説明

紙ナプキンホルダー

【課題】 必要に応じて紙ナプキンを1枚ずつ確実に取出すことが可能である紙ナプキンホルダーを提供する。
【課題手段】 折り畳まれた紙ナプキンを所要枚数収納し得る紙ナプキンホルダー本体1と、該紙ナプキンホルダー本体の前壁面内側に配設され、前記折り畳まれた紙ナプキンが上方に取り出される際に直接接触している紙ナプキン1葉の上方取り出し運動を許容するための上下二段の送り歯車機構3と、該上下二段の送り歯車機構側に向けて前記紙ナプキンの集合体を前記上下二段の送り歯車機構側に適宜圧力で押圧するために前記紙ナプキンホルダーの後壁内面に配設された押圧部材5と、を備えた紙ナプキンホルダーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方形、三角形、扇形、等に折り畳まれた紙ナプキンを収納する紙ナプキンホルダーに関し、特に紙ナプキンを一枚ずつ取り出すことが容易となる紙ナプキンホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
食堂、レストラン、喫茶店等名称の如何を問わず、各種飲食場所のテーブル、カウンター、座卓等には紙ナプキンが配置されていることが多い。このような紙ナプキンは、比較的吸湿性の良い薄紙を、四つ折り、六つ折り等として上述のような各種外形となるように多重に折り畳んだものが広く利用される。このようにそれぞれ所望形状に折り畳まれ、紙ナプキンの主要枚数を紙ナプキンホルダーに収納し、利用者が順次取り出しながら使用していく。
【0003】
従来の紙ナプキンホルダーにあっては、利用者が紙ナプキンを1枚取り出そうとするのに、密接している両三枚またはそれ以上が取り出されてしまうことも多かった。特に、紙ナプキンがホルダーの最大収容枚数に近い状態に収納された状態では、必要以上の枚数が取り出されてしまう傾向が強かった。一旦、外部に取り出されてしまった紙ナプキンをホルダーに戻すことは利用者ならびに店舗関係者双方にとって煩雑である上、衛生上も好ましくないことから、そのまま廃棄されてしまうことも多く、省資源の観点からも好ましくない。
【0004】
このような紙ナプキンの取り出しを容易にするための先行文献として、特許文献1は、略U字形断面となるように形成された紙ナプキンホルダー1の内側中央底部の両端に自由穴を設け、この自由穴にコ字状金具の両開放端を貫通させて先端に抜け止めナットを装着し、そしてこのコ字状金具の水平部にウェイトローラー2の中心穴を貫通させている。コ字状金具の両開放端は紙ナプキンホルダー底部の自由穴を貫通しているためウェイトローラー2は自由に上下動する。したがって、紙ナプキンはウェイトローラー2の自重によって常にホルダー1の底部に向けて押圧されており、紙ナプキンは散乱することもない。しかし、このような構成において、最上部に位置する紙ナプキンを取り出す際、ウェイトローラーと紙ナプキンとは転がり摩擦であるのに対して、直ぐ下に位置する紙ナプキン同士は滑り摩擦であるため、依然として同時に引き出されてしまう懸念が残っている。
【0005】
特許文献2は、用紙収納棚1に多数枚積み重ねられている用紙の、二枚重ね取り出し防止機構を開示するものである。例えば、複写機、ファクシミリ装置、印刷機等における用紙は、仮に複数枚取り出されるとそれぞれが無駄となる可能性が高く、さらにかかる異常取り出しによる運転障害を復旧する間装置停止により作業効率が低下する。そのため、正確に用紙1枚のみを取り出して次工程に送る必要があり、極めて正確な紙分離・取り出し機構が必要となる。かかる用途における用紙は平滑度も高く、用途に応じて厚さや紙質の異なる用紙が使用される可能性もあることから、特許文献2にあっては、二段の紙分離機構を設け、確実な紙分離を行なうことを開示している。しかし、このような複雑な構成では駆動機構が必要となるため高価であり、さらに柔軟で紙質が全く異なる薄紙を多重に折り畳んだ紙ナプキンにそのまま利用することはできない。
【特許文献1】特開2004−344619
【特許文献2】特開平6−115742
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、飲食場所等のテーブル上に配置される紙ナプキンホルダーにおいて、必要に応じて紙ナプキンを1枚ずつ確実に取り出すことが可能である紙ナプキンホルダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、折り畳まれた紙ナプキンを所要枚数収納し得る紙ナプキンホルダー本体1と、該紙ナプキンホルダー本体の前壁面内側に配設され、前記折り畳まれた紙ナプキンが上方に取り出される際に直接接触している紙ナプキン1葉の上方取り出し運動を許容するための上下二段の送り歯車機構3と、該上下二段の送り歯車機構側に向けて前記紙ナプキンの集合体を適宜圧力で押圧するために前記紙ナプキンホルダー本体の後壁内面に配設された押圧部材5と、からなる紙ナプキンホルダーであることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、折り畳まれた紙ナプキンを所要枚数収納し得る紙ナプキンホルダー本体1と、該紙ナプキンホルダー本体の前壁面内側に配設され、前記折り畳まれた紙ナプキンが上方に取り出される際に直接接触している紙ナプキン1葉の上方取り出し運動を許容するための上下二段の送り歯車機構3と、前記紙ナプキンの集合体側に向けて前記上下二段の送り歯車機構を適宜圧力で押圧するために該送り歯車機構に取付けられた押圧部材15と、からなる紙ナプキンホルダーであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記上下二段の送り歯車機構3は、それぞれ同方向に回転させるように遊動歯車3G3を介して連繋され、利用者によって上方に取り出される第1の紙ナプキンの下端が下方歯車3Lを通過した後、上方の歯車3Uを通過するまでの間も回転が継続し、該下方歯車の回転によって次に取り出される第2の紙ナプキンの上端が上方に突出するように若干引き上げられる、紙ナプキンホルダーであることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記押圧部材5を前記上下二段の送り歯車機構側に押圧するために、前記紙ナプキンホルダー本体1の後壁内面と該押圧部材との間に板ばね又はコイルばねからなる弾性部材6が介在せしめられる紙ナプキンホルダーであることを特徴とする。また、請求項5に記載の発明は、前記紙ナプキンホルダー本体1の前壁側と該押圧部材5との間に引っ張りばねが配設され、該引っ張りばねの張力により紙ナプキン集合体を前記上下二段の送り歯車機構側に押圧する紙ナプキンホルダーであることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記押圧部材5、15が板ばね又はコイルばねのいずれかである紙ナプキンホルダーであることを特徴とする。請求項7に記載の発明は、前記紙ナプキンホルダー本体1の両側壁に、平行に形成された2条の前下がり斜め溝24と、該前下がり斜め溝に係合する複数の突起部25を備えると共に質量を増大せしめた可動押圧部材20と、を配設し、該押圧部材20の自重により発生する前方下向き運動に伴う押圧力によって紙ナプキン集合体を前記上下二段の送り歯車機構3側へ押圧するように構成された紙ナプキンホルダーであることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、次に取り出される紙ナプキンが、先に上方に取り出される紙ナプキンと一緒に前記上下二段の送り歯車機構3に引き込まれることを防止するために、紙ナプキンホルダー底部両側面に前記紙ナプキン集合体の側面下端部を押圧する紙ナプキン押え部31を備える紙ナプキンホルダーであることを特徴とする。なお、紙ナプキン押え部31の先端面には、紙ナプキン集合体の側面との摩擦を高め滑りを防止するために,刻みを入れる或いは粒状物を塗布すると都合がよい。また、請求項9に記載の発明は、前記紙ナプキンの集合体を紙ナプキンホルダーに収納する際に、該紙ナプキン集合体の左右端を積層方向に直線状に揃えるために、紙ナプキンホルダー底部前面に紙ナプキン案内部材32を備える紙ナプキンホルダーであることを特徴とする。この場合、紙ナプキン案内部材に代えて、紙ナプキン集合体の底部前面の適宜部位をコイルばねにより押圧してもよい。
【0013】
請求項10に記載の発明は、前記紙ナプキンホルダー本体1が、前記上下二段の送り歯車機構3を収容保持する歯車機構ホルダー部1Gと、紙ナプキンの集合体を収納する紙ナプキンホルダー部1Nとに分割して構成され、該紙ナプキンホルダー部1Nが紙ナプキンホルダー本体に対して着脱可能である紙ナプキンホルダーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る紙ナプキンホルダーは、ホルダー本体の前壁面内側に上下二段の送り歯車機構と、収納されている紙ナプキンをホルダー本体後壁面内側から前記上下二段の送り歯車機構側に圧接するための押圧部材とを備えている。また、本発明に係る紙ナプキンホルダーは、ホルダー本体の前壁面内側に上下二段の送り歯車機構と、収納されている紙ナプキンを前記上下二段の送り歯車機構により圧接するための押圧部材とを備えている。前記上下二段の送り歯車機構は、接触する紙ナプキンが利用者によって上方に引き抜かれる際に回転して当該第1の紙ナプキンのみの送り出し動作を助長するように機能する。そのため、紙ナプキン単葉のみが効率よく取り出され、過剰枚数の取り出し後における紙ナプキンの無駄や再収納するための時間的無駄が排除され、飲食業現場における衛生確保の点からも好ましい効果が得られる。
【0015】
また、本発明に係る紙ナプキンホルダーは、必要に応じて紙ナプキンを1枚ずつ取り出すことを確実に実行するために、紙ナプキンホルダー底部両側面に前記紙ナプキン集合体の側面下端部を押圧する紙ナプキン押え部、並びに紙ナプキンホルダー底部前面に紙ナプキン案内部材を備えている。これにより、紙ナプキンホルダーに収納される全ての紙ナプキンに対して、次に取り出される紙ナプキンが、先に上方に取り出される紙ナプキンと一緒に前記上下二段の送り歯車機構3に引き込まれることを阻止できる。
【0016】
本発明に係る紙ナプキンホルダーでは、前記上下二段の送り歯車機構の各歯車が、それぞれ同方向に回転するように遊動歯車を介して歯車連繋されているため、利用者によって上方に取り出される第1の紙ナプキンの下端が下方歯車を通過した後、上方の歯車を通過するまでの間も回転が継続し、該下方歯車の回転によって次に取り出される第2の紙ナプキンの上端が、例えば利用者が指先で摘み易い寸法、例えば1cm程度突出するように、若干引き上げられる。
【0017】
この場合の引き上げ量をどの程度にするかは、上下二段の歯車軸の離隔距離に依存する。したがって、引き続く紙ナプキン取り出しにあたってはこのように若干引き上げられている紙ナプキンの上端を摘んで取り出せば、最終段階ではその下側に収納されている第2の紙ナプキンの上端が若干突出することになる。なお、かかる構成にあっては、当初紙ナプキン集合体を収納する際に、上下二段の送り歯車機構に接している第1の紙ナプキン1葉の上端を若干引き出した状態でセットし、当初から取り出し容易とするよう配慮することが運用上望ましい。
【0018】
さらに、本発明に係る紙ナプキンホルダーは、前記紙ナプキンホルダー本体が、前記上下二段の送り歯車機構を収容保持する歯車機構ホルダー部と紙ナプキンの集合体を収納する紙ナプキンホルダー部1Nとに分割され、該紙ナプキンホルダー部が紙ナプキンホルダー本体に対して着脱可能であるように構成される。これにより、紙ナプキン販売者側は紙ナプキンホルダー部を紙ナプキンを収納するカートリッジとして使用でき、飲食場所等で使用する場合に紙ナプキンホルダー本体に組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図を参照しつつ本発明に係る紙ナプキンホルダーを開示する。図1は、本発明に係る紙ナプキンホルダーの右半部前面外板を切り欠いた正面図(A)、および側面内部を模式的に示す側面図(B)である。ここで、紙ナプキンホルダー本体1は正面および側面共に上下同寸法の直方体として基台2上に取り付けられたものを開示しているが、本体下方の基台2に取り付ける側の寸法を狭くすること、上端切り口を彎曲させること、などデザイン上および使い勝手の向上を図るなどの理由による形状の変形は任意である。また、材質もステンレス、銅、メッキを施した鉄板、アルミその他金属の合金、硬質プラスチック、木質材等いずれであってもよい。
【0020】
図1(A)、(B)から明らかなように、紙ナプキンホルダー本体1の前面板内側には、回転軸の左右両側に先鋭な歯先を有する一対の歯車を設け、さらに上下一対の回転軸同士が遊動歯車により同方向に回転するように歯車連繋させた上下二段の送り歯車機構3U、Lが配設される。この上下二段の送り歯車機構3については、図2と対応せしめて後述する。なお、このような上下二段の送り歯車機構3を除いた部分には紙ナプキンを滑動し易くするための案内板4が設けられている。
【0021】
この上下二段の送り歯車機構3の各歯車3Uおよび3Lは、図(B)の側面図から明らかなように尖鋭な歯部を有しており、この歯部先端が直近にある、すなわちハッチングを施した第1の紙ナプキンに若干食い込むように構成されている。そのため、紙ナプキンが矢印のように上方に取り出される際に連動して回転せしめられる。この際、引き出し過程にある紙ナプキンの前面は歯車の回転に伴ってナプキンホルダー本体内部の案内板4から僅かに離隔された状態で取り出される結果、第1の紙ナプキンと案内板4との接触圧力が減ずることになり、一葉の紙ナプキンのみが取り出し出し易くなる。なお、案内板4はホルダー本体1の前壁面裏との間に形成される空間に上下二段の送り歯車機構3を内包するためのカバーとしても機能している。
【0022】
ホルダー本体1の背面側内部に配設された押圧板5は弾性体6によって前方に押圧されて、支点7を中心として両頭矢印8のように紙ナプキン集合体PNを前方へ押圧する。その結果、二点鎖線で示された紙ナプキン集合体PNを、前方に位置する上下二段の送り歯車機構3側に向けて押圧し続ける。なお、押圧部材としての押圧板5は、弾性体6を必ずしも介在させる必要はなく、弾性体6を介在させない場合は、それ自体板ばね等で構成されており、紙ナプキン集合体PNを歯車機構3側に向けて押圧し続けるものである。この場合、支点7は必要なく押圧板5の一方の端部はホルダー本体1の後壁面又は底面に固着される。
【0023】
したがって、収納されている紙ナプキンがなくなるまで、上下二段の送り歯車機構3に接触しているから、上述のような紙ナプキン取り出し動作がスムーズに行われる。この場合の弾性体6としては、折り曲げられた板ばね、コイルばね等により常用の手法によりホルダー本体1の後壁から前方へ押し出すように作用せしめればよい。さらに、コイルばねをホルダー本体1の前壁側に配設し、引っ張りばねとすることも可能である。
【0024】
図2は、本発明に係る紙ナプキンホルダーの他の実施例を示す正面図(A)および側面内部を模式的に示す側面図(B)である。この実施例における紙ナプキンホルダー本体1と上下二段の送り歯車機構3は図1に示す構成例と同様であるが、この構成例における歯車機構3には、一方の端部がホルダー本体1の底面又は前壁面に固着され、矢印18のように反撥する押圧部材15が取付けられている。したがって、図1に示す構成例では紙ナプキン集合体PNを歯車機構3側に向けて押圧するのに対して、この構成例では歯車機構3を前記紙ナプキン集合体PN側に向けて押圧することになる。なお、紙ナプキンホルダー本体1の形状、材質等、上下二段の送り歯車機構3の概略については前述したのでここでは省略する。なお、押圧部材15としては板ばねの他に前壁面に固着されるコイルばね等を使用することができる。
【0025】
本発明においては、図2に示されるように、紙ナプキンホルダー底部両側面に前記紙ナプキン集合体PNの側面下端部を押圧する紙ナプキン押え部31を備えている。これにより、次に取り出される紙ナプキンが、先に上方に取り出される紙ナプキンと一緒に前記上下二段の送り歯車機構3に引き込まれることを防止することができる。なお、紙ナプキン集合体の側面との摩擦を高め滑りを防止して2枚以上の紙ナプキンが歯車機構3に引き込まれることを阻止するために,紙ナプキン押え部31の先端面に刻みを入れる或いは粒状物を塗布すると都合がよい。ここではサンドペーパーを貼り付けている。
【0026】
また、本発明においては、図2に示されるように、紙ナプキンホルダー底部前面に紙ナプキン案内部材32を備えている。紙ナプキン案内部材32は、矢印方向に反撥する板ばねにより構成され、前記紙ナプキン集合体PNを紙ナプキンホルダーに収納する際に紙ナプキン集合体PNが整列されて正確に収納されるように作用するもので、該紙ナプキン集合体PNの左右端(側面)を積層方向に直線状に揃えることにより、収納される全ての紙ナプキン側面が前記紙ナプキン押え部31に当接し、該押え部31が紙ナプキンホルダーに収納されるいずれの紙ナプキンに対しても作用する。したがって、紙ナプキン案内部材32と紙ナプキン押え部31との相乗効果によって紙ナプキンホルダーに収納される全ての紙ナプキンに対して、次に取り出される紙ナプキンが、先に上方に取り出される紙ナプキンと一緒に前記上下二段の送り歯車機構3に引き込まれることを確実に阻止することができる。なお、板ばね紙ナプキン案内部材32に代えて、紙ナプキン集合体PNの底部前面の適宜部位をコイルばねにより押圧してもよい。
【0027】
本発明においては、図1、2、4に示されるように、紙ナプキンホルダー本体1を、上下二段の送り歯車機構3を収容保持する歯車機構ホルダー部1Gと、紙ナプキンの集合体を収納する紙ナプキンホルダー部1Nとに分割して構成することができ、紙ナプキンホルダー部1Nが紙ナプキンホルダー本体に対して着脱可能に構成することができる。このように構成することにより、紙ナプキン販売者側は紙ナプキンホルダー部INを紙ナプキンを収納するカートリッジとして使用でき、飲食場所等における使用者の紙ナプキンの収納作業を省略して紙ナプキンホルダー本体に紙ナプキンホルダー部INを組み立てる作業で済む。
【0028】
図3は、上述したような上下二段の送り歯車機構3の構成例を示すものであり、紙ナプキン集合体PNに接触するための尖鋭な歯部を備えた上方歯車3U及び下方歯車3Lを含み、対象物である紙ナプキンとの接触面を図示したものである。紙ナプキンに接触する上下二段の歯車3U、3U’、3L、3L’は、それぞれ軸3Sに固着されている。上下の軸3Sには同径の連結歯車3G1および3G2が固着されており、それぞれの歯車と係合する遊動歯車3G3を介して歯車連繋されている。したがって、紙ナプキンと接触する上下二段の歯車3U、3U’、3L、3L’は同一方向に、等速で回転することになる。その結果、利用者が紙ナプキンを上方に取り出すに当たって、当初は、紙ナプキンは上下二段の歯車3U、3U’、3L、3L’の双方に接触している。
【0029】
このような紙ナプキンの取り出し動作が進行して第1の紙ナプキンの下端が、下方歯車3L、3L’から外れると、それぞれの尖鋭な歯先は直ぐ奥側に位置する第2の紙ナプキンに接触することになり、第1の紙ナプキン取り出し動作に従って、第2の紙ナプキンが若干引き上げることになる。
【0030】
このような第2の紙ナプキンに対する下側歯車3L、3L’による引き上げ動作はしばらく継続し、第1の紙ナプキンの下端が上側歯車3U、3U’から離脱した時点で終了する。このような一連の動作により、第2の紙ナプキンの上端が次の取り出し動作の便宜のため、紙ナプキンホルダーから若干上昇した状態となる。この場合、第2の紙ナプキンの上昇寸法は、上下二段の送り歯車機構3における上下歯車3U、3U’、3L、3L’間の間隔、したがって両回転軸3S同士の離隔距離によって決定される。
【0031】
図4は、二点鎖線で略示した紙ナプキン集合体PNを上下二段の送り歯車機構3側に押圧する構造として押圧板20の自重または押圧板20に付加された重錘22の合成重量を利用する実施例を示したものである。この実施例では、ホルダー本体1の両側壁またはそれぞれの内部に形成された部材に対して、背面側から表側にかけて2条の前下がり斜め溝24U、24Lを平行となるように形成しておく。押圧板20の両側端面には、前下がり斜め溝14U、14Lにそれぞれ嵌合する突起25U、25Lを設ける。
【0032】
なお、これらの突起25U、25Lは、紙ナプキン集合体PNを前方へ押圧するものであるから、押圧板20の自重または押圧板20に付加された重錘22の合成重量によって矢印26のように、前側下方に向けて容易に滑動しなければならない。そのため、必要であればこれら突起25U、25Lにはそれぞれ回転可能なスリーブまたは小ローラーによって覆っておくと都合が良い。かかる構成によれば経年劣化の懸念のある弾性体は不要であり、長期間にわたり同等の機能を継続的に発揮することが期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る紙ナプキンホルダーは、主として食堂、レストラン、その他同類の飲食業店舗のテーブル、カウンター、座卓等に載置されて、不特定多数の利用者が取り扱うものである。手指の機能が完全ではない場合や小児の利用等も考慮し、紙ナプキンを無駄なく取り出せるように配慮したものである。健常者であっても条件如何では多数の紙ナプキンを同時に引き出してしまい、その後の取り扱いに煩雑さが伴い、さらにはそのまま再収納することは衛生上の見地から好ましくない状況に至ることも考えられ、実用的価値は大きい。
【0034】
本発明に係る紙ナプキンホルダーは、直ぐに取り出される第1の紙ナプキンの上端を摘み易いように若干上昇させた状態としておき、引き続く取り出し過程において順次1葉ずつ上昇させておくことができる。この場合、一旦上昇せしめられた第1の紙ナプキンは上下二段の送り歯車機構と、歯車機構と背面の押圧板とによって適宜圧力で押圧されており、紙ナプキンホルダーの通常の移動やテーブル等の拭き掃除等にともなう振動などによって下降してしまうことはない。
【0035】
そのため、常時取り出し候補第1である第1の紙ナプキンは摘み易い状態を維持しており、さらに多数枚が同時に取り出される不都合を防止する効果が得られる。したがって、紙ナプキンの無駄を排除し、かつ一旦取り出されてしまった紙ナプキンが不特定多数の利用者によってホルダー内に再収納されるような不都合を回避することができるため、飲食業における衛生向上の観点からも多大の貢献が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る紙ナプキンホルダーの構造を示す正面図(A)並びに側面内部を模式的に示す側面図(B)である。
【図2】本発明に係る紙ナプキンホルダーの他の実施例を示す正面図(A)並びに側面内部を模式的に示す側面図(B)である。
【図3】本発明に係る紙ナプキンホルダーの上下二段の送り歯車機構の構成例を示す裏面図である。
【図4】本発明に係る紙ナプキンホルダーの背面側内部に配設される押圧板の他の構成例並びに動作源を説明する側断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 紙ナプキンホルダー本体
1G 歯車機構ホルダー部
1N 紙ナプキンホルダー部
2 基台
3 上下二段の送り歯車機構
3U、3U’ 上方歯車
3L、3L’ 下方歯車
3G1、3G2 尖鋭歯付き歯車
3G3 遊動歯車
3S 軸
4 案内板
5、15 押圧部材(押圧板)
6 弾性部材(弾性体)
7 支点
8 押圧運動方向
20 可動押圧部材(押圧板)
22 重錘
24U、24L 前下がり斜め溝
25U、25L 突起
31 紙ナプキン押え部
32 紙ナプキン案内部材
PN 紙ナプキン集合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まれた紙ナプキンを所要枚数収納し得る紙ナプキンホルダー本体と、該紙ナプキンホルダー本体の前壁面内側に配設され、前記折り畳まれた紙ナプキンが上方に取り出される際に直接接触している紙ナプキン1葉の上方取り出し運動を許容するための上下二段の送り歯車機構と、上下二段の送り歯車機構側に向けて前記紙ナプキンの集合体を適宜圧力で押圧するために前記紙ナプキンホルダー本体の後壁内面に配設された押圧部材と、からなることを特徴とする紙ナプキンホルダー。
【請求項2】
折り畳まれた紙ナプキンを所要枚数収納し得る紙ナプキンホルダー本体と、該紙ナプキンホルダー本体の前壁面内側に配設され、前記折り畳まれた紙ナプキンが上方に取り出される際に直接接触している紙ナプキン1葉の上方取り出し運動を許容するための上下二段の送り歯車機構と、前記紙ナプキンの集合体側に向けて前記上下二段の送り歯車機構を適宜圧力で押圧するために該送り歯車機構に取付けられた押圧部材と、からなることを特徴とする紙ナプキンホルダー。
【請求項3】
前記上下二段の送り歯車機構は、それぞれ同方向に回転させるように遊動歯車を介して連繋され、利用者によって上方に取り出される第1の紙ナプキンの下端が下方歯車を通過した後、上方の歯車を通過するまでの間も回転が継続し、該下方歯車の回転によって次に取り出される第2の紙ナプキンの上端が上方に突出するように若干引き上げられることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の紙ナプキンホルダー。
【請求項4】
前記押圧部材を前記上下二段の送り歯車機構側に押圧するために、前記紙ナプキンホルダー本体の後壁内面と該押圧部材との間に板ばね又はコイルばねからなる弾性部材が介在せしめられることを特徴とする、請求項1または3のいずれかに記載の紙ナプキンホルダー。
【請求項5】
前記紙ナプキンホルダー本体の前壁側と該押圧部材との間に引っ張りばねが配設され、該引っ張りばねの張力により紙ナプキン集合体を前記上下二段の送り歯車機構側に押圧することを特徴とする、請求項1または3のいずれかに記載の紙ナプキンホルダー。
【請求項6】
前記押圧部材が板ばね又はコイルばねのいずれかであることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかにに記載の紙ナプキンホルダー。
【請求項7】
前記紙ナプキンホルダー本体の両側壁に平行に形成された2条の前下がり斜め溝と、該前下がり斜め溝に係合する複数の突起部を備えると共に質量を増大せしめた可動押圧部材と、を配設し、該押圧部材の自重により発生する前方下向き運動に伴う押圧力によって紙ナプキン集合体を前記上下二段の送り歯車機構側へ押圧するように構成したことを特徴とする、請求項1または3のいずれかに記載の紙ナプキンホルダー。
【請求項8】
次に取り出される紙ナプキンが、先に上方に取り出される紙ナプキンと一緒に前記上下二段の送り歯車機構に引き込まれることを防止するために、紙ナプキンホルダー底部両側面に前記紙ナプキン集合体の側面下端部を押圧する紙ナプキン押え部を備えることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の紙ナプキンホルダー。
【請求項9】
前記紙ナプキンの集合体を紙ナプキンホルダーに収納する際に、該紙ナプキン集合体の左右端を積層方向に直線状に揃えるために、紙ナプキンホルダー底部前面に紙ナプキン案内部材を備えることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の紙ナプキンホルダー。
【請求項10】
前記紙ナプキンホルダー本体が、前記上下二段の送り歯車機構を収容保持する歯車機構ホルダー部1Gと、紙ナプキンの集合体を収納する紙ナプキンホルダー部1Nとに分割して構成され、該紙ナプキンホルダー部1Nが紙ナプキンホルダー本体に対して着脱可能であることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれかに記載の紙ナプキンホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−290775(P2008−290775A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203007(P2007−203007)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(599132627)
【Fターム(参考)】