説明

粘着部材

ユーザーの皮膚の一部に付着するため及びユーザーの皮膚の一部を覆うための、少なくともその一方の側面に粘着面を有する粘着部材(10)であって、前記部材が複数の隙間(12)を含み、前記隙間の各々が前記部材(10)の周縁から内側に延びることを特徴とする粘着部材(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーの皮膚の一部に付着するため及びユーザーの皮膚の一部を覆うための粘着部材に関する。粘着部材は、概して平面状であり、その少なくとも一方の側面に粘着面を有する。
【背景技術】
【0002】
このような粘着部材は、傷を覆うための包帯として使用することができ、または、ユーザーの皮膚にストーマ装具を接着するためのストーマ装具の一部として使用することができる。後者の例では、粘着部材(しばしば「ウエハ」と呼ばれる)は、通常、ユーザーの皮膚を刺激しない材料(例えば、親水コロイド)から製造され、概ね、円形、楕円形または長円形である。粘着部材は、その中央領域に、ユーザーのストーマ(瘻孔)を入れるために開口を有する。開口はストーマの特定サイズの大きさにされ得る。しかし、通常、必要に応じて、ユーザーが粘着部材により大きな開口を切り抜くことが可能である。
【0003】
ワンピース型ストーマ装具では、粘着部材は袋(排泄物を受ける)に直接接続される。ユーザーは、粘着部材の開口を自分のストーマと合わせ、次いで粘着部材を自分の皮膚に向かって移動させ、接触させる。ユーザーは次いで粘着部材を自分の皮膚に押し付け、装具をその場に保持するのに十分なほど部材が付着することを確実にする。
【0004】
ツーピース型ストーマ装具では、粘着部材は、装具の第1接続部に接続され、上記と同じ方法でユーザーの皮膚に接着される。しかし、袋は、第1接続部に着脱自在に接続可能である第2接続部に接続される。ツーピースの配置は、ユーザーがその皮膚から粘着部材を取り外すことなく、袋をきれいにするために取り外すかまたは新しい袋と交換することを可能にする。これにより、粘着部材の下にあるユーザーの皮膚への刺激が減少する。
【0005】
先行技術の粘着部材の問題点は、ユーザーの体の固有の不規則な輪郭のために、取り付けた時に粘着部材が折れるかまたは「しわになる」場合が多いことである。これは、ストーマを入れた中央開口からこれらの「折り目」に沿って排泄液が漏れることにつながる可能性があり、また、粘着部材をユーザーにとって(より)不快な状態にする可能性がある。さらに、粘着部材にある折り目は、部材を取り除くのをより困難にする可能性があり、ユーザーに不快感をもたらす可能性がある。また、粘着部材にある折り目及びしわは、使用中に粘着部材の縁が持ち上がるという結果になる可能性があり、粘着部材がユーザーから分離されることにつながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、この問題に対処する粘着部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、我々は、ユーザーの皮膚の一部に付着するため及びユーザーの皮膚の一部を覆うための、少なくともその一方の側面に粘着面を有する粘着部材であって、部材が複数の隙間を含み、各隙間が粘着部材の周縁から内側に延びることを特徴とする粘着部材を提供する。
【0008】
各隙間が全体として細長くてもよい。各隙間が一対の対向する側壁を有してもよい。
【0009】
対向する側壁が実質的に互いに平行に並べられてもよい。
【0010】
対向する側壁が、内側に延びるにつれて互いに向かって延びてもよい。例えば、隙間が、内側に延びるにつれて徐々に細くなってもよい。
【0011】
各隙間が、隙間への入口に隣接した部材の周縁の接平面に対して実質的に垂直な方向において、粘着部材の中央領域に向かって内側に延びてもよい。
【0012】
部材が実質的に円形、楕円形または長円形であってもよく、各隙間が部材の中央領域に向かって実質的に半径方向内側に延びてもよい。
【0013】
少なくとも1つの隙間が、実質的に他の1つの隙間の反対側に配置されてもよい。
【0014】
各隙間が実質的に他の1つの隙間の反対側に配置されてもよい。
【0015】
隙間が実質的に互いに平行に並べられてもよい。
【0016】
少なくとも1つの隙間が、実質的に他の1つの隙間の正反対に配置されてもよい。
【0017】
各隙間が、実質的に他の1つの隙間の正反対に配置されてもよい。
【0018】
各隙間の対向する側壁が互いに向かって移動可能であってもよい。
【0019】
部材はその中央領域に開口を含んでもよく、各隙間は開口に向かって延びてもよい。
【0020】
部材の一方の半分が、部材の他方の半分より多くの前記隙間を有してもよい。
【0021】
部材の一方の半分が3つの前記隙間を有してもよい。部材の一方の半分が2つの前記隙間を有してもよい。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、我々は、本発明の第1の態様による粘着部材を含むストーマ装具を提供する。
【0023】
本発明の第3の態様によれば、我々は、本発明の第1の態様による粘着部材を含むワンピース型ストーマ装具を提供する。
【0024】
本発明の第4の態様によれば、我々は、本発明の第1の態様による粘着部材を含むツーピース型ストーマ装具を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の実施形態を、添付の図面のみを参照して、実施例として説明する。
【図1】本発明による粘着部材を含むストーマ装具の平面図である。
【図2】本発明による粘着部材の第2実施形態の平面図である。
【図3】本発明による粘着部材の第3実施形態の平面図である。
【図4】本発明による粘着部材の第4実施形態の平面図である。
【図5】使用中の図4の粘着部材の側面図である。
【図6】本発明による粘着部材のさらなる実施形態の平面図である。
【図7】本発明による粘着部材のさらなる実施形態の平面図である。
【図8】本発明による粘着部材のさらなる実施形態の平面図である。
【図9】本発明による粘着部材のさらなる実施形態の平面図である。
【図10】本発明による粘着部材のさらなる実施形態の平面図である。
【図11】本発明による粘着部材のさらなる実施形態の平面図である。
【図12】本発明による粘着部材のさらなる実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照すると、これは本発明による粘着部材10の第1実施形態を含むストーマ装具11を示す。ストーマ装具11の一般的な構造は、当該分野でよく知られているので、ここでは、それが既知の手段によって粘着部材10に接続された排泄物を入れるための袋11aを含む状態を除き、詳細に説明しない。
【0027】
粘着部材10(図2に別個に示す)は、概ね平面状であり、平面図において概ね円形であり、ユーザーのストーマを入れる開口16を有する。開口16は、ユーザーが手で、そのストーマの大きさ(例えば直径)に応じてサイズを大きくすることができる。粘着部材10の目的は、ユーザーのストーマの周りの皮膚に付着することによって、ストーマ装具11をユーザーへ固定し、液密シールを提供することである。したがって、ユーザーに面する粘着部材10の側面は、接着面を有する。粘着部材10のこの側面は、使用前に除去されるカバー20によって覆われる。カバー20は、その除去を支援するために、把持可能な領域またはタブ15を有する。好ましくは、当技術分野で知られるように、粘着部材10は、任意の適当な材料で十分であるが、親水コロイド材料であってもよい。
【0028】
本発明の粘着部材10は、有利には複数の、この実施例では5つの隙間12を含み、その各々が部材10の周縁から部材10の中央領域に向かって延びる。この実施例では、隙間12は、各々が細長く、互いに実質的に平行に並べられた一対の対向する側壁13、14を有する。代替案として、隙間12は徐々に細くなってもよく、例えば、壁13、14は、それらが中央領域、例えば、部材10の開口16に向かって延びるにつれて、互いに向かって延びてもよい。
【0029】
隙間12は各々、各隙間12への入口12aに隣接する部材10の周縁の接平面に対して実質的に垂直な方向において、部材10の中央領域に向かって延びる。本質的には、これは、粘着部材10が概ね円形である場合、各隙間12が実質的に部材10の中央領域に向かって半径方向内側に延びることを意味する。
【0030】
本実施例では、3つの隙間12が部材10の下半分に設けられ、2つの隙間12が部材10の上半分に設けられている。部材10の上半分に設けられた隙間12は、実質的に、部材10の下半分に設けられた隙間12の1つの反対側に(例えば、直径方向反対側に)位置する。残りの隙間12は、部材12の下半分の概ね中央部に設けられる。部材10の(上半分よりも)下半分により多くの隙間12提供することは、これが一般的に先行技術の粘着部材の折り目がより多く発生する領域であるため、有益である。また、上半分がストーマ装具11からより多くの負荷を受け(特に袋が排泄物でいっぱいである場合)、したがって部材10の上半分により大きな粘着領域を有することが有益であるため、上半分により少ない隙間12を設けることは有益である。当然ながら、より少ないかまたはより多い隙間12を設けてもよく、その位置は、必要に応じて、部材10の周縁のあちこちに変更されてもよい。
【0031】
図5は、粘着部材がユーザーの皮膚の外側に膨らんだ面に貼り付けられたときに、隙間12がどのように動作するかを示す。開口部12の側壁13、14が互いに向かって移動し、折り目が全くまたはほとんど生じないことを確実にする。これは、結果として粘着部材10のユーザーの皮膚への粘着力を向上させ、粘着部材10の背後のストーマからの漏れの可能性を低減する。
【0032】
一般に、ユーザーのストーマの周りの皮膚は外側に膨らんでおり、この構成では、粘着部材10がユーザーの皮膚に貼り付けられると、隙間12の側壁13、14が互いに向かって移動する傾向がある。しかしながら、ユーザーの皮膚がストーマの周りでくぼんでいる場合は、粘着部材10がユーザーの皮膚に貼り付けられると、隙間12は互いから離れる。この結果、その周縁における粘着部材10の伸びが小さくなり、ユーザーへの接着性と快適性を向上させる。
【0033】
図3〜12は、本発明による粘着部材10’の他の実施形態を示す。同様の特徴には粘着部材10の場合と同じ参照符号が与えられているが、プライム記号(’)が追加されている。これらの実施形態は、その周縁の形状が粘着部材10と異なる。一部は、円形、楕円形または長円形であり、一部は概ね長方形またはひし形であり、一部はこれらの形状の組み合わせである。当然のことながら、任意の所望の形状を使用することができ、開口部12’の数を増加または減少させ、それらの周縁の位置を変更することができる。これらの代替的な形状は、したがって、本発明の開口部12,12’をどのように利用できるかの例として含まれている。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、用語「備える」及び「備えている」とその変形は、特定の特徴、ステップまたは完全体が含まれていることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップまたは構成要素の存在を除外すると解釈されるべきではない。
【0035】
前述の説明、または以下の特許請求の範囲、または添付の図面において開示され、その特定の形式で、あるいは、開示された機能を実行するための手段、または必要に応じて開示された効果を達成するための方法またはプロセスに関して表された特徴は、単独で、またはそのような特徴の任意の組み合わせで、本発明をその多様な形態で実現するために利用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの皮膚の一部に付着するため及びユーザーの皮膚の一部を覆うための、少なくともその一方の側面に粘着面を有する粘着部材(10)であって、前記部材が複数の隙間(12)を含み、前記隙間の各々が前記部材(10)の周縁から内側に延びることを特徴とする粘着部材(10)。
【請求項2】
各隙間が全体として細長い、請求項1に記載の粘着部材(10)。
【請求項3】
各隙間が一対の対向する側壁(13,14)を有する、請求項1または請求項2に記載の粘着部材(10)。
【請求項4】
前記対向する側壁(13,14)が実質的に互いに平行に並べられる、請求項3に記載の粘着部材(10)。
【請求項5】
前記対向する側壁が、内側に延びるにつれて互いに向かって延びる、請求項3に記載の粘着部材(10)。
【請求項6】
各隙間(12)が、前記隙間への入口(12a)に隣接する前記部材(10)の周縁の接平面に対して実質的に垂直な方向において、前記粘着部材の中央領域に向かって内側に延びる、先行する請求項のいずれか1項に記載の粘着部材(10)。
【請求項7】
前記部材(10)が実質的に円形、楕円形または長円形であり、各隙間が実質的に前記部材(10)の中央領域に向かって半径方向内側に延びる、先行する請求項のいずれか1項に記載の粘着部材(10)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記隙間(12)が、実質的に他の1つの前記隙間(12)の反体側に配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載の粘着部材(10)。
【請求項9】
各隙間(12)が実質的に他の1つの隙間(12)の反体側に配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載の粘着部材(10)。
【請求項10】
前記隙間(12)が実質的に互いに平行に並べられる、請求項9に記載の粘着部材(10)。
【請求項11】
少なくとも1つの前記隙間(12)が、実質的に他の1つの前記隙間の(12)の正反対に配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載の粘着部材(10)。
【請求項12】
各隙間(12)が実質的に他の1つの隙間(12)の正反対に配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載の粘着部材(10)。
【請求項13】
各隙間(12)の前記対抗する側壁(13、14)が互いに向かって移動可能である、請求項3または請求項3に従属するいずれか1項に記載の粘着部材(10)。
【請求項14】
前記部材(12)がその中央領域に開口(16)を含み、前記各隙間(12)が前記開口(16)に向かって延びる、先行する請求項のいずれか1項に記載の粘着部材(10)。
【請求項15】
前記部材(10)の一方の半分が前記部材(10)の他方の半分よりも前記隙間(12)の多くを有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の粘着部材(10)。
【請求項16】
前記部材(10)の一方の半分が3つの前記隙間(12)を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の粘着部材(10)。
【請求項17】
前記部材(10)の上半分が2つの前記隙間(12)を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の粘着部材(10)。
【請求項18】
先行する請求項のいずれか1項に記載の粘着部材(10)を含むストーマ装具(11)。
【請求項19】
先行する請求項のいずれか1項に記載の粘着部材(10)を含むワンピース型ストーマ装具。
【請求項20】
先行する請求項のいずれか1項に記載の粘着部材(10)を含むツーピース型ストーマ装具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−505097(P2013−505097A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530337(P2012−530337)
【出願日】平成22年9月20日(2010.9.20)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051567
【国際公開番号】WO2011/036474
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512072496)ソルツ ヘルスケア リミテッド (1)
【Fターム(参考)】