説明

紙幣処理装置

【課題】騒音をより低減することが可能な、新規かつ改良された紙幣処理装置を提供する。
【解決手段】紙幣を鑑別する鑑別装置と、前記紙幣の搬送路および分離集積機構の各モータの回転を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記鑑別装置より下流のモータのいずれかが一定速度に達する前に、前記紙幣の搬送を開始する。また、前記制御部は、前記鑑別装置より上流のモータが一定の速度に達した後であって、前記鑑別装置より下流のモータのいずれかが回転を開始し、前記下流のモータの回転が一定速度に達する前に、前記紙幣の搬送を開始させてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、金融機関のATM(Automated teller machine)に代表される自動取引装置は、銀行、駅構内およびコンビニエンスストアなど、多様な場所に設置されている。顧客は、この自動取引装置に表示される表示画面において各種操作を行うことにより、入金、出金および残高照会などの取引を行うことができる。
【0003】
このような自動取引装置では、紙幣を搬送する搬送路からの発生音や、搬送モータの回転音、紙幣の繰り出し(分離)/集積を行う分離集積機構からの発生音など、様々な騒音を発生する問題があった。
【0004】
下記特許文献1では、紙幣集積部において、搬送された紙幣の後端部をはたき落としながら紙幣を集積する羽根車の回転を、紙幣の搬送路通過を検知した場合に開始する紙幣処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−225757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の紙幣処理装置では、紙幣の搬送路通過を検知するためのセンサを設ける必要があり、コストがかかる。
【0007】
また、自動取引装置は、紙幣の計数を開始する際に、予め全ての搬送路モータの回転を開始させ、モータの回転が一定の速度に到達してから紙幣の繰り出しを行うので、紙幣の繰り出し前から騒音が発生する。また、紙幣の搬送が全て終了してから全モータを停止するので、既に紙幣を搬送し終えた搬送路のモータも、紙幣の搬送が全て終了するまで回転していた。
【0008】
このように、自動取引装置は、紙幣の繰り出し前後に必要のないモータも回転させているので、騒音がより大きくなるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、騒音をより低減することが可能な、新規かつ改良された紙幣処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、紙幣を鑑別する鑑別装置と、前記紙幣の搬送路および分離集積機構の各モータの回転を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記鑑別装置より下流のモータのいずれかが一定速度に達する前に、前記紙幣の搬送を開始する紙幣処理装置が提供される。
【0011】
また、前記制御部は、前記鑑別装置より上流のモータが一定の速度に達した後であって、前記鑑別装置より下流のモータのいずれかが回転を開始し、前記下流のモータの回転が一定速度に達する前に、前記紙幣の搬送を開始させてもよい。
【0012】
また、前記紙幣処理装置は、入金取引時に顧客により紙幣が入金される接客部と、前記鑑別装置により正常と鑑別された紙幣が搬送される一時保留部と、を備え、前記制御部は、入金取引時に、前記接客部から前記鑑別装置までの搬送路のモータ、および前記鑑別装置から前記一時保留部までの搬送路のモータが一定速度に達した後であって、前記一時保留部に設けられた分離集積機構のモータの回転を開始し、前記モータの回転が一定速度に達する前に、前記接客部からの紙幣の搬送を開始させてもよい。
【0013】
また、前記制御部は、入金取引時に、前記鑑別装置が異常と鑑別した場合に、前記鑑別装置から前記接客部に前記紙幣を返却する搬送路のモータの回転を開始してもよい。
【0014】
また、前記紙幣処理装置は、前記紙幣を集積するための紙幣集積部を備え、前記制御部は、入金取引後の集積処理時に、前記一時保留部に設けられた分離集積機構のモータおよび前記一時保留部から前記鑑別装置までの搬送路のモータが一定速度に達した後であって、前記鑑別装置から前記紙幣集積部の搬送路のモータおよび前記紙幣集積部に設けられた分離集積機構のモータの回転を開始し、前記モータの回転が一定速度に達する前に、前記一時保留部からの紙幣の搬送を開始させてもよい。
【0015】
また、前記制御部は、出金取引時に、前記紙幣集積部から前記鑑別装置までのモータが一定速度に達した後であって、前記鑑別装置から前記接客部の搬送路のモータの回転を開始し、前記モータの回転が一定速度に達する前に、前記紙幣集積部からの紙幣の搬送を開始させてもよい。
【0016】
また、前記紙幣処理装置は、前記鑑別装置により異常と鑑別された紙幣を集積するリジェクト紙幣集積部を備え、前記制御部は、前記鑑別装置が異常と鑑別した場合に、前記鑑別装置から前記リジェクト紙幣集積部の搬送路のモータの回転を開始してもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、騒音をより低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態である自動取引システムの構成を示した説明図である。
【図2】本発明の実施形態である自動取引装置10の内部構成を示した説明図である。
【図3】本発明の実施形態であるリジェクトカセット5の概略断面図である。
【図4】本発明の実施形態である各搬送路6a〜6mの搬送モータおよび分離集積機構の集積モータの各モータの起動による紙幣搬送範囲を示すブロック図である。
【図5】入金取引における紙幣の搬送と各モータの関係を説明するための図である。
【図6】入金取引における通常のモータ制御処理を示すフローチャートである。
【図7】入金取引の集積処理における紙幣の搬送と各モータの関係を説明するための図である。
【図8】入金取引の集積処理における通常のモータ制御処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態による自動取引装置10の入金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態による自動取引装置10の入金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態による自動取引装置10の入金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施形態による自動取引装置10の出金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第1の実施形態による自動取引装置10の出金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施形態による自動取引装置10の入金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第2の実施形態による自動取引装置10の入金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2の実施形態による自動取引装置10の入金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第2の実施形態による自動取引装置10の出金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第2の実施形態による自動取引装置10の出金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。
【図19】本発明の変形例による紙幣処理機構40を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<1.自動取引システムの概要>
まず、図1を参照し、本発明の実施形態による自動取引システムの概要を説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態である自動取引システムの構成を示した説明図である。図1に示したように、自動取引システムは、複数の自動取引装置10と、専用網12と、金融機関ホスト20と、を含む。
【0022】
自動取引装置(紙幣処理装置)10は、金融機関の顧客による操作に基づいて金銭の取引を実行する顧客操作型端末である。この自動取引装置10は、金融機関の営業店、コンビニエンスストア、駅構内、ホテル、病院、アミューズメントパーク、飲食店、オフィスビルディングなどの多様な施設に設置される。
【0023】
また、自動取引装置10は、顧客操作表示部14と、通帳挿入口16と、カード挿入口18と、を備える。顧客操作表示部14は、顧客による操作の誘導画面を表示する表示部および顧客操作を検出する顧客操作部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、顧客操作部としての機能は例えばタッチパネルにより実現される。なお、図1においては表示部および顧客操作部の機能が自動取引装置10において一体的に構成される例を示しているが、表示部および顧客操作部の機能は分離して構成されてもよい。
【0024】
通帳挿入口16は顧客の通帳の挿入および排出を行い、カード挿入口18は顧客のキャッシュカードの挿入および排出を行う。また、接客口19は、顧客による紙幣の入金口、および顧客への紙幣の出金口としての機能を有する。
【0025】
専用網12は、金融機関のネットワークであり、例えばIP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)により構成される。金融機関ホスト20は、この専用網12を介して自動取引装置10と通信することができる。
【0026】
金融機関ホスト20は、専用網12を介して自動取引装置10と通信することにより、各種取引を制御する。例えば、金融機関ホスト20は、自動取引装置10を操作する顧客の認証を行ったり、自動取引装置10において顧客により指示された入金や振込などの金銭取引(勘定の取引処理)を実行したりする。また、金融機関ホスト20は、口座番号、暗証番号、氏名、住所、年齢、生年月日、電話番号、職業、家族構成、年収、預金残高などの顧客情報(口座の元帳)を管理する。
【0027】
本発明の実施形態は、上述した自動取引システムに含まれる自動取引装置10に関し、特に、自動取引装置10において搬送路モータ等から発生する騒音を低減する制御に関する。以下、自動取引装置10の構成および基本動作を説明した後に、本発明の各実施形態について詳細に説明する。
【0028】
<2.自動取引装置10の構成および基本動作>
図2は、自動取引装置10の内部構成を示した説明図である。図2に示したように、自動取引装置10は、紙幣処理機構13および制御部15を備える。さらに、紙幣処理機構13は、接客口19を含む接客部1、鑑別装置2、一時保留部3、紙幣カセット4a〜4d、リジェクトカセット5、および搬送路6a〜6mを備える。
【0029】
接客部1は、入金取引時に顧客により入金された紙幣を分離したり、出金取引時に顧客に出金する紙幣を集積したりする構成を有する。また、接客部1内に設けられる接客口19は可動式であって、搬送路6aおよび搬送路6e側に傾くことや、顧客による取り出し口側に傾くことが可能である。また、接客部1には、入金された紙幣のうち、鑑別装置2により、汚損券、折れ紙幣、スキュー紙幣などの走行異常紙幣であると鑑別された紙幣(リジェクト紙幣)が返却される。
【0030】
鑑別装置2は、顧客の入金した紙幣、または顧客に出金する紙幣の鑑別を行う。具体的には、鑑別装置2は、搬送路6を通って搬送された紙幣の金種、真偽、正損および走行状態などを鑑別する。
【0031】
一時保留部3は、入金取引時に接客部1で分離されて鑑別装置2により正常と鑑別された紙幣を一時的に集積する。一時保留部3に集積された紙幣は、入金した紙幣の口座計上などが確定したなど、取引が成立した場合に鑑別装置2を経て紙幣カセット4a〜4dなどに搬送される。
【0032】
紙幣カセット4a〜4dは、顧客の入金した紙幣、出金するための紙幣、および他の紙幣カセット4から分離された紙幣などを集積する紙幣集積部である。紙幣カセット4a〜4dは、同一金種のための複数の紙幣カセットを含んでもよい。例えば、紙幣カセット4aおよび4cが一万円札用の紙幣カセットであり、紙幣カセット4bおよび4dが千円札用の紙幣カセットであってもよい。なお、紙幣カセット4a〜4dは、紙幣処理機構13に対して着脱可能な構造になっており、個別に交換することで紙幣カセット4a〜4dに紙幣を装填することも可能である。
【0033】
リジェクトカセット5は、集積処理時または出金取引時に鑑別装置2によって異常と鑑別された紙幣(リジェクト紙幣)を集積するための紙幣集積部である。ここで、リジェクトカセット5に集積される紙幣は、出金紙幣として取り扱えない二千円札、五千円札、一万円札および千円札の汚損券、折れ紙幣、スキュー紙幣などの走行異常紙幣である。なお、リジェクトカセット5は、紙幣処理機構13に対して着脱可能な構造になっており、個別に交換することでリジェクトカセット5の紙幣を回収することも可能である。このようなリジェクトカセット5の構成については、後述する「リジェクトカセット5」において図3を参照して説明する。
【0034】
搬送路6a〜6mは、紙幣を搬送するための構成である。各搬送路6a〜6mは、制御部15による制御に従ってDCサーボモータまたはパルスモータなどが回転することにより、紙幣を目的の搬送先に搬送することが可能である。また、搬送路6a〜6eは入金経路を構成し、搬送路6b〜6dおよび6f〜6lは集積経路を構成し、搬送路6b、6c、6e〜6gおよび6h〜6kは出金経路を構成する。各搬送路6a〜6mのモータについては、後述する「搬送モータ等について」において図4を参照して説明する。
【0035】
制御部15は、上記の搬送路6a〜6mを制御することにより、入金、集積、出金および紙幣移動などの基本動作を制御する。各基本動作の詳細については、次の「基本動作」において説明する。
【0036】
(基本動作)
入金取引においては、まず、接客部1から紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6aおよび6bを経て鑑別装置2に搬送される。そして、鑑別装置2による鑑別結果が正常であった紙幣は搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3に集積される。一方、鑑別装置2による鑑別結果が正常であった紙幣は搬送路6cおよび6eを経て接客部1に集積される。その後、顧客により入金金額の確認操作が行われると、集積処理に移行する。
【0037】
集積処理においては、まず、一時保留部3から紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6dおよび6cを経て鑑別装置2に搬送される。そして、鑑別装置2による鑑別結果が正常であった紙幣は、搬送路6b、6f〜6kを経て金種に対応する紙幣カセット4a〜4dに集積される。一方、一万円札および千円札の汚損券、折れ紙幣、二千円札、五千円札、スキュー紙幣などの走行異常紙幣のように、鑑別装置2による鑑別結果が異常であった紙幣は、搬送路6gおよび6lを経てリジェクトカセット5に集積される。
【0038】
紙幣移動においては、まず、紙幣カセット4a〜4dのうちの移動元の紙幣カセットから紙幣が分離され、分離された紙幣は搬送路6g〜6k、6bを経て鑑別装置2に搬送される。そして、鑑別装置2による鑑別結果が正常であった紙幣は搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3に搬送される。一方、鑑別装置2による鑑別結果が異常であった紙幣は、搬送路6cおよび6mを経てリジェクトカセット5に集積される。
【0039】
その後、一時保留部3から紙幣カセット4a〜4dのうちの移動先の紙幣カセットに紙幣が搬送される。具体的には、一時保留部3から紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6dおよび6cを経て鑑別装置2に搬送される。そして、鑑別装置2による鑑別結果が正常であった紙幣は、搬送路6b、6f〜6kを経て移動先の紙幣カセットに集積される。一方、鑑別装置2による鑑別結果が異常であった紙幣は、搬送路6gおよび6lを経てリジェクトカセット5に集積される。
【0040】
出金取引においては、まず、顧客により指定された金額に応じて紙幣カセット4a〜4dから紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6g〜6kおよび6bを経て鑑別装置2に搬送される。
【0041】
そして、鑑別装置2による鑑別結果が正常であった紙幣は、搬送路6cよび6eを経て接客部1に集積される。一方、鑑別装置2による鑑別結果が異常であった紙幣、すなわち、顧客に支払いできない紙幣は、搬送路6cおよび6mを経てリジェクトカセット5に集積される。
【0042】
(リジェクトカセット5)
以上、自動取引装置10による基本動作について説明した。続いて、自動取引装置10の紙幣集積部に設けられる分離集積機構について、リジェクトカセット5の集積機構51を例として図3を参照して説明する。
【0043】
図3は、リジェクトカセット5の概略断面図である。図3に示すように、リジェクトカセット5は、紙幣を集積する集積機構51、ビルストッパー52、およびステージ53を備える。
【0044】
集積機構51は、図3に示すように、リジェクトカセット5の集積方向上流であって、搬送路から紙幣が搬送される搬送口に設けられ、回転部材55および回転部材55の外周面に設けられた複数の舌片54を有する。回転部材55は、リジェクトカセット5に紙幣を搬送する搬送路6mまたは6I(図2参照)の搬送モータが回転している場合に回転する。舌片54は、回転部材55と同軸上であって、すなわち回転部材55の外周面から半径方向に突出するよう設けられる。また、舌片54は、天然ゴムや合成ゴム等の弾性材料または羽部材などによって形成される。このような集積機構51は、搬送路6mまたは6Iの搬送モータが回転する際に回転し、搬送された紙幣の後端を舌片54で叩いて集積する。
【0045】
ビルストッパー52は、図5に示すように、リジェクトカセット5の集積方向上流であって、搬送路から紙幣が搬送される搬送口と対向する側に設けられ、搬送される紙幣の前端が当たる。ステージ53は、紙幣が集積される台であって、集積する紙幣の重さで下がる。
【0046】
上記構成を有するリジェクトカセット5において、搬送口から搬送された紙幣の前端がビルストッパーに当たり、該紙幣の後端が舌片54により上から叩かれることで、紙幣がステージ53上に集積される。そして、ステージ53に紙幣が集積され続けると、ステージ53は集積される紙幣の重さに応じて下がる。
【0047】
また、紙幣カセット4a〜4dおよび一時保留部3にも、このような舌片を実装する分離集積機構が設けられる。紙幣カセット4a〜4dおよび一時保留部3に設けられる分離集積機構は、集積モータの起動によって舌片が回転し、紙幣を集積する。また、搬送路6eの集積口にも、舌片を実装する集積機構が設けられ、搬送路6を駆動する搬送モータが回転する場合に舌片が回転する。
【0048】
(搬送路モータ等について)
続いて、各搬送路6a〜6mの搬送モータおよび分離集積機構の集積モータについて図4を参照して説明する。図4は、各搬送路6a〜6mの搬送モータおよび分離集積機構の集積モータの各モータの起動による紙幣搬送範囲を示すブロック図である。
【0049】
図4に示すように、紙幣処理機構13は、搬送モータ23、24、25、26、27、および28を有する。以下、各搬送モータの起動による紙幣搬送範囲について説明する。
【0050】
図4に示すように、搬送モータ20を起動すると、搬送路6a、および搬送路6bの一部で紙幣を搬送できる。また、搬送モータ23を起動すると、鑑別装置2、搬送路6aの一部、搬送路6bおよび搬送路6fで紙幣を搬送できる。搬送モータ24を起動すると、搬送路6c、および搬送路6dの一部で紙幣を搬送できる。
【0051】
また、搬送モータ25を起動すると、搬送路6eで紙幣を搬送できる。搬送モータ26を起動すると、搬送路6mおよび搬送路6lで紙幣を搬送できる。搬送モータ27を起動すると、搬送路6gの一部、搬送路6hの一部および搬送路6iの一部で紙幣を搬送できる。搬送モータ28を起動すると、搬送路6gの一部、搬送路6jの一部および搬送路6kの一部で紙幣を搬送できる。
【0052】
さらに、図4に示すように、紙幣処理機構13は、接客部1から紙幣を分離する分離機構20、紙幣集積部4a〜4dから紙幣を分離/紙幣集積部4a〜4dに紙幣を集積する分離集積機構21a〜21d、一時保留部3から紙幣を分離/一時保留部3に紙幣を集積する分離集積機構22を有する。分離機構20、分離集積機構21a〜21dおよび分離集積機構22は、モータ(図示せず)の起動により分離/集積を行う。
【0053】
制御部15は、各基本動作において、これら搬送モータ20〜28、および分離集積機構21等のモータを制御し、所定の搬送先に紙幣を搬送する。
【0054】
(入金取引時の通常のモータ制御における課題)
ここで、入金取引におけるモータ制御について図5および図6を参照して説明する。図5は、入金取引における紙幣の搬送と各モータの関係を説明するための図である。図5に示すように、分離機構20のモータ、搬送モータ23、24、25、および分離集積機構22の起動により、接客口19に入金された紙幣は、鑑別装置2に搬送され、鑑別結果に応じて一時保留部3または接客部1に搬送される。このような入金取引における通常のモータ制御について図6を参照して説明する。
【0055】
図6は、入金取引における通常のモータ制御処理を示すフローチャートである。図6に示すように、顧客により入金紙幣が接客口19に投入されると(S302)、制御部15は、搬送モータ23、24、25および分離集積機構22のモータを起動する(S304)。次に、これらのモータが全て一定速度に到達し(S306)、鑑別装置2が紙幣鑑別のための準備を行うと(S308)、制御部15は、分離機構20のモータを起動し、接客口19からの紙幣の繰り出しを開始する(S310)。
【0056】
接客部1から一枚ずつ繰り出された紙幣は鑑別装置2に搬送され、鑑別装置2において異常と鑑別された紙幣は接客部1に集積され、正常と鑑別された紙幣は一時保留部3に集積される(S312)。紙幣の繰り出しが終了すると、制御部15は、分離機構20のモータを停止する。
【0057】
次いで、制御部15は、接客部1から繰り出した全ての紙幣を集積し終えると(S314)、搬送モータ23、24、25および分離集積機構22のモータを停止する(S316)。
【0058】
そして、顧客により入金金額の確認が行なわれると、制御部15は集積処理を行う。以下、入金取引の集積処理について図7および図8を参照して説明する。
【0059】
図7は、集積処理における紙幣の搬送と各モータの関係を説明するための図である。図7に示すように、分離集積機構22のモータ、搬送モータ23、24、26、27、28および分離集積機構21a〜21dの起動により、一時保存部3に集積されていた紙幣は、鑑別装置2に搬送され、鑑別結果に応じて紙幣集積部4a〜4dまたはリジェクトカセット5に集積される。このような入金取引の集積処理における通常のモータ制御について図8を参照して説明する。
【0060】
図8は、入金取引の集積処理における通常のモータ制御処理を示すフローチャートである。図8に示すように、顧客により入金金額の確認キーが押下されると(S317)、制御部15は、搬送モータ23、24、26〜28および分離集積機構21a〜21dのモータを起動する(S318)。次に、これらのモータが全て一定速度に到達し(S320)、鑑別装置2が紙幣鑑別のための準備を行うと(S322)、制御部15は、分離集積機構22のモータを起動し、一時保留部3からの紙幣の繰り出しを開始する(S324)。
【0061】
接客部1から一枚ずつ繰り出された紙幣は鑑別装置2に搬送され、鑑別装置2において異常と鑑別された紙幣はリジェクトカセット5に集積され、正常と鑑別された紙幣は紙幣集積部21a〜21dに集積される(S326)。紙幣の繰り出しが終了すると、制御部15は、分離集積機構22のモータを停止する。
【0062】
次いで、制御部15は、一時保留部3から繰り出した全ての紙幣を集積し終えると(S328)、搬送モータ23、24、26〜28および分離集積機構21a〜21dのモータを停止する(S330)。
【0063】
以上説明したように、入金取引における通常のモータ制御では、紙幣の繰り出しが開始される前に各搬送モータや分離集積機構のモータを起動し、これらが一定の速度に達してから紙幣の繰り出しを行っていた。よって、紙幣の繰り出し前から、搬送モータ23〜28からの発生音や、分離集積機構22、21の舌片がステージを叩く音などの騒音が発生していた。
【0064】
また、出金取引における通常のモータ制御は、紙幣集積部21a〜21dから紙幣を繰り出す前に、搬送モータ23〜28を起動していた。よって、各搬送モータからの発生音、リジェクトカセット5の集積口や搬送路6eの集積口で搬送モータ起動により回転する舌片がステージを叩く音などの騒音が発生していた。
【0065】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の各実施形態による自動取引装置10を創作するに至った。本発明の各実施形態による自動取引装置10の制御部15は、モータ制御により騒音を低減させることが可能である。以下、このような本発明の各実施形態について詳細に説明する。
【0066】
<3.第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態では、制御部15が、鑑別装置2より下流のモータのいずれかが一定速度に達する前に、紙幣の搬送を開始させる制御を行う。具体的には、制御部15が、鑑別装置2より上流のモータが一定速度に達した後であって、鑑別装置2より下流のモータの回転が一定速度に達する前に、紙幣の搬送(繰り出し)を開始する制御を行う。例えば、紙幣の搬送を、鑑別装置2より下流のモータの回転を開始するのと同時に開始してもよい。以下、各取引における本実施形態によるモータ制御について説明する。
【0067】
[3−1.入金取引]
入金取引においては、鑑別装置2より上流のモータに搬送モータ23が該当し、鑑別装置2より下流のモータに搬送モータ24、25、および分離集積機構22のモータが該当する。
【0068】
また、入金取引の集積処理においては、鑑別装置2より上流のモータに搬送モータ24および搬送モータ23が該当し、鑑別装置2より下流のモータに搬送モータ27、28、分離集積機構21a〜21dのモータ、および搬送モータ26が該当する。以下、本実施形態の入金取引におけるモータ制御について図9〜図11を参照して説明する。
【0069】
(第1の実施形態の入金取引における動作フロー)
図9、図10および図11は、本発明の第1の実施形態による自動取引装置10の入金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。図9に示すように、顧客により入金紙幣が接客口19に投入されると(S102)、制御部15は、搬送モータ24を起動し(S104)、さらに搬送モータ23を起動する(S106)。
【0070】
次に、これらのモータが一定速度に到達し(S108)、鑑別装置2が紙幣鑑別のための準備を行うと(S110)、制御部15は、分離機構20のモータを起動し、接客口19からの紙幣の繰り出しを開始する(S112)。さらに、制御部15は、分離集積機構22のモータを起動し(S114)、また、搬送モータ25を起動する(S116)。なお、制御部15は、S112〜S116を同時に処理してもよい。
【0071】
このように、制御部15は、分離集積機構22のモータおよび搬送モータ25が一定速度に到達するか否かの確認を行わずに紙幣の繰り出しを開始するが、これらのモータは鑑別装置2より下流に位置するので、紙幣が上流から搬送されている間に一定の速度に近付くことが可能である。
【0072】
次に、接客部1から一枚ずつ繰り出された紙幣は鑑別装置2に搬送され、鑑別装置2において異常と鑑別された紙幣は接客部1に集積され、正常と鑑別された紙幣は一時保留部3に集積される(S118)。紙幣の繰り出しが終了すると、制御部15は、分離機構20のモータを停止する。
【0073】
次いで、制御部15は、接客部1から繰り出した全ての紙幣を集積し終えると(S120)、図10に示すように、搬送モータ23、24、分離集積機構22のモータ、および搬送モータ25を順次、すなわち搬送経路の上流から順番に停止する(S122〜S128)。
【0074】
続いて、顧客により入金金額の確認キーが押下されると(S130)、制御部15は、搬送モータ24および23を起動する(S132、S134)。次いで、これらのモータが全て一定速度に到達し(S136)、鑑別装置2が紙幣鑑別のための準備を行うと(S138)、制御部15は、図11に示すように、分離集積機構22のモータを起動し、一時保留部3からの紙幣の繰り出しを開始する(S140)。さらに、制御部15は、搬送モータ26、分離集積機構21a〜21dのモータ、搬送モータ28、および搬送モータ27を起動する(S142〜S148)。なお、制御部15は、S140〜S148を同時に処理してもよい。
【0075】
このように、制御部15は、搬送モータ27、分離集積機構21a〜21dのモータ、搬送モータ28、および搬送モータ26が一定速度に到達するか否かの確認を行わずに紙幣の繰り出しを開始するが、これらのモータは鑑別装置2より搬送経路の下流に位置するので、紙幣が上流から搬送されている間に一定の速度に近付くことが可能である。
【0076】
次に、一時保留部3から一枚ずつ繰り出された紙幣は鑑別装置2に搬送され、鑑別装置2において異常と鑑別された紙幣はリジェクトカセット5に集積され、正常と鑑別された紙幣は金種に応じて紙幣カセット4a〜4dに集積される(S150)。紙幣の繰り出しが終了すると、制御部15は、分離集積機構22のモータを停止する。
【0077】
次いで、制御部15は、一時保存部3から繰り出した全ての紙幣を集積し終えると(S152)、搬送モータ23、24、27、28、分離集積機構21a〜21dのモータ、および搬送モータ26を順次、すなわち搬送経路の上流から順番に停止する(S154〜S164)。以上、本実施形態の入金取引におけるモータ制御について説明した。続いて、本実施形態の出金取引におけるモータ制御について説明する。
【0078】
[3−2.出金取引]
出金取引においては、鑑別装置2より上流のモータに搬送モータ28、27、23が該当し、鑑別装置2より下流のモータに搬送モータ24〜26が該当する。以下、本実施形態の出金取引におけるモータ制御について図12および図13を参照して説明する。
【0079】
(第1の実施形態の出金取引における動作フロー)
図12および図13は、本発明の第1の実施形態による自動取引装置10の出金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。図12に示すように、まず、顧客操作表示部14から顧客により支払い金額が入力されると(S172)、制御部15は、搬送モータ28、27、23、24を起動する(S174〜S180)。
【0080】
次に、これらのモータが一定速度に到達し(S182)、鑑別装置2が紙幣鑑別のための準備を行うと(S184)、制御部15は、出金する金種に応じて分離集積機構21a〜21dのモータを起動し、紙幣カセット4a〜4dからの紙幣の繰り出しを開始する(S186)。さらに、制御部15は、搬送モータ26の起動(S188)、および搬送モータ25の起動(S190)を行う。なお、制御部15は、S186〜S188を同時に処理してもよい。
【0081】
このように、制御部15は、搬送モータ25および搬送モータ26が一定速度に到達するか否かの確認を行わずに紙幣カセット4a〜4dからの紙幣の繰り出しを開始するが、これらのモータは鑑別装置2より下流に位置するので、紙幣が上流から搬送されている間に一定の速度に近付くことが可能である。
【0082】
次に、図13に示すように、制御部15は紙幣の繰り出し、搬送、集積の制御を行う(S192)。具体的には、制御部15は、紙幣カセット4a〜4dから繰り出された紙幣を鑑別装置2に搬送し、鑑別装置2において異常と鑑別された紙幣はリジェクトカセット5に集積し、正常と鑑別された紙幣は接客部1に集積する。紙幣の繰り出しが終了すると、制御部15は、分離集積機構21a〜21dのモータを停止する。
【0083】
次いで、制御部15は、支払い金額に応じた全ての紙幣を接客部1に集積し終えると(S194)、搬送モータ28、27、23、24、25、および26を順次、すなわち搬送経路の上流から順番に停止する(S196〜S206)。そして、接客口19から顧客により支払紙幣が受取られると(S208)、出金取引が終了する。
【0084】
このように、本発明の第1の実施形態によれば、鑑別装置2より下流のモータのいずれかのモータの回転速度が一定速度に達する前に紙幣の繰り出しを行うことで、紙幣搬送前に発生する騒音を低減することが可能になる。
【0085】
具体的には、通常は全てのモータが一定速度に達してから紙幣の繰り出しを開始していたところ、本実施形態では鑑別装置2より下流のモータの少なくともいずれか1以上のモータの起動を紙幣の繰り出しと同時に行う。これにより、本実施形態では紙幣の繰り出し前に発生する騒音を低減することが可能になる。なお、特に集積機構から発生する音は大きく、紙幣の繰り出し前に発生すると目立ってしまっていたが、紙幣の繰り出し(分離)中は繰り出しによる音が生じるので、これによって集積機構から発生する紙幣やステージを叩く音が目立ち難くなるという効果も生じる。
【0086】
<4.第2の実施形態>
上述した第1の実施形態では、一部のモータの起動タイミングをずらすことで紙幣繰り出し前の騒音を低減するが、紙幣繰り出し後の騒音のピークは変わらない。そこで、本発明の第2の実施形態では、ピーク時の騒音を低減する自動取引装置10を提案する。
【0087】
具体的には、本実施形態による自動取引装置10は、リジェクト紙幣が発生した場合に、リジェクト紙幣を搬送、集積するための所定のモータを起動するよう制御する。ここで、リジェクト紙幣とは鑑別装置2によって異常と鑑別された紙幣であって、常に発生するものではない。よって、本実施形態では、リジェクト紙幣を搬送、集積するための所定のモータは必要な場合に起動するよう制御することで、ピーク時の騒音を低減することができる。以下、各取引における本実施形態によるモータ制御について説明する。
【0088】
[4−1.入金取引]
入金取引においては、顧客が入金した紙幣であって、鑑別装置2により異常と鑑別された紙幣(リジェクト紙幣)は、入金できない紙幣として接客部1に集積される。
【0089】
また、入金取引の集積処理においては、一時保留部3から繰り出された紙幣であって、鑑別装置2により異常と鑑別された紙幣(リジェクト紙幣)は、支払いに廻せない紙幣としてリジェクトカセット5に集積される。以下、本実施形態の入金取引におけるモータ制御について図14〜図16を参照して説明する。
【0090】
(第2の実施形態の入金取引における動作フロー)
図14、図15および図16は、本発明の第2の実施形態による自動取引装置10の入金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。図14に示すように、顧客により入金紙幣が接客口19に投入されると(S212)、制御部15は、搬送モータ24を起動し(S214)、さらに搬送モータ23を起動する(S216)。
【0091】
次に、これらのモータが一定速度に到達し(S218)、鑑別装置2が紙幣鑑別のための準備を行うと(S220)、制御部15は、分離機構20のモータを起動し、接客口19からの紙幣の繰り出しを開始する(S222)。さらに、制御部15は、分離集積機構22のモータを起動する(S224)。なお、制御部15は、S222〜S224を同時に処理してもよい。
【0092】
このように、制御部15は、分離集積機構22のモータが一定速度に到達するか否かの確認を行わずに紙幣の繰り出しを開始するが、分離集積機構22のモータは鑑別装置2より下流に位置するので、紙幣が上流から搬送されている間に一定の速度に近付くことが可能である。
【0093】
次に、接客部1から一枚ずつ繰り出された紙幣は鑑別装置2に搬送され、鑑別装置2によって鑑別される。制御部15は、鑑別結果に応じた搬送先に紙幣を搬送し、集積する制御を行う(S226)。接客部1からの紙幣の繰り出しが終了すると、制御部15は、分離機構20のモータを停止する。
【0094】
次いで、リジェクトカセット5に搬送する紙幣、すなわち鑑別装置2により異常と鑑別された紙幣があった場合(S228/Yes)、制御部15は搬送モータ25を起動し(S230)、リジェクト紙幣を接客部1に搬送し、集積する。
【0095】
なお、鑑別装置2により正常と鑑別された紙幣は、一時保留部3に搬送され、集積される。鑑別装置2から一時保留部3に紙幣を搬送するための搬送モータ24および一時保留部3に紙幣を集積するための分離集積機構22のモータは上記S214およびS224により既に起動している。
【0096】
次に、制御部15は、接客部1から繰り出した全ての紙幣を集積し終えると(S232)、図15に示すように、搬送モータ23、24、分離集積機構22のモータ、および搬送モータ25を順次、すなわち搬送経路の上流から順番に停止する(S234〜S240)。
【0097】
続いて、顧客により入金金額の確認キーが押下されると(S242)、制御部15は、搬送モータ23および24を起動する(S244、S246)。次いで、これらのモータが全て一定速度に到達し(S248)、鑑別装置2が紙幣鑑別のための準備を行うと(S250)、制御部15は、分離集積機構22のモータを起動し、一時保留部3からの紙幣の繰り出しを開始する(S252)。さらに、制御部15は、分離集積機構21a〜21bのモータ、搬送モータ27および搬送モータ28を起動する(S254〜S258)。なお、制御部15は、S252〜S258を同時に処理してもよい。
【0098】
このように、制御部15は、搬送モータ27、分離集積機構21a〜21bのモータ、および搬送モータ28が一定速度に到達するか否かの確認を行わずに紙幣の繰り出しを開始するが、これらのモータは鑑別装置2より搬送経路の下流に位置するので、紙幣が上流から搬送されている間に一定の速度に近付くことが可能である。
【0099】
次に、一時保留部3から一枚ずつ繰り出された紙幣は鑑別装置2に搬送され、鑑別装置2によって鑑別される。図16に示すように、制御部15は、鑑別結果に応じた搬送先に紙幣を搬送し、集積する制御を行う(S260)。一時保留部3からの紙幣の繰り出しが終了すると、制御部15は、分離機構22のモータを停止する。
【0100】
次いで、リジェクトカセット5に搬送する紙幣、すなわち鑑別装置2により異常と鑑別された紙幣があった場合(S262/Yes)、制御部15は搬送モータ26を起動し(S264)、リジェクト紙幣をリジェクトカセット5に搬送し、集積する。
【0101】
なお、鑑別装置2により正常と鑑別された紙幣は、紙幣集積部4a〜4dに搬送され、集積される。鑑別装置2から紙幣集積部4a〜4dに紙幣を搬送するための搬送モータ27、28および紙幣集積部4a〜4dに紙幣を集積するための分離集積機構21a〜21dのモータは上記S254〜S258により既に起動している。
【0102】
次いで、制御部15は、一時保存部3から繰り出した全ての紙幣を集積し終えると(S266)、搬送モータ24、23、27、28、分離集積機構21a〜21dのモータ、および搬送モータ26を順次、すなわち搬送経路の上流から順番に停止する(S268〜S278)。以上、本実施形態の入金取引におけるモータ制御について説明した。続いて、本実施形態の出金取引におけるモータ制御について説明する。
【0103】
[4−2.出金取引]
出金取引においては、紙幣集積部4a〜4dから繰り出された紙幣であって、鑑別装置2により異常と鑑別された紙幣(リジェクト紙幣)は、支払いできない紙幣としてリジェクトカセット5に集積される。以下、本実施形態の出金取引におけるモータ制御について図17および図18を参照して説明する。
【0104】
(第2の実施形態の出金取引における動作フロー)
図17および図18は、本発明の第2の実施形態による自動取引装置10の出金取引におけるモータ制御を示すフローチャートである。図17に示すように、まず、顧客操作表示部14から顧客により支払い金額が入力されると(S282)、制御部15は、搬送モータ28、27、23、および24を起動する(S284〜S290)。
【0105】
次に、これらのモータが一定速度に到達し(S292)、鑑別装置2が紙幣鑑別のための準備を行うと(S294)、制御部15は、出金する金種に応じて分離集積機構21a〜21dのモータを起動し、紙幣カセット4a〜4dからの紙幣の繰り出しを開始する(S296)。さらに、制御部15は、搬送モータ25の起動(S298)を行う。なお、制御部15は、S296およびS298を同時に処理してもよい。
【0106】
このように、制御部15は、搬送モータ25が一定速度に到達するか否かの確認を行わずに紙幣カセット4a〜4dからの紙幣の繰り出しを開始するが、これらのモータは鑑別装置2より下流に位置するので、紙幣が上流から搬送されている間に一定の速度に近付くことが可能である。
【0107】
次に、紙幣カセット4a〜4dから一枚ずつ繰り出された紙幣は鑑別装置2に搬送され、鑑別装置2によって鑑別される。図18に示すように、制御部15は、鑑別結果に応じた搬送先に紙幣を搬送し、集積する制御を行う(S230)。紙幣カセット4a〜4dからの紙幣の繰り出しが終了すると、制御部15は、分離集積機構21a〜21dのモータを停止する。
【0108】
次いで、リジェクトカセット5に搬送する紙幣、すなわち鑑別装置2により異常と鑑別された紙幣があった場合(S232/Yes)、制御部15は搬送モータ26を起動し(S234)、リジェクト紙幣をリジェクトカセット5に搬送し、集積する。
【0109】
なお、鑑別装置2により正常と鑑別された紙幣は、接客部1に搬送され、集積される。鑑別装置2から接客部1に紙幣を搬送するための搬送モータ24および25は上記S290およびS298により既に起動している。
【0110】
次いで、制御部15は、支払い金額に応じた全ての紙幣を接客部1に集積し終えると(S236)、搬送モータ28、27、23、24、25、および26を順次、すなわち搬送経路の上流から順番に停止する(S238〜S248)。そして、接客口19から顧客により支払紙幣が受取られると(S250)、出金取引が終了する。
【0111】
このように、本発明の第2の実施形態によれば、不要なモータを回転させないことで、ピーク時の騒音を低減することが可能になる。
【0112】
具体的には、本発明の第2の実施形態では、リジェクト紙幣が発生しない場合は、リジェクト紙幣を搬送、集積するための所定のモータを回転させないことで、接客部1やリジェクトカセット5において舌片がステージまたは紙幣を叩く音を防止することが可能になる。
【0113】
なお、自動取引10において、搬送路6に紙幣の走行を監視するための監視センサ(例えば、光学式)が実装されている場合がある。ここで、本実施形態では、リジェクト紙幣発生時に所定のモータの回転を開始するので、これらのモータが一定速度に達する前に紙幣が搬送される場合もある。そこで、制御部15は、モータの速度に基づいて監視センサによる走行監視のタイミングを決定することで、最適な走行監視を行うことができる。
【0114】
<5.変形例>
以上、本発明の第1および第2の実施形態について説明した。なお、本発明の実施形態による自動取引装置10の紙幣処理機構は上述した例に限定されない。例えば、図19に示すような、接客部1に集積機構42を有し、さらにリジェクトカセット5に集積機構44を有する紙幣処理機構40であってもよい。
【0115】
集積機構42は、集積機構42のモータの起動により舌片が回転し、紙幣を集積する。また、集積機構44は、集積機構44のモータの起動により舌片が回転し、紙幣を集積する。
【0116】
このような構成を有する本変形例における入金/出金取引時のモータ制御は、上記第1および第2の実施形態で説明したフローと以下に挙げる点で異なる。
【0117】
本変形例では、上記フローに記載の搬送モータ25が起動されるステップ(S116、S118、S230、S298)で、搬送モータ25および集積機構42のモータが起動される。また、本変形例では、上記搬送モータ25が停止されるステップ(S128、S204、S240、S246)で、搬送モータ25および集積機構42のモータが停止される。
【0118】
また、本変形例では、上記搬送モータ26が起動されるステップ(S146、S190、S264、S234)で、搬送モータ26および集積機構44のモータが起動される。また、本変形例では、上記搬送モータ26が停止されるステップ(S164、S206、S278、S248)で、搬送モータ26および集積機構44のモータが停止される。
【0119】
また、本発明の実施形態及び変形例において、モータを起動または停止する順番を特定しているが、この順番に限定されるものではない。例えば、図9のS104、S106のように搬送モータの位置によっては、S106、S104の順番にモータを起動しても構わない。同様に、図11のS154〜S164のように搬送モータの位置によっては、どの搬送モータから停止するかは任意に設定することができる。
【0120】
<6.まとめ>
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、鑑別装置2より下流のモータのいずれかのモータの回転速度が一定速度に達する前に紙幣の繰り出しを行うことで、紙幣搬送前に発生する騒音を低減することが可能になる。
【0121】
また、本発明の第2の実施形態によれば、不要なモータを回転させないことで、ピーク時の騒音を低減することが可能になる。
【0122】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0123】
また、自動取引装置10に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した自動取引装置10の制御部15と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0124】
1 接客部
2 鑑別装置
3 一時保留部
4a〜4m 紙幣カセット
5 リジェクトカセット
6a〜6m 搬送路
10 自動取引装置
12 専用網
13 紙幣処理機構
14 顧客操作表示部
15 制御部
16 通帳挿入口
18 カード挿入口
19 接客口
20 金融機関ホスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を鑑別する鑑別装置と、
前記紙幣の搬送路および分離集積機構の各モータの回転を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記鑑別装置より下流のモータのいずれかが一定速度に達する前に、前記紙幣の搬送を開始する、紙幣処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記鑑別装置より上流のモータが一定の速度に達した後であって、前記鑑別装置より下流のモータのいずれかが回転を開始し、前記下流のモータの回転が一定速度に達する前に、前記紙幣の搬送を開始させる、請求項1に記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記紙幣処理装置は、
入金取引時に顧客により紙幣が入金される接客部と、
前記鑑別装置により正常と鑑別された紙幣が搬送される一時保留部と、
を備え、
前記制御部は、入金取引時に、前記接客部から前記鑑別装置までの搬送路のモータ、および前記鑑別装置から前記一時保留部までの搬送路のモータが一定速度に達した後であって、前記一時保留部に設けられた分離集積機構のモータの回転を開始し、前記モータの回転が一定速度に達する前に、前記接客部からの紙幣の搬送を開始させる、請求項1または2に記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、入金取引時に、前記鑑別装置が異常と鑑別した場合に、前記鑑別装置から前記接客部に前記紙幣を返却する搬送路のモータの回転を開始する、請求項3に記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
前記紙幣処理装置は、
前記紙幣を集積するための紙幣集積部を備え、
前記制御部は、入金取引後の集積処理時に、前記一時保留部に設けられた分離集積機構のモータおよび前記一時保留部から前記鑑別装置までの搬送路のモータが一定速度に達した後であって、前記鑑別装置から前記紙幣集積部の搬送路のモータおよび前記紙幣集積部に設けられた分離集積機構のモータの回転を開始し、前記モータの回転が一定速度に達する前に、前記一時保留部からの紙幣の搬送を開始させる、請求項1から4のいずれかに記載の紙幣処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、出金取引時に、前記紙幣集積部から前記鑑別装置までのモータが一定速度に達した後であって、前記鑑別装置から前記接客部の搬送路のモータの回転を開始し、前記モータの回転が一定速度に達する前に、前記紙幣集積部からの紙幣の搬送を開始させる、請求項5に記載の紙幣処理装置。
【請求項7】
前記紙幣処理装置は、
前記鑑別装置により異常と鑑別された紙幣を集積するリジェクト紙幣集積部を備え、
前記制御部は、前記鑑別装置が異常と鑑別した場合に、前記鑑別装置から前記リジェクト紙幣集積部の搬送路のモータの回転を開始する、請求項1から6のいずれかに記載の紙幣処理装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−25694(P2013−25694A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162231(P2011−162231)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】