説明

粒子観察装置、分離装置及びマニピュレート装置

【課題】磁性微粒子を容易に観察する。
【解決手段】内部に磁性微粒子を含む流体が存在する観察セル2と、前記観察セル内の磁性微粒子の画像を連続して撮像する撮像装置5と、前記撮像装置で撮像された画像から磁性微粒子の座標と断面積を求める演算部63,64と、前回撮像された画像における追尾の対象の磁性微粒子である追尾粒子の座標及び断面積と、新たに撮像された画像から前記演算部で求められた磁性微粒子の座標及び断面積とを比較して、追尾粒子を追尾する追尾部65と、前記撮像装置で撮像された画像を表示装置に表示するとともに、前記表示装置に表示される画像上で前記追尾部が追尾した追尾粒子にマークを表示する表示処理部62とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中の粒子を観察する観察装置、粒子を分離する分離装置及び粒子を制御するマニピュレート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドラッグデリバリー等で磁性体の微粒子の利用について研究開発され、磁性微粒子の観察や制御についても研究開発が進められている。これに対し、微粒子の扱いが困難であるため、微粒子について制御だけでなく、観察も困難である。
【0003】
例えば、磁性体の観察には、磁力支持天秤が利用されている。磁力支持天秤を利用した方法では、観察対象である磁性体を内部に有する模型を空間中に電磁力で非接触で静止させ、外力と電磁力をつり合わせて既知の電磁力から外力を把握している(例えば、特許文献1参照)。ここで、磁力支持天秤の観察対象となる磁性体は、具体的には、軟磁性体や永久磁石である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4001236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この磁力支持天秤を利用した方法でも、目視で観察できないようなμmオーダーやnmオーダの磁性微粒子を観察することは困難であった。また、磁界をかけながらこのような磁性微粒子の磁気特性や駆動特性を観察することが困難であるため、磁性微粒子を制御することはさらに困難であった。
【0006】
さらに、磁力支持天秤を利用して観察対象とする磁性体が軟磁性体の場合、永久磁石のようにN極とS極が固定されていない。したがって、外部磁界の方向によって磁気モーメントが回転し、N極とS極の位置が変化し、軟磁性体を回転させずに静止させることが難しく、観察が困難であった。
【0007】
上記課題に鑑み、磁性微粒子を容易に観察する粒子観察装置、磁性微粒子を分離する分離装置及び磁性微粒子を制御するマニピュレート装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、内部に磁性微粒子を含む流体が存在する観察セルと、前記観察セル内の磁性微粒子の画像を連続して撮像する撮像装置と、前記撮像装置で撮像された画像から磁性微粒子の座標と断面積を求める演算部と、前回撮像された画像における追尾の対象の磁性微粒子である追尾粒子の座標及び断面積と、新たに撮像された画像から前記演算部で求められた磁性微粒子の座標及び断面積とを比較して、追尾粒子を追尾する追尾部と、前記撮像装置で撮像された画像を表示装置に表示するとともに、前記表示装置に表示される画像上で前記追尾部が追尾した追尾粒子にマークを表示する表示処理部とを備える。
【0009】
また、請求項2の発明は、前記観察セルが存在する観察領域内の磁界を調整可能な磁力線を発生させる磁力発生部と、追尾粒子を所定の目標位置に把持させる磁力線を発生させる制御値を出力して前記磁力発生部を制御する粒子移動制御部と、前記粒子移動制御部が求めた制御値を利用して追尾粒子に作用する作用力を求めて出力する作用力演算部とを備える。
【0010】
また、請求項3の発明は、前記観察セルが存在する観察領域内の磁界を調整可能な磁力線を発生させる磁力発生部と、前記セル内の流体が静止した状態で、追尾粒子を所定の目標位置に把持させる磁力線を発生させる制御値を出力して前記磁力発生部を制御する粒子移動制御部と、前記撮像装置で異なる方向から撮影された追尾粒子の複数の画像から求めた当該追尾粒子の体積と、前記粒子移動制御部が求めた制御値から求めた当該追尾粒子に与えられる重力と、前記観察領域に磁性微粒子が配置されない状態で予め測定された前記観察領域の磁界分布とを利用して当該追尾粒子の磁気特性を求める特性演算部とを備える。
【0011】
また、請求項4の発明は、前記観察領域の磁界分布を測定する磁気計測装置を備える。
【0012】
また、請求項5の発明は、前記粒子移動御値部は、静止した追尾粒子を前記目標位置で回転させる磁力線を発生させる制御値を出力して前記磁力発生部を制御する。
【0013】
また、請求項6の発明は、前記撮影部は、異なる方向から追尾粒子を撮影する複数のカメラを有する。
【0014】
また、請求項7の発明は、前記粒子移動制御部は、追尾粒子を追尾する前段階に追尾粒子を確認するための制御値として矩形波の電流を前記磁力発生部に出力することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、前記演算部は、求めた磁性微粒子の断面積が所定値であるとき、この磁性微粒子を追尾粒子と決定する。
【0016】
また、請求項9の発明は、前記観察セルへ供給する流体の流速を調整するポンプを備える。
【0017】
また、請求項10の発明は、内部に磁性微粒子を含む流体が存在する観察セルと、前記観察セル内の磁性微粒子の画像を連続して撮像する撮像装置と、前記撮像装置で撮像された画像から磁性微粒子の座標と断面積を求める演算部と、前記演算部で演算された各磁性微粒子の座標と断面積とを蓄積した追尾データを記憶する記憶部と、前記追尾データに含まれる磁性微粒子の座標及び断面積と、新たに撮像された画像から前記演算部で求められた磁性微粒子の座標及び断面積を比較して、各磁性微粒子の軌跡を求める追尾部と、前記撮像装置で撮像された画像を表示装置に表示するとともに、前記表示装置に表示される画像上で各磁性微粒子の軌跡を磁気勾配として表示する表示処理部とを備える。
【0018】
また、請求項11の発明は、磁気勾配の大きさ及び向きを算出し、算出した値を出力する勾配演算部をさらに備える。
【0019】
また、請求項12の発明は、複数の流路を備え、流入部から流入した流体を各流路に備えられる複数の流出部から流出する分離セルと、前記分離セル内の流体が含む磁性微粒子の画像を連続して撮影する撮影部と、前記撮像装置で撮像された画像から磁性微粒子の座標と断面積を求める演算部と、前回撮像された画像における分離の対象の磁性微粒子である対象粒子の座標及び断面積と、新たに撮像された画像から前記演算部で求められた磁性微粒子の座標及び断面積とを比較して対象粒子を追尾する追尾部と、前記分離セル内の磁界を調整可能な磁力線を発生させる磁力発生部と、前記追尾部で追尾される対象粒子を対象粒子流出用の流出部まで移動させる磁力線を発生させる制御値を出力して前記磁力発生部を制御する粒子移動制御部とを備える。
【0020】
また、請求項13の発明は、内部で磁性微粒子が制御される制御セルと、前記制御セル内の磁性微粒子の画像を連続して撮像する撮像装置と、前記撮像装置で撮像された画像から磁性微粒子の座標と断面積を求める演算部と、前回撮像された画像における制御の対象の磁性微粒子である対象粒子の座標及び断面積と、新たに撮像された画像から前記演算部で求められた磁性微粒子の座標及び断面積とを比較して対象微粒子を追尾する追尾部と、前記制御セル内の磁界を調整可能な磁力線を発生させる磁力発生部と、前記制御セル内で対象粒子の位置を移動させて制御する磁力線を発生させる制御部を出力して前記磁力発生部を制御する粒子移動制御部とを備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、移動する粒子を容易に観察し、分離し、又は制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る粒子観察装置の全体構成図である。
【図2】観察セルの観察部近傍の左側面図である。
【図3】コイルから発生する磁力線の一例を説明する図である。
【図4】別のコイルから発生する磁力線の一例を説明する図である。
【図5】追尾観察処理の一例を説明するフローチャートである。
【図6】作用力観察処理の一例を説明するフローチャートである。
【図7】粒子観察装置で撮影された画像群の一例である。
【図8】粒子観察装置で撮影された画像群の他の例である。
【図9】観察対象の粒子の座標変化を表す図である。
【図10】コイルに与えられる電流量の変化を表す図である。
【図11】粒子に作用する力の変化を説明する図である。
【図12】第2実施形態に係る粒子観察装置の全体構成図である。
【図13】特性観察処理の一例を説明するフローチャートである。
【図14】第3実施形態に係る粒子観察装置の全体構成図である。
【図15】磁気勾配観察処理の一例を説明するフローチャートである。
【図16】第4実施形態に係る分離装置の全体構成図である。
【図17】セルの一例の概略図である。
【図18】分離処理の一例を説明するフローチャートである。
【図19】第5実施形態に係るマニピュレート装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明において、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0024】
〈第1実施形態〉
図1及び図2を用いて、第1実施形態に係る粒子観察装置1Aについて説明する。第1実施形態に係る粒子観察装置1Aは、液体(流体)102中の粒子101を観察するものである。この粒子101は、磁性体の粒子である。また、粒子101は微粒子であり、例えば、1μm以下の粒子である。
【0025】
図1は、第1実施形態に係る粒子観察装置1Aの全体構成図であり、図2は、粒子観察装置1Aの観察セル2の観察部22近傍の左側面図である。なお、図1における点線で結んだ観察部22近傍の図は、正面図である。以下の説明において、図1の矢印で示す上下左右を、点線枠内の上下左右方向とする。また、図1の紙面表方向を、点線枠内の前方とする(図2参照)。
【0026】
図1に示すように、粒子観察装置1Aは、観察セル2と、光照射部3と、粒子移動部4と、撮像装置5と、処理装置6Aと、表示装置8と、制御装置9とを備えている。
【0027】
観察セル2は、観察対象の粒子101とともに、液体102を流すためのものである。観察セル2は、光を透過可能な樹脂又はガラスからなる。図2に示すように、観察セル2は、流入部21と、観察部22と、流出部23とを有する。流入部21、観察部22及び流出部23は、一体的に構成されている。流入部21、観察部22及び流出部23には、流体の流路が一連に形成されている。粒子101を含む液体102は、流入部21、観察部22、流出部23へと流れる。また、流入部21にはポンプ24が接続されており、ポンプ24によって観察セル2に送り込む液体102の流速をコントロールすることが可能である。図2に示す例では、観察部22は、正面視にて長方形状に形成されている。
【0028】
光照射部3は、観察セル2の観察部22の粒子101にシート状の光Lbを照射するものである。光照射部3は、発光部31と、ビームエキスパンダ32と、反射部材33と、受光部34とを備えている。
【0029】
発光部31は、粒子101を照射するため光Laの光源である。発光部31には、例えば、ハロゲンランプ等の白色光源、又はレーザ光源を利用することができる。白色光源を利用した場合、粒子の輪郭が明りょうとなり、粒子101の断面積をより正確に求めることができるが、粒子径nmの粒子は光の波長とカメラの解像度の問題により観察することはできない。これに対し、レーザ光源を利用した場合、粒子101からの散乱光により粒子101が粒子径より大きく見えるようになるため、断面積を正確に特定することはできないが、粒子径nmの粒子の位置を観察することができる。したがって、粒子観察装置1Aでは、目的に応じて白色光源又はレーザ光源を選択して発光部31に使用する。
【0030】
ビームエキスパンダ32は、発光部31としてレーザ光源を使用した場合に線状の光Laを一方向に広げるためのものである。これにより、光Laは、左右方向に一定の幅を有するシート状の光Lbとなって観察部22を照射する。なお、発光部31としてレーザ光源を使用する場合であって、線状の光Lbを粒子101に照射する場合、ビームエキスパンダ32は不要である。また、発光部31として、ハロゲンランプ等の白色光源を使用する場合、光Lbに指向性があまりないため、ビームエキスパンダ32は不要である。仮に、白色光源を発光部31として利用する場合、ビームエキスパンダ32に加え、コリメータレンズを利用する必要がある。
【0031】
反射部材33は、右方向に進行する光Lbを観察部22が配置された下方へと反射するものである。この結果、シート状の光Lbが、観察部22を明るく照らす。
【0032】
受光部34は、観察部22を透過した光Lbを受光して検出信号を制御装置9へと出力するためのものである。光Lbが観察部22の所望位置からずれている場合、制御装置9は、この検出信号に基づいて、光Lbのずれを検出して、発光部31の方向を調整する。これにより、光Lbが、観察部22の所望の領域を照らす。
【0033】
粒子移動部4は、磁場によって強磁性体の粒子を停止または運動させるものである。粒子移動部4は、4組のコイル41、42、43、44及びコイル電源45、46、47、48を備えた電磁石である。
【0034】
4個のコイル41〜44は、それぞれ観察セル2の観察部22上左下右の4方向に配置されている。コイル41〜44は、電流が供給されると、観察部22へと磁力線103を発生させる。具体的には、図3に示すように、コイル41は、上下方向の磁力線103を発生させる。これにより、コイル41に吸引される方向(上向き)の磁力が、強磁性体の粒子101に作用する。また、図4に示すように、コイル42は、左右方向の磁力線103を発生させる。これにより、コイル42に吸引される方向(左向き)の磁力が強磁性体の粒子101に作用する。
【0035】
4個のコイル電源45〜48は、それぞれ異なるコイル41〜44に接続されている。コイル電源45〜48は、コイル41〜44に磁力線を発生させる電流を供給する。
【0036】
撮像装置5は、光Lbが照射された粒子101を撮像するためのものである。撮像装置5は、例えば、高速撮影可能なCMOSカメラからなる。図2に示すように、撮像装置5は、観察部22の中央部の前方に配置されている。なお、図1における撮像装置5の位置は便宜上記載しているのであって、実際の位置とは異なる。撮像装置5は、シート状の光Lbが粒子101によってレイリー散乱された光によって観察部22の粒子101の暗視野像を撮像する。撮像装置5は、所定の時間間隔(以下、撮像間隔)TIで粒子101を連続して撮像する。撮像装置5は、撮像した粒子101の画像データを処理装置6Aへと出力する。例えば、発光部31が光Lbをパルス発振する場合、撮像装置5は、パルス発振される光Lbと同期して粒子101を撮像する。
【0037】
処理装置6Aは、撮像装置5によって撮像されて入力した粒子101の画像データを処理するとともに、粒子101の画像及び処理結果を表示装置8に表示させる。処理装置6Aは、CPU(central processing unit)等の演算部(図示せず)と、RAM(random access memory)、ROM(read only memory)及びHDD(hard disk drive)等の記憶部(図示せず)を有する情報処理装置である。例えば、処理装置6Aは、記憶部に記憶される観察処理プログラム(図示せず)が読み出されて実行されることで、図1に示すように、二値化部61、表示処理部62、座標演算部63、断面積演算部64、追尾部65、偏差演算部66及び作用力演算部67が演算部に実装される。
【0038】
二値化部61は、撮像装置5から画像データを入力し、背景と粒子101とに二値化処理し、得られた二値化画像データを表示処理部62、座標演算部63及び断面積演算部64に出力する。
【0039】
表示処理部62は、入力するデータを液晶表示装置等の表示装置8に出力し、表示させる。具体的には、表示処理部62は、二値化画像データを入力すると、表示装置8に二値化画像データを表示し、作用力演算部67で得られた値を入力すると、表示装置8に入力した値を表示する。なお、表示処理部62が表示装置8に表示するのは、二値化画像データではなく、撮像装置5で撮像した画像データであってもよい。この場合、表示処理部62は、画像データを入力し、この画像データを表示装置8に表示する。また、表示処理部62は、画像データと二値化画像データと入力すると、操作に従って選択的に表示するようにしてもよい。
【0040】
座標演算部63は、二値化部61から二値化画像データを入力すると、入力した二値化画像データに含まれる全ての粒子101の座標を求め、座標データとして出力する。ここで、座標演算部63は、例えば、二値化画像データに含まれる各粒子101に識別番号を付与し、各識別番号に求めた座標を関連づけて座標データとする。
【0041】
断面積演算部64は、二値化部61から二値化画像データを入力すると、入力した二値化画像データに含まれる全ての粒子101の断面積を求め、断面積データとして出力する。ここでも、断面積演算部64は、例えば、二値化画像データに含まれる各粒子101に識別番号を付与し、各識別番号に求めた断面積を関連づけて断面積データとする。このとき、断面積演算部64における粒子101への識別番号の付与方法と、座標演算部63における識別番号の付与方法とを統一しておくことで、断面積データと座標データとから、各粒子101の断面積及び座標を把握することが可能になる。また、特定された断面積からは、各粒子101の体積が予測できるため、各粒子101のサイズを予測することができる。
【0042】
追尾部65は、座標データ及び断面積データを利用して、前回撮像された画像における追尾の対象の磁性微粒子である追尾粒子の座標及び断面積と、新たに撮像された画像から求められた磁性微粒子の座標及び断面積とを比較して、所定の粒子101を追尾し、追尾結果を表示処理部62及び偏差演算部66に出力する。具体的には、所定サイズの粒子を追尾することが定められているとき、追尾部65は、断面積データから所定の断面積の粒子101を追尾粒子として決定し、追尾粒子の座標と断面積とを追尾データD1として記憶部に記憶させる。また、追尾部65は、追尾粒子を決定後、新たな座標データ及び断面積データを入力すると、記憶部の追尾データD1に含まれる追尾粒子の前回の座標及び断面積と比較し、追尾粒子の新たな座標及び断面積を特定し、新たな座標及び断面積を追加して、記憶部の追尾データを更新する。ここで、追尾部65は、基本的には、追尾データとして記憶される追尾粒子の座標と近く、かつ断面積も略一致する粒子101を追尾粒子とするが、各粒子速度が大きく異なったり、粒子同士が重なったりする場合には誤検出を招くため、前回より数回前の粒子情報から移動速度と方向を予測し探索範囲と設定し、探索範囲に該当粒子が存在しない場合は制御値の算出は行わず、次の撮像された画像で予測される探索範囲を捜索するものとする。さらに、追尾部65は、追尾粒子を決定したタイミングや、追尾データD1を更新したタイミングで追尾粒子の座標を表示処理部62及び偏差演算部66に出力する。
【0043】
なお、追尾部65から追尾粒子の座標を入力した表示処理部62は、表示装置8に粒子101の二値化画像データを表示する際、入力した座標を利用して追尾粒子にマークを付して表示する。これにより、表示装置8に表示される画像中の複数の粒子101から、追尾粒子を特定することができる。
【0044】
偏差演算部66は、入力した座標データで特定される追尾粒子の座標と追尾粒子を移動させる先である所定の目標位置との偏差を求め、求めた偏差を粒子移動制御部93に出力する。
【0045】
作用力演算部67は、偏差演算部66が求めた偏差を利用して粒子移動制御部93が追尾粒子を目標位置に定点把持するために用いた制御値を粒子移動制御部93から入力する。また、作用力演算部67は、入力した制御値を用いて追尾粒子に働く磁気力、流体抵抗力、重力、浮力又は磁気双極子場による粒子間力等の作用力を求め、求めた値を表示処理部62に出力する。なお、表示処理部62は、作用力演算部67から入力した値を表示装置8に表示させる。
【0046】
具体的には、作用力演算部67は、追尾粒子に作用する磁気力Fpを下記の式(1)により求めることができる。
【0047】
Fp=Vp×Mp×grad(μ0×H0) …(1)
ここで、Vpは粒子の体積、Mpは粒子の体積磁化、H0は外部磁界である。ここで、粒子体積Vpは、断面積演算部64で求めた追尾粒子の断面積から予測する。また、Mp=χp×H0であって、χpは粒子の種別毎に定められる粒子の磁化率であり、H0は粒子移動制御部93から入力する制御値から求められる値である。
【0048】
また、例えば簡易的に、球状粒子とみなし、作用力演算部67は、追尾粒子が液体102から受ける流体抵抗力Fdを下記の式(2)により求めることができる。
【0049】
Fd=6π×η×rp×(vf−vp) …(2)
ここで、ηは流体の種別毎に定められる流体の粘性係数であり、rpは断面積演算部64で求めた粒子の断面積から求める粒子の半径であり、vf−vpは流体と粒子の相対速度である。
【0050】
なお、粒子の速度vpは、座標演算部63で求めた座標の変化から求められる。また、流体の速度vfは、非磁性体(例えば、数μm以下)の微粒子を液体102に混ぜておき磁気力に影響することなく液体102の流れとともに観察セル2内を移動させ、これを観察して座標演算部63で求める。ここで、追尾粒子と非磁性体の微粒子とを画像処理で見分ける必要があるため、粒子径が異なる非磁性微粒子を混ぜることが好ましい。
【0051】
また、流体抵抗力は基本的に式(2)から求めることとするが、流体の性質や粒子の形状によって式(2)の値からずれる可能性があるため、より精度をあげるために、別途流体解析を実施し、流速と粒子形状との相関データベースを作成し、補正してもよい。流速は観察セルより上流側に流量計をいれておいて計測するか、上流から磁気力に応答しない非磁性微粒子を流し、それらの非磁性微粒子の流速を画像処理によって算出し利用してもよい。または、定値保持している磁性微粒子より体積が小さい磁性微粒子が観測セル内に存在している場合は、その磁性微粒子の速度を画像処理によって算出し流体速度としてもよい。これは、磁気力が粒子体積に比例するため、たとえば1/10の体積であればその磁性微粒子に作用する磁気力も1/10になり、磁気力に比べて流体抵抗力がより支配的になるため、非磁性微粒子を観測していることと見なせるからである。
【0052】
さらに、作用力演算部67は、追尾粒子が受ける重力Fgを下記の式(3)により求めることができる。
【0053】
Fg=ρp×(4/3)π×rp3×g …(3)
ここで、ρpは粒子の種別毎に定められる粒子の密度である。
【0054】
また、作用力演算部67は、追尾粒子が受ける浮力Fbを下記の式(4)により求めることができる。
【0055】
Fb=ρf×(4/3)π×rp3×g …(4)
ここで、ρfは流体の種別毎に定められる流体の密度である。
【0056】
さらに、作用力演算部67は、下記の式(5)及び(6)により追尾粒子による磁気双極子場が任意の地点に作る磁束密度を簡易的に求めることができる。この磁束密度分布から、追尾粒子が周辺につくる磁気勾配も算出する。
【0057】
Br=μ0(Pm/(2π×rp3))×cosθ …(5)
Bθ=μ0(Pm/(4π×rp3))×cosθ …(6)
ここで、Pm=M×Vpであって、Pmは磁気モーメントm[Am2]、M[A/m]は磁化、Vp[m3]は粒子の体積である。
【0058】
制御装置9は、粒子観察装置1Aの制御全般を司るものである。制御装置9は、CPU等の演算部(図示せず)と、RAM、ROM及びHDD等の記憶部(図示せず)と、キーボードやマウス等の入力部91を有する情報処理装置である。例えば、制御装置9は、記憶部に記憶される観察制御プログラム(図示せず)が読み出されて実行されることで、図1に示すように、光制御部92、粒子移動制御部93及び撮像制御部94が演算部に実装される。
【0059】
入力部91は、ユーザが種々の指示を入力するためのものである。また、入力部91は、ユーザによって入力された指示を光制御部92及び粒子移動制御部93へ出力する。
【0060】
光制御部92は、光照射部3を制御するためのものである。光制御部92は、指示信号を発光部31へと出力する。これにより、発光部31は、光Laを出射する。また、初期設定時には、光制御部92は、受光部34からの検出信号を入力する。光制御部92は、この検出信号に基づいて、光Lbのずれを算出して、発光部31を制御して光Lbの出射方向を調整する。なお、光制御部92が光Lbのずれを表示可能に構成して、発光部31の出射方向は、ユーザが設定するようにしてもよい。
【0061】
粒子移動制御部93は、粒子101を所定の目標位置に把持させる磁力線を発生させる制御値を出力して粒子移動部4を制御することで、粒子101の移動をPID制御する。粒子移動制御部93は、偏差演算部66から追尾粒子と追尾粒子の目標位置との偏差を入力し、入力した偏差に基づいて、追尾粒子を目標位置に移動させるための制御値を求めてコイル電源45〜48に求めた制御値を出力し、4組のコイル41〜44が発生する磁力線103を調整する。すなわち、追尾粒子は磁性体であるため、追尾粒子が存在する空間に適正な磁力線103を発生させることで、追尾粒子を目標位置まで移動させることができる。ここで、追尾粒子を目標位置まで移動させることができると、追尾粒子の座標と目標位置とが一致するため、粒子移動制御部93が出力する制御値は、追尾粒子を目標位置に定点把持するための制御値となる。また、粒子移動制御部93は、求めた制御値を作用力演算部67に出力する。
【0062】
撮像制御部94は、撮像装置5に信号を出力し、撮像装置5を制御するためのものである。
【0063】
なお、上述した説明では、観察セル2は、流入部21及び流出部23を有し、ポンプ等を介して粒子101及び液体102を内部に送り、流体102を内部で移動させることで、流速あるいは流体抵抗力を変化させ計測することが可能である。
【0064】
また、上述したように、コイル41〜44は、観察セル2の上下左右に設置する他、観察セル2の前後にも設置することが好ましい。なお、観察セル2の前後に設置しない場合であっても、観察セル2の上下左右に設置するコイル41〜44の中にある鉄心形状等を調整し、観察領域の中心に収束力をつけることで、粒子101の奥行方向の動きを抑制することができる(。さらに、コイル41〜44を可動自在にすることで、追尾粒子の追尾が容易になる。また、粒子移動部4は、コイル41〜44及びコイル電源45〜48を備える電磁石であったが、永久磁石を併用してもよい。
【0065】
(粒子の追尾観察処理)
図5に示すフローチャートを用いて、粒子観察装置1Aにおいて特定の粒子を追尾して観察する処理の一例を説明する。
【0066】
まず、粒子観察装置1Aでは、撮像装置5が、観察対象の粒子101が供給され、光照射部3によって照射された観察部22内の粒子101を撮像し、撮像した画像データを処理装置6Aに出力する(S01)。
【0067】
画像データを入力した処理装置6Aは、入力した画像データを二値化部61によって二値化し、得られた二値化画像データを表示処理部62、座標演算部63及び断面積演算部64に出力する(S03)。
【0068】
表示処理部62は、入力した二値化画像データを表示装置8に表示する(S04)。
【0069】
座標演算部63は、入力した二値化画像データ中の全ての粒子101の座標を求めて座標データとして追尾部65に出力する。また、断面積演算部64は、入力した二値化画像データ中の全ての粒子101の断面積を求めて断面積データとして追尾部65に出力する(S05)。
【0070】
座標データと断面積データとを入力した追尾部65は、追尾中の粒子(追尾粒子)があるか否かを判定する(S05)。追尾粒子がないとき(S05でNO)、追尾部65は、所定サイズの粒子があるか否かを判定する(S06)。すなわち、追尾部65は、各粒子101の断面積から各粒子のサイズを予測し、追尾の対象に定められる所定サイズの粒子があるか否かを判定する。
【0071】
所定サイズの粒子があるとき(S06でYES)、追尾部65は、所定サイズの粒子を追尾粒子と決定し追尾データD1を記憶部に記憶するととも、追尾粒子の座標を表示処理部62に出力して、ステップS02に戻り、ステップS02〜S06の処理を繰り返す(S07)。これにより、表示装置8では、表示される二値化画像上で追尾粒子にマークが付される。
【0072】
一方、所定サイズの粒子がないとき(S06でNO)、追尾部65は、ステップS02に戻り、ステップS02〜S06の処理を繰り返す。
【0073】
ステップS5で追尾粒子があるとき(S05でYES)、追尾部65は、入力した座標データ及び断面積データと記憶部に記憶される追尾データD1を利用して、追尾粒子を検索する(S08)。また、追尾部65は、ステップS9で追尾粒子を検索すると、移動後の追尾粒子の座標と断面積を追加して追尾データD1を更新することで、追尾を継続する(S09)。その後、処理装置6Aでは、追尾を終了する操作信号を入力するまで、ステップS02〜S09の処理を繰り返すことで、粒子の追尾が行なわれる(S10)。
【0074】
なお、上述した説明では、所定サイズの粒子101を追尾の対象の粒子とすることを予め定め、ステップS06において、追尾部65は、所定サイズの粒子を追尾対象の粒子として決定するものとして説明したが、ユーザが表示装置8に表示される粒子101から追尾する粒子を選択できるようにしてもよい。
【0075】
(粒子の作用力観察処理)
続いて、図6に示すフローチャートを用いて、粒子観察装置1Aにおいて追尾される粒子の作用力を観察する処理の一例を説明する。例えば、この作用力観察処理は、図5を用いて上述したような追尾処理で追尾対象の粒子が決定された後、追尾粒子に対して実行される。
【0076】
まず、粒子観察装置1Aでは、偏差演算部66は、追尾粒子を決定した追尾部65から更新した追尾データD1に含まれる追尾粒子の座標データを入力する(S21)。
【0077】
追尾粒子の座標データを入力した偏差演算部66は、追尾粒子の座標と、追尾粒子を移動させる目標位置の座標との偏差を求め、粒子移動制御部93に出力する(S22)。
【0078】
その後、粒子移動制御部93は、偏差を利用して、追尾粒子を目標位置に移動させる制御値を求めてコイル電源45〜48に出力して粒子の移動を制御するとともに、制御値を作用力演算部67に出力する(S23)。
【0079】
制御値を入力した作用力演算部67は、入力した制御値から追尾粒子に作用している作用力を求め、表示処理部62に出力する(S24)。
【0080】
また、処理装置6Aでは、作用力の観察の処理を終了する操作信号を入力するまで、ステップS21〜S24の処理を繰り返す(S25)。
【0081】
《実施例》
ここで、第1実施形態に係る粒子観察装置1Aにおける粒子の観察の一実施例について説明する。ここでは、粒子101として、フェライト微粒子(粒子径平均:12μm、粒子径分布:300nm〜300μm)を使用した場合の一例である。なお、このフェライト微粒子の飽和磁化Mpは約1.85e5[A/m]であり、0.05Tにおける磁化率χは約2.3である。この際、液体102が入った10×10×45mmのガラス製の観察セル2に粒子101であるフェライト微粒子を封入し、撮像装置5である高速撮影可能なCMOSカメラにより、1秒間に100枚の速度で撮影した。
【0082】
図7は、粒子観察装置1Aで、観察の対象として決定された追尾粒子を追尾した一例である。図7に示す各画像では、円形状の追尾粒子にマーカを付している。なお、図7(a)は、発光部31として白色光源としてハロゲンランプを利用して観察セル2の背面から照射し、トラッキングした場合のトラッキング開始時(t=0s)、図7(b)は、トラッキング開始2秒後(t=2s)、図7(c)は、トラッキング開始4秒後(t=4s)の二値化画像データの一例である。
【0083】
また、図7(d)は、発光部31としてレーザ光源を利用して観察セル2の側面から照射し、トラッキングした場合のトラッキング開始時(t=0s)、図7(e)は、トラッキング開始2秒後(t=2s)、図7(f)は、トラッキング開始4秒後(t=4s)の二値化画像データの一例である。図7に示す例では、レーザ光源を使用して観察した場合には1μm以下の粒子も観察できるため、白色光源を使用して観察するよりも多くの粒子を観察できることが分かる。
【0084】
続いて、図8は、粒子観察装置1Aで、追尾粒子を目標位置に把持する過程の粒子の移動について説明する図である。具体的には、把持の処理が開始してから2.5秒後から6秒後まで0.5秒毎の画像の一例である。このように、追尾粒子は、磁力線103の発生により、移動していることが分かる。なお、図8に示す例では、追尾粒子は、処理開始後、3秒から3.5秒までの間に、他の粒子と結合後に定点把持されたことが分かる。
【0085】
また、図9は、図8に示した場合の追尾粒子の座標を表す図であり、図9(a)は、0〜10秒後まで、図9(b)は、10〜25秒後までの一例を示している。図9に示す例では、追尾粒子を目標位置に把持するまでに約6秒要し、その後は、略目標位置に把持されていたことが分かる。
【0086】
さらに、図10は、図8に示した場合に追尾粒子を目標位置に把持する際に要した電流量の変化を表すグラフである。3秒までは磁性微粒子かどうか判定するために、上部の電磁石に矩形波状の電流を流し磁気力に応答するかどうか確認している。3秒後から定点制御を開始し、図8に示したように6秒時点でほぼ目標地点にて定点把持されている。3秒から6秒までの間に供給された電流が大きく変化しているのは、いち早く目標地点に移動させるために大きな磁気力を発生させるためである。
【0087】
なお、粒子移動制御部93は、図10に示すように、初期の電流を矩形状に印加し、粒子101が上下運動に追従するか否かにより、液体102中の粒子が磁性微粒子であるか又は非磁性微粒子であるかを判別した後、続く処理を開始することが好ましい。これにより、粒子移動制御部93が直接磁気駆動できない粒子を誤って追尾粒子とし、不要な磁力線103を発生させて必要以上に他の粒子を駆動させて流体場(液体102)を乱してその後の処理を困難にするのを防止するためである。また、吸引力しか作用させられない軟磁性材料の粒子を回転させずに安定的に制御するために、流体場を乱さない工夫が望ましく、このように矩形波の電流を印加することで追尾粒子の把持までの時間を短縮することが可能になる。
【0088】
また、図11は、追尾粒子を目標位置に把持する際に要した垂直方向と水平方向の磁気力の変化と、重力及び浮力の変化(図11(a))と、把持の制御開始20秒後の重力、浮力、磁気力及び流体抵抗力の関係(図11(b))とを示す一例である。
【0089】
上述したように、第1実施形態に係る粒子観察装置1Aでは、連続する画像から磁性微粒子の座標と断面積を求めて特定の粒子を追尾することで、微粒子の二値化画像データを表示する際に追尾粒子にマークを付して表示することができる。これにより容易に磁性微粒子の挙動の把握が可能となる。また、粒子観察装置1Aでは、求めた座標を利用して磁性微粒子を目標位置に把持させる磁力を利用することで、容易に磁性微粒子の作用力を把握することが可能となる。さらに、粒子観察装置1Aでは、追尾粒子を非接触で把持し、作用力を把握することができるため、追尾粒子の把持部品等の影響を受けずにより正確な作用力を把握することができる。
【0090】
〈第2実施形態〉
図12に示す全体構成図を用いて、第2実施形態に係る粒子観察装置1Bについて説明する。この粒子観察装置1Bは、液体102中の強磁性体の粒子101である1粒子を観察して特性を計測するものである。第2実施形態に係る粒子観察装置1Bを上述した第1実施形態に係る粒子観察装置1Aと比較すると、粒子観察装置1Bでは、磁気計測装置7を備え、処理装置6Aに代えて処理装置6Bを備えている点で異なる。また、この処理装置6Bを処理装置6Aと比較すると、作用力演算部67を備えず、特性演算部68を備える点で異なる。
【0091】
また、この粒子観察装置1Bは、磁気計測装置7を利用して予め計測された、粒子101の移動領域(観察領域)内の磁気勾配と磁界強度に関する磁気データD2を記憶部に記憶している。磁気計測装置7は、観察領域内で駆動自在に構成され、ホールセンサーやガウスメータである。この磁気データD2を生成する際には、コイル電源45〜48がコイル41〜44に通電する電流を変化させて複数回測定する。そのため、この磁気データD2は、コイル41〜44に通電する電流と観察領域内の磁界分布との相関関係を表すデータである。なお、図12における磁気計測装置7の位置は便宜上記載しているのであって、実際の位置とは異なる。
【0092】
特性演算部68は、複数方向から撮影された追尾粒子の画像データを利用して追尾粒子を3次元に再構成し、追尾粒子の体積を求める。その後、特性演算部68は、求めた体積と追尾粒子の密度とから、追尾粒子の質量を求める。ここで、複数方向から追尾粒子を撮影する際には、観察セル2内への液体102の流入を停止して液体102を静止するとともに追尾粒子を定点把持したうえで、粒子移動制御部93によって粒子を回転するように制御し、固定される1台のカメラからなる撮像装置5で撮影する。
【0093】
特性演算部68は、観察セル2内への液体102の流入を停止して液体102を静止させた状態で、追尾粒子を観察セル2内に定点把持させるために追尾粒子に磁力線を与える制御値を粒子移動制御部93から入力する。
【0094】
特性演算部68は、式(7)を利用して、重力Fgと追尾粒子の浮力Fbから追尾粒子の磁気力Fpを求める。ここで、重力Fgは、追尾粒子の密度と体積から求めることができる。
【0095】
Fp=Fg−Fb …(7)
その後、特性演算部68は、式(8)を利用して体積磁化Mpを求めて磁気特性(磁場‐磁化曲線)を求める。ここで、Vpは粒子体積、H0は外部磁界である。
【0096】
Mp=Fp/{Vp×grad(μ0×H0)} …(8)
なお、ここでは、複数の方向から追尾粒子を撮影するため、追尾粒子を回転させて固定したカメラで撮影している。これに対し、定点把持される追尾粒子を異なる位置に設置される複数台のカメラからなる撮像装置5で撮影しても良い。または、移動可能なカメラからなる撮像装置5で、カメラを移動させて異なる複数の方向から追尾粒子を撮影してもよい。
【0097】
(粒子の特性観察処理)
次に、図13に示すフローチャートを用いて、粒子観察装置1Bにおいて特定の粒子の特性を観察する処理について説明する。この特性観察処理は、例えば、図5を用いて上述した追尾観察処理で粒子が追尾粒子として登録された後に、この追尾粒子である1粒子の特性を観察するために実行される。
【0098】
まず、粒子観察装置1Bでは、観察セル2内の液体102が静止し(S31でYES)、追尾粒子を目標位置に定点把持されることで静止すると(S32でYES)、粒子移動制御部93は、追尾粒子を目標位置で回転するための電流を出力するようにコイル電源を制御する(S33)。
【0099】
撮像装置5は、粒子移動制御部93の制御によって回転した追尾粒子を撮影することで、複数の異なる方向からの追尾粒子の画像データを取得する(S34)。
【0100】
特性演算部68は、複数の画像データを取得すると、複数の方向からの画像データにおける追尾粒子の断面積を利用して、追尾粒子の体積を求める(S35)。
【0101】
続いて、流入部21を介して観察セル2に液体102を供給する量を変化させることで、観察セル2内の液体102の流速を変化させる(S36)。
【0102】
その後、特性演算部68は、磁気力を求める(S37)。続いて、特性演算部68は、追尾粒子による磁気特性(磁場−磁化曲線)を求め、求めた特性を表示処理部62に出力して表示装置8に表示させる(S38)。なお、上述した方法では、重力と浮力と磁気力との釣り合う磁界に対する体積磁化のみが求まることになる。磁気特性(磁束密度(あるいは磁界)と磁化との関係)は、液体102が静止中は重力とのバランスだけとなり、磁束密度が1点のデータしかとれない。これに対し、液体102の流速をステップ状にあげて重力、浮力、粘性力と順次バランスすることで、流速の増加に応じて磁束密度が大きくなり、磁束密度と磁化との関係を数点とることができ汎用的な磁気特性を得ることができる。
【0103】
上述したように、第2実施形態に係る粒子観察装置1Bでは、連続する画像から磁性微粒子の座標と断面積を求めて特定の粒子を追尾するとともに、特定の磁性微粒子を目標位置に把持させる磁力を利用することで、容易に磁性微粒子の特性を把握することが可能となる。
【0104】
〈第3実施形態〉
図14に示す全体構成図を用いて、第3実施形態に係る粒子観察装置1Cについて説明する。この粒子観察装置1Cは、液体102等の流体に含まれる強磁性体の粒子101が存在する空間の磁気勾配を観察するものである。したがって、この粒子観察装置1Cでは、二値化画像データを表示する際に追尾粒子にマークを付すのではなく、各粒子の軌跡を表示する。
【0105】
第3実施形態に係る粒子観察装置1Cを上述した第1実施形態に係る粒子観察装置1Cと比較すると、粒子観察装置1Cでは、処理装置6Aに代えて処理装置6Cを備えている点で異なる。また、この処理装置6Cを処理装置6Aと比較すると、追尾部65に代えて追尾部65Cを備え、作用力演算部67を備えず、勾配演算部69を備える点で異なる。
【0106】
この粒子観察装置1Cの追尾部65Cは、特定の追尾粒子のみ追尾するのではなく、二値化画像データに含まれる全ての粒子101又は複数の粒子101を追尾する。具体的には、追尾部65Cは、各粒子の座標と断面積とを追尾データD3として記憶部に記憶し、新たな座標データ及び断面積データを入力すると、追尾データD3に含まれる各座標及び断面積と比較して、対応する粒子を選択する。この追尾データD3は、座標と断面積との変化の履歴を含んでいる。追尾部65Cは、追尾データD3から、二値化データに含まれる各粒子と対応する粒子を選択すると、各粒子の座標と、各粒子の座標の変化の履歴を含む軌跡データとして表示処理部62に出力する。これにより、表示装置8には、各粒子の軌跡が表示される。
【0107】
勾配演算部69は、各粒子について、磁気勾配の大きさ(dH/dλ)を求め、表示処理部62に出力する。これにより、表示処理部62は、表示装置8に表示される各粒子に磁気勾配の大きさを表示する。
【0108】
具体的には、勾配演算部69は、各粒子の加速度を算出して式(6)及び(7)を利用して求める。なお、各粒子の加速度は、追尾データD3に含まれる座標の変化から求められる。式(7)においてFdは式(2)で求まる流体抵抗力である。
【0109】
F=mα …(6)
F=Mp×μ×dH/dλ×V+Fd…(7)
(磁気勾配観察処理)
次に、図15に示すフローチャートを用いて、粒子観察装置1Cにおいて粒子101が存在する空間の磁気勾配を観察する処理について説明する。
【0110】
まず、撮像装置5は、観察対象の粒子101が観察セル2に供給され、光照射部3によって照射された観察部22内の粒子101を撮像し、撮像したデータを処理装置6Cに出力する(S41)。
【0111】
画像データを入力した処理装置6Cは、入力した画像データを二値化部61によって二値化し、得られた二値化画像データを表示処理部62、座標演算部63及び断面積演算部64に出力する(S42)。
【0112】
座標演算部63は、入力した二値化画像データ中の全ての粒子101の座標を求めて座標データとして追尾部65Cに出力する。また、断面積演算部64は、入力した二値化画像データ中の全ての粒子101の断面積を求めて断面積データとして追尾部65Cに出力する(S43)。
【0113】
座標データと断面積データとを入力した追尾部65Cは、追尾データD3が記憶部に記憶されているか否かを判定する(S44)。追尾データD3が記憶されていないとき(S44でNO)、追尾部65Cは、入力した座標データと断面積データに含まれる座標と断面積から追尾データD3を生成して記憶部に記憶し、表示処理部62が二値化画像データを表示装置8に表示した後ステップS41に戻り、ステップS01〜S43の処理を繰り返す(S45)。
【0114】
また、追尾データD3が記憶装置に記憶されているとき(S44でYES)、追尾部65Cで、入力した座標データと断面積データに含まれる座標と断面積を追加して追尾データD3を更新し、表示処理部62で、画像データを表示装置8に、各粒子の軌跡も合わせて表示する(S46)。なお、各粒子の軌跡の接線が磁気勾配の方向を表している。
【0115】
その後、勾配演算部69は、勾配の大きさを求め、表示処理部62に出力する(S47)。これにより、勾配の大きさを入力した表示処理部62が入力した勾配の大きさを表示装置8に表示する(S48)。
【0116】
粒子観察装置1Cは、磁気勾配の観察処理を終了する操作信号を入力するまで、ステップS41〜S48の処理を繰り返す(S49)。
【0117】
上述したように、第3実施形態に係る粒子観察装置1Cでは、連続する画像から磁性微粒子の座標と断面積を求めて各微粒子の移動の履歴を特定し、移動経路を表示することで、容易に磁性微粒子を含む領域の磁気勾配を把握することができる。
【0118】
〈第4実施形態〉
図16に示す全体構成図を用いて、第4実施形態に係る分離装置1Dについて説明する。第4実施形態に係る分離装置1Dは、液体102等の流体に含まれる複数の磁性体の粒子101から、特定の粒子101を分離する装置である。この分離装置1Dは、上述した第1実施形態に係る粒子観察装置1Aと同様に、分離セル2D、光照射部3、粒子移動部4、処理装置6D、表示装置8及び制御装置9を備えている。ここで、分離装置1Dは粒子観察装置1Aと異なり、観察セル2に代えて分離セル2Dを備え、処理装置6Aに代えて処理装置6Dを備えている。
【0119】
分離セル2Dは、例えば図17に示すように、複数の複数の流出部23a,23bを備えている。具体的には、分離対象の粒子が流出する対象粒子用の流出部23aと、分離対象ではない粒子が流出する対象外粒子用の流出部23bとを備えている。これにより、流入部21から流入する粒子101から特定の粒子のみを選択して対象粒子用の流出部23aから流出し、それ以外の粒子については対象外粒子用の流出部23bから流出する。
【0120】
処理装置6Dを処理装置6Aと比較すると、作用力演算部67を備えず、偏差演算部66に代えて偏差演算部66Dを備える点で異なる。この処理装置6Dも、例えば、処理装置6Aと同様に演算部や記憶部(図示せず)を有する情報処理装置であって、記憶部に記憶される分離プログラム(図示せず)が読み出されて実行されることで、図16に示すように、二値化部61、表示処理部62、座標演算部63、断面積演算部64、追尾部65及び偏差演算部66Dが演算部に実装される。
【0121】
処理装置6Dの追尾部65は、分離対象の粒子を追尾する。追尾部65は、例えば、所定サイズの粒子を分離対象の粒子として追尾する。また、追尾部65は、分離対象の粒子の座標及び断面積を追尾データD1として記憶部に記憶させ、分離対象の粒子の移動に応じて追尾データD1を更新する。
【0122】
処理装置6Dの偏差演算部66Dは、座標データを入力すると、分離対象の粒子の座標と、分離する際の粒子の経路との偏差を求め、求めた偏差を粒子移動制御部93に出力する。例えば、この分離装置1Dでは、分離セル2Dの観察部22から流出部23aへの流路が分離対象の粒子の誘導路として定めており、偏差演算部66Dは、分離対象の粒子の座標と分離対象の粒子に定められる誘導路上の点の座標(例えば、分岐点の座標)との偏差を求める。また、分離対象の粒子が誘導路上にあるとき、偏差演算部66Dは、誘導路上の対象粒子用の流出部23aへ現在の座標から所定距離進んだ座標を目標位置とし、現在の座標からこの目標位置までの偏差を求める。
【0123】
偏差を入力した粒子移動制御部93は、入力した偏差に応じて、分離対象の粒子が誘導路上に移動するように、また、対象粒子用の流出部23aから流出するように制御する。このとき、図17に示すように観察部22から対象粒子用の流出部23aまでの誘導路を複雑に形成することで、対象外の粒子が対象粒子用の流出部23aから流出するのを防止することができる。
【0124】
(粒子の分離処理)
続いて、図18に示すフローチャートを用いて、分離装置1Dにおいて特定の粒子を分離する処理について説明する。
【0125】
まず、撮像装置5は、分理対象の粒子101を含む液体102が分離セル2Dに供給され、光照射部3によって照射された観察部22内の粒子101を撮像し、撮像したデータを処理装置6Dに出力する(S51)。
【0126】
画像データを入力した処理装置6Dは、入力した画像データを二値化部61によって二値化し、得られた二値化画像データを表示処理部62、座標演算部63及び断面積演算部64に出力する(S52)。
【0127】
表示処理部62は、入力した二値化画像データを表示装置8に表示する(S53)。
【0128】
座標演算部63は、入力した二値化画像データ中の全ての粒子101の座標を求めて座標データとして追尾部65に出力する。また、断面積演算部64は、入力した二値化画像データ中の全ての粒子101の断面積を求めて断面積データとして追尾部65に出力する(S54)。
【0129】
座標データと断面積データとを入力した追尾部65は、分離対象の粒子101があるか否かを判定する(S55)。分離対象の粒子がないとき(S55でNO)、ステップS51に戻り、ステップS51〜S55の処理を繰り返す。
【0130】
分離対象の粒子があると判定すると(S55でYES)、追尾部65は、分離対象の粒子の座標データを偏差演算部66Dに出力する(S56)。
【0131】
偏差演算部66Dは、入力した分離対象の粒子の座標と、分離する粒子に定められる経路との偏差を求めて粒子移動制御部93に出力する(S57)。
【0132】
粒子移動制御部93は、求めた偏差から粒子の経路に導く制御値を求めて粒子移動部4を制御することで、対象の粒子のみを分離し(S58)、その後、分離処理を終了する操作信号を入力するまで、ステップS51〜59の処理を繰り返す(S59)。
【0133】
なお、ここでは、分離セル2Dは、複数の流出部23a,23bを備え、分離対象の粒子を他の粒子を流出する流出部23bと異なる流出部23aから流出するように構成した。これに対し、分離セル2Dが、複数の流出部23a,23bを備えていない場合、分離対象の粒子を磁力によって分離セルD内に把持し、他の粒子101を流出後に分離対象の粒子を回収するようにすることもできる。
【0134】
上述したように、第4実施形態に係る分離装置1Dでは、連続する画像から磁性微粒子の座標と断面積を求めて、分離対象の粒子を追尾するとともに磁力を利用して分離対象の粒子のみを目的の位置に移動させることで、分離が困難な磁性微粒子であっても容易に分離することができる。
【0135】
〈第5実施形態〉
図19に示す全体構成図を用いて、第5実施形態に係るマニピュレーション装置1Eについて説明する。第5実施形態に係るマニピュレーション装置1Eは、強磁性体の粒子101をマニピュレートする装置である。このマニピュレーション装置1Eは、上述した4実施形態に係る分離装置1Dと同様に、制御セル2E、光照射部3、粒子移動部4、処理装置6E、表示装置8及び制御装置9を備えている。ここで、マニピュレーション装置1Eは分離装置1Dと異なり、分離セル2Dに代えて制御セル2Eを備え、処理装置6Dに代えて処理装置6Eを備えている。
【0136】
制御セル2Eの形状は、限定されないが、対象の粒子を内部でマニピュレート可能に形成されている。また、マニピュレート対象は基本的に磁性体であるが、磁性体を駆動制御することで生じる流体の流れを利用して、磁気力の作用しない非磁性体を流体抵抗力をつかってマニピュレートすることも可能である。具体的には、対象とする非磁性微粒子の近傍に磁性体の微粒子を浮遊させておき、非磁性体を動かしたい方向に磁性微粒子を移動させる(その方向になる電磁石の磁気力で吸引する)ことで、動かしたい方向への流体の流れを局所的に非磁性体微粒子の周囲につくり、これによって非磁性微粒子は重力と浮力以外に、動かしたい方向への流体抵抗力を付加されることになり、非磁性体をマニピュレート可能とする。
【0137】
処理装置6Eは、例えば、処理装置6Dと同様に演算部及び記憶部(図示せず)を有する情報処理装置であり、記憶部に記憶されるマニピュレーションプログラム(図示せず)が読み出されて実行されることで、図19に示すように、二値化部61、表示処理部62、座標演算部63、断面積演算部64、追尾部65及び偏差演算部66Dが実装される。
【0138】
このマニピュレーション装置1Eでは、制御対象の粒子をマニピュレートする経路が定められており、偏差演算部66Dによって制御対象の粒子と定められる経路との偏差が求められる。これにより、制御対象の粒子は、粒子移動制御部93によって、この経路にしたがって移動するように制御される。
【0139】
ここで、撮像装置5を可動自在にした場合や、コイル41〜44を可動自在にした場合、三次元的に制御することが可能になる。
【0140】
上述したように、第5実施形態に係るマニピュレーション装置1Eでは、連続する画像から磁性微粒子の座標と断面積を求めて、制御対象の粒子を追尾するとともに磁力を利用して制御対象の粒子のみを移動させることで、制御が困難な磁性微粒子を容易にマニピュレートすることができる。
【0141】
以上、各実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。
【符号の説明】
【0142】
1A,1B,1C…粒子観察装置
1D…分離装置
1E…マニピュレーション装置
2…観察セル
2D…分離セル
2E…制御セル
21…流入部
22…観察部
23…流出部
3…光照射部
31…発光部
32…ビームエキスパンダ
33…反射部材
34…受光部
4…粒子移動部(磁気発生装置)
42〜44…コイル
45〜48…コイル電源
5…撮像装置
6A,6B,6C,6D,6E…処理装置
61…二値化部
62…表示処理部
63…座標演算部
64…断面積演算部
65,65C,65D…追尾部
66…偏差演算部
67…作用力演算部
68…特性演算部
69…勾配演算部
7…磁気計測装置
8…表示装置
9…制御装置
91…入力部
92…光制御部
93…粒子移動制御部
94…撮像制御部
101…粒子
102…液体
103…磁力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に磁性微粒子を含む流体が存在する観察セルと、
前記観察セル内の磁性微粒子の画像を連続して撮像する撮像装置と、
前記撮像装置で撮像された画像から磁性微粒子の座標と断面積を求める演算部と、
前回撮像された画像における追尾の対象の磁性微粒子である追尾粒子の座標及び断面積と、新たに撮像された画像から前記演算部で求められた磁性微粒子の座標及び断面積とを比較して、追尾粒子を追尾する追尾部と、
前記撮像装置で撮像された画像を表示装置に表示するとともに、前記表示装置に表示される画像上で前記追尾部が追尾した追尾粒子にマークを表示する表示処理部と、
を備えることを特徴とする粒子観察装置。
【請求項2】
前記観察セルが存在する観察領域内の磁界を調整可能な磁力線を発生させる磁力発生部と、
追尾粒子を所定の目標位置に把持させる磁力線を発生させる制御値を出力して前記磁力発生部を制御する粒子移動制御部と、
前記粒子移動制御部が求めた制御値を利用して追尾粒子に作用する作用力を求めて出力する作用力演算部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の粒子観察装置。
【請求項3】
前記観察セルが存在する観察領域内の磁界を調整可能な磁力線を発生させる磁力発生部と、
前記セル内の流体が静止した状態で、追尾粒子を所定の目標位置に把持させる磁力線を発生させる制御値を出力して前記磁力発生部を制御する粒子移動制御部と、
前記撮像装置で異なる方向から撮影された追尾粒子の複数の画像から求めた当該追尾粒子の体積と、前記粒子移動制御部が求めた制御値から求めた当該追尾粒子に与えられる重力と、前記観察領域に磁性微粒子が配置されない状態で予め測定された前記観察領域の磁界分布とを利用して当該追尾粒子の磁気特性を求める特性演算部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の粒子観察装置。
【請求項4】
前記観察領域の磁界分布を測定する磁気計測装置をさらに備えることを特徴とする請求項3記載の粒子観察装置。
【請求項5】
前記粒子移動御値部は、静止した追尾粒子を前記目標位置で回転させる磁力線を発生させる制御値を出力して前記磁力発生部を制御することを特徴とする請求項3又は4記載の粒子観察装置。
【請求項6】
前記撮影部は、異なる方向から追尾粒子を撮影する複数のカメラを有することを特徴とする請求項3又は4記載の粒子観察装置。
【請求項7】
前記粒子移動制御部は、追尾粒子を追尾する前段階に追尾粒子を確認するための制御値として矩形波の電流を前記磁力発生部に出力することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1記載の粒子観察装置。
【請求項8】
前記演算部は、求めた磁性微粒子の断面積が所定値であるとき、この磁性微粒子を追尾粒子と決定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1記載の粒子観察装置。
【請求項9】
前記観察セルへ供給する流体の流速を調整するポンプを備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1記載の粒子観察装置。
【請求項10】
内部に磁性微粒子を含む流体が存在する観察セルと、
前記観察セル内の磁性微粒子の画像を連続して撮像する撮像装置と、
前記撮像装置で撮像された画像から磁性微粒子の座標と断面積を求める演算部と、
前記演算部で演算された各磁性微粒子の座標と断面積とを蓄積した追尾データを記憶する記憶部と、
前記追尾データに含まれる磁性微粒子の座標及び断面積と、新たに撮像された画像から前記演算部で求められた磁性微粒子の座標及び断面積を比較して、各磁性微粒子の軌跡を求める追尾部と、
前記撮像装置で撮像された画像を表示装置に表示するとともに、前記表示装置に表示される画像上で各磁性微粒子の軌跡を磁気勾配として表示する表示処理部と、
を備えることを特徴とする粒子観察装置。
【請求項11】
磁気勾配の大きさ及び向きを算出し、算出した値を表示処理部に出力する勾配演算部をさらに備えることを特徴とする請求項10記載の粒子観察装置。
【請求項12】
複数の流路を備え、流入部から流入した流体を各流路に備えられる複数の流出部から流出する分離セルと、
前記分離セル内の流体が含む磁性微粒子の画像を連続して撮影する撮影部と、
前記撮像装置で撮像された画像から磁性微粒子の座標と断面積を求める演算部と、
前回撮像された画像における分離の対象の磁性微粒子である対象粒子の座標及び断面積と、新たに撮像された画像から前記演算部で求められた磁性微粒子の座標及び断面積とを比較して対象粒子を追尾する追尾部と、
前記分離セル内の磁界を調整可能な磁力線を発生させる磁力発生部と、
前記追尾部で追尾される対象粒子を対象粒子流出用の流出部まで移動させる磁力線を発生させる制御値を出力して前記磁力発生部を制御する粒子移動制御部と、
を備えることを特徴とする分離装置。
【請求項13】
内部で磁性微粒子が制御される制御セルと、
前記制御セル内の磁性微粒子の画像を連続して撮像する撮像装置と、
前記撮像装置で撮像された画像から磁性微粒子の座標と断面積を求める演算部と、
前回撮像された画像における制御の対象の磁性微粒子である対象粒子の座標及び断面積と、新たに撮像された画像から前記演算部で求められた磁性微粒子の座標及び断面積とを比較して対象微粒子を追尾する追尾部と、
前記制御セル内の磁界を調整可能な磁力線を発生させる磁力発生部と、
前記制御セル内で対象粒子の位置を移動させて制御する磁力線を発生させる制御部を出力して前記磁力発生部を制御する粒子移動制御部と、
を備えることを特徴とするマニピュレート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−32934(P2013−32934A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168314(P2011−168314)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)