説明

精算装置および精算装置における割引対象の設定方法

【課題】機密性の高い情報を取り扱うことができない者であっても精算装置に割引対象駅を設定できるようにする。
【解決手段】施設利用者が所持する記憶媒体に割引対象駅を利用した履歴情報が記憶されている場合に施設利用料金を割引して精算する精算装置21であって、割引対象駅設定者が所持する記憶媒体に記憶された履歴情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された履歴情報に含まれる駅情報に基づいて前記割引対象駅を設定する設定手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精算装置および精算装置における割引対象の設定方法に関するものである。特に、パークアンドライドに対応した精算装置に用いられて好適である。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車利用を抑制し渋滞緩和や環境改善を図るために、自動車を駅周辺の駐車場に停め鉄道やバス等の大量輸送交通機関に乗り換えて目的地まで移動するという、いわゆるパークアンドライドというシステムが注目されている(例えば、特許文献1参照)。
このシステムの中には、利用率を向上させるために、鉄道を利用した利用者に対し通常通りに駐車したときの駐車料金よりも割引した駐車料金体系を設定している場合がある。
【0003】
具体的には、自動車を駐車場に停めた利用者がICカードを用いて鉄道を利用した場合、ICカードに履歴情報として入出場した駅情報が記憶される。この後、利用者が駐車場の駐車料金を精算するときに、駅情報が記憶されたICカードを駐車場の精算装置に読み込ませる。精算装置では、ICカードに割引対象駅で出場した駅情報が記憶されているかを判定し、記憶されている場合、通常の駐車料金から割引した駐車料金を請求する。このように、パークアンドライドにおいて割引駐車料金に対応した駐車場を利用する利用者は、都市部における渋滞を回避できる上に割安で駐車できるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−123392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、精算装置が駐車料金を割引するか否かを判断する場合、ICカードに単に鉄道を利用した履歴情報が含まれているか否かを確認するのではなく、精算装置に設定されている割引対象駅がICカードに含まれているか否かを判定している。したがって、ICカードの履歴情報に割引対象駅以外の駅情報が記憶されていても、割引対象駅が記憶されていない場合、精算装置では通常の駐車料金を請求する。精算装置に設定される割引対象駅の多くが、パークアンドライドの趣旨に基づき駐車場に近接した駅である。
【0006】
ここで、割引対象駅を精算装置に設定するのは、精算装置を製造する製造メーカであって、予め製品を出荷する時点で行っている。しかしながら、新規の路線や駅が追加されたり、その他の理由から、精算装置に割引対象駅を新たに登録したり解除したりする必要がある。従来、このような場合、駐車場または精算装置の管理者等が割引対象駅の設定を行うのではなく、精算装置の製造メーカの技術者がわざわざ対象の精算装置が設置された現地に赴いて設定を行っていた。
【0007】
これは、精算装置に割引対象駅を設定するときに入力する駅情報が機密性の高い情報であり、特別な許可を有する製造メーカの技術者等でしか取り扱うことができない規定があるためである。したがって、精算装置に割引対象駅を登録したり解除したりする場合、その度に製造メーカの技術者の出張費や技術費用等が発生してしまう上、迅速に対応することができないという問題があった。
【0008】
本発明は上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、機密性の高い情報を取り扱うことができない者であっても精算装置に割引対象を設定できるようにして、割引対象の設定に生じる費用を削減させると共に割引対象の設定を迅速に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、施設利用者が所持する記憶媒体に割引対象駅を利用した履歴情報が記憶されている場合に施設利用料金を割引して精算する精算装置であって、割引対象駅設定者が所持する記憶媒体に記憶された履歴情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された履歴情報に含まれる駅情報に基づいて前記割引対象駅を設定する設定手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、機密性の高い情報を取り扱うことができない者であっても、精算装置に割引対象を設定でき、割引対象の設定に生じる費用を削減させると共に割引対象の設定を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る精算システムの構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る精算装置の構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係る精算装置の精算の処理を示すフローチャートである。
【図4】駐車場利用者および割引対象駅設定者が所持するICカードに記憶された履歴情報の一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る精算装置の割引対象駅を登録する処理を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態に係る精算装置の割引対象駅を解除する処理を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態に係る精算装置の割引対象駅を登録する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。また、以下で説明する実施形態では、施設の一例として駐車場、施設利用者の一例として駐車場利用者、施設利用料金の一例として駐車料金を取り上げて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る精算システム10の構成の一例を示す図である。精算システム10は、駐車場20に設置された精算装置21と、鉄道の駅11の構内等に設置された自動改札装置12とを含んで構成されている。また、本実施形態の精算システム10では、駐車場利用者が鉄道を利用することで駐車料金の割引を受けられる。すなわち、駐車場20と駅11とは、駐車場利用者が容易に鉄道に乗り換えることができるほどの距離に位置し、いわゆるパークアンドライドを実施するのに適している。また、図1に示す駐車場20の駐車方式は、いわゆるゲート式であって、駐車場利用者が精算装置21に駐車料金を支払うことで、駐車場の出入り口に設置されたゲート装置40のゲートが開き、出庫させることができる。
【0013】
まず、自動改札装置12について説明する。自動改札装置12は、鉄道の利用者が所持するICカードに記憶されている乗車券情報または電子マネー情報を図示しないリーダライタ部で読み取り改札する。また、自動改札装置12のリーダライタ部は、鉄道を利用した履歴情報をICカードに書き込む処理を行っている。
【0014】
次に、精算装置21の構成について図2を参照して説明する。
精算装置21は、内部に制御部22を備えている。制御部22は、ROM29に格納されているプログラムを実行することで、精算装置21全体を制御する。
また、精算装置21には、駐車場利用者による駐車料金の精算の操作を受け付けるために、料金表示部23、割引適用精算ボタン24、料金精算ユニット25、駐車券投入口26、リーダライタ部27を備えている。
【0015】
料金表示部23は、駐車場利用者に対して駐車料金を表示する。割引適用精算ボタン24は、駐車場利用者が駐車料金の割引の適用を受けたい場合に押下するボタンである。料金精算ユニット25は、駐車料金を支払うための図示しない料金投入口や釣銭受け口等である。駐車券投入口26は、駐車場利用者が駐車場20に入庫したときに受理した駐車券を精算装置21に挿入するための投入口である。
【0016】
リーダライタ部27は、駐車場利用者が所持するICカードに記憶された情報を非接触で読み取ったり、ICカードに情報を非接触で書き込んだりする。具体的には、リーダライタ部27は、駐車料金の割引を所望する駐車場利用者がかざしたICカードから、鉄道を利用した履歴情報を読み取る。あるいは、駐車場利用者が駐車料金の支払いにICカードに記憶されている電子マネー情報を用いる場合、リーダライタ部27は駐車場利用者がかざしたICカードから、電子マネー情報を読み取り、駐車料金を差し引いた電子マネー情報を書き込む。なお、本実施形態では、鉄道の履歴情報を読み取るリーダライタ部と電子マネー情報を読み取るリーダライタ部とが同一であるが、それぞれ別々に備えていてもよい。
【0017】
また、精算装置21には、情報を書き換え可能なメモリであるRAM28と、書き換え不可能なメモリであるROM29とを備えている。RAM28は、駐車料金の割引が適用される駅、すなわち割引対象駅の駅情報が記憶されている。具体的に、RAM28には、図1に示す駐車場20に近接した駅11の駅情報が記憶されている。上述したように、この駅情報は、機密性が高く、特別な許可を有する者にしか知りえない情報である。したがって、製造メーカは精算装置21の出荷時に駅情報をRAM28に記憶させている。なお、RAM28は、制御部22によって処理された情報を一時的に記憶する領域としても用いられる。
ROM29は、後述する駐車料金を精算するためのプログラムや、後述する割引対象駅を設定するためのプログラム等が格納されている。制御部22が、ROM29に格納されたプログラムを実行することで、後述するフローチャートの処理が実現される。
【0018】
また、精算装置21には、割引対象駅を設定しようとする者(割引対象駅設定者)のみしか操作できない設定操作部30として、保守モード設定ボタン31、割引対象駅登録ボタン32、割引対象駅解除ボタン33、条件選択ボタン34を備えている。これら設定操作部30は、例えば割引対象駅設定者のみが開けることができる精算装置21の扉を開くことで操作することができる。保守モード設定ボタン31は、精算装置21を保守モードに切り替えるためのボタンである。保守モード設定ボタン31の押下により、精算装置21は精算処理を中止して、割引対象駅設定者による設定操作部30に応じた処理が行う。
【0019】
割引対象駅登録ボタン32は、割引対象駅を登録する場合に押下するボタンである。割引対象駅解除ボタン33は、登録された割引対象駅を解除する場合に押下するボタンである。条件選択ボタン34は、割引対象駅を登録するときの条件を選択する場合に押下するボタンである。条件選択ボタン34を使用する場合については、後述する第2の実施形態で説明する。
【0020】
また、精算装置21には、ゲート装置40が接続されている。精算装置21の制御部22は、ゲートを開放する指示情報をゲート装置40に送信することで、ゲート装置40はゲートを開放して、駐車場利用者の出庫を可能にする。
【0021】
次に、精算装置21が駐車料金を精算する場合の処理について図3のフローチャートを参照して説明する。
なお、駐車場利用者は、駐車場20に近接した駅11で、自身が所持する、乗車券情報あるいは電子マネー情報が記憶された記憶媒体としてのICカードを自動改札装置12のリーダライタ部にかざして、出場(降車)したものとする。このとき、自動改札装置12はリーダライタ部を介して、ICカードに鉄道の履歴情報を書き込む。ここで、ICカードに書き込まれる履歴情報について図4を参照して説明する。
【0022】
図4は、駐車場利用者が所持する、ICカードの鉄道の履歴情報の一例を示す図である。図4に示すように、ICカードには、鉄道の履歴情報50が記憶されている。履歴情報50には、鉄道の利用日を示す利用日情報と、入場した駅情報と、出場した駅情報とが含まれている。図4に示す例では、最終(第一世代)の履歴情報(履歴NO1)として、入場したX駅の駅情報と出場したA駅の駅情報とが記憶されている。また、最終から2番目(第二世代)の履歴情報(履歴NO2)として、入場したY駅の駅情報と出場したB駅の駅情報とが記憶されている。また、最終から3番目(第三世代)の履歴情報(履歴NO3)として、入場したZ駅の駅情報と出場したC駅の駅情報が記憶されている。
【0023】
図3に示すフローチャートに戻り、駐車場利用者は出庫するために精算装置21に向かい、駐車券を駐車券投入口26に投入する。まず、ステップS11では、精算装置21の制御部22は、駐車場利用者により割引適用精算ボタン24が押下されたか否かを判定する。割引適用精算ボタン24が押下された場合、ステップS13に処理を進める。押下されない場合、ステップS12に処理を進め、精算装置21は割引料金が適用されない通常の精算処理を行う。
【0024】
ステップS13では、制御部22はリーダライタ部27を介して駐車場利用者が所持するICカードの情報を読み取り、鉄道の履歴情報を取得する。
ステップS14では、制御部22は駐車場の利用日と同日の履歴情報の出場駅に、RAM28に記憶された割引対象駅があるか否かを判定する。
ステップS15では、制御部22は出場駅に割引対象駅がある場合、通常の駐車料金から割引した駐車料金を算出する。具体的には、精算装置21に割引対象駅としてA駅が登録されている場合に、図4に示すような出場駅にA駅が記憶されたICカードの情報を読み取ると駐車料金を割引して算出する。
【0025】
ステップS16では、制御部22は算出した駐車料金を料金表示部23に表示する。
ステップS17では、制御部22は料金精算ユニット25を介して、駐車料金の精算を行う。なお、駐車場利用者が駐車料金をICカードに記憶された電子マネーで支払う場合、制御部22はリーダライタ部27を介して、駐車場の精算を行う。
【0026】
ステップS18では、制御部22はゲート装置40に対して、ゲートを開放する指示情報を送信する。ゲート装置40がゲートを開放することで、駐車場利用者は出庫が可能となる。このように、精算装置21では、駐車料金を割引するか否かの判定を、RAM28に記憶された割引対象駅がICカードの履歴情報の出場駅に含まれているか否かに基づいて行っている。
【0027】
次に、精算装置21により割引対象駅を登録する場合の処理について図5のフローチャートを参照して説明する。ここでは、精算装置21に割引対象駅が何も登録されておらず、A駅を割引対象駅として登録するものとする。
上述したように、駅情報は機密性が高く、特別に許可された者にしか扱うことができない。したがって、本実施形態では、特別に許可されていない割引対象駅設定者であっても、割引対象駅を設定できるように、駅情報が記憶されたICカードを用いて割引対象駅を設定するものとする。以下では、割引対象駅設定者として、駐車場の管理者を例にして説明する。
【0028】
まず、管理者は、割引対象駅として登録したい駅で、自身が所持するICカードを自動改札装置12のリーダライタ部にかざして、出場(降車)する。このとき、自動改札装置12はリーダライタ部を介して、ICカードに鉄道の履歴情報を書き込む。ここで、ICカードには、上述した図4に示すような履歴情報が書き込まれているものとする。図4は、管理者が所持するICカードの鉄道の履歴情報50の一例を示す図である。
【0029】
図5のフローチャートでは、まず管理者が精算装置21の扉を開き、設定操作部30を操作できるようにする。続いて、管理者は保守モード設定ボタン31を押下することで、制御部22は、ROM29に格納されたプログラムを実行する。
まず、ステップS21では、制御部22は管理者により割引対象駅登録ボタン32が押下されたか否かを判定する。割引対象駅登録ボタン32が押下された場合、ステップS22に処理を進める。なお、他の設定操作部30が押下された場合、ステップS25において、精算装置21は設定操作部30に応じた処理を行う。
【0030】
ステップS22では、制御部22はリーダライタ部27を起動して、ICカードの読み取りを待機する。
ステップS23では、制御部22はリーダライタ部27を介して管理者によってかざされたICカードに記憶された鉄道の履歴情報を読み取り、履歴情報を取得する。
ステップS24では、制御部22は取得した履歴情報のうち最終の履歴情報の出場駅の駅情報を割引対象駅としてRAM28に記憶することで、割引対象駅を登録する。具体的に、図4に示すICカードを用いた場合、制御部22は最終の履歴情報の出場駅であるA駅の駅情報を取得し、取得した駅情報を割引対象駅としてRAM28に記憶する。
【0031】
このように、精算装置21ではICカードに記憶されている最終の履歴情報に基づいて割引対象駅を登録することから、例えば駅情報を精算装置21に直接入力する必要がなく、駅情報を扱うことができない者であっても、割引対象駅を設定することができる。
【0032】
また、例えば駐車場に近接する駅が複数あり、複数の駅情報を割引対象駅として登録したい場合がある。この場合、管理者は、最終の履歴情報に割引対象駅として追加したい駅情報が出場駅として記憶されたICカードを用意する。そして、上述した処理と同じように、精算装置21では、ステップS21からステップS24までの処理を行うことで、精算装置21はICカードから取得した駅情報を割引対象駅としてRAM28に追加して記憶する。したがって、精算装置21のRAM28には、割引対象駅が複数、記憶される。なお、割引対象駅をさらに追加したい場合、同様にステップS21からステップS24の処理を繰り返す。
【0033】
このように複数の割引対象駅が設定されている精算装置21では、精算時において登録されている割引対象駅の何れか一つの出場駅の駅情報が記憶されたICカードを読み取ることで、割引した駐車料金を適用する。
【0034】
次に、精算装置21により割引対象駅を解除する場合の処理について図6のフローチャートを参照して説明する。ここでは、精算装置21に割引対象駅として登録されているA駅を解除するものとする。
まず、管理者は、割引対象駅の登録を解除したい駅で、自身が所持するICカードを自動改札装置12のリーダライタ部にかざして、出場(降車)する。このとき、自動改札装置12はリーダライタ部を介して、ICカードに鉄道の履歴情報を書き込む。ここで、ICには、上述した図4に示すような履歴情報が書き込まれているものとする。すなわち、最終の履歴情報(履歴NO1)として、入場したX駅の駅情報と出場したA駅の駅情報とが記憶されている。
【0035】
図6のフローチャートでは、まず管理者が精算装置21の扉を開き、設定操作部30を操作できるようにする。続いて、管理者は保守モード設定ボタン31を押下することで、制御部22は、ROM29に格納されたプログラムを実行する。
まず、ステップS31では、制御部22は管理者により割引対象駅解除ボタン33が押下されたか否かを判定する。割引対象駅解除ボタン33が押下された場合、ステップS32に処理を進める。なお、他の設定操作部30が押下された場合、ステップS35において、精算装置21は設定操作部30に応じた処理を行う。
【0036】
ステップS32では、制御部22はリーダライタ部27を起動して、ICカードの読み取りを待機する。
ステップS33では、制御部22はリーダライタ部27を介して管理者によってかざされたICカードに記憶された鉄道の履歴情報を読み取り、履歴情報を取得する。
ステップS34では、制御部22は取得した履歴情報のうち最終の履歴情報の出場駅の駅情報をRAM28に記憶された割引対象駅から解除する。具体的に、図4に示すICカードを用いた場合、制御部22は最終の履歴情報の出場駅であるA駅の駅情報を取得し、取得したA駅の駅情報をRAM28から消去して、割引対象駅の登録を解除する。
【0037】
このように、精算装置21ではICカードに記憶されている最終の履歴情報に基づいて割引対象駅を解除することから、例えば駅情報を精算装置21に直接入力する必要がなく、駅情報を扱うことができない者であっても、割引対象駅の登録を解除することができる。
【0038】
また、精算装置21に登録されている複数の割引対象駅を解除したい場合がある。この場合、管理者は、最終の履歴情報に解除したい駅情報が出場駅として記憶されたICカードを用意する。そして、上述した処理と同じように、精算装置21では、ステップS31からステップS34までの処理を行うことで、精算装置21はICカードから取得した駅情報を割引対象駅から解除する。なお、割引対象駅をさらに解除したい場合、同様にステップS31からステップS34の処理を繰り返す。
【0039】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ICカードに記憶されている最終履歴の履歴情報に基づいて割引対象駅を設定する場合について説明したが、本実施形態では管理者による条件選択ボタン34の操作に応じて任意の履歴情報に基づいて、割引対象駅を設定できる。なお、本実施形態の精算装置の構成については、図2に示した精算装置21と同様である。
【0040】
本実施形態に係る精算装置21により割引対象駅を登録する場合の処理について図7のフローチャートを参照して説明する。なお、図7に示すフローチャートのうち、ステップS21、ステップS22およびステップS25の処理については、図5に示すフローチャートの処理と同様であり、同一ステップ番号を付して、その説明を省略する。
精算装置21がICカードの読み取りを待機し、ステップS41において、制御部22がリーダライタ部27を介して管理者によってかざされたICカードに記憶された全ての履歴情報を取得する。
【0041】
ステップS42では、制御部22は管理者による条件選択ボタン34の押下に応じて、割引対象駅を登録する条件情報を取得する。例えば、管理者が所持するICカードに図4に示す履歴情報60が記憶されている場合において、管理者がA駅を割引対象駅に設定したいとする。この場合、管理者は条件選択ボタン34を用いて、最終(第一世代)の履歴情報の出場駅を割引対象駅に登録するとの条件を選択すればよい。また、管理者がA駅およびC駅を割引対象駅として登録したいものとする。この場合、管理者は条件選択ボタン34を用いて、最終(第一世代)の履歴情報の出場駅および最終から3番目(第三世代)の履歴情報の出場駅を割引対象駅に登録するとの条件を選択すればよい。また、出場駅のみに限られず、入場駅を割引対象駅に登録するとの条件を選択してもよい。このように、条件選択ボタン34を用いてICカードの履歴情報に含まれる任意の駅情報を割引対象駅に登録するように条件を選択することができる。
【0042】
ステップS43では、制御部22は取得した全ての履歴情報から選択された条件情報に対応する駅情報を割引対象駅としてRAM28に記憶することで、割引対象駅を登録する。例えば、ICカードに図4に示す履歴情報が記憶されているとして、ステップS42において、管理者が最終(第一世代)の履歴情報の出場駅と3番目(第三世代)の履歴情報の出場駅とを割引対象駅として登録することを条件選択ボタン34で選択する。この場合、制御部22は、条件情報に対応するA駅とC駅とを割引対象駅としてRAM28に記憶することで、一度に複数の割引対象駅を設定することができる。
【0043】
このように、精算装置21ではICカードに記憶されている履歴情報のうち、管理者の選択に応じて割引対象駅を登録することから、最終の履歴情報に限られず、任意に割引対象駅を登録することができるので、割引対象駅の設定を簡単に行うことができる。
【0044】
なお、精算装置21に登録されている割引対象駅を解除しようとする場合であっても、同様に、管理者が条件選択ボタン34を用いてICカードに記憶されている履歴情報に含まれる任意の駅情報を解除する条件を選択し、選択した割引対象駅の登録を解除することができるようにしてもよい。
【0045】
このように、第1および第2の実施形態によれば、割引対象駅設定者が所持するICカードに記憶された履歴情報に基づいて精算装置の割引対象駅を設定できるので、機密性の高い情報を取り扱うことができない者であっても、精算装置に割引対象駅を設定でき、割引対象駅の設定に生じる費用を削減させると共に割引対象駅の設定を迅速に行うことができる。
【0046】
なお、第1および第2の実施形態では、ゲート式の駐車場に設置された精算装置についてのみ説明したが、この場合に限られない。例えば、一台の駐車スペースごとに設置されたフラップを上昇させるように回動させて出庫を不可能にし、下降させるように回動させて出庫を可能するフラップ式の駐車場に設置された精算装置であってよい。また、自転車や自動二輪車等の駐輪場に設置された精算装置であってもよい。
【0047】
また、第1および第2の実施形態では、管理者がICカードを用いて割引対象駅を設定する場合についてのみ説明したが、この場合に限られない。例えば、ICチップを備える携帯端末等であってもよく、鉄道の履歴情報が記憶される記憶媒体であれば、ICカードに限られない。
【符号の説明】
【0048】
12:自動改札装置
21:精算装置
22:制御部
27:リーダライタ部
30:設定操作部
32:割引対象駅登録ボタン
33:割引対象駅解除ボタン
34:条件選択ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設利用者が所持する記憶媒体に割引対象駅を利用した履歴情報が記憶されている場合に施設利用料金を割引して精算する精算装置であって、
割引対象駅設定者が所持する記憶媒体に記憶された履歴情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された履歴情報に含まれる駅情報に基づいて前記割引対象駅を設定する設定手段とを有することを特徴とする精算装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記割引対象駅を複数登録することを特徴とする請求項1に記載の精算装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記取得手段によって取得された履歴情報のうち最終の履歴情報に含まれる駅情報に基づいて前記割引対象駅を登録することを特徴とする請求項1または2に記載の精算装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記取得手段によって取得された履歴情報のうち前記割引対象駅設定者によって選択された駅情報に基づいて前記割引対象駅を登録することを特徴とする請求項1または2に記載の精算装置。
【請求項5】
前記施設利用者が所持する記憶媒体に記憶された履歴情報を読み取るリーダライタ部と、
前記取得手段によって前記割引対象駅設定者が所持する記憶媒体に記憶された履歴情報を取得するためのリーダライタ部とが共通であることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の精算装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記取得手段によって取得された履歴情報に含まれる駅情報に基づいて、登録されている割引対象駅を解除することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の精算装置。
【請求項7】
前記割引対象駅を設定するための設定操作部を備え、
前記取得手段は、前記割引対象駅設定者によって前記設定操作部が押下された後に前記リーダライタ部によって読み取られた履歴情報を取得することを特徴とする請求項5または6に記載の精算装置。
【請求項8】
施設利用者が所持する記憶媒体に割引対象駅を利用した履歴情報が記憶されている場合に施設利用料金を割引して精算する精算装置における割引対象の設定方法であって、
割引対象駅設定者が所持する記憶媒体に記憶された履歴情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された履歴情報に含まれる駅情報に基づいて前記割引対象駅を設定する設定ステップとを有することを特徴とする精算装置における割引対象の設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−145993(P2011−145993A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8303(P2010−8303)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(593092482)ジェイアール東日本メカトロニクス株式会社 (85)
【Fターム(参考)】