説明

紙及びボール紙の製造方法

紙、又はボール紙を製造するに当たり、填料の量の関数として、空気浸透性が実質的に変化しない紙製品、及びボール紙製品を製造するため、填料の重量に対し67〜85%、好適には約70〜82%の割合で、沈積している光散乱粒子を有しているセルロースフィブリル、又はリグノセルロースフィブリルから少なくとも一部が成る填料を使用する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1による使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙、及びボール紙の多孔性と、空気浸透性とは製品の最終使用の性質の点から重要な量である。これ等の量は、例えば、紙のコーティングにおいて、また重要である。更に、或る最終使用分野において、これ等の量はできるだけ一定でなければならない。
【0003】
従来の填料(filler)、即ち、粒子の形状のミネラル製品は原紙の浸透性と、多孔性とを増大させる欠点を有している。従って、填料の割合の増加も紙の空気浸透性を増大させる。一般に、空気浸透性はいわゆるガーレイ数(Gurley number)を使用して、その特徴を表示しており、ガーレイ数は試験をする層に、所定量の空気が貫入する時間(例えば、秒)を示している。ガーレイ数が小さくなると、紙の空気浸透抵抗が一層低く、多孔性が大きい。この理由のため、従来の填料を使用する時は、填料の割合を増大し、同時に空気浸透性、又は多孔性を一定に維持するのが望ましい場合には、例えば、微粒子の量を増大することによって、原紙の繊維材料の組成を変えることが必要である。しかし、パルプの叩解の度合を増大すると、製造する製品の光学的性質を劣化させる欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的はこの技術分野の状態に関連する欠点を除去し、填料の量とは無関係な空気浸透性と、多孔性とを有する紙を製造するための新規な解決策を得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は紙、又はボール紙のため、ベースウェブのために使用される填料は少なくとも一部、好適には主に、セルロースフィブリルに沈積した光散乱ミネラル粒子から成る複合填料であると言う着想に基づくものである。この形式の填料は原紙、又は原ボール紙に合体させた時、ミネラル粒子の所定のローディングファクタにおいて、填料含有量とは実質的に無関係な量の空気浸透抵抗を与えることが、予期せずに、観察された。言い換えれば、填料内のミネラル粒子のローディングファクタを適切に選択することによって、ウェブの空気浸透性、及び/又は多孔性に変化を生ずることなく、繊維ウェブに希望する量だけ加えることができる生成物が得られるのである。
【0006】
また特に、本発明方法は請求項1の特徴とするの部分に述べてある要旨によって、主に特徴付けられている。
【0007】
本発明は著しい利点を有する。即ち、本発明は紙、及びボール紙の生産品の空気浸透抵抗を他の因子とは無関係に、従来のものよりも一層精密に、一層制御された状態で、標準化することができる。このことは空気浸透抵抗、及びその不変性が決定的に重要な或る最終使用分野のため、種々の填料含有量の紙を製造するミルにおいて、特に意味がある。このような用途には、不透明度を増大するため、及びボール紙、特に印刷するボール紙の種々の等級品質を高めるため、ミネラル填料の含有量を増加することが望ましい封筒用、及び包装要旨がある。
【0008】
更に、フィブリル、及びミネラル顔料から成る複合填料は現在市販されている填料によって達成されるものよりも、コーティング適性が一層良好な原紙の性質を与えることが観察された。本発明に使用する複合填料により、定着性を損なうこと無く、繊維ウェブの形成を著しく向上させ得ることがわかったことは驚くべきことであった。これにより、本発明によって、コーティングのための非常に均一な原紙を生産することができる。本発明によれば、表面の平滑性も向上させることができる。更に、填料の微粒子をベースとする担体留分は原紙の表面をシ−ルするので、コーティングが繊維の網状構造に余りにも深く貫入することがない。この理由のため、少量のコーティングでも、良好な被覆、及び良好なコーティング品質を生じ、費用効率、即ち原価能率が向上する利点がある。
【0009】
本発明によれば、填料の量に無関係に多孔性を与えるから、原紙、又は原ボール紙の等級品質が変化しても、コーティングペーストの組成を変える必要がない。このことは産業規模の操作において、著しい利点である。
【実施例】
【0010】
次に、本発明を一層詳細に説明することによって、検証する。添付図面はミネラル顔料の含有量を変化させた場合の種々の空気貫入抵抗を示すグラフである。
【0011】
フィンランド特許明細書第100729号は製紙に使用する填料を開示しており、この填料は微粒子の表面に沈積した炭酸カルシウムから形成された多孔性の集合体から成る。この特許明細書によれば、新規な形式のこの填料はセルロース繊維、及び/又は機械パルプ繊維から、叩解によって、準備された微細なフィブリルから造られていることに特徴がある。この微粒子の留分の大きさの分布は主に網篩の留分P100に相当している。この填料を以下に「スーパーフィル(SuperFill)」(商標名)と称する。
【0012】
上記の特許明細書によれば、紙の炭酸カルシウムの濃度は上記の填料を使用することによって増加することができ、これにより、紙の「他の重要な」性質を変化させることなく、紙の坪量を低下させることができる。この公開された特許明細書の中の結果は標準のSCAN−C26:76、及びそれぞれSCAN−M5:76を使用することにより、実験室シートから測定された結果に基づいている。この公開された特許明細書には紙の空気浸透性、又は多孔性に関する記載、又はこれ等を標準化に関する記載が無い。
【0013】
本発明によれば、紙の空気浸透性は他の因子とは無関係に、標準化することができることを予期せず発見したのである。スーパーフィル填料のフィブリルの或る割合(言い換えれば、炭酸カルシウムの或る割合)において、紙の空気浸透性は従来の填料を使用した時のように填料の含有量に関係することが無いことに我々は注目した。一般に、本発明に従って、操作を実施する時、填料の量をミネラル成分の重量、及びウェブの重量に基づいて、重量で約10%から、重量で30%まで増加させた時でも、紙、又はボール紙の空気浸透性は最大でも10%だけ増加するに過ぎない。
【0014】
本発明において、光散乱物質粒子が沈積しているセルロースフィブリル、又はリグノセルロースフィブリルから、少なくとも一部が成る他の填料でも、填料として使用することができることが、更に観察された。これ等の粒子は通常、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、及びカルシウムオキサレートのように、水性相で沈殿する無機塩類である。
【0015】
図1は紙の填料含有量の関数としての紙の空気浸透抵抗を示している。このパラメータは填料(filler)としての「スーパーフィル(SuperFill) 」(商標名)の炭酸カルシウムの比率、即ち割合である。この図面から明らかなように、炭酸カルシウムの割合が低い場合には、填料の含有量が増加すると、空気浸透抵抗は増大しており、このことは、炭酸カルシウムの割合が高い場合の傾向と相反している。この結果から、炭酸カルシウムの割合が或る値にある時、空気浸透抵抗は填料の含有量に関係がないことを結論付けることができる。この試験の結果に基づくと、この割合は、「スーパーフィル」填料の総料(繊維+ミネラル顔料)の中の炭酸カルシウムが重量で65〜80%の範囲、特に、約67〜78%の範囲内である。この割合を以下、「ローディングファクタ(loading factor)」 とも称する。
【0016】
上に述べた限界値より高い範囲では、「スーパーフィル」填料は通常の微粉ミネラル填料のように作用する。しかし、この場合(ミネラル顔料のローディングファクタが重量で80〜90%、特に、重量で最大、約85%の場合)、紙、又はボール紙を非常に良好な機械的性質にするために、スーパーフィルの能力を利用することが可能である。通常の方法により、例えば、微粒子の量を増大することによって、強度に関する性質を損なうこと無く、紙の密度を向上させることができる。
【0017】
封筒の内側に入れた手紙が封筒を通して見えなければ見えない程、一層、良好である。本発明では、通常の填料を使用した時のような空気浸透抵抗の増大を生ずることなく、使用される填料によって、原紙内の填料の割合を増大する可能性を提供する。しかし、我々の以前の特許出願20010846号において、我々が示したように、填料はまたその役割として、原紙、又は原ボール紙の不透明度、及び形成を改善する。
【0018】
差出人がブランド名、商標、及びその他の図式的な標識記号を封筒や包装紙に印刷できるように、封筒、及び包装紙の印刷適性を向上させるのが望ましいことが多い。この場合、紙、又はボール紙の表面が平滑で、コーティング適性であることは非常に重要である。また、これ等の基準に適合するため、本発明において記載する填料を使用することは有利である。
【0019】
封筒、及び包装用紙は更に、良好な剛性と機械的強度とが必要である。上述したように、紙、及びボール紙の機械的性質はスーパーフィル、及び対応する複合填料とによって改善することができる。
【0020】
一定の所定の空気浸透性を有する紙、又はボール紙の製品を生産することを希望する時には、次の手順に従うことができる。
填料内の微粒子の叩解(beating) の程度を選択する。
種々のCaCO3 (炭酸カルシウム)対微粒子比を有するスーパーフィル填料を準備する。
試験用シートを準備する。
性質を測定する。
異なる填材含有量でも、一定空気浸透性を生ずるCaCO3 (炭酸カルシウム)対微粒子比になるように、結果を参照して、手を加える。
【0021】
空気浸透性、及び/又は多孔性を標準化するため、上記の手順に基づいて、紙、又はボール紙に充填するために使用する適切な填料を選択することができる。以下に、填料、及び繊維ウェブの準備を詳細に検討する。
【0022】
填料の準備
本発明において使用する填料は化学パルプから得られるフィブリルに基づいている。この場合の化学パルプとは、セルロース繊維の脱リグニンのため、蒸解化学物質で処理されたパルプを意味する。好適な一実施例によれば、フィブリルは硫酸塩処理、又は若干の他のアルカリ処理によって、用意されたパルプを叩解することによって得られる。本発明は化学パルプから得られたフィブリルの改質だけでなく、ケミグランドパルプ、及び機械パルプから得られたフィブリルの改質にも適している。通常、セルロースフィブリル、又はリグノセルロースフィブリルの平均厚さは5ミクロンより小さく、通常、1ミクロンより小さい。フィブリルは次の基準の一方、又は両方によって特徴づけられる。
a.フィブリルが50メッシュ(又は好適には100メッシュ)の網を通過した留分に相当するもの。
b.フィブリルの平均厚さが0.01〜10ミクロン(好適には最大5ミクロン、特に好適には最大1ミクロン)であり、平均長さが10〜1500ミクロンであること。
【0023】
フィブリルの原料物質、即ち、セルロース、又はその他の繊維に基づく微粒子の原料物質はパルプ精製機内で、叩解することによって、フィブリル化される。必要なら、網、即ち篩を使用することによって、希望する篩分けの留分に、分離してもよく、しかし、微粒子は必ずしも篩分けする必要はない。適切なフィブリルの篩分け留分としては、網篩による篩分けの留分P50〜P400を含む。溝付きブレードを有する精製機を使用するのが好適である。
【0024】
填料内の光散乱物質粒子は無機、又は有機の塩類であり、水性媒体内に沈殿させることによって、原料物質から形成することができる。このような化合物としては炭酸カルシウム、カルシウムオキサレート、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、及びこれ等の混合物がある。これ等の物質粒子はフィブリルに沈積する。紙のフィブリルの量に対する無機塩類化合物の量の割合は重量で約0.0001〜95%、好適には重量で約0.1 〜90%、填料の量から計算して、特に、重量で約60〜80%、及び重量で約0.1 〜80%、好適には重量で約0.5 〜50%である。
【0025】
以下、特にフィンランド特許明細書第100729号による製品に基づいて本発明を説明するが、光散乱顔料の原料物質を適切に変えることによって、上に述べた他の生成物に本発明を適用することができることは明らかである。
【0026】
セルロース繊維、及び/又は機械パルプ繊維から用意された微細なフィブリルの表面にミネラル顔料を沈積させることによって、填料を準備する。例えば、固体水酸化カルシウムを含んでいる可能性がある水性水酸化カルシウム混合物と、カーボネートイオンを含んでいて、少なくとも一部が水に溶解している化合物とをフィブリルの水性スラッシ内に送り込むことによって、炭酸カルシウムの沈殿を実施することができる。また、水酸化カルシウムの存在の許で、炭酸カルシウムを発生する水性相二酸化炭素ガス内に導入することもできる。これ等は一連の真珠状の炭酸カルシウム結晶集合体を形成しており、この集合体はフィブリル、即ち微細なストランドによって合体保持されており、この集合体の中には炭酸カルシウム粒子が微細なフィブリルに沈積し、フィブリルに取り付いている。微細なフィブリルは炭酸カルシウムと共に一連の真珠状ストランドを形成しており、基本的に積み重ねた一連の真珠に似ている。水(スラッシ)中におけるこの集合体の有効容積のパルプに対する比は填料として使用される従来の炭酸カルシウムのこれに相当する比に比較し、非常に高い。ここで「有効容積」と言うのは顔料によって必要とする容積を意味する。
【0027】
この集合体内の炭酸カルシウム粒子の直径は約0.1 〜5ミクロンであり、通常、約0.2 〜3ミクロンである。このフィブリルは特に、篩分けの留分P50(又はP100)〜P400に相当している。この填料では、沈殿した光散乱顔料粒子の少なくとも80%、好適には90%まではフィブリルに付着している。
【0028】
本発明によれば、顔料粒子のローディングファクタは(填料の重量に対し、)重量で、少なくとも67%、好適には重量で70%、又はそれ以上で、重量で85%より少ない。この範囲内であれば、紙、又はボール紙の抄紙機において、良好な脱水が達成され、繊維ウェブにおける一定量の空気浸透が達成される。
【0029】
繊維ウェブの準備
それ自身、既知の方法で、紙パルプをスラッシして、適切な粘稠度まで(通常、約0.1 〜1%の固形分含有量まで)にし、ワイヤ、即ち長網上に広げる。好適には紙、又はボール紙の抄紙機のヘッドボックス内において、繊維パルプの繊維の重量に対し、重量で一般に、1〜100%の上述の填料を上記の繊維スラッシに加える。言い換えれば、填料の量は実際の繊維パルプの量にまさに等しいか、又は一層多い。原則的には、繊維材料が全体として填料フィブリルから成るベースウェブを用意することができ、従って、一般に、現在の填料がベースウェブの繊維材料に対し、重量で1〜100%を構成していてもよいのである。
【0030】
紙、又はボール紙の抄紙機において、この繊維パルプを紙ウェブ、又はボール紙ウェブに形成する。この繊維ウェブを乾燥し、コーティングし、例えばカレンダリングによって、選択的に後処理を行う。特に、製品の表面層に、この填料を含んでいる多層製品を製造することもできる。多層ウェブ形成技術をこのような製品の製造に適用することができる。パルプを送給する適切な構成は例えばフィンランド特許明細書第105118号、及び公開されたヨーロッパ特許出願第824157号に記載されている。
【0031】
いわゆるギャップホーマと共に、多層ヘッドボックスを使用するのが最も好適である。このような装置においては、ヘッドボックスによって形成されたスライスチャージを2個のワイヤ間に送給し、これ等のワイヤを通じて、2個の異なる方向に、パルプから水を除去する。ギャップホーマを使用することによって、微粒子を層の表面に堆積させることができ、填料の分布は「微笑んでいる」形状になる。ギャップホーマと共に多層ヘッドボックスを使用する時、上に述べたように、層状に、紙用パルプ、又はボール紙用パルプをワイヤ間に送給することによって、希望する多層構造が簡単に得られる。この技術によって、通常の多層技術におけるよりも、層の厚さが一層薄い製品を製造することもできる。
【0032】
実際上、その手順は公開されたヨーロッパ特許出願第824157号に記載されており、この場合、パルプは多層ヘッドボックス内で層状になっていて、複合填料は表面層に指向するパルプの流れの中に合体する。スターチ誘導体、及び恐らく定着剤のような添加剤をこのパルプの流れに合体させる。本願に平行して進めている我々の出願に示したように、新規な複合填料の保持力は非常に高く、別個の定着剤を使用せず、この複合填料を使用することによって、高い定着を達成することができる。これは表面層の形成を向上させる。パルプの流れは、例えばプラスチック分離シートにより、相互に分離された2個、3個、又はそれ以上の流れとして、スライスリップに指向し、ここで、これ等の流れは1個の層になったパルプの流れに結合する。このパルプはリップから、例えば、ギャップホーマによって形成されたギャップに向け送られ、ギャップから、パルプはワイヤ脱水装置を経て、抄紙機のプレス部に指向する。その後、パルプはプレス部から、ドライヤ部に指向し、ここで、既知のように乾燥される。
【0033】
コーティングは単一コーティング又は二重コーティングとして実施することができ、その場合、コーティングペーストは単一コーティングペースト、及びいわゆるプレコーティングペースト、及び表面コーティングペーストとして使用することができる。トリプルコーティングも可能である。一般に、本発明によるコーティング混合物は10〜100重量部の少なくとも一つの顔料、又は顔料混合物と、0.1 〜30重量部の少なくとも一つの結合剤と、1〜10重量部のそれ自身既知の他の添加物とを含む。記載し得る顔料の若干の例は沈殿した炭酸カルシウム、粉砕炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、カルシウムオキサレート、珪酸アルミニウム、カオリン(含水珪酸アルミニウム)、水酸化アルミニウム、珪酸マグネシウム、タルク(含水珪酸マグネシウム)、二酸化チタン、硫酸バリウム、更に、これ等の混合物である。合成顔料も可能である。上述の顔料のうち、主な顔料はカオリン、炭酸カルシウム、沈殿した炭酸カルシウム、及び石膏であり、これ等は通常、コーティング混合物の乾燥物質の50%以上を構成している。焼成カオリン、二酸化チタン、サテンホワイト、水酸化アルミニウム、ナトリウムシリコアルミネート、及びプラスチック顔料は付加的顔料であり、それ等の量は通常、混合物の乾燥物質の25%より少ない。特殊顔料の例としてはカオリンの特別な種類、炭酸カルシウム、及び硫酸バリウム、及び酸化亜鉛がある。
【0034】
既知のように、コーティング混合物を材料ウェブに加えることができる。紙、及び/又はボール紙のコーティングのための本発明によるプロセスは通常のコーティング装置を使用して、即ちブレードコーティングにより、又は被膜コーティング、又は噴射により実施することができる。
【0035】
コーティングを行っている間、5〜30g/m2の坪量を有するコーティング層を紙ウェブ表面の少なくとも一方の面、好適には両面に形成する。コーティングを行っていない側は、例えば、表面サイズ処理によって処理する。
【0036】
本発明によれば、優れた印刷適性と、良好な平滑性と、高い不透明性と、光沢とを有していて、コーティングされ、また、選択的にカレンダリングされたセルロース含有材料ウェブを生産することができる。「セルロース含有材料」とは、ここでは、リグノセルロース含有原料、特に、木材の、即ち毎年の、即ち多年生の植物から得られる紙用の、又はボール紙用の、又はそれに相当するセルロース含有材料を一般に意味する。前記材料は木質を含むもの、又は木質を含まないものでもよく、機械パルプ、半機械パルプ(ケミグランドパルプ)、又は化学パルプから用意することができる。化学パルプ、及び機械パルプは漂白しても、又は漂白しなくてもよい。この材料にはリサイクル繊維、特にリサイクル紙、又はリサイクルボール紙を含んでいてもよい。この材料ウェブの坪量は通常、35〜500g/m2、特に約50〜450g/m2の範囲にある。
【0037】
一般に、原紙の坪量は20〜250g/m2、好ましくは30〜80g/m2である。この形式の原紙にコーティングを行うことによって、約50〜79g/m2の坪量を有するようになり、一方の面当たり2〜20g/m2のコーティングを行い、紙にカレンダリングを施すことによって、50〜110g/m2の坪量、少なくとも90%の光沢、及び少なくとも90%の不透明度を有する製品を得る。
【0038】
ベースウェブ内に存在する填料の割合はベースウェブの重量に対し、重量で約5〜50%、通常、重量で約10〜30%である。
【0039】
次の限定の無い例は本発明を示している。
紙の性質に関して、この例に示された測定結果は次の標準的な方法を使用して、決定されたものである。
表面粗さ SCAN−P76:95
空気浸透抵抗 SCAN−M8、P19
【0040】

異なる填料を使用することによるハンドシートの準備
この試験のシリーズでは、通常のシートモールド、及び種々の填料を使用してハンドシートを作った。これ等のハンドシートに対する目標坪量は2つの異なる填料濃度10%、及び20%の場合、62g/m2であった。使用した填料は市販のPCC等級品質の「アルバカー(Albacar )LO」、及び4種の異なるスーパーフィル填料であった。これ等の「スーパーフィル」填料では、PCC濃度は56、67、78、及び82%であった。
【0041】
この「スーパーフィル」填料はフィンランド特許明細書第100729号の例1に従って、原料物質の量を適切に変化させて準備した。
【0042】
その結果を添付図面に示す。
完成した「スーパーフィル」シートはPCCシートより緻密であることが観察された。更に、シート内のPCC濃度を増加すると、「スーパーフィル」シートは一層緻密になった。
【0043】
一層低いPCC含有量を有する「スーパーフィル」等級品質にシフトさせる時、「スーパーフィル」が一層密接した構造を生ずる能力が増大する。
【0044】
この例から明らかなように、67〜82%のローディングファクタを有する填料を使用すれば、一定の多孔性を有する表面を生じ、その場合、PCCの濃度に関係なく、コーティングペーストの組成を変化させることなく、紙、又はボール紙のコーティングが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】填料の含有量を変化させた場合の空気浸透抵抗を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
填料の量の関数として、空気浸透性が実質的に変化しない紙製品、及びボール紙製品を製造するため、填料の重量に対し、67〜85%の割合の光散乱物質粒子が沈積しているセルロースフィブリル、又はリグノセルロースフィブリルから少なくとも一部が成る填料を使用することを特徴とする紙、及びボール紙を製造する際の填料の使用方法。
【請求項2】
植物繊維から、叩解、及び篩別けによって用意された平均厚さが5ミクロンより薄いセルロースフィブリル、又はリグノセルロースフィブリルを前記填料が具えていることを特徴とする請求項1による使用方法。
【請求項3】
50メッシュ篩に通る留分、及び/又は平均厚さ0.1 〜10ミクロン、及び平均長さ10〜1500ミクロンを有する留分に相当するフィブリルに、前記光散乱物質粒子が沈積していることを特徴とする請求項2による使用方法。
【請求項4】
前記光散乱物質粒子が水性媒体内での沈殿によって、原料物質から形成され得る無機塩類であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項による使用方法。
【請求項5】
前記光散乱物質粒子が炭酸カルシウム、カルシウムオキサレート、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、又はこれ等の混合物であることを特徴とする請求項4による使用方法。
【請求項6】
填料の重量に対する無機塩類の割合が重量で75〜85%であることを特徴とする前記請求項のいずれか1項による使用方法。
【請求項7】
ミネラル成分の重量、及びウェブの重量に基づいて、填料の量が重量で約10%から、重量で30%まで増加した時、紙、又はボール紙の空気浸透性が最大で10%変化することを特徴とする前記請求項のいずれか1項による使用方法。
【請求項8】
コーティングした紙、又はコーティングしたボール紙を製造することを特徴とする前記請求項のいずれか1項による使用方法。
【請求項9】
コーティング層の坪量が一側面当たり、5〜30g/m2であるコート紙、又はコートボール紙を製造することを特徴とする請求項8による使用方法。
【請求項10】
包装紙を製造することを特徴とする前記請求項のいずれか1項による使用方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−503996(P2006−503996A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546073(P2004−546073)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/FI2003/000795
【国際公開番号】WO2004/038100
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(598005085)
【Fターム(参考)】