紙幣処理装置
【課題】入金処理を取消す操作を受け付けたとき、一時保管庫に保管された紙幣を操作者へ返却する時間を短縮する。
【解決手段】顧客により接客部13の紙幣投入庫131に投入された紙幣を鑑別部15で鑑別し、その鑑別部15で入金可能と鑑別された紙幣を紙幣収納庫16a〜16cに収納する前に集積して保管する一時保管庫133を接客部13に設け、入金処理を取消す指示を受けたとき、接客部13のシャッタ12を開放して一時保管庫133に保管された紙幣を顧客に返却できるようにした。
【解決手段】顧客により接客部13の紙幣投入庫131に投入された紙幣を鑑別部15で鑑別し、その鑑別部15で入金可能と鑑別された紙幣を紙幣収納庫16a〜16cに収納する前に集積して保管する一時保管庫133を接客部13に設け、入金処理を取消す指示を受けたとき、接客部13のシャッタ12を開放して一時保管庫133に保管された紙幣を顧客に返却できるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客やオペレータ等の操作者により紙幣の入出金処理を行う紙幣処理装置に関し、特に入金処理を取消す操作を受け付けたとき、入金された紙幣を操作者に返却する紙幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙幣処理装置は、紙幣の入金処理を行う場合、接客部に設けられた紙幣入出金口に投入された紙幣を1枚ずつ分離して紙幣搬送路で搬送し、その紙幣搬送路上の鑑別部で受入可能と鑑別された紙幣を一時保管庫へ搬送するようにしている。そして、投入された紙幣の金額を操作者に確認させ、入金処理を成立させる操作を受け付けると一時保管庫に保管された紙幣を1枚ずつ分離して紙幣搬送路で紙幣収納庫へ搬送し、収納する。一方、入金処理を取消す操作を受け付けると一時保管庫に保管された紙幣を1枚ずつ分離して紙幣搬送路で接客部へ搬送し、操作者へ返却するようにしている。
【0003】
このように紙幣入出金口に投入された紙幣を一時保管する一時保留部を紙幣収納庫の上部に配置したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−147193号公報(段落「0015」、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、入金処理を取消す操作を受け付けて一時保管庫に保管された紙幣を操作者へ返却する場合、その一時保管庫に保管された紙幣を1枚ずつ分離して紙幣搬送路で接客部へ搬送する必要があるため、紙幣の搬送時間が長くなり、操作者が行う取引の時間が長くなってしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、一時保管庫に保管された紙幣を操作者へ返却する時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、顧客により接客部の紙幣投入庫に投入された紙幣を搬送して鑑別部で鑑別し、入金可能と鑑別された紙幣を紙幣収納庫に収納する入金処理を行う紙幣処理装置において、鑑別部で入金可能と鑑別された紙幣を紙幣収納庫に収納する前に集積して保管する一時保管庫を前記接客部に設け、入金処理を取消す指示を受けたとき、前記接客部のシャッタを開放して前記一時保管庫に保管された紙幣を顧客に返却できるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、一時保管庫に保管された紙幣を操作者へ返却する時間を短縮することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による紙幣処理装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図2は第1の実施例における自動取引装置の外観斜視図である。
図2において、1は自動取引装置であり、銀行等の金融機関の店舗やコンビニエンスストア等の店舗等に設置され、顧客の操作を受け付けて現金の入金や出金等の各種取引を行うものである。
この自動取引装置1には紙幣等の現金の入金処理および出金処理を行う紙幣処理装置10が筐体7の内部に搭載され、また前面に入金する紙幣や出金する紙幣、および返却する紙幣を顧客との間で受け渡すための紙幣入出金口3、カードの挿入を受付け、そのカードを返却するためのカード挿入排出口4、取引内容等を印刷した明細票を発行するための明細票排出口5、および顧客の操作を誘導する画面を表示し、また取引に必要な情報の入力を受け付けるための顧客操作表示盤6を備えている。
【0009】
図1は第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示す側面図である。
図1において、12はシャッタであり、紙幣処理装置10の紙幣入出金口3を開閉するためのものである。顧客が自動取引装置を操作して取引を行う際はこのシャッタ12が開閉して紙幣の出し入れが可能になるように制御されるものとなっている。
13は接客部であり、入金する紙幣の投入を受け付ける紙幣投入庫131、入金された紙幣のうち後述する鑑別部により入金不可能と鑑別されたリジェクト紙幣を集積し、顧客に返却するためのリジェクト紙幣返却庫132、および入金された紙幣のうち鑑別部により入金可能と鑑別された紙幣を集積し、その紙幣を後述する紙幣収納庫に収納する前に一時的に保管するとともに入金処理が取り消されたとき保管した紙幣を顧客に返却するための一時保管庫133で構成され、紙幣投入庫131とリジェクト紙幣返却庫132は仕切り板134、リジェクト紙幣返却庫132と一時保管庫133は仕切り板135で仕切られている。
【0010】
この紙幣投入庫131、リジェクト紙幣返却庫132、および一時保管庫133の上部は開口しており、その開口部から紙幣の出し入れができるようになっている。
また、接客部13内には、紙幣投入庫131に投入された紙幣を1枚ずつ分離して装置内に送り込む分離手段が設けられ、またリジェクト紙幣返却庫132および一時保管庫133は後述する紙幣搬送部で搬送された紙幣を集積する集積機構が設けられ、さらに一時保管庫133には集積した紙幣を1枚ずつ分離して装置内に送り込む分離手段が設けられている。
【0011】
さらに、接客部13は、紙幣処理装置10の機体に設けられたレール等のガイドに案内され、図示しないモータ等の駆動手段やセンサ等の位置検出手段により摺動可能に構成されており、図中矢印Aが示す紙幣処理装置10の前面から後面への方向、および矢印Bが示す紙幣処理装置10の後面から前面への方向に移動することができるようになっている。
【0012】
したがって、接客部13は、紙幣投入庫131、リジェクト紙幣返却庫132、または一時保管庫133の開口部をシャッタ12に対向する下方に移動し、そのシャッタ12を開放して紙幣投入庫131で入金する紙幣の投入を受け付けることができ、またリジェクト紙幣返却庫132または一時保管庫133に集積された紙幣を顧客に返却することができるようになっている。
【0013】
14は紙幣搬送部であり、接客部13から送り出された紙幣をベルト等で挟持して搬送する搬送路、その搬送路を駆動するためのモータ等で構成されたものである。
15は鑑別部であり、この鑑別部15は、紙幣搬送部14上に設けられ紙幣の真偽、金種、正損、表裏の鑑別を行うと共に、重送、連鎖、斜行等の搬送異常の検知、および金種が確定した紙幣の計数を行う機能を有している。したがって、鑑別部15は接客部13の紙幣投入庫131に投入された紙幣を1枚ずつ鑑別して入金の可否を鑑別することができる。
【0014】
16a〜16cは紙幣収納庫で、ここでは3個並べて配置しているが、この数に限られるものではなく、運用形態等に応じて少なくとも1つ備えていればよい。
紙幣収納庫16a〜16cにはそれぞれ上部一端に紙幣の取り込みおよび繰り出し用の開口部が形成されており、各々の開口部には紙幣収納庫16a〜16c内に紙幣を1枚ずつ送り込んで集積させると共に紙幣収納庫16a〜16c内から紙幣を1枚ずつ分離して繰り出す複数のローラから成る集積繰り出し手段が設けられている。
【0015】
17は出金取引時に鑑別部15で金種不明等のリジェクト紙幣と鑑別された紙幣を収納するリジェクト収納庫である。
18a、18bは切替ブレードであり、紙幣搬送部14上に設けられ、紙幣搬送部14で搬送される紙幣の行き先を切り替えるためのものである。この切替ブレード18a、18bを切り替えることにより、鑑別部15により入金不可能と鑑別されたリジェクト紙幣をリジェクト紙幣返却庫132へ搬送することができ、また入金された紙幣のうち鑑別部により入金可能と鑑別された紙幣を一時保管庫133へ搬送することができるようになっている。
【0016】
また、紙幣搬送部14上の他の分岐点にも図示しない切替ブレードが配置され、接客部13の一時保管庫133に集積された紙幣を紙幣収納庫16a〜16cへ搬送して収納することができるようになっている。
したがって、接客部13の一時保管庫133は鑑別部15と紙幣収納庫16a〜16cとの間に配置され、入金可能と鑑別された紙幣を一時的に保管することができるようになっている。
【0017】
このような構成を有する紙幣処理装置10は、図3に示すようにシャッタ12、接客部13、搬送部14、鑑別部15、紙幣収納庫16(16a〜16c)等の各部の動作は、メモリ等の記憶部17に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて中央演算処理装置等の制御部18により制御されるものとなっている。
なお、以下の実施例では発明に直接関係しない出金についての説明を省略する。
【0018】
上述した構成の作用を図4の第1の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図、図5の第1の実施例におけるリジェクト紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図、図6の第1の実施例における入金紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図に基づいて説明する。
まず、制御部18は、図4に示すように紙幣投入庫131の開口部がシャッタ12の下方に位置するように接客部13を移動させる。
【0019】
紙幣投入庫131の開口部がシャッタ12の下方に位置するように接客部13を移動させると制御部18は、シャッタ12を開放し、入金する紙幣の投入を受け付ける。
入金する紙幣の投入を受け付けると制御部18は、シャッタ12を閉塞し、接客部13の分離手段により紙幣投入庫131に投入された紙幣を1枚ずつ分離して装置内の紙幣搬送部14へ送り出す。
【0020】
紙幣を紙幣搬送部14へ送り出すと制御部18は、その紙幣を紙幣搬送部14で鑑別部15へ搬送して鑑別する。鑑別部15の鑑別の結果、搬送され紙幣が入金可能と鑑別された場合、その紙幣を一時保管庫133へ搬送して集積し、一方入金不可能と鑑別された場合、その紙幣をリジェクト紙幣としてリジェクト紙幣返却庫132へ搬送して集積する。
紙幣投入庫131に投入されたすべての紙幣を一時保管庫133またはリジェクト紙幣返却庫132へ搬送すると制御部18は、リジェクト紙幣返却庫132に紙幣が集積されている場合、図5に示すように接客部13を矢印Aが示す方向へリジェクト紙幣返却庫132の開口部がシャッタ12の下方に位置するまで移動してシャッタ12を開放してリジェクト紙幣を顧客へ返却する。
【0021】
リジェクト紙幣を顧客へ返却すると制御部18は、入金可能と鑑別され、一時保管庫133に集積した紙幣の合計金額を自動取引装置1の制御部へ通知し、その合計金額を顧客操作表示盤6に表示させて顧客に合計金額を確認させる。
顧客は表示された合計金額を確認し、入金取引を成立させるための「確認」ボタンまたは入金取引を取消すための「取消」ボタンを押下するものとする。
【0022】
「取消」ボタンが押下されると自動取引装置1の制御部は紙幣処理装置10の制御部18へ一時保管庫133に集積した紙幣を顧客に返却することを通知(指示)する。
その通知を受けた紙幣処理装置10の制御部18は、図6に示すように接客部13を矢印Aが示す方向へ一時保管庫133の開口部がシャッタ12の下方に位置するまで移動してシャッタ12を開放して投入され、計数された紙幣を顧客へ返却する。
【0023】
一方、「確認」ボタンが押下されると自動取引装置1の制御部は紙幣処理装置10の制御部18へ一時保管庫133に集積した紙幣を紙幣収納庫16へ搬送して収納することを通知する。
その通知を受けた紙幣処理装置10の制御部18は、一時保管庫133に集積した紙幣を接客部13の分離手段により1枚ずつ分離して紙幣搬送部14へ送り出し、紙幣収納庫16へ搬送して収納する。
【0024】
このように接客部13に紙幣投入庫131とリジェクト紙幣返却庫132は仕切り板134、およびリジェクト紙幣返却庫132と一時保管庫133は仕切り板135を設け、一時保管庫133がシャッタ12の下方になるように接客部13を移動して投入された紙幣を顧客へ返却するようにしたことにより、入金取引が取消された場合、投入された紙幣を分離して紙幣搬送部14で搬送する必要がなくなり、顧客に紙幣を返却する時間を短縮することができるようになる。
【0025】
なお、本実施例では、接客部13を摺動させて紙幣投入庫131、リジェクト紙幣返却庫132、または一時保管庫133をシャッタ12の下方に移動するように構成したが、図7に示すように接客部13を回動させて紙幣投入庫131、リジェクト紙幣返却庫132、または一時保管庫133をシャッタ12の下方に移動するように構成してもよい。
このように構成することにより、接客部13を回動させて紙幣投入庫131に投入された紙幣を分離して装置内へ送り込むタイプの紙幣処理装置10においては、接客部13が移動するための余分なスペースを不要にすることができるようになる。
【0026】
以上説明したように、第1の実施例では、リジェクト紙幣返却庫132と一時保管庫133は仕切り板135を設け、一時保管庫133がシャッタ12の下方になるように接客部13を移動して投入された紙幣を顧客へ返却するようにしたことにより、顧客に紙幣を返却する時間を短縮することができるようになり、取引時間を短縮することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0027】
第1の実施例では、接客部が摺動可能に構成されたものとして説明したが、第2の実施例では、接客部は固定され、シャッタが接客部の紙幣投入庫、リジェクト紙幣返却庫、または一時保管庫の上方を摺動可能に構成されている。
その第2の実施例に構成を図8の第2の実施例における紙幣処理装置の構成を示す側面図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
図8において、22はシャッタであり、紙幣処理装置10の紙幣入出金口3を開閉するためのものである。顧客が自動取引装置を操作して取引を行う際はこのシャッタ12が開閉して紙幣の出し入れが可能になるように制御されるものとなっている。
このシャッタ22は、紙幣処理装置10の機体に設けられたレール等のガイドに案内され、図示しないモータ等の駆動手段やセンサ等の位置検出手段により摺動可能に構成されており、図中矢印Cが示す紙幣処理装置10の前面から後面への方向、および矢印Dが示す紙幣処理装置10の後面から前面への方向に移動することができるようになっている。
【0029】
23は接客部であり、入金する紙幣の投入を受け付ける紙幣投入庫231、入金された紙幣のうち後述する鑑別部により入金不可能と鑑別されたリジェクト紙幣を集積するためのリジェクト紙幣返却庫232、および入金された紙幣のうち鑑別部により入金可能と鑑別された紙幣を集積し、その紙幣を紙幣収納庫16に収納する前に一時的に保管するための一時保管庫233で構成され、紙幣投入庫231とリジェクト紙幣返却庫232は仕切り板234、リジェクト紙幣返却庫232と一時保管庫233は仕切り板235で仕切られている。
【0030】
この紙幣投入庫231、リジェクト紙幣返却庫232、および一時保管庫233の上部は開口しており、その開口部から紙幣の出し入れができるようになっている。
この接客部23内には、紙幣投入庫231に投入された紙幣を1枚ずつ分離して装置内に送り込む分離手段が設けられ、またリジェクト紙幣返却庫232および一時保管庫233は紙幣搬送部で搬送された紙幣を集積する集積機構が設けられ、さらに一時保管庫233には集積した紙幣を1枚ずつ分離して装置内に送り込む分離手段が設けられている。
【0031】
シャッタ22は、この紙幣投入庫231、リジェクト紙幣返却庫232、または一時保管庫233の開口部に対向する上方を移動し、また紙幣投入庫231、リジェクト紙幣返却庫232、または一時保管庫233の上方で停止して開閉することができるようになっており、そのシャッタ22を開放して紙幣投入庫231で入金する紙幣の投入を受け付けることができ、またリジェクト紙幣返却庫232または一時保管庫233に集積された紙幣を顧客に返却することができるようになっている。
【0032】
また、接客部23の一時保管庫233は鑑別部15と紙幣収納庫16a〜16cとの間に配置され、入金可能と鑑別された紙幣を一時的に保管することができるようになっている。
このような構成を有する紙幣処理装置10は、シャッタ22、接客部23、搬送部14、鑑別部15、紙幣収納庫16(16a〜16c)等の各部の動作は、メモリ等の記憶部17に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて中央演算処理装置等の制御部18により制御されるものとなっている。
【0033】
上述した構成の作用を図9の第2の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図、図10の第2の実施例におけるリジェクト紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図、図11の第2の実施例における入金紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図に基づいて説明する。
まず、制御部18は、シャッタ22を図9に示すように接客部23の紙幣投入庫231の開口部の上方に位置するように移動させる。
【0034】
シャッタ22が紙幣投入庫231の開口部の上方に位置するように移動させると制御部18は、シャッタ22を開放し、入金する紙幣の投入を受け付ける。
入金する紙幣の投入を受け付けると制御部18は、シャッタ22を閉塞し、接客部23の分離手段により紙幣投入庫231に投入された紙幣を1枚ずつ分離して装置内の紙幣搬送部14へ送り出す。
【0035】
紙幣を紙幣搬送部14へ送り出すと制御部18は、その紙幣を紙幣搬送部14で鑑別部15へ搬送して鑑別する。鑑別部15の鑑別の結果、搬送され紙幣が入金可能と鑑別された場合、その紙幣を一時保管庫233へ搬送して集積し、一方入金不可能と鑑別された場合、その紙幣をリジェクト紙幣としてリジェクト紙幣返却庫232へ搬送して集積する。
紙幣投入庫231に投入されたすべての紙幣を一時保管庫233またはリジェクト紙幣返却庫232へ搬送すると制御部18は、リジェクト紙幣返却庫232に紙幣が集積されている場合、図10に示すようにシャッタ22を矢印Cが示す方向へリジェクト紙幣返却庫232の開口部の上方に位置するまで移動してシャッタ22を開放してリジェクト紙幣を顧客へ返却する。
【0036】
リジェクト紙幣を顧客へ返却すると制御部18は、入金可能と鑑別され、一時保管庫233に集積した紙幣の合計金額を自動取引装置1の制御部へ通知し、その合計金額を顧客操作表示盤6に表示させて顧客に合計金額を確認させる。
顧客は表示された合計金額を確認し、入金取引を成立させるための「確認」ボタンまたは入金取引を取消すための「取消」ボタンを押下するものとする。
【0037】
「取消」ボタンが押下されると自動取引装置1の制御部は紙幣処理装置10の制御部18へ一時保管庫233に集積した紙幣を顧客に返却することを通知(指示)する。
その通知を受けた紙幣処理装置10の制御部18は、図11に示すようにシャッタ22を矢印Cが示す方向へ一時保管庫233の開口部の上方に位置するまで移動してシャッタ22を開放して投入され、計数された紙幣を顧客へ返却する。
【0038】
一方、「確認」ボタンが押下されると自動取引装置1の制御部は紙幣処理装置10の制御部18へ一時保管庫233に集積した紙幣を紙幣収納庫16へ搬送して収納することを通知する。
その通知を受けた紙幣処理装置10の制御部18は、一時保管庫233に集積した紙幣を接客部23の分離手段により1枚ずつ分離して紙幣搬送部14へ送り出し、紙幣収納庫16へ搬送して収納する。
【0039】
このように接客部23に一時保管庫233を設け、一体型とすることにより装置内部のスペースを削除することができ、また接客部23を固定することにより、接客部23が移動するために必要な余分なスペースを削除することができる。
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、接客部23に一時保管庫233を設け、一体型とし、また接客部23を固定することにより、紙幣処理装置10を小型化することができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0040】
第1の実施例では、接客部が摺動可能に構成され、第2の実施例ではシャッタが摺動可能に構成されたものとして説明したが、第3の実施例では、接客部およびシャッタは固定され、接客部の内部に設けられた仕切り板等が摺動可能に構成されている。
その第3の実施例に構成を図12の第3の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図12において、33は接客部であり、入金する紙幣の投入を受け付ける紙幣投入庫331、入金された紙幣のうち後述する鑑別部により入金不可能と鑑別されたリジェクト紙幣を集積するためのリジェクト紙幣返却庫332、および入金された紙幣のうち鑑別部により入金可能と鑑別された紙幣を集積し、その紙幣を紙幣収納庫16に収納する前に一時的に保管するための一時保管庫333で構成され、紙幣投入庫331とリジェクト紙幣返却庫332は第1の仕切り板としての仕切り板334、リジェクト紙幣返却庫332と一時保管庫333は第2の仕切り板としての仕切り板335で仕切られている。
【0042】
また、リジェクト紙幣返却庫332内にはリジェクト紙幣返却庫332に集積した紙幣を図中矢印Eが示す方向へ押圧するための第1の紙幣押圧板としての紙幣プレス336、一時保管庫333内には一時保管庫333に集積した紙幣を図中矢印Eが示す方向へ押圧するための第2の紙幣押圧板としての紙幣プレス337が設けられている。
本実施例では、図12に示すように接客部33の紙幣投入庫331、リジェクト紙幣返却庫332、および一時保管庫333となる部位の上部がすべて開口したものとして説明するが、紙幣投入庫331となる部位の上部だけが開口するように開口部が形成されていてもよい。
【0043】
この接客部33内には、紙幣投入庫331に投入された紙幣を1枚ずつ分離して装置内に送り込む分離手段が設けられ、またリジェクト紙幣返却庫332および一時保管庫333は後述する紙幣搬送部で搬送された紙幣を集積する集積機構が設けられ、さらに一時保管庫333には集積した紙幣を1枚ずつ分離して装置内に送り込む分離手段が設けられている。
【0044】
また、仕切り板334、仕切り板335、紙幣プレス336、および紙幣プレス337は、紙幣処理装置10の機体に設けられたレール等のガイドに案内され、図示しないモータ等の駆動手段やセンサ等の位置検出手段により摺動可能に構成されており、図中矢印Eが示す紙幣処理装置10の前面から後面への方向、および矢印Fが示す紙幣処理装置10の後面から前面への方向にそれぞれ独立して移動することができるようになっている。
【0045】
したがって、接客部33の仕切り板334、仕切り板335、紙幣プレス336、および紙幣プレス337を所定の位置へ移動することにより、図12に示すように紙幣投入庫331、リジェクト紙幣返却庫332および一時保管庫333を形成し、シャッタ12を開放して紙幣投入庫331で入金する紙幣の投入を受け付けることができるようになっている。
【0046】
また、仕切り板334および紙幣プレス336を矢印Eが示す方向へ移動することにより、リジェクト紙幣返却庫332に集積された紙幣をシャッタ12に対向する下方へ移動し、シャッタ12を開放することにより、リジェクト紙幣返却庫332に集積された紙幣を顧客に返却することができるようになっている。
さらに、仕切り板335および紙幣プレス337を矢印Eが示す方向へ移動することにより、一時保管庫333に集積された紙幣をシャッタ12に対向する下方へ移動し、シャッタ12を開放することにより、一時保管庫333に集積された紙幣を顧客に返却することができるようになっている。
【0047】
また、接客部33の一時保管庫333は鑑別部15と紙幣収納庫16a〜16cとの間に配置され、入金可能と鑑別された紙幣を一時的に保管することができるようになっている。
このような構成を有する紙幣処理装置10は、シャッタ12、接客部33、搬送部14、鑑別部15、紙幣収納庫16(16a〜16c)等の各部の動作は、メモリ等の記憶部17に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて中央演算処理装置等の制御部18により制御されるものとなっている。
【0048】
上述した構成の作用を図12の第3の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図、図13の第3の実施例におけるリジェクト紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図、図14の第3の実施例における入金紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図に基づいて説明する。
まず、制御部18は、接客部33の仕切り板334、仕切り板335、紙幣プレス336、および紙幣プレス337を所定の位置へ移動し、図12に示すように紙幣投入庫331、リジェクト紙幣返却庫332および一時保管庫333を形成する。
【0049】
仕切り板334、仕切り板335、紙幣プレス336、および紙幣プレス337を所定の位置へ移動させると制御部18は、シャッタ12を開放し、入金する紙幣の投入を受け付ける。
入金する紙幣の投入を受け付けると制御部18は、シャッタ12を閉塞し、接客部33の分離手段により紙幣投入庫331に投入された紙幣を1枚ずつ分離して装置内の紙幣搬送部14へ送り出す。
【0050】
紙幣を紙幣搬送部14へ送り出すと制御部18は、その紙幣を紙幣搬送部14で鑑別部15へ搬送して鑑別する。鑑別部15の鑑別の結果、搬送され紙幣が入金可能と鑑別された場合、その紙幣を一時保管庫333へ搬送して集積し、一方入金不可能と鑑別された場合、その紙幣をリジェクト紙幣としてリジェクト紙幣返却庫332へ搬送して集積する。
紙幣投入庫331に投入されたすべての紙幣を一時保管庫333またはリジェクト紙幣返却庫332へ搬送すると制御部18は、リジェクト紙幣返却庫332に紙幣が集積されている場合、図13に示すように仕切り板334および紙幣プレス336を矢印Eが示す方向へ移動してリジェクト紙幣返却庫332に集積された紙幣をシャッタ12の下方へ移動し、シャッタ12を開放してリジェクト紙幣を顧客へ返却する。
【0051】
リジェクト紙幣を顧客へ返却すると制御部18は、入金可能と鑑別され、一時保管庫333に集積した紙幣の合計金額を自動取引装置1の制御部へ通知し、その合計金額を顧客操作表示盤6に表示させて顧客に合計金額を確認させる。
顧客は表示された合計金額を確認し、入金取引を成立させるための「確認」ボタンまたは入金取引を取消すための「取消」ボタンを押下するものとする。
【0052】
「取消」ボタンが押下されると自動取引装置1の制御部は紙幣処理装置10の制御部18へ一時保管庫333に集積した紙幣を顧客に返却することを通知(指示)する。
その通知を受けた紙幣処理装置10の制御部18は、図14に示すように仕切り板334、仕切り板335、紙幣プレス336、および紙幣プレス337を矢印Eが示す方向へ移動して一時保管庫333に集積された紙幣をシャッタ12の下方へ移動し、シャッタ12を開放して投入され、計数された紙幣を顧客へ返却する。
【0053】
一方、「確認」ボタンが押下されると自動取引装置1の制御部は紙幣処理装置10の制御部18へ一時保管庫333に集積した紙幣を紙幣収納庫16へ搬送して収納することを通知する。
その通知を受けた紙幣処理装置10の制御部18は、一時保管庫333に集積した紙幣を接客部33の分離手段により1枚ずつ分離して紙幣搬送部14へ送り出し、紙幣収納庫16へ搬送して収納する。
【0054】
以上説明したように、第3の実施例では、第1の実施例の効果および第2の実施例の効果に加え、接客部やシャッタを移動させる構成が不要となり、紙幣処理装置10をより小型化することができるという効果が得られる。
なお、第1の実施例から第3の実施例では、接客部に紙幣投入庫、リジェクト紙幣返却庫および一時保管庫を一体とした構成で説明したが、図15に示すように紙幣投入庫431とリジェクト紙幣返却庫432および一時保管庫433とを離した構成としてもよい。
【0055】
このとき、リジェクト紙幣返却庫432と一時保管庫433との間に仕切り板435を設け、リジェクト紙幣返却庫432および一時保管庫433を移動可能に構成することで第1の実施例が適用可能になり、また図示しないシャッタをリジェクト紙幣返却庫432および一時保管庫433の間を移動可能に構成することで第2の実施例が適用可能になり、さらに、移動可能な仕切り板435とともに紙幣プレスを設けることで第3の実施例が適用可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示す側面図
【図2】第1の実施例における自動取引装置の外観斜視図
【図3】第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示すブロック図
【図4】第1の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図
【図5】第1の実施例におけるリジェクト紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図
【図6】第1の実施例における入金紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図
【図7】第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示す側面図
【図8】第2の実施例における紙幣処理装置の構成を示す側面図
【図9】第2の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図
【図10】第2の実施例におけるリジェクト紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図
【図11】第2の実施例における入金紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図
【図12】第3の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図
【図13】第3の実施例におけるリジェクト紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図
【図14】第3の実施例における入金紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図
【図15】応用例における紙幣処理装置の構成を示す側面図
【符号の説明】
【0057】
1 自動取引装置
3 紙幣入出金口
4 カード挿入排出口
5 明細票排出口
6 顧客操作表示盤
7 筐体
10 紙幣処理装置
11 接客口
12、22 シャッタ
13、23、33 接客部
131、231、331 紙幣投入庫
132、232、332 リジェクト紙幣返却庫
133、233、333 一時保管庫
14 紙幣搬送部
15 鑑別部
16 紙幣収納庫
17 リジェクト庫
18 切替ブレード
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客やオペレータ等の操作者により紙幣の入出金処理を行う紙幣処理装置に関し、特に入金処理を取消す操作を受け付けたとき、入金された紙幣を操作者に返却する紙幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙幣処理装置は、紙幣の入金処理を行う場合、接客部に設けられた紙幣入出金口に投入された紙幣を1枚ずつ分離して紙幣搬送路で搬送し、その紙幣搬送路上の鑑別部で受入可能と鑑別された紙幣を一時保管庫へ搬送するようにしている。そして、投入された紙幣の金額を操作者に確認させ、入金処理を成立させる操作を受け付けると一時保管庫に保管された紙幣を1枚ずつ分離して紙幣搬送路で紙幣収納庫へ搬送し、収納する。一方、入金処理を取消す操作を受け付けると一時保管庫に保管された紙幣を1枚ずつ分離して紙幣搬送路で接客部へ搬送し、操作者へ返却するようにしている。
【0003】
このように紙幣入出金口に投入された紙幣を一時保管する一時保留部を紙幣収納庫の上部に配置したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−147193号公報(段落「0015」、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、入金処理を取消す操作を受け付けて一時保管庫に保管された紙幣を操作者へ返却する場合、その一時保管庫に保管された紙幣を1枚ずつ分離して紙幣搬送路で接客部へ搬送する必要があるため、紙幣の搬送時間が長くなり、操作者が行う取引の時間が長くなってしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、一時保管庫に保管された紙幣を操作者へ返却する時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、顧客により接客部の紙幣投入庫に投入された紙幣を搬送して鑑別部で鑑別し、入金可能と鑑別された紙幣を紙幣収納庫に収納する入金処理を行う紙幣処理装置において、鑑別部で入金可能と鑑別された紙幣を紙幣収納庫に収納する前に集積して保管する一時保管庫を前記接客部に設け、入金処理を取消す指示を受けたとき、前記接客部のシャッタを開放して前記一時保管庫に保管された紙幣を顧客に返却できるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、一時保管庫に保管された紙幣を操作者へ返却する時間を短縮することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による紙幣処理装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図2は第1の実施例における自動取引装置の外観斜視図である。
図2において、1は自動取引装置であり、銀行等の金融機関の店舗やコンビニエンスストア等の店舗等に設置され、顧客の操作を受け付けて現金の入金や出金等の各種取引を行うものである。
この自動取引装置1には紙幣等の現金の入金処理および出金処理を行う紙幣処理装置10が筐体7の内部に搭載され、また前面に入金する紙幣や出金する紙幣、および返却する紙幣を顧客との間で受け渡すための紙幣入出金口3、カードの挿入を受付け、そのカードを返却するためのカード挿入排出口4、取引内容等を印刷した明細票を発行するための明細票排出口5、および顧客の操作を誘導する画面を表示し、また取引に必要な情報の入力を受け付けるための顧客操作表示盤6を備えている。
【0009】
図1は第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示す側面図である。
図1において、12はシャッタであり、紙幣処理装置10の紙幣入出金口3を開閉するためのものである。顧客が自動取引装置を操作して取引を行う際はこのシャッタ12が開閉して紙幣の出し入れが可能になるように制御されるものとなっている。
13は接客部であり、入金する紙幣の投入を受け付ける紙幣投入庫131、入金された紙幣のうち後述する鑑別部により入金不可能と鑑別されたリジェクト紙幣を集積し、顧客に返却するためのリジェクト紙幣返却庫132、および入金された紙幣のうち鑑別部により入金可能と鑑別された紙幣を集積し、その紙幣を後述する紙幣収納庫に収納する前に一時的に保管するとともに入金処理が取り消されたとき保管した紙幣を顧客に返却するための一時保管庫133で構成され、紙幣投入庫131とリジェクト紙幣返却庫132は仕切り板134、リジェクト紙幣返却庫132と一時保管庫133は仕切り板135で仕切られている。
【0010】
この紙幣投入庫131、リジェクト紙幣返却庫132、および一時保管庫133の上部は開口しており、その開口部から紙幣の出し入れができるようになっている。
また、接客部13内には、紙幣投入庫131に投入された紙幣を1枚ずつ分離して装置内に送り込む分離手段が設けられ、またリジェクト紙幣返却庫132および一時保管庫133は後述する紙幣搬送部で搬送された紙幣を集積する集積機構が設けられ、さらに一時保管庫133には集積した紙幣を1枚ずつ分離して装置内に送り込む分離手段が設けられている。
【0011】
さらに、接客部13は、紙幣処理装置10の機体に設けられたレール等のガイドに案内され、図示しないモータ等の駆動手段やセンサ等の位置検出手段により摺動可能に構成されており、図中矢印Aが示す紙幣処理装置10の前面から後面への方向、および矢印Bが示す紙幣処理装置10の後面から前面への方向に移動することができるようになっている。
【0012】
したがって、接客部13は、紙幣投入庫131、リジェクト紙幣返却庫132、または一時保管庫133の開口部をシャッタ12に対向する下方に移動し、そのシャッタ12を開放して紙幣投入庫131で入金する紙幣の投入を受け付けることができ、またリジェクト紙幣返却庫132または一時保管庫133に集積された紙幣を顧客に返却することができるようになっている。
【0013】
14は紙幣搬送部であり、接客部13から送り出された紙幣をベルト等で挟持して搬送する搬送路、その搬送路を駆動するためのモータ等で構成されたものである。
15は鑑別部であり、この鑑別部15は、紙幣搬送部14上に設けられ紙幣の真偽、金種、正損、表裏の鑑別を行うと共に、重送、連鎖、斜行等の搬送異常の検知、および金種が確定した紙幣の計数を行う機能を有している。したがって、鑑別部15は接客部13の紙幣投入庫131に投入された紙幣を1枚ずつ鑑別して入金の可否を鑑別することができる。
【0014】
16a〜16cは紙幣収納庫で、ここでは3個並べて配置しているが、この数に限られるものではなく、運用形態等に応じて少なくとも1つ備えていればよい。
紙幣収納庫16a〜16cにはそれぞれ上部一端に紙幣の取り込みおよび繰り出し用の開口部が形成されており、各々の開口部には紙幣収納庫16a〜16c内に紙幣を1枚ずつ送り込んで集積させると共に紙幣収納庫16a〜16c内から紙幣を1枚ずつ分離して繰り出す複数のローラから成る集積繰り出し手段が設けられている。
【0015】
17は出金取引時に鑑別部15で金種不明等のリジェクト紙幣と鑑別された紙幣を収納するリジェクト収納庫である。
18a、18bは切替ブレードであり、紙幣搬送部14上に設けられ、紙幣搬送部14で搬送される紙幣の行き先を切り替えるためのものである。この切替ブレード18a、18bを切り替えることにより、鑑別部15により入金不可能と鑑別されたリジェクト紙幣をリジェクト紙幣返却庫132へ搬送することができ、また入金された紙幣のうち鑑別部により入金可能と鑑別された紙幣を一時保管庫133へ搬送することができるようになっている。
【0016】
また、紙幣搬送部14上の他の分岐点にも図示しない切替ブレードが配置され、接客部13の一時保管庫133に集積された紙幣を紙幣収納庫16a〜16cへ搬送して収納することができるようになっている。
したがって、接客部13の一時保管庫133は鑑別部15と紙幣収納庫16a〜16cとの間に配置され、入金可能と鑑別された紙幣を一時的に保管することができるようになっている。
【0017】
このような構成を有する紙幣処理装置10は、図3に示すようにシャッタ12、接客部13、搬送部14、鑑別部15、紙幣収納庫16(16a〜16c)等の各部の動作は、メモリ等の記憶部17に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて中央演算処理装置等の制御部18により制御されるものとなっている。
なお、以下の実施例では発明に直接関係しない出金についての説明を省略する。
【0018】
上述した構成の作用を図4の第1の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図、図5の第1の実施例におけるリジェクト紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図、図6の第1の実施例における入金紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図に基づいて説明する。
まず、制御部18は、図4に示すように紙幣投入庫131の開口部がシャッタ12の下方に位置するように接客部13を移動させる。
【0019】
紙幣投入庫131の開口部がシャッタ12の下方に位置するように接客部13を移動させると制御部18は、シャッタ12を開放し、入金する紙幣の投入を受け付ける。
入金する紙幣の投入を受け付けると制御部18は、シャッタ12を閉塞し、接客部13の分離手段により紙幣投入庫131に投入された紙幣を1枚ずつ分離して装置内の紙幣搬送部14へ送り出す。
【0020】
紙幣を紙幣搬送部14へ送り出すと制御部18は、その紙幣を紙幣搬送部14で鑑別部15へ搬送して鑑別する。鑑別部15の鑑別の結果、搬送され紙幣が入金可能と鑑別された場合、その紙幣を一時保管庫133へ搬送して集積し、一方入金不可能と鑑別された場合、その紙幣をリジェクト紙幣としてリジェクト紙幣返却庫132へ搬送して集積する。
紙幣投入庫131に投入されたすべての紙幣を一時保管庫133またはリジェクト紙幣返却庫132へ搬送すると制御部18は、リジェクト紙幣返却庫132に紙幣が集積されている場合、図5に示すように接客部13を矢印Aが示す方向へリジェクト紙幣返却庫132の開口部がシャッタ12の下方に位置するまで移動してシャッタ12を開放してリジェクト紙幣を顧客へ返却する。
【0021】
リジェクト紙幣を顧客へ返却すると制御部18は、入金可能と鑑別され、一時保管庫133に集積した紙幣の合計金額を自動取引装置1の制御部へ通知し、その合計金額を顧客操作表示盤6に表示させて顧客に合計金額を確認させる。
顧客は表示された合計金額を確認し、入金取引を成立させるための「確認」ボタンまたは入金取引を取消すための「取消」ボタンを押下するものとする。
【0022】
「取消」ボタンが押下されると自動取引装置1の制御部は紙幣処理装置10の制御部18へ一時保管庫133に集積した紙幣を顧客に返却することを通知(指示)する。
その通知を受けた紙幣処理装置10の制御部18は、図6に示すように接客部13を矢印Aが示す方向へ一時保管庫133の開口部がシャッタ12の下方に位置するまで移動してシャッタ12を開放して投入され、計数された紙幣を顧客へ返却する。
【0023】
一方、「確認」ボタンが押下されると自動取引装置1の制御部は紙幣処理装置10の制御部18へ一時保管庫133に集積した紙幣を紙幣収納庫16へ搬送して収納することを通知する。
その通知を受けた紙幣処理装置10の制御部18は、一時保管庫133に集積した紙幣を接客部13の分離手段により1枚ずつ分離して紙幣搬送部14へ送り出し、紙幣収納庫16へ搬送して収納する。
【0024】
このように接客部13に紙幣投入庫131とリジェクト紙幣返却庫132は仕切り板134、およびリジェクト紙幣返却庫132と一時保管庫133は仕切り板135を設け、一時保管庫133がシャッタ12の下方になるように接客部13を移動して投入された紙幣を顧客へ返却するようにしたことにより、入金取引が取消された場合、投入された紙幣を分離して紙幣搬送部14で搬送する必要がなくなり、顧客に紙幣を返却する時間を短縮することができるようになる。
【0025】
なお、本実施例では、接客部13を摺動させて紙幣投入庫131、リジェクト紙幣返却庫132、または一時保管庫133をシャッタ12の下方に移動するように構成したが、図7に示すように接客部13を回動させて紙幣投入庫131、リジェクト紙幣返却庫132、または一時保管庫133をシャッタ12の下方に移動するように構成してもよい。
このように構成することにより、接客部13を回動させて紙幣投入庫131に投入された紙幣を分離して装置内へ送り込むタイプの紙幣処理装置10においては、接客部13が移動するための余分なスペースを不要にすることができるようになる。
【0026】
以上説明したように、第1の実施例では、リジェクト紙幣返却庫132と一時保管庫133は仕切り板135を設け、一時保管庫133がシャッタ12の下方になるように接客部13を移動して投入された紙幣を顧客へ返却するようにしたことにより、顧客に紙幣を返却する時間を短縮することができるようになり、取引時間を短縮することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0027】
第1の実施例では、接客部が摺動可能に構成されたものとして説明したが、第2の実施例では、接客部は固定され、シャッタが接客部の紙幣投入庫、リジェクト紙幣返却庫、または一時保管庫の上方を摺動可能に構成されている。
その第2の実施例に構成を図8の第2の実施例における紙幣処理装置の構成を示す側面図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
図8において、22はシャッタであり、紙幣処理装置10の紙幣入出金口3を開閉するためのものである。顧客が自動取引装置を操作して取引を行う際はこのシャッタ12が開閉して紙幣の出し入れが可能になるように制御されるものとなっている。
このシャッタ22は、紙幣処理装置10の機体に設けられたレール等のガイドに案内され、図示しないモータ等の駆動手段やセンサ等の位置検出手段により摺動可能に構成されており、図中矢印Cが示す紙幣処理装置10の前面から後面への方向、および矢印Dが示す紙幣処理装置10の後面から前面への方向に移動することができるようになっている。
【0029】
23は接客部であり、入金する紙幣の投入を受け付ける紙幣投入庫231、入金された紙幣のうち後述する鑑別部により入金不可能と鑑別されたリジェクト紙幣を集積するためのリジェクト紙幣返却庫232、および入金された紙幣のうち鑑別部により入金可能と鑑別された紙幣を集積し、その紙幣を紙幣収納庫16に収納する前に一時的に保管するための一時保管庫233で構成され、紙幣投入庫231とリジェクト紙幣返却庫232は仕切り板234、リジェクト紙幣返却庫232と一時保管庫233は仕切り板235で仕切られている。
【0030】
この紙幣投入庫231、リジェクト紙幣返却庫232、および一時保管庫233の上部は開口しており、その開口部から紙幣の出し入れができるようになっている。
この接客部23内には、紙幣投入庫231に投入された紙幣を1枚ずつ分離して装置内に送り込む分離手段が設けられ、またリジェクト紙幣返却庫232および一時保管庫233は紙幣搬送部で搬送された紙幣を集積する集積機構が設けられ、さらに一時保管庫233には集積した紙幣を1枚ずつ分離して装置内に送り込む分離手段が設けられている。
【0031】
シャッタ22は、この紙幣投入庫231、リジェクト紙幣返却庫232、または一時保管庫233の開口部に対向する上方を移動し、また紙幣投入庫231、リジェクト紙幣返却庫232、または一時保管庫233の上方で停止して開閉することができるようになっており、そのシャッタ22を開放して紙幣投入庫231で入金する紙幣の投入を受け付けることができ、またリジェクト紙幣返却庫232または一時保管庫233に集積された紙幣を顧客に返却することができるようになっている。
【0032】
また、接客部23の一時保管庫233は鑑別部15と紙幣収納庫16a〜16cとの間に配置され、入金可能と鑑別された紙幣を一時的に保管することができるようになっている。
このような構成を有する紙幣処理装置10は、シャッタ22、接客部23、搬送部14、鑑別部15、紙幣収納庫16(16a〜16c)等の各部の動作は、メモリ等の記憶部17に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて中央演算処理装置等の制御部18により制御されるものとなっている。
【0033】
上述した構成の作用を図9の第2の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図、図10の第2の実施例におけるリジェクト紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図、図11の第2の実施例における入金紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図に基づいて説明する。
まず、制御部18は、シャッタ22を図9に示すように接客部23の紙幣投入庫231の開口部の上方に位置するように移動させる。
【0034】
シャッタ22が紙幣投入庫231の開口部の上方に位置するように移動させると制御部18は、シャッタ22を開放し、入金する紙幣の投入を受け付ける。
入金する紙幣の投入を受け付けると制御部18は、シャッタ22を閉塞し、接客部23の分離手段により紙幣投入庫231に投入された紙幣を1枚ずつ分離して装置内の紙幣搬送部14へ送り出す。
【0035】
紙幣を紙幣搬送部14へ送り出すと制御部18は、その紙幣を紙幣搬送部14で鑑別部15へ搬送して鑑別する。鑑別部15の鑑別の結果、搬送され紙幣が入金可能と鑑別された場合、その紙幣を一時保管庫233へ搬送して集積し、一方入金不可能と鑑別された場合、その紙幣をリジェクト紙幣としてリジェクト紙幣返却庫232へ搬送して集積する。
紙幣投入庫231に投入されたすべての紙幣を一時保管庫233またはリジェクト紙幣返却庫232へ搬送すると制御部18は、リジェクト紙幣返却庫232に紙幣が集積されている場合、図10に示すようにシャッタ22を矢印Cが示す方向へリジェクト紙幣返却庫232の開口部の上方に位置するまで移動してシャッタ22を開放してリジェクト紙幣を顧客へ返却する。
【0036】
リジェクト紙幣を顧客へ返却すると制御部18は、入金可能と鑑別され、一時保管庫233に集積した紙幣の合計金額を自動取引装置1の制御部へ通知し、その合計金額を顧客操作表示盤6に表示させて顧客に合計金額を確認させる。
顧客は表示された合計金額を確認し、入金取引を成立させるための「確認」ボタンまたは入金取引を取消すための「取消」ボタンを押下するものとする。
【0037】
「取消」ボタンが押下されると自動取引装置1の制御部は紙幣処理装置10の制御部18へ一時保管庫233に集積した紙幣を顧客に返却することを通知(指示)する。
その通知を受けた紙幣処理装置10の制御部18は、図11に示すようにシャッタ22を矢印Cが示す方向へ一時保管庫233の開口部の上方に位置するまで移動してシャッタ22を開放して投入され、計数された紙幣を顧客へ返却する。
【0038】
一方、「確認」ボタンが押下されると自動取引装置1の制御部は紙幣処理装置10の制御部18へ一時保管庫233に集積した紙幣を紙幣収納庫16へ搬送して収納することを通知する。
その通知を受けた紙幣処理装置10の制御部18は、一時保管庫233に集積した紙幣を接客部23の分離手段により1枚ずつ分離して紙幣搬送部14へ送り出し、紙幣収納庫16へ搬送して収納する。
【0039】
このように接客部23に一時保管庫233を設け、一体型とすることにより装置内部のスペースを削除することができ、また接客部23を固定することにより、接客部23が移動するために必要な余分なスペースを削除することができる。
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、接客部23に一時保管庫233を設け、一体型とし、また接客部23を固定することにより、紙幣処理装置10を小型化することができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0040】
第1の実施例では、接客部が摺動可能に構成され、第2の実施例ではシャッタが摺動可能に構成されたものとして説明したが、第3の実施例では、接客部およびシャッタは固定され、接客部の内部に設けられた仕切り板等が摺動可能に構成されている。
その第3の実施例に構成を図12の第3の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図12において、33は接客部であり、入金する紙幣の投入を受け付ける紙幣投入庫331、入金された紙幣のうち後述する鑑別部により入金不可能と鑑別されたリジェクト紙幣を集積するためのリジェクト紙幣返却庫332、および入金された紙幣のうち鑑別部により入金可能と鑑別された紙幣を集積し、その紙幣を紙幣収納庫16に収納する前に一時的に保管するための一時保管庫333で構成され、紙幣投入庫331とリジェクト紙幣返却庫332は第1の仕切り板としての仕切り板334、リジェクト紙幣返却庫332と一時保管庫333は第2の仕切り板としての仕切り板335で仕切られている。
【0042】
また、リジェクト紙幣返却庫332内にはリジェクト紙幣返却庫332に集積した紙幣を図中矢印Eが示す方向へ押圧するための第1の紙幣押圧板としての紙幣プレス336、一時保管庫333内には一時保管庫333に集積した紙幣を図中矢印Eが示す方向へ押圧するための第2の紙幣押圧板としての紙幣プレス337が設けられている。
本実施例では、図12に示すように接客部33の紙幣投入庫331、リジェクト紙幣返却庫332、および一時保管庫333となる部位の上部がすべて開口したものとして説明するが、紙幣投入庫331となる部位の上部だけが開口するように開口部が形成されていてもよい。
【0043】
この接客部33内には、紙幣投入庫331に投入された紙幣を1枚ずつ分離して装置内に送り込む分離手段が設けられ、またリジェクト紙幣返却庫332および一時保管庫333は後述する紙幣搬送部で搬送された紙幣を集積する集積機構が設けられ、さらに一時保管庫333には集積した紙幣を1枚ずつ分離して装置内に送り込む分離手段が設けられている。
【0044】
また、仕切り板334、仕切り板335、紙幣プレス336、および紙幣プレス337は、紙幣処理装置10の機体に設けられたレール等のガイドに案内され、図示しないモータ等の駆動手段やセンサ等の位置検出手段により摺動可能に構成されており、図中矢印Eが示す紙幣処理装置10の前面から後面への方向、および矢印Fが示す紙幣処理装置10の後面から前面への方向にそれぞれ独立して移動することができるようになっている。
【0045】
したがって、接客部33の仕切り板334、仕切り板335、紙幣プレス336、および紙幣プレス337を所定の位置へ移動することにより、図12に示すように紙幣投入庫331、リジェクト紙幣返却庫332および一時保管庫333を形成し、シャッタ12を開放して紙幣投入庫331で入金する紙幣の投入を受け付けることができるようになっている。
【0046】
また、仕切り板334および紙幣プレス336を矢印Eが示す方向へ移動することにより、リジェクト紙幣返却庫332に集積された紙幣をシャッタ12に対向する下方へ移動し、シャッタ12を開放することにより、リジェクト紙幣返却庫332に集積された紙幣を顧客に返却することができるようになっている。
さらに、仕切り板335および紙幣プレス337を矢印Eが示す方向へ移動することにより、一時保管庫333に集積された紙幣をシャッタ12に対向する下方へ移動し、シャッタ12を開放することにより、一時保管庫333に集積された紙幣を顧客に返却することができるようになっている。
【0047】
また、接客部33の一時保管庫333は鑑別部15と紙幣収納庫16a〜16cとの間に配置され、入金可能と鑑別された紙幣を一時的に保管することができるようになっている。
このような構成を有する紙幣処理装置10は、シャッタ12、接客部33、搬送部14、鑑別部15、紙幣収納庫16(16a〜16c)等の各部の動作は、メモリ等の記憶部17に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて中央演算処理装置等の制御部18により制御されるものとなっている。
【0048】
上述した構成の作用を図12の第3の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図、図13の第3の実施例におけるリジェクト紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図、図14の第3の実施例における入金紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図に基づいて説明する。
まず、制御部18は、接客部33の仕切り板334、仕切り板335、紙幣プレス336、および紙幣プレス337を所定の位置へ移動し、図12に示すように紙幣投入庫331、リジェクト紙幣返却庫332および一時保管庫333を形成する。
【0049】
仕切り板334、仕切り板335、紙幣プレス336、および紙幣プレス337を所定の位置へ移動させると制御部18は、シャッタ12を開放し、入金する紙幣の投入を受け付ける。
入金する紙幣の投入を受け付けると制御部18は、シャッタ12を閉塞し、接客部33の分離手段により紙幣投入庫331に投入された紙幣を1枚ずつ分離して装置内の紙幣搬送部14へ送り出す。
【0050】
紙幣を紙幣搬送部14へ送り出すと制御部18は、その紙幣を紙幣搬送部14で鑑別部15へ搬送して鑑別する。鑑別部15の鑑別の結果、搬送され紙幣が入金可能と鑑別された場合、その紙幣を一時保管庫333へ搬送して集積し、一方入金不可能と鑑別された場合、その紙幣をリジェクト紙幣としてリジェクト紙幣返却庫332へ搬送して集積する。
紙幣投入庫331に投入されたすべての紙幣を一時保管庫333またはリジェクト紙幣返却庫332へ搬送すると制御部18は、リジェクト紙幣返却庫332に紙幣が集積されている場合、図13に示すように仕切り板334および紙幣プレス336を矢印Eが示す方向へ移動してリジェクト紙幣返却庫332に集積された紙幣をシャッタ12の下方へ移動し、シャッタ12を開放してリジェクト紙幣を顧客へ返却する。
【0051】
リジェクト紙幣を顧客へ返却すると制御部18は、入金可能と鑑別され、一時保管庫333に集積した紙幣の合計金額を自動取引装置1の制御部へ通知し、その合計金額を顧客操作表示盤6に表示させて顧客に合計金額を確認させる。
顧客は表示された合計金額を確認し、入金取引を成立させるための「確認」ボタンまたは入金取引を取消すための「取消」ボタンを押下するものとする。
【0052】
「取消」ボタンが押下されると自動取引装置1の制御部は紙幣処理装置10の制御部18へ一時保管庫333に集積した紙幣を顧客に返却することを通知(指示)する。
その通知を受けた紙幣処理装置10の制御部18は、図14に示すように仕切り板334、仕切り板335、紙幣プレス336、および紙幣プレス337を矢印Eが示す方向へ移動して一時保管庫333に集積された紙幣をシャッタ12の下方へ移動し、シャッタ12を開放して投入され、計数された紙幣を顧客へ返却する。
【0053】
一方、「確認」ボタンが押下されると自動取引装置1の制御部は紙幣処理装置10の制御部18へ一時保管庫333に集積した紙幣を紙幣収納庫16へ搬送して収納することを通知する。
その通知を受けた紙幣処理装置10の制御部18は、一時保管庫333に集積した紙幣を接客部33の分離手段により1枚ずつ分離して紙幣搬送部14へ送り出し、紙幣収納庫16へ搬送して収納する。
【0054】
以上説明したように、第3の実施例では、第1の実施例の効果および第2の実施例の効果に加え、接客部やシャッタを移動させる構成が不要となり、紙幣処理装置10をより小型化することができるという効果が得られる。
なお、第1の実施例から第3の実施例では、接客部に紙幣投入庫、リジェクト紙幣返却庫および一時保管庫を一体とした構成で説明したが、図15に示すように紙幣投入庫431とリジェクト紙幣返却庫432および一時保管庫433とを離した構成としてもよい。
【0055】
このとき、リジェクト紙幣返却庫432と一時保管庫433との間に仕切り板435を設け、リジェクト紙幣返却庫432および一時保管庫433を移動可能に構成することで第1の実施例が適用可能になり、また図示しないシャッタをリジェクト紙幣返却庫432および一時保管庫433の間を移動可能に構成することで第2の実施例が適用可能になり、さらに、移動可能な仕切り板435とともに紙幣プレスを設けることで第3の実施例が適用可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示す側面図
【図2】第1の実施例における自動取引装置の外観斜視図
【図3】第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示すブロック図
【図4】第1の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図
【図5】第1の実施例におけるリジェクト紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図
【図6】第1の実施例における入金紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図
【図7】第1の実施例における紙幣処理装置の構成を示す側面図
【図8】第2の実施例における紙幣処理装置の構成を示す側面図
【図9】第2の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図
【図10】第2の実施例におけるリジェクト紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図
【図11】第2の実施例における入金紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図
【図12】第3の実施例における入金時のシャッタおよび接客部の説明図
【図13】第3の実施例におけるリジェクト紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図
【図14】第3の実施例における入金紙幣返却時のシャッタおよび接客部の説明図
【図15】応用例における紙幣処理装置の構成を示す側面図
【符号の説明】
【0057】
1 自動取引装置
3 紙幣入出金口
4 カード挿入排出口
5 明細票排出口
6 顧客操作表示盤
7 筐体
10 紙幣処理装置
11 接客口
12、22 シャッタ
13、23、33 接客部
131、231、331 紙幣投入庫
132、232、332 リジェクト紙幣返却庫
133、233、333 一時保管庫
14 紙幣搬送部
15 鑑別部
16 紙幣収納庫
17 リジェクト庫
18 切替ブレード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客により接客部の紙幣投入庫に投入された紙幣を搬送して鑑別部で鑑別し、入金可能と鑑別された紙幣を紙幣収納庫に収納する入金処理を行う紙幣処理装置において、
鑑別部で入金可能と鑑別された紙幣を紙幣収納庫に収納する前に集積して保管する一時保管庫を前記接客部に設け、
入金処理を取消す指示を受けたとき、前記接客部のシャッタを開放して前記一時保管庫に保管された紙幣を顧客に返却できるようにしたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
請求項1の紙幣処理装置において、
前記接客部は、紙幣の投入を受付ける紙幣投入庫、鑑別部で入金不可能と鑑別された紙幣を集積して該紙幣を顧客に返却するリジェクト紙幣返却庫および前記一時保管庫からなり、該紙幣投入庫への紙幣の投入および該リジェクト紙幣返却庫ならびに一時保管庫からの紙幣の返却を可能にする開口部を有することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項3】
請求項2の紙幣処理装置において、
前記接客部は、前記紙幣投入庫、リジェクト紙幣収納庫および一時保管庫に形成されたそれぞれの開口部が、開閉自在のシャッタに対向するように移動自在に構成されていることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項4】
請求項2の紙幣処理装置において、
前記接客部の紙幣投入庫、リジェクト紙幣収納庫および一時保管庫に形成されたそれぞれの開口部に対向するように移動および開閉自在のシャッタを設けたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項5】
請求項2の紙幣処理装置において、
前記接客部に、
前記紙幣投入庫と前記リジェクト紙幣収納庫とを仕切る第1の仕切り板と、
前記リジェクト紙幣収納庫と前記一時保管庫とを仕切る第2の仕切り板と、
前記リジェクト紙幣収納庫に集積された紙幣を押圧する第1の紙幣押圧板と、
前記一時保管庫に集積された紙幣を押圧する第2の紙幣押圧板とを移動自在に設け、
前記第1の仕切り板および前記第1の紙幣押圧板で前記リジェクト紙幣収納庫に集積された紙幣を開閉自在のシャッタに対向する位置へ移動させて前記リジェクト紙幣収納庫に集積された紙幣を顧客に返却できるようにし、前記第2の仕切り板および前記第2の紙幣押圧板で前記一時保管庫に集積された紙幣を開閉自在のシャッタに対向する位置へ移動させて前記一時保管庫に集積された紙幣を顧客に返却できるようにしたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項6】
請求項3の紙幣処理装置において、
前記接客部は、摺動自在に構成されていることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項7】
請求項3の紙幣処理装置において、
前記接客部は、回動自在に構成されていることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項1】
顧客により接客部の紙幣投入庫に投入された紙幣を搬送して鑑別部で鑑別し、入金可能と鑑別された紙幣を紙幣収納庫に収納する入金処理を行う紙幣処理装置において、
鑑別部で入金可能と鑑別された紙幣を紙幣収納庫に収納する前に集積して保管する一時保管庫を前記接客部に設け、
入金処理を取消す指示を受けたとき、前記接客部のシャッタを開放して前記一時保管庫に保管された紙幣を顧客に返却できるようにしたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
請求項1の紙幣処理装置において、
前記接客部は、紙幣の投入を受付ける紙幣投入庫、鑑別部で入金不可能と鑑別された紙幣を集積して該紙幣を顧客に返却するリジェクト紙幣返却庫および前記一時保管庫からなり、該紙幣投入庫への紙幣の投入および該リジェクト紙幣返却庫ならびに一時保管庫からの紙幣の返却を可能にする開口部を有することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項3】
請求項2の紙幣処理装置において、
前記接客部は、前記紙幣投入庫、リジェクト紙幣収納庫および一時保管庫に形成されたそれぞれの開口部が、開閉自在のシャッタに対向するように移動自在に構成されていることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項4】
請求項2の紙幣処理装置において、
前記接客部の紙幣投入庫、リジェクト紙幣収納庫および一時保管庫に形成されたそれぞれの開口部に対向するように移動および開閉自在のシャッタを設けたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項5】
請求項2の紙幣処理装置において、
前記接客部に、
前記紙幣投入庫と前記リジェクト紙幣収納庫とを仕切る第1の仕切り板と、
前記リジェクト紙幣収納庫と前記一時保管庫とを仕切る第2の仕切り板と、
前記リジェクト紙幣収納庫に集積された紙幣を押圧する第1の紙幣押圧板と、
前記一時保管庫に集積された紙幣を押圧する第2の紙幣押圧板とを移動自在に設け、
前記第1の仕切り板および前記第1の紙幣押圧板で前記リジェクト紙幣収納庫に集積された紙幣を開閉自在のシャッタに対向する位置へ移動させて前記リジェクト紙幣収納庫に集積された紙幣を顧客に返却できるようにし、前記第2の仕切り板および前記第2の紙幣押圧板で前記一時保管庫に集積された紙幣を開閉自在のシャッタに対向する位置へ移動させて前記一時保管庫に集積された紙幣を顧客に返却できるようにしたことを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項6】
請求項3の紙幣処理装置において、
前記接客部は、摺動自在に構成されていることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項7】
請求項3の紙幣処理装置において、
前記接客部は、回動自在に構成されていることを特徴とする紙幣処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−15336(P2010−15336A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173960(P2008−173960)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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