説明

粘着テープ

【課題】優れた接着性を示し、更に、高温や低温などの環境変化に曝された場合においても、この粘着テープにより固定される被着体の撓むことによる表示ムラなどを抑制ができる粘着テープを提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープであって、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、モノマー成分として、少なくとも炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合して得られるものであり、前記粘着剤組成物が、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、ロジン系樹脂を5〜50重量部含有し、前記粘着剤層の0℃における応力−ひずみ曲線における最大応力が1.2〜3.5N/mmであり、かつ、最大伸びが700〜1300%であることを特徴とする粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定モノマーを(共)重合して得られる(メタ)アクリル系ポリマーを用いた粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
両面粘着テープは、物品への貼付前に任意の形状に打ち抜き加工が可能であり、また、作業性が良好であることから、各種産業分野において物品の固定に利用されている。特に、PDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話等の携帯用電子機器等の表示部や銘板は小型で複雑な形状を有しているため、これらの小型部品の固定に両面粘着テープが用いられることが多い。
【0003】
近年、携帯用電子機器は、その利用態様によりますます薄型化が要求され、内部に使用する部材も薄型化が進んでおり、例えば、携帯用電子機器内部に使用される輝度向上フィルムや反射シートなどもその傾向にある。これら輝度向上フィルム等は、両面粘着シートなどにより固定されている。
【0004】
薄型化が進む携帯用電子機器は、その薄さのため、耐衝撃性に劣るなどの問題も生じており、これらを解決するため、両面粘着シートを構成する粘着剤層の特定温度域における損失正接を調製する方法や、粘着剤層の特定温度における損失正接や、貯蔵弾性率を調整することにより、耐衝撃性に優れた粘着シートが開示されている(特許文献1及び2)。
【0005】
また、タッチパネルなどに使用される透明プラスチック基板などの薄型化により、高温や、高温高湿下において、タッチパネルなどの被着体に、反りが発生するなどの問題が生じており、これを解決するため、特定の重量平均分子量を有するアクリル系ポリマーとオリゴマーを用いた粘着剤層を有する両面粘着シートに、透明プラスチック基板などを貼り合わせることにより、反り防止等が図られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−187513号公報
【特許文献2】特開2008−231358号公報
【特許文献3】特開2005−255877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1〜3の両面粘着シートにおいては、携帯用電子機器が落下した場合などの耐衝撃性が改良されていたり、透明性などの改善がなされているものの、高温や低温などの環境変化の下で曝された場合に、上記両面粘着シートにより固定されている被着体(輝度向上フィルム等)が撓むという問題が生じている。
【0008】
そこで、本発明は、優れた接着性を示し、更に高温や低温環境下においても、この粘着テープにより固定される被着体の撓みを抑制することにより、表示ムラの発生を抑制することができる粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定のモノマーを重合して得られる(メタ)アクリル系ポリマーと共に、特定の粘着付与樹脂を必須成分として含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層を有し、前記粘着剤層の最大応力や最大伸びを特定範囲に調整することにより、高温や低温などの環境変化の下であっても、優れた接着性を示し、更にこの粘着テープにより固定される被着体の撓み抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の粘着テープは、(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープであって、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、モノマー成分として、少なくとも炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合して得られるものであり、前記粘着剤組成物が、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、ロジン系樹脂を5〜50重量部含有し、前記粘着剤層の0℃における応力−ひずみ曲線における最大応力が1.2〜3.5N/mmであり、かつ、最大伸びが700〜1300%であることを特徴とする。
【0011】
本発明の粘着テープは、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、モノマー成分として、更に、カルボキシル基を含有せず、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度が50〜190℃であるエチレン性不飽和モノマーを含有することが好ましい。
【0012】
本発明の粘着テープは、前記エチレン性不飽和モノマーが、メタクリル酸シクロヘキシルであることが好ましい。
【0013】
本発明の粘着テープは、前記粘着剤層のゲル分率が、0〜30重量%であることが好ましい。
【0014】
本発明の粘着テープは、前記粘着剤層を、基材の少なくとも片面に形成し、前記粘着剤層の厚みが、2〜40μmであることが好ましい。
【0015】
本発明の粘着テープは、携帯用電子機器の液晶表示構成部材の固定に用いられることが好ましい。
【0016】
本発明の粘着テープは、前記液晶表示構成部材が、光学シートであることが好ましい。なお、光学シートとは、光学フィルムや光学テープなどを含むことを意味する。
【0017】
本発明の粘着テープは、携帯用電子機器の部材の固定に用いられることが好ましい。ここで、携帯用電子機器とは、携帯電話やPDA等の持ち運び可能な電気機器を意味する。また、上記携帯用電子機器以外であっても、例えば、デジタルカメラ、ビデオ、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、テレビ、及び、ゲーム機などに用いられる液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等にも用いることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の粘着テープによれば、高温や低温などの環境変化の下においても、この粘着テープにより固定されている被着体との接着(粘着)性に優れ、更に被着体自体の撓みを抑制でき、前記被着体が光学シート等の場合には、前記光学シート等の撓みに基づく表示ムラを抑制できるという優れた効果を発揮する。とりわけ、PDA、携帯電話等の携帯用電子機器等の表示部や銘板等の小型で複雑な形状を有する部材(輝度向上フィルムや反射シート、偏光板など)の接着(固定)に有用であり、更に、両面粘着テープとして使用する場合には、被接着面がハードコート処理された部品とプラスチック製部品との固定等に好適に用いることができる。更に、輝度向上フィルム等の部材を貼り合わせた状態において、高温や低温などの環境変化に曝された場合であっても、輝度向上フィルム等が撓むことによる表示ムラなどを抑制ができ、有用である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0020】
本発明の粘着テープは、(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープであって、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、モノマー成分として、少なくとも炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合して得られるものであり、前記粘着剤組成物が、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、ロジン系樹脂を5〜50重量部含有し、前記粘着剤層の0℃における応力−ひずみ曲線における最大応力が1.2〜3.5N/mmであり、かつ、最大伸びが700〜1300%であることを特徴とする。
【0021】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーの構成成分について、具体的に説明すると、主モノマーである炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルが挙げられ、前記アルキル基は、直鎖状及び分岐状のいずれの形態であってもよい。また、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が4〜9の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニルがより好ましい。なお、これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分に対して、主モノマーである前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、60重量%以上であり、好ましくは、70〜95重量%であり、より好ましくは、80〜95重量%である。前記範囲内に調整することにより、粘着テープとして必要な所望の剥離力や、凝集力を得ることができ、好ましい。
【0023】
前記カルボキシル基を含有せず、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度が50〜190℃であるエチレン性不飽和モノマーとしては、特に制限されないが、たとえば、メタクリル酸メチル、(メタ)アクリロイルモルホリン、メタクリル酸シクロヘキシル、n−ビニルピロリドン、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルマレイイミド、イソプロピルマレイイミド、(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、中でも、メタクリル酸シクロヘキシルが好適である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
前記エチレン性不飽和モノマーは、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)が50〜190℃であることが好ましく、より好ましくは、60〜190℃である。Tgが50℃未満となる前記エチレン性不飽和モノマーを使用すると、粘着テープとして必要な所望の凝集力が得られず、また、撓みも抑制することができず好ましくない。また、Tgが190℃を超えると、粘着テープに必要な所望の接着(粘着)性を得ることができず、好ましくない。
【0025】
前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分に対して、前記主モノマーである前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加えて、前記エチレン性不飽和モノマーの含有量は、2〜8重量%が好ましく、より好ましくは、2〜6重量%であり、より好ましくは、2〜4重量%である。前記エチレン性不飽和モノマーの含有量が、2重量%未満であると、粘着テープとして必要な凝集力がえられず、良好な加工性が得にくくなり、8重量%を超えると、撓みの抑制が困難となり、好ましくない。
【0026】
ここで、「ガラス転移温度」とは、モノマーの製造メーカーのカタログ値を用いてもよいが、カタログ値のない場合には、以下の測定方法により得られる値をいう。すなわち、温度計、撹拌機、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器に、前記エチレン性不飽和モノマー100重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部及び重合溶媒として酢酸エチル220重量部を投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し8時間反応させる。次いで、室温まで冷却し、固形分濃度30重量%のエチレン性不飽和モノマーに基づくホモポリマー溶液を得る。次いで、このポリマー溶液を剥離ライナー上に流延塗布し、50℃で24時間乾燥して厚さ約2mmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。この試験サンプルを直径7.9mmの円盤状に打抜き、パラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験機(ARES、レオメトリックス社製)を用いて周波数1Hzの剪断歪を与えながら、温度領域−70〜150℃、5℃/分の昇温速度で剪断モードにより粘弾性を測定し、損失弾性率G’’のピークトップ温度をガラス転移温度とする。
【0027】
前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分として、必要に応じて、前記 (メタ)アクリル酸アルキルエステルや、前記エチレン性不飽和モノマーと共に、さらに、カルボキシル基含有モノマーや、共重合可能なモノマーを併用してもよい。
【0028】
前記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イソクロトン酸の他、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート[例えば、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(平均繰り返し数n=2)モノ(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(平均繰り返し数n=3)モノ(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(平均繰り返し数n=4)モノ(メタ)アクリレートなど]、フタル酸モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば、フタル酸モノヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシ2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシウンデシル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシドデシル(メタ)アクリレートなど]、コハク酸モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば、コハク酸モノヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシ2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシウンデシル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシドデシル(メタ)アクリレートなど]、アクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシ2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシウンデシル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシドデシル(メタ)アクリレートなど]等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、アクリル酸や、メタクリル酸等が粘着テープに必要な所望の接着(粘着)性を得ることができる点で、好適である。
【0029】
前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分に対して、前記主モノマーである前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加えて、前記カルボキシル基含有モノマーの含有量は、2〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは、2〜6重量%であり、更に好ましくは、2〜4重量%である。前記カルボキシル基含有モノマーが、2重量%未満であると、得られる前記(メタ)アクリル系ポリマー中において、前記カルボキシル基含有モノマーが、架橋点の形成において、十分な機能を発揮することができず、粘着テープとして必要な所望の凝集力を得ることができず、好ましくない。また、10重量%を超えると、撓みの抑制が困難となり、好ましくない。
【0030】
共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーの凝集力をコントロールするために、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α−メチルスチレン等)、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマーの他、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマー等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
前記共重合可能なモノマーの含有量は、全モノマー成分に対して36重量%未満であれば、モノマーの種類等に応じて適宜選択することができるが、良好な接着(粘着)性を発現するために、得られる(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度が−40℃以下、好ましくは−50℃以下、より好ましくは−60℃以下となるように含有量を決定することが望ましい。
【0032】
上記モノマー(混合物)の重合方法は特に限定されるものではなく、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、UV重合法等を適用することができる。中でも、コストや、重合時に水を使用しないため、粘着テープで接着する際に小型物品への水の浸入を防止できる等の点で溶液重合法が好ましい。
【0033】
重合反応に用いる開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩等のアゾ系;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等の過酸化物系、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。開始剤の使用量は上記重合反応において通常使用される量であればよく、例えば、モノマー混合物100重量部に対して0.01〜1重量部である。
【0034】
上記重合反応に用いる溶剤としては、一般的に重合反応に使用される溶剤であればよく、例えば、酢酸エチル、トルエン、酢酸n−ブチル、n−へキサン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。溶剤の使用量は、上記重合反応において通常使用されている量であればよく、例えば、モノマー混合物100重量部に対して50〜600重量部程度である。
【0035】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、20万〜100万であることが好ましく、より好ましくは40万〜80万である。前記範囲内にあると、粘着テープに必要な所望の凝集力や接着(粘着)性を得ることができ、好ましい。
【0036】
前記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤や連鎖移動剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、モノマー濃度、モノマー滴下速度などによりコントロールすることができる。
【0037】
なお、本発明では、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。より具体的には、GPC測定装置として、商品名「HLC−8120GPC」(東ソー株式会社製)を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPCの測定条件で測定して求めることができる。
【0038】
<GPCの測定条件>
・サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:10μl
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流量(流速):0.6mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:商品名「TSKgelSuperHM−H/H4000/H3000/H2000」(東ソー株式会社製)
・検出器:示差屈折計
【0039】
また、本発明における粘着剤組成物には、粘着付与樹脂として、ロジン系樹脂を添加する。これにより、粘着(接着)性を一層高めることができる。ロジン系樹脂の配合量は、前記(メタ)アクリル系ポリマーの100重量に対して、5〜50重量部であり、好ましくは10〜40重量部、より好ましくは15〜30重量部である。ロジン系樹脂の配合量が5重量部未満であると、粘着テープとして、被着体に対して、界面の粘着(接着)性が不足し、高い粘着(接着)力を発現しにくく、一方、50重量部を超えた場合も、粘着テープとして、被着体に対して、界面の粘着(接着)性が不足し、高い粘着(接着)力を発現しにくく、好ましくない。
【0040】
なお、前記ロジン系樹脂には、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)や、これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合などにより変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの他、その他の化学的に修飾されたロジンなど)の他、各種のロジン誘導体などが含まれる。前記ロジン誘導体としては、例えば、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物や、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなどの変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物などのロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)、不飽和脂肪酸変性ロジン類や不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩などが挙げられる。
【0041】
前記ロジン系樹脂の軟化点としては、50〜150℃のものが好ましく、70〜140℃のロジン系樹脂(中でも、水添ロジンのグリセリンエステルや、水添加ロジンのメチルエステル、完全水添ロジンのグリセリンエステル、重合ロジンのペンタエリスリトール等)を用いることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
また、本発明に用いられる粘着剤層のゲル分率を調整する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記(メタ)アクリル系ポリマーに架橋剤を添加する方法が挙げられる。架橋剤としては特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することができる。例えば、メチル化メチロールメラミン、ブチル化ヘキサメチロールメラミン等の多官能メラミン化合物、N,N’,N’−テトラグリシジルm−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、グリセリンジグリシジルエーテル等の多官能エポキシ化合物、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート等の多官能イソシアネート化合物等が挙げられる。また、カルボジイミド系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられ、これらを単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
前記架橋剤の使用量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、通常0.001〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.001〜10重量部、特に好ましくは0.01〜5重量部である。前記範囲内にあると、粘着テープ(粘着剤)に必要な所望の凝集力や、接着(粘着)性を得ることができ、好ましい。
【0044】
本発明におけるゲル分率とは、以下の「ゲル分率の測定方法」により算出される値である。
(ゲル分率の測定方法)
まず、前記粘着剤組成物(溶液)を剥離ライナー上に塗工した後、乾燥ないし硬化させたものから採取するか、あるいは、粘着テープから粘着剤層を掻き取って採取する。前記粘着剤層の約0.1gを、0.2μm径を有するテフロン(登録商標)シート(商品名「NTF1122」、日東電工株式会社製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、前記重量を浸漬前重量とする。なお、前記浸漬前重量は、粘着剤層と、テフロンシートと、凧糸との総重量である。また、使用するテフロンシートと凧糸との重量も測定しておき、前記重量を包袋重量とする。次に、前記粘着剤層をテフロンシートで包み、凧糸で縛ったものを、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、室温にて1週間静置する。その後、容器からテフロンシートを取り出し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、サンプル重量を測定し、前記重量を浸漬後重量とする。そして、下記式からゲル分率を算出する。なお、下式中のAは浸漬後重量であり、Bは包袋重量であり、Cは浸漬前重量である。
ゲル分率(重量%)=(A−B)/(C−B)×100
【0045】
本発明においては、上記測定方法により算出されるゲル分率が、好ましくは、0〜30重量%であり、より好ましくは1〜30重量%である。ゲル分率が30重量%を超えると、適度な凝集力が得られにくく、耐撓み性の点でも、好ましくない。
【0046】
さらに、前記粘着剤組成物には、架橋剤の他に、一般的な添加剤、すなわち紫外線吸収剤、光安定剤、剥離調整剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料等)、老化防止剤、界面活性剤等を配合してもよい。
【0047】
また、本発明の粘着テープにおいては、前記粘着剤層の0℃における応力−ひずみ曲線における最大応力が1.2〜3.5N/mmであり、かつ、最大伸びが700〜1300%であり、好ましくは最大応力が1.6〜2.0N/mmであり、かつ、最大伸びが900〜1100%である。最大応力が3.5N/mmを超え、最大伸びが700%未満であると、粘着剤層の変形量が小さくなりすぎることから、携帯用電子機器などの内部に使用された場合に、前記内部に設置されている部材(例えば、輝度向上フィルムなど)の剥離が起こりやすくなるため、好ましくない。一方、最大応力が1.2N/mm未満であり、最大伸びが1300%を超えると、粘着剤層が凝集力不足となり、加工性が劣るなどの問題を生じる恐れがあり、好ましくない。
【0048】
本発明における最大応力及び最大伸びとは、以下の「応力−ひずみ測定方法」により算出される値である。
【0049】
(応力−ひずみ測定方法)
粘着剤溶液を、片面に離型処理がなされているポリエチレンテレフタラートフィルム(厚さ:38μm)の離型処理面上に、乾燥後の厚さが約4μmになるように流延塗布し、130℃で3分間加熱乾燥後、更に50℃で24時間エージングした後、断面積1mmの円柱状に形成したものを試料とした。この試料を、引張試験機(島津製作所製、島津オートグラフ AG−IS MS形)に設置し、チャック間距離10mm、引張り速度300mm/分、0℃の条件で引っ張った際に生じる最大応力(N/mm2 )と、最大伸び(%)を測定した。なお、最大伸び(%)は、引っ張る前の試料の長さに対して、引っ張った際に、試料が破断した時の長さから、下式に基づき計算した。
最大伸び(%)=100×(破断した時の長さ)/(引っ張る前の試料の長さ)
【0050】
ここで、本発明における「撓み」とは、後述の耐撓み性の評価方法に基づき、粘着テープを評価した場合に、被着体(例えば、輝度向上フィルムや反射シート、偏光板等が挙げられる)表面に生じる高低差(うねり)をいう。
【0051】
本発明の粘着テープ(粘着シートや粘着フィルムも含むことを意味する。)は、各種分野における固定(接着)用途に有用であるが、例えば、粘着剤層単層(基材レス)の粘着テープ(両面粘着テープ)や、基材の片面に粘着剤層を有する粘着テープ、基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープ、剥離フィルム上に粘着剤層単層が形成されているものを用いることができる。
【0052】
本発明の粘着テープの形成方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができるが、たとえば、基材上に粘着剤組成物溶液を流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で塗布し乾燥する方法や、粘着剤層を設けた離型シートにより転写する方法等があげられる。塗布法は、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などを採用できる。粘着剤溶液を塗布後、乾燥工程で溶剤を揮発することで所定の厚みの粘着剤層を得ることができる。
【0053】
粘着剤層の厚さは特に限定されるものではないが、好ましくは2〜40μm、より好ましくは4〜20μmである。粘着剤層の厚さが2μmよりも薄いと、十分な粘着力を得難く、他方40μmよりも厚いと、小型物品を固定するため所望の形状に打ち抜く際に糊のはみ出しや、打ち抜き不良等が起こりやすく、加工性が劣る傾向にある。
【0054】
基材としては、粘着テープの分野で一般的に用いられているものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、プラスチック類(セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、アセテート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレートや、これらの積層物等)や、ゴムシート、紙類(和紙、クラフト紙等)、布類(綿、スフ、化学繊維、不織布等)、金属箔等が挙げられる。また、ゴム状の弾性を示すポリマーからなるフィルムや発泡体なども用いることができる。また、基材には下塗り処理や、目止め処理、コロナ処理、背面処理など、公知の処理を行ったものを使用することができる。
【0055】
前記基材の厚さは、用いる基材の種類や用途に応じて適宜選択でき、特に限定されるものではないが、通常、5〜500μm程度である。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」とは、特に示さない限り「重量部」を表す。
【0057】
((メタ)アクリル系ポリマー(a)の製造)
温度計、撹拌機、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器に、モノマー成分として、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)を92部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)を4部、アクリル酸(AA)を4部、及び、重合溶媒として、酢酸エチルを120部投入し、窒素ガスを導入しながら1時間以上撹拌して重合系内を窒素置換した後、63℃に昇温後、酢酸エチル3部に溶解した2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3部を添加し、同温で8時間反応させて、重量平均分子量57万の(メタ)アクリル系ポリマー(a)を得た。
【0058】
(樹脂A)
樹脂Aとして、水添ロジングリセリンエステル樹脂(商品名「リカタック SE10」理化ファインテク社製、軟化点:75℃)を使用した。
【0059】
(樹脂B)
樹脂Bとして、重合ロジンペンタエリスリトールエステル樹脂(商品名「リカタック PCJ」、理化ファインテク社製、軟化点:128℃)を使用した。
【0060】
(樹脂C)
樹脂Cとして、環脂肪族飽和炭化水素樹脂(脂環式系水添石油樹脂)(商品名「アルコンP−140」、荒川化学社製、軟化点:140℃)を使用した。
【0061】
(樹脂D)
樹脂Dとして、脂肪族系水添石油樹脂(商品名「クイントンA100」、日本ゼオン社製、軟化点:100℃)を使用した。
【0062】
(実施例1)
(メタ)アクリル系ポリマー(a)を100部(固形分)に、4官能エポキシ系架橋剤(商品名:テトラッドC、三菱瓦斯化学(株)製)を0.015部、及び、イソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン(株)製)1部を添加し、更に樹脂Aを30部添加して、粘着剤組成物溶液を調製した。この溶液を、表面を離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(剥離ライナー:厚さ38μm)上に、乾燥後の厚さが4μmになるように流延塗布し、130℃で3分間加熱乾燥して粘着剤層を形成した。これを2枚作製し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材:厚さ22μm)に両側から貼り合せ、更に50℃で24時間エージングを行って、基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープを作製した。
【0063】
(実施例2)
4官能エポキシ系架橋剤(商品名:テトラッドC、三菱瓦斯化学(株)製)を0.01部としたこと以外は、実施例1と同様の方法により両面粘着テープを作製した。
【0064】
(実施例3)
4官能エポキシ系架橋剤(商品名:テトラッドC、三菱瓦斯化学(株)製)を0.01部とし、樹脂Aの代わりに樹脂Bを30部添加したこと以外は、実施例1と同様の方法により両面粘着テープを作製した。
【0065】
(比較例1)
4官能エポキシ系架橋剤(商品名:テトラッドC、三菱瓦斯化学(株)製)を0.03部としたこと以外は、実施例1と同様の方法により両面粘着テープを作製した。
【0066】
(比較例2)
4官能エポキシ系架橋剤(商品名:テトラッドC、三菱瓦斯化学(株)製)を0.01部とし、樹脂Aの代わりに樹脂Cを30部添加したこと以外は、実施例1と同様の方法により両面粘着テープを作製した。
【0067】
(比較例3)
4官能エポキシ系架橋剤(商品名:テトラッドC、三菱瓦斯化学(株)製)を0.01部とし、樹脂Aの代わりに樹脂Dを30部添加したこと以外は、実施例1と同様の方法により両面粘着テープを作製した。
【0068】
実施例及び比較例の配合内容、及び、評価結果については、表1に示した。
【0069】
(耐撓み性の評価方法)
ガラス板(商品名:MICRO SLIDE GLASS S200423、MATSUNAMI社製、サイズ:65mm×165mm、厚み:1.2〜1.5mm)の片面に、同面積の偏光板(表面層にTACフィルム(商品名:TD80UL、富士フィルム社製)を有する日東電工社製偏光板)を貼り合わせた。
次いで、実施例等で得られた両面粘着テープを外周:39.6mm×52.8mm、内周:35.6mm×48.8mm、幅2mmに額縁状に打ち抜き加工した。
前記額縁状に打ち抜き加工した両面粘着テープの片側を、前記偏光板表面に貼付し、反対側の粘着面に輝度向上フィルム(商品名:TBEF2−T−I140、スリーエム社製、サイズ:37.6mm×50.8mm、厚み0.062mm)を貼り合せて試料を作製した。この時、両面粘着テープと輝度向上フィルムの貼り合せ幅は1mmとした。また、1枚の前記ガラス板上に、偏光板/額縁状の両面粘着テープ/輝度向上フィルムの順に積層された積層体を2試料作製した。
前記試料を冷熱サイクル(高温側:80℃、低温側:−30℃とし、それぞれ1時間保存し、このサイクルを1サイクルとして、合計100サイクル行った。)後、目視にて、撓み度合いを評価した。撓みのないものを○、撓みがあるものを×として評価した。なお、撓みがあるものは、前記輝度向上フィルムの裏側から光を当てると、表示モレが生じるため、目視により確認することができる。このように撓みが生じた状態の粘着テープを、携帯用電子機器などに使用した場合、輝度ムラ等が生じやすく、好ましくない。
【0070】
【表1】

【0071】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜3の各粘着テープは、特定の(メタ)アクリル系モノマーを重合した(メタ)アクリル系ポリマーと共に、粘着付与樹脂として、ロジン系樹脂を特定量配合した粘着剤組成物を用いて、粘着剤層を形成しているため、所望の範囲に最大応力及び最大伸びが含まれ、耐撓み性に優れていることが確認できた。一方、比較例1では、ゲル分率が高いことにより、最大応力等が所望の範囲を外れ、耐撓み性を制御することができず、比較例2及び3では、ロジン系樹脂を特定量配合しなかったため、耐撓み性を得ることができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープであって、
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、モノマー成分として、少なくとも炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合して得られるものであり、
前記粘着剤組成物が、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、ロジン系樹脂を5〜50重量部含有し、
前記粘着剤層の0℃における応力−ひずみ曲線における最大応力が1.2〜3.5N/mmであり、かつ、最大伸びが700〜1300%であることを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、モノマー成分として、更に、カルボキシル基を含有せず、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度が50〜190℃であるエチレン性不飽和モノマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記エチレン性不飽和モノマーが、メタクリル酸シクロヘキシルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着剤層のゲル分率が、0〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記粘着剤層を、基材の少なくとも片面に形成し、
前記粘着剤層の厚みが、2〜40μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項6】
携帯用電子機器の液晶表示構成部材の固定に用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項7】
前記液晶表示構成部材が、光学シートであることを特徴とする請求項6記載の粘着テープ。


【公開番号】特開2011−105829(P2011−105829A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261114(P2009−261114)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】