説明

紙幣識別装置

【課題】光源の位置に拘わらず発光部を自由に配置することのできる紙幣識別装置を提供する。
【解決手段】発光部30は、下側のガイド23に設けられた開口部31と、紙幣投入口21の近傍に設けられた光源32と、光源32の光を開口部31に導く導光部材33とを有しているので、開口部31の裏側面に光源32を配置する必要はなく、光源32の位置に拘わらず発光部30を自由に配置することができ、設計上の自由度を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機、両替機等に設けられ、紙幣の真偽を識別して収納するための紙幣識別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の紙幣識別装置としては、投入される紙幣の両面側にそれぞれ位置するように設けられ、紙幣投入口を構成する一対のガイドを備え、一対のガイドの少なくとも一方に、紙幣投入口に沿って互いに間隔をおいて配置された複数の発光部を設けたものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭60−61881号公報
【特許文献2】実開平1−57573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の紙幣識別装置では、発光部に発光ダイオード(LED)等の光源を直接設けたり、発光部に対応する位置の開口部の裏側面に光源を設けたりすることにより、発光部を構成している。このため、ガイドに発光部を設ける場合には、その裏面側に光源及び基板等を配置するスペースが必要となるため、発光部を自由に配置することができない。
【0004】
本発明の目的とするところは、光源の位置に拘わらず発光部を自由に配置することのできる紙幣識別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成するために、投入される紙幣の両面側にそれぞれ位置するように設けられ、紙幣投入口を構成する一対のガイドを備え、一対のガイドの少なくとも一方に、紙幣投入口に沿って互いに間隔をおいて配置された複数の発光部を設けた紙幣識別装置において、前記ガイドの各発光部に対応する位置に設けられた複数の開口部と、紙幣投入口の近傍に設けられた光源と、光源の光を開口部に導く導光部材とを備え、前記複数の発光部を、光源の光を導光部材を介して各開口部から外部に向かって照射するように構成している。
【0006】
これにより、導光部材によって光源の光が開口部に導かれることから、光源の位置に拘わらず発光部を自由に配置することが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光源の位置に拘わらず発光部を自由に配置することができるので、設計の自由度を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図6は本発明の一実施形態を示すもので、図1は紙幣識別装置の全体斜視図、図2は紙幣識別装置の要部正面図、図3は紙幣識別装置の要部側面断面図、図4は導光部材の全体斜視図、図5は導光部材の平面図、図6は導光部材の側面図である。
【0009】
この紙幣識別装置は、図示しない紙幣搬送機構、紙幣識別センサ及び紙幣収納部等を有する装置本体10と、装置本体の前面上部側に設けられたフロントカバー20とを備えている。
【0010】
フロントカバー20は、紙幣を投入する際に、紙幣の両面を上下に向けた状態で投入可能なように、幅方向に延びるように紙幣投入口21が設けられている。紙幣投入口21は、紙幣の端部を容易に挿入可能なように上下両側がそれぞれ曲面状に形成され、投入された紙幣を紙幣搬送機構に案内するための上下一対のガイド22,23からなる。また、下側のガイド23には、紙幣投入口21に沿って互いに間隔をおいて配置され、紙幣投入口21を照らすための4つの発光部30が設けられている。
【0011】
発光部30は、下側のガイド23に、互いに幅方向に所定間隔をおいて設けられた4つの開口部31と、紙幣投入口21の下方に位置する装置本体10に設けられた幅方向一対の光源32と、光源32の光を開口部31に導くための一対の導光部材33とを有している。
【0012】
各光源32は、装置本体10内に設けられた発光ダイオード(LED)等からなり、装置本体10に設けられた開口部11を介して光を前方に向かって照射するようになっている。
【0013】
各導光部材33は、1つの光源32用に装置本体10に設けられた開口部11と下側のガイド23の2つの開口部31を接続するように形成された光学ガラス等の光学用材料からなり、1つの光源32の光を分岐させて2つの発光部30を光らせるようになっている。また、各導光部材33は光源32の光を所定の方向に反射させるための複数の反射面33aを有し、所定方向に照射される光源32の光を、複数の反射面33aによって全反射させ、減衰を最小限に任意の位置に導くようになっている。
【0014】
以上のように構成された紙幣識別装置において、紙幣投入口21の下方に位置する装置本体10の開口部11から前方に向かって照射される一対の光源32の光は、図5及び図6の一点鎖線に示すように、各導光部材33に入射して複数の反射面33aで反射し、下側のガイド23の各開口部31に導かれる。これにより、紙幣投入口21は、各開口部31に導かれた光によって部分的に照らされる。このとき、紙幣投入口21は、互いに幅方向に間隔をおいて配置された4つの発光部30によって部分的に照らされるとともに、各発光部30の間に陰影ができることから、発光部30の光と各発光部30の間のコントラストによって容易に紙幣投入口21の位置を視認することが可能となる。
【0015】
このように本実施形態の紙幣識別装置によれば、発光部30は、下側のガイド23に設けられた開口部31と、紙幣投入口21の近傍に設けられた光源32と、光源32の光を開口部31に導く導光部材33とを有しているので、開口部31の裏側面に光源32を配置する必要はなく、光源32の位置に拘わらず発光部30を自由に配置することができ、設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0016】
また、導光部材33は、1つの光源32の光を分岐して複数の開口部31に導くようになっているので、発光部30よりも少ない数の光源32によって、発光部30の全てを発光させることができ、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0017】
また、導光部材33は、入光した光を所定の方向に反射させる反射面33aを有しているので、減衰を最小限に光源32の光を開口部31に導くことができ、最小限の光量の光源32を用いることが可能となる。
【0018】
また、導光部材33は、光学ガラスから形成されているので、減衰を最小限に光源32の光を開口部31に導くことができ、最小限の光量の光源32を用いることが可能となる。
【0019】
尚、前記実施形態では、紙幣投入口21に沿って互いに間隔をおいて4つの発光源30を下側のガイド23に設けたものを示したが、発光源30の数は4つより多くても良いし、4つより少なくてもよい。
【0020】
また、前記実施形態では、1つ光源32の光を分岐して2つの開口部31に導くように導光部材33を形成したものを示したが、1つの光源32の光を分岐して3以上の開口部31に導くように導光部材を形成しても良い。
【0021】
また、前記実施形態では、下側のガイド23に発光部30を設けた物を示したが、上側のガイド22に設けても良いし、上下両側のガイド22,23に設けても良い。また、紙幣投入口21が上下に延びるように設けられている場合には、左右両側のガイドの一方または両方に発光部30を設けるようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態を示す紙幣識別装置の全体斜視図
【図2】紙幣識別装置の要部正面図
【図3】紙幣識別装置の要部側面断面図
【図4】導光部材の全体斜視図
【図5】導光部材の平面図
【図6】導光部材の側面図
【符号の説明】
【0023】
20…フロントカバー、21…紙幣投入口、22,23…ガイド、30…発光部、31…開口部、32…光源、33…導光部材、33a…反射面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入される紙幣の両面側にそれぞれ位置するように設けられ、紙幣投入口を構成する一対のガイドを備え、一対のガイドの少なくとも一方に、紙幣投入口に沿って互いに間隔をおいて配置された複数の発光部を設けた紙幣識別装置において、
前記ガイドの各発光部に対応する位置に設けられた複数の開口部と、
紙幣投入口の近傍に設けられた光源と、
光源の光を開口部に導く導光部材とを備え、
前記複数の発光部を、光源の光を導光部材を介して各開口部から外部に向かって照射するように構成した
ことを特徴とする紙幣識別装置。
【請求項2】
前記導光部材を、一つの光源の光を複数の開口部に導くように構成した
ことを特徴とする請求項1記載の紙幣識別装置。
【請求項3】
前記導光部材に、光源の光を所定の方向に反射させる反射面を設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載の紙幣識別装置。
【請求項4】
前記導光部材を、光学用材料から構成した
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の紙幣識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−80769(P2009−80769A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251338(P2007−251338)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】