説明

糠味噌の水抜き容器

【課題】 糠味噌を使い自分で野菜を漬ける家庭がふえてきましたが、野菜を漬けると余分な水が溢れてきます。汲み出すのに勺等の道具を使って水を抜いていました。これがなかなか手間が掛かるので困っていました。
【解決手段】
本体(1)に溜まった余分な水は、底面(2)に設けた水抜き孔(3)を通過し雫落し(5)より底面(2)下部の台輪(14)内の、引き出し容器(6)に溜めて置く。一定量溜まった余分な水は、台輪内の引き出し容器(6)を取り出して、そのまま排水できるので衛生的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、糠味噌の水抜き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液が漏れない容器に米糠と食塩等で糠味噌を造り、一晩糠味噌に胡瓜、茄子、大根等を入れて糠味噌漬けとする。この場合、生鮮野菜から糠味噌内に水分が出るので、繰り返し使用すると糠味噌が水っぽくなる。そこで、勺等を使って容器内の水を除去することが行われていた。
【特許文献1】特開2006−296263
【特許文献2】特開2004−8081
【特許文献3】特開昭56−21551
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、勺等の道具を使って水を抜くのは極めて手間であるので、例えば、特開昭56−21551公報に記載のように、余分な水は一時固定容器に溜め、ある程度溜まってからホースを使い別の容器に排水する方法もあるが、別容器に移し替える手間があった。更には、特開2004−8081及び特開2006―296263の方法によると、生鮮野菜が入った糠味噌の容器の中に直接器具を押し込み給水する。この場合、糠味噌が溢れ出る。又、排水の時、手で持ち上げて引き抜くので大切な糠味噌が容器に付着するので、取り除く手間があった。本発明はかかる事情を鑑みてなされたもので、糠味噌の水抜きを簡単に行うことが出来る、水抜き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的達成のため、本発明者は、水の抜き取りと処理を簡単にした容器を開発した。すなわち、本体(1)に溜まった余分な水は、底面(2)に設けた水抜き孔(3)を通過し雫落し(5)より底面(2)下部の台輪(14)内の、引き出し容器(6)に溜めておくことを特徴とする糠味噌容器であるので、溜まった余分な水を排水する場合は、台輪内の引き出し容器(6)を取り出し排水するので衛生的である。又、水抜き孔(3)を設けるのは、1ヶ所でも複数ヶ所でも良いが、一定の所に複数の小孔からなる、水抜き孔が形成されているのが好ましい。
【0005】
さらに、本願第2の発明の構成は、請求項2記載のとおりである。上記第2の発明の構成に係る糠味噌容器は、請求項1に記載の糠味噌容器であって、前記底面(2)に設けている、水抜き孔(3)部分を隆起させる、隆起した部分は、突起体(4a)として形成したことを特徴とする糠味噌の水抜き容器であるので、容器内の保有水を一定量残すことができ、糠味噌の酸素及び糠内微生物と水とのバランスを調整できるので、良質の漬物ができる。
【0006】
さらに、本願第3の発明の構成は、請求項3記載のとおりである。上記第3の発明の構成に係る糠味噌容器は、請求項2に記載の糠味噌容器であって、前記底面(2)に設けている、突起体(4a)を切り取り、その切り取った部分に別の突起体を取り付ける、取り付けるには、切り取った、孔部分を筒状にし内側筒(13)とする、内側筒と結合する、一方の突起体(4b)に外側筒(12)を設ける、更に、突起体(4c)及び突起体(4d)にも外側筒(12)を設けることにより、別の突起体との交換が可能になる、このことを特徴とする、請求項2記載の糠味噌の水抜き容器であるので、漬ける人の好みに合わせた、突起体を取り付けることにより、保有水量の調整ができ、又、水抜き孔の開いていない突起体(4d)を取り付けることにより、空気の接触を閉ざし冬期保存時の孔付近の腐敗を防ぐことができる。又、底面の孔部分の形状を内側筒にしているが、外側筒でも
良い、その場合、突起体は内側筒になる。
【0007】
さらに、本願第4の発明の構成は、請求項4記載のとおりである。上記第4の発明の構成に係る糠味噌容器は、請求項2に記載の糠味噌容器であって、前記突起体(4a)に密閉容器(10a)を被せて使用することを特徴とする請求項2記載の糠味噌の水抜き容器であるので、密閉容器(10a)を被覆し使用するのことにより、冬期保存時の水抜き孔付近の腐敗を防ぐことができる。また、密閉容器(10a)は、本願第3発明の突起体(4b)(4c)に被覆して使用しても良い。
【0008】
さらに、本願第5の発明の構成は、請求項5記載のとおりである。上記第5の発明の構成に係る糠味噌容器は、本体(1)に溜まった余分な水は、側壁に設けた中空部(9a)の水抜き孔(3)を通過し、雫落し(5)より底面(2)下部の台輪(14)内の、引き出し容器(6)に溜めておくことを特徴とする糠味噌容器であるので、上記発明のように底面の突起部が突き出していないため、スムースに糠味噌を混ぜることができる。
【0009】
さらに、本願第6の発明の構成は、請求項6記載のとおりである。上記第6の発明の構成に係る糠味噌容器は、請求項5に記載の糠味噌容器であって、前記中空部(9a)に密閉容器(10b)を被せて使用することを特徴とする請求項5記載の糠味噌の水抜き容器であるので、密閉容器(10b)を被覆した状態で使用する。このことにより、冬期保存時の水抜き孔(3)付近の腐敗を防ぐことができる。
【0010】
さらに、本願第7の発明の構成は、請求項7記載のとおりである。上記第7の発明の構成に係る糠味噌容器は、請求項7に記載の糠味噌容器であって、本体(1)に溜まった余分な水は、側壁に設けた中空部(9b)の水抜き孔(3)を通過し、通水路(7)に流れ、外部側壁に設けた掛着容器(8)に流れ落ち、溜めておくことを特徴とする糠味噌容器であので、水の溜まった量が見やすく、排水する時期が分りやすい。
【0011】
さらに、本願第8の発明の構成は、請求項8記載のとおりである。上記第8の発明の構成に係る糠味噌容器は、請求項7に記載の糠味噌容器であって、前記中空部(9b)に密閉容器(10c)を被せて使用することを特徴とする請求項7記載の糠味噌の水抜き容器であるので、密閉容器(10c)を被覆した状態で使用するのことにより、冬期保存時の水抜き孔付近の腐敗を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本願の第1の発明に係る糠味噌の水抜き容器は、以上の説明からも明らかなように、余分な水は、水抜き孔(3)を通過して、雫落し(5)より、糠味噌容器下部の大輪(14)内に設けた、引出し容器(6)に溜める。引出し容器(6)に溜まった水は、手で引っ張り出し、台所等の排水口より排水することにより、糠味噌床の余分な水を排水できるので、衛生的な糠味噌の水抜き容器を提供するものである。
【0013】
さらに、本願の第2の発明によれば、上記発明の効果に加え、底面(2)に設けている、水抜き孔(3)部分を隆起させる。隆起した突起体(4a)は、排水位置が高く、容器内の水を一定量残すことができるので、糠味噌の酸素及び糠内微生物と水とのバランスが良くなる、糠味噌の水抜き容器を提供することができる。
【0014】
さらに、本願の第3の発明によれば、上記発明の効果に加え、前記記載の突起体(4A)を切り取る。切り取った底面に内側筒(13)を設ける。その部分に、外側筒を備えた、突起体(4b)及び(4c)を取り付けることにより、漬ける人の好みに合わせた、水量の調整がでる。又、孔の開いていない突起体(4d)を取り付けることにより、空気の接触を閉ざし冬期保存時の孔付近の腐敗を防ぐことができる、糠味噌の水抜き容器を提供するものである。
【0015】
さらに、本願の第4の発明によれば、上記発明のように孔部分を塞いだ突起体自体を取り替えるのではなく、突起体(4a)に密閉容器(10a)を被せることにより、冬期保存時の水抜き孔付近の腐敗を防ぐことができる、糠味噌の水抜き容器を提供するものである。
【0016】
さらに、本願の第5の発明によれば、余分な水は、側壁に設けた中空部(9a)の水抜き孔(3)を通過し、雫落し(5)へ流れ、底面(2)下部の台輪(14)内の、引き出し容器(6)に溜ることにより糠味噌容器の底面が広く利用できる、糠味噌の水抜き容器を提供するものである。
【0017】
さらに、本願の第6の発明によれば、上記発明の効果に加え、中空部(9a)に密閉容器(10b)を被せることにより、空気の接触を閉ざし冬期保存時の孔付近の腐敗を防ぐことができる、糠味噌の水抜き容器を提供するものである。
【0018】
さらに、本願の第7の発明によれば、側壁の高い位置に中空部(9b)を設けると、糠味噌内の水を高い位置に設定することが出来る。更に、通水路(7)より、外壁に設けている、掛着容器(8)に流し、溜めておくことにより取外しが簡単な糠味噌の水抜き容器を提供するものである。
【0019】
さらに、本願の第8の発明によれば、上記発明の効果に加え、中空部(9b)に密閉容器(10c)を被せることにより、空気の接触を閉ざし冬期保存時の孔付近の腐敗を防ぐことができる、糠味噌の水抜き容器を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
【実施例1】
【0021】
実施例1を第1図の斜視図に基づいて説明する。実施例1の糠味噌の水抜き容器は、逆円錐台の形状をしっており、本体(1)と蓋(11)との組合せで出来ている。本体(1)の底部(2)の、さらに下部は、台輪(14)を形成している。野菜を漬けるには、本体(1)に、糠等を先に入れておき、その中に生鮮野菜を漬け込むと余分な水が滲み出る。その水は、水抜き孔(3)より流れ落ち、雫落し(5)を伝って、台輪(14)内部に設けている、引出し容器に流れ込む。溜まった水は、引出し容器(6)を、手で引き出し、流し台の排水口に捨てるので、糠味噌に水が滞留することはない。
【0022】
実施例2を第2図の斜視図に基づいて説明する。実施例2では、本体(1)の平坦な底部(2)を円錐形に盛り上げ、突起体(4a)とする。その突起体(4a)に水抜き孔(3)を複数孔設けている。このようにすると、底部(2)に溜まった水は全て、流れ落ちるのではなく、底部に少し水が残るので、糠味噌に適度の湿気をもたらす。
【0023】
実施例3を第3図の斜視図に基づいて説明する。実施例3では、底部(2)に設けた、内側筒(13)と外側筒(12)を備えた、突起体(4b)とが、底部(2)より、取外しが出来る。更に、突起体(4c)及び突起体(4d)にも外側筒(12)を備えているので、取り付けが出来る。突起体(4c)を取り着けた場合の特徴は、水抜き孔(3)の設けている部分の高低さを付けることにより、残留水の量の調整ができる。又、突起体(4d)を取り付けた場合の特徴は、水抜き孔が無いので、長期間糠味噌を保存する時には、孔の部分よりの、カビによる変色を防ぐことができる。
【0024】
実施例4を第4図の斜視図に基づいて説明する。実施例4では、実施例2で示した、突起体(4a)に、第4図で示す、密閉容器(10a)を被せることにより、水抜き孔(3)を塞ぐ。塞ぐこといより、孔の部分のカビによる変色が防げるので、長期間糠味噌を保存するのに適している。
【0025】
実施例5を第5図の斜視図に基づいて説明する。実施例5では、本体(1)側壁の一部分に厚みを持たせ、厚み内部を中空部(9a)にする。中空部分(9a)に水抜き孔(3)を設け、中空部(9a)に余分な水を流しこむ。流れ込んだ水は雫落し(5)より、台輪(14)内部に設けている、引出し容器(6)に流れ込む。引出し容器(6)に溜まった水は、容器を引き出し、流し台の排水口に捨てるので、糠味噌に水が滞留することはない。
【0026】
実施例6を第6図の斜視図に基づいて説明する。実施例6では、実施例5で示した、
中空部(9a)に、第6図で示す、密閉容器(10b)を被せることにより、水抜き孔(3)を塞ぐ。塞ぐこといより、孔の部分のカビによる変色が防げるので、長期間糠味噌を保存するのに適している。
【0027】
実施例7を第7図の斜視図に基づいて説明する。実施例7では、本体(1)側壁の一部分に厚みを持たせ、厚み内部を中空部(9b)にする。中空部分(9b)に水抜き孔(3)を設け、中空部(9b)に余分な水を流し込む。流れ込んだ水は通水路(7)に流れ、外部側壁に設けた掛着容器(8)に流れ落ちて溜まる。一杯になると掛着容器を取外し、流し台の排水口に捨てるので、糠味噌に水が滞留することはない。
【0028】
実施例8を第8図の斜視図に基づいて説明する。実施例8では、実施例7で示した、
中空部(9b)に、第8図で示す、密閉容器(10c)を被せることにより、水抜き孔(3)を塞ぐ。塞ぐこといより、孔の部分のカビによる変色が防げるので、長期間糠味噌を保存するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施の形態の斜視図である。
【図2】第2実施の形態の斜視図である。
【図3】第3実施の形態の斜視図である。
【図4】第4実施の形態の斜視図である。
【図5】第5実施の形態の斜視図である。
【図6】第6実施の形態の斜視図である。
【図7】第7実施の形態の斜視図である。
【図8】第8実施の形態の斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 本体
2 底面
3 水抜き孔
4a4b4c4d 突起体
5 雫落し
6 引出し容器
7 通水路
8 掛着容器
9a9b 中空部
10a10b10c 密閉容器
11 蓋
12 外側筒
13 内側筒
14 台輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(1)に溜まった余分な水は、底面(2)に設けた水抜き孔(3)を通過し雫落し(5)より底面(2)下部の台輪(14)内の、引き出し容器(6)に溜めておくことを特徴とする糠味噌の水抜き容器。
【請求項2】
前記底面(2)に設けている、水抜き孔(3)部分を隆起させる、隆起した部分は、突起体(4a)として形成したことを特徴とする請求項1記載の糠味噌の水抜き容器。
【請求項3】
前記底面(2)に設けている、突起体(4a)を切り取り、その切り取った部分に別の突起体を取り付ける、取り付けるには、切り取った、孔部分を筒状にし内側筒(13)とする、内側筒と結合する、一方の突起体(4b)に外側筒(12)を設ける、更に、突起体(4c)及び突起体(4d)にも外側筒(12)を設けることにより、別の突起体との交換が可能になる、このことを特徴とする請求項2記載の糠味噌の水抜き容器。
【請求項4】
前記突起体(4a)に密閉容器(10a)を被せて使用することを特徴とする請求項2記載の糠味噌の水抜き容器。
【請求項5】
本体(1)に溜まった余分な水は、側壁に設けた中空部(9a)の水抜き孔(3)を通過し、雫落し(5)より底面(2)下部の台輪(14)内の、引き出し容器(6)に溜めておくことを特徴とする糠味噌の水抜き容器。
【請求項6】
前記中空部(9a)に密閉容器(10b)を被せて使用することを特徴とする請求項5記載の糠味噌の水抜き容器。
【請求項7】
本体(1)に溜まった余分な水は、側壁に設けた中空部(9b)の水抜き孔(3)を通過し、通水路(7)に流れ、外部側壁に設けた掛着容器(8)に流れ落ち、溜めておくことを特徴とする糠味噌の水抜き容器。
【請求項8】
前記中空部(9b)に密閉容器(10c)を被せて使用することを特徴とする請求項7記載の糠味噌の水抜き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−124695(P2010−124695A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299095(P2008−299095)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(393016479)
【Fターム(参考)】