説明

紙幣処理装置

【課題】両面に入出金口を有する紙幣処理装置の構成要素の共通化を進めて小型化を図るとともに、収納紙幣の効率的利用を図ることで使い勝手の良い紙幣処理装置を提供する。
【解決手段】両面に入金部3a,3bと出金部28a,28bを配置した紙幣処理装置1Aにおいて、入金部3a,3bに接続される入金搬送路7a,7bと、入金搬送路7a,7bを両側に連結する紙幣識別計数部9と、紙幣識別計数部9により識別された紙幣を一方側の紙幣収納庫11に搬送する紙幣搬送路16と、他方側の紙幣収納庫18,25に搬送する紙幣搬送路27と、これらの紙幣搬送路16,27に接続された出金部28a,28bと、を備え、入金部3a,3bから入金された紙幣を、紙幣識別計数機9により識別、計数して一方又は他方側の何れか一方の紙幣収納庫11,18,25に収納し、紙幣収納庫11,18から繰り出された紙幣を、出金部28a,28bに出金する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入金口に入金された紙幣を内部に取り込んで収容したり、内部に収容した紙幣を釣札等として出金したりする紙幣処理装置に関し、特に装置の両側に入出金口を備えた紙幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリンスタンドや駐車場などの精算装置には、清算処理の効率化や省スペース化を図るために2台の貨幣処理装置を背中合わせに設置して筐体の両面から貨幣の入出金を行う貨幣取扱装置が導入されている。
【0003】
しかしながら、このような貨幣取扱装置は、概ね従来の貨幣処理装置を一つの筐体内に2台組み込んだ構成を備えるものであるから、両面のそれぞれの操作部に設けられた入出金部、操作表示部の他に、それぞれの操作部に対応する貨幣搬送手段、識別手段、貨幣金庫等の構成要素が2台分設けられるため、部品点数が多く、また装置が大型化する問題を有していた。
【0004】
このような問題に対応するため、紙幣や硬貨の入出金部、表示部等から成る操作部を対向する両側の2面に設ける一方で、貨幣の搬送手段や収納手段を共通化して部品点数を減らした貨幣処理装置が提案されている。このような貨幣処理装置の一例として、先に公開された特開2007-323232号公報(特許文献1)に記載されるような紙幣処理装置が知られている。この特許文献1に記載される紙幣処理装置においては、一方側の面に設けられる紙幣入金口、又は他方側の面に設けられる紙幣入金口からそれぞれ挿入された紙幣は、共通搬送路と切り替え機構を通過して、共通の低額紙幣収納部と高中額紙幣収納部に区分して収納され、その低額紙幣収納部に収納されている低額紙幣は、その共通搬送路と切り替え機構を通過して、出金集積部に収納され、その出金集積部に収納されている低額紙幣は、一方側の面の紙幣出金口に搬送され、或いは、切り替え機構が切り替えられ、共通搬送路を搬送されて他方側の面の紙幣出金口に出金されるものである。これにより、低額紙幣収納部に収納されている低額紙幣は、出金集積部に収納されるので、紙幣処理装置において、両面側から多数枚の低額紙幣を迅速に出金できる態勢を整えるとともに、一部の構成要素を共通化することで装置を小型化した紙幣処理装置を提供することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−323232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような紙幣処理装置がガソリンスタンド等で使用される場合は、給油装置等に組み込まれて使用されるからその形状が小型であることが望ましく、また入金された紙幣を釣札等として効率的に利用することで紙幣の補充・回収の手間を省くことができることが望ましい。なお、この場合に給油作業は瞬時に完了するものではないから、それに対応する紙幣処理装置の紙幣処理速度は特に高速である必要はない。
【0007】
ここで特許文献1に記載の紙幣処理装置においては、両側の紙幣入出金口に対して共通の紙幣搬送路が設けられるが、紙幣入金口に対してはそれぞれに対応して紙幣識別部が2箇所設けられている。したがって、入金紙幣の識別は迅速に行われるが、構成要素の共通化は部分的であってコストの引き下げや省スペース化の余地が残されていた。また、紙幣の収納庫は千円紙幣収納庫と、二千円・5千円・一万円紙幣をまとめて収納する混合紙幣収納庫の二つの紙幣収納庫が設けられるが、釣札として利用できるのは千円紙幣のみで、五千円紙幣の釣札利用ができずに収納紙幣の効率的利用が十分でない問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に対応するため、紙幣処理装置の構成要素の共通化をさらに進めて小型化を図り、また紙幣の収納庫に収納される五千円紙幣の釣札としての利用を千円紙幣と共に可能にすることで、構成を簡単にしてコストを安くして小型化するとともに、収納紙幣の効率的利用を図ることで使い勝手の良い紙幣処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、両面の各々に紙幣の入金部と出金部を配置した紙幣処理装置において、前記入金部の各々に接続されて延設される二つの入金搬送路と、二つの前記入金搬送路の末端を両側に連結するように設けられた紙幣識別計数部と、前記紙幣識別計数部の一方側に連結されて識別された紙幣を一方側の紙幣収納庫に搬送する一方の紙幣搬送路と、前記紙幣識別計数部の他方側に連結されて識別された紙幣を他方側の紙幣収納庫に搬送する他方の紙幣搬送路と、一方及び他方の紙幣搬送路の各々に接続された前記出金部と、を備え、両面の何れか一方に配置された入金部から入金された紙幣を、前記紙幣識別計数機により識別、計数して一方側又は他方側の何れかの前記紙幣収納庫に収納し、一方側又は他方側の何れかの前記紙幣収納庫から繰り出された紙幣を、一方又は他方の前記紙幣搬送路、又は一方又は他方の前記紙幣搬送路及び前記紙幣識別計数部とを介して前記両面の何れか一方に配置される前記出金部に出金するものである。
【0010】
これによれば、前記両面に配置される入金部に入金された紙幣を、全て一箇所の前記紙幣識別計数部により、識別・計数することができるから、構成要素の共通化をさらに進めることができる。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、両面の各々に紙幣の入金部と出金部を配置した紙幣処理装置において、前記入金部の各々に接続される二つの入金搬送路と、二つの前記入金搬送路が合流する合流部と、前記合流部から延設されて前記入金搬送路から搬送される紙幣を複数の紙幣収納庫に搬送する紙幣搬送路と、前記紙幣搬送路の途中に配置される紙幣識別計数部と、二つの前記入金搬送路の各々に接続された前記出金部と、を備え、前記両面の何れか一方に配置された入金部から入金された紙幣を、前記合流部を介して前記紙幣識別計数機により識別、計数し、何れかの前記紙幣収納庫に収納し、前記紙幣収納庫に収納された紙幣を繰り出して、前記紙幣搬送路、前記合流部を介して、前記両面の何れかに配置される前記出金部に出金するものである。
【0012】
これによれば、請求項1と同様に、前記両面に配置される入金口に入金された紙幣を、一箇所の前記紙幣識別計数部により、識別・計数することができるから、構成要素の共通化を進めることができる。また、前記入金部又は前記出金部と前記紙幣収納庫を連結して紙幣を搬送する紙幣搬送路の構成を簡単にすることができる。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記紙幣収納庫は、千円紙幣及び五千円紙幣をそれぞれ繰り出し可能に収納するものである。
これによれば、前記紙幣収納庫に収納される紙幣の中から、釣札として千円紙幣と五千円紙幣の両方を使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように請求項1に係る発明によれば、紙幣識別計数部を一箇所にすることにより構成要素の共通化をさらに進めることができるから、コストを安くすると共に小型の紙幣処理装置を提供することができる。
【0015】
また、請求項2に係る発明によれば、請求項1と同様に紙幣識別係数部を一箇所にすることにより構成要素の共通化を進め、さらに紙幣搬送路の構成を一箇所に集約して簡単にすることができるから、安価で小型の紙幣処理装置を提供することができる。
【0016】
また、請求項3に係る発明によれば、紙幣収納庫に収納される紙幣の中から、釣札として千円紙幣と五千円紙幣の両方を使用することができるから、収納紙幣の効率的利用を図ることにより使い勝手の良い紙幣処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1に係る紙幣処理装置の要部の構成を模式的に示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施例2に係る紙幣処理装置の要部の構成を模式的に示す縦断面図である。
【図3】本発明の紙幣処理装置を備えてガソリンスタンド等に設置される給油装置の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の紙幣処理装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1に係る紙幣処理装置の要部の構成を模式的に示す縦断面図、図2は、本発明の実施例2に係る紙幣処理装置の要部構成を模式的に示す縦断面図、図3は、本発明の紙幣処理装置を備えてガソリンスタンド等に設置される給油装置の外観を示す斜視図である。
【0019】
本発明の紙幣処理装置1A,1Bを備える給油装置100は、図3に示すようにガソリンや軽油等の複数の油種を正面側及び背面側から顧客自身が操作して給油可能なセルフサービス式の装置であり、両側に給油エリアを有する島状区画に本体ケース101が立設されている。この本体ケース101内には図示しない給油機構を構成する給油ポンプや流量計等が収納されている。そして、本体ケース101の正面側及び背面側には給油ホース103が接続された給油ノズル102が油種毎に複数並べて掛け置かれている。また、本体ケース101内部には、その正面側及びその対応する背面側に紙幣の入金部3a,3b、出金部28a,28bがそれぞれ位置するように紙幣処理装置1A,1Bが配設されている。
【0020】
次に、図1に示す本発明の実施例1に係る紙幣処理装置1Aの構成について説明する。先ず、この紙幣処理装置1Aは、筐体2の正面側及び背面側の二箇所に配置され複数金種の紙幣を一枚ずつまたは一括で取り込み可能な投入口(入金部)3a,3bと、同様に正面側及び背面側の二箇所に配置されこの投入口3a,3bの取込搬送ローラ5a,5bを駆動する紙幣取込モータ6a,6bと、正面側及び背面側の投入口3a,3bに続いてそれぞれ設置された二つの入金搬送路7a,7bと、この二つの入金搬送路7a,7bを両側に連結して接続するように設けられ紙幣の金種及び真贋を判別するとともにその枚数を計数する紙幣識別計数部9と、を紙幣の入金、識別手段として備えている。
【0021】
また、千円紙幣を収納する千円紙幣収納庫(一方側の紙幣収納庫)11と、千円紙幣収納庫11に収納される紙幣を繰り出す繰出ローラ12と、これを駆動する千円繰出モータ13と、出金リジェクト紙幣を収納する出金リジェクト収納庫15と、一方の入金搬送路7aと千円紙幣収納庫11及び出金リジェクト収納庫15を接続する一方の紙幣搬送路16と、五千円紙幣を収納する五千円紙幣収納庫(他方側の紙幣収納庫)18と、五千円紙幣収納庫18に収納される紙幣を繰り出す繰出ローラ19と、これを駆動する五千円繰出モータ20と、千円紙幣収納庫11と五千円紙幣収納庫18の出口にそれぞれ設置され出金紙幣の金種を判別する出金判別センサ22,23と、釣銭として使用されない一万円紙幣及び二千円紙幣を収納する万円・二千円収納庫(他方側の紙幣収納庫)25と、他方の入金搬送路7bと五千円紙幣収納庫18及び万円・二千円収納庫25を接続する他方の紙幣搬送路27と、一方及び他方の紙幣収納搬送路16,27にそれぞれ接続され正面側及び背面側の二箇所に配置されて払出紙幣を出金する払出口(出金部)28a,28bと、を紙幣の収納、払出手段として備えている。
【0022】
また、二つの入金搬送路7a,7b及び払出口28a,28bの搬送ローラ31を駆動する搬送モータ32と、一方及び他方の紙幣搬送路16,27の搬送ローラ35を駆動する紙幣搬送モータ36と、両面側の投入口3a,3bに続く入金搬送路7a,7b上にそれぞれ設置され、それに続く紙幣搬送路16,27への搬送路切り換えを行う投入ゲート38a,38bと、投入ゲート38a,38bを駆動する投入ゲートソレノイド39a,39bと、一方及び他方の紙幣搬送路16,27上にそれぞれ設置され払出口28a,28bへの搬送路切り換えを行う払出ゲート41a,41bと、払出ゲート41a,41bを駆動する払出ゲートソレノイド42a,42bと、一方の紙幣搬送路16上に配置され出金リジェクト収納庫15への搬送路の切り換えを行う出金リジェクトゲート44と、出金リジェクトゲート44を駆動する出金リジェクトゲートソレノイド45と、他方の紙幣搬送路27上に設置され万円・二千円収納庫25への搬送路の切り換えを行う万円・二千円ゲート46と、万円・二千円ゲート46を駆動する万円・二千円ゲートソレノイド47と、を装置の搬送駆動手段として備えている。
【0023】
次に、このように構成される本発明の実施例1の紙幣処理装置1Aの動作について説明する。先ず正面側の投入口3aから千円紙幣を入金する場合の動作を説明する。投入口3aより入金された千円紙幣は、入金搬送路7aを搬送され、紙幣識別計数部9を通過して金種及び真贋を判別される。千円紙幣と判別された場合、紙幣識別計数部9を過ぎた位置で一旦停止した後、搬送モータ32を逆転させてスイッチバック動作を行い、投入ゲート38aにより搬送路を切り換え一方の紙幣搬送路16へ搬送し、千円紙幣収納庫11内へ収納する。紙幣識別計数部9により贋札と判別された場合は、その紙幣を投入口3aへ戻す入金リジェクト動作を行う。
【0024】
次に背面側の投入口3bから千円紙幣を入金する場合の動作を説明する。投入口3bより入金された千円紙幣は、入金搬送路7bを搬送され、紙幣識別計数部9を通過して金種及び真贋を判別される。それが千円紙幣と判別された場合、千円紙幣収納庫11は順方向にあるため、それを停止すること無く搬送し、投入ゲート38aにより搬送路を切り替え一方の紙幣搬送路16へ搬送し、千円紙幣収納庫11内へ収納する。なお、紙幣識別計数部9により贋札と判別された場合は、投入口3bへ戻す入金リジェクト動作を行う。
【0025】
次に、それぞれ正面側及び背面側より高額紙幣(二千円、五千円、一万円紙幣)を入金する場合の動作を説明する。高額紙幣を入金する場合、千円紙幣の場合とは逆に、正面側の投入口3aからの入金動作では、それが真札と判別された場合は入金搬送路7b上で一時停止することなく、投入ゲート38bにより搬送路を切り換え、他方の紙幣搬送路27まで搬送し、万円・二千円ゲート46を用いて対応する金額の紙幣を収納する五千円紙幣収納庫18又は万円・二千円収納庫25内へ収納する。また、背面側の投入口3bからの入金動作では、投入紙幣が真正紙幣と判別された場合は入金搬送路7a,7b上にてスイッチバック動作を行い、投入ゲート38b及び万円・二千円ゲート46を介して対応する金額の紙幣を収納する五千円紙幣収納庫18又は万円・二千円収納庫25へ紙幣を収納する。
【0026】
次に千円紙幣を出金する場合の動作について説明する。千円紙幣を正面側の払出口28aに出金する場合は、千円紙幣収納庫11より紙幣を一方の紙幣搬送路16に繰り出し、出金判別センサ22により金種を確認した後、払出ゲート41aを介して正面側の払出口28aへ搬送する。また、千円紙幣を背面側の払出口28bに出金する場合は、千円紙幣収納庫11より紙幣を一方の紙幣搬送路16に繰り出し、出金判別センサ22により金種を確認した後、投入ゲート38a、入金搬送路7a、紙幣識別計数部9、入金搬送路7b、投入ゲート38bを順に通過させて他方の紙幣搬送路27まで搬送して停止し、その後スイッチバック動作により払出ゲート28bを介して背面側の払出口28bへ搬送する。なお、千円紙幣収納庫11より繰り出された紙幣が、出金判別センサ22により金種が判別できない場合は、出金リジェクトゲート44により一方の紙幣搬送路16から直接に出金リジェクト収納庫15に収納される。そして改めて紙幣が再出金される。
【0027】
次に五千円紙幣を出金する場合の動作について説明する。五千円紙幣を正面側の払出口28aに出金する場合は、五千円紙幣収納庫18より紙幣を他方の紙幣搬送路27に繰り出し、出金判別センサ23により金種を確認した後、投入ゲート38b、入金搬送路7b、紙幣識別計数部9、入金搬送路7a、投入ゲート38aを順に介して一方の紙幣搬送路16まで搬送して停止し、その後スイッチバック動作により払出ゲート28aを介して正面側の払出口28aへ搬送する。また、五千円紙幣を背面側の払出口28bに出金する場合は、五千円紙幣収納庫18より紙幣を他方の紙幣搬送路27繰り出し、出金判別センサ23により金種を確認した後、払出ゲート41bを介して背面側の払出口28bへ搬送する。なお、五千円紙幣収納庫18より繰り出された紙幣が、出金判別センサ23により金種が判別できない場合は、投入ゲート38b、入金搬送路7b、紙幣識別計数部9、入金搬送路7a、投入ゲート38aを順に介して一方の紙幣搬送路16まで搬送して停止し、その後スイッチバック動作により出金リジェクトゲート44を介して出金リジェクト収納庫15に収納される。この場合、千円紙幣と同様に改めて紙幣が再出金される。
【0028】
次に、図2に示す本発明の実施例2に係る紙幣処理装置1Bの構成について説明する。なお、実施例1に係る紙幣処理機1Aと同じ、又は同様のものには同符号を付す。この紙幣処理装置1Bは、筐体2の正面側及び背面側の二箇所に配置され複数金種の紙幣を一枚ずつまたは一括で取り込み可能な投入口3a,3bと、同様に正面側及び背面側の二箇所に配置されこの投入口3a,3bの取込搬送ローラ5a,5bを駆動する紙幣取込モータ6a,6bと、正面側及び背面側の投入口3a,3bに続いてそれぞれ設置された入金搬送路7a,7bと、この二つの入金搬送路7a,7bが合流する合流部8に続いて設けられ紙幣の金種及び真贋を判別するとともにその枚数を計数する紙幣識別計数部9と、を紙幣の入金、識別手段として備えている。
【0029】
また、千円紙幣を収納する千円紙幣収納庫11と、千円紙幣収納庫11に収納される紙幣を繰り出す繰出ローラ12と、これを駆動する千円繰出モータ13と、出金リジェクト紙幣を収納する出金リジェクト収納庫15と、五千円紙幣を収納する五千円紙幣収納庫18と、五千円紙幣収納庫18に収納される紙幣を繰り出す繰出ローラ19と、これを駆動する五千円繰出モータ20と、千円紙幣収納庫11及び五千円紙幣収納庫18の出口に設置され出金紙幣の金種を判別する出金判別センサ52と、釣銭として使用されない一万円紙幣及び二千円紙幣を収納する万円・二千円収納庫25と、二つの入金搬送路7a,7bが合流する合流部8と千円紙幣収納庫11,出金リジェクト収納庫15,五千円紙幣収納庫18,万円・二千円収納庫25とを紙幣識別計数部9を介して接続する紙幣搬送路54と、二つの入金搬送路7a,7bにそれぞれ接続され正面側及び背面側の二箇所に配置されて払出紙幣を出金する払出口28a,28bと、を紙幣の収納、払出手段として備えている。
【0030】
また、二つの入金搬送路7a,7b及び払出口28a,28bの搬送ローラ31を駆動する搬送モータ32と、紙幣搬送路54の搬送ローラ55を駆動する紙幣搬送モータ56と、二つの入金搬送路7a,7bの合流部8に設置され、それに続く紙幣識別計数部9への搬送路切り換え、及び千円紙幣収納庫11,五千円紙幣収納庫18から払い出された紙幣の何れか一方の入金搬送路7a,7bへの切り換えを行う投入ゲート58と、投入ゲート58を駆動する投入ゲートソレノイド59と、入金搬送路7a,7b上にそれぞれ設置され払い出される紙幣の搬送路を払出口28a,28b又投入口3a,3bへ切り換える払出ゲート61a,61bと、払出ゲート61a,61bを駆動する払出ゲートソレノイド62a,62bと、紙幣搬送路54上に配置され出金リジェクト収納庫15への搬送路の切り換えを行う出金リジェクトゲート44と、出金リジェクトゲート44を駆動する出金リジェクトゲートソレノイド45と、紙幣搬送路54上に設置され万円・二千円収納庫25への搬送路の切り換えを行う万円・二千円ゲート46と、万円・二千円ゲート46を駆動する万円・二千円ゲートソレノイド47と、紙幣搬送路54上に設置され千円紙幣収納庫11と五千円紙幣収納庫18への搬送路切り換えを行う金庫切換ゲート64と、金庫切換ゲート64を駆動する金庫切換ゲートソレノイド65と、を装置の搬送駆動手段として備えている。
【0031】
次に、このように構成される本発明の実施例2の紙幣処理装置1Bの動作について説明する。先ず投入口3a,3bから紙幣を入金する場合の動作を説明する。正面側又は背面側の投入口3a,3bより入金された紙幣は、入金搬送路7a,7bを搬送され、二つの入金搬送路7a,7bが合流する合流部8に設けられる投入ゲート58により紙幣識別係数部9へと搬送され、紙幣識別計数部9により金種及び真贋を判別される。入金紙幣が千円紙幣、又は五千円紙幣と判別された場合、そのまま紙幣搬送路54を搬送され金庫切換ゲート64によりその紙幣の金種に対応する千円紙幣収納庫11又は五千円紙幣収納庫18内へ収納される。また、入金紙幣が一万円紙幣、又は二千円紙幣と判別された場合は、紙幣搬送路54を搬送され、その途中に設けられる万円・二千円ゲート46により万円・二千円収納庫25に収納される。なお、入金紙幣が贋札と判別された場合は、紙幣搬送路54をスイッチバック動作させ、投入ゲート58、入金搬送路7a,7b、払出ゲート61a,61bを順に通過して、その紙幣が投入された投入口3a,3bへ戻す入金リジェクト動作を行う。
【0032】
次に千円紙幣を出金する場合の動作について説明する。先ず、千円紙幣を正面側又は背面側のいずれか一方の払出口28a、28bに出金する場合は、千円紙幣収納庫11より紙幣を紙幣搬送路54に繰り出し、出金判別センサ52により金種を確認した後、払い出しを予定する何れか一方の払出口28a,28bに通じる何れか一方の入金搬送路7a,7bへ投入ゲート58により搬送路を切り換え、それぞれの入金搬送路7a,7bに設けられる払出ゲート61a、61bにより払い出される紙幣を払出口28a,28bへ搬送する。なお、千円紙幣収納庫11より繰り出された紙幣が、出金判別センサ52により金種が判別できない場合は、出金リジェクトゲート44により紙幣搬送路54から直接に出金リジェクト収納庫15に収納される。そして改めて紙幣が再出金される。なお、五千円紙幣を出金する場合の動作も、千円紙幣を出金する場合の動作に準ずるものである。
【0033】
ところで、このような紙幣処理装置1A,1Bにおいては、正面側及び背面側の両面において同時に入出金の操作はできないため、例えば正面側を使用時には、背面側の投入口をシャッターで塞ぐ、「使用中」の表示を行う等により背面側の操作ができないようにする工夫が必要である。また、両面から同時に入金操作がされた場合には、優先する側を設定する必要がある。そして、ガソリンスタンドにおいては、その給油の実態から給油装置の入出金動作が頻繁に行われることは少なく、両面から入出金操作が同時に行われるケースは少ない。そのため、両面から同時に入出金の操作ができない紙幣処理装置を用いる場合も、実使用上の問題となることは少ない。
【0034】
以上のように、本発明の紙幣処理装置1A,1Bにおいては、紙幣識別計数部9を一箇所にすることにより、両面に入出金口を備える紙幣処理装置の構成要素の共通化を進めることができるから、コストを安くすると共に小型の紙幣処理装置を提供することができる。また、紙幣収納庫11,18に収納される紙幣の中から、釣札として千円紙幣と五千円紙幣の両方を出金することができるから、収納紙幣の効率的利用を図ることにより使い勝手の良い紙幣処理装置を提供することができる。
【0035】
さらに、本発明の紙幣処理装置1Bにおいては、投入口3a,3b及び払出口28a,28bと各紙幣収納庫(千円紙幣収納庫11,出金リジェクト収納庫15,五千円紙幣収納庫18,万円・二千円収納庫25)を連結する紙幣搬送路54の構成を一箇所に集約して簡単にすることができるから、安価で小型の紙幣処理装置を提供することができる。
【0036】
なお、本発明は、言うまでもなく本実施の形態に示す装置にのみ限定されず、その趣旨の包含する範囲で応用変更が可能である。例えば、投入口3a,3bや払出口28a,28bの形状、或いは千円紙幣収納庫11,出金リジェクト収納庫15,五千円紙幣収納庫18,万延・二千円収納庫25等の配置形態等は、この実施形態に示すものに限定されるものではなく、状況に応じた実施の形態等に応じて適宜に変更が成されるものである。
【符号の説明】
【0037】
1A 紙幣処理装置(実施例1)
1B 紙幣処理装置(実施例2)
3a 投入口(入金部(正面側))
3b 投入口(入金部(背面側))
7a 入金搬送路
7b 入金搬送路
8 合流部
9 紙幣識別計数部
11 千円紙幣収納庫(一方側の紙幣収納庫)
16 一方の紙幣搬送路
18 五千円紙幣収納庫(他方側の紙幣収納庫)
25 万円・二千円収納庫(他方側の紙幣収納庫)
27 他方の紙幣搬送路
28a 払出口(出金部(正面側))
28b 払出口(出金部(背面側))


【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面の各々に紙幣の入金部と出金部を配置した紙幣処理装置において、前記入金部の各々に接続されて延設される二つの入金搬送路と、二つの前記入金搬送路の末端を両側に連結するように設けられた紙幣識別計数部と、前記紙幣識別計数部の一方側に連結されて識別された紙幣を一方側の紙幣収納庫に搬送する一方の紙幣搬送路と、前記紙幣識別計数部の他方側に連結されて識別された紙幣を他方側の紙幣収納庫に搬送する他方の紙幣搬送路と、一方及び他方の紙幣搬送路の各々に接続された前記出金部と、を備え、両面の何れか一方に配置された入金部から入金された紙幣を、前記紙幣識別計数機により識別、計数して一方側又は他方側の何れかの前記紙幣収納庫に収納し、一方側又は他方側の何れかの前記紙幣収納庫から繰り出された紙幣を、一方又は他方の前記紙幣搬送路、又は一方又は他方の前記紙幣搬送路及び前記紙幣識別計数部とを介して前記両面の何れか一方に配置される前記出金部に出金することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
両面の各々に紙幣の入金部と出金部を配置した紙幣処理装置において、前記入金部の各々に接続される二つの入金搬送路と、二つの前記入金搬送路が合流する合流部と、前記合流部から延設されて前記入金搬送路から搬送される紙幣を複数の紙幣収納庫に搬送する紙幣搬送路と、前記紙幣搬送路の途中に配置される紙幣識別計数部と、二つの前記入金搬送路の各々に接続された前記出金部と、を備え、前記両面の何れか一方に配置された入金部から入金された紙幣を、前記合流部を介して前記紙幣識別計数機により識別、計数し、何れかの前記紙幣収納庫に収納し、前記紙幣収納庫に収納された紙幣を繰り出して、前記紙幣搬送路、前記合流部を介して、前記両面の何れかに配置される前記出金部に出金することを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項3】
前記紙幣収納庫は、千円紙幣及び五千円紙幣をそれぞれ繰り出し可能に収納することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紙幣処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−128976(P2011−128976A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288156(P2009−288156)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】