説明

紙幣処理機

【課題】同一の受入部に収納する際に紙幣を分類して管理することができる紙幣処理機を提供する。
【解決手段】一対のドラム55,56と一対のドラム55,56間に張り渡されたテープTとを備え、送り込まれる紙幣Sを一対のドラム55,56のうちの一方のドラム55にテープTとともに巻き付けて繰出可能に収納する一時貯留部と、紙幣Sを収納可能な受入部とを有し、一時貯留部は、一方のドラム55に少なくとも一つの仕切シートXを、テープTのうちの紙幣Sを収納するための紙幣用テープ部TAよりも一方のドラム55への固定端側の仕切シート用テープ部TBとともに巻き付けて収納しており、受入部に紙幣Sを収納した場合に、一方のドラム55に収納している仕切シートXを一時貯留部から繰り出して、受入部に収納させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣処理機では、投入部に投入された紙幣を、識別部で識別後に一時貯留部に一時収納し、その後、返却指示があった場合は、機外に取出可能となるように返却部に返却し、入金指示があった場合は、収納部へ収納するようになっている。
【0003】
ここで、紙幣処理機において、例えば、識別部で偽券と識別された紙幣があった場合には、機内に備え付けられた回収庫へ自動的に強制回収させる紙幣処理機が存在している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3248972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記回収庫は紙幣処理機内に備え付けられているため、顧客業務終了後に開庫されるのが通常である。そのため、一日に複数回の偽券投入等の異常が発生した場合には、上記回収庫へ強制回収された異常紙幣は異常処理毎、言い換えれば顧客毎に金種、枚数を管理することができず、異常処理(顧客)毎に管理をするためには、紙幣処理機をマシンダウンさせて上記回収庫を都度開庫する必要があり、円滑な業務運用が図れなかった。
【0006】
勿論、偽券を回収する回収庫に限らず、同一の受入部に収納する際に処理毎に紙幣を分類可能とすることは管理上多大なメリットがある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、同一の受入部に収納する際に紙幣を分類して管理することができる紙幣処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、一対のドラムと該一対のドラム間に張り渡されたテープとを備え、送り込まれる紙幣を前記一対のドラムのうちの一方のドラムに前記テープとともに巻き付けて繰出可能に収納する一時貯留部と、紙幣を収納可能な受入部とを有する紙幣処理機において、前記一時貯留部は、前記一方のドラムに少なくとも一つの仕切シートを、前記テープのうちの紙幣を収納するための紙幣用テープ部よりも前記一方のドラムへの固定端側の仕切シート用テープ部とともに巻き付けて収納しており、前記受入部に紙幣を収納した場合に、前記一方のドラムに収納している前記仕切シートを前記一時貯留部から繰り出して、前記受入部に収納させる制御部を有することを特徴としている。
【0009】
請求項2に係る発明は、一対のドラムと該一対のドラム間に張り渡されたテープとを備え、送り込まれる紙幣を前記一対のドラムのうちの一方のドラムに前記テープとともに巻き付けて繰出可能に収納する一時貯留部と、紙幣を収納可能な受入部とを有する紙幣処理機において、前記一時貯留部は、前記一対のドラムのうちの他方のドラムに少なくとも一つの仕切シートを前記テープとともに巻き付けて収納しており、前記受入部に紙幣を収納した場合に、前記他方のドラムに収納している前記仕切シートを前記一時貯留部から繰り出して、前記受入部に収納させる制御部を有することを特徴としている。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、機外から紙幣が投入される投入部と、該投入部に投入された紙幣を識別する識別部と、該識別部で真券と識別された紙幣を繰出可能に収納する前記一時貯留部と、前記識別部で偽券と識別された紙幣を収納する偽券回収部と、前記識別部で識別不可の紙幣を機外に取出可能に返却する第1返却部と、前記一時貯留部から繰り出された紙幣を機外に取出可能に返却する第2返却部と、前記一時貯留部から繰り出された紙幣を収納する収納部と、前記第1返却部で取り忘れられた紙幣を収納する第1取忘回収部と、前記第2返却部で取り忘れられた紙幣を収納する第2取忘回収部とを有し、前記受入部が、前記偽券回収部、前記第1取忘回収部および前記第2取忘回収部のうちの少なくともいずれか一つであることを特徴としている。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記第1返却部および前記第2返却部が一つの共通返却部であり、前記第1取忘回収部および前記第2取忘回収部が一つの共通取忘回収部であって、前記受入部が、少なくとも前記共通取忘回収部を含むことを特徴としている。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項3または4に係る発明において、前記収納部から繰り出された紙幣を機外に取出可能に出金する出金部と、該出金部で取り忘れられた紙幣を収納する第3取忘回収部とを有し、前記受入部が、前記偽券回収部、前記第1取忘回収部、前記第2取忘回収部および前記第3取忘回収部のうちの少なくともいずれか一つであることを特徴としている。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記第1返却部、前記第2返却部および前記出金部が一つの共通送出部であり、前記第1取忘回収部、前記第2取忘回収部および前記第3取忘回収部が一つの共通取忘回収部であって、前記受入部が、少なくとも前記共通取忘回収部を含むことを特徴としている。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に係る発明において、前記テープは、前記仕切シートを収納するための仕切シート用テープ部を他のテープ部と区別するための区別手段を有することを特徴としている。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に係る発明において、前記制御部は、通常処理モード実行後に前記仕切シートが前記一時貯留部で不足していると判断すると、前記仕切シートを補充するための仕切シート補充処理モードに移行し、該仕切シート補充処理モードで前記仕切シートが前記一時貯留部に補充された場合に限り、前記通常処理モードへの移行を許可することを特徴としている。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれか一項に係る発明において、前記制御部は、前記仕切シートが前記一時貯留部で不足していると判断すると、前記仕切シートの補充を指示する補充指示信号を出力することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、一対のドラムとこれらの間に張り渡されたテープとを備え、送り込まれる紙幣を一対のドラムのうちの一方のドラムにテープとともに巻き付けて繰出可能に収納する一時貯留部が、一方のドラムに少なくとも一つの仕切シートを、テープのうちの紙幣を収納するための紙幣用テープ部よりも一方のドラムへの固定端側の仕切シート用テープ部とともに巻き付けて収納しており、受入部に紙幣を収納した場合に、一方のドラムに収納している仕切シートを一時貯留部から繰り出して、受入部に収納することになるため、同一の受入部に複数の紙幣を収納する際に、必要な位置に仕切シートを配置することができ、仕切シートで分類して金種および枚数を管理することができる。しかも、仕切シートを、一時貯留部のテープのうちの紙幣を収納するための紙幣用テープ部よりも一方のドラムへの固定端側の仕切シート用テープ部とともに一方のドラムに巻き付けて収納し、これを必要により繰り出すため、仕切シートを収納し繰り出すための専用の機構が不要になり、コストを低減することができる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、一対のドラムとこれらの間に張り渡されたテープとを備え、送り込まれる紙幣を一対のドラムのうちの一方のドラムにテープとともに巻き付けて繰出可能に収納する一時貯留部が、一対のドラムのうちの他方のドラムに少なくとも一つの仕切シートをテープとともに巻き付けて収納しており、受入部に紙幣を収納した場合に、他方のドラムに収納している仕切シートを一時貯留部から繰り出して受入部に収納することになるため、同一の受入部に複数の紙幣を収納する際に、必要な位置に仕切シートを配置することができ、仕切シートで分類して金種および枚数を管理することができる。しかも、仕切シートを、一時貯留部のテープの巻取りを行うための他方のドラムにテープとともに巻き付けて収納し、これを必要により繰り出すため、仕切シートを収納し繰り出すための専用の機構が不要になり、コストを低減することができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、投入部に投入され識別部で偽券と識別された紙幣を収納する偽券回収部、識別部で識別不可の紙幣を機外に取出可能に返却する第1返却部で取り忘れられた紙幣を収納する第1取忘回収部、および一時貯留部から繰り出された紙幣を機外に取出可能に返却する第2返却部で取り忘れられた紙幣を収納する第2取忘回収部のうちの少なくともいずれか一つに対して、一時貯留部から仕切シートを導入することができるため、これら偽券回収部、第1取忘回収部および第2取忘回収部の少なくともいずれか一つに収納する紙幣を分類して管理することができる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、第1返却部および第2返却部が一つの共通返却部であり、第1取忘回収部および第2取忘回収部が一つの共通取忘回収部である場合に、この共通取忘回収部に収納する紙幣を分類して管理することができる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、偽券回収部、第1取忘回収部、第2取忘回収部、および収納部から繰り出された紙幣を機外に取出可能に出金する出金部で取り忘れられた紙幣を収納する第3取忘回収部のうちの少なくともいずれか一つに対して、一時貯留部から仕切シートを導入することができるため、これら偽券回収部、第1取忘回収部、第2取忘回収部および第3取忘回収部の少なくともいずれか一つに収納する紙幣を分類して管理することができる。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、第1返却部、第2返却部および出金部が一つの共通送出部であり、第1取忘回収部、第2取忘回収部および第3取忘回収部が一つの共通取忘回収部である場合に、この共通取忘回収部に収納する紙幣を分類して管理することができる。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、テープは、仕切シートを収納するための仕切シート用テープ部を他のテープ部と区別するための区別手段を有するため、仕切シート用テープ部を他のテープ部と区別することができ、センサを用いた位置制御が可能となる。
【0024】
請求項8に係る発明によれば、制御部が、通常処理モード実行後に仕切シートが一時貯留部で不足していると判断すると、仕切シートを補充するための仕切シート補充処理モードに移行し、仕切シートが一時貯留部に補充された場合に限り、通常処理モードへの移行を許可するため、仕切シートの欠乏を確実に防ぐことができる。
【0025】
請求項9に係る発明によれば、制御部が、仕切シートが一時貯留部で不足していると判断すると、仕切シートの補充を指示する補充指示信号を出力するため、例えば、予備の仕切シートの保管場所が離れていたとしても、外部の管理担当部署やセンター等に対して仕切シートの補充を指示することができ、円滑な業務運用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る紙幣処理機を概略的に示す側断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る紙幣処理機の要部展開図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る紙幣処理機の要部拡大側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る紙幣処理機の変形例の要部展開図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る紙幣処理機の要部拡大側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る紙幣処理機の要部拡大側面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る紙幣処理機の要部展開図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る紙幣処理機の要部拡大側面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る紙幣処理機を概略的に示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の第1実施形態に係る紙幣処理機を図1〜図4を参照して以下に説明する。なお、以下の説明においては、操作者側を「前」、操作者とは反対側を「後」、操作者から見て左右を「左右」とする。
【0028】
第1実施形態に係る紙幣処理機は、紙幣の入金処理および計数処理のみが可能な入金専用機である。この紙幣処理機は、金種により大きさが大きく異なる外国紙幣をも取り扱い可能とするものであり、紙幣をその長辺方向を搬送方向に沿わせて搬送し収納するものである。なお、勿論、紙幣処理機の左右方向の幅を拡げることによって、紙幣をその短辺方向を搬送方向に沿わせて搬送し収納することもできる。
【0029】
図1に示すように、第1実施形態に係る紙幣処理機11は、機体の前面11A側に、機外から紙幣Sが投入される取引口としての投入口12が設けられ、この投入口12のさらに前面11A側に機内から紙幣Sが放出される取引口としての放出口13が設けられている。
【0030】
投入口12には、紙幣Sがその長辺方向の一端を機体奥側にし短辺側を水平方向(機体左右方向)にした後下がりの姿勢で、厚さ方向に複数枚が集積された紙幣群SSの状態で投入される。投入口12は、最も長辺方向長さの長い紙幣Sの全体を収容可能となっている。投入口12には、投入口12の開口を開閉する投入口シャッタ14と投入口12内の紙幣Sを検出する投入検出センサ15とが設けられている。
【0031】
放出口13には、紙幣Sがその長辺方向の一端を機体奥側にし短辺側を水平方向(機体左右方向)にした前上がりの姿勢で放出され、放出口13内で厚さ方向に複数枚が集積されて紙幣群SSの状態となる。放出口13も、最も長辺方向長さの長い紙幣Sの全体を収容可能となっている。放出口13にも、放出口13の開口を開閉する放出口シャッタ16と、放出口13内の紙幣Sを検出する残留検出センサ17とが設けられている。
【0032】
投入口12の機体奥側には、投入口12に投入された紙幣Sを、一枚ずつ分離して機内に繰り出す分離繰出部19が設けられている。投入口12と分離繰出部19とが、機外から紙幣Sが投入されるとともに投入された紙幣Sを一枚ずつ分離して機内に繰り出す投入部20を構成している。
【0033】
分離繰出部19の機体奥側には、分離繰出部19から繰り出された紙幣Sを搬送する搬送部21が設けられている。この搬送部21は、分離繰出部19から後上がりに延出した後に下側に折り返して前下がりに延出し、さらに水平方向に沿って前方に延出し最後に前上がりに若干延出して放出口13の後側上部に接続される形状をなしている。
【0034】
また、紙幣処理機11には、この搬送部21の途中から分岐して鉛直下方に延出する縦搬送部22aと、縦搬送部22aの下端から水平に沿って後方に延出する横搬送路22bとを有する搬送部22と、搬送部22の縦搬送部22aの途中位置から分岐し、水平に沿って後方に延出する搬送路23と、搬送部22の搬送路23よりも下側の途中位置から分岐し、水平方向に沿って前方に延出して搬送部21に接続される搬送部24とが設けられている。ここで、横搬送路22bおよび搬送路23は、縦搬送部22aの駆動力で搬送される紙幣を駆動せず案内する。
【0035】
搬送部21の上流側には、投入部20から繰り出され搬送部21で搬送中の紙幣Sの識別と計数とを行う識別部28が設けられている。また、搬送部22の末端位置には、識別部28により真券と識別された紙幣Sを金種混合で繰出可能に収納する一時貯留部29がその入出口29Aを介して接続されている。また、搬送路23の末端位置には、識別部28で真券と識別された紙幣以外の紙幣Sの中で偽券(異常紙幣)と識別された紙幣Sを回収のため収納可能な機内備え付けの金庫からなる偽券回収部(受入部)30が接続され、搬送路23の中間位置には、偽券と識別された紙幣Sが偽券回収部30へ回収されることを検出する偽券回収検出センサ31が設けられている。
【0036】
識別部28によって真券と識別された紙幣以外の紙幣Sであって偽券と識別されなかった紙幣S、例えば重送や斜行等の異常搬送券を含む識別不能券については、搬送部21でそのまま放出口13に向けて搬送され、放出口13より顧客に返却される。また、一時貯留部29に収納した紙幣Sが、返却時には搬送部22、搬送部24および搬送部21を介して放出口13に向けて搬送され、放出口13より顧客に返却される。このため、搬送部22の縦搬送部22aは、正転時には一時貯留部29に向けて紙幣Sを搬送し、逆転時には一時貯留部29から紙幣Sを逆に搬送するようになっている。
【0037】
放出口13の機体奥側にも、放出口13に放出された後に取り忘れとなった紙幣Sを、一枚ずつ分離して機内に繰り出す分離繰出部34が設けられている。放出口13と分離繰出部34とが、識別部28で識別不可の紙幣Sを機外に取出可能に返却するとともに一時貯留部29から繰り出された紙幣Sを機外に取出可能に返却する一つの共通放出部(第1返却部,第2返却部,共通返却部)35を構成している。
【0038】
分離繰出部34の機体奥側には、分離繰出部34から繰り出された、放出口13で取り忘れとなった紙幣Sを搬送する搬送部38が設けられており、この搬送部38の末端位置には、共通放出部35の取り忘れの紙幣(異常紙幣)を回収のため収納可能な機内備え付けの金庫からなる共通取忘回収部(受入部,第1取忘回収部,第2取忘回収部)39が接続されている。また、搬送部38の中間位置には、取り忘れの紙幣Sが共通取忘回収部39へ回収されることを検出する取忘回収検出センサ40が設けられている。なお、共通放出部35における分離繰出部34の構成は必ずしも必要ではなく、放出口13に放出された後に取り忘れとなった複数枚の紙幣Sを一括して共通取忘回収部39に搬送し収納できる構成であってもよい。
【0039】
紙幣処理機11には、搬送部22の縦搬送部22aと連続するように下方に若干延出した後、水平に沿って前方に延出して最後に下方に延出する搬送部44が設けられており、さらに、搬送部44の途中位置から分岐して下方に延出する搬送部45および搬送部46が設けられている。これらの搬送部44〜46の末端位置には、一時貯留部29から繰り出された紙幣Sを所定の種類別、または、金種混合のいずれかの状態で収納する収納庫47〜49が接続されている。これら収納庫47〜49が一時貯留部29から繰り出された紙幣Sを収納する収納部50を構成している。
【0040】
第1実施形態においては、一時貯留部29が、一時貯留のために紙幣Sを繰出可能に収納するとともに、偽券回収部30および共通取忘回収部39に回収された紙幣Sを各処理毎に区別するための図2に示す仕切シートXをも繰出可能に収納するようになっている。このため、搬送部22の縦搬送部22aの逆転により、仕切シートXを一時貯留部29から搬出し搬送路23によって偽券回収部30に収納したり、一時貯留部29から搬出し搬送部24,21によって放出口13に案内したりするようになっている。そして、放出口13に案内された仕切シートXは搬送部38を介して共通取忘回収部39に収納される。仕切シートXは、偽券回収部30に収納されると、それまでに偽券回収部30に上下に集積されて収納されていた紙幣Sの上に重ねられて収納されることになり、共通取忘回収部39に収納されると、それまでに共通取忘回収部39に上下に集積されて収納されていた紙幣Sの上に重ねられて収納されることになる。
【0041】
上記した一時貯留部29には、紙幣集積ドラム(ドラム)55が入出口29A側に、テープ巻戻しドラム56(ドラム)が入出口29Aとは反対側に、互いに平行をなすように配置されている。一方の紙幣集積ドラム55にテープTの一端が固定され、このテープTの他端が他方のテープ巻戻しドラム56に固定されることで、これら一対の紙幣集積ドラム55およびテープ巻戻しドラム56間にテープTが一本のみ張り渡されている。そして、テープTを一方の紙幣集積ドラム55に巻き付ける際には、他方のテープ巻戻しドラム56はテープTを媒介に連動し回動してテープTを繰り出すことになる。逆に他方のテープ巻戻しドラム56にテープTを巻き付ける際には、一方の紙幣集積ドラム55はテープTを媒介に連動し回動してテープTを繰り出すことになる。
【0042】
紙幣集積ドラム55に巻き付けられたテープTは、紙幣集積ドラム55の下部から、搬送部22の末端の横搬送路22bと略同一直線をなすように入出口29A側に延出されることになり、ローラ57によって下側に折り返され入出口29Aとは反対側のローラ58とローラ59とで案内されて入出口29Aとは反対側に延出した後、ローラ59から上方に向けて延出してテープ巻戻しドラム56に巻き付けられる。このとき、テープTは、テープ巻戻しドラム56の入出口29A側から下方に延出するように巻き付けられる。
【0043】
そして、紙幣Sの一時貯留時には、搬送部22で一枚ずつ分離された状態で搬送されてきた紙幣Sが、縦搬送部22aの搬送駆動力で横搬送路22bから一時貯留部29の入出口29Aへ一定速度で送り込まれる。このとき、テープ巻戻しドラム56および紙幣集積ドラム55は、所定の紙幣収納方向(図1における反時計回り方向)に回転しており、搬送部22から送り出された紙幣Sは、図2に示すように、その短辺方向の中間位置がテープTに重ね合わせられてテープTとともに、テープTのすでに紙幣集積ドラム55に巻き付けられている部分に巻き付けられることでテープTの間に挟持される。一時貯留部29に順次送り込まれる紙幣が、上記のようにして紙幣集積ドラム55にテープTとともに巻き付けられることになって、紙幣集積ドラム55に集積状態で収納される。このように、テープ巻戻しドラム56でテープTを繰り出しつつ紙幣集積ドラム55でテープTを巻き取って、紙幣集積ドラム55に、一時貯留部29に搬送部22から送り込まれた紙幣Sを収納する(図3(a)参照)。これが巻取り動作である。
【0044】
逆に、テープ巻戻しドラム56および紙幣集積ドラム55が、上記と反対の所定の紙幣繰出方向(図3における時計回り方向)に回転することで、紙幣集積ドラム55に集積されていた紙幣Sは、テープTのこれに重なる部分とともに紙幣集積ドラム55から離れて繰り出され、一時貯留部29の入出口29AでテープTから分離されて搬送部22へと繰り出される。このように、テープ巻戻しドラム56でテープTのみを巻取りつつ紙幣集積ドラム55でテープTを繰り出して、紙幣集積ドラム55に収納していた紙幣Sを、一時貯留部29から搬送部22に送り出す(図3(b)参照)。これが巻戻し動作である。
【0045】
このように、紙幣集積ドラム55とテープ巻戻しドラム56との間でテープTの巻取り動作および巻戻し動作を行うことにより、一枚ずつ導入される紙幣Sの集積収納および分離繰り出しを行う。なお、テープTの両端(始端および終端)は、それぞれ、紙幣集積ドラム55およびテープ巻戻しドラム56のうちの対応するものの外周面に図示せぬ取付部材によって取り付けられ、その後、巻き付けられている。
【0046】
一時貯留部29の紙幣Sを図1に示す収納部50に搬送する際には、搬送部22の縦搬送部22aおよび搬送部44が上記と同様の一定速度で回転駆動されており、一時貯留部29から繰り出された紙幣Sが搬送部44〜46を介して収納部50に向けて搬送される。他方、一時貯留部29の紙幣Sを共通放出部35に返却する際には、搬送部22の縦搬送部22aが上記と同様の一定速度で上記とは搬送方向を逆転させて駆動されることになり、一時貯留部29から繰り出された紙幣Sが搬送部22,24,21を介して共通放出部35に向け搬送される。
【0047】
ここで、第1実施形態においては、上記したように、一時貯留部29が、一時貯留のために紙幣Sを繰出可能に収納するとともに、偽券回収部30および共通取忘回収部39の紙幣Sを各処理毎に区別するための図2に示す仕切シートXを繰出可能に収納するようになっている。このため、テープTが、テープ巻戻しドラム56への固定端側の所定範囲の紙幣用テープ部TAと、紙幣集積ドラム55への固定端側の所定範囲の仕切シート用テープ部TBとを有している。なお、一時貯留部29の紙幣Sの一時貯留収納枚数を多くするため、テープTの両端のいずれか近傍付近、具体的には紙幣集積ドラム55側の端部近傍に仕切シート用テープ部TBが設けられている。また、一時貯留部29の一時貯留収納枚数として想定した紙幣Sの限度枚数と、予め収納すべきとして想定した仕切シートXの事前装填枚数とを考慮して、テープTの長さが設定されている。
【0048】
紙幣用テープ部TAは、上記のように紙幣Sを収納するための部分であり、テープ巻戻しドラム56への固定端を含む所定範囲の幅広の巻取りエンド領域TAaと、この巻取りエンド領域TAaのテープ巻戻しドラム56への固定端とは反対側の所定範囲の幅狭の巻取りニアエンド領域TAbと、この巻取りニアエンド領域TAbの巻取りエンド領域TAaとは反対側の所定範囲の幅広の紙幣収納領域TAcとを有している。
【0049】
また、仕切シート用テープ部TBは、上記した紙幣Sとは異なる仕切シートXを収納するための部分であり、紙幣集積ドラム55への固定端を含む所定範囲の幅狭の巻戻しエンド領域TBaと、この巻戻しエンド領域TBaの紙幣集積ドラム55への固定端とは反対側の所定範囲の幅広の巻戻しニアエンド領域TBbと、この巻戻しニアエンド領域TBbの巻戻しエンド領域TBaとは反対側の所定範囲の幅狭の仕切シート収納領域TBcとを有している。この仕切シート収納領域TBcが紙幣用テープ部TAの紙幣収納領域TAcと隣り合っている。なお、幅広の巻取りエンド領域TAa、紙幣収納領域TAcおよび巻戻しニアエンド領域TBbは互いに同じ幅となっており、幅狭の巻取りニアエンド領域TAb、仕切シート収納領域TBcおよび巻戻しエンド領域TBaも互いに同じ幅となっている。勿論、テープTの領域TAa〜TAc,TBa〜TBcの幅をすべて異ならせるようにしても良い。
【0050】
そして、図1に示すように、紙幣集積ドラム55の近傍には、テープTの紙幣集積ドラム55から横搬送路22bと略同一直線をなすように入出口29Aに向け延出される入出路位置の幅の相違を検出することで、テープTの各領域TAa〜TAc,TBa〜TBcを検出する領域識別センサ62が設けられている。すなわち、図2に示すように、テープTは、すべての領域TAa〜TAc,TBa〜TBcが、隣り合うものとで幅が相違するようになっており、この幅の異なる隣り合う領域の境界位置を領域識別センサ62で検知するようになっている。
【0051】
具体的に、上記した巻戻し動作によって、テープTが紙幣集積ドラム55から最も繰り出されテープ巻戻しドラム56に最も巻き付けられた巻戻しエンド状態では、領域識別センサ62が、テープTの幅狭の巻戻しエンド領域TBaと幅広の巻戻しニアエンド領域TBbとの境界位置を検出した状態にあり、この状態から、巻取り動作が行われると、領域識別センサ62が、幅広の巻戻しニアエンド領域TBbを検出後、幅狭の仕切シート収納領域TBcを検出する。このようにして、仕切シート用テープ部TBが紙幣集積ドラム55に巻き付けられることになり、その後、領域識別センサ62が、幅狭の仕切シート収納領域TBcから幅広の紙幣収納領域TAcを検出することになる。続く、幅広の紙幣収納領域TAcの検出中は、紙幣用テープ部TAの紙幣収納領域TAcが紙幣集積ドラム55に巻き付けられることになり、幅広の紙幣収納領域TAcと幅狭の巻取りニアエンド領域TAbとの境界位置が検出されると、紙幣用テープ部TAがニアエンド位置となり、次に、幅狭の巻取りニアエンド領域TAbと幅広の巻取りエンド領域TAaとの境界位置が検出されると、紙幣用テープ部TAがエンド位置となって、図3(a)に示すように、テープTが最もテープ巻戻しドラム56から繰り出され最も紙幣集積ドラム55に巻き付けられた巻取りエンド状態となる。
【0052】
このように巻取り動作によって、テープTがテープ巻戻しドラム56から最も繰り出され紙幣集積ドラム55に最も巻き付けられた巻取りエンド状態では、上記したように、領域識別センサ62が、テープTの幅広の巻取りエンド領域TAaと幅狭の巻取りニアエンド領域TAbとの境界位置を検出した状態にあり、この状態から、巻戻し動作が行われると、領域識別センサ62が、幅狭の巻取りニアエンド領域TAbを検出後、幅広の紙幣収納領域TAcを検出する。このようにして、紙幣用テープ部TAがテープ巻戻しドラム56に巻き付けられることになり、その後、領域識別センサ62が、幅広の紙幣収納領域TAcから幅狭の仕切シート収納領域TBcを検出することになる。続く、幅狭の仕切シート収納領域TBcの検出中は、仕切シート用テープ部TBの仕切シート収納領域TBcがテープ巻戻しドラム56に巻き付けられることになり、幅狭の仕切シート収納領域TBcと幅広の巻戻しニアエンド領域TBbとの境界位置が検出されると、仕切シート用テープ部TBがニアエンド位置となり、次に、幅広の巻戻しニアエンド領域TBbと幅狭の巻戻しエンド領域TBaとの境界位置が検出されると、仕切シート用テープ部TBがエンド位置となって、図3(b)に示すように、テープTが最も紙幣集積ドラム55から繰り出され最もテープ巻戻しドラム56に巻き付けられた巻戻しエンド状態となる。
【0053】
このように、仕切シート用テープ部TBと他のテープ部である紙幣用テープ部TAとは、互いの境界側の仕切シート収納領域TBcおよび紙幣収納領域TAcの幅が異なっており、この幅の違いで区別されている(区別手段)。なお、テープTの幅が変化する各領域TAa〜TAc,TBa〜TBcの境界位置は、紙幣Sおよび仕切シートXのいずれも保持する部分ではなく、紙幣Sあるいは仕切シートXで領域識別センサ62による検出が妨げられることはない。また、領域識別センサ62は、テープTの幅以外にも、テープTよりも幅広の紙幣Sおよび仕切シートXの紙幣集積ドラム55に対する入出をも検出する。
【0054】
ここで、仕切シート用テープ部TBと紙幣用テープ部TAとの区別を含む上記した巻取りエンド領域TAa、巻取りニアエンド領域TAb、紙幣収納領域TAc、仕切シート収納領域TBc、巻戻しニアエンド領域TBbおよび巻戻しエンド領域TBaの区別は、テープの幅の相違に限らず、色の相違、光の透過率の相違、模様の相違等を採用でき、その場合、それぞれに応じた領域識別センサを採用することになる。
【0055】
紙幣用テープ部TAは、上記のように紙幣Sとともに紙幣集積ドラム55に巻き付けられることで紙幣Sを一枚ずつ順に収納したり、紙幣集積ドラム55から繰り出されることで収納していた紙幣Sを一枚ずつ順に繰り出したりする部分である。紙幣Sを収納するための紙幣収納領域TAcは、紙幣Sを搬送部22の搬送速度により設定される所定の間隔で所定枚数収納可能な長さを有している。一時貯留部29は、通常、この紙幣用テープ部TAだけを紙幣集積ドラム55から繰り出すようになっている。
【0056】
仕切シート用テープ部TBは、紙幣Sとは異なる仕切シートXとともに紙幣集積ドラム55に巻き付けられることで仕切シートXを一枚ずつ順に収納したり、紙幣集積ドラム55から繰り出されることで収納していた仕切シートXを一枚ずつ順に繰り出したりする部分となっている。言い換えれば、一時貯留部29は、一方の紙幣集積ドラム55に少なくとも一つの仕切シートXを、テープTのうちの紙幣Sを収納するための紙幣用テープ部TAよりも紙幣集積ドラム55への固定端側の仕切シート用テープ部TBとともに巻き付けて繰出可能に収納している。仕切シートXを収納するための仕切シート収納領域TBcは、仕切シートXを搬送部22の搬送速度により設定される所定の間隔で所定枚数収納可能な長さを有している。仕切シート用テープ部TBは、通常、紙幣集積ドラム55に巻き付けられた状態が維持されていて、必要な場合のみ、紙幣集積ドラム55から繰り出される。
【0057】
なお、仕切シートXは、紙幣処理機11での取り扱いに都合の良い大きさの範囲内で、紙幣Sと長辺方向および短辺方向の長さが明確に区別されるそれぞれの長さで構成されている。なお、仕切シートXには、識別部28によって仕切シートXであることを識別可能な情報が読み取り可能に記録されており、例えば、識別部28によって読み取り可能な識別管理番号1,2,3,4,5,・・・等が記録されている。
【0058】
図1に示すように、紙幣処理機11は、その作動を制御する制御部65と、情報を記憶する記憶部66と、操作者に向けて画像表示を行う表示部67と、操作者に向けて音声出力を行う音声発生部68と、操作者の操作入力を受け付ける操作部69と、外部と通信する通信部70とを有している。制御部65は、上記した識別部28、投入検出センサ15、残留検出センサ17、偽券回収検出センサ31、取忘回収検出センサ40、領域識別センサ62等からの信号を受けて各部を制御する。
【0059】
以上に述べた第1実施形態の紙幣処理機11の作動について説明する。なお、投入口シャッタ14は閉状態が待機状態であり、放出口シャッタ16も閉状態が待機状態となっている。また、一時貯留部29は、領域識別センサ62で、テープTの紙幣用テープ部TAと仕切シート用テープ部TBとの境界位置つまり紙幣収納領域TAcと仕切シート収納領域TBcとの境界位置が検出され、テープTの仕切シート用テープ部TBが紙幣集積ドラム55に巻き付けられた状態が待機状態となっている(図3(c)参照)。
【0060】
〔仕切シート補充処理モード〕
仕切シート補充処理モードは、仕切シートXを一時貯留部29に収納するためのモードであり、例えば、一日の業務開始のための準備段階で実行されるものである。仕切シート補充処理モードが操作部69に選択入力されると、制御部65は、仕切シート補充処理を実行する。つまり、まず、一時貯留部29の仕切シートXが最大収納状態にあるか、仕切シートXが最大収納状態にはないものの仕切シートXが残存している状態にあるか、仕切シートXがない状態にあるかを記憶部66の情報から判定する。一時貯留部29の仕切シートXが最大収納状態にある場合、制御部65は、表示部67および音声発生部68により仕切シートXが最大収納状態にあることを報知して今回の仕切シート補充処理モードを終了する。
【0061】
他方、仕切シートXが最大収納状態にはないものの一時貯留部29に残存している状態にある場合、制御部65は、投入口シャッタ14を開いて投入口12を開放し、表示部67に仕切シートXの投入を促す表示を表示させるとともに、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56に巻戻し動作を実行させ、繰出側の一枚目の仕切シートXの先端を領域識別センサ62で検出した時点で、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を停止させる。
【0062】
また、仕切シートXの残数がない場合、制御部65は、投入口シャッタ14を開いて投入口12を開放し、表示部67に仕切シートXの投入を促す表示を表示させるとともに、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56に巻戻し動作を実行させ、図3(b)に示す巻戻しエンド状態となると、紙幣集積ドラム55およびテープ巻戻しドラム56を停止させる。ここで、制御部65は、巻戻し動作中、領域識別センサ62が、幅狭の仕切シート収納領域TBcと幅広の巻戻しニアエンド領域TBbとの境界位置を検出するまでは、紙幣集積ドラム55およびテープ巻戻しドラム56を高速回転させることになり、この境界位置が検出されると、紙幣集積ドラム55およびテープ巻戻しドラム56を低速回転に切り替え、最終的に、領域識別センサ62で幅広の巻戻しニアエンド領域TBbと幅狭の巻戻しエンド領域TBaとの境界位置が検出されると、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を停止させる。なお、制御部65は、巻戻し動作において常にこの制御を行う。
【0063】
上記のように投入口12が開放されると、操作者が、一枚あるいは複数枚の仕切シートXを投入口12内に投入する。複数枚の仕切シートXを投入する場合、操作者は、長辺方向を揃え、短辺方向も揃えて、厚さ方向に集積した状態で、投入口12内に投入する。そして、投入検出センサ15で仕切シートXが検出された状態で処理の開始の指示が操作部69に入力されると、制御部65は、投入口シャッタ14を閉じる。次に、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56が上記の停止状態にあることを条件に、制御部65は、分離繰出部19および搬送部21,22を正転駆動する。すると、投入口12内の仕切シートXを分離繰出部19で一枚ずつ分離して搬送部21に繰り出し、識別部28で識別して、識別管理番号を記憶しつつ搬送部21,22で搬送する。そして、仕切シートXの識別部28での検出タイミングに基づいて一時貯留部29の紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56に巻取り動作を行わせて、仕切シートXを所定の間隔で順次収納する。つまり、回転する紙幣集積ドラム55に、仕切シートXを順次所定の間隔をあけて、テープTの仕切シート収納領域TBcとともに巻き付けて収納する。そして、所定枚数の仕切シートXの収納後に、仕切シート用テープ部TBと紙幣用テープ部TAとの境界位置つまり幅狭の仕切シート収納領域TBcと幅広の紙幣収納領域TAcとの境界位置が領域識別センサ62により検出されると、制御部65は、図3(c)に示すように、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を停止させて一時貯留部29を待機状態とする。
【0064】
なお、識別部28は、仕切シート補充処理の実行中に、仕切シートXの数を計数しており、識別部28が仕切シート収納領域TBcの範囲内に収納可能な所定枚数を超える仕切シートXを検出すると、制御部65は、この仕切シートXを含む以降の仕切シートXを搬送部21で放出口13に放出する。また、制御部65は、識別部28で識別不能であった仕切シートXについても放出口13に放出する。加えて、一時貯留部29に送り込むことができた仕切シートXの枚数が、一時貯留部29を最大収納状態とする枚数に足りない場合は、送り込まれた仕切シートXのみを収納させる。そして、仕切シート補充処理の実行中に、投入口12の仕切シートXがなくなったことが投入検出センサ15で検出されると、制御部65は、分離繰出部19を停止させることになり、その後、すべての仕切シートXの、一時貯留部29および放出口13のいずれか対応するものへの搬送が終了した時点で、搬送部21,22を停止させる。
【0065】
なお、仕切シート補充処理の実行中に放出口13に放出された仕切シートXがある場合、制御部65は、上記した搬送部21,22の停止後に、放出口シャッタ16を開いて放出口13を開放するとともに、仕切シートXの取り出しを促す表示および音声出力を表示部67および音声発生部68に実行させる。そして、残留検出センサ17で仕切シートXが検出されなくなると、放出口シャッタ16を閉じて放出口13を閉鎖し、今回の仕切シート補充処理モードを終了する。他方、仕切シート補充処理の実行中に放出口13に放出される仕切シートXがなければ、制御部65は、すべての仕切シートXの一時貯留部29への搬送が終了した時点で搬送部21,22を停止させることになり、上記のように、所定枚数の仕切シートXの収納後に検出される、仕切シート用テープ部TBと紙幣用テープ部TAとの境界位置が領域識別センサ62で検出され、紙幣集積ドラム55およびテープ巻戻しドラム56を停止させて待機状態にすると、今回の仕切シート補充処理モードを終了する。
【0066】
〔入金処理モード(通常処理モード)〕
紙幣Sを紙幣処理機11に入金する通常処理モードの入金処理モードが操作部69に選択入力されると、制御部65は、入金処理を実行する。つまり、まず投入口シャッタ14を開いて投入口12を開放し、表示部67に紙幣Sの投入を促す表示を表示させる。このように投入口12が開放されると、操作者が、一枚あるいは複数枚の紙幣Sを投入口12内に投入する。複数枚の紙幣Sを投入する場合、操作者は、これら紙幣の長辺方向を揃え、短辺方向も揃えて、厚さ方向に集積した紙幣群SSの状態で、投入口12内に投入する。そして、投入検出センサ15で紙幣Sが検出された状態で入金処理の開始の指示が操作部69に入力されると、制御部65は、投入口シャッタ14を閉じて投入口12を閉鎖する。次に、制御部65は、分離繰出部19および搬送部21,22を正転駆動し、投入口12内の紙幣Sを分離繰出部19で一枚ずつ分離して搬送部21に繰り出し、識別部28で識別する。そして、識別部28により真券と識別された紙幣Sを搬送部21,22で一時貯留部29に搬送し、識別部28で偽券と識別された紙幣Sを搬送部21,22および搬送路23で偽券回収部30に搬送し、識別部28によって識別不能券と識別された紙幣Sを、搬送部21でそのまま放出口13に向けて搬送する。
【0067】
一時貯留部29に搬送された紙幣Sは、一時貯留部29でテープTとともに紙幣集積ドラム55に巻き付けられて順次収納される。つまり、識別部28での検出タイミングに合わせて紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56に巻取り動作を行わせることになり、回転する紙幣集積ドラム55に、紙幣Sを順次所定の間隔をあけて、テープTの紙幣収納領域TAcとともに順次巻き付けて収納する。そして、投入口12の紙幣Sがなくなったことが投入検出センサ15で検出されると、制御部65は、分離繰出部19を停止させることになり、識別部28で最後に真券と識別された紙幣Sが一時貯留部29に収納されるタイミングで、制御部65は、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を停止させるとともに(図3(a)参照)、投入されたすべての紙幣Sの、一時貯留部29、偽券回収部30および放出口13のいずれか対応するものへの搬送が終了した時点で、搬送部21,22を停止させる。そして、今回処理の識別部28の識別結果を、記憶部66に記憶するとともに表示部67に表示させる。なお、入金処理中に放出口13に放出された紙幣Sがある場合、制御部65は、搬送部21,22の停止後に、放出口シャッタ16を開いて放出口13を開放するとともに、紙幣Sの取り出しを促す表示および音声出力を表示部67および音声発生部68に実行させる。
【0068】
表示部67に表示された識別結果の確認後、操作者が操作部69に承認操作を入力すると、制御部65は、入金処理の収納処理を開始する。収納処理では、搬送部44〜46を正転駆動して、一時貯留部29に巻戻し動作を行わせることになり、紙幣集積ドラム55にテープTの紙幣収納領域TAcとともに巻き付けられていた紙幣Sを順次繰り出すことになる。そして、一時貯留部29から繰り出された紙幣Sを記憶部66に記憶された識別情報に基づいて、あるいは一括でそれぞれ収納庫47〜49のうちの対応するものに振り分けて収納させる。一時貯留部29の巻戻し動作中に、領域識別センサ62で、紙幣用テープ部TAと仕切シート用テープ部TBとの境界位置が検出されると、制御部65は、図3(c)に示すように、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を停止させる。この時点では、一時貯留部29の仕切シートXは、紙幣集積ドラム55に収納された状態のままとなる。
【0069】
そして、一時貯留部29からすべての紙幣Sが繰り出され、これらの紙幣Sがすべて収納庫47〜49のうちの対応するものに収納されるタイミングで、制御部65は、搬送部44〜46を停止させるとともに、今回の入金処理の実行中に識別部28が偽券と識別した紙幣Sがあるか否かと、今回の入金処理の実行中に識別部28が識別不能券と識別した紙幣Sがあるか否かとを判断する。
【0070】
今回の入金処理の実行中に、偽券と識別した紙幣Sがなく識別不能券と識別した紙幣Sもなければ、制御部65は、今回の入金処理モードを終了する。また、今回の入金処理の実行中に、偽券と識別した紙幣Sがあり識別不能券と識別した紙幣Sがない場合、制御部65は、以下の偽券用仕切シート配布動作のみを行ってから、今回の入金処理モードを終了する。また、今回の入金処理の実行中に、偽券と識別した紙幣Sがあり識別不能券と識別した紙幣Sもあった場合、制御部65は、以下の偽券用仕切シート配布動作を行った後、以下の取忘判断と、その結果により必要により取忘用仕切シート配布動作を行ってから、今回の入金処理モードを終了する。また、今回の入金処理の実行中に、偽券と識別した紙幣がなく識別不能券と識別した紙幣があった場合、制御部65は、以下の取忘判断と、その結果により必要により取忘用仕切シート配布動作を行って、今回の入金処理モードを終了する。
【0071】
「偽券用仕切シート配布動作(異常処理動作)」
制御部65は、異常処理動作である偽券用仕切シート配布動作の開始にあたり、搬送部22を逆転駆動し、待機状態にある一時貯留部29の紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56に巻戻し動作を行わせて一枚の仕切シートXを繰り出して搬送部22および搬送路23を介して偽券回収部30に送り込むことになる。なお、紙幣集積ドラム55から一枚の仕切シートXが繰り出されたことが領域識別センサ62で検出されると、制御部65は、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を待機状態に戻す。このとき、繰り出された仕切シートXの次およびそれ以降の仕切シートXは、紙幣集積ドラム55に収納された状態のままとなる。偽券回収部30に仕切シートXが収納されたことが偽券回収検出センサ31で検出されると、制御部65は、搬送部22を停止させるとともに、この仕切シートXに対して予め識別部28で識別され記憶部66に記憶されていた識別管理番号を、今回の偽券用仕切シート配布動作を含む入金処理(または後述の計数処理)の処理識別番号に関連付けして記憶部66に記憶させて、偽券用仕切シート配布動作を終了する。
【0072】
これにより、今回の処理の実行で偽券と識別され偽券回収部30に強制回収された一枚以上の紙幣Sの上に仕切シートXが配置されることになり、以降の処理の実行で偽券回収部30に強制回収される紙幣Sは、この仕切シートXの上に配置されることになって、区別される。つまり、偽券用仕切シート配布動作毎に、偽券と識別された紙幣Sの上に仕切シートXが重ねられることになるため、仕切シートXで仕切られることにより各偽券用仕切シート配布動作毎に紙幣Sが区別されることになり、言い換えれば、偽券用仕切シート配布動作を含む各処理毎に紙幣Sが区別されることになる。よって、業務終了後に、これらを偽券回収部30からそのままの集積状態で取り出すことにより、処理毎に紙幣Sを区別できる。
【0073】
「取忘判断」
制御部65は、放出口13の残留検出センサ17で紙幣Sの有無を検出する。残留検出センサ17で紙幣Sが検出されなければ、制御部65は、開状態にあった放出口シャッタ16を閉じて、取忘用仕切シート配布動作を行わずに終了する。他方、残留検出センサ17で紙幣Sが検出されていると、制御部65は、所定時間待機することになり、この所定時間経過前に残留検出センサ17で紙幣Sが検出されなくなると、放出口シャッタ16を閉じて、取忘用仕切シート配布動作を行わずに終了する。これに対して、所定時間経過しても残留検出センサ17で紙幣Sが検出されていた場合、制御部65は、一部または全部の紙幣Sの放出口13での取り忘れが発生したと判断して、以下の取忘用仕切シート配布動作を実行する。
【0074】
「取忘用仕切シート配布動作(異常処理動作)」
異常処理動作である取忘用仕切シート配布動作の開始に当たり、制御部65は、放出口シャッタ16を閉じた後、分離繰出部34および搬送部38を正転駆動して、放出口13内の紙幣Sをすべて取り忘れの紙幣Sとして共通取忘回収部39に収納させる。放出口13内の紙幣Sがすべて共通取忘回収部39に収納されたことが残留検出センサ17および取忘回収検出センサ40で検出されると、制御部65は、分離繰出部34および搬送部38を停止させるとともに、搬送部22を逆転駆動し、搬送部21,24を正転駆動して、一時貯留部29にさらなる巻戻し動作を行わせて一枚の仕切シートXを搬送部22,24,21を介して放出口13に放出させる。なお、一時貯留部29の巻戻し動作により紙幣集積ドラム55から一枚の仕切シートXが繰り出されたことが領域識別センサ62で検出されると、制御部65は、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を待機状態に戻す。そして、残留検出センサ17で仕切シートXが放出口13に放出されたことを検出すると、制御部65は、搬送部22,24,21を停止させるとともに、分離繰出部34および搬送部38を正転駆動して、放出口13内の仕切シートXを共通取忘回収部39に収納させる。放出口13内の仕切シートXが共通取忘回収部39に収納されたことが残留検出センサ17および取忘回収検出センサ40で検出されると、制御部65は、分離繰出部34および搬送部38を停止させるとともに、この仕切シートXに対して予め識別部28で識別され記憶部66に記憶されていた識別管理番号を、今回の取忘用仕切シート配布動作を含む入金処理(または後述する計数処理または後述する出金処理)の処理識別番号に関連付けして記憶部66に記憶させて、取忘用仕切シート配布動作を終了する。
【0075】
これにより、今回の処理の実行で発生し共通取忘回収部39に強制回収された一枚または複数枚の取り忘れの紙幣Sの上に仕切シートXが配置されることになり、以降の処理の実行で発生する取り忘れの紙幣Sは、この仕切シートXの上に配置されることになって、区別される。つまり、取忘用仕切シート配布動作が発生する都度、取り忘れの紙幣Sの上に仕切シートXが重ねられることになるため、仕切シートXで仕切られることにより各取忘用仕切シート配布動作毎に取り忘れの紙幣Sが区別されることになり、言い換えれば、取忘用仕切シート配布動作を含む各処理毎に取り忘れの紙幣Sが区別されることになる。よって、業務終了後に、これらを共通取忘回収部39からそのままの集積状態で取り出すことにより処理毎に紙幣Sを区別できる。なお、仕切シートXを一時貯留部29から共通取忘回収部39に搬送する上記一連の取忘用仕切シート配布動作にあっては、放出口シャッタ16は閉状態に維持され、放出口13は閉じられたままとなる。
【0076】
ここで、一の処理に対して偽券用仕切シート配布動作と取忘用仕切シート配布動作の両方を行う場合、一枚目の仕切シートXを繰り出した後、二枚目の仕切シートXを繰り出すまでは、一時貯留部29を待機状態に戻さずにいても良い。
【0077】
上記のように表示部67に表示された入金処理による識別結果の確認後、操作者が操作部69にキャンセル操作を入力すると、制御部65は、放出口シャッタ16が閉じられている場合はその状態のまま、放出口シャッタ16が開かれている場合はこれを閉じた後、入金処理の返却処理を開始する。返却処理では、搬送部22を逆転駆動し、搬送部21,24を正転駆動するとともに、一時貯留部29の紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56に巻戻し動作を行わせることになり、紙幣集積ドラム55にテープTの紙幣収納領域TAcとともに巻き付けられていた紙幣Sを順次繰り出すことになる。これにより、一時貯留部29から繰り出された紙幣Sがすべて放出口13に放出される。一時貯留部29の巻戻し動作中に、領域識別センサ62によって、紙幣用テープ部TAと仕切シート用テープ部TBとの境界位置が検出されると、制御部65は、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を停止させる。この時点では、一時貯留部29の仕切シートXは、紙幣集積ドラム55に収納された状態のままとなる。
【0078】
そして、一時貯留部29からすべての紙幣Sが繰り出され、これら紙幣Sがすべて放出口13に放出されるタイミングで、制御部65は、搬送部21,22,24を停止させるとともに、放出口シャッタ16を開き、その後、上記した取忘判断を行い、その結果、所定時間経過しても残留検出センサ17で紙幣Sが検出されていた場合、上記した取忘用仕切シート配布動作を実行する。
【0079】
〔計数処理モード(通常処理モード)〕
紙幣Sを紙幣処理機11で計数して返却する通常処理モードの計数処理モードが操作部69に選択入力されると、制御部65は、計数処理を実行する。つまり、入金処理と同様、まず投入口シャッタ14を開いて投入口12を開放し、表示部67に紙幣Sの投入を促す表示を表示させる。そして、投入検出センサ15で紙幣Sが検出された状態で処理の開始の指示が操作部69に入力されると、制御部65は、投入口シャッタ14を閉じて投入口12を閉鎖する。次に、制御部65は、分離繰出部19および搬送部21,22を正転駆動し、投入口12内の紙幣Sを分離繰出部19で一枚ずつ分離して搬送部21に繰り出し、識別部28で識別する。そして、識別部28により真券と識別された紙幣Sを搬送部21でそのまま放出口13に向けて搬送し、識別部28で偽券と識別された紙幣Sを搬送部21および搬送路23で偽券回収部30に搬送し、識別部28によって識別不能券と識別された紙幣Sを、搬送部21でそのまま放出口13に向けて搬送する。
【0080】
そして、投入口12の紙幣Sがなくなったことが投入検出センサ15で検出されると、制御部65は、分離繰出部19を停止させることになり、投入されたすべての紙幣Sの、偽券回収部30および放出口13のいずれか対応するものへの搬送が終了した時点で、搬送部21,22を停止させる。制御部65は、今回の計数処理の実行中に識別不能券がなければ、識別部28の識別結果を、今回の計数処理の処理識別番号と関連付けて記憶部66に記憶するとともに表示部67に表示させる。他方、識別不能券があれば、偽券があった場合のみ偽券の識別情報を今回の計数処理の処理識別番号と関連付けて記憶部66に記憶することになり、識別不能券があって偽券がなかった場合は、識別部28の識別結果を記憶部66に記憶しない。そして、識別不能券があった場合、制御部65は、表示部67には計数が適正に行われなかった旨を表示させる。
【0081】
そして、制御部65は、上記した搬送部21,22の停止後に、放出口シャッタ16を開いて放出口13を開放するとともに、紙幣Sの取り出しを促す表示および音声出力を表示部67および音声発生部68に実行させる。
【0082】
次に、今回の計数処理の実行中に、識別部28が偽券と識別した紙幣Sがあった場合は、上記した偽券用仕切シート配布動作を行った後、上記した取忘判断を行い、その結果、所定時間経過しても残留検出センサ17で紙幣Sが検出されていた場合、上記した取忘用仕切シート配布動作を行ってから、今回の計数処理モードを終了する。また、今回の計数処理の実行中に、識別部28が偽券と識別した紙幣Sがなかった場合は、上記した取忘判断を行い、その結果、所定時間経過しても残留検出センサ17で紙幣Sが検出されていた場合、上記した取忘用仕切シート配布動作を行ってから、今回の計数処理モードを終了する。
【0083】
以上において、制御部65は、領域識別センサ62の入出の検出結果から一時貯留部29に収納されている仕切シートXの枚数および今回の処理での仕切シートXの繰り出しの枚数を把握しており、これに基づいて、上記した入金処理モードの実行後および計数処理モードの実行後(および後述する出金処理モードの実行後)のそれぞれに、仕切シートXが一時貯留部29で不足状態になったか否かを判断する。
【0084】
ここで、一時貯留部29に仕切シートXがなくても、偽券回収部30および共通取忘回収部39のそれぞれについて、収納の最後位置(最上位置)に仕切シートXがあれば、その後の一回に限り紙幣Sを収納しても以前の処理で収納された紙幣Sに対して紙幣Sの区別ができる。このため、入金処理モードおよび計数処理モード(および後述する出金処理モード)のいずれかの実行中に、一時貯留部29に仕切シートXがなくても、制御部65は、偽券回収部30および共通取忘回収部39の少なくともいずれか一方に対して紙幣Sを収納し、円滑な業務運用につなげるようになっている。そして、この場合、今回の処理の処理識別番号に関連付けして記憶部66に記憶する仕切シートXの識別管理番号は「シートなし」として一時的に記憶する。
【0085】
よって、今回の処理(入金処理または計数処理(または後述する出金処理))で、偽券回収部30および共通取忘回収部39の少なくともいずれか一方に対して紙幣Sを収納した後に仕切シートXの配布ができなかった場合に限り、制御部65は、仕切シートXが一時貯留部29で不足していると判断する。このため、一時貯留部29に収納している仕切シートXの数を厳密に管理していなくても、仕切シートXを繰り出そうとして一時貯留部29に巻戻し動作を行わせ、領域識別センサ62で仕切シートXが検出されずに巻戻しニアエンド領域TBbあるいは巻戻しエンド領域TBaが検出されてしまった場合に、仕切シートXが不足していると判断するようにしても良い。
【0086】
そして、入金処理モードの実行後および計数処理モードの実行後(および後述する出金処理モードの実行後)に、一時貯留部29での仕切シートXが不足していると判断すると、制御部65は、表示部67および音声発生部68に仕切シートXの補充を指示する補充指示信号を出力するとともに、通信部70を介して外部の管理担当部署あるいは管理センターの管理機に仕切シートXの補充を指示する補充指示信号を出力する。すると、表示部67および音声発生部68が仕切シートXの補充を報知することになり、外部の管理機も、仕切シートXの補充を報知することになる。また、一時貯留部29での仕切シートXが不足していると判断すると、制御部65は、上記した仕切シートXを補充するための仕切シート補充処理モードに自動的に移行する。
【0087】
上記の仕切シート補充処理モードが終了し、識別部28および領域識別センサ62の検出結果から、今回の仕切シート補充処理にて仕切シートXが一時貯留部29に補充されたと判断した場合に限り、制御部65は、まず、「シートなし」が記憶されている、偽券回収部30および共通取忘回収部39の少なくともいずれか一方に、一時貯留部29に補充された繰出側一枚目の仕切シートXから「シートなし」に対応して仕切シートXを収納させることになり、合わせて、記憶部66に記憶されている仕切シートXの識別管理番号を、「シートなし」から収納された仕切シートXの識別管理番号に上書き変更する。このようにして「シートなし」状態をすべて解消した後、制御部65は、通常処理モードである入金処理モードおよび計数処理モード(および後述する出金処理モード)への移行を許可する。つまり、仕切シートXが一時貯留部29に収納されている状態にならなければ、制御部65は、通常処理モードである入金処理モードおよび計数処理モード(および後述する出金処理モード)への移行は禁止することになり、紙幣処理機11は、入金処理モードおよび計数処理モード(および後述する出金処理モード)の実行が不可となる。
【0088】
なお、制御部65は、「シートなし」が記憶されている、偽券回収部30および共通取忘回収部39の少なくともいずれか一方が存在している状態で「仕切シート補充処理モード」を実行する場合、上記のように、すべての仕切シートXを一時貯留部29へ一旦補充した後、「シートなし」に対応して仕切シートXの収納動作を行うのではなく、「シートなし」の偽券回収部30および共通取忘回収部39の少なくともいずれか一方に、補充側一枚目から「シートなし」に対応して仕切シートXを送り込んで「シートなし」状態をすべて解消した後、残りの仕切シートXを一時貯留部29に補充し、合わせて、記憶部66に記憶する仕切シートXの識別管理番号を、「シートなし」から収納された仕切シートXの識別管理番号に上書き変更するようにすることもできる。
【0089】
なお、今回の処理で、偽券回収部30および共通取忘回収部39の少なくともいずれか一方に対して紙幣Sを収納し、収納した紙幣Sに対し、不足なく仕切シートXの配布をした上で、一時貯留部29に仕切シートXがなくなった場合に、仕切シートXが一時貯留部29で不足していると判断して、表示部67、音声発生部68および外部の管理機に補充指示信号を出力するようにしても良い。このようにすれば、一時貯留部29内の仕切シートXが不足状態になった場合でも、次以降の処理において、紙幣Sが偽券回収部30および共通取忘回収部39の少なくともいずれか一方に収納されるまでの時間内は、紙幣処理機11による取り引きを続けることができ、この間に仕切シートXを補充すれば良く、円滑な業務運用が図れる。また、補充する仕切シートXが何らかの事情によって、紙幣処理機11の側に準備されていないことも想定され得るが、このような場合も、準備の時間を確保でき、不都合を回避することができる。この場合は、一時貯留部29での仕切シートXが不足していると判断しても、制御部65は、上記した仕切シート補充処理モードに自動的に移行することなく、その後、仕切シートXの配布を伴わない紙幣Sの収納が偽券回収部30および共通取忘回収部39の少なくともいずれか一方に対して行われた場合に、上記した仕切シート補充処理モードに自動的に移行することになる。勿論、一時貯留部29に仕切シートXがなくなった場合には、自動的に上記した仕切シート補充処理モードに移行するようにしても良い。
【0090】
以上に述べた第1実施形態によれば、一対の紙幣集積ドラム55およびテープ巻戻しドラム56とこれらの間に張り渡されたテープTとを備え、送り込まれる紙幣Sを一方の紙幣集積ドラム55にテープTとともに巻き付けて繰出可能に収納する一時貯留部29が、一方の紙幣集積ドラム55に仕切シートXを、テープTのうちの紙幣Sを収納するための紙幣用テープ部TAよりも一方の紙幣集積ドラム55への固定端側の仕切シート用テープ部TBとともに巻き付けて収納しており、偽券回収部30あるいは共通取忘回収部39に紙幣Sを収納した場合に、一方の紙幣集積ドラム55に収納している仕切シートXを一時貯留部29から繰り出して、偽券回収部30あるいは共通取忘回収部39に収納することになるため、同一の偽券回収部30あるいは同一の共通取忘回収部39に複数の紙幣Sを収納する際に、必要な位置に仕切シートXを配置することができ、仕切シートXで分類して金種および枚数を管理することができる。
【0091】
つまり、各偽券用仕切シート配布動作毎に紙幣Sが区別されることになり、偽券用仕切シート配布動作を伴う各処理毎に紙幣Sが区別されることになるため、偽券用仕切シート配布動作(顧客)毎の、偽券と識別された紙幣Sに係る金種、枚数を管理すること等により効率的な運用が図られ良好となる。同様に、各取忘用仕切シート配布動作毎に紙幣Sが区別されることになり、取忘用仕切シート配布動作を伴う各処理毎に紙幣Sが区別されることになるため、取忘用仕切シート配布動作(顧客)毎の、取り忘れの紙幣Sに係る金種、枚数を管理すること等により効率的な運用が図られ良好となる。
【0092】
しかも、仕切シートXの識別管理番号を、偽券用仕切シート配布動作を伴う各処理毎の処理識別番号と関連付けて記憶部66に記憶することになり、取忘用仕切シート配布動作を伴う各処理毎の処理識別番号と関連付けて記憶部66に記憶することになるため、顧客業務終了後、偽券回収部30および共通取忘回収部39を開庫した場合に、図示せぬ上位機、例えばATMの取引データと、仕切シートXによって仕分けされている偽券と識別された紙幣Sおよび取り忘れ紙幣Sからなる異常紙幣の金種、枚数とを精査することで、各処理(顧客)毎の偽券および取忘紙幣に係る金種、枚数を管理することができる。例えば、管理番号N1の仕切シート前の異常紙幣一枚ないし複数枚(以下、異常紙幣群という)は処理M1の異常紙幣群であるとして区別し、管理番号N1の仕切シートと管理番号N2の仕切シート間の異常紙幣群は処理M2の異常紙幣群であるとして区別し、以下同様に、管理番号Nnの仕切シートと管理番号Nn+1の仕切シート間の異常紙幣群は処理Mn+1の異常紙幣群であるとして区別することができる。
【0093】
加えて、仕切シートXを、テープTのうちの紙幣Sを収納するための紙幣用テープ部TAよりも紙幣集積ドラム55への固定端側の仕切シート用テープ部TBとともに紙幣集積ドラム55へ巻き付けて収納し、これを必要により繰り出すため、仕切シートXを収納し繰り出すための専用の機構が不要になり、コストを低減することができる。
【0094】
また、投入部20に投入され識別部28で偽券と識別された紙幣Sを収納する偽券回収部30と、識別部28で識別不可の紙幣Sを機外に取出可能に返却するとともに一時貯留部29から繰り出された紙幣Sを機外に取出可能に返却する共通放出部35で取り忘れられた紙幣Sを収納する共通取忘回収部39とに対して、一時貯留部29から仕切シートXを導入することができるため、これら偽券回収部30および共通取忘回収部39に収納する紙幣Sを分類して管理することができる。
【0095】
また、識別部28で識別不可の紙幣および一時貯留部29から繰り出された紙幣Sを機外に取出可能に返却する共通の共通放出部35から取り忘れの紙幣Sを収納する共通取忘回収部39にて、紙幣Sを分類して管理することができる。
【0096】
また、テープTは、仕切シートXを収納するための仕切シート用テープ部TBを他のテープ部である紙幣用テープ部TAと幅を異ならせて区別する構成となっているため、領域識別センサ62にて、これらを確実に区別することができ、正確な位置制御ができる。
【0097】
また、制御部65が、通常処理モード実行後に仕切シートXが一時貯留部29で不足していると判断すると、仕切シートXを補充するための仕切シート補充処理モードに自動的に移行し、仕切シートXが一時貯留部29に補充された場合に限り、通常処理モードへの移行を許可するため、仕切シートXの欠乏を確実に防ぐことができる。
【0098】
また、制御部65が、仕切シートXが一時貯留部29で不足していると判断すると、仕切シートXの補充を指示する補充指示信号を出力するため、例えば、予備の仕切シートXの保管場所が離れていたとしても、外部の管理担当部署や管理センター等に対して仕切シートXの補充を指示することができ、円滑な業務運用を図ることができる。
【0099】
なお、第1実施形態の紙幣処理機11においては、偽券回収部30および共通取忘回収部39の二箇所に、一時貯留部29から仕切シートXを供給するように構成したが、いずれか一方のみに供給するようにしても良い。
【0100】
また、第1実施形態の紙幣処理機11においては、識別部28で識別不可の紙幣Sおよび一時貯留部29から繰り出された紙幣Sを機外に取出可能に返却する共通放出部35を設け、この共通放出部35に一つの共通取忘回収部39を設ける場合を例にとり説明したが、識別部28で識別不可の紙幣Sを機外に取出可能に返却する第1返却部と、一時貯留部29から繰り出された紙幣Sを機外に取出可能に返却する第2返却部とを別々にし、第1返却部で取り忘れられた紙幣Sを収納する第1取忘回収部と、第2返却部で取り忘れられた紙幣を収納する第2取忘回収部とを別々に設けても良い。この場合は、偽券回収部30、第1取忘回収部および第2取忘回収部のすべてに一時貯留部29から仕切シートXを供給するように構成したり、偽券回収部30、第1取忘回収部および第2取忘回収部のいずれか二つに一時貯留部29から仕切シートXを供給するように構成したり、偽券回収部30、第1取忘回収部および第2取忘回収部のいずれか一つに一時貯留部29から仕切シートXを供給するように構成したりすることができる。
【0101】
また、第1実施形態の紙幣処理機11においては、紙幣Sおよび仕切シートXをそれぞれの長辺方向を搬送方向に沿わせて搬送する場合を例にとり説明したが、短辺方向を搬送方向に沿わせて搬送するようにしても良い。この場合、一時貯留部29のテープTは、図4に示すように、上記よりも幅広となる。この場合も、図4に示すように領域TAa〜TAc,TBa〜TBcの隣り合うもの同士を幅を異ならせて区別したり、色、光の透過率、模様等を異ならせて区別したりすることが可能である。
【0102】
次に、本発明の第2実施形態に係る紙幣処理機を主に図5を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0103】
第2実施形態では、一時貯留部29の構成が第1実施形態と相違している。つまり、第1実施形態では、一つの紙幣集積ドラム55と一つのテープ巻戻しドラム56とに一本のテープTが張り渡されていたが、第2実施形態の一時貯留部29では、一つの紙幣集積ドラム55に対して同期回転する二つのテープ巻戻しドラム56,56が設けられ、紙幣集積ドラム55と一方のテープ巻戻しドラム56との間に一本のテープTが張り渡され、紙幣集積ドラム55と他方のテープ巻戻しドラム56との間に別の一本のテープTが張り渡されている。
【0104】
つまり、第2実施形態の一時貯留部29には、紙幣集積ドラム55が入出口29Aと反対側に、一対のテープ巻戻しドラム56,56が入出口29A側に、それぞれ平行をなすように設置されている。そして、紙幣集積ドラム55に一方のテープTの一端および他方のテープTの一端が同じ位置に固定された後、同じ方向に巻き付けられ、一方のテープTの他端が一方のテープ巻戻しドラム56に、他方のテープTの他端が他方のテープ巻戻しドラム56に、それぞれ固定された後、互いに逆向きに巻き付けられている。
【0105】
紙幣集積ドラム55に巻き付けられた一方のテープTは、紙幣集積ドラム55の下部から、他方のテープTと重なり合って搬送部22の末端の横搬送路22bと略同一直線をなすように入出口29A側に延出されることになり、ローラ75によって上側に折り返され一方の上側のテープ巻戻しドラム56に巻き付けられる。このとき、このテープTは、テープ巻戻しドラム56の入出口29A側上部から前下がりに延出するように巻き付けられる。他方のテープTは、紙幣集積ドラム55の下部から、一方のテープTと重なり合って搬送部22の末端の横搬送路22bと略同一直線をなすように入出口29A側に延出され、ローラ76によって下側に折り返され他方の下側のテープ巻戻しドラム56に巻き付けられる。このとき、このテープTは、テープ巻戻しドラム56の入出口29A側下部から前上がりに延出するように巻き付けられる。
【0106】
そして、二本のテープT,Tを紙幣集積ドラム55に巻き付ける際には、一方のテープ巻戻しドラム56および他方のテープ巻戻しドラム56がそれぞれテープTを媒介に連動し回動してテープTをそれぞれ繰り出すことになる。逆に一方のテープ巻戻しドラム56に一方のテープTを他方のテープ巻戻しドラム56に他方のテープTを巻き付ける際には、紙幣集積ドラム55は両テープT,Tを媒介に連動し回動して両テープT,Tを繰り出すことになる。
【0107】
紙幣Sの一時貯留時には、搬送部22の縦搬送部22aで一枚ずつ分離された状態で搬送されてきた紙幣Sが、縦搬送部22aの搬送駆動力で横搬送路22bから一時貯留部29の入出口29Aへ一定速度で送り込まれる。このとき、紙幣集積ドラム55は、所定の紙幣収納方向(図5における反時計回り方向)に、一方の上側のテープ巻戻しドラム56は、所定の紙幣収納方向(図5における反時計回り方向)に、他方の下側のテープ巻戻しドラム56は、所定の紙幣収納方向(図5における時計回り方向)に回転しており、搬送部22から送り出された紙幣Sは、その短辺方向の中央位置が両テープT,Tに挟持されて両テープT,Tとともに、両テープT,Tのすでに紙幣集積ドラム55に巻き付けられている部分に巻き付けられる。一時貯留部29に順次送り込まれる紙幣Sが、上記のようにして紙幣集積ドラム55に両テープT,Tとともに巻き付けられることになって、紙幣集積ドラム55に集積状態で収納される(図5(a)参照)。これが巻取り動作である。
【0108】
逆に、一対のテープ巻戻しドラム56,56および紙幣集積ドラム55が、上記と反対の所定の紙幣繰出方向に回転することで、紙幣集積ドラム55に集積されていた紙幣Sは、両テープT,Tに挟持された状態のまま紙幣集積ドラム55から両テープT,Tとともに離れて繰り出され、一時貯留部29の入出口29Aで両テープT,Tが離れることで両テープT,Tから分離されて搬送部22へと繰り出される(図5(c)参照)。これが巻戻し動作である。
【0109】
このように、一対のテープ巻戻しドラム56,56と紙幣集積ドラム55との間でテープT,Tの巻取り動作および巻戻し動作を行うことにより、一枚ずつ導入される紙幣Sの集積収納および分離繰り出しを行う。
【0110】
ここで、第2実施形態においては、一時貯留部29の両テープT,Tが、第1実施形態と同様の同一形状をなしている。
【0111】
そして、紙幣集積ドラム55の近傍には、両テープT,Tの、紙幣集積ドラム55から横搬送路22bと略同一直線をなすように前方に延出される入出路位置の重なり部分の幅の相違を検出することで両テープT,Tの各領域TAa〜TAc,TBa〜TBcを検出する第1実施形態と同様の領域識別センサ62が設けられている。つまり、この入出路位置において両テープT,Tは、同じ領域が互いに重なり合うとともに同じ境界位置が互いに重なり合うことになり、各重なり合う部分を領域識別センサ62が検出する。
【0112】
第2実施形態において、一時貯留部29は、領域識別センサ62で、両テープT,Tの重なり合う、紙幣用テープ部TAと仕切シート用テープ部TBとの境界位置つまり紙幣収納領域TAcと仕切シート収納領域TBcとの境界位置が検出された状態が待機状態となっている(図5(c)参照)。
【0113】
このような第2実施形態においては、仕切シート補充処理の実行にあたって、制御部65は、一時貯留部29の仕切シートXが最大収納状態にはないものの仕切シートXが残存している状態にある場合、一時貯留部29に対しては、待機状態にある紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56に巻戻し動作を実行させ、繰出側の一枚目の仕切シートXの先端を領域識別センサ62で検出した時点で、紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56を停止させる。また、一時貯留部29の仕切シートXの残数がない場合、制御部65は、一時貯留部29に対しては、待機状態にある紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56に巻戻し動作を実行させ、両テープT,Tが、領域識別センサ62で、巻戻しニアエンド領域TBbと巻戻しエンド領域TBaとの境界位置が検出される巻戻しエンド状態となると、図5(b)に示すように、紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56を停止させる。
【0114】
そして、仕切シートXの識別部28での検出タイミングに基づいて一時貯留部29の紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56に巻取り動作を行わせて、仕切シートXを所定の間隔で両テープT,Tの仕切シート収納領域TBc,TBc間に挟持しつつ紙幣集積ドラム55に巻き付けて順次収納することになり、両テープT,Tの仕切シート用テープ部TBと紙幣用テープ部TAとの境界位置が領域識別センサ62により検出されると、制御部65は、紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56を停止させて一時貯留部29を、図5(c)に示す待機状態とする。
【0115】
また、入金処理において、制御部65は、一時貯留部29に対しては、識別部28により真券と識別された紙幣Sを搬送することになり、待機状態にある紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56の巻取り動作で、回転する紙幣集積ドラム55に、紙幣Sを順次所定の間隔をあけて、両テープT,Tの紙幣収納領域TAcで挟持しつつ両紙幣収納領域TAc,TAcとともに順次巻き付けて収納する。そして、制御部65は、識別部28で最後に真券と識別された紙幣Sが一時貯留部29に収納されるタイミングで、紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56を停止させる(図5(a)参照)。
【0116】
また、入金処理の後半の収納処理および返却処理において、制御部65は、一時貯留部29に対しては、巻戻し動作を行わせ、紙幣集積ドラム55に両テープT,Tの両紙幣収納領域TAc,TAcとともに巻き付けられていた紙幣Sを順次繰り出すことになり、巻戻し動作中に、領域識別センサ62で、両テープT,Tの互いに重なり合う紙幣用テープ部TAと仕切シート用テープ部TBとの境界位置が検出されると、紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56を停止させて、図5(c)に示す待機状態とする。
【0117】
また、偽券用仕切シート配布動作において、制御部65は、一時貯留部29に対しては、待機状態にある紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56に巻戻し動作を行わせて一枚の仕切シートXを繰り出して偽券回収部30に送り込むことになり、紙幣集積ドラム55から一枚の仕切シートXが繰り出されたことが領域識別センサ62で検出されると、紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56を、図5(c)に示す待機状態に戻す。
【0118】
また、取忘用仕切シート配布動作において、制御部65は、一時貯留部29に対しては、待機状態にある紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56に巻戻し動作を行わせて一枚の仕切シートXを繰り出して放出口13に送り込むことになり、紙幣集積ドラム55から一枚の仕切シートXが繰り出されたことが領域識別センサ62で検出されると、紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56を待機状態に戻す。この場合も、一の処理に対して偽券用仕切シート配布動作および取忘用仕切シート配布動作の両方を行う場合、一枚目の仕切シートXを繰り出した後、二枚目の仕切シートXを繰り出すまでは、一時貯留部29を待機状態に戻さずにいても良い。
【0119】
以上に述べた第2実施形態によれば、同期回動する二つのテープ巻戻しドラム56,56を用いて、二本のテープT,Tを重ねて紙幣集積ドラム55に対し巻き付けおよび巻き戻しを行い、その際に、二本の重なり合うテープT,Tの間に、紙幣Sおよび仕切シートXの短辺方向の中央位置を挟持することができるため、紙幣Sおよび仕切シートXを安定して紙幣集積ドラム55に集積することができ、安定して紙幣集積ドラム55から繰り出すことができる。
【0120】
次に、本発明の第3実施形態に係る紙幣処理機を主に図6および図7を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0121】
第3実施形態では、一時貯留部29の構成が第1実施形態と相違している。つまり、第1実施形態では、一対の紙幣集積ドラム55およびテープ巻戻しドラム56のうちの一方の紙幣集積ドラム55に紙幣Sと仕切シートXとを収納するようにしていたが、第3実施形態の一時貯留部29では、一方の紙幣集積ドラム55に紙幣Sを、他方のテープ巻戻しドラム56に仕切シートXを、それぞれテープTとともに巻き付けて収納するようにしている。
【0122】
図6に示すように、第3実施形態の一時貯留部29は、第1実施形態と同様、紙幣集積ドラム55が入出口29A側に、テープ巻戻しドラム56が入出口29Aとは反対側に、互いに平行をなすように設置されており、一方の紙幣集積ドラム55にテープTの一端が固定され、このテープTの他端が他方のテープ巻戻しドラム56に固定されている。そして、紙幣集積ドラム55に巻き付けられたテープTは、紙幣集積ドラム55の下部から、横搬送路22bと略同一直線をなすように入出口29A側に延出されることになり、ローラ80によって下側に折り返され入出口29Aとは反対側に延出した後、入出口29Aとは反対側のローラ81から上方に向けて延出しテープ巻戻しドラム56に巻き付けられる。このとき、テープTは、テープ巻戻しドラム56の入出口29A側から下方に延出するように巻き付けられる。
【0123】
第3実施形態では、搬送部44から分岐して水平後方に延出する搬送路82が追加されており、一時貯留部29のテープTのローラ80とローラ81との間部分は、搬送路82と略同一直線をなしており、これらの間に、一時貯留部29のもう一つの入出口29Bが設けられている。
【0124】
ここで、第3実施形態においては、図7に示すように、テープTが、紙幣集積ドラム55への固定端側の所定範囲に紙幣用テープ部TAを、テープ巻戻しドラム56への固定端側の所定範囲に仕切シート用テープ部TBを有している。
【0125】
紙幣用テープ部TAは、紙幣集積ドラム55への固定端を含む所定範囲の幅広の巻戻しエンド領域TAdと、この巻戻しエンド領域TAdの紙幣集積ドラム55への固定端とは反対側の所定範囲の幅狭の巻戻しニアエンド領域TAeと、この巻戻しニアエンド領域TAeの巻戻しエンド領域TAdとは反対側の所定範囲の幅広の紙幣収納領域TAcとを有している。
【0126】
また、仕切シート用テープ部TBは、テープ巻戻しドラム56への固定端を含む所定範囲の幅狭の巻取りエンド領域TBdと、この巻取りエンド領域TBdのテープ巻戻しドラム56への固定端とは反対側の所定範囲の幅広の巻取りニアエンド領域TBeと、この巻取りニアエンド領域TBeの巻取りエンド領域TBdとは反対側の所定範囲の幅狭の仕切シート収納領域TBcとを有している。この仕切シート収納領域TBcが紙幣用テープ部TAの紙幣収納領域TAcと隣り合っている。この場合も、幅広の巻戻しエンド領域TAd、紙幣収納領域TAcおよび巻取りニアエンド領域TBeは互いに同じ幅となっており、幅狭の巻戻しニアエンド領域TAe、仕切シート収納領域TBcおよび巻取りエンド領域TBdも互いに同じ幅となっている。
【0127】
そして、紙幣Sの一時貯留時には、搬送部22の末端位置の横搬送路22bから一枚ずつ分離された状態で搬送されてきた紙幣Sが、縦搬送部22aの搬送駆動力で横搬送路22bから一時貯留部29の上側の入出口29Aへ一定速度で送り込まれる。このとき、テープ巻戻しドラム56および紙幣集積ドラム55は、テープTを紙幣集積ドラム55で巻き取りつつテープ巻戻しドラム56で繰り出す巻取り動作を行い、搬送部22から送り出された紙幣Sを、テープTに重ね合わせてテープTとともに、テープTのすでに紙幣集積ドラム55に巻き付けられている部分に巻き付けることでテープTの間に挟持する。一時貯留部29に順次送り込まれる紙幣Sが、上記のようにして紙幣集積ドラム55にテープTとともに巻き付けられることになって、紙幣集積ドラム55に集積状態で収納される(図6(c)参照)。このとき、紙幣Sは、テープTの紙幣収納領域TAc内に収納される。
【0128】
紙幣Sの繰出時には、テープ巻戻しドラム56および紙幣集積ドラム55は、テープTをテープ巻戻しドラム56で巻き取りつつ紙幣集積ドラム55で繰り出す巻戻し動作を行うことになり、これにより、紙幣集積ドラム55に集積されていた紙幣Sが、テープTのこれに重なる部分とともに紙幣集積ドラム55から離れることで繰り出され、入出口29Aの位置でテープTから分離されて搬送部22の横搬送路22bへと繰り出される(図6(b)参照)。
【0129】
また、仕切シートXの収納時には、搬送部22,44で一枚ずつ分離された状態で搬送されてきた仕切シートXが、搬送路44側の搬送駆動力で搬送路82から一時貯留部29の下側の入出口29Bへ一定速度で送り込まれる。このとき、テープ巻戻しドラム56および紙幣集積ドラム55は、テープTをテープ巻戻しドラム56で巻き取りつつ紙幣集積ドラム55で繰り出す巻戻し動作を行い、搬送路82から送り出された仕切シートXを、テープTに重ね合わせてテープTとともに、テープTのすでにテープ巻戻しドラム56に巻き付けられている部分に巻き付けることでテープTの間に挟持する。一時貯留部29に順次送り込まれる仕切シートXが、上記のようにしてテープ巻戻しドラム56にテープTとともに巻き付けられることになって、テープ巻戻しドラム56に集積状態で収納される。このとき、仕切シートXは、テープTの仕切シート収納領域TBc内に収納される。
【0130】
仕切シートXの繰出時には、テープ巻戻しドラム56および紙幣集積ドラム55は、テープTを紙幣集積ドラム55で巻き取りつつテープ巻戻しドラム56で繰り出す巻取り動作を行うことになり、これにより、テープ巻戻しドラム56に集積されていた仕切シートXが、テープTのこれに重なる部分とともにテープ巻戻しドラム56から離れることで繰り出され、入出口29BでテープTから分離されて搬送路82へと繰り出される。
【0131】
そして、テープ巻戻しドラム56の近傍に、テープTのテープ巻戻しドラム56から搬送路82と略同一直線をなすように前方に延出される仕切シート入出路位置の幅の相違を検出することでテープTの各領域TAc〜TAe,TBc〜TBeを検出する第1実施形態と同様の領域識別センサ62が設けられている。
【0132】
第3実施形態においては、一時貯留部29が、領域識別センサ62によって、テープTの幅広の巻戻しエンド領域TAdと幅狭の巻戻しニアエンド領域TAeとの境界位置が検出された状態、つまりテープ巻戻しドラム56に仕切シート用テープ部TBと紙幣用テープ部TAの大部分とが巻き付けられた状態が、図6(b)に示す待機状態となっている。
【0133】
そして、第3実施形態においては、仕切シート補充処理の実行にあたって、制御部65は、一時貯留部29の仕切シートXが最大収納状態にはないものの仕切シートXが残存している状態にある場合、一時貯留部29に対しては、待機状態にある紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56に巻取り動作を実行させ、繰出側の一枚目の仕切シートXの先端を領域識別センサ62で検出した時点で、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を停止させる。また、一時貯留部29の仕切シートXの残数がない場合、制御部65は、一時貯留部29に対しては、待機状態にある紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56に巻取り動作を実行させ、テープTが、領域識別センサ62で、幅広の巻取りニアエンド領域TBeと幅狭の巻取りエンド領域TBdとの境界位置が検出される巻取りエンド状態となると、図6(a)に示すように、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を停止させる。
【0134】
そして、仕切シートXの識別部28での検出タイミングに基づいて一時貯留部29の紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56に巻戻し動作を行わせて、回転するテープ巻戻しドラム56に、入出口29Bからの仕切シートXを順次所定の間隔をあけて、テープTの仕切シート収納領域TBcとともに順次巻き付けて収納する。そして、仕切シートXが所定枚数収納された状態になると、仕切シートXの補充は完了することになり、その後、領域識別センサ62で幅狭の巻戻しニアエンド領域TAeと幅広の巻戻しエンド領域TAdとの境界位置が検出されると、図6(b)に示すように、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を停止させて一時貯留部29を待機状態とする。
【0135】
また、入金処理において、制御部65は、一時貯留部29に対しては、識別部28により真券と識別された紙幣Sを搬送することになり、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56の待機状態からの巻取り動作で、回転する紙幣集積ドラム55に、入出口29Aからの紙幣Sを順次所定の間隔をあけて、テープTの紙幣収納領域TAcとともに順次巻き付けて収納する。そして、制御部65は、識別部28で最後に真券と識別された紙幣Sが一時貯留部29に収納されるタイミングで、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を停止させる(図6(c)参照)。なお、投入口12の大きさは、テープTの紙幣用テープ部TAによって紙幣集積ドラム55に巻き付け可能な枚数範囲で紙幣Sが投入可能となっているが、万一、入金処理において、テープTの紙幣用テープ部TAと仕切シート用テープ部TBとの境界位置つまり幅広の紙幣収納領域TAcと幅狭の仕切シート収納領域TBcとの境界位置が領域識別センサ62で検出された場合、仕切シートXが繰り出されてしまうことを防止するため、制御部65は、強制的に紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を停止させる。
【0136】
また、入金処理の後半の収納処理および返却処理において、制御部65は、一時貯留部29に対しては、巻戻し動作を行わせ、紙幣集積ドラム55にテープTの紙幣収納領域TAcとともに巻き付けられていた紙幣Sを入出口29Aから順次繰り出すことになり、巻戻し動作中に、領域識別センサ62で幅狭の巻戻しニアエンド領域TAeと幅広の巻戻しエンド領域TAdとの境界位置が検出されると、図6(b)に示すように、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を停止させる。
【0137】
また、偽券用仕切シート配布動作において、制御部65は、一時貯留部29に対しては、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56に巻取り動作を行わせて一枚の仕切シートXをテープ巻戻しドラム56から入出口29Bを介して繰り出して偽券回収部30に送り込むことになり、テープ巻戻しドラム56から一枚の仕切シートXが繰り出されたことが領域識別センサ62で検出されると、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56に巻戻し動作を行わせて待機状態に戻す。
【0138】
また、取忘用仕切シート配布動作において、制御部65は、一時貯留部29に対しては、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56に巻取り動作を行わせて一枚の仕切シートXをテープ巻戻しドラム56から入出口29Bを介して繰り出して放出口13に送り込むことになり、テープ巻戻しドラム56から一枚の仕切シートXが繰り出されたことが領域識別センサ62で検出されると、紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56に巻戻し動作を行わせて待機状態に戻す。なお、一の処理に対して偽券用仕切シート配布動作および取忘用仕切シート配布動作の両方を行う場合、一枚目の仕切シートXを繰り出した後、二枚目の仕切シートXを繰り出すまでは、一時貯留部29を待機状態に戻さないように制御する。
【0139】
以上に述べた第3実施形態によれば、一対の紙幣集積ドラム55およびテープ巻戻しドラム56とこれらの間に張り渡されたテープTとを備え、送り込まれる紙幣Sを一方の紙幣集積ドラム55にテープTとともに巻き付けて繰出可能に収納する一時貯留部29が、他方のテープ巻戻しドラム56に仕切シートXをテープTとともに巻き付けて収納しており、偽券回収部30あるいは共通取忘回収部39に紙幣Sを収納した場合に、テープ巻戻しドラム56に収納している仕切シートXを一時貯留部29から繰り出して、偽券回収部30あるいは共通取忘回収部39に収納することになるため、同一の偽券回収部30あるいは同一の共通取忘回収部39に複数の紙幣Sを収納する際に、必要な位置に仕切シートXを配置することができ、仕切シートXで分類して金種および枚数を管理することができる。
【0140】
加えて、一時貯留部29のテープTの巻戻しのためのテープ巻戻しドラム56に仕切シートXをテープTとともに巻き付けて収納し、これを必要により繰り出すため、仕切シートXを収納し繰り出すための専用の機構が不要になり、コストを低減することができる。
【0141】
次に、本発明の第4実施形態に係る紙幣処理機を主に図8を参照して第3実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0142】
第4実施形態では、一時貯留部29の構成が第3実施形態と相違している。つまり、第3実施形態では、一つの紙幣集積ドラム55と一つのテープ巻戻しドラム56とに一本のテープTが張り渡されていたが、第4実施形態の一時貯留部29では、一つの紙幣集積ドラム55に対して同期回転する二つのテープ巻戻しドラム56,56が設けられ、紙幣集積ドラム55と一方のテープ巻戻しドラム56との間に一本のテープTが張り渡され、紙幣集積ドラム55と他方のテープ巻戻しドラム56との間に別の一本のテープTが張り渡されている。
【0143】
つまり、第4実施形態の一時貯留部29には、紙幣集積ドラム55が入出口29Aとは反対側に、一対のテープ巻戻しドラム56,56が入出口29A側に、それぞれ平行をなすように設置されている。そして、紙幣集積ドラム55に一方のテープTの一端および他方のテープTの一端が同じ位置に固定された後、同じ方向に巻き付けられ、一方のテープTの他端が一方の上側のテープ巻戻しドラム56に、他方のテープTの他端が他方の下側のテープ巻戻しドラム56に、それぞれ固定された後、互いに逆向きに巻き付けられている。ここで、紙幣集積ドラム55と一方の上側のテープ巻戻しドラム56との間に張り渡されたテープTは、第3実施形態と同様の幅の異なる各領域TAc〜TAe,TBc〜TBe(図7参照)をもっており、紙幣集積ドラム55と他方の下側のテープ巻戻しドラム56との間に張り渡されたテープTは一定幅となっている。
【0144】
紙幣集積ドラム55に巻き付けられた一方のテープTは、紙幣集積ドラム55の下部から、他方のテープTと重なり合って搬送路82と略同一直線をなすように前方に延出されることになり、ローラ85によって上側に折り返され一方の上側のテープ巻戻しドラム56に巻き付けられる。このとき、この一方のテープTは上側のテープ巻戻しドラム56の下部から前方に延出して、横搬送路22bと略同一直線をなす。他方のテープTは、紙幣集積ドラム55の下部から、一方のテープTと重なり合って搬送路82と略同一直線をなすように前方に延出され、ローラ86によって下側に折り返され他方の下側のテープ巻戻しドラム56に巻き付けられる。このとき、この他方のテープTは下側のテープ巻戻しドラム56の上部から前方に延出するように巻き付けられる。
【0145】
そして、二本のテープT,Tを紙幣集積ドラム55に巻き付ける際には、一方のテープ巻戻しドラム56および他方のテープ巻戻しドラム56がそれぞれテープTを媒介に連動し回動してテープTをそれぞれ繰り出すことになる。逆に一方のテープ巻戻しドラム56に一方のテープTを、他方のテープ巻戻しドラム56に他方のテープTを巻き付ける際には、紙幣集積ドラム55は両テープT,Tを媒介に連動し回動して両テープT,Tを繰り出すことになる。
【0146】
そして、紙幣Sの一時貯留時には、搬送路82から一枚ずつ分離された状態で搬送されてきた紙幣Sが、搬送部44側の搬送駆動力で一時貯留部29の下側の入出口29Bへ一定速度で送り込まれる。このとき、紙幣集積ドラム55は、所定の紙幣収納方向(図8における反時計回り方向)に、一方の上側のテープ巻戻しドラム56は、所定の紙幣収納方向(図8における時計回り方向)に、他方の下側のテープ巻戻しドラム56は、所定の紙幣収納方向(図8における反時計回り方向)に回転しており、搬送路82から送り出された紙幣Sは、その短辺方向の中央位置が両テープT,Tに挟持されて両テープT,Tとともに、両テープT,Tのすでに紙幣集積ドラム55に巻き付けられている部分に巻き付けられる。一時貯留部29に順次送り込まれる紙幣Sが、上記のようにして紙幣集積ドラム55に両テープT,Tとともに巻き付けられることになって、紙幣集積ドラム55に集積状態で収納される(図8(c)参照)。これが巻取り動作である。
【0147】
逆に、一対のテープ巻戻しドラム56,56および紙幣集積ドラム55が、上記と反対の所定の紙幣繰出方向に回転することで、紙幣集積ドラム55に集積されていた紙幣Sは、両テープT,Tに挟持された状態のまま紙幣集積ドラム55から両テープT,Tとともに離れて繰り出され、一時貯留部29の入出口29Bで両テープT,Tから分離されて搬送路82へと繰り出される(図8(b)参照)。これが巻戻し動作である。
【0148】
このように、一対のテープ巻戻しドラム56,56と紙幣集積ドラム55との間で両テープT,Tの巻取り動作および巻戻し動作を行うことにより、一枚ずつ導入される紙幣Sの集積収納および分離繰り出しを行う。
【0149】
そして、仕切シートXは、一方の上側のテープ巻戻しドラム56に収納される。つまり、仕切シートXの収納時には、搬送部22で一枚ずつ分離された状態で搬送されてきた仕切シートXが、縦搬送部22aの搬送駆動力で横搬送路22bから一時貯留部29の上側の入出口29Aへ一定速度で送り込まれる。このとき、一対のテープ巻戻しドラム56,56および紙幣集積ドラム55は、巻戻し動作を行い、搬送部22から送り出された仕切シートXを、上側のテープ巻戻しドラム56側のテープTに重ね合わせてテープTとともに、テープTのすでに上側のテープ巻戻しドラム56に巻き付けられている部分に巻き付けることでテープTの間に挟持する。一時貯留部29に順次送り込まれる仕切シートXが、上記のようにして上側のテープ巻戻しドラム56にテープTとともに巻き付けられることになって、上側のテープ巻戻しドラム56に集積状態で収納される。このとき、仕切シートXは、テープTの仕切シート収納領域TBc内に収納される。
【0150】
仕切シートXの繰出時には、一対のテープ巻戻しドラム56,56および紙幣集積ドラム55は、巻取り動作を行い、上側のテープ巻戻しドラム56に集積されていた仕切シートXを、テープ巻戻しドラム56からテープTとともに離すことで繰り出し、入出口29AでテープTから分離されて搬送部22の横搬送路22bへと繰り出される。
【0151】
そして、上側のテープ巻戻しドラム56の近傍に、テープTの上側のテープ巻戻しドラム56から横搬送路22bと略同一直線をなすように前方に延出される仕切シート入出路位置の幅の相違を検出することでテープTの各領域TAc〜TAe,TBc〜TBeを検出する領域識別センサ62が設けられている。
【0152】
第4実施形態においては、一時貯留部29が、領域識別センサ62で、上側のテープ巻戻しドラム56に巻き付けられたテープTの幅狭の巻戻しニアエンド領域TAeと幅広の巻戻しエンド領域TAdとの境界位置が検出された状態、つまり上側のテープ巻戻しドラム56にテープTの仕切シート用テープ部TBと紙幣用テープ部TAの大部分とが巻き付けられた状態(下側のテープ巻戻しドラム56にもテープTの同様の長さ範囲が巻き付けられた状態)が、図8(b)に示す待機状態となっている。
【0153】
そして、第4実施形態においては、仕切シート補充処理の実行にあたって、制御部65は、一時貯留部29の仕切シートXが最大収納状態にはないものの仕切シートXが残存している状態にある場合、一時貯留部29に対しては、待機状態にある紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56に巻取り動作を実行させ、上側のテープ巻戻しドラム56に収納された、繰出側の一枚目の仕切シートXの先端を領域識別センサ62で検出した時点で、紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56を停止させる。また、一時貯留部29の仕切シートXの残数がない場合、制御部65は、一時貯留部29に対しては、待機状態にある紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56に巻取り動作を実行させ、上側のテープ巻戻しドラム56に巻き付けられたテープTが、領域識別センサ62で幅広の巻取りニアエンド領域TBeと幅狭の巻取りエンド領域TBdとの境界位置が検出される巻取りエンド状態となると、図8(a)に示すように、紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56を停止させる。
【0154】
そして、仕切シートXの識別部28での検出タイミングに基づいて一時貯留部29の紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56に巻戻し動作を行わせて、回転する上側のテープ巻戻しドラム56に、横搬送路22bから入出口29Aを介して導入される仕切シートXを順次所定の間隔をあけて、テープTの仕切シート収納領域TBcとともに巻き付けて収納する。そして、仕切シートXが所定枚数収納された後、制御部65は、領域識別センサ62で、テープTの幅狭の巻戻しニアエンド領域TAeと幅広の巻戻しエンド領域TAdとの境界位置が検出されると、紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56を停止させて一時貯留部29を、図8(b)に示す待機状態とする。
【0155】
また、入金処理において、制御部65は、一時貯留部29に対しては、識別部28により真券と識別された紙幣Sを搬送することになり、待機状態にある紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56の巻取り動作で、回転する紙幣集積ドラム55に、紙幣Sを順次所定の間隔をあけて、両テープT,Tで挟持しながら順次巻き付けて収納する(図8(c)参照)。そして、制御部65は、識別部28で最後に真券と識別された紙幣Sが一時貯留部29に収納されるタイミングで、紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56を停止させる。なお、この場合も、投入口12の大きさは、テープTの紙幣用テープ部TAによって紙幣集積ドラム55に巻き付け可能な枚数範囲で紙幣Sが投入可能となっているが、万一、入金処理において、テープTの紙幣用テープ部TAと仕切シート用テープ部TBとの境界位置つまり幅広の紙幣収納領域TAcと幅狭の仕切シート収納領域TBcとの境界位置が領域識別センサ62で検出された場合、仕切シートXが繰り出されてしまうことを防止するため、制御部65は、強制的に紙幣集積ドラム55、テープTおよびテープ巻戻しドラム56を停止させる。
【0156】
また、入金処理の後半の収納処理および返却処理において、制御部65は、一時貯留部29に対しては、巻戻し動作を行わせ、紙幣集積ドラム55にテープT,Tとともに巻き付けられていた紙幣Sを順次入出口29Bから繰り出すことになり、巻戻し動作中に、領域識別センサ62で、テープTの幅狭の巻戻しニアエンド領域TAeと幅広の巻戻しエンド領域TAdとの境界位置が検出されると、図8(b)に示すように、紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56を停止させる。
【0157】
また、偽券用仕切シート配布動作において、制御部65は、一時貯留部29に対しては、待機状態にある紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56に巻取り動作を行わせて一枚の仕切シートXを上側のテープ巻戻しドラム56から入出口29Aを介して繰り出して偽券回収部30に送り込むことになり、上側のテープ巻戻しドラム56から一枚の仕切シートXが繰り出されたことが領域識別センサ62で検出されると、紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56を待機状態に戻す。
【0158】
また、取忘用仕切シート配布動作において、制御部65は、一時貯留部29に対しては、待機状態にある紙幣集積ドラム55、両テープT,Tおよび両テープ巻戻しドラム56,56に巻取り動作を行わせて一枚の仕切シートXを上側のテープ巻戻しドラム56から入出口29Aを介して繰り出して放出口13に送り込むことになり、上側のテープ巻戻しドラム56から一枚の仕切シートXが繰り出されたことが領域識別センサ62で検出されると、紙幣集積ドラム55、テープT,Tおよびテープ巻戻しドラム56を待機状態に戻す。なお、一の処理に対して偽券用仕切シート配布動作および取忘用仕切シート配布動作の両方を行う場合、一枚目の仕切シートXを繰り出した後、二枚目の仕切シートXを繰り出すまでは、一時貯留部29を待機状態に戻さないように制御する。
【0159】
以上に述べた第4実施形態によれば、同期回動する二つのテープ巻戻しドラム56,56を用いて、二本のテープT,Tを重ねて紙幣集積ドラム55に対し巻き付けおよび巻き戻しを行い、その際に、二本の重なり合うテープT,Tの間に、紙幣Sの短辺方向の中央位置を挟持することができるため、紙幣Sを安定して紙幣集積ドラム55に集積することができ、安定して紙幣集積ドラム55から繰り出すことができる。
【0160】
なお、第4実施形態では、上側のテープ巻戻しドラム56にテープTとともに仕切シートXを巻き付けて収納したが、下側のテープ巻戻しドラム56にテープTとともに仕切シートXを巻き付けて収納するようにしても良い。
【0161】
次に、本発明の第5実施形態に係る紙幣処理機を主に図9を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0162】
第5実施形態に係る紙幣処理機11は、紙幣の入金処理、計数処理および出金処理が可能な入出金機である。つまり、第1実施形態の収納部50の収納庫47〜49のそれぞれの下部に紙幣を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す出金繰出部91〜93が設けられており、これら出金繰出部91〜93から繰り出された紙幣Sを搬送する搬送部94〜96が設けられている。これら搬送部94〜96は合流して搬送部97となり、この搬送部97が上記した搬送部24に合流している。搬送部97の途中には、紙幣Sの重送や斜行等の異常搬送を検出する出金識別部98が設けられており、出金識別部98で異常搬送と識別された紙幣Sを収納する出金回収部99が搬送部97から分岐する搬送部100の末端に接続されている。
【0163】
これにより、収納部50の各収納庫47〜49から繰り出された紙幣Sが出金識別部98で識別後、異常搬送の紙幣Sのみ出金回収部99に収納され、正常搬送の紙幣Sのみが搬送部100から共通放出部(第1返却部,第2返却部,出金部,共通送出部)35に繰り出され、機外に取出可能に出金される。そして、共通放出部35で取り忘れられた紙幣が、第1実施形態と同様、分離繰出部34から搬送部38を介して共通取忘回収部(受入部,第1取忘回収部,第2取忘回収部,第3取忘回収部)39に回収される。
【0164】
このような第5実施形態では、仕切シート補充処理モード、入金処理モードおよび計数処理モードは、第1実施形態と同様であり、第1実施形態では実行不可な以下の出金処理モードが実行可能となっている。
【0165】
〔出金処理モード(通常処理モード)〕
所定の金種および枚数の紙幣を出金する通常処理モードの出金処理モードが操作部69に選択入力され、操作部69に金種データおよび枚数データが入力されると、制御部65は、出金処理を実行する。つまり、制御部65は、搬送部94〜97を正転駆動し、金種データおよび枚数データに応じて出金繰出部91〜93を必要な枚数の出金に必要な量だけ駆動する。すると、収納庫47〜49内の適宜の金種および枚数の紙幣が搬送部94〜97で搬送され、出金識別部98で識別される。そして、出金識別部98により異常搬送と識別された紙幣Sを搬送部97,100で出金回収部99に搬送し、正常搬送と識別された紙幣を搬送部97,24で放出口13に向けて搬送する。
【0166】
金種データおよび枚数データに応じた紙幣Sがすべて放出口13に放出されるタイミングで、制御部65は、搬送部94〜97を停止させることになり、この停止後に、放出口シャッタ16を開いて放出口13を開放するとともに、紙幣Sの取り出しを促す表示および音声出力を表示部67および音声発生部68に実行させる。そして、上記した取忘判断により、放出口13での紙幣Sの取り忘れがあったと判断すると、制御部65は、取忘用仕切シート配布動作を行ってから、今回の出金処理モードを終了する。つまり、制御部65は、取忘判断により、放出口13での紙幣Sの取り忘れがあったと判断すると、放出口シャッタ16を閉じた後、分離繰出部34および搬送部38により、放出口13内の紙幣Sをすべて取り忘れの紙幣Sとして共通取忘回収部39に収納させ、その後、一時貯留部29に巻戻し動作を行わせて一枚の仕切シートXを放出口13に放出させ、分離繰出部34および搬送部38により、放出口13内の仕切シートXを共通取忘回収部39に収納させて、出金処理モードを終了する。
【0167】
以上に述べた第5実施形態によれば、投入部20に投入され識別部28で偽券と識別された紙幣Sを収納する偽券回収部30と、投入部20に投入され識別部28で識別不可の紙幣Sを機外に取出可能に返却するとともに一時貯留部29から繰り出された紙幣Sおよび収納部50から繰り出された紙幣Sを機外に取出可能に放出する共通放出部35で取り忘れられた紙幣を収納する共通取忘回収部39とに対して、一時貯留部29から仕切シートXを導入することができるため、これら偽券回収部30および共通取忘回収部39に収納する紙幣Sを分類して管理することができる。
【0168】
また、識別部28で識別不可の紙幣、一時貯留部29から繰り出された紙幣Sおよび収納部50から繰り出された紙幣Sを機外に取出可能に放出する共通の共通放出部35から取り忘れの紙幣Sを収納する共通取忘回収部39にて、紙幣Sを分類して管理することができる。
【0169】
なお、第5実施形態の紙幣処理機11においては、識別部28で識別不可の紙幣、一時貯留部29から繰り出された紙幣Sおよび収納部50から繰り出された紙幣Sを機外に取出可能に放出する共通放出部35を設け、この共通放出部35に一つの共通取忘回収部39を設ける場合を例にとり説明したが、識別部28で識別不可の紙幣Sを機外に取出可能に返却する第1返却部と、一時貯留部29から繰り出された紙幣Sを機外に取出可能に返却する第2返却部と、収納部50から繰り出された紙幣Sを機外に取出可能に出金する出金部とを別々にし、第1返却部で取り忘れられた紙幣Sを収納する第1取忘回収部と、第2返却部で取り忘れられた紙幣Sを収納する第2取忘回収部と、出金部で取り忘れられた紙幣Sを収納する第3取忘回収部とを別々に設けても良い。この場合は、偽券回収部30、第1取忘回収部、第2取忘回収部および第3取忘回収部のすべてに一時貯留部29から仕切シートXを供給するように構成したり、偽券回収部30、第1取忘回収部、第2取忘回収部および第3取忘回収部のいずれか三つに一時貯留部29から仕切シートXを供給するように構成したり、偽券回収部30、第1取忘回収部、第2取忘回収部および第3取忘回収部のいずれか二つに一時貯留部29から仕切シートXを供給するように構成したり、偽券回収部30、第1取忘回収部、第2取忘回収部および第3取忘回収部のいずれか一つに一時貯留部29から仕切シートXを供給するように構成したりすることができる。
【0170】
加えて、上記した第1返却部、第2返却部および出金部に対して一つの共通取忘回収部を設けても良く、第1返却部、第2返却部および出金部のいずれか二つに対して一つの共通取忘回収部を設けても良い。さらに、第1返却部、第2返却部および出金部のうちのいずれか二つを一つの共通の共通放出部としても良く、この場合も、取忘回収部をそれぞれに一つずつとしたり、共通の一つとしたりできる。
【0171】
また、第5実施形態の紙幣処理機においては、一時貯留部29として、第1実施形態の一時貯留部29を採用した例を説明したが、第1〜第4実施形態のいずれの一時貯留部29を採用しても良い。
【符号の説明】
【0172】
11 紙幣処理機
20 投入部
28 識別部
29 一時貯留部
30 偽券回収部(受入部)
35 共通放出部(第1返却部,第2返却部,出金部,共通返却部)
39 共通取忘回収部(受入部,第1取忘回収部,第2取忘回収部,第3取忘回収部,共通取忘回収部)
50 収納部
55 紙幣集積ドラム(ドラム)
56 テープ巻戻しドラム(ドラム)
65 制御部
S 紙幣
T テープ
TA 紙幣用テープ部
TB 仕切シート用テープ部
X 仕切シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のドラムと該一対のドラム間に張り渡されたテープとを備え、送り込まれる紙幣を前記一対のドラムのうちの一方のドラムに前記テープとともに巻き付けて繰出可能に収納する一時貯留部と、
紙幣を収納可能な受入部とを有する紙幣処理機において、
前記一時貯留部は、前記一方のドラムに少なくとも一つの仕切シートを、前記テープのうちの紙幣を収納するための紙幣用テープ部よりも前記一方のドラムへの固定端側の仕切シート用テープ部とともに巻き付けて収納しており、前記受入部に紙幣を収納した場合に、前記一方のドラムに収納している前記仕切シートを前記一時貯留部から繰り出して、前記受入部に収納させる制御部を有することを特徴とする紙幣処理機。
【請求項2】
一対のドラムと該一対のドラム間に張り渡されたテープとを備え、送り込まれる紙幣を前記一対のドラムのうちの一方のドラムに前記テープとともに巻き付けて繰出可能に収納する一時貯留部と、
紙幣を収納可能な受入部とを有する紙幣処理機において、
前記一時貯留部は、前記一対のドラムのうちの他方のドラムに少なくとも一つの仕切シートを前記テープとともに巻き付けて収納しており、前記受入部に紙幣を収納した場合に、前記他方のドラムに収納している前記仕切シートを前記一時貯留部から繰り出して、前記受入部に収納させる制御部を有することを特徴とする紙幣処理機。
【請求項3】
機外から紙幣が投入される投入部と、
該投入部に投入された紙幣を識別する識別部と、
該識別部で真券と識別された紙幣を繰出可能に収納する前記一時貯留部と、
前記識別部で偽券と識別された紙幣を収納する偽券回収部と、
前記識別部で識別不可の紙幣を機外に取出可能に返却する第1返却部と、
前記一時貯留部から繰り出された紙幣を機外に取出可能に返却する第2返却部と、
前記一時貯留部から繰り出された紙幣を収納する収納部と、
前記第1返却部で取り忘れられた紙幣を収納する第1取忘回収部と、
前記第2返却部で取り忘れられた紙幣を収納する第2取忘回収部とを有し、
前記受入部が、前記偽券回収部、前記第1取忘回収部および前記第2取忘回収部のうちの少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項1または2に記載の紙幣処理機。
【請求項4】
前記第1返却部および前記第2返却部が一つの共通返却部であり、前記第1取忘回収部および前記第2取忘回収部が一つの共通取忘回収部であって、前記受入部が、少なくとも前記共通取忘回収部を含むことを特徴とする請求項3に記載の紙幣処理機。
【請求項5】
前記収納部から繰り出された紙幣を機外に取出可能に出金する出金部と、該出金部で取り忘れられた紙幣を収納する第3取忘回収部とを有し、前記受入部が、前記偽券回収部、前記第1取忘回収部、前記第2取忘回収部および前記第3取忘回収部のうちの少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項3または4に記載の紙幣処理機。
【請求項6】
前記第1返却部、前記第2返却部および前記出金部が一つの共通送出部であり、前記第1取忘回収部、前記第2取忘回収部および前記第3取忘回収部が一つの共通取忘回収部であって、前記受入部が、少なくとも前記共通取忘回収部を含むことを特徴とする請求項5に記載の紙幣処理機。
【請求項7】
前記テープは、前記仕切シートを収納するための仕切シート用テープ部を他のテープ部と区別するための区別手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の紙幣処理機。
【請求項8】
前記制御部は、通常処理モード実行後に前記仕切シートが前記一時貯留部で不足していると判断すると、前記仕切シートを補充するための仕切シート補充処理モードに移行し、該仕切シート補充処理モードで前記仕切シートが前記一時貯留部に補充された場合に限り、前記通常処理モードへの移行を許可することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の紙幣処理機。
【請求項9】
前記制御部は、前記仕切シートが前記一時貯留部で不足していると判断すると、前記仕切シートの補充を指示する補充指示信号を出力することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の紙幣処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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