説明

粘着型の刺股

【課題】従来の刺股を使用するにはテクニックや力が必要であるが、犯人の体に押し当てるだけで身体の自由を奪うことができる刺股を提供する。
【解決手段】把手2の前部に設けた基部3に、先端側の幅が広くなる二枚の支持体4,4を軸棒5,5で可動軸止して成る前記支持体4,4の前端部に、強力な粘着剤6を施した面につまみ9付き剥離紙10を備えた粘着シ−ト7を掛け渡すように取り付けた粘着型の刺股1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃物を持った凶悪犯人の体に押し当てることで、強力な粘着シ−トにより身体の動きを制限して確保し、且つ使用者の身の安全を図ることができる粘着型の刺股に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、刃物を持った凶悪犯人に対する防犯具としては、把手の先端を二股形状に形成した刺股があり、使用する際は、一人または複数の人が持った刺股の二股部を犯人の身体に押し当てて近寄るのを防御するとともに、犯人を壁や床に押し付けたりして確保するための防犯器具がある。
【0003】
また刺股の二股形成される左右の棒が内側に可動したり延長することで、犯人の身体を包み込むようにして捕獲できる刺股の技術もある(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開2003−254697公報(第6−10頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記するような刺股の技術があるが、まず古くから提供される先端が二股状に分かれた刺股棒は、二股部を犯人の身体に押し付けることで近寄るのを防いだり、確保したり撃退できる防犯具である。しかし、刃物を持った凶悪犯に対してこの刺股棒を用いて効果的に使うには、様々な使い方や力も必要であるため、警察官やかなり訓練を受けた者でないと有効に使うことができない用具であった。
【0005】
また特開2003−254697公報に開示される刺股は、二股に別れた端部が内側に可動したり延長することにより、犯人の身体を包み込むようにして捕獲できる用具であるが、死に物狂いで向かって来る犯人に対して使うには、刺股の使い方やコツ、そしてかなりの力とともに実践的な訓練をした者でないと効果的に使えるものではない。加えて構成はかなり複雑で構成部材も多いのでコスト高はもとより、操作にも慣れておく必要がある刺股の技術である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記するような不便や欠点を解消した刺股とするために、請求項1においては、把手の端部に設けた基部に、二股状に設けた二つの支持体が内側に可動するように形成し、該支持体の先端部に、強力な粘着剤を施した粘着シ−トを掛け渡すように取り付けた粘着型の刺股を形成することで、使用する際は犯人の身体に接着させて動きを制限したり防御できる刺股を構成する。
【0007】
請求項2においては、上記する粘着剤面の保護部材として、つまみ付き剥離紙を取り付けることで、粘着面にゴミや埃が付くのを防ぐようにする。
【0008】
請求項3においては、上記する粘着剤面の保護部材として、別体形成するコの字状の保護カバ−を着脱自在に組み合わせることで、保護カバ−が粘着剤に付かないでスム−ズに取り外せるものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による刺股は、犯人に押し当てる二股の前部に強力な粘着シ−トを備え、且つ二股材は内側に可動する構成であるので、犯人に対して使用する際は、まず粘着シ−トの剥離紙や保護カバ−を取り外してから犯人の体に向けて押し当てるだけで、強力な粘着シ−トが体や衣服に接着することにより、犯人の動きを拘束して近寄るのを防止できるので、刺股の扱いに慣れていない人でも簡単に扱える。さらに力のある人なら従来の刺股のように捻ったり押し返したりして床や壁に押し付けて犯人の身柄を確保できる。また経験の無い素人でも複数の人がこの刺股を用いた場合は、胴体の外に脚部や腕や顔などに同時に押し当てるだけで犯人の自由を完全に奪えるうえ、仮に犯人が暴れて刺股から手を離しても、強力な粘着力により犯人自身では容易に刺股を取り外すことはできないので、継続して犯人の行動を制限することができるため、この間に外部や警察に通報することが可能な刺股となる。
【0010】
加えて、粘着シ−トは大きいので視覚的にも犯人に威圧感を与えられるとともに、使用方法は犯人の体を目がけて押し当てるだけでよいので、従来の刺股のように二股部で挟みながら捻ったり押さえ込むなどのテクニックや力があまりなくても使えるため、それほど訓練しない人でも有効に使える刺股である。さらに構成はシンプルでかつ操作も簡単であるので、金融機関や教育現場はもとより、家庭に置いても効果的に使える防犯具として提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
刺股の扱いに慣れない者でも簡単に使え、押し当てるだけで犯人の行動を制限できるように、二股の前部に強力な粘着シ−トを備えた粘着型の刺股を構成する。
【実施例1】
【0012】
本発明による実施例1の刺股を、図1に示す一部省略した斜視図と図2に示す刺股を使用する際の作用例図と図4に示す使用状態の参考図で説明する。
実施例1の刺股1は、一定の長さの把手2の前部に設けた基部3に、先端側が幅が広くなる二枚の支持体4,4の端部を、軸棒5,5で可動軸止して成る前記支持体4,4の前端部に、柔軟でかつ丈夫なシ−ト表面に、強力な粘着剤6を施した粘着シ−ト7を掛け渡すように取り付けた前記粘着剤6面に、保護部材8として、つまみ9付き剥離紙10を備えた粘着型の刺股1を構成する。
【0013】
実施例1による刺股1は、二股状の支持体4,4の前端部に強力な粘着シ−ト7を取り付けているので、使用する際はつまみ9を持って剥離紙10を剥がして後、図2のイ図のように犯人Aに向けてから、ロ図及びハ図のように強く押し当てると、支持体4,4が内側に可動して粘着シ−ト7が犯人Aの体に巻き付くように、胴体や手足や衣服に強力に接着することで動きを制限するとともに、そのまま押さえ込んだり排除することが可能な刺股1を構成する。また粘着力は極めて強力であるため、仮に犯人Aが暴れて使用者が途中で刺股1から手を離したとしても、犯人自身で簡単には取り外すことができない。さらに、仮に粘着シ−ト7を刃物で切断された場合でも、二股状の支持体4,4によって従来の刺股と同様の防御効果を得ることが可能な刺股1である。
【実施例2】
【0014】
実施例2の刺股を、図3の粘着シ−ト部を示す分解斜視図で説明する。本実施例における刺股1の基本構成は前記実施例1と同じであるが、要部となる粘着シ−ト7及びその保護部材8が異なるタイプである。まず二股状を成す2つの支持体4,4の端部に取り付ける粘着シ−ト7の両端部には、少し高い縁11,11を設けるとともに、その粘着シ−ト7の粘着剤6面の保護部材8は、薄くても適度に腰の強い板により、粘着シ−ト7の前面と背面を覆うコ字状に形成したつまみ9付き保護カバ−12を別体形成し、その保護カバ−12を前記粘着シ−ト7の上部より抜き差し自在に組み合わせられる粘着型の刺股1を構成する。
【0015】
実施例2における粘着シ−ト7面には、実施例1タイプより粘着度が高く剥離紙にも接着するほどの強力タイプで、かつ厚塗りした粘着剤6を採用しているが、その左右両端部には少し高い縁11,11を設けている。加えて、その粘着剤6面を覆う保護部材8は、前記粘着シ−ト7の前面と背面を覆うコの字状に曲げ形成した保護カバ−12を差し込んで組み合わせるが、粘着剤6面の両端部に縁11,11を設けることで隙間を形成するので、粘着シ−ト7に組み合わせた場合でも、粘着剤(6)が保護カバ−12に触れることなく覆って保護できるとともに、使用する時はつまみ9を持って引き抜きだけでスム−ズに取り外して使える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明の実施例1の刺股を示す一部省略した斜視図である。
【図2】 実施例1の刺股を使用する時の作用例図である。
【図3】 実施例2の刺股を示す一部省略した分解斜視図である。
【図4】 本発明の刺股の使用状態を示す参考図である。
【符号の説明】
【0017】
1 刺股
2 把手
3 基部
4 支持体
5 軸棒
6 粘着剤
7 粘着シ−ト
8 保護部材
9 つまみ
10 剥離紙
11 縁
12 保護カバ−
A 犯人

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把手の端部に設けた基部に、二股状に設けた二つの支持体が内側に可動軸止するように形成した前記支持体の先端部に、強力な粘着剤を施した粘着シ−トを掛け渡すように取り付けた構成を特徴とする粘着型の刺股。
【請求項2】
上記する粘着剤面の保護部材として、前記粘着剤面に剥離紙を取り付けて成る請求項1に記載する粘着型の刺股。
【請求項3】
上記する粘着剤面の保護部材として、別体形成されるコの字状の保護カバ−を、隙間を有して粘着カバ−に着脱自在に組み合わせて成る請求項1に記載する粘着型の刺股。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−292345(P2006−292345A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−139039(P2005−139039)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(591232381)株式会社ヨシオ (7)