説明

紙おむつ

【課題】着用者に対する安全性確保が容易なうえに、付加価値も有し、カラフルな発色が可能で、検知が瞬時に行えるなどの実用的な面も充実させることができるようにする。
【解決手段】尿を吸収する吸収体14の外側がバックシート13で被覆された紙おむつ11において、前記バックシート13の内側面に、電子供与性呈色化合物からなる無色の発色剤を有するインジケータ部15を広範囲にわたって塗布形成するとともに、該インジケータ部15の上に、前記尿によって溶けて前記インジケータ部15と接触することにより前記インジケータ部15を発色させる発色助剤16が備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インジケータ付きの紙おむつに関し、より詳しくは、安全性と実用性を兼ね備えた紙おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
紙おむつのインジケータとして、有色から別の色に変色するものがある(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
このインジケータは、紙おむつのバックシートの内側面に、水不溶性の青色インクからなる着色層を設け、この着色層の上に、水溶性の黄色インクからなる変色層を重ねた構成である。つまり、尿で濡れる前は着色層の青色と変色層の黄色の組み合わせで緑色に見えるが、尿で濡れると変色層の黄色が溶けて退色し、全体として青色となる。この緑色から青色への変色で、尿がされたことを知らせるというものである。尿で溶けた黄色インクは、バックシートに覆われている吸収体に吸収される。
【0004】
しかし、黄色インクのすべてが吸収体に速やかに吸収されるわけではなく、インジケータの周囲が滲んだようになって外観が汚くなる。このため、インジケータは、これまで、細い1本の線の形に形成されていた。
【0005】
ところが、このような細い線からなるインジケータでは、特に尿の量が少ないときや排尿位置とインジケータ位置がずれているときなど、変色が明瞭に判断できないことがある。またインジケータの範囲が狭いので、インジケータの変色からは尿量の判断もつきにくく、不必要な交換をしたりする無駄もあった。
【0006】
またインジケータとしては、変色するもののほか、下記特許文献2のように、発色するインクを用いることも提案されている。このインクは、インキバインダ、着色剤、pH調整剤、溶剤を含有するインクと顕色剤の組み合わせからなるもので、pH調整剤の作用で無色を呈する着色剤を、塩基性物質からなる顕色剤の働きで無色から有色に発色させるというものである。このインクからなるインジケータは、着色剤のラクトン環の開裂で色相を変化させるものであるので、インジケータが滲んで外観が汚くなることはない。
【0007】
しかしながら、塩基性物質には、アンモニア、炭化水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等が用いられるが、デリケートな嬰児への害がないように、その選択には十分な注意が必要である。また塩基性物質は、変色させる作用しか有しないうえに、同一の塩基性物質で多色の発色を期待することはできなかった。さらにインジケータの発色は瞬時になされるものではなく、数分を要するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭59−88405号公報
【特許文献2】特開2005−185643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、着用者に対する安全性確保は勿論のこと、付加価値も有し、カラフルな発色が可能で、検知が瞬時に行えるなどの実用的な面も充実させることを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段は、尿を吸収する吸収体の外側がバックシートで被覆された紙おむつであって、前記バックシートに、電子供与性呈色化合物からなる無色の発色剤を有するインジケータ部が備えられるとともに、該インジケータ部の近傍に、36℃±2℃の前記尿に含まれる水で賦活されて前記インジケータ部と接触することにより前記インジケータ部を発色させる発色助剤が備えられた紙おむつである。
【0011】
前記バックシートにインジケータ部が備えられるとは、バックシートに対してインジケータ部が直接形成されることのほか、別体に形成されてバックシートに固定されること、バックシートに沿った状態に保持されることを含む意味である。
【0012】
尿で発色助剤が濡れると、体温に近い温度の尿に含まれる水で発色助剤が溶けてインジケータ部に接触して、無色であったインジケータ部を発色させる。いわば尿に含まれる水を賦活剤としてインジケータ部を発色させる。無色を有色に発色させるので、排尿の有無を明確に判断できる。
【0013】
前記インジケータ部は前記バックシートの吸収体側の面に塗布又は印刷により形成されるとよいが、少量の水分が透過するバックシートの場合には、バックシートの反吸収体側の面に塗布又は印刷により形成することができ、また、別体のシート材に形成してバックシートに添付することで形成することもできる。前者の場合には、バックシートを透かしてインジケータを見るのではなく、直接視認することができるので、発色状態を明瞭に確認することができる。
【0014】
前記発色助剤はシート材に塗布、印刷又は含浸されたのち乾燥されるとともに、該シート材を前記インジケータ部と吸収体の間に介在されたものでも、前記インジケータ部に隣接して塗布又は印刷されたものでもよい。
【0015】
前記発色助剤は、発色助剤として粉末状のものを用いて、前記吸収体に混入させて備えることもできる。前記発色助剤として液状のものを用いた場合には、前記吸収体に含浸させたのち乾燥されて備えることもできる。発色助剤を備えるのに別部材を必要としないので、製造が容易で、コストを抑えられる。
【0016】
前記発色剤としては、ローダミンBラクタム、6・ジエチルアミノ・ベンゾ[a]フルオラン、3・ジエチルアミノ・ベンゾ[a]フルオラン、3・ジエチルアミノ・7,8・ベンゾフルオラン、9・ジエチルアミノ・ベンゾ[a]フルオラン、3・ジエチルアミノ・7・クロロフルオラン、3,3・ビス(1・n・ブチル・2・メチル・インドイル・3)フタレート、3,3・ビス(1・エチル・2・メチル・インドイル・3)フタレート、3,6・ビス(ジエチルアミノ)フルオラン・γ・(4´・ニトロ)アニリノラクタム、3・ジエチルアミノ・6・メチル・7・クロロフルオラン、2・ブロム・3・メチル・6・ジブチルアミノフルオラン、1,3・ジメチル・6・ジエチルアミノフルオラン、1,3,3・トリメチル・インドリノ・7´・クロロ・β・ナフトスピロピラン、3・シクロヘキシルアミノ・6・クロロフルオラン、2・(フェニルイミノエタンジリデン)・3,3・トリメチルインドリン、N・アセチルオーラミン、N・フェニルオーラミン、2・{2・[4・(ドデシルオキシ)・3・メトキシフェニル]・エテニル}キノリン、マラカイトグリーンラクトン、3・ジエチルアミノ・7・ジベンゾイルアミノフルオラン、3・ジエチルアミノ・7・クロロアニリノフルオラン、3,6,5´・トリ(ジエチルアミノ)フルオレン・9・スピロ・1´・(3´・イソベンゾフラン)、2・N,N・ジベンジルアミノ・6・ジエチルアミノフルオラン、3・(N,N・ジエチルアミノ)・7・(N,N・ジベンジルアミノ)フルオラン、3・[2,2・ビス(1・エチル・2・メチルインドイル・3)ビニル]・3・(4・ジエチルアミノフェニル)・フタリド、3,3・ビス(4・ジエチルアミノ・2・エトキシフェニル)・4・アザフタライド、クリスタルバイオレットラクトン、エチルロイコメチレンブルー、メトキシベンゾイルロイコメチレンブルー、ジ・β・ナフトスピロピラン、3,3・ビス(4・ジエチルアミノフェニル)・6・ジエチルアミノフタリド、3・(4・ジエチルアミノ・2・エトキシフェニル)・3・(1・エチル・2・メチルインドイル・3)・4・アザフタリド、3・(4・ジエチルアミノフェニル)・3・(1・エチル・2・メチルインドイル・3)フタリド、3・シクロヘキシルメチルアミノ・6・メチル・7・アニリノフルオラン、3・ジエチルアミノ・6・メチル・7・アニリノフルオラン、3・n・ジブチルアミノ・6・メチル・7・アニリノフルオラン、3・ジエチルアミノ・6・メチル・7・キリデノフルオラン、2・(2・クロロアニリノ)・6・ジエチルアミノフルオラン、2・(2・クロロアニリノ)・6・ジブチルアミノフルオラン、2・アニリノ・3・メチル・6・ジエチルアミノフルオラン、2・アニリノ・3・メチル・6・ジブチルアミノフルオラン、6・ジエチルアミノ・3・メチル・2・(3・トルイデノ)・フルオラン、6・ジエチルアミノ・3・メチル・2・(2,4・キリデノ)・フルオラン、6・ジエチルアミノ・3・メチル・2・(2,6・キリデノ)・フルオラン、商品名「S20」[山本化成(株)製]、商品名「Red8「[山本化成(株)製]、商品名「Red49」[山本化成(株)製]、商品名「Red520」[山田化学工業(株)製]、商品名「Red100」[保土谷化学工業(株)製]、商品名「NC−Red−4」[保土谷化学工業(株)製]、商品名「NC−Red−6」[保土谷化学工業(株)製]、商品名「PSD−HP」[日本曹達(株)製]、商品名「Orange100」[山田化学工業(株)製]、商品名「ロイコイエロー」[ロイコ社製]、商品名「Green300」[山田化学工業(株)製]、商品名「YK−ATP」[山本化成(株)製]、商品名「Green300」[保土谷化学工業(株)製]、商品名「Blue200」[保土谷化学工業(株)製]、商品名「CVL.sp」[保土谷化学工業(株)製]、商品名「S205」[山田化学工業(株)製]、商品名「BLACK100」[山田化学工業(株)製]のうちの少なくともいずれかを含むものを使用できる。これにより、少なくもと赤、橙、黄、緑、青、黒と、例えば紫などのこれらの混合色を発色させることができる。
【0017】
前記発色助剤には、ポリフェノール、カテキン、タンニン、五倍子、没食子酸、没食子酸プロピル、柿タンニン(柿渋)、茶カテキン(茶タンニン)、茶ポリフェノール、リンゴタンニン、ぶどうタンニン、しそタンニン、しその実タンニン、カカオタンニン、カカオポリフェノール、アスコルビン酸、塩酸チアミン、アジピン酸、クエン酸、グリコール酸、こはく酸、酒石酸、セバシン酸、ソルビン酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸のうちの少なくともいずれかを含むものを使用できる。ここで、前記ポリフェノールとは、様々な名称で呼ばれるカテキン、タンニン等のフラボノイドやフェノール酸などの意味であるである。いずれも人体に無害である上に、特にポリフェノールを用いた場合には、消臭等の効果も有する。またこれらを用いた場合には同一の発色助剤でも複数の発色が可能となる。
【0018】
前記インジケータ部には界面活性剤が添加されるとよい。より迅速な発色が可能になる。
【0019】
前記インジケータ部は、前記バックシートにおける前記吸収体と接する部分に全体的に形成されるとよい。少量の尿でも反応し、排尿位置とインジケータ部の位置がずれていても反応する上に、外観による尿量の推定も可能になる。
【0020】
また前記インジケータ部は、図形、模様又は文字のうちの少なくとも一つで形成されるとよい。発色時に現れる図形等によって、着用者や介助者に対して面白さを演出することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、無色から有色への発色によって排尿を知らせるので、外観による判断が容易である。しかも、呈色反応を起こさせる発色助剤として、排尿時の尿の温度で呈色反応を迅速に行うことを可能とし、かつ人体に無害なものを使用できるので、着用者に対する安全性確保は容易である。また、その発色助剤にポリフェノールのような消臭効果を有するものを使用すれば、尿などの消臭が期待できる上に、同一の発色助剤で発色する多色のインジケータを得ることも、排尿による瞬時の発色も可能で、実用性の高い紙おむつを得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】紙おむつの外側面を示す概略平面図。
【図2】紙おむつの断面構造を示す概略断面図。
【図3】紙おむつの他の断面構造を示す概略断面図。
【図4】紙おむつの他の断面構造を示す概略断面図。
【図5】紙おむつの他の断面構造を示す概略断面図。
【図6】作用状態を示す紙おむつの外側面を示す概略平面図。
【図7】他の例に係る紙おむつの外側面を示す概略平面図。
【図8】他の例に係る紙おむつの外側面を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、紙おむつ11の外側面を示す展開図であり、図2はその断面構造を示す概略構成図である。
【0024】
これらの図に示すように、紙おむつ11は、透水性のトップシート12と、非透水性のバックシート13との間に吸収体14を介在する構造である。つまり、尿(水)を吸収する前記吸収体14の外側がバックシート13で被覆されている。バックシート13は光透過性を有する。またバックシート13は、蒸れないようにするため、水分子は通過しないが蒸気は通過する微細な穴を無数に有する構造である。
【0025】
このバックシート13に、インジケータ部15が備えられ、インジケータ部15の近傍には発色助剤16が備えられている。
【0026】
前記インジケータ部15は、電子供与性呈色化合物からなる無色の発色剤を有するもので、前記発色助剤が、前記吸収体14に吸収される液体、すなわち尿、より具体的には36℃前後の温度の尿によって溶けて前記インジケータ部15と接触することにより前記インジケータ部15を発色させるものである。
【0027】
インジケータ部15は、前記発色剤を含有したインクをバックシート13の前記吸収体14側の面に適宜の手段で塗布して形成される。インジケータ部15の形成は、バックシート13における前記吸収体14と直接または間接的に接する部分である吸収体領域13aに、全体的に行われる。
【0028】
図1の例では、インジケータ部15は、縦なが長方形をなす前記吸収体領域13aに、隙間を隔てて平行に並ぶ直線状をなす複数本のインジケータ担体15aで構成される。インジケータ担体15aの太さや隙間、本数は適宜設定される。
【0029】
インジケータ部を構成するインクは、無色であるのでインジケータ部15を目視することはできない。このため図示においては、便宜上、破線で表している。このインクは、様々な色の前記発色剤と溶剤と界面活性剤を混合して得られる。前記のように複数本の線状のインジケータ担体15aからなるインジケータ部15の場合には、インジケータ担体15aごとに色を変えると、カラフルな発色状態が得られるのでよい。
【0030】
インジケータ部15は、バックシート13に対して直接塗布形成するほか、図3に示したように、例えば吸水性の適宜のシート材17に塗布して、このシート材17をバックシート13に添付して形成することもできる。シート材17におけるインク塗布面(インジケータ部15形成面)をバックシート13の吸収体14側の面に当てて添付する。添付は、バックシート13に接着して行っても、吸収体14に対して固定して行っても、吸収体の固定によって間接的に保持して行ってもよい。
【0031】
前記発色助剤16は、前記インジケータ部15とセットになるように紙おむつに備えられる。必ずしもインジケータ部15と密着している必要はないが、反応の即応性のためにはなるべく近くに備えられるが好ましい。
【0032】
図2の例では、発色助剤16は、シート材18に塗布(含浸)させて、このシート材18をインジケータ部15と吸収体14の間に介在させて備えられている(図2参照)。つまり、発色助剤16は溶剤によって液状に調製され、クレープ紙等の適宜の前記シート材18に含浸されたのち乾燥されて、発色助剤シートとされている。
【0033】
このほか、発色助剤16は、図4に示したように、バックシート13に塗布形成されたインジケータ部15(インジケータ担体15a)に隣接して塗布形成されることで備えることもでききる。
【0034】
図5に示したように、適宜のシート材19にインジケータ部15と発色助剤16を隣接して塗布して、このシート材19のインジケータ部15をバックシート13に当てて保持してもよい。図示例では、発色助剤16をシート材19のインジケータ部15と同一面に塗布形成したが、反対側の面に形成してもよい。
【0035】
また、図示は省略するが、前記吸収体14に発色助剤16を含浸させて乾燥させたものを発色剤付き吸収体として備えることも、前記吸収体14に粉末状の発色助剤16を混入して保持させて備えることもできる。
【0036】
前記のようにバックシート13は、蒸れないようにするために微細な穴を無数に有しているが、インクの溶剤として、エタノールとIPAだけを使用すると、バックシート13の微細な穴が広がって、バックシート13の吸収体14側の面に塗布したインクが外側面に突き抜ける性質がある。このとき、水分子も若干通る。
【0037】
一方、インクの溶剤として、エタノールとIPAに加えて、酢酸エチル、酢酸メチルのいずれかを添加すると、バックシートの微細な穴が広がることはなく、インクが突き抜けない。
【0038】
バックシート13はこのような性質を有するので、インクの溶剤としてエタノールとIPAだけを使用する場合には、図示はしないが、前記インジケータ部15は、バックシート13の外側面に形成することも可能である。
【0039】
前記発色剤16には、例えば次のようなものを使用できる。
【0040】
赤色に発色するものを表1に示す。
【0041】
【表1】

橙色に発色するものを表2に示す。
【0042】
【表2】

黄色に発色するものを表3に示す。
【0043】
【表3】

緑色に発色するものを表4に示す。
【0044】
【表4】

青色に発色するものを表5に示す。
【0045】
【表5】

黒色に発色するものを表6に示す。
【0046】
【表6】

また、赤色に発色するもののうち商品名で特定されるものを表7に示す。
【0047】
【表7】

橙色に発色するもののうち商品名で特定されるものを表8に示す。
【0048】
【表8】

黄色に発色するもののうち商品名で特定されるものを表9に示す。
【0049】
【表9】

緑色に発色するもののうち商品名で特定されるものを表10に示す。
【0050】
【表10】

青色に発色するもののうち商品名で特定されるものを表11に示す。
【0051】
【表11】

黒色に発色するもののうち商品名で特定されるものを表12に示す。
【0052】
【表12】

前記溶剤としては、例えばエタノール、メタノール、IPA、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピン、酢酸ノルマルブチル、酢酸セロソルブ、酢酸イソブチル、DMF(ジメチルホルムアミド)、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)、トルエン、キシレン、ノルマルプロパノール、イソブタノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ノルマルブタノール、シクロヘキサン、ブチルセルソルブ、MIBK(メチルイソブチルケトン)などを使用することができ、これらを単独でまたは複数組み合わせて用いる。
【0053】
安全性の観点からは、エタノール、IPA、DMF、酢酸エチル、酢酸メチルを使用するのが好ましい。
【0054】
前記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系又は両性界面活性剤があるが、電子供与性呈色化合物や発色助剤等の影響を受けにくいノニオン界面活性剤を用いるのが望ましい。
【0055】
その例を表13に示す。
【0056】
【表13】

前記発色助剤としては、安全性の観点から、表14に示したようなものを使用できる。
【0057】
【表14】

前記のような構成の紙おむつの効果を確認するため、次のようなインジケータテストインク(表15参照)と発色助剤テストインク(表16参照)を調製し、実験(実験1〜実験9)を行った。
【0058】
【表15】

【0059】
【表16】

前記インジケータ部を構成するインジケータテストインクは、インクが吸収体14側の面から裏(外側面)に抜けるAタイプと、裏に抜けないB、Cタイプを調製した。また、A、Bタイプは界面活性剤を含有しないが、Cタイプは界面活性剤を含有する。
【0060】
Aタイプのインジケータテストインクは溶剤として、エタノールを28重量部、IPAを50重量部、DMFを20重量部とし、残りの2重量部を発色剤とするものである。
【0061】
Bタイプのインジケータテストインクは、酢酸エチルを25重量部、IPAを53重量部、DMFを20重量部、残りの2重量部を発色剤とする。
【0062】
Cタイプのインジケータテストインクは、酢酸エチルを25重量部、IPAを50重量部、DMFを20重量部、界面活性剤を3重量部、残りの2重量部を発色剤とするものである。
【0063】
A、B、Cいずれのタイプのインジケータテストインクも、発色剤として、赤、橙、緑、青、黒を含有したもの5種類を得た。このとき、赤としては前記発色剤のうち2番目の「6・ジエチルアミノ・ベンゾ[a]フルオラン」(表1参照)を、橙としては12番目の「1,3・ジメチル・6・ジエチルアミノフルオラン」(表2参照)を、緑としては26番目の「3,3・ビス(4・ジエチルアミノ・2・エトキシフェニル)・4・アザフタライド」(表4参照)を、青としては31番目の「3,3・ビス(4・ジエチルアミノフェニル)・6・ジエチルアミノフタリド」(表5参照)を、黒として34番目の「3・シクロヘキシルメチルアミノ・6・メチル・7・アニリノフルオラン」(表6参照)を用いた。
【0064】
前記発色助剤を構成する発色助剤テストインクは、界面活性剤を含むDタイプと、含まないEタイプの2種類を得た。
【0065】
Dタイプの発色助剤テストインクは、エタノール及びIPAを90重量部、発色助剤を7重量部、界面活性剤を3重量部含むものである。界面活性剤として、前記10種類の界面活性剤を用いて10種類の発色助剤テストインクを調製した。
【0066】
Eタイプの発色助剤テストインクは、エタノール及びIPAを90重量部、発色助剤を10重量部含むものである。
【0067】
D、Eいずれの発色助剤テストインクも、発色助剤として前記発色助剤のうち3番目の、ポリフェノールの一種としての「没食子酸プロピル」を用いた。
【0068】
(実験1)
実験1は界面活性剤の意義を確認するためのもので、Aタイプのインジケータテストインクを塗布してインジケータ部を形成したバックシートと、Bタイプのインジケータテストインクを塗布してインジケータ部を形成したバックシートに、それぞれ、Eタイプの発色助剤テストインクをクレープ紙に塗布して乾燥させた発色助剤テスト紙を重ねて、36℃の水をかけて、直後に、鮮明な発色を得られるか否か判定した。
【0069】
この結果、表17のような結果が得られた。表において、「早い」とは、数秒足らずで即座に十分な発色をすることの意味で、「良い」は1分以内、「遅い」とは、数分以上(おおむね4〜5分)かかって発色をすることの意味である。また「濃い」とは目視により判断し、明らかに十分な発色が得られる状態であり、「良い」とは必要な発色が得られる状態、「薄い」は、「良い」よりは劣るが発色が容易に確認できる状態、「ごく薄い」は、十分な発色が得られない状態を意味する。以下、同じである。
【0070】
【表17】

この結果、A、Bいずれのインジケータテストインクのどの色においても、「薄い」もしくは「なし」という結果となり、鮮明な発色を得るためには、何らかの添加剤があるほうがよいということが確認できた。
【0071】
(実験2)
前記添加剤としての界面活性剤の効果を確認するための実験で、界面活性剤をインジケータテストインクに含有させて発色助剤に含ませない場合の効果を判断するために行った。
【0072】
実験は、Cタイプのインジケータテストインクを塗布してインジケータ部を形成したバックシートに、Eタイプの発色助剤テストインクをクレープ紙に塗布して乾燥させた発色助剤テスト紙を重ねて、36℃の水をかけて、直後に、鮮明な発色を得られるか否か判定した。発色助剤テスト紙は、界面活性剤の異なるもの10種類を作成し、それぞれの違いも判断した。
【0073】
この結果、表18のような結果が得られた。界面活性剤と色の種類によって異なるが、発色結果は異なるものの、「なし」はなかった。つまり、すべての場合において発色が認められた。
【0074】
【表18】

(実験3)
前記添加剤としての界面活性剤の効果を確認するための実験で、界面活性剤を発色助剤に含有させてインジケータテストインクに含ませない場合の効果を判断するために行った。
【0075】
実験は、Aタイプのインジケータテストインクを塗布してインジケータ部を形成したバックシートと、Bタイプのインジケータテストインクを塗布してインジケータ部を形成したバックシートに、Dタイプの発色助剤テストインクをクレープ紙に塗布して乾燥させた発色助剤テスト紙を重ねて、36℃の水をかけて、直後に、鮮明な発色を得られるか否か判定した。発色助剤テスト紙は、界面活性剤の異なるもの10種類を作成し、それぞれの違いも判断した。
【0076】
この結果、表19のような結果が得られた。
【0077】
【表19】

発色がなされないわけではないが、ごく薄くしか発色しない。
【0078】
これら実験1〜実験3の結果から、即座に鮮明な発色を得るためには界面活性剤の添加があるほうがよく、より好ましくは、その界面活性剤はインジケータテストインクに含まれているほうがよいことが判った。つまり、インジケータテストインクとしては前記のCタイプ(表15参照)を用い、発色助剤テストインクとしては前記のEタイプ(表16参照)を用いるのが望ましい。
【0079】
(実験4)
実験4では、発色剤と発色助剤の違いによる発色状況を確認するための実験で、インジケータテストインクとして、酢酸エチルが25重量部、IPAが43重量部、DMFが20重量部、界面活性剤が10重量部、残りの2重量部が発色剤となるように調製したものを使用した。前記界面活性剤としては、前記ノニオン系界面活性剤の2番目の「ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、商品名「エマルゲンA60 花王(株)製」」(表13参照)を用いた。このインジケータテストインクを「C−1」と称する。
【0080】
発色剤としては、前記61種類の発色剤(表1〜表12参照)をそれぞれ単独で混合して、61種類のインジケータテストインクを得た。
【0081】
それぞれのインジケータテストインクをバックシートに塗布して乾燥し、インジケータ部を備えた61種類のバックシートを作成した。
【0082】
発色助剤テストインクは、エタノールを35重量部、IPAを45重量部、発色助剤を20重量部とする組成に調製した。このうち発色助剤は、前記の15種類(表14参照)をそれぞれ単独で混合して、15種類の発色助剤テストインクを得た。この発色助剤テストインクを「E−1」と称する。
【0083】
それぞれの発色助剤テストインクをクレープ紙に塗布して乾燥し、15種類の発色助剤テスト紙を作成した。
【0084】
実験は、61種類のバックシートのインジケータ部に、15種類の発色助剤テスト紙を重ねて、上から36℃の水をかけて、直後に、鮮明な発色を得られるか否か判定した。
【0085】
この結果、表20〜表25のような結果が得られた。
【0086】
【表20】

【0087】
【表21】

【0088】
【表22】

【0089】
【表23】

【0090】
【表24】

【0091】
【表25】

ばらつきはあるものの、全体としてみると、インジケータテストインクC−1において発色剤が赤では7番目の「3,3・ビス(1・n・ブチル・2・メチル・インドイル・3)フタレート」(表1参照)を用いると比較的発色助剤の種類にかかわりなく良好な呈色反応が得られ、橙では12番目の「1,3・ジメチル・6・ジエチルアミノフルオラン」(表2参照)を、緑では26番目の「3,3・ビス(4・ジエチルアミノ・2・エトキシフェニル)・4・アザフタライド」(表4参照)を、青では32番目の「3・(4・ジエチルアミノ・2・エトキシフェニル)・3・(1・エチル・2・メチルインドイル・3)・4・アザフタリド」(表5参照)を用いるのが好ましいことが判る。
【0092】
また、発色助剤テストインクにおいては発色助剤が、1番目の「タンニン酸」と、2番目の「没食子酸」と、3番目の「没食子酸プロピル」と、7番目の「クエン酸」と、10番目の「酒石酸」と、15番目の「リンゴ酸」(表14参照)を用いると、比較的広い範囲の発色剤を良好に発色させることができることがわかる。つまり、単一の発色助剤で複数色の発色剤を発色させることができる。
【0093】
また、前記タンニン酸や没食子酸、没食子酸プロピルはポリフェノールであるので、排泄物の臭いを消す効果が期待できることが判る。抗菌作用も有する。さらに、発色助剤は溶けて作用するものであるが、ポリフェノールは自然由来である故に、安全である。
【0094】
なお、予備的に、36℃よりも高温の約80℃の水を用いて同様の実験を行ったところ、表20〜表25では、「×」であった箇所でも良好な発色が確認できた。
【0095】
(実験5)
実験5では、実験4で好結果を示した赤、橙、緑、青の発色剤を用いたインジケータテストインクC−1と、同じく実験4で好結果を示した発色助剤テストインクE−1(1番目の「タンニン酸」、2番目の「没食子酸」、3番目の「没食子酸プロピル」、7番目の「クエン酸」、10番目の「酒石酸」、15番目の「リンゴ酸」(表14参照))を用いて、インジケータテストインクの塗布をバックシートに対して、塗布の一例としてのグラビア印刷(版深20μm)により行ってインジケータ部を形成した。また、混色が鮮明に発色するかどうかを確認するため、発色剤の赤と青を混ぜたインジケータテストインクC−1も調製した。
【0096】
このバックシートの5種類のインジケータ部に、前記と同様に、前記6種類の発色助剤テスト紙を重ねて、上から36℃の水をかけて、直後に、鮮明な発色を得られるか否か判定した。
【0097】
この結果、表26のような結果が得られた。
【0098】
【表26】

グラビア印刷でもインジケータ部が形成できる上に、赤と青の混色の紫を含めて、ほとんどのインジケータテストインクC−1において良好な発色状態が得られることが確認できた。
【0099】
(実験6)
実験6では、発色助剤テスト紙ではなくて、発色助剤を吸収させた綿でも良好な発色状態が得られるか否かを確認するための実験で、実験5の場合と同様に、実験4で好結果を示した赤、橙、緑、青の発色剤を用いたインジケータテストインクC−1と、同じく実験4で好結果を示した発色助剤テストインクE−1(1番目の「タンニン酸」、2番目の「没食子酸」、3番目の「没食子酸プロピル」、7番目の「クエン酸」、10番目の「酒石酸」、15番目の「リンゴ酸」(表14参照))を用いて、インジケータテストインクの塗布をバックシートに対してグラビア印刷により行ってインジケータ部を形成した。発色剤の赤と青を混ぜたインジケータテストインクC−1からなるインジケータ部も得た。
【0100】
発色助剤は吸水綿に吸収(含浸)させて乾燥する。発色助剤が吸収された吸水綿を、前記6種類の発色助剤テスト紙に重ねて、上から36℃の水をかけて、直後に、鮮明な発色を得られるか否か判定した。
【0101】
この結果、表27のような結果が得られた。
【0102】
【表27】

実験5の結果より劣る部分はあるが、全体として同様の発色状態が得られた。
【0103】
あわせて、粉末状の発色助剤を吸収体に混入して同様の実験も行ったが、結果は表27と同様であった。
【0104】
この結果から、発色助剤を直接混入しても設けても効果があることが分かる。
【0105】
(実験7)
実験7では、版深さと液量による発色状態の違いを確認するとともに、実際の尿による呈色反応をみる実験を行った。インジケータテストインクC−1には、実験5と同様に、赤、橙、緑、青、紫を用いた。バックシートに対するグラビア印刷は、版深を20μm、18μm、16μm、14μmの4種類の版を用いて行い、厚さのことなるインジケータ部を得た。インジケータ部は、図1に示したように、前記吸収体領域に対して全体的に形成した。
【0106】
発色助剤には、実験4で好結果を示したもののうち1番目の「タンニン酸」と3番目の「没食子酸プロピル」(表14参照)を混合したものを調製して発色助剤テスト紙を得た。このとき、発色助剤テストインクの組成は、エタノールが35重量部、IPAが45重量部、タンニン酸が10重量部、没食子酸プロピルが10重量部である。
【0107】
実験は、各色4種類のバックシートのインジケータ部に前記発色助剤テスト紙を重ねて、市販の紙おむつのバックシート部分に装着し、上から36℃の尿をかけて、直後に、鮮明な発色を得られるか否か判定した。かける尿の量は、30cc、50cc、70cc、90ccの4種類とした。
【0108】
この結果、表28に示したような結果が得られた。
【0109】
【表28】

すべての場合において鮮明な発色が得られた。発色状態を図示すると図6に示したような状態である。図6において発色部分にあらわした模様は、色の違いを示している。
【0110】
発色後そのまま放置して観察したところ、1日経過後も2日経過後も、発色した各色は褪せることはなく、鮮明な発色状態が持続していた。さらに、注いだ尿の量が多いほど、発色の範囲が広かった。
【0111】
この結果から、インジケータ部の厚さにかかわりなく良好な発色状態が得られること、実際の尿によっても迅速で明瞭な呈色反応が起こること、複数種類の発色助剤を混合すると効果的であること、一度発色すると容易には退色しないこと、尿量が少なくても発色すること、尿量が応じた発色範囲となることが分かる。
【0112】
(実験8)
実験8では、グラビア印刷に代えて塗布の一例としてのフレキソ印刷でも、効果が得られるか否かを確認する実験をした。
【0113】
実験は、実験7と同様に行った。相違点は、インジケータ部の厚さが一定であることだけである。
【0114】
この結果、表29に示したような結果が得られた。
【0115】
【表29】

フレキソ印刷でもインジケータ部を形成できることが確認でき、すべての場合において鮮明な発色が得られ、発色に問題はないことが分かる。
【0116】
(実験9)
実験9では、インクが裏に抜けるタイプのインジケータテストインクと、インクが裏に抜けないタイプのインジケータインクとの発色状況の違いを示す実験を行った。
【0117】
インジケータテストインキは、表30のようなものを用いた。
【0118】
【表30】

インクが裏に抜けるタイプのインジケータテストインクとして、前記Aタイプのインジケータテストインク(表15参照)と同様に、エタノール、IPA、DMFの溶剤を含有するインクを調整した。前記の実験1〜実験3の結果から界面活性剤も含んでいる。
【0119】
組成はエタノールが25重量部、IPAが43重量部、DMFが20重量部、界面活性剤が10重量部、発色剤が2重量部である。発色剤には、実験4で好結果を得られた緑と青を用いた。このインジケータテストインクを「A−2」と称する。
【0120】
インクが裏に抜けないタイプのインジケータテストインクとして、前記B、Cタイプのインジケータテストインク(表15参照)と同様に、バックシートの微細孔を拡大する溶剤を混合したものを使用した。この場合も、界面活性剤を含んでいる。
【0121】
前記Bタイプに類似するものとして、酢酸メチルが25重量部、IPAが43重量部、DMFが20重量部、界面活性剤が10重量部で、残る2重量部が発色剤のインジケータテストインクを得た。このインジケータテストインクを「B−2」と称する。
【0122】
前記Cタイプに類似するものとして、酢酸エチルが25重量部、IPAが43重量部、DMFが20重量部、界面活性剤が10重量部で、残る2重量部が発色剤のインジケータテストインクを得た。このインジケータテストインクを「C−2」と称する。
【0123】
インジケータテストインクA−2,B−2では、緑と青の2色のインクを得たが、インジケータテストインクC−2では、緑と青のほかに赤と橙の4色のインクを得た。
【0124】
実験は、インジケータテストインクA−2,B−2,C−2をそれぞれバックシートに塗布してインジケータ部を作成した。インジケータ部は、前記吸収体領域に対して全体的に形成した。
【0125】
発色助剤には、実験4で好結果を示したもののうち1番目の「タンニン酸」と3番目の「没食子酸プロピル」(表14参照)を混合したものを調製して発色助剤テスト紙を得た。このとき、発色助剤テストインクの組成は、エタノールが35重量部、IPAが45重量部、タンニン酸が10重量部、没食子酸プロピルが10重量部である。
【0126】
実験は、各インク各色のバックシートのインジケータ部に前記発色助剤テスト紙を重ねて、市販の紙おむつのバックシート部分に装着し、上から36℃の水をかけて、直後に、鮮明な発色を得られるか否か判定した。
【0127】
その結果、すべてのインジケータテストインクA−2,B−2,C−2からなるインジケータ部において、良好な発色が確認できた。特に、インジケータテストインクA−2からなるインジケータ部では、発色が鮮明で、発色部分の輪郭が明瞭に見えた。しかし、水が若干透過した。
【0128】
一方、インジケータテストインクB−2,C−2からなるインジケータ部では、水の透過はないものの、発色がバックシートを透かして見えるので、使用に際してまったく支障はないものの、美麗さの点でインジケータテストインクA−2からなるインジケータ部よりもやや劣るように思われた。
【0129】
この結果から、発色状態の明瞭さを求めるのならばインジケータ部を構成するインクに酢酸エチル又は酢酸メチルを混入しなければよく、漏れないことに主眼を置くならば、インジケータ部を構成するインクに酢酸エチル又は酢酸メチルを混入すればよいことが判る。
【0130】
以上のような構成の紙おむつによれば、排泄された尿により発色助剤が溶けて、溶けた発色助剤がインジケータ部に接触して呈色反応により無色であったインジケータ部が即座に発色する。そして、発色状態はすぐに消えることはないので、誤認を防止することもできる。
【0131】
無色から有色になるので、排尿があったか否かの判定をはっきりとすることができる。しかもインジケータ部に滲みはなく鮮明で美麗な発色状態が得られるので、広範囲にインジケータ部を設けることができる。また、尿量が僅かでも反応するので、現状の認識がより的確に行え、適切は判断を促せる。
【0132】
広範囲にインジケータ部を備えることが可能であるため、排尿時に現れるデザインとして、インジケータ部を設けることができ、これまでにない斬新なインジケータ部を得られる。しかも、発色範囲よって尿量を推定できるので、適切な対応が可能で、無駄の防止も図れる。
【0133】
また、呈色反応のために溶ける発色助剤には、ポリフェノール等の多くの安全な物質を使用することができるので、選択は容易であり、安全性確保に資する。しかも、それらは単独、又は複数種類を組み合わせて使用され、単一の発色助剤で複数色の発色剤の呈色反応を可能にするので、これまで単色でしか得られなかったインジケータ機能を、多色にすることができる。このため、見て楽しい紙おむつとすることができ、着用者にとってはもちろんのこと、介助者にとっても苦のない作業とすることができる。
【0134】
図7、図8は、見て楽しく、尿量の推定も可能なインジケータ部を備えた紙おむつの例を示す展開状態の平面図である。図7の紙おむつは、インジケータ部に適宜のキャラクタの図形を表した例である。図形は、赤、黄、黒など多色で描くことができる。
【0135】
図8の紙おむつは、インジケータ部に模様と文字をあらわした例である。この場合も、多色で描くことができる。
【0136】
以上、この発明を実施するための一形態を説明したが、この発明は前記の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0137】
例えば、インジケータ部は多色ではなく単色で発色するようにしてもよい。
【0138】
またインジケータ部は、必ずしも広範囲に備えなくてもよく、吸収体領域を超えて備えてもよい。
【0139】
さらにインジケータ部は、発色したときに、排尿前に目視できる模様と組み合わさって特定の図形等になるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0140】
11…紙おむつ
13…バックシート
13a…吸収体領域
14…吸収体
15…インジケータ部
16…発色助剤
18…シート材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿を吸収する吸収体の外側がバックシートで被覆された紙おむつであって、
前記バックシートに、電子供与性呈色化合物からなる無色の発色剤を有するインジケータ部が備えられるとともに、
該インジケータ部の近傍に、36℃±2℃の前記尿に含まれる水で賦活されて前記インジケータ部と接触することにより前記インジケータ部を発色させる発色助剤が備えられた
紙おむつ。
【請求項2】
前記インジケータ部が前記バックシートの吸収体側の面に塗布又は印刷により形成された
請求項1に記載の紙おむつ。
【請求項3】
前記発色助剤がシート材に塗布、印刷又は含浸されたのち乾燥されるとともに、該シート材が前記インジケータ部と吸収体の間に介在された
請求項1または請求項2に記載の紙おむつ。
【請求項4】
前記発色助剤が前記インジケータ部に隣接して塗布又は印刷された
請求項1または請求項2に記載の紙おむつ。
【請求項5】
前記発色助剤として粉末状のものが用いられ、前記吸収体に混入された
請求項1または請求項2に記載の紙おむつ。
【請求項6】
前記発色助剤として液状のものが用いられ、前記吸収体に含浸されたのち乾燥された
請求項1または請求項2に記載の紙おむつ。
【請求項7】
前記発色剤が、ローダミンBラクタム、6・ジエチルアミノ・ベンゾ[a]フルオラン、3・ジエチルアミノ・ベンゾ[a]フルオラン、3・ジエチルアミノ・7,8・ベンゾフルオラン、9・ジエチルアミノ・ベンゾ[a]フルオラン、3・ジエチルアミノ・7・クロロフルオラン、3,3・ビス(1・n・ブチル・2・メチル・インドイル・3)フタレート、3,3・ビス(1・エチル・2・メチル・インドイル・3)フタレート、3,6・ビス(ジエチルアミノ)フルオラン・γ・(4´・ニトロ)アニリノラクタム、3・ジエチルアミノ・6・メチル・7・クロロフルオラン、2・ブロム・3・メチル・6・ジブチルアミノフルオラン、1,3・ジメチル・6・ジエチルアミノフルオラン、1,3,3・トリメチル・インドリノ・7´・クロロ・β・ナフトスピロピラン、3・シクロヘキシルアミノ・6・クロロフルオラン、2・(フェニルイミノエタンジリデン)・3,3・トリメチルインドリン、N・アセチルオーラミン、N・フェニルオーラミン、2・{2・[4・(ドデシルオキシ)・3・メトキシフェニル]・エテニル}キノリン、マラカイトグリーンラクトン、3・ジエチルアミノ・7・ジベンゾイルアミノフルオラン、3・ジエチルアミノ・7・クロロアニリノフルオラン、3,6,5´・トリ(ジエチルアミノ)フルオレン・9・スピロ・1´・(3´・イソベンゾフラン)、2・N,N・ジベンジルアミノ・6・ジエチルアミノフルオラン、3・(N,N・ジエチルアミノ)・7・(N,N・ジベンジルアミノ)フルオラン、3・[2,2・ビス(1・エチル・2・メチルインドイル・3)ビニル]・3・(4・ジエチルアミノフェニル)・フタリド、3,3・ビス(4・ジエチルアミノ・2・エトキシフェニル)・4・アザフタライド、クリスタルバイオレットラクトン、エチルロイコメチレンブルー、メトキシベンゾイルロイコメチレンブルー、ジ・β・ナフトスピロピラン、3,3・ビス(4・ジエチルアミノフェニル)・6・ジエチルアミノフタリド、3・(4・ジエチルアミノ・2・エトキシフェニル)・3・(1・エチル・2・メチルインドイル・3)・4・アザフタリド、3・(4・ジエチルアミノフェニル)・3・(1・エチル・2・メチルインドイル・3)フタリド、3・シクロヘキシルメチルアミノ・6・メチル・7・アニリノフルオラン、3・ジエチルアミノ・6・メチル・7・アニリノフルオラン、3・n・ジブチルアミノ・6・メチル・7・アニリノフルオラン、3・ジエチルアミノ・6・メチル・7・キリデノフルオラン、2・(2・クロロアニリノ)・6・ジエチルアミノフルオラン、2・(2・クロロアニリノ)・6・ジブチルアミノフルオラン、2・アニリノ・3・メチル・6・ジエチルアミノフルオラン、2・アニリノ・3・メチル・6・ジブチルアミノフルオラン、6・ジエチルアミノ・3・メチル・2・(3・トルイデノ)・フルオラン、6・ジエチルアミノ・3・メチル・2・(2,4・キリデノ)・フルオラン、6・ジエチルアミノ・3・メチル・2・(2,6・キリデノ)・フルオラン、商品名「S20」[山本化成(株)製]、商品名「Red8「[山本化成(株)製]、商品名「Red49」[山本化成(株)製]、商品名「Red520」[山田化学工業(株)製]、商品名「Red100」[保土谷化学工業(株)製]、商品名「NC−Red−4」[保土谷化学工業(株)製]、商品名「NC−Red−6」[保土谷化学工業(株)製]、商品名「PSD−HP」[日本曹達(株)製]、商品名「Orange100」[山田化学工業(株)製]、商品名「ロイコイエロー」[ロイコ社製]、商品名「Green300」[山田化学工業(株)製]、商品名「YK−ATP」[山本化成(株)製]、商品名「Green300」[保土谷化学工業(株)製]、商品名「Blue200」[保土谷化学工業(株)製]、商品名「CVL.sp」[保土谷化学工業(株)製]、商品名「S205」[山田化学工業(株)製]、商品名「BLACK100」[山田化学工業(株)製]のうちの少なくともいずれかを含むものである
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の紙おむつ。
【請求項8】
前記発色助剤が、ポリフェノール、カテキン、タンニン、五倍子、没食子酸、没食子酸プロピル、柿タンニン(柿渋)、茶カテキン(茶タンニン)、茶ポリフェノール、リンゴタンニン、ぶどうタンニン、しそタンニン、しその実タンニン、カカオタンニン、カカオポリフェノール、アスコルビン酸、塩酸チアミン、アジピン酸、クエン酸、グリコール酸、こはく酸、酒石酸、セバシン酸、ソルビン酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸のうちの少なくともいずれかを含むものである
請求項1から請求項7のうちのいずれか一項に記載の紙おむつ。
【請求項9】
前記インジケータ部に界面活性剤が添加された
請求項1から請求項8のうちのいずれか一項に記載の紙おむつ。
【請求項10】
前記インジケータ部が、前記バックシートにおける前記吸収体と接する部分に全体的に形成された
請求項1から請求項9のうちのいずれか一項に記載の紙おむつ。
【請求項11】
前記インジケータ部が図形、模様又は文字のうちの少なくとも一つで形成された
請求項1から請求項10のうちのいずれか一項に記載の紙おむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−170482(P2012−170482A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32202(P2011−32202)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(591210552)
【Fターム(参考)】