説明

粘着層付き防水シート及びそれを用いた工法

【課題】防水層にしわが生じることを簡易に防止することができる粘着層付き防水シートを用いた工法を提供する。
【解決手段】粘着層付き防水シートを用いた工法は、施工面2側に位置する面に部分的に粘着層13を備え、前記施工面側に位置する面の粘着層13が設けられていない部位は連通するように形成された粘着層付き防水シートの長手方向の端部と端部とを重ねて施工面2に付着させる防水シート付着工程と、この防水シート付着工程の後、粘着層付き防水シートの長手方向の端部と端部とを重ねた部分に係止部材を施工面2に打ち付けて粘着層付き防水シートを施工面2に固定する防水シート施工面固定工程と、この防水シート施工面固定工程の後、粘着層付き防水シートの上に塗膜防水材を塗布又は、アスファルトのシ−ト3を貼る被覆工程とを備えてなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着層付き防水シート及びそれを用いた工法に係り、特に、防水層にしわが生じることを簡易に防止することができる粘着層付き防水シート及びそれを用いた工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防水シートの長手方向の端部と端部とを重ねて施工面に付着させ、重ねた部分を介して釘を打ち付けて防水シートを施工面に固定するようにしている。従って、防水シートの重ねた部分は、その動きを釘により拘束されることとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、防水シートの重ねた部分以外の部位は、拘束されていないため、塗膜防水材の硬化による収縮、外気温に起因する熱による線膨張等によって防水シートにしわを生じ、このしわは防水シートの上に塗布される塗膜防水材のしわの原因ともなり、防水施工面が良好でないという問題点が生じた。
本発明は、上記問題点を除去するようにした粘着層付き防水シート及びそれを用いた工法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の粘着層付き防水シートを用いた工法は、施工面側に位置する面に部分的に粘着層を備え、前記施工面側に位置する面の前記粘着層が設けられていない部位は連通するように形成された粘着層付き防水シートの長手方向の端部と端部とを重ねて前記施工面に付着させる防水シート付着工程と、この防水シート付着工程の後、前記粘着層付き防水シートの長手方向の端部と端部とを重ねた部分に係止部材を前記施工面に打ち付けて前記粘着層付き防水シートを前記施工面に固定する防水シート施工面固定工程と、この防水シート施工面固定工程の後、前記粘着層付き防水シートの上に塗膜防水材を塗布又は、アスファルトのシ−トを貼る被覆工程とを備えてなるものである。
【0005】
また、請求項2記載の粘着層付き防水シートは、施工面側に位置する面に部分的に粘着層を備えた粘着層付き防水シートであって、前記粘着層付き防水シートの施工面側に位置する面の前記粘着層が設けられていない部位は連通するようになっているものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の粘着層付き防水シートを用いた工法によれば、粘着層付き防水シートの施工面側に位置する面に部分的に粘着層を備えているため、粘着層付き防水シートの長手方向の端部と端部とを重ねた部分以外の粘着層は施工面に付着し、粘着層付き防水シートの外気温に起因する熱による線膨張によるしわを簡易に防ぎ、防水層にしわが生じることを防止して、防水施工面を良好なものとすることができ、しかも、粘着層付き防水シートの施工面側の面の粘着層が設けられていない部位は連通しているため、施工面に生じた蒸気等を脱気筒又はドレインに導くことができる。
【0007】
また、請求項2記載の粘着層付き防水シートによれば、粘着層付き防水シートの施工面側に位置する面に部分的に粘着層を備えているため、粘着層付き防水シートを施工面に付着させるだけで、粘着層付き防水シートの外気温に起因する熱による線膨張によるしわを簡易に防ぎ、防水層にしわが生じることを防止して、防水施工面を良好なものとすることができ、しかも、粘着層付き防水シートの施工面側の面の粘着層が設けられていない部位は連通しているため、施工面に生じた蒸気等を脱気筒又はドレインに導くことができる。
【実施例】
【0008】
本発明の一実施例の粘着層付き防水シート及びそれを用いた工法を図面を参照して説明する。
図1乃至図3において、1は粘着層付き防水シートで、粘着層付き防水シート1は、基材10と、この基材10の一方の面に付着した改質アスファルトの層11と、改質アスファルトの層11を覆うポリエステル等の合成繊維のフィルム(又は不織布)12と、施工面側に位置する面(本実施例では、フィルム12)に部分的に設けられた粘着層13(粘着層13は、例えば、改質アスファルトである。)を備えている。
なお、基材10は、例えば、合成樹脂フィルム(例えば、PETフィルム)、不織布(例えば、ポリエステル繊維、ガラス不織布)とガラスメッシュを組み合わせたもの、合成樹脂フィルム(例えば、PETフィルム)とガラスメッシュを組み合わせたもの、不織布(例えば、ポリエステル繊維)、ガラスメッシュ、合成樹脂フィルム(例えば、PETフィルム)を組み合わせたものであり、14は離型紙である。
【0009】
また、図2及び図3に示すように、粘着層付き防水シート1の施工面側に位置する面(本実施例では、フィルム12)の粘着層13が設けられていない部位(例えば、後述する図6及び図7で示すX)は連通するようになっている。改質アスファルトの層11及び粘着層13の改質アスファルトは、合成ゴムあるいは合成樹脂を加えてアスファルトの性質を改良したもので、本実施例にあっては、特に、ブロ−ンとワックスを混入した改質アスファルトが良い。
【0010】
従って、粘着層付き防水シート1の離型紙14を剥がし、図4乃至図6に示すように、粘着層付き防水シート1を予め所定のプライマーを塗布し乾燥させた施工面2に粘着層13を介して付着させる(防水シート付着工程)。
この防水シート付着工程の後、図7に示すように、粘着層付き防水シート1の上に塗膜防水材(塗膜防水材は、例えば、周知のウレタンゴム系、アクリルゴム系、クロロプレンゴム系、アクリル樹脂系、ゴムアスファルト系等である。)を塗布又は、アスファルトのシ−トを貼る(被覆工程)。
なお、図7に示す3は被覆部材で、被覆部材3は塗膜防水材又はアスファルトのシ−トである。
【0011】
その結果、粘着層付き防水シート1を施工面2に付着させるだけで、施工面2に付着した粘着層付き防水シート1の部位は動きを拘束され、粘着層付き防水シート1の外気温に起因する熱による線膨張によるしわを簡易に防ぎ、防水層にしわが生じることを防止して、防水施工面を良好なものとすることができ、しかも、粘着層付き防水シート1の施工面側に位置する面(本実施例では、フィルム12)の粘着層13が設けられていない部位(例えば、図6及び図7で示すX)は連通しているため、施工面2に生じた蒸気等を脱気筒(図示せず)又はドレイン(図示せず)に導くことができる。
【0012】
なお、前述した付着は、粘着層付き防水シート1の長手方向の端部と端部とを重ねて(例えば、図5で示すY)施工面2に付着させ(防水シート付着工程)ても良く。かかる場合、防水シート付着工程の後、図4に示すように、粘着層付き防水シート1の長手方向の端部と端部とを重ねた部分に係止部材(例えば、釘、ステープル、アンカーボルト等である。)4を施工面2に打ち付けて粘着層付き防水シート1を施工面2に固定する(防水シート施工面固定工程)ようにしても良い。
防水シート施工面固定工程の後、粘着層付き防水シート1の上に、前述と同様、塗膜防水材を塗布又は、アスファルトのシ−トを貼る(被覆工程)。
この場合、粘着層付き防水シート1の長手方向の端部と端部とを重ねた部分(例えば、図5で示すY)以外の粘着層13は施工面2に付着し、粘着層付き防水シート1の外気温に起因する熱による線膨張によるしわを簡易に防ぎ、防水層にしわが生じることを防止して、防水施工面を良好なものとすることができ、しかも、粘着層付き防水シート1の施工面側の面(本実施例では、フィルム12)の粘着層13が設けられていない部位(例えば、図6及び図7で示すX)は連通しているため、施工面2に生じた蒸気等を脱気筒(図示せず)又はドレイン(図示せず)に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の一実施例の粘着層付き防水シートの概略的平面図である。
【図2】図2は、図1の2−2線による概略的断面図である。
【図3】図3は、図1の粘着層付き防水シートの離型紙が剥がれる状態を示す概略的斜視図である。
【図4】図4は、図1の粘着層付き防水シートの長手方向の端部と端部とを重ねて施工面に付着させた状態を示す概略的斜視図である。
【図5】図5は、図4の概略的平面図である。
【図6】図6は、図5の6−6線による概略的断面図である。
【図7】図7は、被覆工程を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 ・・・・・粘着層付き防水シート
2 ・・・・・施工面
4 ・・・・・係止部材
13 ・・・・・粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工面側に位置する面に部分的に粘着層を備え、前記施工面側に位置する面の前記粘着層が設けられていない部位は連通するように形成された粘着層付き防水シートの長手方向の端部と端部とを重ねて前記施工面に付着させる防水シート付着工程と、
この防水シート付着工程の後、前記粘着層付き防水シートの長手方向の端部と端部とを重ねた部分に係止部材を前記施工面に打ち付けて前記粘着層付き防水シートを前記施工面に固定する防水シート施工面固定工程と、
この防水シート施工面固定工程の後、前記粘着層付き防水シートの上に塗膜防水材を塗布又は、アスファルトのシ−トを貼る被覆工程と
を備えてなることを特徴とする粘着層付き防水シートを用いた工法。
【請求項2】
施工面側に位置する面に部分的に粘着層を備えた粘着層付き防水シートであって、
前記粘着層付き防水シートの施工面側に位置する面の前記粘着層が設けられていない部位は連通するようになっていることを特徴とする粘着層付き防水シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−170015(P2007−170015A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368079(P2005−368079)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(591022656)静岡瀝青工業株式会社 (13)
【出願人】(592034489)新興産業株式会社 (7)