粒状活性物質を含むエアロゾル
【課題】改良された凝集性能を示すエアロゾル製剤を提供する。
【解決手段】空気動力学的直径の質量中央値(MMAD)が10μm未満である粒状活性物質を非溶媒ハイドロフルオロカーボン流体ビヒクル中に0.5%w/v以上の濃度で懸濁させて含むエアロゾル製剤。
【解決手段】空気動力学的直径の質量中央値(MMAD)が10μm未満である粒状活性物質を非溶媒ハイドロフルオロカーボン流体ビヒクル中に0.5%w/v以上の濃度で懸濁させて含むエアロゾル製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状形態の活性物質に関し、それらを調製する方法、それらを含む製剤、及びそのような物質及び製剤の利用に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の薬剤は、知られているタイプがいくつかある吸入器を用いて吸入によって患者の鼻及び/又は肺に送達される。これらの装置のあるものでは、薬(又はその薬を含む、例えば、医薬的に受容されるラクトースなどの賦形剤と合わせて含む製剤)は、流体のビヒクルに粒の状態で懸濁され、そのビヒクルが薬を適当に分散した状態で意図する投与部位に運ぶ役目をする。薬をエアロゾル化した形で送達しようとする場合、ビヒクルは加圧された噴射流体を用いることができる。例えば、“定量噴霧式吸入器”(MDIs)をこのような送達のために用いることができる、例えば、ブデソニド(PulmicortTM, AstraZeneca)、サルブタモール(VentolinTM, Glaxo SmithKline and ProventilTM HFA, Schering Plough)、キシナホ酸サルメテロール(SereventTM, Glaxo SmithKline)、及びフルチカゾン(FloventTM, Glaxo SmithKline)、などを投薬するのに用いられるようなものである。
【0003】
典型的な噴射流体としては、ハイドロフルオロアルカン、例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134aとして入手できる)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227eaとして入手できる)、及び1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンなどがあげられる。
【0004】
粒状薬剤は流体ビヒクルにできるだけ一様に懸濁させなければならない。これは通常、ある用量の薬を投薬する前に吸入器を振ることによって達成される。振った後、薬がビヒクルに十分な時間懸濁したままで意図した投与部位に到達できることが望ましいことは明らかである。しかし、粒状薬剤/噴射懸濁液は、限られた時間しか安定にとどまらないことが多い。薬剤の方が噴射流体よりも密度が高い場合、薬は“沈降”又は“凝集”する傾向がある、すなわち、沈降して懸濁液から出てしまう。薬剤の方が噴射流体よりも密度が小さい場合、薬は“クリーム”になる、すなわち、噴射流体の上の方へ浮かび上がる傾向がある。このために効率が低下し、投薬量の送達の精度が低下する。適当に一様な懸濁液を達成して維持するために、しばしば薬剤/噴射流体混合物に界面活性剤などの分散促進剤を加える必要がある。
【0005】
そのような方法を用いても、通常の貯蔵期間及び条件下で安定しており、平均的な吸入器の使用寿命の間ずっと一様な投薬を可能にする吸入可能な懸濁液を調製することは、普通、困難であった。
【0006】
分散性能を改善するためにMDI製剤で中空の、又は少なくとも部分的に流体を含む粒子を用いることも提案された。例えば、US-6,309,623に記載されている穴あきミクロ構造、及びWO-97/36574に開示されている中空微小球、どちらも吸入器で使用するために提案されたものを参照されたい。
【0007】
粒状活性物質、例えば薬、は公知のいろいろな方法で製造される、例えば、溶液からの結晶化、溶液からの貧溶媒(anti-solvent)沈殿、粉砕、微粉化、凍結乾燥、又はそれらのプロセスの組み合わせ、などである。また、超臨界又は近臨界流体を利用する粒子形成プロセスも公知である、すなわち、問題の物質の溶媒として利用するRESS(Rapid Expansion of Supercritical Solution−Tom & Debenedetti, J. Aerosol. Sci.., 22(5), 555-584 (1991) を見よ)と呼ばれるプロセス、又は貧溶媒として利用してその物質を別の溶液から沈殿させるGAS(Gas Anti-Solvent)沈殿(Gallagher et al., ACS Symp. Ser., 406, p334 (1989) を参照されたい)と呼ばれるプロセス、などである。
【0008】
しかし一般に、吸入できる薬を製造する公知のプロセスは、噴射流体における性能が良くない粒子を生ずる、すなわち、それらが示す凝集挙動は良くない。知られている多くの粒状薬剤では、凝集する傾向が深刻な問題になることがあり、懸濁液を振った後一分たたないうちに、すなわち、しばしばある用量の薬をうまく投薬できる前に、又は少なくともそれが投与の目標部位に到達する前に、顕著な沈殿が生ずる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、流体ビヒクルに懸濁させて送達する必要がある粒状の薬剤、及び実際には、その他の活性物質であって、そのようなビヒクルにおける凝集挙動が改善されたものを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の様態によれば、粒状形態の活性物質であって、流体ビヒクル1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)に不溶であり、そのビヒクルに0.2〜5%w/vの濃度で懸濁されたときに、5分後に35%以上の凝集体積を示すものが提供される。
【0011】
第二の様態によれば、本発明は粒状形態の活性物質であって、流体ビヒクル1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)に不溶であり、そのビヒクルに0.2〜5%w/vの濃度で懸濁されたときに、5分後に35%以上の凝集体積を示すものを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図2】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図3】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図4】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図5】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図6】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図7】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図8】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図9】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図10】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図11】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図12】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図13】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
凝集体積とは、本明細書で言及される場合、粒状懸濁物によって占められているビヒクルの量の尺度であり、したがって、この値が高いことは凝集が少ない(活性物質がビヒクルより高密度のとき)、又はクリーミングが少ない(活性物質がビヒクルより低密度のとき)ことを意味し、したがって、ビヒクルに固体が一様に分散しているために性能が向上していることを意味する。
【0014】
本発明をはっきり示すために、HFA134aとHFA227eaが、凝集体積を測定するための適当な参照基準として用いられている。しかし、本発明による活性物質は、どんな適当な非溶媒ビヒクルに懸濁させて用いても、凝集性能の向上が得られる。
【0015】
本発明の第一の及び/又は第二の様態によれば、5分後の凝集体積は、好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは少なくとも60%又は70%又は75%又は80%又は85%又は90%又は95%又は98%である。達成される数字は活性物質の性質、及びその粒径及び形態などの因子に以下で説明するように依存する。
【0016】
この凝集体積が、好ましくは6分後に、さらに好ましくは8分後に、さらに好ましくは10分後に、さらに好ましくは15,30又は60分後に、又は場合によっては2,6,12又は24時間後でも示される。わずか0.5又は1又は2分後には確実に示される。凝集体積は、好ましくは0.5%w/vを超える濃度、さらに好ましくは0.5から3又は4%w/v、最も好ましくは0.5から1.5又は2%w/v、又は0.8から1.3又は1.5%w/v、例えば、1%w/v、という濃度で測定される。上述の凝集性能は又、もっと低い活性物質濃度で、例えば、0.15又は0.1%w/vという濃度でも示される。
【0017】
凝集体積は、好ましくは20秒後に、さらに好ましくは30秒又は40秒又は60秒又は90秒後に、最も好ましくは2分又は3分又は5分後にも、50%を超える。
【0018】
本発明の活性物質は、好ましくは上述の凝集性能を他の非溶媒流体ビヒクルにおいて、特にハイドロフルオロカーボン噴射剤又はそれらの混合物において(例えば、HFA134aとHFA227eaの混合物において)示す。
【0019】
好ましくは、本発明の活性物質は、分散を促進する又は安定化する添加剤(例えば、界面活性剤)が活性物質/ビヒクル混合物中に存在しなくても、又は少なくとも従来同じ活性物質/ビヒクルの追で必要であったその種の添加剤のレベルに比べて低いレベルでしか存在しなくても、例えば、添加剤(特に、界面活性剤)レベルが活性物質の質量をベースとして0.1%w/w未満、好ましくは0.01%w/w未満又は0.001又は0.0001%w/w未満というレベルであっても、上述の凝集挙動を示す。
【0020】
好ましくは、本発明の活性物質は、共溶媒(co-solvent)、特にアルコール(例えば、エタノール)が存在しなくても、この凝集挙動を示す。
【0021】
したがって、その凝集体積は、活性物質及び関連ビヒクルだけを含む、又は本質的にそれだけから成る懸濁液で測定される。
【0022】
さらに、本発明の活性物質は、好ましくは、潤滑性増強添加剤が活性物質/ビヒクル混合物中に、又は混合物の凝集性能がテストされる容器の内面に存在しなくても(又は低レベルであっても、例えば、懸濁液の全体積をベースとして0.1又は0.01又は0.001%w/wというレベルであっても)上述の挙動を示す。現在エアロゾル製剤で用いられている典型的なこの種の潤滑剤としては、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールがあげられる;例えば、エアロゾル・カニスターの表面によく用いられるコーティングとしては、エポキシ樹脂又はフェノリック・ビニル系コーティングがあげられる。
【0023】
したがって、ビヒクル中の活性物質の凝集体積は、例えば、ガラス又はアルミニウム製の容器で測定され、その内面に潤滑性増進物質を担持又は組み込む必要はない。
【0024】
活性物質粒子の粒径中央値(MMD)は、好ましくは15μm未満特に10μm未満であり、さらに好ましくは5又は4μm未満、最も好ましくは3.5又は3.3又は3又は2又は1μmである。この粒径は1又は2又は2.5μmよりも大きくても良い。活性物質粒子の空気動力学的粒径中央値(MMAD)は、好ましくは10μm未満であり、さらに好ましくは5μm未満、最も好ましくは3.5μm未満、である。ある与えられた粒径で、本発明による活性物質は、従来の方法、例えば、スプレー乾燥、凍結乾燥、及び特に微粉化(micronisation)、によって作られた対応する化学物質に比べてはっきりと優れた凝集性能を示す。
【0025】
粒径は、例えば、(a)AerosizerTM飛行時間測定装置(これは空気動力学的に等価な粒径、MMAD、を与える)、又は(b)レーザー回折センサー、例えば、Sympatec GmbH, Germanyから提供されるHelosTMシステム(これは、幾何的投影等価なMMDを与える)、を用いて測定される。MMADは、また、カスケード・インパクターを用いて評価することもできる。体積平均粒径は、どちらの場合も、市販されているソフトウエア・パッケージを用いて得られる。本発明による活性物質は、好ましくは空気動力学的粒径の体積荷重中央値(VMAD、例えば、レーザー回折分析によって測定される)が5μm以下、さらに好ましくは4μm又は3.5μm以下、である。
【0026】
本発明の活性物質は、好ましくは固体中実(例えば、中空、多孔性(孔のあいたものを含む)、又は少なくとも部分的に流体を含有する、に対立する意味で)粒子である。それは好ましくは、必ずではないが、結晶又は半結晶(不定形に対立する意味での)形態である。さらに好ましくは、それは結晶性、理想的には高度に結晶性である。それは、物質の結晶形態が、アモルファス形態又は部分的に結晶性の形態よりも安定であり、アモルファス形態又は部分的に結晶性の形態は流体ビヒクルに容易に溶解し、再結晶及び/又は粒子成長の危険があるからである。
【0027】
本発明による活性物質は、このように好ましくは80%〜100%、又は90%〜100%、理想的には100%、結晶性である。したがって、それは検出可能なアモルファス相領域を、20%w/w未満、好ましくは10%w/w未満、さらに好ましくは5又は2又は1又は0.5%w/w未満、しか含まず、さらに好ましくは全く含まない。
【0028】
結晶化度は公知の仕方で評価でき、例えば、X線回折(XRD)法、好ましくは高分解能X線粉末回折によって、例えば、シンクロトロン放射原を用いて評価できる。結晶化度は、例えば、溶液からのゆっくりした蒸発による結晶化で得られた同じ化学的物質の結晶に対して評価される。X線回折の線の拡がりは結晶性低下の指標、例えば、結晶格子の不完全さの指標を与える。線の拡がりは、例えば、1つ以上の回折ピークのピーク幅増加(例えば、最大高さの半分の全幅、FWHM)として現れる。本発明による粒状生成物における結晶格子不完全性のレベル低下は、また、1つ以上のX線回折ピーク位置の、微粉化(micronisation)によって生成された同じ化学物質の粒子と比べたときの高い2θ値の方への移動(普通0.0005°以上、例えば、0.0005から0.005°まで、又は0.001から0.003°までの移動)として現れる。
【0029】
本発明による活性物質におけるアモルファス相と結晶相のレベルは、また、与えられた温度と湿度での水分取込み、及び/又はその熱的活性プロフィール(thermal activity profile)によって、公知の仕方で評価できる。
【0030】
本発明による活性物質は、好ましくは針状結晶形態、すなわち、1つの次元で少なくとも1つの他の次元よりも著しく長い結晶形態、を有する。これは例えば、針状の結晶、及び可能性としては、ウエハ−、ブレード−又はプレート−状結晶(これらは2つの次元で三番目の次元よりも著しく長い)及び細長い角柱形の結晶を含む。これらは、場合によって同じようなサイズの(例えば、測定されたMMADが同じ、又は測定されたMMADの80%〜120%以内にある)他の形態の粒子に比べて優れた凝集性能を示す。針状結晶は、その凝集性能のために好ましく、この場合粒径中央値は3又は4又は5μmより大きく、多分6又は7又は8又は10μmよりも大きくなる可能性があるが、好ましくは(特に吸入による送達のために)6μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。プレート又はブレード状粒子は吸入に用いるのに好ましく、粒径中央値は3又は4又は5又は6μmより大きいが、やはり吸入のためには好ましい粒径は6μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
【0031】
上の議論で、“著しく”長いとは、比較している2つの寸法の小さい方よりも少なくとも5%、好ましくは10%又は20%又は30%大きいことを意味する。本発明による活性物質の粒子は、好ましくは、アスペクト比(粒子の最も長い寸法の最も短い寸法に対する比)が2:1以上、さらに好ましくは3:1又は4:1以上、最も好ましくは1.5:1から2:1まで又は2:1から4.5:1までである。
【0032】
活性物質は、好ましくは実質的に(例えば、95%w/w以上、好ましくは98%又は99%w/w又は99.5%w/w以上)純粋な形である。好ましくは低レベルの残留溶媒を含む、例えば、500ppm未満、さらに好ましくは200ppm未満、最も好ましくは150又は100ppm未満の残留溶媒しか含まない、これは粒子形成の時点で存在した溶媒を意味する。さらに好ましくは、この物質は検出可能な残留溶媒を何も含まない、又は少なくとも関連定量化限界より低いレベルしか含まない。残留溶媒レベルが低いほど、流体懸濁物中の粒子が、特に水分の存在下で安定し、アモルファス相領域が再結晶する傾向が小さくなり、粒子の成長と団粒化の傾向が小さくなる、と考えられている。
【0033】
活性物質が2つ以上の多形形態で存在できる物質である場合、好ましくは活性物質はそのような形態の1つだけから成り、他の多形形態に対して純度が99.5%w/w以上、好ましくは99.8%w/w以上、である。多形的な純度は、例えば、融点データ(例えば、示差熱走査熱量測定)、又はさらに好ましくはX線粉末回折(例えば、小角度X線散乱(SAXS)法)を用いて、加熱するときの多形的な転移を多形の回折ピーク特性に基づいて検出して評価することができる。
【0034】
本明細書で用いる場合、“活性物質”とは、最終生成物が薬剤、殺虫剤、又は何であれ、そこで何らかの有用な機能を果たすことができる物質を意味する。
【0035】
活性物質は、単一の活性物質であっても、2つ以上の活性物質の混合物であってもよい。それは、モノマー、オリゴマー、又はポリマーであっても、有機(有機金属を含む)、又は無機であっても、親水性又は疎水性であっても、極性又は非極性であってもよい。それは、小さな分子、例えば、パラセタモールなどの合成薬剤であっても、巨大分子、例えばタンパク質又はペプチド(酵素、ホルモン、抗体、及び抗原を含む)、ヌクレオチド、ヌクレオシド又は核酸、であってもよい。その他の可能な活性物質としては、ビタミン、アミノ酸、リン脂質やアミノ脂質などの脂質、炭水化物、例えばモノ−、ジ−、オリゴ−、又はポリサッカライド、細胞及びウイルス、などがあげられる。
【0036】
活性物質は、好ましくは、医薬的に又はニュートラシューティックスとして活性な物質、医薬的に又はニュートラシューティックスとして受容される賦形剤、又はそれらの2つ以上の混合物、を含む(さらに好ましくは、である)。さらに好ましくは、活性物質は医薬的に活性な物質であって、局所投与(例えば、肺への局所送達を意図した喘息薬)であれ、肺を介して全身に送達するものであれ、吸入(この用語は、鼻及び/又は口からの吸入を含む)による送達に適したものである。しかし、他の多くの活性物質も、その意図した機能が何であれ(例えば、除草剤、殺虫剤、食料、画像材料、染料、芳香剤、化粧品及び清拭用品、洗剤、コーティング、セラミック、写真又は爆薬産業で使用する製品、等)、本発明に包含される。
【0037】
吸入(理想的には定量噴霧式吸入器)による送達で特に関心があるのは、全身的に送達され、速やかな作用の開始が必要とされる医薬的に活性な物質である。
【0038】
吸入によって送達される医薬的に活性な物質の例としては、β2−拮抗剤、グルココルチコステロイドなどのステロイド(好ましくは抗炎症薬)、抗コリン作用薬、ロイコトリエン拮抗薬、ロイコトリエン合成阻害剤、鎮痛剤一般、例えば鎮痛剤及び抗炎症薬(ステロイド及び非ステロイド抗炎症薬を含む)、強心配糖体などの心臓血管薬、抗喘息薬、気管支拡張剤、抗癌剤、アルカロイド(例えば、麦角アルカロイド)又は片頭痛の治療に用いられるトリプタン、糖尿病及び関連疾病の治療に用いられる薬(例えば、スルホニル・ユリア)、鎮静剤及び睡眠剤を含む睡眠導入剤、精神賦活剤、食欲抑制剤、抗関節炎薬、抗マラリア薬、抗てんかん薬、抗血栓薬、抗高血圧薬、抗不整脈薬、抗オキシカント(anti-oxicant)、抗鬱剤、抗精神病薬、抗不安薬、抗痙攣薬、制吐薬、抗感染症薬、抗ヒスタミン剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、パーキンソン病などの神経障害の治療薬(ドパーミン拮抗薬)、アルコール中毒その他の中毒の治療薬、勃起不全の治療に用いる血管拡張剤などの薬、筋肉弛緩剤、筋肉収縮剤、オピオイド、興奮剤、トランキライザー、抗生物質例えばマクロリド、アミノグリコシド、フルオロキノロン、及びベータ−ラクタム、ワクチン、サイトカイン、成長因子、避妊薬を含むホルモン剤、交感神経様作用薬、利尿薬、脂質調節薬、抗男性ホルモン薬、駆虫薬、抗凝血薬、腫瘍性、抗腫瘍薬、抗低血糖薬、栄養剤及びサプリメント、成長サプリメント、抗腸炎薬、抗体、診断薬、造影剤、及び上記の組み合わせ(例えば、ステロイドとβ−拮抗薬の両方を含む喘息組み合わせ治療)、などがある。
【0039】
さらに詳しくは、活性物質はいくつかの構造クラスの1つ、例えば、それだけに限定されないが、小分子(好ましくは水に不溶な小分子)、ペプチド、ポリペプチド、多糖、ステロイド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂肪、電解質、などである。
【0040】
具体的な例としては、β2拮抗薬サルブタモール(例えば、硫酸サルブタモール)及びサルメテロール(例えば、キシナホ酸サルメテロール)、ステロイド・ブデソニド及びフルチカゾン(例えば、プロピオン酸フルチカゾン)、強心配糖体ジゴキシン、アルカロイド抗片頭痛薬メシル酸ジヒドロエルゴタミン及びその他のアルカロイド・エルゴタミン、パーキンソン病の治療に用いられるアルカロイド・ブロモクリプチン、スマトリプタン、ゾルマトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタン、モルヒネ及びモルヒネ類似体フェンタニル(例えば、クエン酸フェンタニル)、グリベンクラミド(スルホニル・ユリア)、ベンゾジアゼピン、例えばバリアム、トリアゾラム、アルプラゾラム、ミダゾラム、及びクロナゼパム(普通、催眠薬として、例えば、不眠症やパニック発作の治療に用いられる)、抗精神病薬リスペリドン、勃起不全の治療に用いられるアポモルフィン、抗感染症薬アンフォテリシンB、抗生物質トブラマイシン、シプロフロキサシン及びモキシフロキサシン、ニコチン、テストステロン、抗コリン作用性気管支拡張薬イプラトロピウム・ブロミド、気管支拡張薬フォルモテロール、モノクローナル抗体及びタンパク質LHRH、インシュリン、ヒト成長ホルモン、カルシトニン、インターフェロン(例えば、β−又はγ−インターフェロン)、EPO及び第VIII因子、並びにどの場合にも、医薬的に受容されるその塩、溶媒和、エステル、類似体及び誘導体(例えば、プロドラッグ形態)、などがあげられる。
【0041】
本発明の実施に適当な活性物質のその他の例としては、アスパラギナーゼ、アムドキソビール(DAPD)、アンチド、ベカプレルミン、カルシトニン、シアノビリン、デニロイキン・ジフチトクス、エリスロポイエチン(EPO)、EPO作動薬(例えば、長さが約10−40アミノ酸の、WO 96/40749に記載されているような特定コア配列を含むペプチド)、ドルナーゼ・アルファ、赤血球生成刺激タンパク質(NESP)、凝固因子、例えば、第VII a因子、第VIII因子、第IX因子、フォン・ウイルブランド因子、セレダーゼ、セレザイム、アルファ−グルコシダーゼ、コラーゲン、サイクロ(登録商標)スポリン、アルファ・デフェンシン、ベータ・デフェンシン、エクセジン−4,顆粒細胞コロニー刺激因子(GCSF)、スロンボポイエチン(TPO)、アルファ−1プロテナーゼ阻害剤、エルカトニン、顆粒細胞マクロファージ・コロニー刺激因子(GMCSF)、フィブリノゲン、フィルグラスチム、成長ホルモン、成長ホルモン放出刺激ホルモン(GHRH)、GRO−ベータ、GRO−ベータ抗体、骨形態発生タンパク質、例えば骨形態発生タンパク質−2,骨形態発生タンパク質−6,OP−1,酸性繊維芽細胞増殖因子、塩基性繊維芽細胞増殖因子、CD−40リガンド、ヘパリン、ヒト血清アルブミン、低分子量ヘパリン(LMWH)、インターフェロン、例えばインターフェロン・アルファ、インターフェロン・ベータ、インターフェロン・ガンマ、インターフェロン・オメガ、インターフェロン・タウ;インターロイキン及びインターロイキン・レセプター、例えばインターロイキン−1・レセプター、インターロイキン−2、インターロイキン−2融合タンパク質、インターロイキン−1・レセプター拮抗薬、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−4レセプター、インターロイキン−6、インターロイキン−8、インターロイキン−12、インターロイキン−13レセプター、インターロイキン−17レセプター、ラクトフェリン及びラクトフェリン断片、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、インシュリン、プロインシュリン、インシュリン類似体(例えば、US Patent No. 5,922,675に記載されたようなモノ−アシル化インシュリン)、アミリン、C−ペプチド、ソマトスタチン、ソマトスタチン類似体、例えばオクトレオチド、バソプレッシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インフルエンザ・ワクチン、インシュリン様成長因子(IGF)、インシュリントロピン、マクロファージ・コロニー刺激因子(M−CSF)、プラスミノゲン活性化因子、例えばアルテプラーゼ、ウロキナーゼ、レテプラーゼ、ストレプトキナーゼ、パミテプラーゼ、ラノテプラーゼ、及びテネテプラーゼ、神経成長因子(NGF)、オステオプロテゲリン、血小板由来成長因子、組織成長因子、形質転換成長因子−1、血管内皮成長因子、白血病抑制因子、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、グリア増殖因子(GGF)、T細胞増殖因子、CD分子/抗原、腫瘍壊死因子(TNF)、単球走化性因子タンパク質−1、内皮細胞成長因子、上皮小体ホルモン(PTH)、グルカゴン様ペプチド、ソマトトロピン、チモシン・アルファ1、チモシン・アルファ1IIb/III a阻害剤、チモシン・ベータ10、チモシン・ベータ9、チモシン・ベータ4、アルファ−1アンチトリプシン、ホスフォジエステラーゼ(PDE)化合物、VLA−4(非常に遅い抗原−4)、VLA−4阻害剤、ビスホスフォネート、呼吸器多核体ウイルス抗体、膵嚢胞性繊維症膜貫通調節(CFTR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(DNAse)、殺菌/透過性増大タンパク質(BPI)及び抗CMV抗体などがあげられるが、それだけに限定されない。モノクローナル抗体の例としては、エタネルセプト(ヒト75kD TNFレセプターの細胞外リガンド結合部分がIgGIのFc部分にリンクして成る二量体融合タンパク質)、アブシキシマブ、アフェリオモマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、インフリキシマブ、イブリツモマブ、チウエキセタン、ミツモマブ、ムロモナブ−CD3、イオダイン131トシツモマブ接合体、オリズマブ、リツキシマブ、及びトラスツズマブ(ヘルセプチン)、アミフォスチン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、アントラサイクリン、ベキサロテン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カベルゴリン、カペシタビン、カルボプラチン、クロランブシン、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、カンプトテシン、13−cisレチノイン酸、全transレチノイン酸、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジクロフェナック、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラムスチン、エトポシド、エクセメスタン、フェキソフェナジン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、エピネフリン、L−Dopa、ヒドロキシウリア、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、イリノテカン、イトラコナゾール、ゴセレリン、レトロゾール、リュウコボリン、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロジェステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、メトクロプラミド、ミトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ナロキソン、ニコチン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パミドロネート、ペントスタチン、ピルカマイシン、ポルフィメール、プレドニゾン、プロカルバジン、プロクロールペラジン、オンダンステロン、ラルチトレキセド、シロリムス、ストレプトゾシン、タクロリムス、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、テトラヒドロカンナビノール、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレチノイン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ドラセトロン、グラニセトロン、フォルモテロール、ウrチカゾン、リュウプロリド、ミダゾラム、アルプラゾラム、アンフォテリシンB、ポドフィロトキシン、ヌクレオシド抗ウイルス薬、アロイル・ヒドラゾン、スマトリプタン;マクロリド、例えば、エリスロマイシン、オレアンドマイシン、トロレアンドマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ダベルシン、アジスロマイシン、フルリスロマイシン、ジリスロマイシン、ヨサマイシン、スピロマイシン、ミデカマイシン、リュウコマイシン、ミオカマイシン、ロキタマイシン、アンダジスロマイシン、及びスイノリドA;フルオロキノロン、例えば、シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、トロバフロキサシン、アラトロフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン、ガチフロキサシン、ロメフロキサシン、スパーフロキサシン、テマフロキサシン、ペフロキサシン、アミフロキサシン、フレロキサシン、トスフロキサシン、プルリフロキサシン、イルロキサシン、パズフロキサシン、クリナフロキサシン、及びシタフロキサシン;アミノグリコシド、例えば、ゲンタミシン、ネチルミシン、パラメシン、トブラマイシン、アミカシン、カナマイシン、ネオマイシン、及びストレプトマイシン、バンコマイシン、テイコプラニン、ランポラニン、ミデプラニン、コリスチン、ダプトマイシン、グラミシジン、コリスチメタン;ポリミキシン、例えば、ポリミキシンB、カプレオマイシン、バシトラシン、ペネム;ペニシリナーゼ敏感な物質を含むペニシリン、例えば、ペニシリンG、ペニシリンV;ペニシリナーゼ耐性物質、例えば、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フロキサシリン、ナフシリン;グラム陰性菌活性物質、例えば、アンピシリン、アモキシシリン、及びヘタシリン、シリン、メズロシリン、及びガランピシリン;抗シュードモナス・ペニシリン、例えば、カルベニシリン、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン、及びピペラシリン;セファロスポリン、例えば、セフポドキシン、セフプロジル、セフォブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セフラドリン、セフォキシチン、セファマンドール、セファゾリン、セファロリジン、セファクロール、セファドロキシル、セファログリシン、セフロキシム、セフォラニド、セフォタキシム、セファトリジン、セファセtリル、セフェピム、セフィキシム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォテタン、セファメタゾール、セフタジミド、ロラカルベフ、及びモキサラクタム、アズトレオナムなどのモノバクタム;及びカルバペネム、例えば、イミペネム、メロペネム、ペンタミジン、イセチオネート、硫酸アルブテロール、リドカイン、硫酸メタプロテレノル、ベクロメタゾン・ジプレピオネート、トリアムシノロン・アセタミド、ブデソニド・アセトニド、フルチカゾン、イプラトロピアム・ブロミド、フルニソリド、クロモリン・ナトリウム及び酒石酸エルゴタミン;pクリアキセルなどのタキサン;SN−38,及びトリフォスチン、などがある。
【0042】
上記の生物的活性物質の例は、該当する場合には、その類似体、作動薬、拮抗物質、阻害剤、異性体、及び医薬的に受容される塩の形、を包含するものとする。ペプチドとタンパク質に関して、本発明は、合成、組み換え、原生、グリコシル化された、グリコシル化されないもの、及び生物的に活性な断片及び類似体を包含するものとする。
【0043】
血流への迅速な放出(すなわち、薬理的な作用の速やかな開始)が特に望ましい薬としては、片頭痛、吐き気、不眠症、アレルギー反応(アナフィラキシー反応を含む)、神経又は精神疾患(特にパニック発作及びその他の精神病やノイローゼ)勃起不全、糖尿病及び関連疾病、及び心臓疾患、の治療に用いられるもの、抗痙攣薬、気管支拡張剤、及び痛みや炎症を軽減する薬、などがあげられる。
【0044】
活性物質は、一緒に製剤される2つ以上の物質を、一方を他方でコーティングするという形、又は一方を他方のマトリックスに分散させて、又は2つ以上の活性物質のブレンドとして含むことができる。このような製剤のよく見られる例は、医薬的に活性な物質を賦形剤でコーティングした形、医薬的に活性な物質吐賦形剤の固体分散物、などがあり、しばしば賦形剤は薬剤の放出速度及び/又は標的への送達を変更するために存在している。しかし、一般に、本発明の活性物質は、賦形剤が存在しない場合、すなわち、活性物質だけの形(例えば、賦形剤なしの、医薬的に又はニュートラシューティカルとして活性な物質の形)で優れた凝集挙動を示す。
【0045】
本発明の第三の様態は、粒状形態の活性物質であって、流体ビヒクル1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)に不溶であり、そのビヒクルに0.2から5%w/vまでの濃度で懸濁させたとき、5分後に示す凝集体積が、同じ又は同様の粒径(普通、測定されたMMAD、ここで“同様の”とは、測定されたMMADの80〜120%以内、好ましくは90〜110%以内、を意味する)の、しかし微粉化(micronisation)プロセスを用いて調製された同じ化学物質が示す凝集体積より少なくとも20%高い、好ましくは少なくとも50%又は150%又は200%又は250%高い活性物質、を提供する。
【0046】
第四の様態は、粒状形態の活性物質であって、流体ビヒクル1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)に不溶であり、そのビヒクルに0.2から5%w/vまでの濃度で懸濁させたとき、5分後に示す凝集体積が、同じ又は同様の粒径(上述の通り)の、しかし微粉化(micronisation)プロセスを用いて調製された同じ化学物質が示す凝集体積より少なくとも20%高い、好ましくは少なくとも50%又は150%又は200%又は250%高い活性物質、を提供する。
【0047】
本明細書では、“微粉化”(micronisation)とは、機械的手段、例えば粉砕(milling)や摩砕(grinding)を用いて粒径をマイクロメートル領域にまで小さくするプロセスを意味する。
【0048】
本発明の第三及び/又は第四の様態によれば、活性物質は好ましくはこの凝集挙動を6分後に示し、さらに好ましくは8分後に、さらに好ましくは10分後に、最も好ましくは15,30又は60分後に、場合によっては2,6,12,又は24時間後に示す。活性物質はこの挙動をわずか4,3,2又は場合によっては1分後に示す。凝集体積は、好ましくは、0.5%w/vを超える濃度で、さらに好ましくは0.5から3又は4%w/vまで、最も好ましくは0.5から1.5又は2%w/vまで、又は0.8から1.3又は1.5%w/vまで、例えば1%w/v、の濃度で測定される。上述の凝集性能はまた、もっと低い活性物質濃度で、例えば、0.15又は0.1%w/vの濃度でさえも示されることがある。
【0049】
やはり、活性物質は、好ましくは他の非溶媒流体ビヒクルで、特にハイドロフルオロカーボン噴射剤でもこの凝集性能を示す。
【0050】
本発明の第五の様態は、粒状形態の活性物質であって、流体ビヒクル1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)に不溶であり、そのビヒクルに0.2から5%w/vまでの濃度で懸濁させたとき、活性物質とビヒクルを十分に混合した後、最初の60秒間に示す凝集体積の変化率(減少)が毎分20%以下である活性物質を提供する。
【0051】
本発明の第六の様態は、粒状形態の活性物質であって、流体ビヒクル1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)に不溶であり、そのビヒクルに0.2から5%w/vまでの濃度で懸濁させたとき、活性物質とビヒクルを十分に混合した後、最初の60秒間に示す凝集体積の変化率(減少)が毎分20%以下である活性物質を提供する。
【0052】
本発明の第五及び/又は第六の様態によれば、凝集体積の変化率は、好ましくは毎分15%以下、さらに好ましくは毎分10%以下、最も好ましくは毎分5又は3%以下、である。好ましくは、凝集体積の変化率は、活性物質とビヒクルを十分に混合した後、最初の90又は120秒間、引用した範囲内にある;最初の30秒間、それは確実にこれらの範囲内にある。
【0053】
本発明の第三から第六までの様態のその他の好ましい特徴は、その凝集体積が測定される仕方(及び濃度)を含めて、第一及び第二の様態に関して述べたようなものである。
【0054】
流体懸濁液で製剤されたとき、本発明の活性物質は一般に、中長期的な貯蔵の間の(例えば、一週間以上、好ましくは一ヶ月以上、最も好ましくは3又は6又は12又は18又は24又は30又は36ヶ月以上、という期間にわたって)安定性が、特に微粉化(micronised)された同等物に比べて、優れているという利点がある。本発明の活性物質は、より長期間にわたってより均一に分散したままであるように見える。本発明の活性物質は、また、流体懸濁物中で粒子が成長し団粒化する傾向が小さい−例えば、そのMMADは、流体懸濁液として一週間以上、好ましくは一ヶ月以上、最も好ましくは3又は6又は12又は18又は24又は30又は36ヶ月以上、という期間にわたる貯蔵の間に開始時の値の30%以下、好ましくは20%又は10%以下、しか変化しない。やはり、それらが懸濁される流体、及びその濃度、は、本発明の第一から第六までの様態に関して述べたようなものである;流体は、好ましくはHFA134a、HFA227ea、又はそれらの混合物である。
【0055】
吸入器(特にMDIs)で使用するエアロゾル製剤で用いる場合、本発明の活性物質は吸入器の使用寿命の間より一様な投薬量を与えることができる。また、この点で本発明の活性物質は吸入器の使用寿命の間、送達される薬剤の効力もより一様である。それは、粒径が肺(特に肺の深部)を通る送達の生物的な利用可能性と効力に大きく関わっているからである。
【0056】
典型的なエアロゾル・カニスター、例えば、定量噴霧式吸入器で使用されるようなもの、は中長期的貯蔵の間に大気中の水分が送達メカニズムを通って侵入することを許す。この水分はカニスター内部の懸濁物の安定性を低下させる。本発明の活性物質は、このような貯蔵条件で、例えば、微粉化(micronised)された同等物に比べて著しく安定であり、水分の存在下でも粒子の成長や団粒化が起こりにくい。本発明によるアモルファス相の活性物質でも、水分は通常再結晶化を誘発すると予期されるにも関わらず、このような条件の下で比較的安定である。
【0057】
したがって、本発明の活性物質の安定性は、吸入器、特に定量噴霧式吸入器、などの送達装置におけるエアロゾル製剤に特に有益である。すなわち、本発明による活性物質が流体ビヒクルに、適当なものとしてはHFA134aやHFA227eaなどのエアロゾル噴射剤に懸濁され、定量噴霧式吸入器を用いて、又は多段液体注入器、又はもっと好ましくはカスケード・インパクター(例えば、AndersenTM又はAndersenTMタイプ・カスケード・インパクター)などの測定デバイスへ、等しい体積の一連の投薬(dose)として送給されるとき:
a)各投薬で送達される活性物質の量の相対標準偏差RSD(すなわち、平均値のパーセンテージとして表された標準偏差)が、好ましくは、引き続く3投薬、さらに好ましくは5,最も好ましくは10又は30又は50又は70又は100又は150又は200投薬にわたって15%以下である。さらに好ましくは、RSDは、12又は10又は8又は7又は6又は5又は4又は3%以下である。
b)送給された投薬における微粒子含有量(送給された活性物質でMMADが微粒子の範囲、例えば、<3.5又は3.3μm、にある量)のRSDが、好ましくは、引き続く3投薬、さらに好ましくは5,最も好ましくは10又は30又は50又は70又は100又は150又は200投薬にわたって15%以下である。さらに好ましくは、RSDは、9又は8又は7又は6又は5又は2%以下である。
c)各投薬に含まれる微粒子比率(fraction)(すなわち、MMADが微粒子の範囲にある活性物質の量を当該投薬における全活性物質の量のパーセンテージで表したもの)のRSDが、好ましくは、引き続く3投薬、さらに好ましくは5,最も好ましくは10又は30又は50又は70又は100又は150又は200投薬にわたって17%以下である。さらに好ましくは、RSDは、15又は13又は10又は8又は6又は5%以下である。
d)各投薬に含まれる活性物質粒子のMMADのRSDが、好ましくは、引き続く3投薬、さらに好ましくは5,最も好ましくは10又は30又は50又は70又は100又は150又は200投薬にわたって9.5%以下である。さらに好ましくは、RSDは、7又は4又は3又は2%以下である。
e)各投薬に含まれる微粒子比率が、好ましくは、引き続く3投薬、さらに好ましくは5,最も好ましくは10又は30又は50又は70又は100又は150又は200投薬にわたって、少なくとも25%であり、さらに好ましくは少なくとも26又は27%であり、最も好ましくは少なくとも30又は35%である。
f)各投薬で送給される粒子のMMADが、好ましくは、やはり適当には引き続く3投薬、さらに好ましくは5,最も好ましくは10又は30又は50又は70又は100又は150又は200投薬にわたって、4μ以下、さらに好ましくは3.8又は3.5μm以下である。
【0058】
上記(a)から(f)までの性質を測定する場合、送達装置又は測定装置は、理想的には標準的な仕方でメーカーの指示に従って操作され、普通、例えば、各投薬の前にエアロゾル製剤を振とうすることが含まれる。
【0059】
適当な測定方法は、以下の実施例9から13までに記載されているようなものであり、典型的にはAndersenTMタイプ・カスケード・インパクターなどのカスケード・インパクターを使用する。例えば、テストする製剤を収容しているエアロゾル缶を標準アダプターとUSPインダクション・ポート(“スロート”)によってカスケード・インパクターに結合し、缶の中身を通常のエアロゾル・バルブ(普通、缶のトップに付着している)吐アクチュエーターによってインパクターに小出しする。
【0060】
問題のパラメータが測定される当該回数の投薬は、1,3,6,12,18,24,又は30又は36ヶ月にわたって送給することができるが、実験室テスト条件の下では、例えば、30分から12時間までの期間にわたって、さらに典型的には30分から4又は5時間までの期間、最も典型的には2から3時間までの期間にわたって(例えば、投薬の間に15から120秒まで、好ましくは30から60秒までの間隔で)、送給される。適当な投薬体積は、20から100μlまで、さらに典型的には40から70μlまで、例えば、50から65μlまでであろう。製剤された懸濁物の好ましい特徴、例えば、ビヒクル・タイプ、活性物質濃度、添加剤(好ましくは、なし)の性質と量、などは全て本発明の第一から第六の様態までに関して記載されたようなものである。
【0061】
多数回(例えば、50又は100回以上)にわたる性能を評価するためには、送給の全期間のうち、最初と最後の方の期間、及び理想的には中央の期間で引き続く数回の投薬(例えば、2〜6回、好ましくは3〜5回の投薬)庭田って当該パラメータを測定すれば十分であろう。
【0062】
上の(a)から(d)までで言及したRSD値は、普通、同じ又は同様のMMADを有する同じ化学物質の微粉化された形で同じテストをしたときに得られる値に比べて低い(好ましくは、少なくとも5%又は10%又は20%低い)。いずれの場合にも、投薬特性の一様性は、本発明による活性物質を用いることによってどんな使用期間にわたっても改善される。
【0063】
本発明の活性物質は、好ましくは、当該測定期間の間、流体ビヒクルで懸濁された状態で(吸入器などの送達装置内であるかどうかに関わりなく)、周辺温度(例えば、18〜25℃、又は20から23℃まで、例えば約22℃で、又は受容されている業界の基準温度25℃)で貯蔵されたとき、上述の凝集挙動及び/又は安定性お示す。さらに好ましくは、本発明の活性物質は、測定期間の間に±5℃又は±10又は±15℃までの変動にさらされても、その挙動及び/又は安定性を示す。
【0064】
本発明の活性物質は、当該測定期間の前又は間、その流体懸濁物が20%又は30%又は40%又は60%又は75%の相対湿度(RH)で貯蔵されても、上述の凝集挙動及び/又は安定性を示す。高い貯蔵温度及び/又は湿度を通常の仕方で用いてもっと長期間の貯蔵を模倣することができるし、通常の熱サイクリング手順、例えば、冷凍/解凍サイクリングを用いることもできる。例えば、ある期間にわたる40℃及び75%RHでの貯蔵を用いて、一般に、25℃及び60%RHでの約3倍の長さの期間にわたる貯蔵を模倣することができる。熱サイクリングは、例えば、一日に2又は4回までの貯蔵温度のサイクリングであり、例えば、2から40℃迄の間のサイクリング、又は(冷凍/解凍サイクリングの場合)−20から25℃までの間のサイクリングである。測定は(例えば、MMAD、又は微粒子比率、又は投薬成分の測定)は、与えられた条件での貯蔵期間の前と後、又は熱サイクリングの前と後で行って、記録した値及びRSDsが2つの測定又は測定の組の間で、上の(a)から(f)までに述べたようなものであることが好ましい。
【0065】
ある場合には、本発明による活性物質は、医薬的に活性な物質又は医薬的に受容される賦形剤(好ましくは、吸入による送達に適当な及び/又はそれを意図した物質)であって、以下以外のものである:キシナホ酸サルメテロール(単独、又はヒドロキシプロピル・セルロースと共に製剤されたもの);α−ラクトース一水和物;R−TEMβ−ラクタマーゼ;マルトース;トレハロース;スクロース;ブデソニド;硫酸サルブタモール;ニコチン酸;パラセタモール(単独、又はキシナホ酸サルメテロール、L−ポリ乳酸、エチル・セルロース(EC)、ヒドロキシプロピル・メチル・セルロース(HPMC)又はポリビニル・ピロリドン(PVP)と共に製剤されたもの);イブプロフェン;ケトプロフェン(単独、又はEC、HPMC、又はPVPと共に製剤されたもの);サリチル酸;インドメタシン、カルバマゼピン、テオフィリン、アスコルビン酸、又はCOX−2選択阻害剤がEC、HPMC、又はPVP硫酸キニンがECと共に製剤されたもの;プロピオン酸フルチカゾン;オメプラゾール・マグネシウム四水和物;(S)−オメプラゾール・マグネシウム三水和物;フマル酸フォルモテロール二水和物;フェロジピン;カンデサルタン・シレキセチル;リソザイム(単独、又はタウロコール酸ナトリウムと共に製剤されたもの);アルブミン;インシュリン(単独、又はタウロコール酸ナトリウムと共に製剤されたもの);硫酸テルブタリン;臭化水素酸フェノテロール、及び/又は臭化イプラトロピウム。
【0066】
本発明の第一から第六の様態までに関連して記載された改良された凝集挙動を示す粒状活性物質は、上で言及したGASプロセスの一つのバージョンである、いわゆるSEDSTM(“超臨界流体による溶液促進分散”)プロセス(現在はNektarTM SCFプロセスと呼ばれる)によって製造できることが見出された。
【0067】
いくつかの吸入薬がすでにSEDSTMを用いて製造されている。例えば、WO-95/01221(キシナホ酸サルメテロール)、WO-98/36825(硫酸サルブタモール)、WO-98/52544(ブデソニド)、及びWO-98/17676(プロピオン酸フルチカゾン)を見よ。後者では、いくつかの製品が定量噴霧式吸入器で噴射剤HFA134aでテストされているが、凝集体積は測定されず、又は言及もされず、比較的低い薬/噴射剤濃度しか用いられていない。
【0068】
NektarTM SCFプロセス(SEDSTM)は、“標的”物質の粒子を形成するプロセスである。これはGASプロセスであり、流体ビヒクル中の標的物質の溶液又は懸濁液(“標的溶液/懸濁液”)に圧縮された流体(一般に超臨界又は近臨界流体)の貧溶媒を、貧溶媒が標的溶液/懸濁液からビヒクルを抽出して標的物質の粒子をそこから析出させることができる条件の下で接触させるステップを含む。その条件とは、貧溶媒と抽出されたビヒクルの間に形成された流体混合物が依然として圧縮状態(一般に超臨界又は近臨界状態)にあるということである。貧溶媒流体は、標的物質に対しては非溶媒であり、流体ビヒクルとは混合可能でなければならない。
【0069】
SEDSTMプロセスを実行することは、具体的に言うと、貧溶媒流体を用いて、標的溶液/懸濁液からビヒクルを抽出し、同時に標的溶液/懸濁液を分散させることになる。言い換えると、貧溶媒の機械的(運動)エネルギーが標的溶液/懸濁液を分散させるように作用し、同時に貧溶媒がビヒクルを抽出するような仕方で流体を互いに接触させる。ここで言う“分散”とは、一般に一方の流体から他方の流体への運動エネルギーの移動を指し、通常、運動エネルギーが移された側の流体の液滴、又は他の同様な流体エレメント、の形成を伴う。
【0070】
適当なSEDSTMプロセスは、WO-95/01221, WO-96/00610, WO-98/36825, WO-99/44733, WO-99/59710, WO-01/03821, WO-01/15664, WO-02/38127, 及びWO-03/008082に記載されている。その他の適当なSEDSTMプロセスは、WO-99/52507, WO-99/52550, WO-00/30612, WO-00/30613, WO-00/67892, 及びWO-02/058674に記載されている。これらの文書は本出願と合わせて読まれるべきものとする。
【0071】
SEDSTMでは、標的溶液/懸濁液と貧溶媒は、好ましくは、WO-95/01221及び WO-96/00610に記載されている仕方で互いに接触される、すなわち、貧溶媒の流れの機械的エネルギー(普通、剪断作用)が2つの流体が出会うところで流体の密な混合と分散を容易にするような流体導入手段によって粒子形成容器に2つの流体を同時に導入する。標的溶液/懸濁液及び貧溶媒は、好ましくは、実質的に同じ点で出会って粒子形成容器に入る、例えば、多重通路同軸ノズルの別々の通路によって粒子形成容器に入る。
【0072】
あるいはまた、SEDSTMプロセスはWO-03/008082に記載されているタイプのものであってもよい。このタイプでは、粒子形成容器に入るときの貧溶媒の速度は近音速、音速、又は超音速であり、標的溶液/懸濁液と貧溶媒は、近いけれども別々の場所から容器に入る。このようなプロセスは、例えば、以下の実施例1aにおいてサンプルBの調製に関連して記述される。
【0073】
本発明による粒状の活性物質は、好ましくは、GASプロセスによって、さらに好ましくはSEDSTMプロセスによって、例えば、上記の文書に記載されているいずれか又はその組み合わせによって調製される。そのプロセスの好ましい特徴は、本発明の第七の様態に関連して以下で説明されるようなものである。この活性物質は、水に不溶又はごくわずかに可溶である。それは好ましくは、圧縮された(例えば、超臨界又は近臨界の)二酸化炭素に不溶又はごくわずかに可溶である。このような物質は、特にSEDSTMプロセスによる粒子調製に特に好適であり、実はスプレー乾燥や凍結乾燥など他の粒子形成方法によって粒子を調製することは多くの場合困難である。
【0074】
SEDSTMプロセスは、粒径、サイズ分布、及び形態などの物理化学的特性がコントロールされた粒状生成物を作り出すことができることは知られているが、SEDSTMプロセスの生成物が、他の粒子形成方法によって製造された対応する物質に比べて、このような凝集挙動の改善を示すということは従来認識されていなかった。
【0075】
SEDSTMプロセスを用いて、流体ビヒクルに懸濁させて送給する必要がある物質の生成物の特性にこの新たな改善を達成できることは有益である。SEDSTMは上述のような改善された生成物の性質を与えることが知られているが、その上にSEDSTMプロセスは比較的効率的であり、安全で、容易に封止される、コントロールされた再現性のあるプロセスである。それを用いて、例えば、スプレー乾燥では容易に調製できない水に不要な物質、超臨界CO2に不溶でRESSによって容易に調製できない物質、及び温度敏感な、又はその他の点で敏感で、他の従来の粒子形成プロセスが不適当な物質、など広範な種類の物質を調製することができる。SEDSTMはまた、結晶性の高い物質、及び/又は純度が高い物質(多形純度を含む)を低い残留溶媒含有量で生成できる。
【0076】
したがって、本発明の第七の様態は、物質の凝集性能を改善するために、活性物質を粒状形態で生成するための上述のようなSEDSTMプロセスの利用を提供する。
【0077】
このプロセスは、好ましくは、超臨界、近臨界、又は液体の、さらに好ましくは超臨界の、CO2を貧溶媒として用いて行われる。温度、圧力、及び流体の流量、などの動作条件の選択、及び溶媒、及び必要ならば貧溶媒修飾物質、の選択は、活性物質の性質、例えば、存在する流体における溶解度、及び異なる多形形態で存在できる場合、どの形態を析出させるか、に依存する。一般に、この条件は粒径を最小にするように選ぶべきである−これは通常、高い相対貧溶媒流量(例えば、標的溶液/懸濁液;貧溶媒流量比(2つの流体が接触する時又はその直前に)が0.03以下、好ましくは0.02以下、又は0.01以下)、及び/又は高い動作温度(例えば、50から100℃、好ましくは70から90℃)、及び/又は高い動作圧力(例えば、80から210バール、好ましくは90から200バール)、を選択することを意味する。
【0078】
SEDSTMプロセスの条件は又、好ましくは残留溶媒レベルを低くするように、及び/又は一般に生成物の純度(該当する場合、多形的な純度を含む)を高めるように選択される。プロセス条件は、生成物の結晶性を高めるように選択することができ、この場合は溶媒抽出プロセスをスローダウンさせるように、低い相対貧溶媒流量(例えば、標的溶液/懸濁液;貧溶媒流量比が0.01以上、好ましくは0.015又は0.02以上)が好ましい。
【0079】
本発明の第七の様態の生成物は、好ましくは第一から第六の様態のいずれかによる生成物である。
【0080】
本明細書において“凝集性能を改善する”とは、ある期間の後に、ある濃度における当該ビヒクル中でその物質が示す凝集体積を増加させることを意味する。それは、定量噴霧式吸入器などの送達装置における活性物質の流体懸濁物の性能(特に、性能の一様性及び/又は貯蔵安定性)を改善することを含む。本発明の第一、第二、第三、第四、第五、及び/又は第六の様態に関連して上で述べたタイプの凝集挙動、及び/又は安定性、及び/又は送達装置における性能、を達成するために、好ましくはSEDSTMプロセスが用いられる。
【0081】
性能及び属性のこのような変化は、SEDSTMプロセスによる処理以前のその物質の性能及び属性、及び/又は微粉化(micronisation)又はスプレー乾燥など別の粒子形成プロセスを用いて生成されたときの同じ物質(好ましくは、同じ粒径又は10%又は20%以下しか違わない粒径を有する)の性能及び属性、と比較した場合である。
【0082】
凝集体積は、“沈降体積”と呼ばれることもあり、通常の、比較的簡単な方法で測定できる。テストされる粒状形態の物質が所望の流体ビヒクルに適当な濃度で懸濁される。測定の開始時に、流体中で粒子を一様に分散させるために混合物を十分に(普通、単に振とうすることにより)撹拌しなければならない。撹拌が終わった直後に、時間を計り始める。混合物は、通常周辺条件で、静かに放置され、固体の沈積又はクリーム化の度合いが時間を追って観測される。
【0083】
ある時点における混合物の凝集体積とは、粒状分散物によって依然として占められている流体の体積を全流体体積のパーセンテージで表したものである。したがって、高い凝集体積は沈積/クリーム化が少ないことを意味し、改善された性能を意味する。
【0084】
本明細書において凝集体積に言及する場合、別に断らない限り、22℃で行われた測定を指す。
【0085】
凝集体積の測定が意味を持つためには、活性物質は選ばれた流体ビヒクルに、少なくとも活性物質が流体中に固体粒子として懸濁できる程度に、不溶でなければならない。活性物質の流体における溶解度は、好ましくは10-5%w/vよりも小さい。
【0086】
いくつかの活性物質/ビヒクル・システムでは、界面活性剤及び/又はその他の分散促進又は安定添加剤を用いてテストの開始時に十分な分散を確保している―これには、ビヒクルが水又は別の水性流体である多くのシステムが含まれる。しかし、SEDMTM生成物は、特に非水性ビヒクルにおいて、そのような添加剤なしでも所望の凝集挙動を示すことが見出された。
【0087】
本発明の第八の様態によれば、ヒト又は動物の体に行われる外科、治療、又は診断の方法で用いられる活性物質が提供され、その方法においてこの活性物質は非溶媒流体ビヒクルにおける懸濁物の形で患者に送達され、そのビヒクルにおけるこの物質の凝集性能は本発明の第一から第六の様態までのいずれかに関して上で定義されたようなものである。
【0088】
本発明の第九の様態は、医薬の製造における活性物質の利用を提供する。その医薬はこの物質の非溶媒流体ビヒクルにおける懸濁物を含み、この活性物質の凝集性能は、本発明の第一の様態から第六の様態までのいずれかに関連して上で定義されたようなものである。この医薬は、ヒト又は動物の体に行われる外科手術、治療、又は診断の方法で使用されるものである。
【0089】
第十の様態は、第一の様態から第六の様態までのいずれかによる活性物質の、非溶媒流体ビヒクルにおける少なくとも0.2%w/v、好ましくは少なくとも0.5%w/v、の濃度での懸濁物としての利用を提供し、さらに好ましくはこの懸濁物は分散促進又は安定添加剤を何も含まないか、又は活性物質の重量をベースとして0.01%w/w未満、好ましくは0.01%w/w未満又は0.001又は0.0001%w/w未満しか含まない。やはり、懸濁物は、好ましくは、共溶媒(co-solvent)又は潤滑性増強添加剤を何も含まない。
【0090】
本発明の第八及び第九の様態に簡素、活性物質は好ましくは第一の様態から第六の様態までのいずれかによる活性物質である。活性物質は好ましくは医薬的に活性な物質であり、さらに好ましくは吸入による送達に適当な物質である。それが最終的に用いられる医療方法は、本発明の活性物質に関連して言及された疾患のいずれかの治療に関わる。
【0091】
本発明の第八の様態から第十の様態までのその他の好ましい特徴は、第一の様態から第六の様態までのいずれかに関連して記載されたようなものである。特に、懸濁物は好ましくはエアロゾル噴射流体における、特にハイドロフルオロカーボン噴射剤、例えば、HFA134a及び/又はHFA227eaにおけるエアロゾル製剤であり、好ましくは吸入による患者への送達に適している。
【0092】
本発明の第十一の様態は、第一の様態から第六の様態までのいずれかによる活性物質を非溶媒流体ビヒクルに懸濁させた状態で含む製剤、普通はエアロゾル製剤、を提供する。
【0093】
活性物質は、好ましくは医薬的に活性な物質であるが、ニュートラシューティカル、化粧品、又は清拭剤(toiletry)、又は非溶媒流体による送達に適当なその他の活性物質であってもよい。
【0094】
流体ビヒクルは、好ましくは上述のようなエアロゾル噴射剤流体である。それは好ましくは、クロロフルオロカーボン噴射剤を含まず、さらに好ましくはハイドロフルオロカーボン噴射剤、例えば、HFA134a、HFA227ea、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、又はそれらの混合物から成る。その他の適当なビヒクルとしては、他のC1からC4ハイドロフルオロカーボン、例えば、CHF2CHF2、CF3CH2F、CHF2CH3及びCF3CHFCF3、及び過フッ化炭素、例えば、CF3CF3及びCF3CF2CF3などがある。ビヒクルは、好ましくは医薬的に受容されるグレードのものである。
【0095】
最も好ましくは、ビヒクルはHFA134a、HFA227ea、又はそれらの混合物である−これらの噴射剤は、例えば、DuPont Fluoroproducts, Wilmington, DEから入手できる。それは水又は他の水性流体であってもよいが、活性物質は選ばれたビヒクルに不溶、少なくとも固体粒子としての懸濁を可能にする程度に不溶でなければならない。
【0096】
本発明によれば、流体ビヒクルは2つ以上の流体の混合物から成るものであってもよい。混合物は、例えば、ビヒクルと活性物質の密度の差を最小にするようにして、活性物質の全体的な凝集性能を高めるようにできる。一例をあげると、HFA134aとHFA227eaの混合物を用いて懸濁させた活性物質の沈着又は“クリーム化”の危険を最小にすることができる。
【0097】
製剤中の活性物質の濃度は、活性物質の投薬レベルに応じて、0.1%w/v以上、0.2%w/v以上、又は0.5%w/v又は0.6%w/v又は0.7%w/v又は0.8%w/v又は1%w/v以上にすることができる。濃度は、好ましくは、0.1又は0.2から5%w/vであり、さらに好ましくは、0.5又は0.7から1.6%w/vであり、最も好ましくは0.5又は0.7から1.5又は1.3又は1.1又は0.9%w/vであるが、3%w/vに達することもできる。したがって、、場合によっては、本発明は比較的高い濃度の製剤を調製することを許し、高い投薬量で送達する必要がある活性物質では特に有用である。
【0098】
しかし、場合によっては、製剤中の活性物質の濃度は0.05から0.02%w/vという低い濃度になることもある。
【0099】
活性物質は、一般に、製剤に組み込まれる前に(例えば、非極性液体などの非溶媒による処理によって)表面修飾する必要はない。
【0100】
製剤には、1つ以上の界面活性剤、又は他の分散促進又は安定添加剤を含めることができる。典型的な例は、TweenTMシリーズで利用できるような非イオン界面活性剤である。製剤を入れて用いるエアロゾル缶又はその他の送達装置の内面に活性物質が付着するのを防ぐために潤滑剤を含めてもよい。しかし、好ましくは製剤は本質的に活性物質とビヒクルから成り、そのような添加剤は、低レベル(例えば、活性物質の質量をベースとして0.1%w/w未満、好ましくは0.01%w/w未満、又は0.001又は0.0001%w/w未満)でしか含まれない、又はさらに好ましくは全く含まれない。製剤は好適には共溶媒(co-solvent)を全く含まないか、又は低レベル(例えば、流体ビヒクルの質量をベースとして0.01%w/w未満、好ましくは0.001%w/w未満)でしか含まない。典型的な共溶媒は、エタノールなどのアルコールである。
【0101】
製剤の安定性は、好ましくは、本発明の第一の様態から第六の様態までに関連して上で述べたようなものであり、定量噴霧式吸入器などの送達装置で使用するとき、又は、例えカスケード・インパクターを用いて評価するときのエアロゾル性能(特に投薬の一様性)も同様である。特に、製剤は、好ましくは、少なくとも25%、さらに好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも35%、の微粒子比率(上で定義したような)を有する。
【0102】
さらに、本発明による製剤は特に効率的に活性物質を肺の中央及び特に深部に送達し、したがってさらに、肺を介して全身に活性物質を効率的に送達するということが見出された。(普通、MMADが4〜6μmの粒子、さらに詳しくは4.7〜5.8μmの粒子は肺の“中央”部分(気管と主気管支)に到達するが、MMADが3.5、好ましくは3.3μm以下の粒子だけが肺の“深部”(肺胞と二次気管支)に到達する。本発明の製剤は、懸濁した活性物質粒子の凝集及び団粒化に関して安定なので、高い生物学的利用率と効率的な放出プロフィールを有する活性物質を送達することができる。
【0103】
したがって、本発明による製剤が、定量噴霧式吸入器や同等の送達装置を用いて生きたヒト又は動物患者に送達されると、同じテスト条件の下で送達される(適当に同じ又は同様のMMADを有する)同じ活性物質の微粉化された(micronised)形態に比べて、活性物質は患者の血流に速やかに放出される。活性物質の生物学的利用率(例えば、投薬の送達後に到達する最高血漿濃度、又は全血漿濃度として表される)は、微粉化された同等物よりも高く、好ましくは少なくとも1.5倍又は1.8倍又は2倍又は2.5倍高くなる。本発明による活性物質は、例えば、水に溶けにくい薬の生物学的利用率及び/又は放出速度を改善するために従来用いられたポリマー賦形剤(例えば、ポリビニルピロリドンやポリエチレン・グリコール)などの賦形剤の有無に関わりなく、このようなテストで良い性能を示す。
【0104】
ある好ましい実施の形態では、本発明による製剤は、投与(普通、吸入)から1時間以内に、好ましくは30分以内に、さらに好ましくは15分以内に、患者の血流中で活性物質の最高濃度Cmaxに達する。この最高濃度を達成する時間を以下ではTmaxと呼ぶ。
【0105】
本発明の第十一の様態の好ましい特徴は、特に活性物質の性質、粒径、及び/又は形態に関する特徴、及び/又は送達装置におけるその安定性と性能に関する特徴は、第一の様態から第十の様態までに関連して記述したようなものである。
【0106】
本発明の第十一の様態は、また、流体(普通,液体)ビヒクルがエアロゾル噴射剤以外のもの、例えば、注射、経口、その他の適当な投与ルートによる送達を意図した医薬的に活性な物質のためのキャリア、である製剤も包含する。ビヒクルは有機でも水性でもよく、2つ以上の流体の混合物であってもよく、活性物質以外の物質を含んでもよい。
【0107】
本発明の第十二の様態は、薬剤送達装置、好ましくは吸入器、であって第一の様態から第六の様態までのいずれかによる活性物質の1つ以上の投薬製剤を含み、好ましくは、その物質をエアロゾル化する適当な流体ビヒクルも含む薬剤送達装置を提供する。あるいはまた、送達装置は、本発明の第十一の様態による1つ以上のエアロゾル製剤を含む、又は生成することができる。送達装置は、好ましくは予め定められた用量の活性物質を加圧流体ビヒクルで送達するように設計されたタイプ、例えば、定量噴霧式吸入器(この用語は加圧定量噴霧式吸入器(pMDIs)を含む)、である。
【0108】
本発明の第十三の様態は、本発明の第十一の様態によるエアロゾル製剤を入れる、MDIなどの送達装置、好ましくは本発明の第十二の様態による装置、で使用するのに適したエアロゾル缶を提供する。
【0109】
本発明の活性物質の高い凝集性能のために、エアロゾル缶の内面(すなわち、使用時にエアロゾル製剤と接触するようになる表面)を特別に処理して、例えば、潤滑性を高めるコーティングを施して、缶及び関連送達メカニズムの内側への活性物質の付着を減らすことは不必要になるだろう。
【0110】
エアロゾル缶の容量は、普通10〜20mlである。缶は、強化ガラス又はアルミニウムで好適に作ることができる。缶は、通常の送達メカニズム、例えば、典型的な体積が25〜100μl、さらに典型的には45〜70μl、例えば、50〜65μl、の定量バルブをバルブ・アクチュエータと合わせて含むことができる。
【0111】
第十四の様態によって、本発明は活性物質を送達する方法であって、エアロゾル缶に補による活性物質及び/又は製剤を充填するステップを含む方法を提供する。その後の缶の中身の送達はMDIなどの送達装置によって行われる。
【0112】
第十五の様態は、ヒト又は動物患者を治療する方法であって、患者に、本発明による活性物質及び/又は製剤を、好ましくは本発明の第十四の様態による方法を用いて投与するステップを含む方法を提供する。
【0113】
これらの方法はどちらも、好ましくは吸入器などの薬剤送達装置、さらに好ましくは本発明の第十二の様態による送達装置の使用を含む。活性物質は、好ましくは吸入治療に適した医薬的に活性な物質を含む。
【0114】
次に、本発明を添付の図面を参照して専ら実施例によって説明する。図面のうち:
図1から13までは、以下の実施例1から7まででテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【実施例】
【0115】
以下の実験では、SEDSTMプロセスを用いていくつかの薬剤を粒状形態で製造し、典型的なMDI噴射剤におけるその挙動を調べた。
【0116】
ほとんどの場合、粒子の形成を実行するのに用いたシステムは、WO-95/01221の図1に概略図で示された一般的なタイプであった。二通路同軸ノズル(WO-95/01221の図3を見よ)を用いて、500mlの(実施例1aを除く)粒子形成容器に、(i)溶媒キャリアにおけるその薬剤の溶液、及び(ii)貧溶媒としての超臨界CO2、を同時導入した。貧溶媒はノズル出口でキャリアを抽出し、粒子を析出させた。容器内の温度と圧力をコントロールして、CO2がプロセスの間ずっと、キャリアと混合されたときでも超臨界形態にとどまるようにした。
【0117】
粒状の生成物は、全て微細な、自由に流動する粉末でなめらかな粒子表面を有していた。
凝集体積は、上述の一般的な仕方で測定された。0.4gの当該サンプルが100mlのガラス・エアロゾルびんに充填された。びんは40mlの噴射剤流体と共に加圧されて1%w/v分散物を作り、30秒間激しく振とうして粉末を完全に分散させた。振とうの後、びんは平らな表面に置かれ、その後の10分間、凝集体積が15秒毎に目で測定された。
【0118】
実施例1a−キシナホ酸サルメテロールの調製
多形形態Iのキシナホ酸サルメテロール(サンプルA)がメタノールから(2%w/v)、動作温度60℃、動作圧力100バール、出口直径200μmのノズル、容量50mlの粒子形成容器、サルメテロール溶液の流量0.4ml/分、及びCO2流量20ml/分(注:全てのCO2流量はポンプヘッドで測定された)を用いて析出された。生成物のMMADは5.3μmであった(AerosizerTM)。
【0119】
キシナホ酸サルメテロール形態Iの別のサンプル(B)が、WO-03/008082に記載されている変形SDMSTMプロセスを用いて作られた。このプロセスでは、サルメテロール溶液とCO2は、それぞれ、入口チューブと直角に向いたノズル(出口直径200μm)を通って導入され、CO2流量はノズル出口で音速を獲得するのに十分であった。この粒子形成プロセスでは、サルメテロール/メタノール溶液の濃度は3%w/vであり、動作温度は36℃、動作圧力は80バール、サルメテロール溶液の流量は4ml/分、CO2流量は158ml/分であった。CO2は、ノズルで流体が膨張するときのJoule-Thomson冷却を補償するためにノズルに入る前に90℃に予熱された。生成物のMMADは1.6μmであった(AerosizerTM)。
【0120】
実施例1b−キシナホ酸サルメテロールの凝集性能
実施例1a(サンプルAとB)の凝集性能が噴射剤HFA134a(キシナホ酸サルメテロールより密度が低い)とHFA227ea(キシナホ酸サルメテロールより密度が高い)で、どちらの場合も10分間にわたってテストされた。標準的な微粉化プロセスで作られたキシナホ酸サルメテロール形態IのサンプルC(MMADはAerosizerTMで1.1μm)も同じ条件の下でテストされた。
【0121】
図1は、HFA134aにおける3つのサンプルの凝集体積の時間変化を最初の体積のパーセンテージで表して示す図である。SEDSTMで生成された2つのサンプル(すなわち、本発明による生成物)の性能は、微粉化(micronised)サンプルの性能より明らかに優れていた。微粉化サンプルは3分後の凝集体積が40%未満であり、10分後はわずか30%であった。SEDSTMサンプルは10分後でも90%以上の凝集体積を保持し、サンプルBの場合は98%を超えていた。
【0122】
サンプルBは、24時間静置した後でも98%を超える凝集体積を保持することが見出された。
【0123】
サンプルAの凝集体積の変化率は、最初の2分間の静置で平均して、毎分−3%であった。サンプルBの場合、この変化率は毎分−0.2%であった。これと対照的に、微粉化サンプルCの場合、この変化率は最初の1分で平均して毎分−38%であった。これらの数字は当該期間の凝集体積を測定し、直線に回帰させて初期凝集速度の指標を求めて得られた。計算された凝集速度の誤差は、ほぼ毎分2.5%であった。したがって毎分2.5%未満の凝集速度は無視できるほどの沈降又はクリーミングと等価である。
【0124】
図2は、同じサンプルがHFA227eaでどのように振る舞うかを示している。やはり、SEDSTMで生成されたサンプルAとBは微粉化サンプルCよりも優れた性能を示した。サンプルCでは、5分後、凝集体積が35%を下回った。SEDSTMで生成されたサンプルは、5分後、さらに10分後でも40%を超える凝集体積を保持していた。
【0125】
HFA227eaでは、凝集体積の変化率は、最初の2分間で平均して、サンプルAの場合は毎分−11%、サンプルBの場合は毎分−19%であった。サンプルCは、最初の1分間で凝集速度が毎分−53%であった。
【0126】
実施例2a−ブデソニドの調製
ブデソニドを、アセトン(2%w/v)から70℃、100バールで析出させた。ブデソニド溶液の流量は12.6ml/分、CO2の流量は833ml/分であった。出口が800μmのノズルが用いられた。生成物のMMADは1.65μmであった(AerosizerTM)。
【0127】
実施例2b−ブデソニドの凝集性能
実施例2aの生成物の凝集性能が、噴射剤HFA134a(ブデソニドより密度が低い)とHFA227ea(ブデソニドより密度が高い)で、微粉化ブデソニド・サンプル(MMD1.5μm)の凝集性能と比較された。
【0128】
図3は、HFA134aにおける結果を示す。やはり、本発明の生成物の性能は微粉化サンプルの性能よりも明らかに優れていた。微粉化サンプルは、2分後の凝集体積が40%未満、6分後の凝集体積が30%未満であった。それに対してSEDSTMサンプルは、10分後でも凝集体積がまだ80%であった。その凝集体積の変化率は、最初の2分間で平均して、毎分−3.5%であった。微粉化サンプルは、最初の1分間で、−37%という凝集速度を示した。
【0129】
図4は、HFA227eaにおける結果を示し、微粉化サンプルに比べてSEDSTMサンプルの凝集体積がはっきりと高い(5分後で50%を超え、10分後でもまだ40%よりも大きい)ことを示している。この場合、凝集体積の変化率は、SEDSTMサンプルの場合、最初の2分間で平均して毎分−13%であったが、微粉化サンプルの場合、最初の1分間で毎分−44%であった。
【0130】
実施例3a−プロピオン酸フルチカゾンの調製
プロピオン酸フルチカゾンの2つのサンプル(異なる多形形態IとII)を、表1に示す動作条件によってアセトン(4%w/v)から析出させた。
【0131】
【表1】
【0132】
実施例3b−プロピオン酸フルチカゾンの凝集性能
実施例3aからのサンプルAとBが、噴射剤HFA134a(プロピオン酸フルチカゾンよりも密度が低い)において、プロピオン酸フルチカゾン形態Iの微粉化サンプルD(MMD2.0μm)と比較された。
【0133】
図5は、3つのサンプルの10分間にわたる凝集体積の変化を、最初の体積のパーセンテージで表して示している。2つのSEDSTMサンプルの性能は、微粉化サンプルDの性能に比べてはっきりと優れている。後者は10分後の凝集体積が30%未満であるのに対して、SEDSTM生成物はどちらも、同じ時間の後に45%を超える凝集体積を保持した(2.3μmサンプルAの場合、約50%、5.6μmサンプルBの場合、90%より大きい)。
【0134】
微粉化生成物は、2つのSEDSTMサンプルよりも粒径は小さいにも関わらず、噴射剤における性能がそれほど良くないということが注目される。
【0135】
HFA134aにおける凝集体積の変化率は、どちらも最初の2分間で平均して、サンプルAでは毎分−20%、サンプルBでは毎分−1%であった。サンプルDは、最初の1分凝集速度が−68%であった。
【0136】
実施例3aのサンプルBとCの凝集挙動はまた、プロピオン酸フルチカゾンよりも密度が高い噴射剤HFA227eaにおいて微粉化サンプルDと比較された。図6は、その結果を示す。2つのSEDSTM生成物は10分後でも90%を超える凝集体積を示し、サンプルCは特に高い性能を示したが、微粉化サンプルは、わずか3分後に凝集体積が30%未満になった。凝集速度は最初の2分間で平均して、サンプルBでは毎分−0.5%、サンプルCでは毎分0%出会った。サンプルDは、最初の1分間で毎分−40%という凝集速度を示した。
【0137】
実施例4a−硫酸サルブタモールの調製
硫酸サルブタモールを、ジクロロメタン(DCM)を貧溶媒修飾物質として用いてメタノール(1%w/v)から析出させた。動作温度は75℃、圧力は200バールであった。サルブタモール溶液の流量は42ml/分、DCMの流量は84ml/分、そしてCO2の流量は633ml/分であった。使用したノズルの出口直径は900μmであった。
生成物は板状結晶の形でMMDは3.95μmであった。
【0138】
実施例4b−硫酸サルブタモールの凝集性能
実施例4aの生成物が、噴射剤HFA134a(硫酸サルブタモールよりも低密度である)とHFA227ea(硫酸サルブタモールよりも高密度である)において、MMDが14.5μmの微粉化サルブタモール・サンプルと比較された。
【0139】
図7は、HFA134aにおける2つのサンプルの10分間にわたる凝集体積の変化を最初の体積のパーセンテージで表して示している。本発明の生成物は微粉化サンプルに比べて優れた性能を示した。後者はわずか2分後に凝集体積が20%未満になったが、SEDSTM生成物は10分間のテスト時間の間70%を超える凝集体積を保持した。凝集速度は、SEDSTMサンプルでは最初の2分間にわたって平均して毎分−10%であったが、微粉化サンプルでは最初の1分間で平均して毎分−84%であった。
【0140】
図8は、HFA227eaにおける結果を示す。HFA227eaでは、微粉化サンプルはわずか2分後に凝集体積が20%未満になったが、SEDSTM生成物は8分後に凝集体積が70%より大きく、10分後でも60%を超える凝集体積を保持した。凝集速度は、SEDSTMサンプルでは最初の2分間で平均して毎分−5%、微粉化サンプルでは最初の1分間で平均して毎分−55%であった。
【0141】
実施例5a−メシル酸ジヒドロエルゴタミンの調製
極性薬剤メシル酸ジヒドロエルゴタミン(DHE)を50℃及び100バールでメタノール(5%w/v)から析出させた。DHE溶液の流量は1ml/分、そしてCO2の流量は200ml/分であった。用いたプロセスは、実施例1aにおいてサルメテロール・サンプルBで用いられた変型SEDSTMであった。このプロセスでは、CO2はノズル出口で音速ニナリ、ノズルに入る前に120℃に予熱された。生成物のMMADは1.25μm(AerosizerTM)であり、小さな板状結晶から成っていた。
【0142】
実施例5b−メシル酸ジヒドロエルゴタミンの凝集性能
実施例5aの生成物の凝集挙動が、DHEよりも密度が高い噴射剤HFA227eaにおいてテストされた。MMDが15.1μmだった微粉化されたDHEスタート物質もテストされた。
【0143】
図9は、2つのサンプルに関する結果を示しており、明らかにSEDSTM生成物が微粉化されたバージョンより性能が優れていた。10分後、SEDSTM生成物はまだ100%という凝集体積を示したが、微粉化サンプルではわずか1分後に凝集体積が20%未満になり、5分後には10%未満になった。24時間後でもHFA227eaで目に見えるほどのクリーミングを示さなかった。
【0144】
凝集速度は、SEDSTMサンプルの場合、最初の2分間で平均して毎分0%であったが、微粉化サンプルの場合、最初の1分間で平均して毎分−90%であった。
【0145】
実施例6a−リスペリドン−(9−ヒドロキシ)−パルミテートの調製
極性薬剤リスペリドン−(9−ヒドロキシ)−パルミテートを、80バールでテトラヒドロフラン(5%w/v)から析出させた。2つのサンプルAとBが、実施例1aのサンプルBの場合のような変型SEDSTMプロセスを用いて作られた(音速のCO2;CO2を90℃に予熱;容器温度36℃);第三のサンプルCは、実施例1aのサンプルAの場合のようなプロセスを用い、動作温度41℃及びノズル出口直径400μmを用いて作られた。リスペリドン溶液の流量は、サンプルAでは4ml/分、サンプルBとCでは1ml/分であった。CO2の流量は全ての実験で200ml/分であった。
【0146】
MMD(SympatecTM)は、サンプルAでは2.95μm、サンプルBでは2.5μm、サンプルCでは3.5μmであった。
【0147】
実施例6b−リスペリドン−(9−ヒドロキシ)−パルミテートの凝集性能
実施例6aの生成物が、HFA134aとHFA227eaの両方で、スタート物質(MMD8.1μm)と比較された。
【0148】
HFA134aでは(図10)、実施例6aの生成物が明らかにスタート物質を超える性能を示し、サンプルAとBの場合、10分後でも凝集体積は100%であった。サンプルCは、10分後も凝集体積が80%より大きかったが、これに対してスタート物質はわずか1分後に凝集体積が20%未満であった。凝集速度は、最初の2分間で平均して、サンプルA、B、及びCで、それぞれ、毎分0,0,及び−1%であり、微粉化サンプルでは最初の1分間で平均して毎分−152%であった。
【0149】
HFA227eaでは(図11)、本発明の全ての生成物は、5分後に80%を超え、10分後に70%を超える凝集体積を示した。これと対照的に、スタート物質では、わずか1分後に凝集体積が20%未満であった。この場合、凝集速度は、最初の2分間で平均して、サンプルA、B、及びCで、それぞれ、毎分−2.5,−3,及び−3%であり、微粉化サンプルでは最初の1分間で平均して毎分−117%であった。
【0150】
実施例7a−“化合物I”の調製
抗喘息薬“化合物I”を、80℃、200バ−ルで、400μmの直径のノズルを用いてメタノールから析出させた。2つのサンプルAとBが、それぞれ、0.2及び1.25%の薬剤溶液濃度を用いて作られた。サンプルAの調製では、薬剤溶液流量は10ml/分、CO2流量は100ml/分であり、サンプルBの調製では、薬剤溶液流量は4.5ml/分、CO2流量は150ml/分であった。どちらの場合も、針状結晶が得られた:それらのMMDは、それぞれ、5.7及び15.1μmであった(SympatecTM)。
【0151】
実施例7b−化合物Iの凝集性能
実施例7aの生成物を、HFA134aとHFA227eaの両方において、化合物Iの微粉化サンプル(MMD3.4μm)と比較した。
【0152】
HFA134aでは(図12)、実施例7aの生成物はどちらも10分後に100%の凝集体積を保持したが、微粉化サンプルは同じ時間の後に凝集体積が35%未満になった。凝集速度は、サンプルAとBでは、最初の2分間で平均して毎分0%であったが、微粉化サンプルでは、最初の1分間で平均して毎分−23%であった。
【0153】
HFA227eaでは(図13)、やはり本発明の生成物は10分間のテスト期間に何もクリーミングを示さなかったが、微粉化サンプルは、テストの終わりまでに凝集体積が35%未満に減少した。凝集速度は、サンプルAとBでは、最初の2分間で平均してやはり毎分0%であった。
【0154】
実施例8a−ブロモクリプチンの調製
パーキンソン秒の治療に用いられる極性薬剤、メシル酸ブロモクリプチン、を、実施例1aのサンプルBのように変型SEDSTMプロセス(音速CO2;CO2を90℃に予熱)を用いてエタノール(濃度1.2%w/v)から析出させた。動作圧力と温度は、それぞれ、80バール及び36℃であった。薬剤溶液流量は、サンプルAでは1ml/分、サンプルBでは4ml/分であった;どちらの場合も、CO2流量は200ml/分であった。ノズルの出口直径は200μmであった。
サンプルBは小さな板状結晶の形で析出し、サンプルAはアモルファスであった。
【0155】
実施例8b−ブロモクリプチンの凝集性能
実施例8aの結晶生成物(サンプルB)の凝集性能がHFA134aとHFA227eaの両方でテストされた。
【0156】
HFA134aでは、サンプルは10分後も凝集体積53%を保持した。HFA227eaでは、10分後凝集体積は95%であった。
【0157】
実施例9−MDI投薬量の一様性(DHE0.65%w/w)
結晶DHEを、実施例1aにおいてサルメテロール・サンプルBで用いられた変形SEDSTMプロセスによって調製した。薬剤は、ジメチルホルムアミド/水(9:1v/v)混合物(5%w/v)から50℃、100バールで析出させた。CO2はノズル出口で音速になり、ノズルに入る前に112℃に予熱された。ノズルは出口直径が0.2mmで、粒子形成容器の容量は2リットルであった。CO2の流量は12kg/時間、DHE溶液の流量は1ml/分であった。生成物は薄い板状粒子の形を有していた。
【0158】
次に、本発明に従ってエアロゾル製剤を、18mlのpMDIエアロゾル・カニスター(Presspart, Cary, NC)に、DHEを噴射剤HFA134a(DuPont Fluoroproducts, Wilmington, DE)に薬剤濃度0.65%w/vで懸濁させて調製した。カニスターは、ValoisTM Df 30/63 RCU 63μl定量バルブ(Valois Pharmaceuticals, Marly-le-Roi, France)を装備していた。(全てのエアロゾル性能テストで、別に断らない限り、活性物質サンプルは周辺条件で貯蔵され、製剤され、テストされたことに注意。)
【0159】
この製剤のユニット投薬を、USPインダクション・ポートを取り付け28.31l/分で動作するAndersenTMカスケード・インパクターに送給した。インパクターのいろいろなステージにおけるデポジション・プロフィールとそれらのMMADsが缶寿命(ほぼ100ショット)の始め(呼び水−5ショットを無益に発射した後)と終わりに測定した。その目的は、この期間にわたる投薬の一様性を評価することである。標準実験手順USP<601>とUSP<905>に従ってカスケード・インパクターと投薬一様性のテストを行った;DHEレベルはHPLCによって評価され、ex-valveとして報告された。ショットの間の間隔は少なくとも30秒あけて、エアロゾル缶の冷却とそれによる水分凝結を防止した。
【0160】
各製剤は3つのエアロゾル缶でテストされた。各缶及び与えられたカスケード・インパクション(CI)・パラメータ(例えば、微粒子比率FPF)について、平均値がスタート及び終わりのテスト値から計算された。全体平均、及び平均のパーセンテージとしての相対標準偏差(RSD)、も3つの缶全部について計算された。
【0161】
CI測定値及び計算値が、(a)MMAD、(b)微粒子投薬量(送達されたMMAD<3.3μmの薬剤の重量)、及び(c)微粒子比率(送達されたMMAD<3.3μmの薬剤のパーセンテージ)について表2に示されている。
【0162】
“%差”とは、始め及び終わりのテスト値の差を平均のパーセンテージで表したものである。
【0163】
【表2】
【0164】
3つのパラメータ全部に関して、特に微粒子投薬量に関して、始めと終わりのテスト値の間には良い一貫性(consistency)があり、3つの缶の間の変動も比較的小さい。これらのデータは、良い凝集性能、及び(MMAD値の一貫性から)粒子の成長と団粒化が低レベルであること、すなわち、薬剤が噴射剤に安定に懸濁していること、を示している。微粒子比率と粒径からして、DHEは、吸入治療に、特に肺の中心を介して全身に送達するために、きわめて適当である。
【0165】
投薬含有量の一様性は、USP法に従ってThiel の装置を用いて評価された。やはり3つの缶をテストした。送達された投薬の全DHE含有量の測定は、送達期間の始め、中頃及び終わりに、送達される投薬のほぼ(バルブの呼び水の後)1,50,及び100回に対応する時点で行われた。分析ショットを採取する直前に2回の呼び水のショットが発射された。各缶について、これらの3つの測定値にわたる平均と%RSDが計算された。
【0166】
結果は表3に示されている。全ての測定値は(RSDパーセンテージは別として)送達されたDHEのμgで表されている。
【0167】
【表3】
【0168】
やはり、データはテスト期間にわたる投薬含有量の良い一様性を示し、懸濁液の良い安定性を示している。
【0169】
実施例10−MDI投薬量の一様性(DHE1.3%w/w)
DHEをHFA134a中で1.3%w/wの濃度で製剤して実施例9を繰り返した。結果は表4(CIテスト)と5(投薬含有量の一様性)に示されており、やはり懸濁液の良い安定性と送達の高い一様性をはっきり示している。
【0170】
【表4】
【0171】
【表5】
【0172】
実施例11−製剤の安定性(DHE)
本発明のよるエアロゾル製剤の安定性が、周囲条件下での長期貯蔵期間ヲシミュレートするように設計された熱サイクリング処理を用いて評価された。実施例9で述べたように調剤された薬剤DHEの結晶サンプル(SympatecTMによりVMD2.8μm;バルク粉末密度0.14g/ml)が、実施例9と10のように、標準pMDIエアロゾル・カニスター中でHFA134aに懸濁された。2つの製剤が調製された。11AはDHE濃度が8mg/ml、11BはDHE濃度が16mg/mlであった。
【0173】
カニスターは、3回の−20℃から40℃までの間の3又は4時間サイクルから成る温度サイクリングに4週間さらされた。2つのサンプルは1,2,及び4週の各時点で取り出されて、粒径分布が調べられた(AndersenTMカスケード・インパクション(ACI)、缶寿命の始め)。投薬含有量一様性(缶寿命の始め、中頃,終わり)は1及び4週の時点で評価された。方法は実施例9と同様であった。3つのサンプルは、また、プレ−熱サイクリングでもテストされた(時刻ゼロ);この場合、粒径は缶寿命の始めと終わり(呼び水の後の100回目のショット)の両方で評価され、6つの測定値全部の平均MMADが得られた。
【0174】
粒径(ACI)の結果が、製剤11Aについては表6に、製剤11Bについては表7に示されている。微粒子比率FPFはやはりMMAD<3.3μmを有する比率である。
【0175】
【表6】
【0176】
【表7】
【0177】
表6と7のデータは、熱サイクリング全体にわたるMMAD及びFPFの良い一貫性を示し、本発明の製剤の高度の中長期的な貯蔵安定性を示している。微粒子比率は高く、口咽頭へのデポジション(付着)は低い。
【0178】
投薬含有量の一様性に関する結果を、製剤11Aと11Bについて、それぞれ、表8と9に示す。数字は、DHE投薬含有量及び缶寿命全体にわたる%相対標準偏差(RSD)に関するものである。
【0179】
【表8】
【0180】
【表9】
【0181】
やはり、これらのデータも製剤の良い安定性を示しており、投薬含有量の一様性は熱サイクリング全体にわたって保たれている。
【0182】
本発明のDHEの高い結晶性がエアロゾル製剤の安定性の向上に寄与していると考えられる。アモルファス相領域は、時間と共に、特に(しばしば起こることであるが)大気中の水分がバルブ・メカニズムを通してエアロゾル・カニスターに入り込む場合、噴射剤流体に溶解する経口が強い。この溶解に続いて、活性物質がまだ懸濁している粒子のまわりに再結晶し、粒子の成長及び/又は団粒化、及びその結果としてのMMAD並びに最終的なエアロゾル性能の変化につながる。本発明のDHE製剤はこの点で、長期間の貯蔵を表す条件下でも高度の安定性を有するように思われる。
【0183】
実施例12−MDI送達の効率(ブロモクリプチン)
実施例8aで述べたようにアモルファス及び結晶メシル酸ブロモクリプチン・サンプルが調製された。やはり、サンプルAはアモルファスであり、サンプルBは高度に結晶性であった。
【0184】
それぞれ、ブロモクリプチン・サンプルAとBをHFA227eaに懸濁させて含むエアロゾル製剤12Aと12Bが50μl定量バルブ(Valois Pharmaceuticals, Marly-le-Roi, France)を装備した19mlのアルミニウム・エアロゾル・カニスター(Presspart Inc, Cary, NC)中に調製された。懸濁の濃度は、製剤12Aで0.7%w/w、12Bで0.69%w/wであった。0.74%の微粉化ブロモクリプチンを含む対照製剤12Cが調製された。いずれの場合も、粉末は最初カニスターを10−15秒間バス・ソニケーターで超音波処理し、次にリスト・アクション・シェーカーに約30分間載せて分散させた。各カニスターは、次に最初の5ショットを無益に発射して呼び水とした。
【0185】
製剤はAndersenTMカスケード・インパクターでテストして空気動力学的な粒子性質を測定した。カスケード・インパクターは、USPインダクション・ポート(<USP601> Pharmaceutical Previews 22, 3065 (1995))を取り付けて、28.3l/分で使用した。粒径分布は、pMDIアクチュエーター、USPインダクション・ポート、8つのステージ及び最終フィルターに付着する薬剤質量に分けられた。1回のテストで5ショットを、缶の冷却とそれによって生ずる水分凝結を防止するためにショットの間に少なくとも30秒の間隔をあけて、作動させた。各サンプルのブロモクリプチン含有量はHPLCによって測定された。ステージ4から最終フィルターまでに付着する全投薬のパーセンテージ(MMADが3.3μm未満の粒子に対応する)が微粒子比率と見なされた。
【0186】
測定値は、(a)実験の始めに、呼び水の後、送達された5ショット、(b)実験の中頃の5ショット、及び(c)カニスターの終わりに近い5ショット(実験あたりのショットの総数は約120)、にわたって記録された。
【0187】
製剤12Aから12Cまでの各々についてのテストは、3つの別々のエアロゾル缶を用いて三重複で行われた。各パラメータについて、得られた9つの測定値(すなわち、3つの缶の各々について始め、中頃及び終わりのテスト値)に基づく平均、ならびに標準偏差SDが計算された。
【0188】
結果を表10に示す。FPDは微粒子投薬量であり、FPFは微粒子比率である。
【0189】
【表10】
【0190】
一般的に言って、本発明による製剤12Aと12Bを用いたテストでは、3つの缶の各々で記録された始め、中頃、及び終わりのテスト値の間できわめて小さな変動(FPFに関してSD<3、MMADに関してはSD<0.2)しか見られなかった。全体として、本発明の製剤では一貫して良い性能が観測され、微粉化対照に比べて本発明の製剤は微粒子比率が高く、スロート付着が少ない、優れたエアロゾルを生じた。
【0191】
実施例13−MDI投薬量の一様性(ブロモクリプチン)
実施例9で用いたと同様のテスト手順に従って、3つの製剤12Aから12Cまでの投薬含有量の一様性が、充填されたエアロゾル・カニスターの全内容にわたって確認された、ベースプレート(クアドラポッド)装置を用いて、0.6mm外径のValoisブート・アクチュエーター(Valois Pharmaceuticals, Marly-le-Roi, France)から各製剤を作動させて、10mlのメタノール/水に採取した。送達された各投薬のブルモクリプチン含有量が、充填されたカニスター使用の始め、中頃、及び終わりについて、HPLCに予って重複して測定された。
【0192】
表11は、各製剤について3つのエアロゾル缶で平均された投薬含有量を、缶寿命の始め、中頃、及び終わりについて示している。各製剤についての全体平均投薬含有量も、缶寿命を通しての投薬含有量の変動の指標となる%RSDと合わせて示されている。やはり、全ての測定値は(RSDパーセンテージを除いて)送達された薬剤のμgで表されている。
【0193】
【表11】
【0194】
やはり、製剤12Aと12Bは、特に微粉化薬剤を含む製剤12Cと比べたとき、テスト期間にわたる投薬含有量の良い一様性を示している。これは、本発明による製剤の懸濁物の良好な安定性を示す。活性物質がアモルファス相で存在する場合でも、HFA227eaにおける懸濁の安定性はきわめて高いように見える。これはさらに、再結晶に対する安定性が高いことを示しており、それは、活性物質が結晶化の後の微粉化などの従来のルートによって調製された場合に比べて、本発明に従って調製された場合の純度の高さ、特に残留溶媒レベルの低さ、によるものと考えられる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状形態の活性物質に関し、それらを調製する方法、それらを含む製剤、及びそのような物質及び製剤の利用に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の薬剤は、知られているタイプがいくつかある吸入器を用いて吸入によって患者の鼻及び/又は肺に送達される。これらの装置のあるものでは、薬(又はその薬を含む、例えば、医薬的に受容されるラクトースなどの賦形剤と合わせて含む製剤)は、流体のビヒクルに粒の状態で懸濁され、そのビヒクルが薬を適当に分散した状態で意図する投与部位に運ぶ役目をする。薬をエアロゾル化した形で送達しようとする場合、ビヒクルは加圧された噴射流体を用いることができる。例えば、“定量噴霧式吸入器”(MDIs)をこのような送達のために用いることができる、例えば、ブデソニド(PulmicortTM, AstraZeneca)、サルブタモール(VentolinTM, Glaxo SmithKline and ProventilTM HFA, Schering Plough)、キシナホ酸サルメテロール(SereventTM, Glaxo SmithKline)、及びフルチカゾン(FloventTM, Glaxo SmithKline)、などを投薬するのに用いられるようなものである。
【0003】
典型的な噴射流体としては、ハイドロフルオロアルカン、例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134aとして入手できる)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227eaとして入手できる)、及び1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンなどがあげられる。
【0004】
粒状薬剤は流体ビヒクルにできるだけ一様に懸濁させなければならない。これは通常、ある用量の薬を投薬する前に吸入器を振ることによって達成される。振った後、薬がビヒクルに十分な時間懸濁したままで意図した投与部位に到達できることが望ましいことは明らかである。しかし、粒状薬剤/噴射懸濁液は、限られた時間しか安定にとどまらないことが多い。薬剤の方が噴射流体よりも密度が高い場合、薬は“沈降”又は“凝集”する傾向がある、すなわち、沈降して懸濁液から出てしまう。薬剤の方が噴射流体よりも密度が小さい場合、薬は“クリーム”になる、すなわち、噴射流体の上の方へ浮かび上がる傾向がある。このために効率が低下し、投薬量の送達の精度が低下する。適当に一様な懸濁液を達成して維持するために、しばしば薬剤/噴射流体混合物に界面活性剤などの分散促進剤を加える必要がある。
【0005】
そのような方法を用いても、通常の貯蔵期間及び条件下で安定しており、平均的な吸入器の使用寿命の間ずっと一様な投薬を可能にする吸入可能な懸濁液を調製することは、普通、困難であった。
【0006】
分散性能を改善するためにMDI製剤で中空の、又は少なくとも部分的に流体を含む粒子を用いることも提案された。例えば、US-6,309,623に記載されている穴あきミクロ構造、及びWO-97/36574に開示されている中空微小球、どちらも吸入器で使用するために提案されたものを参照されたい。
【0007】
粒状活性物質、例えば薬、は公知のいろいろな方法で製造される、例えば、溶液からの結晶化、溶液からの貧溶媒(anti-solvent)沈殿、粉砕、微粉化、凍結乾燥、又はそれらのプロセスの組み合わせ、などである。また、超臨界又は近臨界流体を利用する粒子形成プロセスも公知である、すなわち、問題の物質の溶媒として利用するRESS(Rapid Expansion of Supercritical Solution−Tom & Debenedetti, J. Aerosol. Sci.., 22(5), 555-584 (1991) を見よ)と呼ばれるプロセス、又は貧溶媒として利用してその物質を別の溶液から沈殿させるGAS(Gas Anti-Solvent)沈殿(Gallagher et al., ACS Symp. Ser., 406, p334 (1989) を参照されたい)と呼ばれるプロセス、などである。
【0008】
しかし一般に、吸入できる薬を製造する公知のプロセスは、噴射流体における性能が良くない粒子を生ずる、すなわち、それらが示す凝集挙動は良くない。知られている多くの粒状薬剤では、凝集する傾向が深刻な問題になることがあり、懸濁液を振った後一分たたないうちに、すなわち、しばしばある用量の薬をうまく投薬できる前に、又は少なくともそれが投与の目標部位に到達する前に、顕著な沈殿が生ずる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、流体ビヒクルに懸濁させて送達する必要がある粒状の薬剤、及び実際には、その他の活性物質であって、そのようなビヒクルにおける凝集挙動が改善されたものを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の様態によれば、粒状形態の活性物質であって、流体ビヒクル1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)に不溶であり、そのビヒクルに0.2〜5%w/vの濃度で懸濁されたときに、5分後に35%以上の凝集体積を示すものが提供される。
【0011】
第二の様態によれば、本発明は粒状形態の活性物質であって、流体ビヒクル1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)に不溶であり、そのビヒクルに0.2〜5%w/vの濃度で懸濁されたときに、5分後に35%以上の凝集体積を示すものを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図2】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図3】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図4】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図5】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図6】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図7】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図8】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図9】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図10】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図11】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図12】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【図13】実施例においてテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
凝集体積とは、本明細書で言及される場合、粒状懸濁物によって占められているビヒクルの量の尺度であり、したがって、この値が高いことは凝集が少ない(活性物質がビヒクルより高密度のとき)、又はクリーミングが少ない(活性物質がビヒクルより低密度のとき)ことを意味し、したがって、ビヒクルに固体が一様に分散しているために性能が向上していることを意味する。
【0014】
本発明をはっきり示すために、HFA134aとHFA227eaが、凝集体積を測定するための適当な参照基準として用いられている。しかし、本発明による活性物質は、どんな適当な非溶媒ビヒクルに懸濁させて用いても、凝集性能の向上が得られる。
【0015】
本発明の第一の及び/又は第二の様態によれば、5分後の凝集体積は、好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは少なくとも60%又は70%又は75%又は80%又は85%又は90%又は95%又は98%である。達成される数字は活性物質の性質、及びその粒径及び形態などの因子に以下で説明するように依存する。
【0016】
この凝集体積が、好ましくは6分後に、さらに好ましくは8分後に、さらに好ましくは10分後に、さらに好ましくは15,30又は60分後に、又は場合によっては2,6,12又は24時間後でも示される。わずか0.5又は1又は2分後には確実に示される。凝集体積は、好ましくは0.5%w/vを超える濃度、さらに好ましくは0.5から3又は4%w/v、最も好ましくは0.5から1.5又は2%w/v、又は0.8から1.3又は1.5%w/v、例えば、1%w/v、という濃度で測定される。上述の凝集性能は又、もっと低い活性物質濃度で、例えば、0.15又は0.1%w/vという濃度でも示される。
【0017】
凝集体積は、好ましくは20秒後に、さらに好ましくは30秒又は40秒又は60秒又は90秒後に、最も好ましくは2分又は3分又は5分後にも、50%を超える。
【0018】
本発明の活性物質は、好ましくは上述の凝集性能を他の非溶媒流体ビヒクルにおいて、特にハイドロフルオロカーボン噴射剤又はそれらの混合物において(例えば、HFA134aとHFA227eaの混合物において)示す。
【0019】
好ましくは、本発明の活性物質は、分散を促進する又は安定化する添加剤(例えば、界面活性剤)が活性物質/ビヒクル混合物中に存在しなくても、又は少なくとも従来同じ活性物質/ビヒクルの追で必要であったその種の添加剤のレベルに比べて低いレベルでしか存在しなくても、例えば、添加剤(特に、界面活性剤)レベルが活性物質の質量をベースとして0.1%w/w未満、好ましくは0.01%w/w未満又は0.001又は0.0001%w/w未満というレベルであっても、上述の凝集挙動を示す。
【0020】
好ましくは、本発明の活性物質は、共溶媒(co-solvent)、特にアルコール(例えば、エタノール)が存在しなくても、この凝集挙動を示す。
【0021】
したがって、その凝集体積は、活性物質及び関連ビヒクルだけを含む、又は本質的にそれだけから成る懸濁液で測定される。
【0022】
さらに、本発明の活性物質は、好ましくは、潤滑性増強添加剤が活性物質/ビヒクル混合物中に、又は混合物の凝集性能がテストされる容器の内面に存在しなくても(又は低レベルであっても、例えば、懸濁液の全体積をベースとして0.1又は0.01又は0.001%w/wというレベルであっても)上述の挙動を示す。現在エアロゾル製剤で用いられている典型的なこの種の潤滑剤としては、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールがあげられる;例えば、エアロゾル・カニスターの表面によく用いられるコーティングとしては、エポキシ樹脂又はフェノリック・ビニル系コーティングがあげられる。
【0023】
したがって、ビヒクル中の活性物質の凝集体積は、例えば、ガラス又はアルミニウム製の容器で測定され、その内面に潤滑性増進物質を担持又は組み込む必要はない。
【0024】
活性物質粒子の粒径中央値(MMD)は、好ましくは15μm未満特に10μm未満であり、さらに好ましくは5又は4μm未満、最も好ましくは3.5又は3.3又は3又は2又は1μmである。この粒径は1又は2又は2.5μmよりも大きくても良い。活性物質粒子の空気動力学的粒径中央値(MMAD)は、好ましくは10μm未満であり、さらに好ましくは5μm未満、最も好ましくは3.5μm未満、である。ある与えられた粒径で、本発明による活性物質は、従来の方法、例えば、スプレー乾燥、凍結乾燥、及び特に微粉化(micronisation)、によって作られた対応する化学物質に比べてはっきりと優れた凝集性能を示す。
【0025】
粒径は、例えば、(a)AerosizerTM飛行時間測定装置(これは空気動力学的に等価な粒径、MMAD、を与える)、又は(b)レーザー回折センサー、例えば、Sympatec GmbH, Germanyから提供されるHelosTMシステム(これは、幾何的投影等価なMMDを与える)、を用いて測定される。MMADは、また、カスケード・インパクターを用いて評価することもできる。体積平均粒径は、どちらの場合も、市販されているソフトウエア・パッケージを用いて得られる。本発明による活性物質は、好ましくは空気動力学的粒径の体積荷重中央値(VMAD、例えば、レーザー回折分析によって測定される)が5μm以下、さらに好ましくは4μm又は3.5μm以下、である。
【0026】
本発明の活性物質は、好ましくは固体中実(例えば、中空、多孔性(孔のあいたものを含む)、又は少なくとも部分的に流体を含有する、に対立する意味で)粒子である。それは好ましくは、必ずではないが、結晶又は半結晶(不定形に対立する意味での)形態である。さらに好ましくは、それは結晶性、理想的には高度に結晶性である。それは、物質の結晶形態が、アモルファス形態又は部分的に結晶性の形態よりも安定であり、アモルファス形態又は部分的に結晶性の形態は流体ビヒクルに容易に溶解し、再結晶及び/又は粒子成長の危険があるからである。
【0027】
本発明による活性物質は、このように好ましくは80%〜100%、又は90%〜100%、理想的には100%、結晶性である。したがって、それは検出可能なアモルファス相領域を、20%w/w未満、好ましくは10%w/w未満、さらに好ましくは5又は2又は1又は0.5%w/w未満、しか含まず、さらに好ましくは全く含まない。
【0028】
結晶化度は公知の仕方で評価でき、例えば、X線回折(XRD)法、好ましくは高分解能X線粉末回折によって、例えば、シンクロトロン放射原を用いて評価できる。結晶化度は、例えば、溶液からのゆっくりした蒸発による結晶化で得られた同じ化学的物質の結晶に対して評価される。X線回折の線の拡がりは結晶性低下の指標、例えば、結晶格子の不完全さの指標を与える。線の拡がりは、例えば、1つ以上の回折ピークのピーク幅増加(例えば、最大高さの半分の全幅、FWHM)として現れる。本発明による粒状生成物における結晶格子不完全性のレベル低下は、また、1つ以上のX線回折ピーク位置の、微粉化(micronisation)によって生成された同じ化学物質の粒子と比べたときの高い2θ値の方への移動(普通0.0005°以上、例えば、0.0005から0.005°まで、又は0.001から0.003°までの移動)として現れる。
【0029】
本発明による活性物質におけるアモルファス相と結晶相のレベルは、また、与えられた温度と湿度での水分取込み、及び/又はその熱的活性プロフィール(thermal activity profile)によって、公知の仕方で評価できる。
【0030】
本発明による活性物質は、好ましくは針状結晶形態、すなわち、1つの次元で少なくとも1つの他の次元よりも著しく長い結晶形態、を有する。これは例えば、針状の結晶、及び可能性としては、ウエハ−、ブレード−又はプレート−状結晶(これらは2つの次元で三番目の次元よりも著しく長い)及び細長い角柱形の結晶を含む。これらは、場合によって同じようなサイズの(例えば、測定されたMMADが同じ、又は測定されたMMADの80%〜120%以内にある)他の形態の粒子に比べて優れた凝集性能を示す。針状結晶は、その凝集性能のために好ましく、この場合粒径中央値は3又は4又は5μmより大きく、多分6又は7又は8又は10μmよりも大きくなる可能性があるが、好ましくは(特に吸入による送達のために)6μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。プレート又はブレード状粒子は吸入に用いるのに好ましく、粒径中央値は3又は4又は5又は6μmより大きいが、やはり吸入のためには好ましい粒径は6μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
【0031】
上の議論で、“著しく”長いとは、比較している2つの寸法の小さい方よりも少なくとも5%、好ましくは10%又は20%又は30%大きいことを意味する。本発明による活性物質の粒子は、好ましくは、アスペクト比(粒子の最も長い寸法の最も短い寸法に対する比)が2:1以上、さらに好ましくは3:1又は4:1以上、最も好ましくは1.5:1から2:1まで又は2:1から4.5:1までである。
【0032】
活性物質は、好ましくは実質的に(例えば、95%w/w以上、好ましくは98%又は99%w/w又は99.5%w/w以上)純粋な形である。好ましくは低レベルの残留溶媒を含む、例えば、500ppm未満、さらに好ましくは200ppm未満、最も好ましくは150又は100ppm未満の残留溶媒しか含まない、これは粒子形成の時点で存在した溶媒を意味する。さらに好ましくは、この物質は検出可能な残留溶媒を何も含まない、又は少なくとも関連定量化限界より低いレベルしか含まない。残留溶媒レベルが低いほど、流体懸濁物中の粒子が、特に水分の存在下で安定し、アモルファス相領域が再結晶する傾向が小さくなり、粒子の成長と団粒化の傾向が小さくなる、と考えられている。
【0033】
活性物質が2つ以上の多形形態で存在できる物質である場合、好ましくは活性物質はそのような形態の1つだけから成り、他の多形形態に対して純度が99.5%w/w以上、好ましくは99.8%w/w以上、である。多形的な純度は、例えば、融点データ(例えば、示差熱走査熱量測定)、又はさらに好ましくはX線粉末回折(例えば、小角度X線散乱(SAXS)法)を用いて、加熱するときの多形的な転移を多形の回折ピーク特性に基づいて検出して評価することができる。
【0034】
本明細書で用いる場合、“活性物質”とは、最終生成物が薬剤、殺虫剤、又は何であれ、そこで何らかの有用な機能を果たすことができる物質を意味する。
【0035】
活性物質は、単一の活性物質であっても、2つ以上の活性物質の混合物であってもよい。それは、モノマー、オリゴマー、又はポリマーであっても、有機(有機金属を含む)、又は無機であっても、親水性又は疎水性であっても、極性又は非極性であってもよい。それは、小さな分子、例えば、パラセタモールなどの合成薬剤であっても、巨大分子、例えばタンパク質又はペプチド(酵素、ホルモン、抗体、及び抗原を含む)、ヌクレオチド、ヌクレオシド又は核酸、であってもよい。その他の可能な活性物質としては、ビタミン、アミノ酸、リン脂質やアミノ脂質などの脂質、炭水化物、例えばモノ−、ジ−、オリゴ−、又はポリサッカライド、細胞及びウイルス、などがあげられる。
【0036】
活性物質は、好ましくは、医薬的に又はニュートラシューティックスとして活性な物質、医薬的に又はニュートラシューティックスとして受容される賦形剤、又はそれらの2つ以上の混合物、を含む(さらに好ましくは、である)。さらに好ましくは、活性物質は医薬的に活性な物質であって、局所投与(例えば、肺への局所送達を意図した喘息薬)であれ、肺を介して全身に送達するものであれ、吸入(この用語は、鼻及び/又は口からの吸入を含む)による送達に適したものである。しかし、他の多くの活性物質も、その意図した機能が何であれ(例えば、除草剤、殺虫剤、食料、画像材料、染料、芳香剤、化粧品及び清拭用品、洗剤、コーティング、セラミック、写真又は爆薬産業で使用する製品、等)、本発明に包含される。
【0037】
吸入(理想的には定量噴霧式吸入器)による送達で特に関心があるのは、全身的に送達され、速やかな作用の開始が必要とされる医薬的に活性な物質である。
【0038】
吸入によって送達される医薬的に活性な物質の例としては、β2−拮抗剤、グルココルチコステロイドなどのステロイド(好ましくは抗炎症薬)、抗コリン作用薬、ロイコトリエン拮抗薬、ロイコトリエン合成阻害剤、鎮痛剤一般、例えば鎮痛剤及び抗炎症薬(ステロイド及び非ステロイド抗炎症薬を含む)、強心配糖体などの心臓血管薬、抗喘息薬、気管支拡張剤、抗癌剤、アルカロイド(例えば、麦角アルカロイド)又は片頭痛の治療に用いられるトリプタン、糖尿病及び関連疾病の治療に用いられる薬(例えば、スルホニル・ユリア)、鎮静剤及び睡眠剤を含む睡眠導入剤、精神賦活剤、食欲抑制剤、抗関節炎薬、抗マラリア薬、抗てんかん薬、抗血栓薬、抗高血圧薬、抗不整脈薬、抗オキシカント(anti-oxicant)、抗鬱剤、抗精神病薬、抗不安薬、抗痙攣薬、制吐薬、抗感染症薬、抗ヒスタミン剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、パーキンソン病などの神経障害の治療薬(ドパーミン拮抗薬)、アルコール中毒その他の中毒の治療薬、勃起不全の治療に用いる血管拡張剤などの薬、筋肉弛緩剤、筋肉収縮剤、オピオイド、興奮剤、トランキライザー、抗生物質例えばマクロリド、アミノグリコシド、フルオロキノロン、及びベータ−ラクタム、ワクチン、サイトカイン、成長因子、避妊薬を含むホルモン剤、交感神経様作用薬、利尿薬、脂質調節薬、抗男性ホルモン薬、駆虫薬、抗凝血薬、腫瘍性、抗腫瘍薬、抗低血糖薬、栄養剤及びサプリメント、成長サプリメント、抗腸炎薬、抗体、診断薬、造影剤、及び上記の組み合わせ(例えば、ステロイドとβ−拮抗薬の両方を含む喘息組み合わせ治療)、などがある。
【0039】
さらに詳しくは、活性物質はいくつかの構造クラスの1つ、例えば、それだけに限定されないが、小分子(好ましくは水に不溶な小分子)、ペプチド、ポリペプチド、多糖、ステロイド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂肪、電解質、などである。
【0040】
具体的な例としては、β2拮抗薬サルブタモール(例えば、硫酸サルブタモール)及びサルメテロール(例えば、キシナホ酸サルメテロール)、ステロイド・ブデソニド及びフルチカゾン(例えば、プロピオン酸フルチカゾン)、強心配糖体ジゴキシン、アルカロイド抗片頭痛薬メシル酸ジヒドロエルゴタミン及びその他のアルカロイド・エルゴタミン、パーキンソン病の治療に用いられるアルカロイド・ブロモクリプチン、スマトリプタン、ゾルマトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタン、モルヒネ及びモルヒネ類似体フェンタニル(例えば、クエン酸フェンタニル)、グリベンクラミド(スルホニル・ユリア)、ベンゾジアゼピン、例えばバリアム、トリアゾラム、アルプラゾラム、ミダゾラム、及びクロナゼパム(普通、催眠薬として、例えば、不眠症やパニック発作の治療に用いられる)、抗精神病薬リスペリドン、勃起不全の治療に用いられるアポモルフィン、抗感染症薬アンフォテリシンB、抗生物質トブラマイシン、シプロフロキサシン及びモキシフロキサシン、ニコチン、テストステロン、抗コリン作用性気管支拡張薬イプラトロピウム・ブロミド、気管支拡張薬フォルモテロール、モノクローナル抗体及びタンパク質LHRH、インシュリン、ヒト成長ホルモン、カルシトニン、インターフェロン(例えば、β−又はγ−インターフェロン)、EPO及び第VIII因子、並びにどの場合にも、医薬的に受容されるその塩、溶媒和、エステル、類似体及び誘導体(例えば、プロドラッグ形態)、などがあげられる。
【0041】
本発明の実施に適当な活性物質のその他の例としては、アスパラギナーゼ、アムドキソビール(DAPD)、アンチド、ベカプレルミン、カルシトニン、シアノビリン、デニロイキン・ジフチトクス、エリスロポイエチン(EPO)、EPO作動薬(例えば、長さが約10−40アミノ酸の、WO 96/40749に記載されているような特定コア配列を含むペプチド)、ドルナーゼ・アルファ、赤血球生成刺激タンパク質(NESP)、凝固因子、例えば、第VII a因子、第VIII因子、第IX因子、フォン・ウイルブランド因子、セレダーゼ、セレザイム、アルファ−グルコシダーゼ、コラーゲン、サイクロ(登録商標)スポリン、アルファ・デフェンシン、ベータ・デフェンシン、エクセジン−4,顆粒細胞コロニー刺激因子(GCSF)、スロンボポイエチン(TPO)、アルファ−1プロテナーゼ阻害剤、エルカトニン、顆粒細胞マクロファージ・コロニー刺激因子(GMCSF)、フィブリノゲン、フィルグラスチム、成長ホルモン、成長ホルモン放出刺激ホルモン(GHRH)、GRO−ベータ、GRO−ベータ抗体、骨形態発生タンパク質、例えば骨形態発生タンパク質−2,骨形態発生タンパク質−6,OP−1,酸性繊維芽細胞増殖因子、塩基性繊維芽細胞増殖因子、CD−40リガンド、ヘパリン、ヒト血清アルブミン、低分子量ヘパリン(LMWH)、インターフェロン、例えばインターフェロン・アルファ、インターフェロン・ベータ、インターフェロン・ガンマ、インターフェロン・オメガ、インターフェロン・タウ;インターロイキン及びインターロイキン・レセプター、例えばインターロイキン−1・レセプター、インターロイキン−2、インターロイキン−2融合タンパク質、インターロイキン−1・レセプター拮抗薬、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−4レセプター、インターロイキン−6、インターロイキン−8、インターロイキン−12、インターロイキン−13レセプター、インターロイキン−17レセプター、ラクトフェリン及びラクトフェリン断片、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、インシュリン、プロインシュリン、インシュリン類似体(例えば、US Patent No. 5,922,675に記載されたようなモノ−アシル化インシュリン)、アミリン、C−ペプチド、ソマトスタチン、ソマトスタチン類似体、例えばオクトレオチド、バソプレッシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インフルエンザ・ワクチン、インシュリン様成長因子(IGF)、インシュリントロピン、マクロファージ・コロニー刺激因子(M−CSF)、プラスミノゲン活性化因子、例えばアルテプラーゼ、ウロキナーゼ、レテプラーゼ、ストレプトキナーゼ、パミテプラーゼ、ラノテプラーゼ、及びテネテプラーゼ、神経成長因子(NGF)、オステオプロテゲリン、血小板由来成長因子、組織成長因子、形質転換成長因子−1、血管内皮成長因子、白血病抑制因子、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、グリア増殖因子(GGF)、T細胞増殖因子、CD分子/抗原、腫瘍壊死因子(TNF)、単球走化性因子タンパク質−1、内皮細胞成長因子、上皮小体ホルモン(PTH)、グルカゴン様ペプチド、ソマトトロピン、チモシン・アルファ1、チモシン・アルファ1IIb/III a阻害剤、チモシン・ベータ10、チモシン・ベータ9、チモシン・ベータ4、アルファ−1アンチトリプシン、ホスフォジエステラーゼ(PDE)化合物、VLA−4(非常に遅い抗原−4)、VLA−4阻害剤、ビスホスフォネート、呼吸器多核体ウイルス抗体、膵嚢胞性繊維症膜貫通調節(CFTR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(DNAse)、殺菌/透過性増大タンパク質(BPI)及び抗CMV抗体などがあげられるが、それだけに限定されない。モノクローナル抗体の例としては、エタネルセプト(ヒト75kD TNFレセプターの細胞外リガンド結合部分がIgGIのFc部分にリンクして成る二量体融合タンパク質)、アブシキシマブ、アフェリオモマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、インフリキシマブ、イブリツモマブ、チウエキセタン、ミツモマブ、ムロモナブ−CD3、イオダイン131トシツモマブ接合体、オリズマブ、リツキシマブ、及びトラスツズマブ(ヘルセプチン)、アミフォスチン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、アントラサイクリン、ベキサロテン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カベルゴリン、カペシタビン、カルボプラチン、クロランブシン、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、カンプトテシン、13−cisレチノイン酸、全transレチノイン酸、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジクロフェナック、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラムスチン、エトポシド、エクセメスタン、フェキソフェナジン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、エピネフリン、L−Dopa、ヒドロキシウリア、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、イリノテカン、イトラコナゾール、ゴセレリン、レトロゾール、リュウコボリン、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロジェステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、メトクロプラミド、ミトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ナロキソン、ニコチン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パミドロネート、ペントスタチン、ピルカマイシン、ポルフィメール、プレドニゾン、プロカルバジン、プロクロールペラジン、オンダンステロン、ラルチトレキセド、シロリムス、ストレプトゾシン、タクロリムス、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、テトラヒドロカンナビノール、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレチノイン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ドラセトロン、グラニセトロン、フォルモテロール、ウrチカゾン、リュウプロリド、ミダゾラム、アルプラゾラム、アンフォテリシンB、ポドフィロトキシン、ヌクレオシド抗ウイルス薬、アロイル・ヒドラゾン、スマトリプタン;マクロリド、例えば、エリスロマイシン、オレアンドマイシン、トロレアンドマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ダベルシン、アジスロマイシン、フルリスロマイシン、ジリスロマイシン、ヨサマイシン、スピロマイシン、ミデカマイシン、リュウコマイシン、ミオカマイシン、ロキタマイシン、アンダジスロマイシン、及びスイノリドA;フルオロキノロン、例えば、シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、トロバフロキサシン、アラトロフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン、ガチフロキサシン、ロメフロキサシン、スパーフロキサシン、テマフロキサシン、ペフロキサシン、アミフロキサシン、フレロキサシン、トスフロキサシン、プルリフロキサシン、イルロキサシン、パズフロキサシン、クリナフロキサシン、及びシタフロキサシン;アミノグリコシド、例えば、ゲンタミシン、ネチルミシン、パラメシン、トブラマイシン、アミカシン、カナマイシン、ネオマイシン、及びストレプトマイシン、バンコマイシン、テイコプラニン、ランポラニン、ミデプラニン、コリスチン、ダプトマイシン、グラミシジン、コリスチメタン;ポリミキシン、例えば、ポリミキシンB、カプレオマイシン、バシトラシン、ペネム;ペニシリナーゼ敏感な物質を含むペニシリン、例えば、ペニシリンG、ペニシリンV;ペニシリナーゼ耐性物質、例えば、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フロキサシリン、ナフシリン;グラム陰性菌活性物質、例えば、アンピシリン、アモキシシリン、及びヘタシリン、シリン、メズロシリン、及びガランピシリン;抗シュードモナス・ペニシリン、例えば、カルベニシリン、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリン、及びピペラシリン;セファロスポリン、例えば、セフポドキシン、セフプロジル、セフォブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セフラドリン、セフォキシチン、セファマンドール、セファゾリン、セファロリジン、セファクロール、セファドロキシル、セファログリシン、セフロキシム、セフォラニド、セフォタキシム、セファトリジン、セファセtリル、セフェピム、セフィキシム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォテタン、セファメタゾール、セフタジミド、ロラカルベフ、及びモキサラクタム、アズトレオナムなどのモノバクタム;及びカルバペネム、例えば、イミペネム、メロペネム、ペンタミジン、イセチオネート、硫酸アルブテロール、リドカイン、硫酸メタプロテレノル、ベクロメタゾン・ジプレピオネート、トリアムシノロン・アセタミド、ブデソニド・アセトニド、フルチカゾン、イプラトロピアム・ブロミド、フルニソリド、クロモリン・ナトリウム及び酒石酸エルゴタミン;pクリアキセルなどのタキサン;SN−38,及びトリフォスチン、などがある。
【0042】
上記の生物的活性物質の例は、該当する場合には、その類似体、作動薬、拮抗物質、阻害剤、異性体、及び医薬的に受容される塩の形、を包含するものとする。ペプチドとタンパク質に関して、本発明は、合成、組み換え、原生、グリコシル化された、グリコシル化されないもの、及び生物的に活性な断片及び類似体を包含するものとする。
【0043】
血流への迅速な放出(すなわち、薬理的な作用の速やかな開始)が特に望ましい薬としては、片頭痛、吐き気、不眠症、アレルギー反応(アナフィラキシー反応を含む)、神経又は精神疾患(特にパニック発作及びその他の精神病やノイローゼ)勃起不全、糖尿病及び関連疾病、及び心臓疾患、の治療に用いられるもの、抗痙攣薬、気管支拡張剤、及び痛みや炎症を軽減する薬、などがあげられる。
【0044】
活性物質は、一緒に製剤される2つ以上の物質を、一方を他方でコーティングするという形、又は一方を他方のマトリックスに分散させて、又は2つ以上の活性物質のブレンドとして含むことができる。このような製剤のよく見られる例は、医薬的に活性な物質を賦形剤でコーティングした形、医薬的に活性な物質吐賦形剤の固体分散物、などがあり、しばしば賦形剤は薬剤の放出速度及び/又は標的への送達を変更するために存在している。しかし、一般に、本発明の活性物質は、賦形剤が存在しない場合、すなわち、活性物質だけの形(例えば、賦形剤なしの、医薬的に又はニュートラシューティカルとして活性な物質の形)で優れた凝集挙動を示す。
【0045】
本発明の第三の様態は、粒状形態の活性物質であって、流体ビヒクル1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)に不溶であり、そのビヒクルに0.2から5%w/vまでの濃度で懸濁させたとき、5分後に示す凝集体積が、同じ又は同様の粒径(普通、測定されたMMAD、ここで“同様の”とは、測定されたMMADの80〜120%以内、好ましくは90〜110%以内、を意味する)の、しかし微粉化(micronisation)プロセスを用いて調製された同じ化学物質が示す凝集体積より少なくとも20%高い、好ましくは少なくとも50%又は150%又は200%又は250%高い活性物質、を提供する。
【0046】
第四の様態は、粒状形態の活性物質であって、流体ビヒクル1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)に不溶であり、そのビヒクルに0.2から5%w/vまでの濃度で懸濁させたとき、5分後に示す凝集体積が、同じ又は同様の粒径(上述の通り)の、しかし微粉化(micronisation)プロセスを用いて調製された同じ化学物質が示す凝集体積より少なくとも20%高い、好ましくは少なくとも50%又は150%又は200%又は250%高い活性物質、を提供する。
【0047】
本明細書では、“微粉化”(micronisation)とは、機械的手段、例えば粉砕(milling)や摩砕(grinding)を用いて粒径をマイクロメートル領域にまで小さくするプロセスを意味する。
【0048】
本発明の第三及び/又は第四の様態によれば、活性物質は好ましくはこの凝集挙動を6分後に示し、さらに好ましくは8分後に、さらに好ましくは10分後に、最も好ましくは15,30又は60分後に、場合によっては2,6,12,又は24時間後に示す。活性物質はこの挙動をわずか4,3,2又は場合によっては1分後に示す。凝集体積は、好ましくは、0.5%w/vを超える濃度で、さらに好ましくは0.5から3又は4%w/vまで、最も好ましくは0.5から1.5又は2%w/vまで、又は0.8から1.3又は1.5%w/vまで、例えば1%w/v、の濃度で測定される。上述の凝集性能はまた、もっと低い活性物質濃度で、例えば、0.15又は0.1%w/vの濃度でさえも示されることがある。
【0049】
やはり、活性物質は、好ましくは他の非溶媒流体ビヒクルで、特にハイドロフルオロカーボン噴射剤でもこの凝集性能を示す。
【0050】
本発明の第五の様態は、粒状形態の活性物質であって、流体ビヒクル1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)に不溶であり、そのビヒクルに0.2から5%w/vまでの濃度で懸濁させたとき、活性物質とビヒクルを十分に混合した後、最初の60秒間に示す凝集体積の変化率(減少)が毎分20%以下である活性物質を提供する。
【0051】
本発明の第六の様態は、粒状形態の活性物質であって、流体ビヒクル1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)に不溶であり、そのビヒクルに0.2から5%w/vまでの濃度で懸濁させたとき、活性物質とビヒクルを十分に混合した後、最初の60秒間に示す凝集体積の変化率(減少)が毎分20%以下である活性物質を提供する。
【0052】
本発明の第五及び/又は第六の様態によれば、凝集体積の変化率は、好ましくは毎分15%以下、さらに好ましくは毎分10%以下、最も好ましくは毎分5又は3%以下、である。好ましくは、凝集体積の変化率は、活性物質とビヒクルを十分に混合した後、最初の90又は120秒間、引用した範囲内にある;最初の30秒間、それは確実にこれらの範囲内にある。
【0053】
本発明の第三から第六までの様態のその他の好ましい特徴は、その凝集体積が測定される仕方(及び濃度)を含めて、第一及び第二の様態に関して述べたようなものである。
【0054】
流体懸濁液で製剤されたとき、本発明の活性物質は一般に、中長期的な貯蔵の間の(例えば、一週間以上、好ましくは一ヶ月以上、最も好ましくは3又は6又は12又は18又は24又は30又は36ヶ月以上、という期間にわたって)安定性が、特に微粉化(micronised)された同等物に比べて、優れているという利点がある。本発明の活性物質は、より長期間にわたってより均一に分散したままであるように見える。本発明の活性物質は、また、流体懸濁物中で粒子が成長し団粒化する傾向が小さい−例えば、そのMMADは、流体懸濁液として一週間以上、好ましくは一ヶ月以上、最も好ましくは3又は6又は12又は18又は24又は30又は36ヶ月以上、という期間にわたる貯蔵の間に開始時の値の30%以下、好ましくは20%又は10%以下、しか変化しない。やはり、それらが懸濁される流体、及びその濃度、は、本発明の第一から第六までの様態に関して述べたようなものである;流体は、好ましくはHFA134a、HFA227ea、又はそれらの混合物である。
【0055】
吸入器(特にMDIs)で使用するエアロゾル製剤で用いる場合、本発明の活性物質は吸入器の使用寿命の間より一様な投薬量を与えることができる。また、この点で本発明の活性物質は吸入器の使用寿命の間、送達される薬剤の効力もより一様である。それは、粒径が肺(特に肺の深部)を通る送達の生物的な利用可能性と効力に大きく関わっているからである。
【0056】
典型的なエアロゾル・カニスター、例えば、定量噴霧式吸入器で使用されるようなもの、は中長期的貯蔵の間に大気中の水分が送達メカニズムを通って侵入することを許す。この水分はカニスター内部の懸濁物の安定性を低下させる。本発明の活性物質は、このような貯蔵条件で、例えば、微粉化(micronised)された同等物に比べて著しく安定であり、水分の存在下でも粒子の成長や団粒化が起こりにくい。本発明によるアモルファス相の活性物質でも、水分は通常再結晶化を誘発すると予期されるにも関わらず、このような条件の下で比較的安定である。
【0057】
したがって、本発明の活性物質の安定性は、吸入器、特に定量噴霧式吸入器、などの送達装置におけるエアロゾル製剤に特に有益である。すなわち、本発明による活性物質が流体ビヒクルに、適当なものとしてはHFA134aやHFA227eaなどのエアロゾル噴射剤に懸濁され、定量噴霧式吸入器を用いて、又は多段液体注入器、又はもっと好ましくはカスケード・インパクター(例えば、AndersenTM又はAndersenTMタイプ・カスケード・インパクター)などの測定デバイスへ、等しい体積の一連の投薬(dose)として送給されるとき:
a)各投薬で送達される活性物質の量の相対標準偏差RSD(すなわち、平均値のパーセンテージとして表された標準偏差)が、好ましくは、引き続く3投薬、さらに好ましくは5,最も好ましくは10又は30又は50又は70又は100又は150又は200投薬にわたって15%以下である。さらに好ましくは、RSDは、12又は10又は8又は7又は6又は5又は4又は3%以下である。
b)送給された投薬における微粒子含有量(送給された活性物質でMMADが微粒子の範囲、例えば、<3.5又は3.3μm、にある量)のRSDが、好ましくは、引き続く3投薬、さらに好ましくは5,最も好ましくは10又は30又は50又は70又は100又は150又は200投薬にわたって15%以下である。さらに好ましくは、RSDは、9又は8又は7又は6又は5又は2%以下である。
c)各投薬に含まれる微粒子比率(fraction)(すなわち、MMADが微粒子の範囲にある活性物質の量を当該投薬における全活性物質の量のパーセンテージで表したもの)のRSDが、好ましくは、引き続く3投薬、さらに好ましくは5,最も好ましくは10又は30又は50又は70又は100又は150又は200投薬にわたって17%以下である。さらに好ましくは、RSDは、15又は13又は10又は8又は6又は5%以下である。
d)各投薬に含まれる活性物質粒子のMMADのRSDが、好ましくは、引き続く3投薬、さらに好ましくは5,最も好ましくは10又は30又は50又は70又は100又は150又は200投薬にわたって9.5%以下である。さらに好ましくは、RSDは、7又は4又は3又は2%以下である。
e)各投薬に含まれる微粒子比率が、好ましくは、引き続く3投薬、さらに好ましくは5,最も好ましくは10又は30又は50又は70又は100又は150又は200投薬にわたって、少なくとも25%であり、さらに好ましくは少なくとも26又は27%であり、最も好ましくは少なくとも30又は35%である。
f)各投薬で送給される粒子のMMADが、好ましくは、やはり適当には引き続く3投薬、さらに好ましくは5,最も好ましくは10又は30又は50又は70又は100又は150又は200投薬にわたって、4μ以下、さらに好ましくは3.8又は3.5μm以下である。
【0058】
上記(a)から(f)までの性質を測定する場合、送達装置又は測定装置は、理想的には標準的な仕方でメーカーの指示に従って操作され、普通、例えば、各投薬の前にエアロゾル製剤を振とうすることが含まれる。
【0059】
適当な測定方法は、以下の実施例9から13までに記載されているようなものであり、典型的にはAndersenTMタイプ・カスケード・インパクターなどのカスケード・インパクターを使用する。例えば、テストする製剤を収容しているエアロゾル缶を標準アダプターとUSPインダクション・ポート(“スロート”)によってカスケード・インパクターに結合し、缶の中身を通常のエアロゾル・バルブ(普通、缶のトップに付着している)吐アクチュエーターによってインパクターに小出しする。
【0060】
問題のパラメータが測定される当該回数の投薬は、1,3,6,12,18,24,又は30又は36ヶ月にわたって送給することができるが、実験室テスト条件の下では、例えば、30分から12時間までの期間にわたって、さらに典型的には30分から4又は5時間までの期間、最も典型的には2から3時間までの期間にわたって(例えば、投薬の間に15から120秒まで、好ましくは30から60秒までの間隔で)、送給される。適当な投薬体積は、20から100μlまで、さらに典型的には40から70μlまで、例えば、50から65μlまでであろう。製剤された懸濁物の好ましい特徴、例えば、ビヒクル・タイプ、活性物質濃度、添加剤(好ましくは、なし)の性質と量、などは全て本発明の第一から第六の様態までに関して記載されたようなものである。
【0061】
多数回(例えば、50又は100回以上)にわたる性能を評価するためには、送給の全期間のうち、最初と最後の方の期間、及び理想的には中央の期間で引き続く数回の投薬(例えば、2〜6回、好ましくは3〜5回の投薬)庭田って当該パラメータを測定すれば十分であろう。
【0062】
上の(a)から(d)までで言及したRSD値は、普通、同じ又は同様のMMADを有する同じ化学物質の微粉化された形で同じテストをしたときに得られる値に比べて低い(好ましくは、少なくとも5%又は10%又は20%低い)。いずれの場合にも、投薬特性の一様性は、本発明による活性物質を用いることによってどんな使用期間にわたっても改善される。
【0063】
本発明の活性物質は、好ましくは、当該測定期間の間、流体ビヒクルで懸濁された状態で(吸入器などの送達装置内であるかどうかに関わりなく)、周辺温度(例えば、18〜25℃、又は20から23℃まで、例えば約22℃で、又は受容されている業界の基準温度25℃)で貯蔵されたとき、上述の凝集挙動及び/又は安定性お示す。さらに好ましくは、本発明の活性物質は、測定期間の間に±5℃又は±10又は±15℃までの変動にさらされても、その挙動及び/又は安定性を示す。
【0064】
本発明の活性物質は、当該測定期間の前又は間、その流体懸濁物が20%又は30%又は40%又は60%又は75%の相対湿度(RH)で貯蔵されても、上述の凝集挙動及び/又は安定性を示す。高い貯蔵温度及び/又は湿度を通常の仕方で用いてもっと長期間の貯蔵を模倣することができるし、通常の熱サイクリング手順、例えば、冷凍/解凍サイクリングを用いることもできる。例えば、ある期間にわたる40℃及び75%RHでの貯蔵を用いて、一般に、25℃及び60%RHでの約3倍の長さの期間にわたる貯蔵を模倣することができる。熱サイクリングは、例えば、一日に2又は4回までの貯蔵温度のサイクリングであり、例えば、2から40℃迄の間のサイクリング、又は(冷凍/解凍サイクリングの場合)−20から25℃までの間のサイクリングである。測定は(例えば、MMAD、又は微粒子比率、又は投薬成分の測定)は、与えられた条件での貯蔵期間の前と後、又は熱サイクリングの前と後で行って、記録した値及びRSDsが2つの測定又は測定の組の間で、上の(a)から(f)までに述べたようなものであることが好ましい。
【0065】
ある場合には、本発明による活性物質は、医薬的に活性な物質又は医薬的に受容される賦形剤(好ましくは、吸入による送達に適当な及び/又はそれを意図した物質)であって、以下以外のものである:キシナホ酸サルメテロール(単独、又はヒドロキシプロピル・セルロースと共に製剤されたもの);α−ラクトース一水和物;R−TEMβ−ラクタマーゼ;マルトース;トレハロース;スクロース;ブデソニド;硫酸サルブタモール;ニコチン酸;パラセタモール(単独、又はキシナホ酸サルメテロール、L−ポリ乳酸、エチル・セルロース(EC)、ヒドロキシプロピル・メチル・セルロース(HPMC)又はポリビニル・ピロリドン(PVP)と共に製剤されたもの);イブプロフェン;ケトプロフェン(単独、又はEC、HPMC、又はPVPと共に製剤されたもの);サリチル酸;インドメタシン、カルバマゼピン、テオフィリン、アスコルビン酸、又はCOX−2選択阻害剤がEC、HPMC、又はPVP硫酸キニンがECと共に製剤されたもの;プロピオン酸フルチカゾン;オメプラゾール・マグネシウム四水和物;(S)−オメプラゾール・マグネシウム三水和物;フマル酸フォルモテロール二水和物;フェロジピン;カンデサルタン・シレキセチル;リソザイム(単独、又はタウロコール酸ナトリウムと共に製剤されたもの);アルブミン;インシュリン(単独、又はタウロコール酸ナトリウムと共に製剤されたもの);硫酸テルブタリン;臭化水素酸フェノテロール、及び/又は臭化イプラトロピウム。
【0066】
本発明の第一から第六の様態までに関連して記載された改良された凝集挙動を示す粒状活性物質は、上で言及したGASプロセスの一つのバージョンである、いわゆるSEDSTM(“超臨界流体による溶液促進分散”)プロセス(現在はNektarTM SCFプロセスと呼ばれる)によって製造できることが見出された。
【0067】
いくつかの吸入薬がすでにSEDSTMを用いて製造されている。例えば、WO-95/01221(キシナホ酸サルメテロール)、WO-98/36825(硫酸サルブタモール)、WO-98/52544(ブデソニド)、及びWO-98/17676(プロピオン酸フルチカゾン)を見よ。後者では、いくつかの製品が定量噴霧式吸入器で噴射剤HFA134aでテストされているが、凝集体積は測定されず、又は言及もされず、比較的低い薬/噴射剤濃度しか用いられていない。
【0068】
NektarTM SCFプロセス(SEDSTM)は、“標的”物質の粒子を形成するプロセスである。これはGASプロセスであり、流体ビヒクル中の標的物質の溶液又は懸濁液(“標的溶液/懸濁液”)に圧縮された流体(一般に超臨界又は近臨界流体)の貧溶媒を、貧溶媒が標的溶液/懸濁液からビヒクルを抽出して標的物質の粒子をそこから析出させることができる条件の下で接触させるステップを含む。その条件とは、貧溶媒と抽出されたビヒクルの間に形成された流体混合物が依然として圧縮状態(一般に超臨界又は近臨界状態)にあるということである。貧溶媒流体は、標的物質に対しては非溶媒であり、流体ビヒクルとは混合可能でなければならない。
【0069】
SEDSTMプロセスを実行することは、具体的に言うと、貧溶媒流体を用いて、標的溶液/懸濁液からビヒクルを抽出し、同時に標的溶液/懸濁液を分散させることになる。言い換えると、貧溶媒の機械的(運動)エネルギーが標的溶液/懸濁液を分散させるように作用し、同時に貧溶媒がビヒクルを抽出するような仕方で流体を互いに接触させる。ここで言う“分散”とは、一般に一方の流体から他方の流体への運動エネルギーの移動を指し、通常、運動エネルギーが移された側の流体の液滴、又は他の同様な流体エレメント、の形成を伴う。
【0070】
適当なSEDSTMプロセスは、WO-95/01221, WO-96/00610, WO-98/36825, WO-99/44733, WO-99/59710, WO-01/03821, WO-01/15664, WO-02/38127, 及びWO-03/008082に記載されている。その他の適当なSEDSTMプロセスは、WO-99/52507, WO-99/52550, WO-00/30612, WO-00/30613, WO-00/67892, 及びWO-02/058674に記載されている。これらの文書は本出願と合わせて読まれるべきものとする。
【0071】
SEDSTMでは、標的溶液/懸濁液と貧溶媒は、好ましくは、WO-95/01221及び WO-96/00610に記載されている仕方で互いに接触される、すなわち、貧溶媒の流れの機械的エネルギー(普通、剪断作用)が2つの流体が出会うところで流体の密な混合と分散を容易にするような流体導入手段によって粒子形成容器に2つの流体を同時に導入する。標的溶液/懸濁液及び貧溶媒は、好ましくは、実質的に同じ点で出会って粒子形成容器に入る、例えば、多重通路同軸ノズルの別々の通路によって粒子形成容器に入る。
【0072】
あるいはまた、SEDSTMプロセスはWO-03/008082に記載されているタイプのものであってもよい。このタイプでは、粒子形成容器に入るときの貧溶媒の速度は近音速、音速、又は超音速であり、標的溶液/懸濁液と貧溶媒は、近いけれども別々の場所から容器に入る。このようなプロセスは、例えば、以下の実施例1aにおいてサンプルBの調製に関連して記述される。
【0073】
本発明による粒状の活性物質は、好ましくは、GASプロセスによって、さらに好ましくはSEDSTMプロセスによって、例えば、上記の文書に記載されているいずれか又はその組み合わせによって調製される。そのプロセスの好ましい特徴は、本発明の第七の様態に関連して以下で説明されるようなものである。この活性物質は、水に不溶又はごくわずかに可溶である。それは好ましくは、圧縮された(例えば、超臨界又は近臨界の)二酸化炭素に不溶又はごくわずかに可溶である。このような物質は、特にSEDSTMプロセスによる粒子調製に特に好適であり、実はスプレー乾燥や凍結乾燥など他の粒子形成方法によって粒子を調製することは多くの場合困難である。
【0074】
SEDSTMプロセスは、粒径、サイズ分布、及び形態などの物理化学的特性がコントロールされた粒状生成物を作り出すことができることは知られているが、SEDSTMプロセスの生成物が、他の粒子形成方法によって製造された対応する物質に比べて、このような凝集挙動の改善を示すということは従来認識されていなかった。
【0075】
SEDSTMプロセスを用いて、流体ビヒクルに懸濁させて送給する必要がある物質の生成物の特性にこの新たな改善を達成できることは有益である。SEDSTMは上述のような改善された生成物の性質を与えることが知られているが、その上にSEDSTMプロセスは比較的効率的であり、安全で、容易に封止される、コントロールされた再現性のあるプロセスである。それを用いて、例えば、スプレー乾燥では容易に調製できない水に不要な物質、超臨界CO2に不溶でRESSによって容易に調製できない物質、及び温度敏感な、又はその他の点で敏感で、他の従来の粒子形成プロセスが不適当な物質、など広範な種類の物質を調製することができる。SEDSTMはまた、結晶性の高い物質、及び/又は純度が高い物質(多形純度を含む)を低い残留溶媒含有量で生成できる。
【0076】
したがって、本発明の第七の様態は、物質の凝集性能を改善するために、活性物質を粒状形態で生成するための上述のようなSEDSTMプロセスの利用を提供する。
【0077】
このプロセスは、好ましくは、超臨界、近臨界、又は液体の、さらに好ましくは超臨界の、CO2を貧溶媒として用いて行われる。温度、圧力、及び流体の流量、などの動作条件の選択、及び溶媒、及び必要ならば貧溶媒修飾物質、の選択は、活性物質の性質、例えば、存在する流体における溶解度、及び異なる多形形態で存在できる場合、どの形態を析出させるか、に依存する。一般に、この条件は粒径を最小にするように選ぶべきである−これは通常、高い相対貧溶媒流量(例えば、標的溶液/懸濁液;貧溶媒流量比(2つの流体が接触する時又はその直前に)が0.03以下、好ましくは0.02以下、又は0.01以下)、及び/又は高い動作温度(例えば、50から100℃、好ましくは70から90℃)、及び/又は高い動作圧力(例えば、80から210バール、好ましくは90から200バール)、を選択することを意味する。
【0078】
SEDSTMプロセスの条件は又、好ましくは残留溶媒レベルを低くするように、及び/又は一般に生成物の純度(該当する場合、多形的な純度を含む)を高めるように選択される。プロセス条件は、生成物の結晶性を高めるように選択することができ、この場合は溶媒抽出プロセスをスローダウンさせるように、低い相対貧溶媒流量(例えば、標的溶液/懸濁液;貧溶媒流量比が0.01以上、好ましくは0.015又は0.02以上)が好ましい。
【0079】
本発明の第七の様態の生成物は、好ましくは第一から第六の様態のいずれかによる生成物である。
【0080】
本明細書において“凝集性能を改善する”とは、ある期間の後に、ある濃度における当該ビヒクル中でその物質が示す凝集体積を増加させることを意味する。それは、定量噴霧式吸入器などの送達装置における活性物質の流体懸濁物の性能(特に、性能の一様性及び/又は貯蔵安定性)を改善することを含む。本発明の第一、第二、第三、第四、第五、及び/又は第六の様態に関連して上で述べたタイプの凝集挙動、及び/又は安定性、及び/又は送達装置における性能、を達成するために、好ましくはSEDSTMプロセスが用いられる。
【0081】
性能及び属性のこのような変化は、SEDSTMプロセスによる処理以前のその物質の性能及び属性、及び/又は微粉化(micronisation)又はスプレー乾燥など別の粒子形成プロセスを用いて生成されたときの同じ物質(好ましくは、同じ粒径又は10%又は20%以下しか違わない粒径を有する)の性能及び属性、と比較した場合である。
【0082】
凝集体積は、“沈降体積”と呼ばれることもあり、通常の、比較的簡単な方法で測定できる。テストされる粒状形態の物質が所望の流体ビヒクルに適当な濃度で懸濁される。測定の開始時に、流体中で粒子を一様に分散させるために混合物を十分に(普通、単に振とうすることにより)撹拌しなければならない。撹拌が終わった直後に、時間を計り始める。混合物は、通常周辺条件で、静かに放置され、固体の沈積又はクリーム化の度合いが時間を追って観測される。
【0083】
ある時点における混合物の凝集体積とは、粒状分散物によって依然として占められている流体の体積を全流体体積のパーセンテージで表したものである。したがって、高い凝集体積は沈積/クリーム化が少ないことを意味し、改善された性能を意味する。
【0084】
本明細書において凝集体積に言及する場合、別に断らない限り、22℃で行われた測定を指す。
【0085】
凝集体積の測定が意味を持つためには、活性物質は選ばれた流体ビヒクルに、少なくとも活性物質が流体中に固体粒子として懸濁できる程度に、不溶でなければならない。活性物質の流体における溶解度は、好ましくは10-5%w/vよりも小さい。
【0086】
いくつかの活性物質/ビヒクル・システムでは、界面活性剤及び/又はその他の分散促進又は安定添加剤を用いてテストの開始時に十分な分散を確保している―これには、ビヒクルが水又は別の水性流体である多くのシステムが含まれる。しかし、SEDMTM生成物は、特に非水性ビヒクルにおいて、そのような添加剤なしでも所望の凝集挙動を示すことが見出された。
【0087】
本発明の第八の様態によれば、ヒト又は動物の体に行われる外科、治療、又は診断の方法で用いられる活性物質が提供され、その方法においてこの活性物質は非溶媒流体ビヒクルにおける懸濁物の形で患者に送達され、そのビヒクルにおけるこの物質の凝集性能は本発明の第一から第六の様態までのいずれかに関して上で定義されたようなものである。
【0088】
本発明の第九の様態は、医薬の製造における活性物質の利用を提供する。その医薬はこの物質の非溶媒流体ビヒクルにおける懸濁物を含み、この活性物質の凝集性能は、本発明の第一の様態から第六の様態までのいずれかに関連して上で定義されたようなものである。この医薬は、ヒト又は動物の体に行われる外科手術、治療、又は診断の方法で使用されるものである。
【0089】
第十の様態は、第一の様態から第六の様態までのいずれかによる活性物質の、非溶媒流体ビヒクルにおける少なくとも0.2%w/v、好ましくは少なくとも0.5%w/v、の濃度での懸濁物としての利用を提供し、さらに好ましくはこの懸濁物は分散促進又は安定添加剤を何も含まないか、又は活性物質の重量をベースとして0.01%w/w未満、好ましくは0.01%w/w未満又は0.001又は0.0001%w/w未満しか含まない。やはり、懸濁物は、好ましくは、共溶媒(co-solvent)又は潤滑性増強添加剤を何も含まない。
【0090】
本発明の第八及び第九の様態に簡素、活性物質は好ましくは第一の様態から第六の様態までのいずれかによる活性物質である。活性物質は好ましくは医薬的に活性な物質であり、さらに好ましくは吸入による送達に適当な物質である。それが最終的に用いられる医療方法は、本発明の活性物質に関連して言及された疾患のいずれかの治療に関わる。
【0091】
本発明の第八の様態から第十の様態までのその他の好ましい特徴は、第一の様態から第六の様態までのいずれかに関連して記載されたようなものである。特に、懸濁物は好ましくはエアロゾル噴射流体における、特にハイドロフルオロカーボン噴射剤、例えば、HFA134a及び/又はHFA227eaにおけるエアロゾル製剤であり、好ましくは吸入による患者への送達に適している。
【0092】
本発明の第十一の様態は、第一の様態から第六の様態までのいずれかによる活性物質を非溶媒流体ビヒクルに懸濁させた状態で含む製剤、普通はエアロゾル製剤、を提供する。
【0093】
活性物質は、好ましくは医薬的に活性な物質であるが、ニュートラシューティカル、化粧品、又は清拭剤(toiletry)、又は非溶媒流体による送達に適当なその他の活性物質であってもよい。
【0094】
流体ビヒクルは、好ましくは上述のようなエアロゾル噴射剤流体である。それは好ましくは、クロロフルオロカーボン噴射剤を含まず、さらに好ましくはハイドロフルオロカーボン噴射剤、例えば、HFA134a、HFA227ea、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、又はそれらの混合物から成る。その他の適当なビヒクルとしては、他のC1からC4ハイドロフルオロカーボン、例えば、CHF2CHF2、CF3CH2F、CHF2CH3及びCF3CHFCF3、及び過フッ化炭素、例えば、CF3CF3及びCF3CF2CF3などがある。ビヒクルは、好ましくは医薬的に受容されるグレードのものである。
【0095】
最も好ましくは、ビヒクルはHFA134a、HFA227ea、又はそれらの混合物である−これらの噴射剤は、例えば、DuPont Fluoroproducts, Wilmington, DEから入手できる。それは水又は他の水性流体であってもよいが、活性物質は選ばれたビヒクルに不溶、少なくとも固体粒子としての懸濁を可能にする程度に不溶でなければならない。
【0096】
本発明によれば、流体ビヒクルは2つ以上の流体の混合物から成るものであってもよい。混合物は、例えば、ビヒクルと活性物質の密度の差を最小にするようにして、活性物質の全体的な凝集性能を高めるようにできる。一例をあげると、HFA134aとHFA227eaの混合物を用いて懸濁させた活性物質の沈着又は“クリーム化”の危険を最小にすることができる。
【0097】
製剤中の活性物質の濃度は、活性物質の投薬レベルに応じて、0.1%w/v以上、0.2%w/v以上、又は0.5%w/v又は0.6%w/v又は0.7%w/v又は0.8%w/v又は1%w/v以上にすることができる。濃度は、好ましくは、0.1又は0.2から5%w/vであり、さらに好ましくは、0.5又は0.7から1.6%w/vであり、最も好ましくは0.5又は0.7から1.5又は1.3又は1.1又は0.9%w/vであるが、3%w/vに達することもできる。したがって、、場合によっては、本発明は比較的高い濃度の製剤を調製することを許し、高い投薬量で送達する必要がある活性物質では特に有用である。
【0098】
しかし、場合によっては、製剤中の活性物質の濃度は0.05から0.02%w/vという低い濃度になることもある。
【0099】
活性物質は、一般に、製剤に組み込まれる前に(例えば、非極性液体などの非溶媒による処理によって)表面修飾する必要はない。
【0100】
製剤には、1つ以上の界面活性剤、又は他の分散促進又は安定添加剤を含めることができる。典型的な例は、TweenTMシリーズで利用できるような非イオン界面活性剤である。製剤を入れて用いるエアロゾル缶又はその他の送達装置の内面に活性物質が付着するのを防ぐために潤滑剤を含めてもよい。しかし、好ましくは製剤は本質的に活性物質とビヒクルから成り、そのような添加剤は、低レベル(例えば、活性物質の質量をベースとして0.1%w/w未満、好ましくは0.01%w/w未満、又は0.001又は0.0001%w/w未満)でしか含まれない、又はさらに好ましくは全く含まれない。製剤は好適には共溶媒(co-solvent)を全く含まないか、又は低レベル(例えば、流体ビヒクルの質量をベースとして0.01%w/w未満、好ましくは0.001%w/w未満)でしか含まない。典型的な共溶媒は、エタノールなどのアルコールである。
【0101】
製剤の安定性は、好ましくは、本発明の第一の様態から第六の様態までに関連して上で述べたようなものであり、定量噴霧式吸入器などの送達装置で使用するとき、又は、例えカスケード・インパクターを用いて評価するときのエアロゾル性能(特に投薬の一様性)も同様である。特に、製剤は、好ましくは、少なくとも25%、さらに好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも35%、の微粒子比率(上で定義したような)を有する。
【0102】
さらに、本発明による製剤は特に効率的に活性物質を肺の中央及び特に深部に送達し、したがってさらに、肺を介して全身に活性物質を効率的に送達するということが見出された。(普通、MMADが4〜6μmの粒子、さらに詳しくは4.7〜5.8μmの粒子は肺の“中央”部分(気管と主気管支)に到達するが、MMADが3.5、好ましくは3.3μm以下の粒子だけが肺の“深部”(肺胞と二次気管支)に到達する。本発明の製剤は、懸濁した活性物質粒子の凝集及び団粒化に関して安定なので、高い生物学的利用率と効率的な放出プロフィールを有する活性物質を送達することができる。
【0103】
したがって、本発明による製剤が、定量噴霧式吸入器や同等の送達装置を用いて生きたヒト又は動物患者に送達されると、同じテスト条件の下で送達される(適当に同じ又は同様のMMADを有する)同じ活性物質の微粉化された(micronised)形態に比べて、活性物質は患者の血流に速やかに放出される。活性物質の生物学的利用率(例えば、投薬の送達後に到達する最高血漿濃度、又は全血漿濃度として表される)は、微粉化された同等物よりも高く、好ましくは少なくとも1.5倍又は1.8倍又は2倍又は2.5倍高くなる。本発明による活性物質は、例えば、水に溶けにくい薬の生物学的利用率及び/又は放出速度を改善するために従来用いられたポリマー賦形剤(例えば、ポリビニルピロリドンやポリエチレン・グリコール)などの賦形剤の有無に関わりなく、このようなテストで良い性能を示す。
【0104】
ある好ましい実施の形態では、本発明による製剤は、投与(普通、吸入)から1時間以内に、好ましくは30分以内に、さらに好ましくは15分以内に、患者の血流中で活性物質の最高濃度Cmaxに達する。この最高濃度を達成する時間を以下ではTmaxと呼ぶ。
【0105】
本発明の第十一の様態の好ましい特徴は、特に活性物質の性質、粒径、及び/又は形態に関する特徴、及び/又は送達装置におけるその安定性と性能に関する特徴は、第一の様態から第十の様態までに関連して記述したようなものである。
【0106】
本発明の第十一の様態は、また、流体(普通,液体)ビヒクルがエアロゾル噴射剤以外のもの、例えば、注射、経口、その他の適当な投与ルートによる送達を意図した医薬的に活性な物質のためのキャリア、である製剤も包含する。ビヒクルは有機でも水性でもよく、2つ以上の流体の混合物であってもよく、活性物質以外の物質を含んでもよい。
【0107】
本発明の第十二の様態は、薬剤送達装置、好ましくは吸入器、であって第一の様態から第六の様態までのいずれかによる活性物質の1つ以上の投薬製剤を含み、好ましくは、その物質をエアロゾル化する適当な流体ビヒクルも含む薬剤送達装置を提供する。あるいはまた、送達装置は、本発明の第十一の様態による1つ以上のエアロゾル製剤を含む、又は生成することができる。送達装置は、好ましくは予め定められた用量の活性物質を加圧流体ビヒクルで送達するように設計されたタイプ、例えば、定量噴霧式吸入器(この用語は加圧定量噴霧式吸入器(pMDIs)を含む)、である。
【0108】
本発明の第十三の様態は、本発明の第十一の様態によるエアロゾル製剤を入れる、MDIなどの送達装置、好ましくは本発明の第十二の様態による装置、で使用するのに適したエアロゾル缶を提供する。
【0109】
本発明の活性物質の高い凝集性能のために、エアロゾル缶の内面(すなわち、使用時にエアロゾル製剤と接触するようになる表面)を特別に処理して、例えば、潤滑性を高めるコーティングを施して、缶及び関連送達メカニズムの内側への活性物質の付着を減らすことは不必要になるだろう。
【0110】
エアロゾル缶の容量は、普通10〜20mlである。缶は、強化ガラス又はアルミニウムで好適に作ることができる。缶は、通常の送達メカニズム、例えば、典型的な体積が25〜100μl、さらに典型的には45〜70μl、例えば、50〜65μl、の定量バルブをバルブ・アクチュエータと合わせて含むことができる。
【0111】
第十四の様態によって、本発明は活性物質を送達する方法であって、エアロゾル缶に補による活性物質及び/又は製剤を充填するステップを含む方法を提供する。その後の缶の中身の送達はMDIなどの送達装置によって行われる。
【0112】
第十五の様態は、ヒト又は動物患者を治療する方法であって、患者に、本発明による活性物質及び/又は製剤を、好ましくは本発明の第十四の様態による方法を用いて投与するステップを含む方法を提供する。
【0113】
これらの方法はどちらも、好ましくは吸入器などの薬剤送達装置、さらに好ましくは本発明の第十二の様態による送達装置の使用を含む。活性物質は、好ましくは吸入治療に適した医薬的に活性な物質を含む。
【0114】
次に、本発明を添付の図面を参照して専ら実施例によって説明する。図面のうち:
図1から13までは、以下の実施例1から7まででテストされたサンプルについて、時間による凝集体積の変化を示すグラフである。
【実施例】
【0115】
以下の実験では、SEDSTMプロセスを用いていくつかの薬剤を粒状形態で製造し、典型的なMDI噴射剤におけるその挙動を調べた。
【0116】
ほとんどの場合、粒子の形成を実行するのに用いたシステムは、WO-95/01221の図1に概略図で示された一般的なタイプであった。二通路同軸ノズル(WO-95/01221の図3を見よ)を用いて、500mlの(実施例1aを除く)粒子形成容器に、(i)溶媒キャリアにおけるその薬剤の溶液、及び(ii)貧溶媒としての超臨界CO2、を同時導入した。貧溶媒はノズル出口でキャリアを抽出し、粒子を析出させた。容器内の温度と圧力をコントロールして、CO2がプロセスの間ずっと、キャリアと混合されたときでも超臨界形態にとどまるようにした。
【0117】
粒状の生成物は、全て微細な、自由に流動する粉末でなめらかな粒子表面を有していた。
凝集体積は、上述の一般的な仕方で測定された。0.4gの当該サンプルが100mlのガラス・エアロゾルびんに充填された。びんは40mlの噴射剤流体と共に加圧されて1%w/v分散物を作り、30秒間激しく振とうして粉末を完全に分散させた。振とうの後、びんは平らな表面に置かれ、その後の10分間、凝集体積が15秒毎に目で測定された。
【0118】
実施例1a−キシナホ酸サルメテロールの調製
多形形態Iのキシナホ酸サルメテロール(サンプルA)がメタノールから(2%w/v)、動作温度60℃、動作圧力100バール、出口直径200μmのノズル、容量50mlの粒子形成容器、サルメテロール溶液の流量0.4ml/分、及びCO2流量20ml/分(注:全てのCO2流量はポンプヘッドで測定された)を用いて析出された。生成物のMMADは5.3μmであった(AerosizerTM)。
【0119】
キシナホ酸サルメテロール形態Iの別のサンプル(B)が、WO-03/008082に記載されている変形SDMSTMプロセスを用いて作られた。このプロセスでは、サルメテロール溶液とCO2は、それぞれ、入口チューブと直角に向いたノズル(出口直径200μm)を通って導入され、CO2流量はノズル出口で音速を獲得するのに十分であった。この粒子形成プロセスでは、サルメテロール/メタノール溶液の濃度は3%w/vであり、動作温度は36℃、動作圧力は80バール、サルメテロール溶液の流量は4ml/分、CO2流量は158ml/分であった。CO2は、ノズルで流体が膨張するときのJoule-Thomson冷却を補償するためにノズルに入る前に90℃に予熱された。生成物のMMADは1.6μmであった(AerosizerTM)。
【0120】
実施例1b−キシナホ酸サルメテロールの凝集性能
実施例1a(サンプルAとB)の凝集性能が噴射剤HFA134a(キシナホ酸サルメテロールより密度が低い)とHFA227ea(キシナホ酸サルメテロールより密度が高い)で、どちらの場合も10分間にわたってテストされた。標準的な微粉化プロセスで作られたキシナホ酸サルメテロール形態IのサンプルC(MMADはAerosizerTMで1.1μm)も同じ条件の下でテストされた。
【0121】
図1は、HFA134aにおける3つのサンプルの凝集体積の時間変化を最初の体積のパーセンテージで表して示す図である。SEDSTMで生成された2つのサンプル(すなわち、本発明による生成物)の性能は、微粉化(micronised)サンプルの性能より明らかに優れていた。微粉化サンプルは3分後の凝集体積が40%未満であり、10分後はわずか30%であった。SEDSTMサンプルは10分後でも90%以上の凝集体積を保持し、サンプルBの場合は98%を超えていた。
【0122】
サンプルBは、24時間静置した後でも98%を超える凝集体積を保持することが見出された。
【0123】
サンプルAの凝集体積の変化率は、最初の2分間の静置で平均して、毎分−3%であった。サンプルBの場合、この変化率は毎分−0.2%であった。これと対照的に、微粉化サンプルCの場合、この変化率は最初の1分で平均して毎分−38%であった。これらの数字は当該期間の凝集体積を測定し、直線に回帰させて初期凝集速度の指標を求めて得られた。計算された凝集速度の誤差は、ほぼ毎分2.5%であった。したがって毎分2.5%未満の凝集速度は無視できるほどの沈降又はクリーミングと等価である。
【0124】
図2は、同じサンプルがHFA227eaでどのように振る舞うかを示している。やはり、SEDSTMで生成されたサンプルAとBは微粉化サンプルCよりも優れた性能を示した。サンプルCでは、5分後、凝集体積が35%を下回った。SEDSTMで生成されたサンプルは、5分後、さらに10分後でも40%を超える凝集体積を保持していた。
【0125】
HFA227eaでは、凝集体積の変化率は、最初の2分間で平均して、サンプルAの場合は毎分−11%、サンプルBの場合は毎分−19%であった。サンプルCは、最初の1分間で凝集速度が毎分−53%であった。
【0126】
実施例2a−ブデソニドの調製
ブデソニドを、アセトン(2%w/v)から70℃、100バールで析出させた。ブデソニド溶液の流量は12.6ml/分、CO2の流量は833ml/分であった。出口が800μmのノズルが用いられた。生成物のMMADは1.65μmであった(AerosizerTM)。
【0127】
実施例2b−ブデソニドの凝集性能
実施例2aの生成物の凝集性能が、噴射剤HFA134a(ブデソニドより密度が低い)とHFA227ea(ブデソニドより密度が高い)で、微粉化ブデソニド・サンプル(MMD1.5μm)の凝集性能と比較された。
【0128】
図3は、HFA134aにおける結果を示す。やはり、本発明の生成物の性能は微粉化サンプルの性能よりも明らかに優れていた。微粉化サンプルは、2分後の凝集体積が40%未満、6分後の凝集体積が30%未満であった。それに対してSEDSTMサンプルは、10分後でも凝集体積がまだ80%であった。その凝集体積の変化率は、最初の2分間で平均して、毎分−3.5%であった。微粉化サンプルは、最初の1分間で、−37%という凝集速度を示した。
【0129】
図4は、HFA227eaにおける結果を示し、微粉化サンプルに比べてSEDSTMサンプルの凝集体積がはっきりと高い(5分後で50%を超え、10分後でもまだ40%よりも大きい)ことを示している。この場合、凝集体積の変化率は、SEDSTMサンプルの場合、最初の2分間で平均して毎分−13%であったが、微粉化サンプルの場合、最初の1分間で毎分−44%であった。
【0130】
実施例3a−プロピオン酸フルチカゾンの調製
プロピオン酸フルチカゾンの2つのサンプル(異なる多形形態IとII)を、表1に示す動作条件によってアセトン(4%w/v)から析出させた。
【0131】
【表1】
【0132】
実施例3b−プロピオン酸フルチカゾンの凝集性能
実施例3aからのサンプルAとBが、噴射剤HFA134a(プロピオン酸フルチカゾンよりも密度が低い)において、プロピオン酸フルチカゾン形態Iの微粉化サンプルD(MMD2.0μm)と比較された。
【0133】
図5は、3つのサンプルの10分間にわたる凝集体積の変化を、最初の体積のパーセンテージで表して示している。2つのSEDSTMサンプルの性能は、微粉化サンプルDの性能に比べてはっきりと優れている。後者は10分後の凝集体積が30%未満であるのに対して、SEDSTM生成物はどちらも、同じ時間の後に45%を超える凝集体積を保持した(2.3μmサンプルAの場合、約50%、5.6μmサンプルBの場合、90%より大きい)。
【0134】
微粉化生成物は、2つのSEDSTMサンプルよりも粒径は小さいにも関わらず、噴射剤における性能がそれほど良くないということが注目される。
【0135】
HFA134aにおける凝集体積の変化率は、どちらも最初の2分間で平均して、サンプルAでは毎分−20%、サンプルBでは毎分−1%であった。サンプルDは、最初の1分凝集速度が−68%であった。
【0136】
実施例3aのサンプルBとCの凝集挙動はまた、プロピオン酸フルチカゾンよりも密度が高い噴射剤HFA227eaにおいて微粉化サンプルDと比較された。図6は、その結果を示す。2つのSEDSTM生成物は10分後でも90%を超える凝集体積を示し、サンプルCは特に高い性能を示したが、微粉化サンプルは、わずか3分後に凝集体積が30%未満になった。凝集速度は最初の2分間で平均して、サンプルBでは毎分−0.5%、サンプルCでは毎分0%出会った。サンプルDは、最初の1分間で毎分−40%という凝集速度を示した。
【0137】
実施例4a−硫酸サルブタモールの調製
硫酸サルブタモールを、ジクロロメタン(DCM)を貧溶媒修飾物質として用いてメタノール(1%w/v)から析出させた。動作温度は75℃、圧力は200バールであった。サルブタモール溶液の流量は42ml/分、DCMの流量は84ml/分、そしてCO2の流量は633ml/分であった。使用したノズルの出口直径は900μmであった。
生成物は板状結晶の形でMMDは3.95μmであった。
【0138】
実施例4b−硫酸サルブタモールの凝集性能
実施例4aの生成物が、噴射剤HFA134a(硫酸サルブタモールよりも低密度である)とHFA227ea(硫酸サルブタモールよりも高密度である)において、MMDが14.5μmの微粉化サルブタモール・サンプルと比較された。
【0139】
図7は、HFA134aにおける2つのサンプルの10分間にわたる凝集体積の変化を最初の体積のパーセンテージで表して示している。本発明の生成物は微粉化サンプルに比べて優れた性能を示した。後者はわずか2分後に凝集体積が20%未満になったが、SEDSTM生成物は10分間のテスト時間の間70%を超える凝集体積を保持した。凝集速度は、SEDSTMサンプルでは最初の2分間にわたって平均して毎分−10%であったが、微粉化サンプルでは最初の1分間で平均して毎分−84%であった。
【0140】
図8は、HFA227eaにおける結果を示す。HFA227eaでは、微粉化サンプルはわずか2分後に凝集体積が20%未満になったが、SEDSTM生成物は8分後に凝集体積が70%より大きく、10分後でも60%を超える凝集体積を保持した。凝集速度は、SEDSTMサンプルでは最初の2分間で平均して毎分−5%、微粉化サンプルでは最初の1分間で平均して毎分−55%であった。
【0141】
実施例5a−メシル酸ジヒドロエルゴタミンの調製
極性薬剤メシル酸ジヒドロエルゴタミン(DHE)を50℃及び100バールでメタノール(5%w/v)から析出させた。DHE溶液の流量は1ml/分、そしてCO2の流量は200ml/分であった。用いたプロセスは、実施例1aにおいてサルメテロール・サンプルBで用いられた変型SEDSTMであった。このプロセスでは、CO2はノズル出口で音速ニナリ、ノズルに入る前に120℃に予熱された。生成物のMMADは1.25μm(AerosizerTM)であり、小さな板状結晶から成っていた。
【0142】
実施例5b−メシル酸ジヒドロエルゴタミンの凝集性能
実施例5aの生成物の凝集挙動が、DHEよりも密度が高い噴射剤HFA227eaにおいてテストされた。MMDが15.1μmだった微粉化されたDHEスタート物質もテストされた。
【0143】
図9は、2つのサンプルに関する結果を示しており、明らかにSEDSTM生成物が微粉化されたバージョンより性能が優れていた。10分後、SEDSTM生成物はまだ100%という凝集体積を示したが、微粉化サンプルではわずか1分後に凝集体積が20%未満になり、5分後には10%未満になった。24時間後でもHFA227eaで目に見えるほどのクリーミングを示さなかった。
【0144】
凝集速度は、SEDSTMサンプルの場合、最初の2分間で平均して毎分0%であったが、微粉化サンプルの場合、最初の1分間で平均して毎分−90%であった。
【0145】
実施例6a−リスペリドン−(9−ヒドロキシ)−パルミテートの調製
極性薬剤リスペリドン−(9−ヒドロキシ)−パルミテートを、80バールでテトラヒドロフラン(5%w/v)から析出させた。2つのサンプルAとBが、実施例1aのサンプルBの場合のような変型SEDSTMプロセスを用いて作られた(音速のCO2;CO2を90℃に予熱;容器温度36℃);第三のサンプルCは、実施例1aのサンプルAの場合のようなプロセスを用い、動作温度41℃及びノズル出口直径400μmを用いて作られた。リスペリドン溶液の流量は、サンプルAでは4ml/分、サンプルBとCでは1ml/分であった。CO2の流量は全ての実験で200ml/分であった。
【0146】
MMD(SympatecTM)は、サンプルAでは2.95μm、サンプルBでは2.5μm、サンプルCでは3.5μmであった。
【0147】
実施例6b−リスペリドン−(9−ヒドロキシ)−パルミテートの凝集性能
実施例6aの生成物が、HFA134aとHFA227eaの両方で、スタート物質(MMD8.1μm)と比較された。
【0148】
HFA134aでは(図10)、実施例6aの生成物が明らかにスタート物質を超える性能を示し、サンプルAとBの場合、10分後でも凝集体積は100%であった。サンプルCは、10分後も凝集体積が80%より大きかったが、これに対してスタート物質はわずか1分後に凝集体積が20%未満であった。凝集速度は、最初の2分間で平均して、サンプルA、B、及びCで、それぞれ、毎分0,0,及び−1%であり、微粉化サンプルでは最初の1分間で平均して毎分−152%であった。
【0149】
HFA227eaでは(図11)、本発明の全ての生成物は、5分後に80%を超え、10分後に70%を超える凝集体積を示した。これと対照的に、スタート物質では、わずか1分後に凝集体積が20%未満であった。この場合、凝集速度は、最初の2分間で平均して、サンプルA、B、及びCで、それぞれ、毎分−2.5,−3,及び−3%であり、微粉化サンプルでは最初の1分間で平均して毎分−117%であった。
【0150】
実施例7a−“化合物I”の調製
抗喘息薬“化合物I”を、80℃、200バ−ルで、400μmの直径のノズルを用いてメタノールから析出させた。2つのサンプルAとBが、それぞれ、0.2及び1.25%の薬剤溶液濃度を用いて作られた。サンプルAの調製では、薬剤溶液流量は10ml/分、CO2流量は100ml/分であり、サンプルBの調製では、薬剤溶液流量は4.5ml/分、CO2流量は150ml/分であった。どちらの場合も、針状結晶が得られた:それらのMMDは、それぞれ、5.7及び15.1μmであった(SympatecTM)。
【0151】
実施例7b−化合物Iの凝集性能
実施例7aの生成物を、HFA134aとHFA227eaの両方において、化合物Iの微粉化サンプル(MMD3.4μm)と比較した。
【0152】
HFA134aでは(図12)、実施例7aの生成物はどちらも10分後に100%の凝集体積を保持したが、微粉化サンプルは同じ時間の後に凝集体積が35%未満になった。凝集速度は、サンプルAとBでは、最初の2分間で平均して毎分0%であったが、微粉化サンプルでは、最初の1分間で平均して毎分−23%であった。
【0153】
HFA227eaでは(図13)、やはり本発明の生成物は10分間のテスト期間に何もクリーミングを示さなかったが、微粉化サンプルは、テストの終わりまでに凝集体積が35%未満に減少した。凝集速度は、サンプルAとBでは、最初の2分間で平均してやはり毎分0%であった。
【0154】
実施例8a−ブロモクリプチンの調製
パーキンソン秒の治療に用いられる極性薬剤、メシル酸ブロモクリプチン、を、実施例1aのサンプルBのように変型SEDSTMプロセス(音速CO2;CO2を90℃に予熱)を用いてエタノール(濃度1.2%w/v)から析出させた。動作圧力と温度は、それぞれ、80バール及び36℃であった。薬剤溶液流量は、サンプルAでは1ml/分、サンプルBでは4ml/分であった;どちらの場合も、CO2流量は200ml/分であった。ノズルの出口直径は200μmであった。
サンプルBは小さな板状結晶の形で析出し、サンプルAはアモルファスであった。
【0155】
実施例8b−ブロモクリプチンの凝集性能
実施例8aの結晶生成物(サンプルB)の凝集性能がHFA134aとHFA227eaの両方でテストされた。
【0156】
HFA134aでは、サンプルは10分後も凝集体積53%を保持した。HFA227eaでは、10分後凝集体積は95%であった。
【0157】
実施例9−MDI投薬量の一様性(DHE0.65%w/w)
結晶DHEを、実施例1aにおいてサルメテロール・サンプルBで用いられた変形SEDSTMプロセスによって調製した。薬剤は、ジメチルホルムアミド/水(9:1v/v)混合物(5%w/v)から50℃、100バールで析出させた。CO2はノズル出口で音速になり、ノズルに入る前に112℃に予熱された。ノズルは出口直径が0.2mmで、粒子形成容器の容量は2リットルであった。CO2の流量は12kg/時間、DHE溶液の流量は1ml/分であった。生成物は薄い板状粒子の形を有していた。
【0158】
次に、本発明に従ってエアロゾル製剤を、18mlのpMDIエアロゾル・カニスター(Presspart, Cary, NC)に、DHEを噴射剤HFA134a(DuPont Fluoroproducts, Wilmington, DE)に薬剤濃度0.65%w/vで懸濁させて調製した。カニスターは、ValoisTM Df 30/63 RCU 63μl定量バルブ(Valois Pharmaceuticals, Marly-le-Roi, France)を装備していた。(全てのエアロゾル性能テストで、別に断らない限り、活性物質サンプルは周辺条件で貯蔵され、製剤され、テストされたことに注意。)
【0159】
この製剤のユニット投薬を、USPインダクション・ポートを取り付け28.31l/分で動作するAndersenTMカスケード・インパクターに送給した。インパクターのいろいろなステージにおけるデポジション・プロフィールとそれらのMMADsが缶寿命(ほぼ100ショット)の始め(呼び水−5ショットを無益に発射した後)と終わりに測定した。その目的は、この期間にわたる投薬の一様性を評価することである。標準実験手順USP<601>とUSP<905>に従ってカスケード・インパクターと投薬一様性のテストを行った;DHEレベルはHPLCによって評価され、ex-valveとして報告された。ショットの間の間隔は少なくとも30秒あけて、エアロゾル缶の冷却とそれによる水分凝結を防止した。
【0160】
各製剤は3つのエアロゾル缶でテストされた。各缶及び与えられたカスケード・インパクション(CI)・パラメータ(例えば、微粒子比率FPF)について、平均値がスタート及び終わりのテスト値から計算された。全体平均、及び平均のパーセンテージとしての相対標準偏差(RSD)、も3つの缶全部について計算された。
【0161】
CI測定値及び計算値が、(a)MMAD、(b)微粒子投薬量(送達されたMMAD<3.3μmの薬剤の重量)、及び(c)微粒子比率(送達されたMMAD<3.3μmの薬剤のパーセンテージ)について表2に示されている。
【0162】
“%差”とは、始め及び終わりのテスト値の差を平均のパーセンテージで表したものである。
【0163】
【表2】
【0164】
3つのパラメータ全部に関して、特に微粒子投薬量に関して、始めと終わりのテスト値の間には良い一貫性(consistency)があり、3つの缶の間の変動も比較的小さい。これらのデータは、良い凝集性能、及び(MMAD値の一貫性から)粒子の成長と団粒化が低レベルであること、すなわち、薬剤が噴射剤に安定に懸濁していること、を示している。微粒子比率と粒径からして、DHEは、吸入治療に、特に肺の中心を介して全身に送達するために、きわめて適当である。
【0165】
投薬含有量の一様性は、USP法に従ってThiel の装置を用いて評価された。やはり3つの缶をテストした。送達された投薬の全DHE含有量の測定は、送達期間の始め、中頃及び終わりに、送達される投薬のほぼ(バルブの呼び水の後)1,50,及び100回に対応する時点で行われた。分析ショットを採取する直前に2回の呼び水のショットが発射された。各缶について、これらの3つの測定値にわたる平均と%RSDが計算された。
【0166】
結果は表3に示されている。全ての測定値は(RSDパーセンテージは別として)送達されたDHEのμgで表されている。
【0167】
【表3】
【0168】
やはり、データはテスト期間にわたる投薬含有量の良い一様性を示し、懸濁液の良い安定性を示している。
【0169】
実施例10−MDI投薬量の一様性(DHE1.3%w/w)
DHEをHFA134a中で1.3%w/wの濃度で製剤して実施例9を繰り返した。結果は表4(CIテスト)と5(投薬含有量の一様性)に示されており、やはり懸濁液の良い安定性と送達の高い一様性をはっきり示している。
【0170】
【表4】
【0171】
【表5】
【0172】
実施例11−製剤の安定性(DHE)
本発明のよるエアロゾル製剤の安定性が、周囲条件下での長期貯蔵期間ヲシミュレートするように設計された熱サイクリング処理を用いて評価された。実施例9で述べたように調剤された薬剤DHEの結晶サンプル(SympatecTMによりVMD2.8μm;バルク粉末密度0.14g/ml)が、実施例9と10のように、標準pMDIエアロゾル・カニスター中でHFA134aに懸濁された。2つの製剤が調製された。11AはDHE濃度が8mg/ml、11BはDHE濃度が16mg/mlであった。
【0173】
カニスターは、3回の−20℃から40℃までの間の3又は4時間サイクルから成る温度サイクリングに4週間さらされた。2つのサンプルは1,2,及び4週の各時点で取り出されて、粒径分布が調べられた(AndersenTMカスケード・インパクション(ACI)、缶寿命の始め)。投薬含有量一様性(缶寿命の始め、中頃,終わり)は1及び4週の時点で評価された。方法は実施例9と同様であった。3つのサンプルは、また、プレ−熱サイクリングでもテストされた(時刻ゼロ);この場合、粒径は缶寿命の始めと終わり(呼び水の後の100回目のショット)の両方で評価され、6つの測定値全部の平均MMADが得られた。
【0174】
粒径(ACI)の結果が、製剤11Aについては表6に、製剤11Bについては表7に示されている。微粒子比率FPFはやはりMMAD<3.3μmを有する比率である。
【0175】
【表6】
【0176】
【表7】
【0177】
表6と7のデータは、熱サイクリング全体にわたるMMAD及びFPFの良い一貫性を示し、本発明の製剤の高度の中長期的な貯蔵安定性を示している。微粒子比率は高く、口咽頭へのデポジション(付着)は低い。
【0178】
投薬含有量の一様性に関する結果を、製剤11Aと11Bについて、それぞれ、表8と9に示す。数字は、DHE投薬含有量及び缶寿命全体にわたる%相対標準偏差(RSD)に関するものである。
【0179】
【表8】
【0180】
【表9】
【0181】
やはり、これらのデータも製剤の良い安定性を示しており、投薬含有量の一様性は熱サイクリング全体にわたって保たれている。
【0182】
本発明のDHEの高い結晶性がエアロゾル製剤の安定性の向上に寄与していると考えられる。アモルファス相領域は、時間と共に、特に(しばしば起こることであるが)大気中の水分がバルブ・メカニズムを通してエアロゾル・カニスターに入り込む場合、噴射剤流体に溶解する経口が強い。この溶解に続いて、活性物質がまだ懸濁している粒子のまわりに再結晶し、粒子の成長及び/又は団粒化、及びその結果としてのMMAD並びに最終的なエアロゾル性能の変化につながる。本発明のDHE製剤はこの点で、長期間の貯蔵を表す条件下でも高度の安定性を有するように思われる。
【0183】
実施例12−MDI送達の効率(ブロモクリプチン)
実施例8aで述べたようにアモルファス及び結晶メシル酸ブロモクリプチン・サンプルが調製された。やはり、サンプルAはアモルファスであり、サンプルBは高度に結晶性であった。
【0184】
それぞれ、ブロモクリプチン・サンプルAとBをHFA227eaに懸濁させて含むエアロゾル製剤12Aと12Bが50μl定量バルブ(Valois Pharmaceuticals, Marly-le-Roi, France)を装備した19mlのアルミニウム・エアロゾル・カニスター(Presspart Inc, Cary, NC)中に調製された。懸濁の濃度は、製剤12Aで0.7%w/w、12Bで0.69%w/wであった。0.74%の微粉化ブロモクリプチンを含む対照製剤12Cが調製された。いずれの場合も、粉末は最初カニスターを10−15秒間バス・ソニケーターで超音波処理し、次にリスト・アクション・シェーカーに約30分間載せて分散させた。各カニスターは、次に最初の5ショットを無益に発射して呼び水とした。
【0185】
製剤はAndersenTMカスケード・インパクターでテストして空気動力学的な粒子性質を測定した。カスケード・インパクターは、USPインダクション・ポート(<USP601> Pharmaceutical Previews 22, 3065 (1995))を取り付けて、28.3l/分で使用した。粒径分布は、pMDIアクチュエーター、USPインダクション・ポート、8つのステージ及び最終フィルターに付着する薬剤質量に分けられた。1回のテストで5ショットを、缶の冷却とそれによって生ずる水分凝結を防止するためにショットの間に少なくとも30秒の間隔をあけて、作動させた。各サンプルのブロモクリプチン含有量はHPLCによって測定された。ステージ4から最終フィルターまでに付着する全投薬のパーセンテージ(MMADが3.3μm未満の粒子に対応する)が微粒子比率と見なされた。
【0186】
測定値は、(a)実験の始めに、呼び水の後、送達された5ショット、(b)実験の中頃の5ショット、及び(c)カニスターの終わりに近い5ショット(実験あたりのショットの総数は約120)、にわたって記録された。
【0187】
製剤12Aから12Cまでの各々についてのテストは、3つの別々のエアロゾル缶を用いて三重複で行われた。各パラメータについて、得られた9つの測定値(すなわち、3つの缶の各々について始め、中頃及び終わりのテスト値)に基づく平均、ならびに標準偏差SDが計算された。
【0188】
結果を表10に示す。FPDは微粒子投薬量であり、FPFは微粒子比率である。
【0189】
【表10】
【0190】
一般的に言って、本発明による製剤12Aと12Bを用いたテストでは、3つの缶の各々で記録された始め、中頃、及び終わりのテスト値の間できわめて小さな変動(FPFに関してSD<3、MMADに関してはSD<0.2)しか見られなかった。全体として、本発明の製剤では一貫して良い性能が観測され、微粉化対照に比べて本発明の製剤は微粒子比率が高く、スロート付着が少ない、優れたエアロゾルを生じた。
【0191】
実施例13−MDI投薬量の一様性(ブロモクリプチン)
実施例9で用いたと同様のテスト手順に従って、3つの製剤12Aから12Cまでの投薬含有量の一様性が、充填されたエアロゾル・カニスターの全内容にわたって確認された、ベースプレート(クアドラポッド)装置を用いて、0.6mm外径のValoisブート・アクチュエーター(Valois Pharmaceuticals, Marly-le-Roi, France)から各製剤を作動させて、10mlのメタノール/水に採取した。送達された各投薬のブルモクリプチン含有量が、充填されたカニスター使用の始め、中頃、及び終わりについて、HPLCに予って重複して測定された。
【0192】
表11は、各製剤について3つのエアロゾル缶で平均された投薬含有量を、缶寿命の始め、中頃、及び終わりについて示している。各製剤についての全体平均投薬含有量も、缶寿命を通しての投薬含有量の変動の指標となる%RSDと合わせて示されている。やはり、全ての測定値は(RSDパーセンテージを除いて)送達された薬剤のμgで表されている。
【0193】
【表11】
【0194】
やはり、製剤12Aと12Bは、特に微粉化薬剤を含む製剤12Cと比べたとき、テスト期間にわたる投薬含有量の良い一様性を示している。これは、本発明による製剤の懸濁物の良好な安定性を示す。活性物質がアモルファス相で存在する場合でも、HFA227eaにおける懸濁の安定性はきわめて高いように見える。これはさらに、再結晶に対する安定性が高いことを示しており、それは、活性物質が結晶化の後の微粉化などの従来のルートによって調製された場合に比べて、本発明に従って調製された場合の純度の高さ、特に残留溶媒レベルの低さ、によるものと考えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気動力学的直径の質量中央値(MMAD)が10μm未満である粒状活性物質を非溶媒ハイドロフルオロカーボン流体ビヒクル中に0.5%w/v以上の濃度で懸濁させて含むエアロゾル製剤。
【請求項2】
前記粒状活性物質が5μm未満のMMADを有する、請求項1に記載のエアロゾル製剤。
【請求項3】
前記粒状活性物質の前記ビヒクル中の濃度が0.5〜1.5%w/vである、請求項1又は2に記載のエアロゾル製剤。
【請求項4】
前記流体ビヒクルが、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)又はそれらの混合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項5】
前記活性物質が吸入による送達に適した医薬的に活性な物質又はニュートラシューティカルとして活性な物質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項6】
分散を促進する又は安定化する添加剤又は共溶媒又は潤滑性増強添加剤を全く又は実質的に全く含まない、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項7】
定量噴霧式吸入器で使用するのに適した、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項8】
定量噴霧式吸入器を用いて一連の等しい体積の投薬として送達されたとき、または一連の等しい体積の投薬としてカスケード・インパクターに送達されたとき、以下の結果、すなわち:
a)各投薬で送達される活性物質の量の相対標準偏差RSD(すなわち、平均値のパーセンテージとして表された標準偏差)が引き続く100回の投薬で15%以下である;
b)送達された投薬の微粒子含有量(MMADが微粒子領域、<3.5μm、にある送達された活性物質の量)のRSDが引き続く100回の投薬で15%以下である;
c)各投薬に含まれる微粒子比率(すなわち、MMADが微粒子領域にある活性物質の量を当該投薬における活性物質の総量のパーセンテージとして表したもの)のRSDが引き続く100回の投薬で17%以下である;
d)各投薬に含まれる活性物質粒子のMMADのRSDが引き続く100回の投薬で9.5%以下である;
e)各投薬に含まれる微粒子比率が引き続く100回の投薬で少なくとも25%である;
f)各投薬で送達される粒子のMMADが引き続く100回の投薬にわたって4μm以下である;
の1つ以上を与える、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項9】
25℃及び相対湿度60%で少なくとも12ヶ月の期間貯蔵した後でも結果(a)から(f)までの1つ以上を与える、請求項8に記載のエアロゾル製剤。
【請求項10】
定量噴霧式吸入器又は同等の送達装置を用いて生きたヒト又は動物患者に送達されたとき、同じ又は同様な粒径を有するが微粉化によって製造された同じ化学物質を同じ流体ビヒクルに同じ濃度で含む製剤に比べて、前記患者の血流へのより速やかな放出に導く、請求項1〜9のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項11】
定量噴霧式吸入器又は同等の送達装置を用いて生きたヒト又は動物患者に送達されたとき、患者の血流における前記活性物質の最大濃度、Cmax、が送達から30分以内に達成されるようになる、請求項10に記載のエアロゾル製剤。
【請求項12】
Cmaxが送達から15分以内に達成される、請求項11に記載のエアロゾル製剤。
【請求項13】
定量噴霧式吸入器又は同等の送達装置を用いて生きたヒト又は動物患者に送達されたとき、同じ又は同様な粒径を有するが微粉化によって製造された同じ化学物質を同じ流体ビヒクルに同じ濃度で含む製剤に比べて、投薬の送達の後に、患者において前記活性物質のより高い全体及び/又は最大血漿濃度を生ずる、請求項1〜12のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項14】
前記流体ビヒクルが、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)であり、前記活性物質とビヒクルを混合してから30秒後に35%以上の凝集体積を示す、請求項1〜13のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項15】
混合から30秒後に当該ビヒクルにおいて50%以上の凝集体積を示す、請求項14に記載のエアロゾル製剤。
【請求項16】
混合から5分後に前記の定められた凝集体積を示す、請求項14又は請求項15に記載のエアロゾル製剤。
【請求項17】
混合から10分後に前記の定められた凝集体積を示す、請求項16に記載のエアロゾル製剤。
【請求項18】
前記流体ビヒクルが、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)であり、前記活性物質とビヒクルの十分な混合の後最初の60秒間に示す凝集体積の変化(減少)率が毎分20%以下である、請求項1〜17のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項19】
前記の定められた状況で、前記活性物質とビヒクルの十分な混合の後最初の60秒間に示す凝集体積の変化(減少)率が毎分10%以下である、請求項18に記載のエアロゾル製剤。
【請求項20】
前記の定められた状況で、前記活性物質とビヒクルの十分な混合の後最初の120秒間に示す凝集体積の変化(減少)率が毎分20%以下である、請求項18又は請求項19に記載のエアロゾル製剤。
【請求項21】
前記流体ビヒクルが、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)であり、前記活性物質とビヒクルを混合してから5分後に、同じ又は同様な粒径を有するが微粉化によって製造された同じ化学物質を同じ流体ビヒクルに同じ濃度で含む製剤が示す凝集体積よりも少なくとも20%高い凝集体積を示す、請求項1〜20のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項22】
前記凝集体積が0.5〜1.5%w/vの濃度で測定される、請求項14〜21のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項23】
前記凝集体積が1%w/vの濃度で測定される、請求項22に記載のエアロゾル製剤。
【請求項24】
前記活性物質の空気動力学的直径の質量中央値(MMAD)が3.5μm未満である、請求項1〜23のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項25】
前記活性物質が固体粒子の形態である、請求項1〜24のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項26】
前記活性物質が結晶の形態である、請求項1〜25のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項27】
前記活性物質が結晶の形態であり、その形態が1つの寸法(dimension)で少なくとも1つの他の寸法(dimension)よりも顕著に長い、請求項26に記載のエアロゾル製剤。
【請求項28】
前記活性物質が含む残留溶媒が200ppm未満である、請求項1〜27のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項29】
前記活性物質が肺を介して全身に送達するのに適している、請求項1〜28のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項30】
前記活性物質が、偏頭痛、吐き気、不眠症、アレルギー反応(アナフィラキシー反応を含む)、神経又は精神疾患、勃起不全、糖尿病と関連疾患、心臓疾患、けいれん、気管支疾患、痛み、炎症、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される疾病の治療に用いられる薬剤を含む、請求項29に記載のエアロゾル製剤。
【請求項31】
前記活性物質が、流体キャリア中の前記活性物質の溶液又は懸濁液(“標的溶液/懸濁液”)に圧縮流体貧溶媒を、前記貧溶媒が前記標的溶液/懸濁液から流体キャリアを抽出し、同時に、前記活性物質の粒子をそれから析出させるように前記標的溶液/懸濁液を分散させることを可能にする条件の下で接触させることによって調製された、請求項1〜30のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項32】
前記流体ビヒクルが、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)であり、前記活性物質粒子の空気動力学的直径の質量中央値(MMAD)が25℃及び相対湿度60%での3ヶ月以上の貯蔵期間にわたって10%以下しか変動しない、請求項1〜31のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項33】
実質的にここに記載されたようなエアロゾル製剤。
【請求項1】
空気動力学的直径の質量中央値(MMAD)が10μm未満である粒状活性物質を非溶媒ハイドロフルオロカーボン流体ビヒクル中に0.5%w/v以上の濃度で懸濁させて含むエアロゾル製剤。
【請求項2】
前記粒状活性物質が5μm未満のMMADを有する、請求項1に記載のエアロゾル製剤。
【請求項3】
前記粒状活性物質の前記ビヒクル中の濃度が0.5〜1.5%w/vである、請求項1又は2に記載のエアロゾル製剤。
【請求項4】
前記流体ビヒクルが、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)又はそれらの混合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項5】
前記活性物質が吸入による送達に適した医薬的に活性な物質又はニュートラシューティカルとして活性な物質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項6】
分散を促進する又は安定化する添加剤又は共溶媒又は潤滑性増強添加剤を全く又は実質的に全く含まない、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項7】
定量噴霧式吸入器で使用するのに適した、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項8】
定量噴霧式吸入器を用いて一連の等しい体積の投薬として送達されたとき、または一連の等しい体積の投薬としてカスケード・インパクターに送達されたとき、以下の結果、すなわち:
a)各投薬で送達される活性物質の量の相対標準偏差RSD(すなわち、平均値のパーセンテージとして表された標準偏差)が引き続く100回の投薬で15%以下である;
b)送達された投薬の微粒子含有量(MMADが微粒子領域、<3.5μm、にある送達された活性物質の量)のRSDが引き続く100回の投薬で15%以下である;
c)各投薬に含まれる微粒子比率(すなわち、MMADが微粒子領域にある活性物質の量を当該投薬における活性物質の総量のパーセンテージとして表したもの)のRSDが引き続く100回の投薬で17%以下である;
d)各投薬に含まれる活性物質粒子のMMADのRSDが引き続く100回の投薬で9.5%以下である;
e)各投薬に含まれる微粒子比率が引き続く100回の投薬で少なくとも25%である;
f)各投薬で送達される粒子のMMADが引き続く100回の投薬にわたって4μm以下である;
の1つ以上を与える、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項9】
25℃及び相対湿度60%で少なくとも12ヶ月の期間貯蔵した後でも結果(a)から(f)までの1つ以上を与える、請求項8に記載のエアロゾル製剤。
【請求項10】
定量噴霧式吸入器又は同等の送達装置を用いて生きたヒト又は動物患者に送達されたとき、同じ又は同様な粒径を有するが微粉化によって製造された同じ化学物質を同じ流体ビヒクルに同じ濃度で含む製剤に比べて、前記患者の血流へのより速やかな放出に導く、請求項1〜9のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項11】
定量噴霧式吸入器又は同等の送達装置を用いて生きたヒト又は動物患者に送達されたとき、患者の血流における前記活性物質の最大濃度、Cmax、が送達から30分以内に達成されるようになる、請求項10に記載のエアロゾル製剤。
【請求項12】
Cmaxが送達から15分以内に達成される、請求項11に記載のエアロゾル製剤。
【請求項13】
定量噴霧式吸入器又は同等の送達装置を用いて生きたヒト又は動物患者に送達されたとき、同じ又は同様な粒径を有するが微粉化によって製造された同じ化学物質を同じ流体ビヒクルに同じ濃度で含む製剤に比べて、投薬の送達の後に、患者において前記活性物質のより高い全体及び/又は最大血漿濃度を生ずる、請求項1〜12のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項14】
前記流体ビヒクルが、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)であり、前記活性物質とビヒクルを混合してから30秒後に35%以上の凝集体積を示す、請求項1〜13のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項15】
混合から30秒後に当該ビヒクルにおいて50%以上の凝集体積を示す、請求項14に記載のエアロゾル製剤。
【請求項16】
混合から5分後に前記の定められた凝集体積を示す、請求項14又は請求項15に記載のエアロゾル製剤。
【請求項17】
混合から10分後に前記の定められた凝集体積を示す、請求項16に記載のエアロゾル製剤。
【請求項18】
前記流体ビヒクルが、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)であり、前記活性物質とビヒクルの十分な混合の後最初の60秒間に示す凝集体積の変化(減少)率が毎分20%以下である、請求項1〜17のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項19】
前記の定められた状況で、前記活性物質とビヒクルの十分な混合の後最初の60秒間に示す凝集体積の変化(減少)率が毎分10%以下である、請求項18に記載のエアロゾル製剤。
【請求項20】
前記の定められた状況で、前記活性物質とビヒクルの十分な混合の後最初の120秒間に示す凝集体積の変化(減少)率が毎分20%以下である、請求項18又は請求項19に記載のエアロゾル製剤。
【請求項21】
前記流体ビヒクルが、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)であり、前記活性物質とビヒクルを混合してから5分後に、同じ又は同様な粒径を有するが微粉化によって製造された同じ化学物質を同じ流体ビヒクルに同じ濃度で含む製剤が示す凝集体積よりも少なくとも20%高い凝集体積を示す、請求項1〜20のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項22】
前記凝集体積が0.5〜1.5%w/vの濃度で測定される、請求項14〜21のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項23】
前記凝集体積が1%w/vの濃度で測定される、請求項22に記載のエアロゾル製剤。
【請求項24】
前記活性物質の空気動力学的直径の質量中央値(MMAD)が3.5μm未満である、請求項1〜23のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項25】
前記活性物質が固体粒子の形態である、請求項1〜24のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項26】
前記活性物質が結晶の形態である、請求項1〜25のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項27】
前記活性物質が結晶の形態であり、その形態が1つの寸法(dimension)で少なくとも1つの他の寸法(dimension)よりも顕著に長い、請求項26に記載のエアロゾル製剤。
【請求項28】
前記活性物質が含む残留溶媒が200ppm未満である、請求項1〜27のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項29】
前記活性物質が肺を介して全身に送達するのに適している、請求項1〜28のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項30】
前記活性物質が、偏頭痛、吐き気、不眠症、アレルギー反応(アナフィラキシー反応を含む)、神経又は精神疾患、勃起不全、糖尿病と関連疾患、心臓疾患、けいれん、気管支疾患、痛み、炎症、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される疾病の治療に用いられる薬剤を含む、請求項29に記載のエアロゾル製剤。
【請求項31】
前記活性物質が、流体キャリア中の前記活性物質の溶液又は懸濁液(“標的溶液/懸濁液”)に圧縮流体貧溶媒を、前記貧溶媒が前記標的溶液/懸濁液から流体キャリアを抽出し、同時に、前記活性物質の粒子をそれから析出させるように前記標的溶液/懸濁液を分散させることを可能にする条件の下で接触させることによって調製された、請求項1〜30のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項32】
前記流体ビヒクルが、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227ea)であり、前記活性物質粒子の空気動力学的直径の質量中央値(MMAD)が25℃及び相対湿度60%での3ヶ月以上の貯蔵期間にわたって10%以下しか変動しない、請求項1〜31のいずれか1項に記載のエアロゾル製剤。
【請求項33】
実質的にここに記載されたようなエアロゾル製剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−63618(P2011−63618A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−263772(P2010−263772)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【分割の表示】特願2003−585697(P2003−585697)の分割
【原出願日】平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願人】(502008306)ネクター セラピューティクス ユーケー リミティド (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263772(P2010−263772)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【分割の表示】特願2003−585697(P2003−585697)の分割
【原出願日】平成15年4月15日(2003.4.15)
【出願人】(502008306)ネクター セラピューティクス ユーケー リミティド (4)
【Fターム(参考)】
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