の距離を一定に保つよう、走査用電磁石のビーム軸方向の位置を補正する必要がある。実施の形態1の粒子線照射装置58は、走査電磁石移動装置4により、当該位置補正を容易に行うことが可能となる。
【0041】
なお、走査電磁石移動装置4として、X方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2に共通に使用する、すなわち同時にX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2を移動させる例で説明したが、それぞれが独立した走査電磁石移動装置4をもってもよい。走査電磁石移動装置4としては、図示例のモータ12及びボールねじ13の構成に限らず、適宜のものが採用可能である。
【0042】
X方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2を独立に移動させる構成にすると、次のようになる。照射対象11が大きく、最大照射野を大きくしたい場合は、走査電磁石移動装置4により、少なくともX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2の一方を、荷電粒子ビーム3のビーム軸の方向に、図5(b)に示すように照射対象11から離れる向きへ移動する。照射対象11から離れる向きへ移動した走査電磁石の走査方向において、最大照射野が拡大する。また、照射対象11が小さい、または大きい場合であっても、照射位置誤差が小さくしたい場合は、走査電磁石移動装置4により、少なくともX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2の一方を、荷電粒子ビーム3のビーム軸の方向に、図5(c)に示すように照射対象11に近づく向きへ、所定の照射位置精度を達成できる位置まで移動する。照射対象11に近づく向きへ移動した走査電磁石の走査方向において、照射位置精度を高めることができる。
【0043】
以上のように実施の形態1の粒子線照射装置58によれば、荷電粒子ビーム3を走査す
る走査電磁石1、2と、荷電粒子ビーム3のビーム軸方向における走査電磁石1、2と照射対象11との距離を変更するように走査電磁石1、2を移動する走査電磁石移動装置4とを備えたので、荷電粒子ビームのビーム軸方向における走査電磁石と照射対象との距離を変更でき、照射野及び照射位置精度の組み合わせ等の粒子線照射における複数のパラメータの組み合わせを可変にし、多様な照射バリエーションの設定を行うことができる。
【0044】
実施の形態1の粒子線治療装置51によれば、荷電粒子ビーム3を発生させ、この荷電粒子ビーム3を加速器54で加速させるビーム発生装置52と、加速器54により加速された荷電粒子ビーム3を輸送するビーム輸送系59と、ビーム輸送系59で輸送された荷電粒子ビーム3を照射対象11に照射する粒子線照射装置58とを備え、粒子線照射装置58は、荷電粒子ビーム3を走査する走査電磁石1、2と、荷電粒子ビーム3のビーム軸方向における走査電磁石1、2と照射対象11との距離を変更するように走査電磁石1、2を移動する走査電磁石移動装置4とを備えたので、荷電粒子ビームのビーム軸方向における走査電磁石と照射対象との距離を変更でき、照射野及び照射位置精度の組み合わせ等の粒子線照射における複数のパラメータの組み合わせを可変にし、多様な照射バリエーションから選択でき、適切な粒子線治療を行うことができる。
【0045】
実施の形態2.
実施の形態1では、X方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2の少なくとも一方を移動させる場合に、上流側の走査用電磁石1の最大振り角によって振られた荷電粒子ビーム3が、下流側の走査用電磁石2の磁極と干渉することが考えられる。実施の形態2では、X方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2の少なくとも一方を移動させる場合でも、上流側の走査用電磁石1の最大振り角によって振られた荷電粒子ビーム3が、下流側の走査用電磁石2の磁極と干渉しないように磁極移動装置29を備える。実施の形態1の照射装置とは、少なくとも下流側のY方向走査電磁石2に磁極移動装置29が設置される点で異なる。
【0046】
図7は、走査電磁石の磁極と荷電粒子ビームの関係を説明する図である。荷電粒子ビーム3は、上流側のX方向走査電磁石1により振り角γでX方向に走査される。下流側のY方向走査電磁石2では、Y方向走査電磁石2の磁極間隔gを通過する。荷電粒子ビーム3は、方向走査電磁石2の上端において、上端移動範囲db1を通過し、方向走査電磁石2の下端において、下端移動範囲db2を通過する。下端移動範囲db2は上端移動範囲db1より広くなるので、荷電粒子ビーム3がY方向走査電磁石2の磁極と干渉しないようにするためには、磁極間隔gは下端移動範囲db2よりも広いことが必要である。磁極間隔gが下端移動範囲db2よりも狭い場合は、荷電粒子ビーム3がY方向走査電磁石2の磁極と干渉する。
【0047】
図8は、本発明の実施の形態2による走査電磁石を示す構成図である。図8はY方向走査電磁石2と磁極移動装置29の例である。Y方向走査電磁石2は2つの固定ヨーク28a、28bと2つの可動鉄心23a、23bを有する。固定ヨーク28a、28bには移動ガイド25a、25b、25c、25dが設けられ、磁極移動装置29により可動鉄心23a、23bは、移動ガイド25a、25b、25c、25dに支持されながら移動する。磁極移動装置29は、2つの可動鉄心23a、23bをそれぞれ移動させる2つの移動部からなる。その移動部は、それぞれピニオン27a(27b)と、モータ26a(26b)と、ラック24a(24b)を有する。ラック24aは可動鉄心23aに取り付けられ、ラック24bは可動鉄心23baに取り付けられる。モータ26aに取り付けられたピニオン27aが回転することで、ラック24aが移動し、同様にモータ26bに取り付けられたピニオン27bが回転することで、ラック24bが移動する。
【0048】
図8では可動鉄心23aと、可動鉄心23bとの磁極間隔がg1である場合である。な
お、Y方向走査電磁石2のコイルは可動鉄心23a、23bのそれぞれの凸部35a、35bの周りに設置される。可動鉄心23aに設置されたコイルは可動鉄心23aと共に移動し、可動鉄心23bに設置されたコイルは可動鉄心23bと共に移動する。図9は走査電磁石における磁極間隔が最大になった例である。図9では、可動鉄心23a、23bがそれぞれ最大限度まで移動し、可動鉄心23aと、可動鉄心23bとの磁極間隔がg2になっている。なお、g1<g2である。
【0049】
実施の形態2の粒子線照射装置58は、少なくとも下流側のY方向走査電磁石2に磁極移動装置29が設置され、下流側のY方向走査電磁石2の磁極間隔gを変更できるので、X方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2の少なくとも一方を移動させる場合にも、荷電粒子ビーム3が、下流側の走査用電磁石2の磁極と干渉しないようにできる。したがって、実施の形態2の粒子線照射装置58は、X方向及びY方向の一方において、照射対象11に適した最大照射野及び照射位置精度を選択することができる。X方向及びY方向のそれぞれにおいて最大照射野及び照射位置精度を選択することができるので、実施の形態1に比べて、多様な照射バリエーションの設定を行うことができる。
【0050】
実施の形態3.
図10は本発明の実施の形態3による粒子線照射装置を示す構成図である。実施の形態3の粒子線照射装置60は、照射対象11とX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2との距離を離散的に変更させる例である。図10では、X方向走査電磁石及びY方向走査電磁石の走査電磁石対が2つある例を示している。粒子線照射装置60は、実施の形態1の粒子線照射装置58とは、X方向走査電磁石1a及びY方向走査電磁石2aと、X方向走査電磁石1b及びY方向走査電磁石2bと、2つの走査電磁石7a、7bと、2つの走査電磁石移動装置30a、30bを有する点で異なる。
【0051】
査電磁石移動装置30aは、X方向走査電磁石1a及びY方向走査電磁石2aを固定する固定板31aと、固定板31aに接続されたラック33aと、モータ32aとピニオン34aを有する。電磁石移動装置30bは、X方向走査電磁石1b及びY方向走査電磁石2bを固定する固定板31bと、固定板31bに接続されたラック33bと、モータ32bとピニオン34bを有する。モータ32aに取り付けられたピニオン34aが回転することで、ラック33aが移動し、同様にモータ32bに取り付けられたピニオン34bが回転することで、ラック33bが移動する。走査電磁石移動装置30a、30bは、荷電粒子ビーム3を走査する位置から荷電粒子ビーム3を走査しない位置までの間を移動させる装置である。
【0052】
実施の形態3では、走査電磁石移動装置30a、30bにより照射対象11とX方向走査電磁石1及びY方向走査電磁石2との距離を離散的に変更するので、この離散的な変更数に応じた制御入力生成部を用意すればよい。実施の形態3の粒子線照射装置60は、実施の形態1の粒子線照射装置58にくらべて、少ない数の制御入力生成部を用いるので、制御入力生成部を準備する作業量が少なくでき、粒子線照射装置の実運用を開始するまでの期間を短くすることができる。実施の形態3の粒子線照射装置60は、実施の形態1の粒子線照射装置58にくらべて多様性は少なくなるが、従来とは異なり、照射野及び照射位置精度の組み合わせ等の粒子線照射における複数のパラメータの組み合わせを可変にし、多様な照射バリエーションの設定を行うことができる。
【0053】
なお、スポットスキャニング方式を例に説明したが、ラスタースキャニングに適用できる。
【0054】
また、ブロード照射方式のワブラー電磁石にも適用することができる。ブロード照射方式に走査電磁石移動装置4や走査電磁石移動装置30を適用することで、照射対象11と
ワブラー電磁石との距離を変更して、照射野を大きくすることができる。スキャニング照射方式では、粒子線照射における複数のパラメータの組み合わせとして、照射野及び照射位置精度の組み合わせを可変にし、多様な照射バリエーションを行うことができるが、ブロード照射方式では、粒子線照射における複数のパラメータの組み合わせとして、照射野及びビームの平坦度の組み合わせを可変にし、多様な照射バリエーションを行うことができる。
【符号の説明】
【0055】
1、1a、1b…X方向走査電磁石、2、2a、2b…Y方向走査電磁石、3…荷電粒子ビーム、4…走査電磁石移動装置、8…照射制御装置、11…照射対象、23a、23b…可動鉄心、29…磁極移動装置、30a、30b…走査電磁石移動装置、51…粒子線治療装置、52…ビーム発生装置、54…シンクロトロン、58、58a、58b…粒子線照射装置、59…ビーム輸送系、60、60a、60b…粒子線照射装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速器により加速された荷電粒子ビームを照射対象に照射する粒子線照射装置であって、
前記荷電粒子ビームをビーム軸に垂直なX方向及びY方向に走査する走査電磁石と、
前記荷電粒子ビームのビーム軸方向における前記走査電磁石と前記照射対象との距離を変更するように前記走査電磁石を移動する走査電磁石移動装置と、
筒状に構成され、前記荷電粒子ビームが内部を移動するように構成された真空ダクトと、前記真空ダクトを固定するためのフランジとを備え、
前記走査電磁石移動装置は、
前記フランジにおいて発熱が懸念されるような磁場を発生する照射の際に、前記走査電磁石を前記フランジから離れるように移動することを特徴とする粒子線照射装置。
【請求項2】
荷電粒子ビームを発生させ、この荷電粒子ビームを加速器で加速させるビーム発生装置と、前記加速器により加速された荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送系と、前記ビーム輸送系で輸送された荷電粒子ビームを照射対象に照射する粒子線照射装置とを備え、
前記粒子線照射装置は、請求項1に記載の粒子線照射装置であることを特徴とする粒子線治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−40347(P2012−40347A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9579(P2011−9579)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【分割の表示】特願2010−543241(P2010−543241)の分割
【原出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】