説明

精算装置

【課題】顧客による釣銭、釣札の取り忘れを最小限に抑えることのできる精算装置を提供する。
【解決手段】光源10(8d、8h)と、釣銭返却部8r又は/及び釣札返却部8qの近傍に設けられ、釣銭返却部又は/及び釣札返却部に釣銭又は/及び釣札が返却された際に、光源から受光した光を操作者(顧客)に目視可能な光として発する導光手段とを備える精算装置8。導光手段として、光源から操作者側に位置する拡散導光体10、又は光源から操作者側に導光板の一端部が位置する導光板11を用いることができる。釣銭返却部等から返却された釣銭等が操作者によって抜き取られたことを検出する抜き取り検知センサー8c、8gと、釣銭返却部等から釣銭等が返却された後所定時間経過するまでに、抜き取り検知センサーが釣銭等が抜き取られたことを検出しない場合に警報を発する警報手段8e、8i、8jを備えることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンスタンド等の給油所等に設置され、釣銭、釣札を返却するためなどに用いられる精算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車へ燃料油を供給する給油所には、燃料油を供給する給油装置と、給油作業に付帯する給油設定を行う屋外データ入出力装置(OPT)と、事務所内に設けられて給油装置から出力される給油データの管理を行う販売管理装置(POS)と、前記給油データに基づいて料金精算を行う精算装置とが設けられる。
【0003】
上記精算装置は、特許文献1に記載のように、入金時に釣りが発生した場合に、屋外データ入出力装置から出力される伝票に記されたバーコード等を読み取って釣銭、釣札を返金する。そして、釣銭等の返金時に返却口に設置されたLED等のライトが点灯又は点滅し、顧客に取り忘れ防止を喚起する。また、釣銭等が返却口に返却されたことをブザーで知らせる装置も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−237697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記釣銭等の返却口に設置されたライトは、前方にのみ光を照射するため、顧客が精算装置に近づいていると光が見え難く、釣銭等の取り忘れが発生する虞がある。また、釣銭と釣札の両方を返金する場合には、釣札と釣銭の出金タイミングが異なるため、先に出た釣銭を取ったことで、釣りを全て受け取ったものと誤認し、釣札を取り忘れる虞もある。
【0006】
また、釣銭等が返却されたことをブザーで知らせる装置でも、釣銭と釣札とが返却される場合には、釣銭を取った後にブザーが鳴り止み、釣札を取り忘れたり、バーコードを読ませて、そのまま釣りを取らないで帰ってしまう顧客も存在する。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来の精算装置における問題点に鑑みてなされたものであって、顧客による釣銭、釣札の取り忘れを最小限に抑えることのできる精算装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、精算装置であって、光源と、釣銭返却部又は/及び釣札返却部の近傍に設けられ、該釣銭返却部又は/及び釣札返却部に釣銭又は/及び釣札が返却された際に、前記光源から受光した光を操作者に目視可能な光として発する導光手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
そして、本発明によれば、釣銭返却部等に釣銭等が返却された際に、操作者が光を目視することができるため、釣銭等の取り忘れを最小限に抑えることができる。
【0010】
上記精算装置において、前記導光手段は、拡散導光体であって、前記光源から前記操作者側に位置することができ、拡散導光体によって光源からの光を拡散させ、光源からの光の一部を操作者側に導くことができる。
【0011】
上記精算装置において、前記導光手段は、導光板であって、前記光源から前記操作者側に該導光板の一端部が位置するように構成することができ、導光板によって光源からの光を操作者側に導出することができる。
【0012】
上記精算装置において、前記釣銭返却部又は/及び釣札返却部から返却された釣銭又は/及び釣札が前記操作者によって抜き取られたことを検出する抜き取り検知センサーと、前記釣銭返却部又は/及び釣札返却部から釣銭又は/及び釣札が返却された後所定時間経過するまでに、前記抜き取り検知センサーが前記釣銭又は/及び釣札が抜き取られたことを検出しない場合に警報を発する警報手段とを備えることができる。これによって、釣銭返却部等から釣銭等の取り忘れがある場合でも、警報手段によって注意を喚起し、釣銭等の取り忘れをさらに少なくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、顧客による釣銭、釣札の取り忘れを最小限に抑えることのできる精算装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一般的な給油所の装置構成を示す全体概略図である。
【図2】本発明にかかる精算装置の一実施の形態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】図2の精算装置のブロック図である。
【図4】図2の精算装置の釣銭返却装置を示す斜視図である。
【図5】図2の精算装置の釣札返却装置を示す斜視図である。
【図6】図4及び図5の釣銭・釣札返却装置の前面を示す断面図である。
【図7】本発明にかかる精算装置を含む給油所全体の装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明にかかる精算装置の釣銭・釣札返却装置の前面の他の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
給油所1は、屋内に、精算処理や売上げの管理等を行うPOS(販売管理装置)2と、POS2と屋外の装置とを接続するHUB(ハブ)3が設けられ、屋外のアイランド4(4A〜4C)の各々に、供給量等の設定や精算等を行うOPT(屋外データ入出力装置)5(5A〜5C)と、自動車へ燃料油を給油する給油装置6(6A〜6C)と、釣銭及び釣札を返却する精算装置8とを備える。本発明は、精算装置8に関するものである。
【0017】
精算装置8は、図2に示すように、本体8tの前面に、屋内や給油所の係員との連絡等を行うためのインターホン8wと、釣銭及び釣札を返却するためのバーコードを読み取るバーコードリーダ8mと、釣銭返却装置8yと、釣札返却装置8zと、警告灯8j等を備える。
【0018】
精算装置8は、図3に示すように、POS2と通信可能に備えられ、精算装置8全体を制御する制御装置8aと、釣札返却装置8zを構成する釣札払い出し機構8b、釣札抜き取り検知センサー8c及び釣札取り忘れ防止ランプ8dと、釣銭返却装置8yを構成する釣銭払い出し機構8f、釣銭抜き取り検知センサー8g及び釣銭取り忘れ防止ランプ8hと、釣銭等取り忘れ防止アラーム8eと、釣銭等取り忘れ防止大音量アラーム8iと、警告灯8jと、バーコード読取りランプ8kと、バーコードリーダ8mと、監視カメラ8nとで構成され、制御装置8aとその他の構成要素とが電気的に接続される。釣銭等取り忘れ防止アラーム8e、釣銭等取り忘れ防止大音量アラーム8i、警告灯8j及び監視カメラ8nは、精算装置8又は精算装置8以外の給油所1内の装置に設置することができる。
【0019】
精算装置8の釣銭返却装置8yは、図4に示すように、釣銭払い出し機構8fを内蔵する本体8y’の前面に、釣銭返却部8rと、釣銭抜き取り検知センサー8gと、釣銭取り忘れ防止ランプ8hとを備える。
【0020】
精算装置8の釣札返却装置8zは、図5に示すように、釣札払い出し機構8bを内蔵する本体8z’の前面に、釣札取り忘れ防止ランプ8dと、釣札返却部8qとを備える。
【0021】
釣銭返却装置8y及び釣札返却装置8zの各々の前面には、図6に示すように、釣札取り忘れ防止ランプ8d/釣銭取り忘れ防止ランプ8hとして機能するLED8sが設置され、その前方の透明なアクリル板9には、サンドブラスト処理を施した光拡散部(拡散導光体)10が形成され、LED8sから発せられた光が、光拡散部10を通過することで拡散され、その一部が顧客側に導かれる。
【0022】
次に、上記構成を有する給油所1における自動車への給油動作について、図7を中心に参照しながら説明する。
【0023】
顧客が給油所1のアイランド4(図1参照)に自動車を停止させ、OPT5に給油に関する各種設定を行うと、OPT5は、ステップS51で給油設定が完了したか否かを判断し、給油設定が完了した場合には(ステップS51;YES)、ステップS52において、POS2に給油要求を出力する。ステップS51で給油設定が完了していない場合には(ステップS51;NO)、給油設定が完了するまで待つ。
【0024】
次に、POS2は、ステップS21でOPT5から給油要求が入力されたか否かを判断し、給油要求が入力された場合には(ステップS21;YES)、ステップS22において、給油装置6に給油許可を出力する。ステップS21で給油要求が入力されていない場合には(ステップS21;NO)、給油要求が入力されるまで待つ。
【0025】
給油装置6において、ステップS61でPOS2から給油許可がなされたか否かを判断し、給油許可がなされた場合には(ステップS61;YES)、ステップS62において、顧客が給油ノズルを引き出してノズルスイッチ(SW)がONしたか否かを判断する。ステップS1で給油許可がなされていない場合には(ステップS1;NO)、給油許可がなされるまで待つ。
【0026】
ステップS62において、顧客が給油ノズルを取り外してノズルSWがONした場合には(ステップS62;YES)、ステップS63において、前回の給油量を帰零し、給油ポンプをONする。ステップS62において、ノズルSWがONしない場合には(ステップS62;NO)、ノズルSWがONするまで待つ。
【0027】
ステップS64において、流量パルスが所定の値になったか否か、すなわち所定の給油量に達したか否かを判断し、所定の値になった場合には(ステップS64;YES)、計数表示し(ステップS65)、ステップS66でノズルSWがOFFしたか否か、すなわち顧客が給油ノズルをノズル掛けに戻したか否かを判断する。一方、流量パルスが所定の値になっていない場合には(ステップS64;NO)、ステップS66でノズルSWがOFFしたか否かを判断する。
【0028】
ステップS66において、ノズルSWがOFFした場合には(ステップS66;YES)、ステップS67において、ポンプをOFFし、給油データをPOS2に出力する。ステップS66において、ノズルSWがOFFしていない場合には(ステップS66;NO)、ステップS64に戻る。
【0029】
次に、POS2は、ステップS23で給油装置6から給油データが入力されたか否かを判断し、給油データが入力された場合には(ステップS23;YES)、給油データを記憶し(ステップS24)、精算データを作成し(ステップS25)、OPT5に精算レシートデータを出力する(ステップS26)。ステップS23において、給油データが入力されていない場合には、給油データが入力されるまで待つ。
【0030】
OPT5は、ステップS53で、POS2から精算レシートデータが入力されたか否かを判断し、精算レシートデータが入力された場合には(ステップS53;YES)、精算レシートを印刷する(ステップS54)。顧客は、印刷された精算レシートを受け取って精算装置8へ向かう。
【0031】
次に、精算装置8において、顧客は上記精算レシートに印刷されているバーコードをバーコードリーダ8m(図2参照)に読み取らせる。精算装置8は、ステップS81で精算レシートを読み込んだか否かを判断し、精算レシートを読み込んだ場合には(ステップS81;YES)、POS2への照合出力を行う(ステップS82)。ステップS81で精算レシートを読み込んでいない場合には(ステップS81;NO)、精算レシートを読み込むまで待つ。
【0032】
POS2は、ステップS27で精算装置8からの照合入力がなされたか否かを判断し、照合入力がなされた場合には(ステップS27;YES)、ステップS28においてデータの照合を行い、データが正しければ(ステップS29;YES)、精算装置8に対して釣銭等の払出し出力を行う(ステップS30)。ステップS27において、照合入力がなされていない場合には、照合入力がなされるまで待つ。また、ステップS29でデータが正しくなければ(ステップS29;NO)、精算装置8にデータが間違っていることを報知する(ステップS31)。
【0033】
精算装置8は、ステップS83でPOS2から釣銭等の払出し入力がなされたか否かを判断し、払出し入力がなされた場合には(ステップS83;YES)、釣銭等の払出し出力を行い(ステップS84)、ステップS85で釣札取り忘れ防止ランプ8d/釣銭取り忘れ防止ランプ8hをONするとともに、釣銭等取り忘れ防止アラーム8eをONする。釣札取り忘れ防止ランプ8d等がONすると、上述のように、釣銭返却装置8y及び釣札返却装置8zの各々の前面のLED8s(図6参照)が点灯し、LED8sからの光がアクリル板9の光拡散部10で拡散され、その一部が顧客側に導かれる。顧客はこの光を目視し、釣銭等の取り忘れを喚起される。
【0034】
次に、ステップS86で、顧客が釣銭等を抜き取るために釣銭返却部8r等に手を挿入して釣札抜き取り検知センサー8c等がONしたか否かを判断し、釣札抜き取り検知センサー8c/釣銭抜き取り検知センサー8gがONした場合には(ステップS86;YES)、ステップS91で、顧客が釣銭返却部8r等から手を引き戻して釣札抜き取り検知センサー8c/釣銭抜き取り検知センサー8gがOFFしたか否かを判断し、OFFした場合には(ステップS91;YES)、ステップS92で、釣札取り忘れ防止ランプ8d/釣銭取り忘れ防止ランプ8hをOFFするとともに、釣銭等取り忘れ防止アラーム8eをOFFし、処理を終了する。ステップS91で釣札抜き取り検知センサー8c/釣銭抜き取り検知センサー8gがOFFしていない場合には、OFFするまで待つ。
【0035】
ステップS86で釣札抜き取り検知センサー8c/釣銭抜き取り検知センサー8gがONしていない場合には(ステップS86;NO)、ステップS87で時間TがT1(例えば30秒)となったか否かを判断し、TがT1となった(30秒が経過した)場合には(ステップS87;YES)、警告灯8jを駆動するとともに、釣銭等取り忘れ防止大音量アラーム8iを駆動し(ステップS88)、ステップS89で釣札抜き取り検知センサー8c/釣銭抜き取り検知センサー8gがOFFしたか否かを判断し、OFFした場合には(ステップS89;YES)、ステップS90で釣札取り忘れ防止ランプ8d/釣銭取り忘れ防止ランプ8hをOFFするとともに、釣銭等取り忘れ防止アラーム8eをOFFし、警告灯8jの駆動を停止し、釣銭等取り忘れ防止大音量アラーム8iの駆動を停止して処理を終了する。一方、ステップS87で時間TがT1となっていない(30秒が経過していない)場合には(ステップS87;NO)、ステップS86に戻り、ステップS89で釣札抜き取り検知センサー8c/釣銭抜き取り検知センサー8gがOFFしていない場合には、OFFするまで待つ。
【0036】
以上のように、本実施の形態では、釣銭返却装置8yの釣銭返却部8rや、釣札返却装置8zの釣札返却部8qに釣銭等が返却された際に、顧客が釣札取り忘れ防止ランプ8d/釣銭取り忘れ防止ランプ8hからの光を目視し易くなり、釣銭等の取り忘れを最小限に抑えることができる。
【0037】
次に、精算装置8の釣銭返却装置8y及び釣札返却装置8zの各々の前面の他の構成例について図8を参照しながら説明する。
【0038】
釣銭返却装置8y及び釣札返却装置8zの各々には、釣札取り忘れ防止ランプ8d/釣銭取り忘れ防止ランプ8hとして機能するLED8sが設置され、その前方には、導光板11が設けられる。この導光板11の一端部は、LED8sの前方(顧客側)に位置する。このように構成することで、LED8sから発せられた光が、導光板11に導かれて斜め上方に向かい、顧客にとって目視し易くなり、釣銭等の取り忘れを最小限に抑えることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 給油所
2 POS
3 HUB
4(4A〜4C) アイランド
5(5A〜5C) OPT
6(6A〜6C) 給油装置
8 精算装置
9 アクリル板
10 光拡散部(拡散導光体)
11 導光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
釣銭返却部又は/及び釣札返却部の近傍に設けられ、該釣銭返却部又は/及び釣札返却部に釣銭又は/及び釣札が返却された際に、前記光源から受光した光を操作者に目視可能な光として発する導光手段とを備えることを特徴とする精算装置。
【請求項2】
前記導光手段は、拡散導光体であって、前記光源から前記操作者側に位置することを特徴とする請求項1に記載の精算装置。
【請求項3】
前記導光手段は、導光板であって、前記光源から前記操作者側に該導光板の一端部が位置することを特徴とする請求項1に記載の精算装置。
【請求項4】
前記釣銭返却部又は/及び釣札返却部から返却された釣銭又は/及び釣札が前記操作者によって抜き取られたことを検出する抜き取り検知センサーと、
前記釣銭返却部又は/及び釣札返却部から釣銭又は/及び釣札が返却された後所定時間経過するまでに、前記抜き取り検知センサーが前記釣銭又は/及び釣札が抜き取られたことを検出しない場合に警報を発する警報手段とを備えることを特徴とする精算装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−113378(P2012−113378A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259643(P2010−259643)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000151346)株式会社タツノ・メカトロニクス (167)
【Fターム(参考)】