説明

糸巻取機

【課題】電気信号処理の滞りの低減を図ることによって、巻取ユニットや補助ユニットなどの稼動効率を向上させる技術を提供する。
【解決手段】巻取ユニット11と補助ユニット16と第一制御部14aと第二制御部14bを互いに通信可能に接続する通信路17を備えた糸巻取機100において、通信路17上に情報制御装置18を具備し、情報制御装置18は、電気信号の送信先に応じて電気信号を伝達するか遮断するかの選択を行なう、とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸巻取機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の巻取ユニットと、複数の補助ユニットと、巻取ユニットと補助ユニットの動作を制御する制御装置と、を備えた糸巻取機が知られている。このような糸巻取機において、巻取ユニットは、巻取ボビンを回転させることによって糸を巻き取り、該巻取ボビン上にパッケージを作成する。また、補助ユニットは、巻取ユニットによるパッケージの作成作業を補助する。
【0003】
代表的な糸巻取機である自動ワインダには、補助ユニットとして、糸が巻かれた給糸ボビンを各巻取ユニットに供給する給糸ボビン供給装置やパッケージを取り外して新たな巻取ボビンを装着する玉揚装置が備えられている(例えば特許文献1参照)。更に、自動ワインダには、巻取ユニットや給糸ボビン供給装置、玉揚装置などの動作を制御する制御装置が備えられている。つまり、自動ワインダは、パッケージを作成する複数の巻取ユニットと、給糸ボビン供給装置や玉揚装置などの複数の補助ユニットと、これらを制御する制御装置と、で構成される。
【0004】
代表的な糸巻取機である精紡機には、補助ユニットとして、切断された糸を継ぎ合わせる糸継装置やパッケージを取り外して新たな巻取ボビンを装着する玉揚装置が備えられている(例えば特許文献2参照)。更に、精紡機には、巻取ユニットや糸継装置、玉揚装置などの動作を制御する制御装置が備えられている。つまり、精紡機は、パッケージを作成する複数の巻取ユニットと、糸継装置や玉揚装置などの複数の補助ユニットと、これらを制御する制御装置と、で構成される。
【0005】
なお、これらの糸巻取機は、複数の巻取ユニットと、複数の補助ユニットと、これらを制御する制御装置とを、バスを介して接続することで通信可能に構成されている(例えば特許文献3参照)。
【0006】
ところで、近年、このような糸巻取機は、長錘化傾向にあり、一台の制御装置が統括する巻取ユニットの数や補助ユニットの数が増加している。それに加え、糸巻取機の動作制御は、機械的な制御から電気的な制御へと移行しつつあり、巻取ユニットと補助ユニットと制御装置との間で送受信される情報量が非常に増加している。
【0007】
しかし、従来の糸巻取機は、特許文献3に記載のように、巻取ユニットと補助ユニットと制御装置とが一本のバスを介して接続されている。このため、巻取ユニットと補助ユニットと制御装置との間で許容量を超えた情報量が送受信されると、バス上で情報処理を待つ電気信号が停滞し、巻取ユニットや補助ユニットが待機状態となる。従って、従来の糸巻取機には、稼動効率を向上できる余地があった。
【0008】
このため、バスの本数を複数本に増設することで、電気信号の停滞を解消する方法が考えられている。しかし、複数本のバスを設けると配線が複雑化し、メンテナンスが煩雑になることに加え、コストが高くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−286608号公報
【特許文献2】特開2008−95208号公報
【特許文献3】特開平10−147472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題を解決すべくなされたものであり、電気信号処理の滞りを低減することによって、巻取ユニットや補助ユニットなどの稼動効率を向上させる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
次に、この課題を解決するための手段を説明する。本願発明の発明者は、巻取ユニットと補助ユニットと制御装置との間で送受信される電気信号が、(1)巻取ユニットと制御装置の間で伝達される必要があり、補助ユニットには伝達不要な電気信号、(2)補助ユニットと制御装置の間で伝達される必要があり、巻取ユニットには伝達不要な電気信号、(3)巻取ユニットと補助ユニットの間で伝達される必要があり、制御装置には伝達不要な電気信号、の三つに大別できることに着目し、以下の発明を完成させた。
【0012】
即ち、第一の発明は、
糸を巻き取ってパッケージを作成する巻取ユニットと、
前記巻取ユニットがパッケージを作成することを補助する補助ユニットと、
前記巻取ユニット及び前記補助ユニットから電気信号を受信できるとともに該巻取ユニット及び該補助ユニットへ電気信号を送信可能とする第一制御部と、
前記巻取ユニット及び前記補助ユニットから電気信号を受信できるとともに該巻取ユニット及び該補助ユニットへ電気信号を送信可能とする第二制御部と、
前記巻取ユニットと前記補助ユニットと前記第一制御部と前記第二制御部を互いに通信可能に接続する通信路と、を備えた糸巻取機において、
前記通信路上に情報制御装置を具備し、
前記情報制御装置は、電気信号の送信先に応じて該電気信号を伝達するか遮断するかの選択を行なう、とした。
【0013】
第二の発明は、第一の発明に係る糸巻取機において、
前記通信路は、前記巻取ユニットと前記第一制御部を互いに通信可能に接続する第一通信路と、
前記補助ユニットと前記第二制御部を互いに通信可能に接続する第二通信路と、
前記第一通信路で接続されたグループと前記第二通信路で接続されたグループを互いに通信可能に接続する第三通信路と、に区画され、
前記情報制御装置は、前記第三通信路上に配置される、とした。
【0014】
第三の発明は、第二の発明に係る糸巻取機において、
前記情報制御装置は、前記第一通信路で接続されたグループ内から前記第二通信路で接続されたグループ内へ電気信号を送信する場合は該電気信号を伝達し、
前記第一通信路で接続されたグループ内から該グループ内のみに電気信号を送信する場合は該電気信号を遮断する、とした。
【0015】
第四の発明は、第二又は第三の発明に係る糸巻取機において、
前記情報制御装置は、前記第二通信路で接続されたグループ内から前記第一通信路で接続されたグループ内へ電気信号を送信する場合は該電気信号を伝達し、
前記第二通信路で接続されたグループ内から該グループ内のみに電気信号を送信する場合は該電気信号を遮断する、とした。
【0016】
第五の発明は、第一から第四のいずれかの発明に係る糸巻取機において、
前記通信路は、前記第一制御部や前記第二制御部を介することなく前記巻取ユニットと前記補助ユニットを互いに通信可能とする、とした。
【0017】
第六の発明は、第一から第五のいずれかの発明に係る糸巻取機において、
前記通信路上に電気信号を復元する信号復元機を具備する、とした。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
第一の発明によれば、情報制御装置が電気信号の送信先に応じて該電気信号を伝達するか遮断するかの選択を行なうため、電気信号が通信路上で停滞することを低減できる。これにより、本糸巻取機は、巻取ユニットと補助ユニットと第一制御部と第二制御部が、不要な電気信号を受信することなく必要な電気信号の処理に従事できるため、巻取ユニットや補助ユニットなどの稼動効率を向上させることが可能となる。また、本糸巻取機は、巻取ユニットと補助ユニットと第一制御部と第二制御部を、一本の通信路で接続した上で電気信号の制御を行なうため、複数の通信路でこれらを接続した場合に比べて、メンテナンスが容易かつ安価となる。
【0020】
第二の発明によれば、情報制御装置が第一通信路で接続されたグループと第二通信路で接続されたグループの間で電気信号の送信先に応じて該電気信号を伝達するか遮断するかの選択を行なうため、より効率的に電気信号の通信路上での停滞を低減できる。これにより、巻取ユニットや補助ユニットなどの稼動効率を向上させることが可能となる。つまり、糸巻取機における電気信号の送受信は、特に巻取ユニットと制御装置の間で多く行なわれる。一方、補助ユニットと制御装置の間では、巻取ユニットと制御装置の間に比べて電気信号の送受信の回数が少ない。そこで、本糸巻取機では、巻取ユニットと補助ユニットを別のグループとして区画したことで、補助ユニットが、多数回行なわれる巻取ユニットの電気信号処理を待つことなく、稼動することができる。
【0021】
第三の発明によれば、情報制御装置が第一通信路で接続されたグループ内から第二通信路で接続されたグループ内へ電気信号を送信する場合は該電気信号を伝達し、第一通信路で接続されたグループ内から該グループ内のみに電気信号を送信する場合は該電気信号を遮断するため、より効率的に電気信号の通信路上での停滞を低減できる。これにより、巻取ユニットや補助ユニットなどの稼動効率を向上させることが可能となる。
【0022】
第四の発明によれば、情報制御装置が第二通信路で接続されたグループ内から第一通信路で接続されたグループ内へ電気信号を送信する場合は該電気信号を伝達し、第二通信路で接続されたグループ内から該グループ内のみに電気信号を送信する場合は該電気信号を遮断するため、より効率的に電気信号の通信路上での停滞を低減できる。これにより、巻取ユニットや補助ユニットなどの稼動効率を向上させることが可能となる。
【0023】
第五の発明によれば、第一制御部や第二制御部を介することなく巻取ユニットと補助ユニットが互いに通信可能となるため、電気信号の伝達速度が向上する。これにより、巻取ユニットや補助ユニットなどの稼動効率を向上させることが可能となる。
【0024】
第六の発明によれば、通信路上に電気信号を復元する信号復元機を具備するため、電気信号を確実に伝達できる。これにより、巻取ユニットや補助ユニットなどの稼動効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】自動ワインダ100の全体構成を示す図。
【図2】自動ワインダ100の通信路17を示す図。
【図3】精紡機200の全体構成を示す図。
【図4】精紡機200の通信路27を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、本発明の一実施形態に係る糸巻取機である自動ワインダ100について説明する。
【0027】
図1は、自動ワインダ100の全体構成を示す図である。自動ワインダ100は、主に複数台の巻取ユニット11と、給糸ボビン供給装置12と、玉揚装置13と、パッケージコンベア(図示せず)と、制御装置14と、で構成される。
【0028】
巻取ユニット11は、給糸ボビンB1から解舒された糸Yに欠点部を発見した場合に、当該欠点部を除去することによって糸品質を整える。そして、巻取ユニット11は、巻取ボビンB2を回転させることによって糸Yを巻き取り、該巻取ボビンB2上にパッケージPを作成する。このように、巻取ユニット11は、糸Yの糸品質を整えるとともに、該糸Yを巻き取ることによってパッケージPを作成する。
【0029】
それぞれの巻取ユニット11は、巻取ユニット制御部11aを備えている(図2参照)。巻取ユニット制御部11aは、CPU(中央演算処理装置)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、通信ポートと、を備えている。ROMには、巻取ユニット11の動作を制御する制御プログラムが記憶されている。CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを実行することで、適切に糸Yの巻き取りを行なうことを可能としている。
【0030】
巻取ユニット制御部11aが備える通信ポートは、制御装置14及び補助ユニット16に接続され、電気信号の送受信が可能に構成されている(図2参照)。これにより、制御装置14は、自動ワインダ100が備えている複数の巻取ユニット11の動作制御と情報管理とを、一括して行なうことができる。
【0031】
給糸ボビン供給装置12は、各巻取ユニット11の並び方向に延設されたコンベア12aと、給糸ボビン準備装置15と、を備える。コンベア12aは、巻取ユニット11の前面及び背面に設置されている。給糸ボビン準備装置15は、精紡機で巻き上げられた給糸ボビンB1を受け取り、トレイに載置する。巻取ユニット11の背面に設置されたコンベア12aは、給糸ボビンB1をトレイに載置した状態で各巻取ユニット11まで搬送する。また、巻取ユニット11の前面に設置されたコンベア12aは、各巻取ユニット11から排出された給糸ボビンB1を所定の位置まで搬送する。このように、給糸ボビン供給装置12は、給糸ボビンB1を各巻取ユニット11に供給するとともに、各巻取ユニット11から排出された給糸ボビンB1を回収することを可能としている。
【0032】
玉揚装置13は、各巻取ユニット11の並び方向に延設されたレール13aに沿って走行する。そして、玉揚装置13は、巻取ユニット11から満巻状態になったパッケージPを取り外して新たな巻取ボビンB2を装着する。このように、玉揚装置13は、満巻状態になったパッケージPを回収することができるとともに、巻取ユニット11が連続してパッケージPを作成することを可能としている。
【0033】
パッケージコンベアは、各巻取ユニット11の並び方向に延設されており、間欠的に作動することで玉揚装置13によって取り外された満巻状態のパッケージPを自動ワインダ100の長手方向端部に搬送可能に構成されている。
【0034】
なお、給糸ボビン供給装置12、玉揚装置13及びパッケージコンベアは、巻取ユニット11がパッケージPを作成することを補助する装置である。従って、本実施形態においては、給糸ボビン供給装置12、玉揚装置13及びパッケージコンベアを巻取ユニット11の補助ユニット16と定義している。但し、補助ユニット16は、巻取ユニット11がパッケージPを作成することを直接的、間接的に補助する装置であればよく(例えば給糸ボビン準備装置15)、給糸ボビン供給装置12、玉揚装置13及びパッケージコンベアに限定するものではない。
【0035】
それぞれの補助ユニット16は、補助ユニット制御部16aを備えている(図2参照)。補助ユニット制御部16aは、巻取ユニット制御部11aと同様にCPUと、ROMと、RAMと、通信ポートと、を備えている。ROMには、補助ユニット16(給糸ボビン供給装置12等)の各構成を制御するための制御プログラムが記憶されている。CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを実行することで、適切にボビン供給動作や玉揚動作等を行なうことを可能としている。
【0036】
補助ユニット制御部16aが備える通信ポートは、制御装置14及び補助ユニット16に接続され、電気信号の送受信が可能に構成されている(図2参照)。これにより、制御装置14は、自動ワインダ100が備えている複数の補助ユニット16の動作制御と情報管理とを、一括して行なうことができる。
【0037】
制御装置14は、第一制御部14aと第二制御部14bで構成される(図2参照)。第一制御部14aと第二制御部14bは、巻取ユニット11や補助ユニット16と通信路17によって接続されている(図2参照)。第一制御部14aと第二制御部14bは、それぞれ、巻取ユニット制御部11aと同様にCPUと、ROMと、RAMと、通信ポートと、を備えている。
【0038】
第一制御部14a及び第二制御部14bの通信ポートは、通信路17を介して、巻取ユニット制御部11aの通信ポート及び補助ユニット制御部16aの通信ポートに接続されている(図2参照)。このような構成により、制御装置14は、それぞれの巻取ユニット制御部11a、及び、それぞれの補助ユニット制御部16aから運転状態等の電気信号を受信でき、巻取ユニット11や補助ユニット16の運転状態を把握することを可能としている。また、制御装置14は、それぞれの巻取ユニット制御部11a、及び、それぞれの補助ユニット制御部16aに対して運転条件等の電気信号を送信でき、巻取ユニット11や補助ユニット16の運転状態を設定することを可能としている。
【0039】
なお、第一制御部14aは、巻取ユニット11や補助ユニット16から電気信号を受信して運転状態の把握を行なう情報収集機能と、巻取ユニット11や補助ユニット16に電気信号を送信して運転状態を設定する設定機能と、を有する。一方、第二制御部14bは、巻取ユニット11や補助ユニット16から電気信号を受信して情報処理を行なうとともに、巻取ユニット11や補助ユニット16に電気信号を送信してパッケージPを円滑に作成する制御機能を有する。但し、第一制御部14aと第二制御部14bの主な役割について限定するものではない。
【0040】
巻取ユニット11に送信される電気信号(運転条件等)としては、例えば巻取速度、番手、巻取張力、パッケージ巻取量、パッケージ重量などがある。また、巻取ユニット11から送信される電気信号(運転状態等)としては、例えばパッケージ径、巻取速度、糸切れ発生状況、アラーム情報などがある。なお、巻取ユニット11に送信される設定値は、各巻取ユニット11を個別に指定して送信することもできるし、全ての巻取ユニット11に対して一括して送信することもできる。
【0041】
図2は、自動ワインダ100の通信路17を示す図である。通信路17は、主に第一通信路17aと、第二通信路17bと、第三通信路17cと、に区画される。
【0042】
第一通信路17aは、巻取ユニット11と第一制御部14aを互いに通信可能に接続する。このため、第一通信路17aは、巻取ユニット11から送信された電気信号を第一制御部14aに伝達できる。また、第一通信路17aは、第一制御部14aから送信された電気信号を巻取ユニット11へ伝達できる。
【0043】
第二通信路17bは、補助ユニット16と第二制御部14bを互いに通信可能に接続する。このため、第二通信路17bは、補助ユニット16から送信された電気信号を第二制御部14bに伝達できる。また、第二通信路17bは、第二制御部14bから送信された電気信号を補助ユニット16へ伝達できる。
【0044】
第三通信路17cは、第一通信路17aで接続されたグループG1と第二通信路17bで接続されたグループG2を互いに通信可能に接続する。このため、第三通信路17cは、巻取ユニット11から送信された電気信号を第二制御部14bに伝達できる。また、第三通信路17cは、第二制御部14bから送信された電気信号を巻取ユニット11に伝達できる。更に、第三通信路17cは、補助ユニット16から送信された電気信号を第一制御部14aに伝達できる。また、第三通信路17cは、第一制御部14aから送信された電気信号を補助ユニット16に伝達できる。つまり、第三通信路17cは、巻取ユニット11と第一制御部14aで構成されるグループG1と、補助ユニット16と第二制御部14bで構成されるグループG2と、を接続することで、巻取ユニット11と補助ユニット16と第一制御部14aと第二制御部14bとを、相互に電気信号を伝達可能としている。
【0045】
更に、本自動ワインダ100には、第三通信路17c上に情報制御装置18が配置されている。つまり、情報制御装置18は、第一通信路17aで接続されたグループG1と第二通信路17bで接続されたグループG2の間に配置されている。
【0046】
情報制御装置18は、電気信号の送信先に応じて該電気信号を伝達するか遮断するかの選択を行なう情報通信機器である。つまり、情報制御装置18は、通過しようとする電気信号の送信先が、巻取ユニット11と補助ユニット16と第一制御部14aと第二制御部14bとのうち、いずれであるかによって電気信号を伝達するか遮断するかを切り換える。そして、情報制御装置18によって、伝達される必要がない電気信号が遮断されることで、巻取ユニット11と補助ユニット16と第一制御部14aと第二制御部14bの処理する電気信号の数が低減される。このように、本実施形態に係る自動ワインダ100は、情報制御装置18が伝達される電気信号の精査を行なうため、不要な電気信号が通信路上に停滞することを防ぎ、巻取ユニット11や補助ユニット16などが待機状態になることを回避している。
【0047】
このような構成により、本発明の一実施形態である自動ワインダ100は、情報制御装置18が電気信号の送信先に応じて該電気信号を伝達するか遮断するかの選択を行なうため、電気信号処理の滞りを低減できる。これにより、自動ワインダ100は、巻取ユニット11や補助ユニット16などの稼動効率を向上させることが可能となる。
【0048】
更に、本自動ワインダ100においては、情報制御装置18が第一通信路17aで接続されたグループG1と第二通信路17bで接続されたグループG2の間で電気信号の送信先に応じて該電気信号を伝達するか遮断するかの選択を行なうため、各グループG1・G2間を伝達する電気信号処理の滞りを低減できる。これにより、巻取ユニット11や補助ユニット16などの稼動効率を向上させることが可能となる。
【0049】
ここで、一の巻取ユニット11において、パッケージPが満巻状態になった場合を想定して、自動ワインダ100における電気信号処理の流れを具体的に説明する。なお、以下に説明する制御態様は、あくまで一例であり、これに限定するものではない。
【0050】
まず、巻取ユニット11から玉揚装置13にパッケージPが満巻状態である旨の電気信号が送信される。巻取ユニット11から送信された電気信号は、第一通信路17aや第三通信路17cを介して玉揚装置13に伝達される。このように、第一通信路17aで接続されたグループG1内から第二通信路17bで接続されたグループG2内へ電気信号(玉揚要求信号)を送信する場合、情報制御装置18は、電気信号を伝達する。
【0051】
なお、パッケージコンベアの作動時には、第二制御部14bから玉揚装置13に玉揚動作を禁止する旨の電気信号が送信される。玉揚動作を禁止する旨の電気信号は、玉揚装置13やパッケージコンベアなどの補助ユニット16の動作を制御する。玉揚装置13やパッケージコンベアなどの補助ユニット16は、互いにデータリンクされていることから、第二制御部14bから補助ユニット16に対して送信される電気信号の容量は大きくなる。よって、第二制御部14bから補助ユニット16に対して送信される電気信号が、情報制御装置18に遮断されずにグループG1に伝達されてしまった場合、グループG1内の電気信号の送受信は、大幅に滞ることとなる。この点、本実施形態に係る自動ワインダ100は、グループG2から該グループG2内のみに電気信号を送信する場合、情報制御装置18が、グループG1への電気信号の伝達を遮断するため、グループG1内の電気信号の滞りを低減することができる。
【0052】
このように、第二通信路17bで接続されたグループG2内から該グループG2内のみに電気信号を送信する場合、情報制御装置18は、電気信号を遮断する。つまり、情報制御装置18は、第一通信路17aで接続されたグループG1内に電気信号が送られることを防ぎ、電気信号処理の滞りの低減を図るのである。この間、グループG1内では、例えば他の巻取ユニット11から第一制御部14aに対して、現在の運転状態等の電気信号を送信することができる。
【0053】
玉揚装置13から巻取ユニット11にパッケージPの回収と新たな巻取ボビンB2の装着が完了した旨の電気信号が送信される。玉揚装置13から送信された電気信号は、第二通信路17bや第三通信路17cを介して巻取ユニット11に伝達される。このように、第二通信路17bで接続されたグループG2内から第一通信路17aで接続されたグループG1内へ電気信号を送信する場合、情報制御装置18は、電気信号を伝達する。
【0054】
また、第一制御部14aから巻取ユニット11には、巻取ユニット11の巻取条件に関する電気信号が送信される。第一制御部14aから送信された電気信号は、第一通信路17aを介して巻取ユニット11に伝達される。このように、第一通信路17aで接続されたグループG1内から該グループG1内のみに電気信号を送信する場合、情報制御装置18は、電気信号を遮断する。つまり、情報制御装置18は、第二通信路17bで接続されたグループG2内に電気信号が送られることを防ぎ、電気信号処理の滞りの低減を図るのである。この間、グループG2内では、例えば第二制御部14bから玉揚装置13に対して、玉揚動作を禁止する旨の電気信号を送信することができる。なお、巻取ユニット11の巻取条件に関する電気信号とは、巻取速度、番手、巻取張力、巻取パッケージの巻取量、パッケージ重量、欠陥に関する項目などである。
【0055】
またグループG1内から該グループG1内のみに送信される電気信号としては、巻取ユニット11から第一制御部14aに送信される巻取状況に関する情報がある。この情報には、パッケージ径、巻取速度、糸切れの発生状況、糸欠陥の検知状況などがある。この情報は、巻取ユニット11の稼働中、巻取ユニット11から第一制御部14aに逐次送信されている。
【0056】
このような構成により、情報制御装置18が第一通信路17aで接続されたグループG1内から第二通信路17bで接続されたグループG2内へ電気信号を送信する場合は該電気信号を伝達し、第一通信路17aで接続されたグループG1内から該グループG1内のみに電気信号を送信する場合は該電気信号を遮断するため、各グループG1・G2間を伝達する電気信号処理の滞りを低減できる。これにより、巻取ユニット11や補助ユニット16などの稼動効率を向上させることが可能となる。
【0057】
また、情報制御装置18が第二通信路17bで接続されたグループG2内から第一通信路17aで接続されたグループG1内へ電気信号を送信する場合は該電気信号を伝達し、第二通信路17bで接続されたグループG2内から該グループG2内のみに電気信号を送信する場合は該電気信号を遮断するため、各グループG1・G2間を伝達する電気信号処理の滞りを低減できる。これにより、巻取ユニット11や補助ユニット16などの稼動効率を向上させることが可能となる。
【0058】
次に、本発明の一実施形態に係る糸巻取機である精紡機200について説明する。
【0059】
図3は、精紡機200の全体構成を示す図である。精紡機200は、主に複数台の巻取ユニット21と、糸継装置22と、玉揚装置23と、パッケージコンベア(図示せず)と、制御装置24と、で構成される。
【0060】
巻取ユニット21は、供給されたスライバを牽伸するとともに、牽伸されたスライバを撚ることで糸Yを製造する。そして、巻取ユニット21は、巻取ボビンB3を回転させることによって糸Yを巻き取り、該巻取ボビンB3上にパッケージPを作成する。このように、巻取ユニット21は、スライバから糸Yを製造するとともに、該糸Yを巻き取ることによってパッケージPを作成する。
【0061】
それぞれの巻取ユニット21は、巻取ユニット制御部21aと接続されている(図4参照)。巻取ユニット制御部21aは、CPU(中央演算処理装置)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、通信ポートと、を備えている。ROMには、巻取ユニット21の動作を制御する制御プログラムが記憶されている。CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを実行することで、適切に糸Yの巻き取りを行なうことを可能としている。また、精紡機200においては、一つの巻取ユニット制御部21aに対して複数の巻取ユニット21が接続されている。これにより、巻取ユニット制御部21aは、複数の巻取ユニット21の動作を制御可能に構成されている。
【0062】
巻取ユニット制御部21aが備える通信ポートは、制御装置24及び補助ユニット26に接続され、電気信号の送受信が可能に構成されている(図4参照)。これにより、制御装置24は、精紡機200が備えている複数の巻取ユニット21の動作制御と情報管理とを、一括して行なうことができる。
【0063】
糸継装置22は、各巻取ユニット21の並び方向に設置されたレール22aに沿って走行する。そして、糸継装置22は、巻取ユニット21の切断された糸Yの糸端部どうしを継ぎ合わせる。このように、糸継装置22は、切断された糸Yを継ぎ合わせることによって、巻取ユニット21が連続してパッケージPを作成することを可能としている。
【0064】
玉揚装置23は、各巻取ユニット21の並び方向に延設されたレール23aに沿って走行する。そして、玉揚装置23は、巻取ユニット21から満巻状態になったパッケージPを取り外して新たな巻取ボビンB3を装着する。このように、玉揚装置23は、満巻状態になったパッケージPを回収することができるとともに、巻取ユニット21が連続してパッケージPを作成することを可能としている。
【0065】
パッケージコンベアは、各巻取ユニット21の並び方向に延設されており、間欠的に作動することで玉揚装置23によって取り外された満巻状態のパッケージPを精紡機200の長手方向端部に搬送可能に構成されている。
【0066】
なお、糸継装置22、玉揚装置23及びパッケージコンベアは、巻取ユニット21がパッケージPを作成することを補助する装置である。従って、本実施形態においては、糸継装置22、玉揚装置23及びパッケージコンベアを巻取ユニット21の補助ユニット26と定義している。但し、補助ユニット26は、巻取ユニット21がパッケージPを作成することを直接的、間接的に補助する装置であればよく、糸継装置22、玉揚装置23及びパッケージコンベアに限定するものではない。
【0067】
それぞれの補助ユニット26は、補助ユニット制御部26aを備えている(図4参照)。補助ユニット制御部26aは、巻取ユニット制御部21aと同様にCPUと、ROMと、RAMと、通信ポートと、を備えている。ROMには、補助ユニット26(糸継装置22等)の各構成を制御するための制御プログラムが記憶されている。CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを実行することで、適切に糸継動作や玉揚動作等を行なうことを可能としている。
【0068】
補助ユニット制御部26aが備える通信ポートは、制御装置24及び補助ユニット26に接続され、電気信号の送受信が可能に構成されている(図4参照)。これにより、制御装置24は、精紡機200が備えている複数の補助ユニット26の動作制御と情報管理とを、一括して行なうことができる。
【0069】
制御装置24は、第一制御部24aと第二制御部24bで構成される(図4参照)。第一制御部24aと第二制御部24bは、巻取ユニット21や補助ユニット26と通信路27によって接続されている(図4参照)。第一制御部24aと第二制御部24bは、それぞれ、巻取ユニット制御部21aと同様にCPUと、ROMと、RAMと、通信ポートと、を備えている。
【0070】
第一制御部24a及び第二制御部24bの通信ポートは、通信路27を介して、巻取ユニット制御部21aの通信ポート及び補助ユニット制御部26aの通信ポートに接続されている(図4参照)。このような構成により、制御装置24は、それぞれの巻取ユニット制御部21a、及び、それぞれの補助ユニット制御部26aから運転状態等の電気信号を受信でき、巻取ユニット21や補助ユニット26の運転状態を把握することを可能としている。また、制御装置24は、それぞれの巻取ユニット制御部21a、及び、それぞれの補助ユニット制御部26aに対して運転条件等の電気信号を送信でき、巻取ユニット21や補助ユニット26の運転状態を設定することを可能としている。
【0071】
なお、第一制御部24aは、巻取ユニット21や補助ユニット26から電気信号を受信して運転状態の把握を行なう情報収集機能と、巻取ユニット21や補助ユニット26に電気信号を送信して運転状態を設定する設定機能と、を有する。一方、第二制御部24bは、巻取ユニット21や補助ユニット26から電気信号を受信して情報処理を行なうとともに、巻取ユニット21や補助ユニット26に電気信号を送信してパッケージPを円滑に作成する制御機能を有する。但し、第一制御部24aと第二制御部24bの主な役割について限定するものではない。
【0072】
巻取ユニット21に送信される電気信号(運転条件等)としては、例えば巻取速度、番手、巻取張力、パッケージ巻取量、パッケージ重量などがある。また、巻取ユニット21から送信される電気信号(運転状態等)としては、例えばパッケージ径、巻取速度、糸切れ発生状況、アラーム情報などがある。なお、巻取ユニット21に送信される設定値は、各巻取ユニット21を個別に指定して送信することもできるし、全ての巻取ユニット11に対して一括して送信することもできる。
【0073】
図4は、精紡機200の通信路27を示す図である。通信路27は、主に第一通信路27aと、第二通信路27bと、第三通信路27cと、に区画される。
【0074】
第一通信路27aは、巻取ユニット21と第一制御部24aを互いに通信可能に接続する。このため、第一通信路27aは、巻取ユニット21から送信された電気信号を第一制御部24aに伝達できる。また、第一通信路27aは、第一制御部24aから送信された電気信号を巻取ユニット21へ伝達できる。
【0075】
第二通信路27bは、補助ユニット26と第二制御部24bを互いに通信可能に接続する。このため、第二通信路27bは、補助ユニット26から送信された電気信号を第二制御部24bに伝達できる。また、第二通信路27bは、第二制御部24bから送信された電気信号を補助ユニット26へ伝達できる。
【0076】
第三通信路27cは、第一通信路27aで接続されたグループG1と第二通信路27bで接続されたグループG2を互いに通信可能に接続する。このため、第三通信路27cは、巻取ユニット21から送信された電気信号を第二制御部24bに伝達できる。また、第三通信路27cは、第二制御部24bから送信された電気信号を巻取ユニット21に伝達できる。更に、第三通信路27cは、補助ユニット26から送信された電気信号を第一制御部24aに伝達できる。また、第三通信路27cは、第一制御部24aから送信された電気信号を補助ユニット26に伝達できる。つまり、第三通信路27cは、巻取ユニット21と第一制御部24aで構成されるグループG1と、補助ユニット26と第二制御部24bで構成されるグループG2と、を接続することで、巻取ユニット21と補助ユニット26と第一制御部24aと第二制御部24bを、相互に電気信号を伝達可能としている。
【0077】
更に、本精紡機200には、第三通信路27c上に情報制御装置28が配置されている。つまり、情報制御装置28は、第一通信路27aで接続されたグループG1と第二通信路27bで接続されたグループG2の間に配置されている。
【0078】
情報制御装置28は、電気信号の送信先に応じて該電気信号を伝達するか遮断するかの選択を行なう情報通信機器である。つまり、情報制御装置28は、通過しようとする電気信号の送信先が、巻取ユニット21と補助ユニット26と第一制御部24aと第二制御部24bとのうち、いずれであるかによって電気信号を伝達するか遮断するかを切り換える。そして、情報制御装置28によって、伝達される必要がない電気信号が遮断されることで、巻取ユニット21と補助ユニット26と第一制御部24aと第二制御部24bが処理する電気信号の数が低減される。このように、本実施形態に係る精紡機200は、情報制御装置28が伝達される電気信号の精査を行なうため、不要な電気信号が通信路上に停滞することを防ぎ、巻取ユニット21や補助ユニット26などが待機状態になることを回避しているのである。
【0079】
このような構成により、本発明の一実施形態である精紡機200は、情報制御装置28が電気信号の送信先に応じて該電気信号を伝達するか遮断するかの選択を行なうため、電気信号処理の滞りを低減できる。これにより、精紡機200は、巻取ユニット21や補助ユニット26などの稼動効率を向上させることが可能となる。
【0080】
更に、本精紡機200においては、情報制御装置28が第一通信路27aで接続されたグループG1と第二通信路27bで接続されたグループG2の間で電気信号の送信先に応じて該電気信号を伝達するか遮断するかの選択を行なうため、各グループG1・G2間を伝達する電気信号処理の滞りを低減できる。これにより、巻取ユニット21や補助ユニット26などの稼動効率を向上させることが可能となる。
【0081】
ここで、一の巻取ユニット21において、パッケージPが満巻状態になった場合を想定して精紡機200における電気信号処理の流れを具体的に説明する。なお、以下に説明する制御態様は、あくまで一例であり、これに限定するものではない。
【0082】
まず、巻取ユニット21から玉揚装置23にパッケージPが満巻状態である旨の電気信号が送信される。巻取ユニット21から送信された電気信号は、第一通信路27aや第三通信路27cを介して玉揚装置23に伝達される。このように、第一通信路27aで接続されたグループG1内から第二通信路27bで接続されたグループG2内へ電気信号(玉揚要求信号)を送信する場合、情報制御装置28は、電気信号を伝達する。
【0083】
なお、パッケージコンベアが作動時には、第二制御部24bから玉揚装置23に玉揚動作を禁止する旨の電気信号が送信される。玉揚動作を禁止する旨の電気信号は、玉揚装置23とパッケージコンベアなどの補助ユニット26の動作を制御する。玉揚装置23やパッケージコンベアなどの補助ユニット26は、互いにデータリンクされていることから、第二制御部24bから補助ユニット26に対して送信される電気信号の容量が大きくなる。よって、第二制御部24bから補助ユニット26に対して送信される電気信号が、情報制御装置28に遮断されずにグループG1に伝達されてしまった場合、グループG1内の電気信号の送受信は、大幅に滞ることとなる。この点、本実施形態に係る精紡機200は、グループG2から該グループG2内のみに電気信号を送信する場合、情報制御装置28が、グループG1への電気信号の伝達を遮断するため、グループG1内の電気信号の滞りを低減することができる。
【0084】
このように、第二通信路27bで接続されたグループG2内から該グループG2内のみに電気信号を送信する場合、情報制御装置28は、電気信号を遮断する。つまり、情報制御装置28は、第一通信路27aで接続されたグループG1内に電気信号が送られることを防ぎ、電気信号処理の滞りの低減を図るのである。この間、グループG1内では、例えば他の巻取ユニット21から第一制御部24aに対して、現在の運転状態等の電気信号を送信することができる。
【0085】
玉揚装置23から巻取ユニット21にパッケージPの回収と新たな巻取ボビンB3の装着が完了した旨の電気信号が送信される。玉揚装置23から送信された電気信号は、第二通信路27bや第三通信路27cを介して巻取ユニット21に伝達される。このように、第二通信路27bで接続されたグループG2内から第一通信路27aで接続されたグループG1内へ電気信号を送信する場合、情報制御装置28は、電気信号を伝達する。
【0086】
また、第一制御部24aから巻取ユニット21には、巻取ユニット21の巻取条件に関する電気信号が送信される。第一制御部24aから送信された電気信号は、第一通信路27aを介して巻取ユニット21に伝達される。このように、第一通信路27aで接続されたグループG1内から該グループG1内のみに電気信号を送信する場合、情報制御装置28は、電気信号を遮断する。つまり、情報制御装置28は、第二通信路27bで接続されたグループG2内に電気信号が送られることを防ぎ、電気信号処理の滞りの低減を図るのである。この間、グループG2内では、例えば第二制御部24bから玉揚装置23に対して、玉揚動作を禁止する旨の電気信号を送信することができる。なお、巻取ユニット21の巻取条件に関する電気信号とは、巻取速度、番手、巻取張力、巻取パッケージの巻取量、パッケージ重量、欠陥に関する項目などである。
【0087】
またグループG1内から該グループG1内のみに送信される電気信号としては、巻取ユニット21から第一制御部24aに送信される巻取状況に関する情報がある。この情報には、パッケージ径、巻取速度、糸切れの発生状況、糸欠陥の検知状況などがある。この情報は、巻取ユニット21の稼働中、巻取ユニット21から第一制御部24aに逐次送信されている。
【0088】
このような構成により、情報制御装置28が第一通信路27aで接続されたグループG1内から第二通信路27bで接続されたグループG2内へ電気信号を送信する場合は該電気信号を伝達し、第一通信路27aで接続されたグループG1内から該グループG1内のみに電気信号を送信する場合は該電気信号を遮断するため、各グループG1・G2間を伝達する電気信号処理の滞りを低減できる。これにより、巻取ユニット21や補助ユニット26などの稼動効率を向上させることが可能となる。
【0089】
また、情報制御装置28が第二通信路27bで接続されたグループG2内から第一通信路27aで接続されたグループG1内へ電気信号を送信する場合は該電気信号を伝達し、第二通信路27bで接続されたグループG2内から該グループG2内のみに電気信号を送信する場合は該電気信号を遮断するため、各グループG1・G2間を伝達する電気信号処理の滞りを低減できる。これにより、巻取ユニット21や補助ユニット26などの稼動効率を向上させることが可能となる。
【0090】
更に、本発明の実施形態に係る自動ワインダ100及び精紡機200は、第一制御部14a・24aや第二制御部14b・24bを介することなく巻取ユニット11・21と補助ユニット16・26を互いに通信可能とできる。
【0091】
具体的に説明すると、第三通信路17c・27cを用いて第一通信路17a・27aと第二通信路17b・27bを接続すると、第一制御部14a・24aや第二制御部14b・24bを介することなく巻取ユニット11・21と補助ユニット16・26が直接通信可能となる。
【0092】
このような構成により、第一制御部14a・24aや第二制御部14b・24bを介することなく巻取ユニット11・21と補助ユニット16・26が互いに通信可能となるため、電気信号の伝達速度が向上する。これにより、巻取ユニット11・21や補助ユニット16・26などの稼動効率を向上させることが可能となる。
【0093】
また、本発明の実施形態に係る自動ワインダ100及び精紡機200は、通信路17・27上に電気信号を復元する信号復元機19・29を具備している。
【0094】
信号復元機19・29は、通信路17・27を伝達する電気信号の波形の歪みを修正する、いわゆるリピータとしての機能を有する。
【0095】
このような構成により、通信路17・27上に電気信号を復元する信号復元機19・29を具備するため、電気信号を確実に伝達できる。これにより、巻取ユニット11・21や補助ユニット16・26などの稼動効率を向上させることが可能となる。
【0096】
なお、ここで信号復元機19・29は、信号復元装置及び情報制御装置の機能を兼ね備えたルータを用いることによって、電気信号の伝達を遮断することもできる。
【0097】
また、上記実施例に記載の自動ワインダ100及び精紡機200は、玉揚装置13・23を一つ備える構成としたが、玉揚装置13・23等の補助ユニット16・26を、それぞれ複数備える構成としても良い。
【符号の説明】
【0098】
100 自動ワインダ(糸巻取機)
11 巻取ユニット
12 給糸ボビン供給装置(補助ユニット)
13 玉揚装置(補助ユニット)
14 制御装置
14a 第一制御部
14b 第二制御部
15 給糸ボビン準備装置(補助ユニット)
16 補助ユニット
17 通信路
17a 第一通信路
17b 第二通信路
17c 第三通信路
18 情報制御装置
19 信号復元機
200 精紡機(糸巻取機)
21 巻取ユニット
22 糸継装置(補助ユニット)
23 玉揚装置(補助ユニット)
24 制御装置
24a 第一制御部
24b 第二制御部
26 補助ユニット
27 通信路
27a 第一通信路
27b 第二通信路
27c 第三通信路
28 情報制御装置
29 信号復元機
B1 給糸ボビン
B2 巻取ボビン
B3 巻取ボビン
P パッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を巻き取ってパッケージを作成する巻取ユニットと、
前記巻取ユニットがパッケージを作成することを補助する補助ユニットと、
前記巻取ユニット及び前記補助ユニットから電気信号を受信できるとともに該巻取ユニット及び該補助ユニットへ電気信号を送信可能とする第一制御部と、
前記巻取ユニット及び前記補助ユニットから電気信号を受信できるとともに該巻取ユニット及び該補助ユニットへ電気信号を送信可能とする第二制御部と、
前記巻取ユニットと前記補助ユニットと前記第一制御部と前記第二制御部を互いに通信可能に接続する通信路と、を備えた糸巻取機において、
前記通信路上に情報制御装置を具備し、
前記情報制御装置は、電気信号の送信先に応じて該電気信号を伝達するか遮断するかの選択を行なう、ことを特徴とする糸巻取機。
【請求項2】
前記通信路は、前記巻取ユニットと前記第一制御部を互いに通信可能に接続する第一通信路と、
前記補助ユニットと前記第二制御部を互いに通信可能に接続する第二通信路と、
前記第一通信路で接続されたグループと前記第二通信路で接続されたグループを互いに通信可能に接続する第三通信路と、に区画され、
前記情報制御装置は、前記第三通信路上に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の糸巻取機。
【請求項3】
前記情報制御装置は、前記第一通信路で接続されたグループ内から前記第二通信路で接続されたグループ内へ電気信号を送信する場合は該電気信号を伝達し、
前記第一通信路で接続されたグループ内から該グループ内のみに電気信号を送信する場合は該電気信号を遮断する、ことを特徴とする請求項2に記載の糸巻取機。
【請求項4】
前記情報制御装置は、前記第二通信路で接続されたグループ内から前記第一通信路で接続されたグループ内へ電気信号を送信する場合は該電気信号を伝達し、
前記第二通信路で接続されたグループ内から該グループ内のみに電気信号を送信する場合は該電気信号を遮断する、ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の糸巻取機。
【請求項5】
前記通信路は、前記第一制御部や前記第二制御部を介することなく前記巻取ユニットと前記補助ユニットを互いに通信可能とする、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の糸巻取機。
【請求項6】
前記通信路上に電気信号を復元する信号復元機を具備する、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の糸巻取機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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