説明

糸を用いた絵画用カンバス

【課題】糸を用いた絵画用カンバスにおいて、絵画表面の糸等の装飾材を保護することで、手元に置いても完成後の絵画の糸の傷みや綻びが生じることがなく、耐久性のある完成品となる絵画用カンバスを提供する。
【解決手段】絵柄10形成面上に、透視可能な主接着層5、主接着層5の周辺部に設けた帯状の周辺接着層6、周辺接着層6の上面を覆う剥離テープ7、前記主接着層5と周囲の剥離テープ7を覆い主接着層5に接する面に離型処理がされている透視可能なカバーシート8の順に積層されて形成される構成を採用した糸を用いた絵画用カンバス1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、糸を貼り付けることによって絵画等を仕上げる絵画用カンバスに関し、更に詳しくは、完成後の絵画等の傷みを防止できる絵画用カンバスを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々ある絵画の制作方法の1つとして糸を使用したものがあり、糸を使用した技法としては、刺繍糸を用いて布に縫い込むいわゆる刺繍というのが一般的に行われているものである。
【0003】
最近は、カンバスに着色された糸を接着して固定ゆくことで所定の図柄を表現していく手法が知られており、貼り付ける糸を複数色用意し、適宜選択してカンバスに貼り付けることで、カンバス上に絵画を表現することができる。
【0004】
これら糸をカンバスに貼り付けるものとして、例えば、下絵上に接着材を設け、次いで接着材の上面に装飾材を貼着することで、初心者でも下絵を目して参考にしながら簡単に手芸ができる方法が提案されており、この装飾材には糸も含まれている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、出願人は、特願2007−207130にて、下絵の上に透視可能な接着層を設け、更にその接着層の上面に、下絵が確認可能な透明で接着層に対して剥離及び再貼着が何度でも可能なカバーシートで覆うことにより、流通段階での取り扱いの容易さ、絵画制作時には作業者の手や衣服、道具、ゴミ等が付着から接着層を守るようにした絵画用カンバスを提案した。
【0006】
また、工芸品をカバーシートで覆うものとしては、例えば、ハガキ大の大きさの用紙に押し花を貼り付ける押花用ワンタッチ接着シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭53−40356号公報
【特許文献2】実用新案登録第3046194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特願2007−207130の絵画用カンバスは、カバーシートは絵画が完成した場合は通常は取り去ることになるが、その場合、完成品の絵画表面に糸が露出している状態となり、傷みや綻びが生じやすくなる。
【0008】
大型の絵画用のカンバスであれば、完成した絵画を別途用意した透明ガラス入りの額縁等に入れれば糸の傷み等を防止できるが、そのために高価な額縁が別途必要となりコストが高くなる。
【0009】
また、カンバスが写真立てやハガキサイズのような小さなサイズでは、そのまま机の上に立てかけて手元に置くことが多く、手が触れたり机の上の他の物にぶつかったりして糸の傷み等がより生じやすくなる。
【0010】
そこで、特許文献2の押し花を挟んで設けるワンタッチシートのように、完成した絵画の上に透明シートを貼り付けて絵画を構成する糸を保護することも考えられ、作業時に用いていたカバーシートを透明とし、そのまま絵画表面の糸の保護カバーにすればよいが、既に大部分で接着層とカバーシート間に糸が介在しているので、そのままではカバーシートが剥がれやすくなっている。
【0011】
また、特許文献2のワンタッチシートでは、押し花を接着した上からシートを貼るのでシートの着脱は一度きりでよいのであるが、糸を用いた絵画用カンバスでは糸を貼り付ける作業は長時間を要し、完成するまでに作業の中断等によりカバーシート材の貼り付けと剥がしは頻繁に行われており、着脱の繰り返しで接着面の接着力の低下により、その部分からカバーシートが剥がれ易くなっている。
【0012】
そこで、この発明の課題は、糸を用いた絵画用カンバスにおいて、絵画表面の糸等の装飾材を保護することで、手元に置いても完成後の絵画の糸の傷みや綻びが生じることがなく、耐久性のある完成品となる絵画用カンバスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、板状のベース材の一方面を絵柄が描かれた絵柄形成面とし、この絵柄形成面上に、透視可能な主接着層、この主接着層の周辺部に設けた帯状の周辺接着層、この周辺接着層の上面を覆う剥離テープ、前記主接着層と周囲の剥離テープを覆い主接着層に接する面に離型処理がされている透視可能なカバーシートの順に積層されて形成された構成を採用した絵画用カンバスである。
【0014】
この絵画用カンバスは、糸貼り作業中の主接着層の粘着面の保護等のために用いたカバーシートを、絵画完成後は、剥離テープを取り去った周辺接着層にカバーシートの周辺部を接着固定させて、完成後の絵画を構成する糸の保護を図ったものである。
【0015】
ここで、絵柄形成面としては、ベース材の一方面に絵柄が描かれた下絵紙を接着層を介して貼り付けるか、又は、ベース材の一方面に絵柄を印刷、現像等の手法で描くことなどで形成される。
【0016】
透視可能な主接着層としては、絵柄形成面上に透明又は半透明の接着剤を塗布したり、シート状の透明又は半透明な両面接着シートを重ねることにより形成される。
【0017】
帯状の周辺接着層としては、例えば帯状の両面接着テープ等を主接着シートの周辺に沿って貼り付ける等により形成され、この周辺接着層の上面の接着面は当初は剥離テープにて覆われている。
【0018】
透視可能なカバーシートとしては、例えば透明又は半透明な合成樹脂製シートを用い、主接着層に対して何度でも仮接着及び剥離が自在となるよう、主接着層に接する裏面側に離型処理を施してある。一方、カバーシート表面側は離型処理を施さないようにしておけば、絵画完成後に、透視可能なカバーシートを裏向きにして離型処理がされていない表面側を周辺接着層に接着させることでカバーシートを固定させることができる。
【0019】
その他の方法として、カバーシートが周辺接着層に対しては接着を行うように、周辺接着層の接着力を主接着層より強力にしたり、又は、カバーシートの周辺接着層と接する周辺部のみ離型処理を施さないようにしてもよい。
【0020】
請求項2の発明は、板状のベース材の一方面に、接着層、剥離紙の順に積層して形成したベース部と、裏面を剥離紙で覆われた両面接着可能で透視可能な主接着層、この主接着層の表面周辺部に設けた帯状の周辺接着層、この周辺接着層の上面を覆う剥離テープ、前記主接着層と周囲の剥離テープを覆い主接着層に接する面に離型処理がされている透視可能なカバーシートの順に積層されて形成されたカバー部と、必要に応じて用意された、表面に絵柄が描かれた下絵紙とからなる構成を採用した絵画用カンバスである。
【0021】
この請求項2の発明は、ベース部の剥離紙とカバー部の剥離紙を剥がして現れた両接着層間に、下絵紙を絵柄が描かれた面をカバー部側にして挟むことで、請求項1と同様の絵画用カンバスが形成されるが、下絵紙としては、予め用意されていた写真やイラストを用いる他、購買者が写真やイラストが描かれた印刷物、写真が現像された印画紙、手書き絵画、コピー済用紙等、適宜なものを選択して用いることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、請求項1の発明の絵画用カンバスによれば、下絵を目視しながら下絵に倣って糸の貼り付け作業を行なえ、糸貼り作業を行う部分のみカバーシートを主接着層から剥がしてゆくようにすれば、未制作部分の主接着層はカバーシートにより保護されたままになり、作業者の手や衣服などが接着してしまうことがなく、休憩等で制作を中断する時には接着層の粘着面をカバーシートにより再度覆うことで、まだ糸を貼っていない露出した主接着層を保護することができる。
【0023】
また、カバーシート周辺部は周辺接着層を覆う剥離テープに接しており接着していないので、カバーシートを剥がす際に端部を指でつまんでの取り外しが容易となり、再接着の際もカバーシートの端部を持つ手の指が主接着層に接着してしまうことが無く、利便性が向上する。
【0024】
更に、絵画の完成後はカバーシートの周辺部を剥離テープを剥がした後の露出した周辺接着層に貼り付けることでカバーシートが固定され、糸からなる絵画の部分全体がカバーシートで覆われて保護できるようになる。
【0025】
また、カバーシートの周辺部が周辺接着層の厚み分だけ浮き上がっているので、糸による絵画が形成された内側部分との厚みとの段差が少なく、カバーシートがほぼ水平状態で維持することができる。
【0026】
次に、請求項2の糸を用いた絵画用カンバスによれば、請求項1と同じ効果が得られると共に、別体となっていた下絵紙として任意のものを選ぶことができるので、個人の嗜好に合わせた絵画や写真、又は個人的な写真等を下絵紙としても用いることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、この発明の絵画用カンバス1の断面図であり、板状のベース材2の上面全面に、接着層3、下絵紙4、透視可能な主接着層5の順に積層された状態となっている。
【0028】
透視可能な主接着層5の周縁部には、帯状の周辺接着層6が接着固定され、この周辺接着層6の上面に同じ帯状の剥離テープ7が重ねられている。そして、主接着層5及び剥離テープ7の上面全体を覆うカバーシート8が重ねられ主接着層5の接着力により仮固定されている。
【0029】
ベース材2は、板状体で、その材料は特に限定されるものではなく、発泡ポリスチレン、厚紙、布、木、金属、プラスチック等やこれらの組み合わせが挙げられ、その厚みは特に限定されず、また若干の曲がりを許容して復元する程度の柔軟性があってもよい。
【0030】
接着層3は、このベース材2のほぼ全面を覆うように設けられ、接着剤を塗布して形成しても、シート状の両面接着シートを貼り付けることにより構成したものでもよい。
【0031】
下絵紙4は、接着層3によりベース材2に貼り付けられており、透視可能な主接着層5側が重ねられる表面側が、下絵となる絵画、写真、イラスト、又はデザイン画などの模様からなる絵柄10がカラーで現された絵柄形成面となり、この表現方法は印刷によるのが一般的であるが、写真印画紙に現像により写真が現されたものや、その他周知技術により模様が描かれたものであってもよい。
【0032】
なお、この実施形態では、下絵が描かれた下絵紙4をベース材2に接着層3を介して接着固定することでベース材2の上面側に絵柄形成面を形成したが、ベース材2の材質によっては、接着層3を用いずにベース材2の上面に直接下絵を印刷等により描いて絵柄10を形成するようにしてもよい。
【0033】
主接着層5は、接着層3と同様に両面に接着効果を有するものであるが、下絵紙4の表面に現された模様を反対側から視認できるように、全体が透明或いは半透明のもので透視可能なものであり、例えば、透明・半透明な接着剤を塗布して形成したり、透明な両面接着シートを貼り付けることにより構成したものが用いられる。
【0034】
主接着層5の周辺部に沿って、周辺接着層6と剥離テープ7の積層構造の帯状のテープが貼り付けられており、周辺接着層6は、両面接着テープ等を用いており、通常状態では上面を剥離テープ7で覆われていることにより接着面は露出しないようになっている。
【0035】
帯状の周辺接着層6と剥離テープ7の幅は、特に限定されるものではないが、ベース材2の大きさに合わせて適宜幅を選べばよい。例えば絵画サイズで幅約5mm〜数cm、ハガキサイズ程度の小型のもので3〜5mm程度とすればよい。
【0036】
周辺接着層6を形成する両面接着テープ等の厚みも特に限定されないが、使用される糸の厚みを考慮し、糸と同じ程度の厚みとしておけば、後述する最後にカバーシート8を接着する際、糸の部分と段差が生じなく綺麗にカバーシート8を貼り付けることができる。
【0037】
カバーシート8は、可撓性及び透明性を有する材質からなる例えば各種合成樹脂製フィルムからなり、透視可能な主接着層5に接着して仮固定される下面側に離型処理を行っていることにより、この主接着層5に対して接着しているが比較的小さな力でこの主接着層5から剥がすことができ、また、主接着層5に何度でも再接着させることが可能となっている。
【0038】
一方、このカバーシート8は、絵画完成後は、剥離テープ7を外した周辺接着層6と接着して固定する。その原理は、カバーシート8の主接着層5に接する表面側には離型処理がされているが反対の裏面側は離型処理がされてないので、絵画完成後は、カバーシート8を裏向きにして離型処理が施されていない側を周辺接着層6に接着固定させるようにする。
【0039】
その他、離型処理を施したカバーシート8に対して、周辺接着層6の粘着力を主接着層5より強力にしたり、又は、カバーシート8の初期段階で主接着層5に接する部分のみに離型処理を行い、周辺部の剥離テープ7に接する部分には離型処理を行わないようにしておいて、主接着層5と周辺接着層6の粘着力が同一であってもカバーシート8は剥離テープ7を取り去った後の周辺接着層6に接着固定されるようにしてもよい。
【0040】
なお、周辺接着層6の上面を覆っている剥離テープ7の長さ方向の端部を周辺接着層6を超えてベース材2より若干外側に突出させておけば、剥離テープ7を剥がす際にこの突出部分を指でつまんで簡単に剥がすことができる。
【0041】
図2乃至図5は、この発明のカンバス1を用いた絵画の制作状況を示すもので、まず、カバーシート8を、その端部の剥離テープ7の上面に載っていて接着していない部分を摘んで捲り返すようにして主接着層5から剥がし、この主接着層5の表面に、透視された下絵紙4に描かれた絵柄10に倣って選んだ糸9を貼り付けてゆく(図2)。
【0042】
糸9としては、着色された糸であれば特に限定されないが、絵画として使用する際のその表面光沢の美しさから絹糸を用いるのが好ましく、また、透視可能な主接着層5を通じて視認される下絵紙4の絵柄10の色彩に応じた色彩の糸9を貼り付けて絵画的表現を求めるので、例えば12〜24色程度を色彩の糸を用意しておくことが好ましい。
【0043】
この作業時、端から糸9を貼る作業を行う部分に合わせて順次カバーシート8を剥がしてゆくようにすれば、未制作部分の主接着層5はカバーシート8により保護されたままになり、作業者の手や衣服などに接着して作業が煩わしくなるといったことがない。
【0044】
また、糸貼り作業を中断する際は、再度カバーシート8を接着層5に貼り戻すことにより、接着層5の接着面を常に保護状態に維持することができる(図3)。
【0045】
糸貼り作業が終了し、絵画が完成すれば、図4に示すように、カバーシート8の周囲4辺のうちの1辺を剥がし、その部分の剥離テープ7を剥がしてゆき、周辺接着層6を露出させる(図4)。
【0046】
更に、この作業を繰り返して四辺の全て剥離テープ7を取り去った後、剥がしたカバーシート8を裏返しにしてから重ねて、カバーシート8の離型処理がされていない面を露出した周辺接着層6に接着してカバーシート8を固定する(図5)。
【0047】
なお、周辺接着層6を離型処理を行ったカバーシート8も接着するような強力な接着力を持たせたり、カバーシート8の周辺部に離型処理を行わないようにした場合は、カバーシート8を裏返さずに、カバーシート8の周辺部を周辺接着層6に貼り付けることで、カバーシート8を接着固定する。
【0048】
完成した絵画用カンバス1は、絵画を構成する糸9の部分の表面が透明なカバーシート8で覆われているので、糸9に物が触れて糸を痛めたり綻ばしたりすることがなく、表面ガラス製の額縁等に入れずにそのまま鑑賞することができる。
【0049】
また、絵画用カンバス1がハガキサイズ程度の小型のものは、机の上に立てかけて使用することが多く、表面が他の物に触れやすいが、カバーシート8で覆われているので糸に傷みが生じにくい。
【0050】
また、絵画作成部分は糸9の厚みが生じており、絵画作成部分の余白となる糸9が無い周辺部分と段差が生じ、そのままではカバーシート8が凹凸状になるが、この絵画用カンバスでは、周辺部に周辺接着層6の厚みが生じているので、糸9の厚み分との差を吸収し、図5のようにカバーシート8が水平状態を保って綺麗に貼り付けられる。
【0051】
図6は、この発明の他の実施形態の絵画用カンバス11を示す断面図であり、板状のベース材12の図示上面に、接着層13、剥離紙20の順に積層したベース部21を形成する。
【0052】
このベース部21に用いられるベース材12及び接着層13は、先の実施形態のベース材2及び接着層3と同様であり、その機能、作用は説明を省略する。
【0053】
裏面を剥離紙22で覆われた両面接着可能で透視可能な主接着層15、この主接着層15の表面周辺部に設けた帯状の周辺接着層16、この周辺接着層16の上面を覆う剥離テープ17、前記主接着層15と周囲の剥離テープ17を覆う透視可能なカバーシート18の順に積層されたカバー部23を形成する。
【0054】
このカバー部23に用いられる主接着層15、周辺接着層16、剥離テープ17、及びカバーシート18は、先の実施形態主接着層5、周辺接着層6、剥離テープ7、及びカバーシート8と同様であり、その機能、作用は説明を省略する。
【0055】
また、これらベース部21とカバー部23とは別に下絵紙14が必要に応じて用意され、この下絵紙14も、先の実施形態の下絵紙4と同様であり、その機能、作用は説明を省略する。
【0056】
これらベース部21、カバー部23、及び下絵紙14を用いて絵画用カンバス11を完成する方法を説明すれば、まずベース部21の剥離紙20を剥がして接着層13を露出させ、この接着層13に下絵紙14の絵柄10が形成された面の反対側を接着する。
【0057】
次に、カバー部23の剥離紙22を剥がして主接着層15を露出させ、この主接着層15の接着面を下絵紙14の絵柄10が形成された面に重ねて接着する。
【0058】
すると、板状のベース材12の上に、接着層13、下絵紙14、透視可能な接着層15、周辺部の周辺接着層16と剥離テープ17、及びカバーシート16の順に積層された状態の絵画用カンバス11となり、図1で示したベース材2、接着層3、下絵紙4、透視可能な接着層5、周辺部の周辺接着層6と剥離テープ7、及びカバーシート8の順に積層された状態の絵画用カンバス1と同様の構成となり、図2乃至図5で示したのと同様の手法により糸9を貼り付けて絵画作成をすることができる。
【0059】
なお、この実施形態の場合、ベース部21、カバー部23、及び種類の異なる絵柄の下絵紙14の複数枚を組み合わせて流通及び販売し、購買者が複数枚の下絵紙14から適宜気に入った絵柄の下絵紙14を選択してベース部21及びカバー部23に貼り付けることで絵画用カンバス11を形成することができる。
【0060】
また、下絵紙14としては、予めベース部21やカバー部23とセットして販売されていたものを用いずとも、購買者が別途用意したものを下絵紙14として用いれば、自由に絵柄を選ぶことができる。
【0061】
下絵紙14としては、例えば、写真やイラストが描かれた印刷物、写真が現像された印画紙、手書き絵画、コピー済用紙など薄いシート状のものであれば種々のものが該当するが、特に購買者が所有している個人的な写真を、最近普及したインクジェットプリンターにより低コストで印刷した用紙等を用いることで、個人の思い入れのあるものや、嗜好に合った絵画を制作するがことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明の絵画用カンバスの一実施形態を示す断面図である。
【図2】この発明の絵画用カンバスを用いた絵画の制作過程を示す一部拡大断面図である。
【図3】この発明の絵画用カンバスを用いた絵画の制作過程を示す一部拡大断面図である。
【図4】この発明の絵画用カンバスを用いた絵画の制作過程を示す斜視図である。
【図5】この発明の絵画用カンバスを値板絵画の完成状態を示す断面図である。
【図6】この発明の絵画用カンバスの他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1,11 絵画用カンバス
2,12 ベース材
3,13 接着層
4,14 下絵紙
5,15 主接着層
6,16 周辺接着層
7,17 剥離テープ
8,18 カバーシート
9 糸
10 絵柄
21 ベース部
23 カバー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のベース材の一方面を絵柄が描かれた絵柄形成面とし、この絵柄形成面上に、透視可能な主接着層、この主接着層の周辺部に設けた帯状の周辺接着層、この周辺接着層の上面を覆う剥離テープ、前記主接着層と周囲の剥離テープを覆い主接着層に接する面に離型処理がされている透視可能なカバーシートの順に積層されて形成されたことを特徴とする糸を用いた絵画用カンバス。
【請求項2】
板状のベース材の一方面に、接着層、剥離紙の順に積層して形成したベース部と、裏面を剥離紙で覆われた両面接着可能で透視可能な主接着層、この主接着層の表面周辺部に設けた帯状の周辺接着層、この周辺接着層の上面を覆う剥離テープ、前記主接着層と周囲の剥離テープを覆い主接着層に接する面に離型処理がされている透視可能なカバーシートの順に積層されて形成されたカバー部と、必要に応じて用意された、表面に絵柄が描かれた下絵紙とからなることを特徴とする糸を用いた絵画用カンバス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−248402(P2009−248402A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97572(P2008−97572)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(591030020)株式会社フジックス (5)