説明

納棺方法

【課題】遺体を良好な状態で納棺できる。
【解決手段】遺体の状態に応じて、遺体の損傷を修復すること、及び、遺体の損傷が進行するのを抑制することの少なくともいずれかを施す納棺準備工程と、遺体を棺内に寝かせる工程と、棺内にドライアイスを収容する工程とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺体を棺内におさめる納棺方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遺体を納棺する際は、棺内に遺体を寝かせると共に、棺内にドライアイスを収容して、遺体の腐敗を遅らせる措置を取る。これにより、故人を見送る者が遺体を見やすくなる。さらに、特許文献1のように、納棺前に遺体の表情を復元することにより、遺体を見やすくする。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特願2007−39401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、納棺前に遺体に何らかの処置を施して遺体の状態を改善することが好ましい。しかし、遺体の状態によっては、容易には遺体の状態を改善することができない場合もある。
【0005】
本発明の目的は、遺体を良好な状態で納棺できる納棺方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の納棺方法は、遺体の状態に応じて、遺体の損傷を修復すること、及び、遺体の損傷が進行するのを抑制することの少なくともいずれかを施す納棺準備工程と、遺体を棺内に寝かせる工程と、棺内にドライアイスを収容する工程とを備えている。事故や病気などによって遺体に損傷があったり、遺体の損傷が進行しやすくなったりしていることがある。本発明の納棺方法によると、遺体の状態に応じて納棺前に損傷を修復したり遺体の損傷が進行するのを抑制し仏衣を着せることで、遺族らが故人を見送る際、遺体を見たり遺体に触れたりしやすくなる。
【0007】
また、本発明においては、前記納棺準備工程において、遺体の少なくとも一部の周囲に通気性のない素材からなるラップ部材を巻き付けることが好ましい。これによると、ラップ部材によって遺体からの腐敗臭を抑制する共に、腐敗が進行して遺体の損傷が進むのを抑制できる。
【0008】
また、本発明においては、遺体の表皮下に水疱が形成されている場合に、水疱の皮膚をやぶりつゆを出し、その上からテープ部材を貼り付けた後に、さらにその上から前記ラップ部材を巻き付けることが好ましい。これによると、テープ部材とラップ部材により、水疱を破って、つゆをだして液体が漏れ出したりして皮膚感染が進むのを抑制できる。
【0009】
また、本発明においては、遺体の頭部に損傷がある場合に、その損傷部に前記ラップ部材を巻き付けることが好ましい。これによると、遺体の頭部からの出血等を抑制できる。
【0010】
また、本発明においては、前記ラップ部材の上から晒し布又は包帯を巻くことが好ましい。これによると、ラップ部材を晒し布等で覆うことで遺体の外見を改善できる。
【0011】
また、本発明においては、遺体の口腔又は鼻腔から咽頭にかけて詰め物を挿入して咽頭を封鎖することが好ましい。これによると、食道や胃腸側から出血した血液や腐敗臭が口や鼻から漏れ出るのを防止できる。
【0012】
また、本発明においては、遺体の下顎が外れている場合に、遺体の口腔から咽頭に向かって詰め物を挿入することで、前記下顎を舌骨に嵌め込むことが好ましい。これによると、下顎を舌骨に戻すことで、遺体の口を閉めることができる。
【0013】
また、本発明においては、前記納棺準備工程において、遺体に形成された注射針穴の近傍を縫合糸が跨ぐように縫合した後に、前記縫合糸に交差するようにさらに縫合糸を縫いつけることが好ましい。これによると、注射針穴を確実に閉じることができる。
【0014】
また、本発明においては、前記納棺準備工程において、遺体の胴体に形成された裂け目から内部の器官がはみ出ている場合に、当該はみ出た器官を内部に戻した後、裂け目を糸で縫いつけテープ部材を貼り付けることが好ましい。これによると、内部器官の腐敗を抑制できると共に、遺体の外見を改善することができる。
【0015】
また、本発明においては、前記納棺準備工程において、遺体の頭部、腕部及び脚部の少なくともいずれかが損失している場合に、損失部分に応じた模型を損失箇所に接続して、その接続部に包帯を巻くことが好ましい。これによると、遺体の外見を改善することができる。
【0016】
また、本発明においては、前記納棺準備工程において、遺体の眼窩から眼球がはみ出している場合に、眼球の後方から眼窩の後部へと筋肉及び視神経が延びるように眼球を眼窩に嵌め込むことが好ましい。これによると、眼球を眼窩内に確実に戻すことができる。
【0017】
また、本発明においては、前記納棺準備工程において、遺体の上歯と下歯との間に舌が噛み込まれている場合に、下顎を下げて上歯と下歯との間に隙間を空け、先端に綿花を挟んだピンセットを用いて舌を口腔内に押し込むことが好ましい。これによると、舌を歯で傷つけずに口の中に押し戻すことが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】遺体の納棺までの概略的な流れを示す工程図である。
【図2】口腔から咽頭にかけての人体の縦断面図である。
【図3】棺内に収容された遺体とドライアイスの配置を示す棺の平面図である。
【図4】図4(a)は、注射の針穴を縫合した後の縫合箇所の平面図である。図4(b)は、縫合箇所の縦断面図である。
【図5】ラップ部材が巻かれた遺体の上半身の正面図である。
【図6】図6(a)は、顎が外れているときの頭蓋下部の側面図である。図6(b)は、顎が関節にはめ込まれたときの頭蓋下部の側面図である。
【図7】一部欠損した遺体と欠損部分の復元方法を示す遺体の正面図である。
【図8】眼窩及び眼球周辺の縦断面図である。
【図9】舌が飛び出しているときの遺体の口周辺の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な一実施形態について説明する。図1は、遺体の納棺を完了するまでの概略的な流れを示す工程図である。まず、遺体を納棺する準備工程として、遺体の修復、湯灌、及び遺体に仏衣を着させる工程を実施する。
【0020】
遺体の修復について説明する。遺体はさまざまな原因により損傷していることがある。また、それほど損傷していないように見える遺体も病気や事故などによって損傷しやすくなっている場合があり、このような場合に遺体を放置すると腐敗が進み、損傷してくる。そこで、納棺前に、遺体の損傷を修復したり、遺体の損傷が進行するのを抑制する処置を実施する。
【0021】
例えば、病院などの処置により、遺体の鼻腔や口腔に綿が詰めてある場合には、その綿を取り出す。遺体から出血して取り出した綿に血液がついていたり、遺体の体内からの汚物が付いていたりする場合には、アルコール消毒などに用いられる脱脂綿等で鼻腔内や口腔内を拭き、汚れがなくなるまで脱脂綿をかえていく。
【0022】
次に、脱脂綿を細くちぎり、長さ10〜15センチメートルで幅3センチメートル程度の細長い布状にしたものを、口腔から咽頭にかけて複数本挿入する。図2は、口腔から咽頭にかけての人体の縦断面図である。図2に示すように、脱脂綿1を、口腔内21から咽頭24まで挿入し、口蓋垂22及び喉頭蓋23の間を通す。このようにできるだけ多数の脱脂綿1をきつく詰め込んで、咽頭24の例えば喉頭蓋23の付近を閉鎖する。これにより、食道や気管側から矢印A方向に出血した血液や腐敗臭が上ってくるのを封止している。また、口腔からと同様に、鼻腔からも、複数の脱脂綿1を矢印Bに沿って咽頭24まで達するように挿入する。なお、脱脂綿1は、口腔及び鼻腔の両方に挿入した方が好ましいが、一方のみで食道や胃腸側から出血や腐敗臭が上がってくるのを脱脂綿で封止できればそれでもよい。なお、詰め物としては脱脂綿を利用するのが好ましい。
【0023】
次に、遺体に湯灌を施す。湯灌では、遺体を仰向けに寝かせた状態でシェーバー等で顔剃りをした後、遺体の全身を清拭する。顔剃りの際は、顔表面を傷つけないように気をつける。遺体を傷つけると、血液の凝固作用が働かないため、出血が止まらなくなるおそれがあるからである。仰向けの状態で遺体を清拭した後、遺体を横臥させて背中を拭く。
【0024】
遺体の全身を清拭したら、次に、遺体に仏衣を着せる。上記の通り、遺体を横臥させた状態で、まず腰巻を当てる。そして、上衣を襟から合わせ、遺体を仰向けに戻した後、腰巻を巻いて縦縛りする。さらに、足袋を履かせ、宗派によっては頭陀袋、手甲、脚絆をまとわせて、髪を整える。その後、故人の親族に清拭していただく。
【0025】
次に、図3に示すように遺体を棺3の内部に納める。遺体は、図3に示すように仰向けにし、肘関節をまげて手を遺体の腹部上に配置する。そして、ドライアイス2を頭部31の両側に置く。また、胸部上に一本を横向きに置くと共に、腹部上に縦に一本置き、平面視で「T」字型になるようにドライアイス2を配置する。遺体の両手は、腹部上のドライアイス2の上に置く。両手には布等を巻きつけることで、ドライアイス2に直接触れないように保護することが好ましい。前腕33R及び33Lを挟む位置に置く。また、腰部32の両側にも、前腕33Rや33Lから一こぶし分ほど空けて置く。このように前腕から空けて置くのは、前腕の肘が凍り付いて動かしにくくなるのを防ぐためである。以上のようにドライアイス2を設置することで、遺体の腐敗が抑制される。
【0026】
以上、納棺の際の一連の工程を概略的に説明したが、遺体を納棺する準備工程としては、遺体の状態に応じて遺体の損傷を修復したり、遺体の損傷が進行するのを抑制したりする種々の処置を施すことが好ましい。以下、このような遺体の損傷を修復したり、遺体の損傷が進行するのを抑制したりするその他の工程について順に説明する。
【0027】
(点滴痕等がある場合)
遺体に点滴などによる注射の針穴が残っていることがあり、針穴から出血している場合がある。出血を放置すると棺に収容した際に棺内が血液で汚染されたり腐敗が進行しやすくなったりするおそれがある。そこで、縫合糸を用いて針穴を縫合して出血を止めることが好ましい。このとき、図4(a)の縫合糸4及び5のように、互いに縫合糸が交差するように針穴41の近傍を縫合することがよい。
【0028】
まず、図4(b)に示すように、縫合糸4を針穴41を跨ぐように皮膚表面42に刺し通し、縫合糸4の両端4aを結びつける。これにより、針穴41の周囲の皮膚が縛り付けられて針穴41が塞がれる。しかし、このように1回縫合するだけでは、縫合糸4が緩んでいたりして針穴41が完全に塞ぎ切れず、出血を完全に止められない。そこで、縫合糸4に対して交差するように縫合糸5を同様に縫い付ける。これにより、縫合糸4が緩んでいても縫合糸5によってよりきつく縫い付けられ、針穴41がより確実に塞がれる。その上に、絆創膏等を貼り付けると縫合跡が目立たなくてよい。
【0029】
(水疱ができている場合)
遺体を放置すると表皮下に水疱が生じることがある。このような水疱が破れると液体が漏れ出て細菌感染が生じやすくなるので、以下の処置を行うことが好ましい。まず、水疱ができていると水泡をやぶってつゆをだしてからに絆創膏(テープ部材)を貼る。そして、絆創膏の上から、図5に示すようにラップ部材6やラップ部材7を巻き付ける。ラップ部材6や7は、塩化ビニール樹脂などの極めて通気性が低い素材からなる帯状の部材である。このとき、ラップ部材6や7は、重複部分6aや7aが生じるように、少し重ねて巻く。そして、できるだけ皮膚や絆創膏との間に隙間ができないようにきつく巻き付けることが好ましい。腕に巻くときは手から脇に向かって巻き、脚に巻くときは足から脚の付け根に向かって巻いていく。ラップ部材6や7を巻きつけた後は、胴体であれば晒し布をラップ部材6の上から巻きつけ、腕部や脚部の場合は包帯をラップ部材の上から巻き付ける。このように、水疱ができた箇所はつゆをだしてからラップ部材を巻きつけることで、水疱の液体が漏れ出しにくく、皮膚感染しにくくなる。また、腐敗臭がもれにくく、腐敗も進みにくくなる。
【0030】
なお、ラップ部材の素材としては、晒し布や包帯に比べて極めて通気性の低いものであれば塩化ビニール樹脂以外からなるものであってもよい。例えば、ポリエステルやナイロン樹脂などからなるものであってもよいし、耐久性の高い紙製のものであってもよい。
【0031】
(顎が外れて口が開いている場合)
遺体の下顎が外れて口が開いている場合には以下の処置を行う。脱脂綿を細くちぎり、幅4センチメートル程度にしたものを複数枚用意し、そのちぎった脱脂綿を口腔から咽頭に向かって挿入していく。複数枚の脱脂綿をこのように詰めていくことによって、下顎の後方を下方向に圧迫する。このとき、図6(a)に示すように、下顎骨51が矢印Cに沿って下方に沈むように移動する。そして、さらに脱脂綿を詰めていくと、下顎窩53から前方へと外れていた下顎頭52が、矢印Dに沿って舌骨隆起54の下方へと移動する。下顎頭52が完全に舌骨隆起54を乗り越えると、図6(b)の矢印Eに沿って下顎頭52が下方から下顎窩53に嵌め込まれる。これにより、下顎が元の位置におさまり、口が閉まる。下顎が舌骨から外れて遺体の口が開いている場合、下顎を外部から押さえつけて口を閉じさせることは非常に困難である。このような場合、上記の処置によると、口腔から咽頭に向かって脱脂綿を詰めていくことで、容易に遺体の口を閉じさせることができる。
【0032】
(頭部に裂傷等があり出血している場合)
事故などにより頭部に裂傷等が生じ、出血している場合には、以下の処置を行う。まず、裂傷等の箇所の頭髪をそり、裂傷等を縫合する。そして、縫合の上から絆創膏を貼る。頭部の損傷が重症の場合には、出血や体脂肪が流れ出すのを防ぐため、塩化ビニール樹脂等の素材からなるラップ部材を頭部の損傷箇所に巻き付ける。そして、ラップ部材の上から包帯を巻きつけ、さらにその上に包帯を固定するためのネットを被せる。ネットは、頭部を保護するために一般に用いられるネット包袋等を使用してよい。
【0033】
(臓器等が飛び出している場合)
胴体の一部が切れて臓器等の内部器官がはみ出している場合には、その器官を体内に戻し、胴体の裂傷部を縫合して、その上から絆創膏を貼る。
【0034】
(火傷がある場合)
遺体に治癒していない火傷の跡がある場合には、そこから臭気や体液の漏れが生じるため、水疱が生じている場合と同様にラップ部材を胴体、腕、脚に巻きつけることによって臭気や体液の漏れを抑制する。また、ラップ部材を巻きつけた後は、胴体であればラップ部材の上から晒し布を、腕や脚の場合にはラップ部材の上から包帯を巻き付ける。
【0035】
(頭部等が欠損している場合)
事故などで頭部、腕部、脚部などが欠損している場合は、欠損部ごとに復元する。頭部が欠損している場合は、紙などを頭の大きさに丸めて図7に示す模型頭部8を作り、頭部の位置に配置する。そして、模型頭部8の周囲を脱脂綿9で包み、その上から頸部にかけて包帯を巻いていく。これにより、模型頭部8と頸部とを接続する。
【0036】
腕部が欠損している場合は、欠損部分を円筒形の紙筒などを用いた模型腕部10a及び10bなどで補う。前腕に相当する模型腕部10bは、上腕に相当する模型腕部10aから約90度に曲げ、遺体を納棺する際の腕の位置に合わせて配置する。そして、模型腕部10a及び10bを脱脂綿11a及び11bで包み、その上から腕部の付け根にかけて包帯を巻いていく。これにより、模型腕部10a及び10bを腕部の損失箇所に接続する。前腕のみ欠損している場合には模型腕部10bのみを用いるなど、欠損の状態に応じて適宜模型腕部の長さや形状を調整する。
【0037】
脚部が欠損している場合は、欠損部分を円筒形の紙筒などを用いた模型脚部12で補い、綿布13で覆う。また、足首から先に相当する部分は、脱脂綿13に脱脂綿14を、模型脚部12との間の角度が足首の角度に相当する約100度になるように継ぎ足す。そして、さらにその上から、つま先から股関節に向かって包帯を巻いていく。これにより、模型脚部12を損失箇所に接続する。
【0038】
(眼球が飛び出している場合)
遺体の眼球が眼窩から飛び出している場合には、図8(a)に示すように眼球61を眼窩62内へと戻す。このとき、眼球61の後方へと延びる筋肉63や視神経64を、眼窩62の後部Rへと適切に納めなければならない。例えば、図8(b)に示すように、筋肉63や視神経64が眼窩62の後部Rでちぢれて詰まったりすると、眼球61が眼窩62から前方にはみ出てしまい、遺体のまぶたを閉じることができなくなるからである。
【0039】
(舌をかみこんでいる場合)
遺体の口から舌が飛び出ており、その舌を上下の歯が強くかみこんでいる場合には、まず、下顎を動かして舌と歯との間に隙間を作る。そして、図9に示すように、ピンセット15の先に脱脂綿16を挟み、脱脂綿16を舌に当てて、舌が歯で傷つかないように舌を口の中へと押し戻す。このとき、上記の通り細長くちぎった脱脂綿1をピンセット15の先に挟むことで、舌を口の中へと納めた後、脱脂綿1をそのまま口腔内から咽頭へ向かって挿入してもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の納棺方法によると、遺体を納棺する前の準備工程として、遺体にラップ部材を巻きつけて腐敗の進行や腐敗臭を抑制したり、遺体からの出血を抑制したり、舌や眼球がはみ出ている場合にはこれらを元の位置に戻し、顎を舌骨に嵌めたりする。このように、準備工程において遺体の損傷を修復したり、遺体の損傷が進行するのを抑制したりする処置を取るので、遺族らが故人を見送る際、遺体を見たり遺体に触れたりしやすくなる。
【符号の説明】
【0041】
1 脱脂綿
2 ドライアイス
3 棺
4 縫合糸
5 縫合糸
6 ラップ部材
7 ラップ部材
8 模型頭部
10a 模型腕部
10b 模型腕部
12 模型脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺体の状態に応じて、遺体の損傷を修復すること、及び、遺体の損傷が進行するのを抑制することの少なくともいずれかを施す納棺準備工程と、
遺体を棺内に寝かせる工程と、
棺内にドライアイスを収容する工程とを備えていることを特徴とする納棺方法。
【請求項2】
前記納棺準備工程において、
遺体の少なくとも一部の周囲に通気性のない素材からなるラップ部材を巻き付けることを特徴とする請求項1に記載の納棺方法。
【請求項3】
遺体の表皮下に水疱が形成されている場合に、水疱のつゆをだしてからテープ部材を貼り付けた後に、さらにその上から前記ラップ部材を巻き付けることを特徴とする請求項2に記載の納棺方法。
【請求項4】
遺体の頭部に損傷がある場合に、その損傷部に前記ラップ部材またはテープ部材を巻き付けることを特徴とする請求項2又は3に記載の納棺方法。
【請求項5】
前記ラップ部材の上から晒し布又は包帯を巻くことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の納棺方法。
【請求項6】
遺体の口腔及び鼻腔の少なくともいずれかから咽頭に向かって詰め物を挿入して咽頭を封鎖することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の納棺方法。
【請求項7】
遺体の下顎が外れている場合に、遺体の口腔から咽頭に向かって詰め物を挿入することで、前記下顎を舌骨に嵌め込むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の納棺方法。
【請求項8】
前記納棺準備工程において、
遺体に形成された注射針穴の近傍を縫合糸が跨ぐように縫合した後に、前記縫合糸に交差するようにさらに縫合糸を縫いつけることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の納棺方法。
【請求項9】
前記納棺準備工程において、
遺体の胴体に形成された裂け目から内部の器官がはみ出ている場合に、当該はみ出た器官を内部に戻した後、裂け目を糸で縫合しテープ部材を貼り付けることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の納棺方法。
【請求項10】
前記納棺準備工程において、
遺体の頭部、腕部及び脚部の少なくともいずれかが損失している場合に、損失部分に応じた模型を損失箇所に接続して、その接続部に包帯を巻くことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の納棺方法。
【請求項11】
前記納棺準備工程において、
遺体の眼窩から眼球がはみ出している場合に、眼球の後方から眼窩の後部へと筋肉及び視神経が延びるように眼球を眼窩に嵌め込むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の納棺方法。
【請求項12】
前記納棺準備工程において、
遺体の上歯と下歯との間に舌が噛み込まれている場合に、下顎を下げて上歯と下歯との間に隙間を空け、先端に脱脂綿を挟んだピンセットを用いて舌を口腔内に押し込むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の納棺方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−114203(P2009−114203A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−21979(P2009−21979)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(508052754)十勝納棺協会合同会社 (2)
【Fターム(参考)】