説明

精神安定用具

【課題】本発明は、生体の周りを取り囲むことなく、ストレスを受ける生体の近傍に設置するだけで、ストレスを低減し、精神を安定させる用具を提供することを課題とする。
【解決手段】2個のダイオードが、アノード同士及びカソード同士で導電体により並列接続されたダイオードユニット、及び/又は、2個のダイオードが、一方のアノードと他方のカソード同士で導電体により逆並列接続されたダイオードユニットを備え、望ましくは当該ダイオードユニットの、アノード同士、カソード同士、及び/又はアノードとカソードとの接続部から導電体を突出させたことを特徴とする精神安定用具を提供することにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイオードを用いる精神安定用具に関するものであり、とりわけ、2個のダイオードがアノード同士及びカソード同士で導電体により並列接続されたダイオードユニット、及び/又は、2個のダイオードが一方のアノードと他方のカソード同士で導電体により逆並列接続されたダイオードユニットを備え、望ましくは当該ダイオードユニットのアノード同士、カソード同士、及び/又はカソードとアノードとの接続部より導電体を突出させたことを特徴とする精神安定用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
錯綜した現代社会にあっては、社会構造の変化に伴う職場・地域社会での人間関係における緊張、抑圧、不安、不満、怒り、苛立ちなどの増大から受ける精神ストレス、大気汚染や水質汚染など環境の悪化から受けるストレス、および携帯電話、各種情報表示機器、各種交通手段などから輻射される電磁波によるストレスなど、各種のストレスが増大している。その結果、精神的に不安的な生活を送ることとなり、ひどい場合は不眠になる、熟睡できなくなる、或いは、肩や首のこりなどが激しくなるなど、日常生活に支障をきたす結果となりかねない。
【0003】
生体に起こるストレスを低減させ、リラックスさせる効果を有する、いわゆる精神安定用具のうち、ダイオードを用いたものとしては、特許文献1においては、ネックレス状の装置で、左右の鎖中にそれぞれカソードが上向きになるように同数のダイオードが直列に挿入されてループ状に接続された構造を有し、体内電流を正常にすることでストレスを低減させる効果を有する装置が提案されている。また、特許文献2には、ベルト中に数個のダイオードを並列に接続した回路を有しており、体に装着した際にアノードとカソードが接続された閉回路となって電磁波を磁気に変換し、その磁気の作用でリラックス効果が得られる装置が提案されている。しかしながら、これらの装置は、ループ状をしていて、生体を取り囲んで使用されるものであり、使用状況が限られる上に小型化が難しく、睡眠時に使用するには、逆に物理的なストレスを生じる可能性がある。また、特許文献1に記載の装置は、これに用いられている導電体の一部を肌に直接触れさせて生体電流を流すしくみとなっており、肌に触れる部分が汗などで腐食したり、また、肌が導電体の金属によるアレルギーなどの症状をおこす恐れがある。
【0004】
【特許文献1】実用新案公報平7−49960号公報
【特許文献2】登録実用新案3022610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
斯かる状況に鑑み、本発明は、ダイオードの利用に着目し、生体の周りを取り囲むことなく、ストレスを受ける生体の近傍に設置するだけで、ストレスを低減し、精神を安定させる用具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が鋭意研究したところ、意外にも、2個のダイオードを、アノード同士及びカソード同士で導電体により並列接続させたダイオードユニットは、ストレスを低減し、精神を安定化させる効果を有することを発見した。また、2個のダイオードを、一方のアノードと他方のカソード同士で導電体により接続させたダイオードユニットは、より強い精神安定化効果を有することを発見した。また、それぞれの当該ダイオードユニットのアノード同士、カソード同士、及び/又はアノードとカソードとの接続部から導電体を突出させることにより、さらに効果的に精神を安定させ得ることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は2個のダイオードをアノード同士及びカソード同士で導電体により並列接続させたダイオードユニット、及び/又は、2個のダイオードを一方のアノードと他方のカソード同士で導電体により逆並列接続させたダイオードユニットを備え、望ましくは当該ダイオードユニットのアノード同士、カソード同士、及び/又はアノードとカソードとの接続部からさらに導電体を突出させたことを特徴とする精神安定用具を提供することによって、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の精神安定用具は、生体の近傍に設置するだけで、ストレスを軽減し、精神を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の精神安定用具の実施の形態につき、以下、実施例に基いて説明する。図1および図2に示すのは、本発明の精神安定用具の実施例として、最も基本的なユニット構造図である。図1および図2において、1はダイオードであり、図1では2個のダイオードがアノード同士及びカソード同士で、図2では2個のダイオードが一方のアノードと他方のカソード同士で導電体により接続されている。精神安定効果が得られる限り、各ダイオードの本体間の接続距離は近いほど望ましく、通常は市販のダイオードの導電体からなるリード線をそのまま、もしくは適宜切断して接続させればよく、好ましくは0.2cm乃至3cm、より好ましくは0.3cm乃至2cmから選ばれる。また、必要ならば、本発明の効果を損ねない範囲で、ダイオード以外の電気素子を組み込んでもよい。
【0010】
本発明に用いるダイオードは、本発明の機能を損なわない限り、どのような種類を用いてもよく、例えば、スイッチングダイオード、発光ダイオード、可変容量ダイオード、エサキダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードなどを用いることができる。本発明の精神安定用具を小型化するためには、できるだけ小型のダイオードを用いるのが好ましく、通常、スイッチングダイオードが用いられる。
【0011】
導電体3の材料としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、白金、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、錫などの金属若しくはそれらの合金が挙げられ、所望により、鍍金、スパッタリング、真空蒸着、化学蒸着などの方法を施してもよい。導電体3の形状は、通常線状であるが、その形については精神安定効果が得られる限り特に制限はなく、直線状、曲線状、分岐状形状とすることもできる。本発明の精神安定用具を平面状構造とするためには、線状又は平板状の形状のものが有利に利用できる。
【0012】
また、図1のように2個のダイオードを並列接続させたダイオードユニットのカソード同士の接続部から突出させた導電体としては、アノード同士接続部から突出した導線と同様の導電体材料を利用することができ、所望により、アノード同士接続部から突出した導電体とは異なる導電体材料を選択することもできる。アノード同士及びカソード同士の接続部から突出した導電体は、通常、線状が用いられる。
【0013】
図3は本発明の精神安定用具を示すユニット構造図であり、本発明を実施するうえで、2個のダイオードの接続部からさらに導電体を突出させた、最も基本的な形態である。1はダイオードを示し、帯の描かれている側がカソードである。3は2個のダイオードの接続部から突出させた導電体を示す。導電体3の長さとしては、適用する器具の大きさや使用形態に応じて適宜決定すればよく、例えば、枕、敷布団などの寝具類に適用する場合、通常、0.2cm乃至15cm、好ましくは0.5cm乃至10cm、さらに好ましくは0.5cm乃至5cmから選ばれる。
【0014】
図4は、図3におけるダイオード1及び接続部2を含む部分を絶縁体4により覆った形状を示す模式図である。絶縁体4は本発明の精神安定用具を枕、敷布団などの外部本体に添付して用いる場合、ダイオードが摩擦や衝撃を受け破損する恐れがあるので、それを保護するために設けられる。素材としてはゴム、プラスチック樹脂などの絶縁体材料ならばいかなるものでも利用できる。図5は、図4に示す精神安定用具について、係止具5としてプラスチックシートを適用した場合の断面図である。係止具5の素材としては、必要に応じて適宜選択すればよいものの、導電体3が係止具5により直接接続される場合は、絶縁体材料を用いるのが好ましい。
【0015】
本発明の精神安定用具の望ましい具体例として、その製造方法について説明すると、2個のダイオードを並列に並べ、アノード同士及びカソード同士で半田などにより接続し、それぞれの接続部から少なくともいずれか1本の導電体を突出させた状態にして、それらを導電体3とする。又は、2個のダイオードを逆並列に並べ、一方のアノードと他方のカソード同士で半田などにより接続し、それぞれの接続部から少なくともいずれか1本の導電体が突出した状態にして、それらを導電体3とする(図3参照)。なお、当該導電体は、ダイオードに付属の導電体(線状)をそのまま利用することも、別途導電体を接続することもできる。また、簡易的な製造として、それぞれのダイオードの導電体(線状)同士を縒り合わせることにより接続して製造することもできる。次に、ダイオードとその周辺部を絶縁体4で被覆し、さらの本発明の精神安定用具を対象の枕や敷布団などの寝具類に取り付けるための適宜の係止具5を装着する。
【0016】
図6は、本発明の精神安定用具の使用方法の一例を示す模式図である。本発明の精神安定用具は、生体の近傍、望ましくは、0.01乃至100cm、さらに望ましくは0.1乃至50cmの範囲内で使用すればよく、例えば胸部近傍で使用するペンダントなどのアクセサリーとして用いることができる。したがって、望ましくは、導電体やダイオードが直接肌に触れないように絶縁体素材でできたケースに封入したのち、鎖などを取り付けてペンダントとすることができる。ペンダントに使用する際の精神安定用具において、ダイオードの向きに特に制限はないが、図1のように2個のダイオードが並列接続されたダイオードユニットを有する精神安定用具を使用する場合は、カソード側が頭部から遠くなる向きにするのがより望ましい。
【0017】
また、本発明の精神安定用具の望ましい具体例として、図3に示したように2個のダイオードをカソード同士及びアノード同士で並列接続して作製したダイオードユニット(以下、ユニットAという)と、2個のダイオードを一方のカソードと他方のアノード同士で逆並列接続して作製したダイオードユニット(以下、ユニットBという)とを図7に示したように組み合わせて配置することにより、さらに強い精神安定化効果を得ることができる。ユニットBの向きに制限はないものの、ユニットAと組み合わせる際には、ユニットAと平行にし、又は、ユニットAのカソード側へ少しずらすのが望ましい。ユニットAとユニットBの距離およびずらし幅は、十分な精神安定化効果が得られる限り特に制限はなく、使用状況によって適宜決定すればよい。寝具類に使用する場合、ユニットAとユニットBの距離は通常10cm以内、望ましくは2cm乃至8cmで、ずらし幅は通常5cm以内、望ましくは0.5乃至4cmが好適である。また、実際に寝具類に本用具を使用する場合、精神安定化効果を発揮する限り、装着位置や向きに特に制限はない。例えば、仰向けに寝た場合の頭部右上の枕の裏および敷布団の左足元の位置に、ユニットAのカソード側が外に向くように取り付けるのが望ましい。また、本発明の精神安定用具は、これらのユニットを3個以上備えることも可能であり、精神安定効果が得られる限りその数及び向きに制限はない。例えば2個のユニットAと1個のユニットBを備えた精神安定用具、又は1個のユニットAと2個のユニットBを備えた精神安定用具も可能である。
【0018】
以下、実験例にて本発明の精神安定用具がもたらす効果例を説明する。
【0019】
<実験例1>
本発明による精神安定用具がヒトの肩や首のこりに与える影響を調べるため、成人男女24名(年齢35乃至60歳)によるパネルテストを行なった。すなわち、被験者を無作為に12人ずつ2つのグループに分け、一方のグループには図6に示したペンダント型の精神安定用具を、就寝時および入浴時以外は首から掛けてもらって、一週間使用してもらった(試験区)。もう一方のグループは、外見は図6と同様に作製したがダイオードを用いていないものを同様に使用してもらった(対照区)。試験終了後、精神安定用具を用いる前と比較して、肩や首のこりが解消されたと感じたかどうかを、それぞれ「軽減」「変化なし」及び「増強」の3段階で評価してもらった。その結果を表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
表1の結果から明らかなように、試験区においては、肩のこりについては被験者12人中9人が、首のこりについては12人中10人が、試験前と比較して軽減したと感じたのに対し、対照区においては、肩のこりについては12人中11人が、首のこりについては12人中10人が、特に軽減したとは感じなかった。これらの結果は、本発明の精神安定用具は、それを使用した人に肩や首のこりの軽減をもたらすことを物語っている。
【0022】
<実験例2>
本発明による精神安定用具がヒトの睡眠に与える影響を調べるため、成人男女30名(年齢22乃至65歳)によるパネルテストを行なった。すなわち、被験者を無作為に15人ずつ2つのグループに分け、一方のグループには図7に示した精神安定用具を、図8のように各自の使い慣れた寝具に装着し、一週間使用してもらった(試験区)。もう一方のグループは、外見は図7と同様に作製したがダイオードを用いていないものを同様に使用してもらった(対照区)。試験終了後、精神安定用具を用いる前と比較して、深く眠れたと感じたかどうか、および、ストレスを感じることなく快適に目覚めることができたかについて、眠りについては「深い」「普通」及び「浅い」の、目覚めについては「快適」「普通」および「不快」の3段階でそれぞれ評価してもらった。その結果を表2に示す。
【0023】
【表2】

【0024】
表2の結果から明らかなように、試験区においては被験者15人中12人が試験前と比較して眠りが深くなったと感じたのに対し、対照区においては、15人中13人は特に眠りが深くなったとは感じなかった。また、目覚め時の気分については、試験区の被験者15人中12人が快適だと感じたのに対し、対照区においては、15人中14人は、特に快適になったとは感じなかった。これらの結果は、本発明の精神安定用具は、それを使用した人に快適な睡眠をもたらすことを物語っている。
【0025】
以下、実施例で本発明の詳細を示す。
【実施例1】
【0026】
<精神安定用具の製造>
図3に示すように、スイッチングダイオード(1S1588、株式会社東芝)2個を同方向に、ダイオードの両端から2乃至5mmの位置でアノード同士及びカソード側同士を半田付けにより接続した。導線は露出させておき、アノード側及びカソード側にそれぞれ1本ずつとし、半田付けの位置から長さ2.5cmになるように導線を切断して本発明の精神安定用具を製造した。
【実施例2】
【0027】
<ペンダント型精神安定用具>
図6に示すように、2個のダイオードをアノード同士及びカソード同士で並列接続させたダイオードユニット(ユニットA)をプラスチック製フィルムで挟み、さらに絶縁体でできたケースに封入した。これを、首から掛けたときにカソード側が下になるように鎖をとりつけて、ペンダント型精神安定用具を製造した。本装置は、首から胸部近傍に吊り下げるだけで、各種ストレスを低減し、精神を安定化させる効果を有する。
【実施例3】
【0028】
<快眠促進寝具>
図4に示すように、2個のダイオードをカソード同士及びアノード側同士で接続させたダイオードユニット(ユニットA)と、2個のダイオードを一方のカソードと他方のアノード同士で接続させたダイオードユニット(ユニットB)を、図7に示すように組み合わせて配置し、プラスチック製の自己支持フィルムで挟み込んで固定し、寝具用精神安定用具を作製した。これを、図8下方の敷布団上に配置すると、睡眠中に受けるストレス、又は日中に受けたストレスが低減され、それにより心地よい睡眠をとることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上説明したごとく、本発明の精神安定用具は、小型で平面状構造にすることのできる簡単なダイオードユニットを備えるものであるにもかかわらず、生体の近傍で使用するだけで、使用者のストレスを減じて精神を安定化させることができるという実益を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による実施例のユニット構造図である。
【図2】本発明による実施例のユニット構造図である。
【図3】本発明による実施例のユニット構造図である。
【図4】本発明による実施例の模式図である。
【図5】本発明による実施例の模式図である。
【図6】本発明による実施例の使用形態の一例を示す模式図である。
【図7】本発明による実施例の模式図である。
【図8】本発明による実施例の使用形態の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ダイオード
2 ダイオードの接続部
3 突出した導電体
4 絶縁体
5 係止具(プラスチックフィルム)
6 樹脂ケース(絶縁体)
7 鎖
8 枕
9 敷布団
10 精神安定用具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個のダイオードが、カソード同士及びアノード同士で導電体により並列接続されたダイオードユニット、及び/又は2個のダイオードが、一方のカソード側と他方のアノード同士で導電体により逆並列接続されているダイオードユニットを備えてなる精神安定用具。
【請求項2】
ダイオードユニットが、アノード同士、カソード同士、及び/又はアノードとカソードとの接続部から導電体を突出させた請求項1記載の精神安定用具。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかに記載の精神安定用具を、更に絶縁体材料で封入した精神安定用具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の精神安定用具を取り付けた生体近傍で使用されるアクセサリー。
【請求項5】
ペンダント、ネクタイピン、バッジ、及び名札から選ばれる請求項4記載のアクセサリー。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載の精神安定用具を取り付けた枕または敷布団を含む寝具類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−22350(P2009−22350A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185673(P2007−185673)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(301040394)株式会社春興社 (8)
【Fターム(参考)】