説明

紙分離搬送装置及び紙分離搬送方法

【課題】積層された紙のずれを防いで搬送することができる紙分離搬送装置を提供する。
【解決手段】紙分離搬送装置Pは、台1上に積層された紙2の上方に位置する紙から所定枚数に分離した紙21を前記台上から送り出す送り出し部材3と、この送り出し部材3により送り出される所定枚数に分離した紙21を保持して移行させる保持移行部材6と、この保持移行部材6により保持して移行された所定枚数に分離した紙21を載せて搬送する搬送部4と、搬送部4と積層された紙2との間に位置し、所定枚数に分離した紙21の上から電界をかける一方の電極部71と、この一方の電極部71に対向すると共に、所定枚数に分離した紙21の下面に当接する位置に設けられた他方の電極部72と、一方の電極部71と他方の電極部72で電界をかけられた所定枚数に分離した紙21を搬送部4により搬送するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙分離搬送装置及び紙分離搬送方法に係り、特に、積層された紙のずれを防いで搬送することができる紙分離搬送装置及び紙分離搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、平版包装にあっては、積層された紙から所定枚数に分離した紙を前記積層された紙からベルトコンベアへ移行するようにしている(特許文献1参照)。
そして、積層された紙のずれをなくすように、ベルトコンベアと押さえパットで積層された紙を挟持するようにしている。
【特許文献1】特公昭63−51934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の平版包装にあっては、ベルトコンベアと押さえパットで積層された紙を挟持するようにしているため、ベルトコンベアと押さえパットで積層された紙を挟持している間は、支障はないが、押さえパットが積層された紙から離間した後の搬送部(例えば、ベルトコンベア)において、搬送部(例えば、ベルトコンベア)の急停止等による速度変化により積層された紙がずれるという問題点があった。
本発明は、上記問題点を除去するようにした紙分離搬送装置及び紙分離搬送方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の紙分離搬送装置は、台上に積層された紙の上方に位置する紙から所定枚数に分離した紙を前記台上から送り出す送り出し部材と、この送り出し部材により送り出される前記所定枚数に分離した紙を保持して移行させる保持移行部材と、この保持移行部材により保持して移行された前記所定枚数に分離した紙を載せて搬送する搬送部と、前記所定枚数に分離した紙の上方であって、平面視、前記搬送部と前記積層された紙との間に位置し、送り出される前記所定枚数に分離した紙の上から電界をかける一方の電極部と、この一方の電極部に対向すると共に、前記所定枚数に分離した紙の下面に当接する位置に設けられた他方の電極部と、前記一方の電極部と前記他方の電極部で電界をかけられた前記所定枚数に分離した紙を前記搬送部により搬送するものである。
【0005】
また、請求項2記載の紙分離搬送装置は、台上に積層された紙の上方に位置する紙から送り出される所定枚数に分離した紙を保持して移行させる保持移行部材と、この保持移行部材により保持して移行された前記所定枚数に分離した紙を載せて搬送する搬送部と、前記所定枚数に分離した紙の上方であって、平面視、前記搬送部と前記積層された紙との間に位置し、送り出される前記所定枚数に分離した紙の上から電界をかける一方の電極部と、この一方の電極部に対向すると共に、前記所定枚数に分離した紙の下面に当接する位置に設けられた他方の電極部と、前記一方の電極部と前記他方の電極部で電界をかけられた前記所定枚数に分離した紙を前記搬送部により搬送するものである。
【0006】
また、請求項3記載の紙分離搬送方法は、台上に積層された紙の上方に位置する紙から所定枚数に分離した紙を前記台上から送り出す送り出し工程と、この送り出し工程で送り出される前記所定枚数に分離した紙を保持して搬送部へ移行させる移行工程と、この移行工程の途中において、送り出される前記所定枚数に分離した紙の上から電界をかける電界工程と、この電界工程で電界をかけられた前記所定枚数に分離した紙を搬送する搬送工程とを備えているものである。
【0007】
また、請求項4記載の紙分離搬送方法は、台上に積層された紙の上方に位置する紙から送り出される所定枚数に分離した紙を保持して搬送部へ移行させる移行工程と、この移行工程の途中において、送り出される前記所定枚数に分離した紙の上から電界をかける電界工程と、この電界工程で電界をかけられた前記所定枚数に分離した紙を搬送する搬送工程とを備えているものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の紙分離搬送装置によれば、所定枚数に分離した紙は、一方の電極部と他方の電極部で電界をかけられるため、所定枚数に分離した紙中の当接する相対向する面の紙は、電気的に互いに異なる極性により密着し、搬送部において、所定枚数に分離した紙のずれを防いで搬送することができる。
【0009】
また、請求項2記載の紙分離搬送装置によれば、所定枚数に分離した紙は、一方の電極部と他方の電極部で電界をかけられるため、所定枚数に分離した紙中の当接する相対向する面の紙は、電気的に互いに異なる極性により密着し、搬送部において、所定枚数に分離した紙のずれを防いで搬送することができる。
【0010】
また、請求項3記載の紙分離搬送方法によれば、所定枚数に分離した紙は、電界工程において、一方の電極部と他方の電極部で電界をかけられるため、所定枚数に分離した紙中の当接する相対向する面の紙は、電気的に互いに異なる極性により密着し、搬送部において、所定枚数に分離した紙のずれを防いで搬送することができる。
【0011】
また、請求項4記載の紙分離搬送方法によれば、所定枚数に分離した紙は、電界工程において、一方の電極部と他方の電極部で電界をかけられるため、所定枚数に分離した紙中の当接する相対向する面の紙は、電気的に互いに異なる極性により密着し、搬送部において、所定枚数に分離した紙のずれを防いで搬送することができる。
【実施例】
【0012】
本発明の一実施例の紙分離搬送装置及び紙分離搬送方法を図面を参照して説明する。
図1乃至図6において、Pは紙分離搬送装置で、紙分離搬送装置Pは、台1上に積層された紙2の上方に位置する紙から所定枚数(例えば、1リーム約40枚)に分離した紙21を台1上から他の工程(例えば、所定枚数に分離した紙を包装する包装工程)へ送り出すものである。
【0013】
3は、台1上に積層された紙2の上方に位置する紙から所定枚数(例えば、1リーム約40枚)に分離した紙を台1上から送り出す送り出し部材である。この送り出し部材3は、図示しないが、積層された紙2の側面に所定枚数毎にマーカーが付されたり、又は、所定枚数毎にリームマーカテープ(図示せず)が挟み込まれており、このマーカー(図示せず)又はリームマーカテープ(図示せず)を検知して、送り出し部材3の舌部31が積層された紙2の中に入ると共に、舌部31が積層された紙2の中に入った状態で、台1が分離されようとする紙の下面が搬送部4の搬送面と同面になるようにリフター5により上昇する(図1及び図3参照)。
リフター5が上昇した後、送り出し部材3が搬送部4に向かって前進して、台3上に積層された紙2の上方に位置する紙から所定枚数に分離した紙を台3上から送り出す(送り出し工程)。
【0014】
6は、送り出し部材3により送り出される所定枚数に分離した紙21を保持して移行させる保持移行部材で、保持移行部材6は、送り出し工程で送り出される所定枚数に分離した紙21を保持して搬送部4へ移行させる(移行工程)もので、例えば、対向する二部材の間に所定枚数に分離した紙21が位置すると、一方の部材が下降し、所定枚数に分離した紙21の上面に当接して該紙21を保持し、対向する部材共に水平方向に移動し、所定の距離移動した後、紙21の上面に当接した一方の部材が上昇し、紙21の保持を解除するものである。
4は、保持移行部材6により保持して移行された所定枚数に分離した紙21を載せて台1上に積層された紙2から離間するように搬送する搬送部で、搬送部4は、後述する電界工程(電界部7)で電界をかけられた紙を搬送する(搬送工程)もので、例えば、ベルトコンベヤで、搬送部4の上に保持移行部材6が位置するようになっている。
【0015】
7は、所定枚数に分離した紙21の上方に位置し、移行工程の途中において、送り出される所定枚数に分離した紙21の上から電界をかける電界工程を行う電界部で、電界部7は、電界をかける一方の電極部71と、この一方の電極部71に対向すると共に、所定枚数に分離した紙21の下面に当接する位置に設けられた他方の電極部72とを有する。
送り出される所定枚数に分離した紙21の上から電界をかける一方の電極71は、所定枚数の積層された紙2の上方であって、平面視、図2に示すように、搬送部4と積層された紙2との間に位置している。
一方の電極部71と他方の電極部72との間に電圧がかけられると、一方の電極部71と他方の電極部72との間に電界が生じ、一方の電極部71と対向する所定枚数(例えば、1リーム約40枚)に分離した紙21の上面の紙は、例えば、プラスであり、他方の電極部72に当接する所定枚数(例えば、1リーム約40枚)に分離した紙21の下面の紙は、例えば、マイナスとなり、一方の電極部51と対向する所定枚数(例えば、1リーム約40枚)に分離した紙21の上面の紙の裏面は、マイナス、該裏面と対向する紙の面は、プラスとなる。つまり、当接する相対向する面の紙は電気的に互いに異なる極性により密着することとなる。この極性により所定枚数に分離した紙21は密着し、ずれを防ぐことができる。
【0016】
従って、送り出し部材3の舌部31が積層された紙2の中に入ると共に、台1が分離されようとする紙の下面が搬送部4の搬送面と同面になるようにリフター5により上昇し、その後、送り出し部材3が搬送部4に向かって前進して、送り出し部材3により送り出される所定枚数の積層された紙[所定枚数(例えば、1リーム約40枚)に分離した紙21]を保持移行部材6により保持して搬送部4へ移行させる。その際、送り出される紙の上から電界部7で電界をかけられ、電界をかけられた所定枚数(例えば、1リーム約40枚)に分離した紙21の当接する相対向する面の紙は電気的に互いに異なる極性により密着し、搬送部4において、積層された紙のずれを防いで、図示しない包装工程へと搬送される。
【0017】
なお、上述した実施例においては、送り出し部材3により、台1上に積層された紙2の上方に位置する紙から所定枚数(例えば、1リーム約40枚)に分離した紙を台1上から送り出すようにしたが、場合により、送り出し部材3によらず、人為的に行っても良い。 かかる場合、紙分離搬送方法は、台1上に積層された紙2の上方に位置する紙から送り出される所定枚数に分離した紙21を保持して搬送部4へ移行させる移行工程と、この移行工程の途中において、送り出される所定枚数に分離した紙21の上から電界をかける電界工程と、この電界工程で電界をかけられた前記所定枚数に分離した紙を搬送する搬送工程とを備えていることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施例の紙分離搬送装置の概略的側面図である。
【図2】図2は、図1の紙分離搬送装置の概略的平面図である。
【図3】図3は、図1の紙分離搬送装置の動きを説明するためのもので、分離された積層された紙が搬送部へ移行途中の概略的側面図である。
【図4】図4は、図3の一部を拡大して示す概略的一部拡大側面図である。
【図5】図5は、図3の紙分離搬送装置の動きを説明するためのもので、分離された積層された紙が搬送部へ移行後の概略的側面図である。
【図6】図6は、図5の紙分離搬送装置の動きを説明するためのもので、保持移行部材が分離された積層された紙から離間した状態の概略的側面図である。
【符号の説明】
【0019】
P ・・・・・紙分離搬送装置
1 ・・・・・台
2 ・・・・・積層された紙
3 ・・・・・送り出し部材
4 ・・・・・搬送部
6 ・・・・・保持移行部材
71 ・・・・・一方の電極部
72 ・・・・・他方の電極部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台上に積層された紙の上方に位置する紙から所定枚数に分離した紙を前記台上から送り出す送り出し部材と、
この送り出し部材により送り出される前記所定枚数に分離した紙を保持して移行させる保持移行部材と、
この保持移行部材により保持して移行された前記所定枚数に分離した紙を載せて搬送する搬送部と、
前記所定枚数に分離した紙の上方であって、平面視、前記搬送部と前記積層された紙との間に位置し、送り出される前記所定枚数に分離した紙の上から電界をかける一方の電極部と、
この一方の電極部に対向すると共に、前記所定枚数に分離した紙の下面に当接する位置に設けられた他方の電極部と、
前記一方の電極部と前記他方の電極部で電界をかけられた前記所定枚数に分離した紙を前記搬送部により搬送する
ことを特徴とする紙分離搬送装置。
【請求項2】
台上に積層された紙の上方に位置する紙から送り出される所定枚数に分離した紙を保持して移行させる保持移行部材と、
この保持移行部材により保持して移行された前記所定枚数に分離した紙を載せて搬送する搬送部と、
前記所定枚数に分離した紙の上方であって、平面視、前記搬送部と前記積層された紙との間に位置し、送り出される前記所定枚数に分離した紙の上から電界をかける一方の電極部と、
この一方の電極部に対向すると共に、前記所定枚数に分離した紙の下面に当接する位置に設けられた他方の電極部と、
前記一方の電極部と前記他方の電極部で電界をかけられた前記所定枚数に分離した紙を前記搬送部により搬送する
ことを特徴とする紙分離搬送装置。
【請求項3】
台上に積層された紙の上方に位置する紙から所定枚数に分離した紙を前記台上から送り出す送り出し工程と、
この送り出し工程で送り出される前記所定枚数に分離した紙を保持して搬送部へ移行させる移行工程と、
この移行工程の途中において、送り出される前記所定枚数に分離した紙の上から電界をかける電界工程と、
この電界工程で電界をかけられた前記所定枚数に分離した紙を搬送する搬送工程とを
備えていることを特徴とする紙分離搬送方法。
【請求項4】
台上に積層された紙の上方に位置する紙から送り出される所定枚数に分離した紙を保持して搬送部へ移行させる移行工程と、
この移行工程の途中において、送り出される前記所定枚数に分離した紙の上から電界をかける電界工程と、
この電界工程で電界をかけられた前記所定枚数に分離した紙を搬送する搬送工程とを
備えていることを特徴とする紙分離搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−168953(P2007−168953A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367341(P2005−367341)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(391045750)株式会社丸石製作所 (4)
【Fターム(参考)】