説明

紙把持装置および紙把持方法

【課題】本発明は相互にほぼ平行な回転軸を有する第1および第2のホイールを備えた、スタックの頂面上の一枚を把持する把持装置を提供する。
【解決手段】第1のホイールは紙を取り外す際に紙の一部分に摩擦力を及ぼすように配置されている。把持装置は、さらに、第1のホイールをその上に載置して移動方向において第2のホイールに向かって移動するアクチュエータを備える。把持装置は、紙表面に隣接する位置からスタックの頂面に対して実質的に横断する方向にスタックから離れる流路に沿って気流を供給するための気流発生装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスタックの頂面上の一枚の紙を把持する装置に関するものであり、この装置は相互にほぼ平行な回転軸を有する第1および第2のホイールを備え、前記第1のホイールは前記紙を取り除く際にそれぞれ紙の一部分に摩擦力を及ぼすために配置され、前記把持装置は、さらに、前記第1のホイールを搭載し、前記第2のホイールに向かう方向に前記第1のホイールを移動するアクチュエータを備える。
【背景技術】
【0002】
このような紙把持装置は、例えば、コンピュータ−プレート・イメージング方法の分野で公知である。コンピュータ−プレート・イメージング方法においては、印刷版をマルチプレートスタックから取り上げる、スタックでは、各印刷版は紙シートの間に挟まれており、印刷版の表面が傷つくのを防止するとともに、通常はアルミニウム製の印刷版の表面同士の相互作用を防止している。印刷版を扱っている間に、スタックの要素(部材)が連続的に取り外され、このようにして印刷版と紙シートが交互に取り外される。例えば、印刷版が取り扱われるのは、例えば印刷版に放射線を暴露することにより処理するときである。紙のシートは取り外され、箱内に廃棄される。
【0003】
スタックの頂面上に位置する紙を取り外すために、既知の把持装置は紙の上方に配置され、第1および第2のホイールがそれぞれ該紙の一部分に摩擦力を及ぼすように構成されている。次いで、把持装置のアクチュエータは第1のホイールを最初の位置から第2のホイールに向けて移動すると、2つの摩擦ホイールの間の紙は上方に折り返され、続いて垂直に配向され、互いに対向するホイールの接触部同士の間で押圧される。そうすると、スタックから紙を取り外すことができる。
【0004】
しかしながら、上述の紙の取り外し工程において、摩擦による損傷が複数枚重ねたオフセット印刷版の最上層で発生することがある。特に、ホイールと接する摩擦表面層はオフセット・プレートの感光層に損害を与えることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、前提部分に記載の把持装置の上述の欠点を低減した把持装置を提供することである。特に、本発明はプレートの感光層における損傷が防止される把持装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の一態様によると、把持装置は、第2のホイールをスタックの頂面の紙に向けて移動するためのアクチュエータを備える。また、把持装置は空気流発生装置を備える。この空気流発生装置は、紙の表面近傍からスタックを離れる方向に向かい、スタックの頂面に対して実質的に横断する方向に沿う気流を与える。。
【0007】
紙の表面近傍からスタックを離れる方向、すなわち、スタックの頂面に対して実質的に横断する方向の流路に沿って気流を供給することにより、紙をこれに当たる気流で持ち上げることができ、それにより紙とその紙の下方の表面、例えば印刷版との間の固着力の影響を弱めているので、スタックにほとんど摩擦力を及ぼすことなくその紙を把持することができる。その結果、版の上部面における損傷が防止される。第2のホイールをスタックの最上部の紙に向けて移動することにより、当てられた空気流によって紙が制御不能に吹き飛ばされることがなくなる。
【0008】
本発明の把持装置を使用する際には、把持装置をシートの必ずしも中央に向けて移動する必要は無く、紙片の端部の近くを把持すればよい。
【0009】
ちなみに、本出願人の未公開のヨーロッパ特許出願第06076146.7号明細書には、スタックの頂面から紙片を把持する装置であって、把持すべき紙片とこの紙片の下方にある表面との間に空気流を供給するための空気流発生装置を備えたものを開示されている。
【0010】
本発明の好適な一実施の形態では、流路はほぼ第1のホイールの移動方向に沿ってスタックの側面に向けられており、この側面に近づくとスタックから遠ざかってスタックの頂面に対してほぼ横断する方向に向けられる。そのような流路を設計する際に、第1のホイールを第2のホイールに向かう方向に移動するアクチュエータ上またはその近傍に空気流発生装置を設けることができる。さらに、空気流は最初に側面に向けられ、次いでスタックから遠ざかって上方に向けられるので、紙をスタックから持ち上げる工程を最適化することができる。また、把持部の信頼性をさらに改善することができる。あるいはまた、気流を上述とは別の態様に設計することができる。例えば気流を、持ち上げようとする紙の上方で紙に沿うように向け、次いでスタックから離れた一定の領域において上方に向ける。それにより紙の一定の領域の上方に局所的な負圧が生じるため、紙はスタックから上方に遠ざかる方向の引張力を受ける。
【0011】
この場合、スタックの頂面は水平面に向いているので、上述の頂面に対して横断する方向は上向きである。しかしながら、原理上、スタックを別の態様で向きを合わせることができる。例えば、水平面に対して傾斜させて向きを合わせることができる。それにより、上述の頂面に対して横断する方向を変えることも可能である。
【0012】
第1のホイールを第2のホイールに向けて移動中および移動後および/または移動中に、第1のホイールをその回転軸に対して回転させて、第1および第2のホイールの間に把持された紙の部分がスタックから取り外されるように構成することにより、紙が第1および第2のホイールに向けておよび/またはこれらの間に引っ張られるので、紙がより容易にスタックから搬送されるという効果が得られる。しかしながら、例えばコストと価格を低減するために、第2のホイールをその軸に対して固定することもできる。
【0013】
本発明の一実施の形態では、第1のホイールの回転は、第1のホイールを第2のホイールに向かって移動するためのアクチュエータによって駆動される。その結果、第2のホイールに向かう第1のホイールのその軸に対する回転は、単一のモータによって行うことができ、その結果、把持装置におけるモータ装備、コスト、およびスペースが削減される。あるいはまた、把持装置に第2のアクチュエータ機構を設けて第1のホイールをその軸に対して回転駆動する。
【0014】
本発明の別の実施の態様によると、第1のホイールは、追加ホイールを設けた第1の車軸に取付けられて紙に対する把握力を改善している。より簡単な構成では、第1のホイールは、追加ホイールが存在しないことにより、または共通の車軸を持たないことにより、追加ホイールと結合されていない。しかしながら、追加の第1のホイールに大部分が一致する軸または大部分がそれに平行な軸を有する1個または複数個の追加ホイールを設けることも可能である。前記1個または複数個の追加ホイールを把持動作の際に第2のホイールに向けて移動する、および/または回転して、第1および第2のホイールの間に把持された紙の部分をスタックから取り外すようにすることは任意に選択採用することができる。
【0015】
同様に、第2のホイールを、追加ホイールを設けた第2の車軸に取付けることもできる。もちろん、第1のホイールの追加ホイールについて説明したものと同様の変形例を採用することも可能である。
【0016】
本発明の他の好適な実施態様を特許請求の範囲に記載されている。
【0017】
本発明は、また、紙把持方法に関する。
【0018】
添付図面を参照して本発明の実施例を説明するが、それらは単なる例示である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】把持工程の第1の段階にある本発明の把持装置の概略側面図である。
【図2】把持工程の第2の段階にある本発明の把持装置の概略側面図である。
【図3A】把持工程の第3の段階にある本発明の把持装置の第1の概略側面図である。
【図3B】把持工程の第3の段階にある本発明の把持装置の第2の概略側面図である。
【図4】把持工程の第4の段階にある本発明の把持装置の概略側面図である。
【図5】把持工程の第5の段階にある本発明の把持装置の概略側面図である。
【図6】図1の把持装置の概略上面図である。
【図7A】第1の位置にある本発明の別の実施の形態による把持装置の概略側面図である。
【図7B】第2の位置にある図7Aの把持装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、把持工程の第1の段階にある本発明の把持装置の概略側面図である。把持装置1は第1のホイール5と第2のホイール2とを備え、これらはそれぞれ上述のホイール5、2の回転軸7、4と一致する回転軸を有する。これらの回転軸は相互にほぼ平行である。第1のホイール5はホイール5、2の間に把持された紙片に摩擦力を及ぼすように配置される。したがって、第1のホイールは摩擦ホイールとも呼ばれる。
【0021】
把持装置1は、さらに、アクチュエータ12を備え、このアクチュエータ12に摩擦ホイール5を取付け、第2のホイールに向けて摩擦ホイール5を移動するようにしている。さらに、摩擦ホイール5は第2のホイール2に向かう移動の際にその軸に関して回転するように配置され、紙片の部分20が摩擦ホイール5と第2のホイールの間のスペースに向けられるようにしてある。
【0022】
その目的で、摩擦ホイール5の回転は第2のホイール2に向けて摩擦ホイール5を移動するアクチュエータ12により引き起こされる。特に、摩擦ホイール5は歯車伝動装置により駆動される。明らかに、ベルト伝動装置のような他の伝動システムも適用することができる。摩擦ホイール5には、第2のホイール2の車軸4に対して固定されている歯車ラック14と協働する歯車13が固定されている。
【0023】
図6は把持装置1の概略上面図である。摩擦ホイール5の車軸7上に追加摩擦ホイール6が取付けられて第1の対の摩擦ホイール5,6を形成し、紙20の把持力を向上させている。同様に、第2のホイール2は追加ホイール(図示しない)と一緒に、第2のホイール2を保持する軸4上に取付けられた1対のホイールを形成する。その結果、紙20を安定して把持することができる。
【0024】
車軸7上の摩擦ホイール5、6の間に円筒体15が整列されている。円筒体15は、摩擦ホイール5、6と第2の車軸4上に取付けられた1対のホイールとの間のスペースに向けられた湾曲した円筒表面を備えている。湾曲した円筒表面を設ける目的は以下に説明するとおりである。さらに、図6に、円筒体15と摩擦ホイール5,6の間にそれぞれ介挿された歯車13を示す。また、歯車13と協働する歯車ラック(複数)14を示すことができる。
【0025】
第2の対のホイール2を保持する軸4は、ブロックを備え、このブロック上に歯車ラック14が固定載置され、この歯車ラック14は、摩擦ホイール5、6を保持する軸7上に載置された歯車ホイール13に向かって延在する。歯車ラック14は第1の対の摩擦ホイール5、6を保持する車軸7上の歯車ホイール13と係合する。
【0026】
第1の対の摩擦ホイール5、6を保持する車軸7は、アクチュエータ12に結合された保持ユニット17によって回転可能に保持される。アクチュエータ12は可動保持ユニット17を駆動する電気モータを備えている。可動保持ユニット17は1つ以上の液圧および/または気圧シリンダを用いて移動方向23に駆動することができる。液圧または気圧シリンダを用いる際、液体または気体、例えば空気をそれぞれ圧縮し、保持ユニット17を移動する力を発生させる。明らかに、他のアクチュエータ機構、例えば電気ステップモータを適用することもできる。
【0027】
把持工程の第1の段階では、把持装置1はスタック30の上方に配置され、このスタック30は、個々の紙シート20の間に挟まれた印刷版21を含む。このスタックの上部面は紙把持装置1によって取り外されるべき紙シート20によって形成される。
【0028】
把持工程の第2の段階の間、第2のホイール2がスタックの頂面の紙20に向かって移動される。第2の段階を図2に示す。この移動は、把持装置1上に設けられた追加ホイール(図示しない)によって達成される。この追加ホイールは、第2のホイール2を紙の表面に対して、好ましくは、紙20が延在する平面に対して実質的に横断する方向に移動する。本発明の一実施の形態によると、把持装置1はスタック30の傍らの待機位置から移動する。好ましくは、把持装置の移動の最終段階の間に、第2のホイールは紙の向きに関して横断する方向で最上部のシート20に近づき、それによりホイール2が紙20の上面に引き起こす摩擦の影響を低減する。第2のホイール2を紙20に対して下方方向25に押して紙20と接触させるのが好適である。原理上、第2のホイールも紙の頂面の真上に配置することができる。追加のアクチュエータは、摩擦ホイール5の位置とは無関係に第2のホイール2を移動することが可能である。あるいはまた、追加のアクチュエータは、第2のホイール2と摩擦ホイール5の双方を紙面に対して移動するように配置される。しかしながら、この点については、プレート表面の損傷を防止するために、摩擦ホイール5は上述の工程の第2の段階において紙20とは接触しないようにする。
【0029】
図3Aに示す把持工程の第3の段階において、摩擦ホイール5は、アクチュエータ12を駆動すると、第2のホイール2に向かう方向23に移動するが、その一方、摩擦ホイール5を時計回り方向22に回転させている。摩擦ホイール軸7の移動により実質的に平行移動が生じる。摩擦ホイール5の回転の機能を以下に説明する。
【0030】
アクチュエータ12により引き起こされた第1の摩擦ホイール5の移動も非平面的に、例えば湾曲状にすることができる。さらに、アクチュエータ12の設計は、第1の摩擦ホイール5がスタックの頂面に追従するように設計することができる。
【0031】
図3Bは把持工程の第3の段階における把持装置の第2の図である。把持装置1は、さらに、第2のホイールに向かって摩擦ホイール5を移動するためのアクチュエータ12に固定された空気流発生装置16を備える。空気流発生装置16からの空気は、実質的に摩擦ホイール5の移動方向に沿ってスタック30の側面に向かうように方向づけられた流路31を流れる。そして、該側面32に近づくと、スタック30の頂面に対して実質的に横断する上方向33にスタックから離れる方向に流れる。気流により、スタック30の側面32の近傍の紙の部分20が、摩擦ホイール5と第2のホイール2との間のスペースに向かって上方に持ち上げられる。この気流は紙を引き剥がし、紙が第2のホイール2に向かって捲くれあがるにつれて摩擦ホイール5に接触するようにさせている。
【0032】
図3Aに示す摩擦ホイール5は、接触する紙の部分が摩擦ホイール5によって発生する摩擦力により摩擦ホイール5と第2のホイール2との間のスペースに向かって給送されるように、回転する。摩擦ホイール5の回転は、摩擦ホイール5と歯車ホイール13と歯車ラック14とを備える歯車伝動装置の平行移動により行われる。摩擦ホイール5の動作により、紙20は、摩擦ホイール5と第2のホイール2との間で折曲げられ上方に延びることができる。
【0033】
把持装置1は、円筒体15を備え、この円筒体15は、湾曲した円筒表面が摩擦ホイール5の回転車軸7に実質的に平行な向きになるよう摩擦ホイール5に結合され、摩擦ホイール5の移動方向23、31からスタック30の頂面に対して実質的に横断方向にスタックから離れる向きの流路となるようにしている。円筒体15の湾曲した円筒表面を利用することによって、気流は円筒表面に沿うように流れ、スタック頂部の上方を通過する気流はさらに上方に実質的に紙の表面に対して横断する方向に導かれ、向けられる。その結果、気流は上方に誘導される。この点に関して、気流の上向きの誘導が別の方法で、円筒体15無しに、例えば湾曲した円筒表面プレートによっても発生させることができる。さらに、上方への気流の誘導は、別の物理的効果により、例えば適切に配置された吸気装置を利用することにより、例えば摩擦ホイール5と第2のホイール2の間に負圧領域を設けることによって発生させることができる。
【0034】
空気流発生装置16が乱気流を発生させるように構成されていることが好ましい。これは気流発生装置の噴出口の向きを、主気流がスタック30の側面32に接触した際に乱流となるように定めることにより達成することができる。乱気流を発生させることにより、紙20をスタックからより容易に解放し持ち上げることができる。乱気流は、例えば空気流発生装置の噴出口近傍に鋭角端部を設けることによって、乱気流型である空気流発生装置16からの気流を流すことによっても供給することができる。あるいは、空気流発生装置16は非乱流気流、例えば層流の気流を発生するように構成してもよい。
【0035】
アクチュエータ12には、さらなる一選択肢として、空気誘導シールド11を設けて、気流を実質的にスタック30の側面32に向かわせるようにしてもよい。
【0036】
図4に示す把持工程の第4の段階の間、第1の摩擦ホイール5は第2のホイール2に当接する。その結果、摩擦ホイール5と第2のホイール2はそれらの間に紙20を挟持する。摩擦ホイール5の回転が停止される。
【0037】
次いで、図5に示す把持工程の第5の段階では、摩擦ホイール5はスタック表面から離れて上方に移動している。それに対して、把持装置1は、さらなるアクチュエータを備えて摩擦ホイール5をスタック表面から離して移動し、それによりスタック30から紙20を取り外す。そして、印刷版21がスタックの頂面となる。第2のホイール2も上方に移動して、第2のホイール2を移動するための追加のアクチュエータと摩擦ホイール5を移動するためのさらなるアクチュエータが一体化するようにすることが好ましく、有利である。摩擦ホイール5の上方移動の間、紙20は第2のホイール2と摩擦ホイール5との間にしっかりと把持され、一体化された把持装置はスタック30から移動して遠ざかる。
【0038】
本発明の一態様によるもう一つの実施の形態では、摩擦ホイールは第4および第5の段階において、例えば紙20が少なくとも部分的にまたは完全に摩擦ホイール5と第2のホイール2との間に供給されるまで、回転したままである。本発明の一態様によるさらなる実施の形態では、摩擦ホイールは摩擦ホイール5と第2のホイール2が相互に当接した後に回転するだけである。
【0039】
第2のホイール2はモータにより駆動されないが、その車軸4に対して回転自在である。第2のホイール2は回転自在であるため、ホイール2の磨耗がホイール2の全周面に均等に分布し、それによりプレートの頂面の損傷が低減される。好適な実施の形態では、第2のホイール2は一方向にのみ回転可能であり、全周面にわたって磨耗をより均等に分布させることができる。さらに、第2のホイール2には低摩擦表面が設けられており、それにより傷つきやすいプレート表面、例えばラテックスのトップ層を設けたプレート表面上に何らかの損傷が生じるとしても、その損傷をさらに低減することができる。もう一つの実施の形態では、第2のホイール2には高摩擦表面が設けられており、把持装置の信頼性が向上する。さらに、把持装置の構成を、第2のホイールがモータにより駆動され、それにより紙の取り外し工程に寄与するように設計することができる。さらに、原理上、第1のホイール5にも低摩擦表面を設けること、および/またはモータにより駆動するのでなく回転自在に設けることができる。
【0040】
上述の実施の形態では、摩擦ホイール5は、アクチュエータを用いて第2のホイール2に向けて移動され、摩擦ホイール5はアクチュエータ12に対して移動する。
【0041】
図7Aおよび図7Bは、それぞれ、第1および第2の位置における本発明の把持装置1のさらに別の実施の形態を示す。摩擦ホイール5の軸7はホイール5を保持する筐体40に対して固定されている。筐体40と摩擦ホイール5の組立体は把持工程の第3の段階の間に第2のホイールに向けて一体的に移動される。そのようなものとして、図7Aに示す第1の位置は図2に示す工程の第2の段階に対応し、一方、図7Bに示す第2の位置は図3Aに示す工程の第3の段階と対応する。摩擦ホイール5を第2のホイールに向かって移動するためのアクチュエータ41は第2のホイール2の車軸4に直接結合されている。
【0042】
上述の実施の形態では、空気流発生装置16はアクチュエータ12または筐体40に固定されていることが注意される。しかしながら、空気流発生装置16を別の態様で、例えば上述の気流を発生する別個の保持機構上に配置することもできる。
【0043】
本発明は本明細書に記載された実施の形態に限定されず、多くの変形例が可能であることが理解されるであろう。
【0044】
摩擦ホイールは、比較的大きな摩擦力がホイールの下方の紙20に付与できるように摩擦タイヤを設けることができる。そのために、摩擦タイヤ18は弾性を有する。摩擦タイヤを利用する代わりに、他の手段、例えば1つ以上の摩擦ホイールの周面上の弾性部分を利用して及ぼされるべき摩擦力を増加させることができる。
【0045】
本発明による把持装置では、さらに、スタックから取り外すべき紙の上方に表面を有する要素をスタックから取り外すための案内部材を備えることは一選択肢として任意に採用することができる。それにより、把持装置によって行われる紙を取り外す動作は、紙の上方に表面を有する部材、例えば印刷版、を取り外すために行われる操作と好適に協働することができるであろう。しかしながら、上述の動作を行うための別個の機構を実装して相互作用を防止するようにすることもできるであろう。
【0046】
さらに、空気流を適用する代わりに、他の気体タイプ、例えば窒素流を使用することができる。
【0047】
他のそのような変形例は当技術に経験を有する者には自明であり、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内にあるものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み重ねた紙片の頂面上の一枚を把持する把持装置であって、相互にほぼ平行な回転軸を有する第1および第2のホイールを備え、前記第1のホイールは前記紙片を取り除く際に紙片の部分に摩擦力を及ぼすために配置され、前記把持装置は、さらに、前記第1のホイールをその上に搭載して前記第2のホイールに向かって移動するアクチュエータと、前記第2のホイールを前記スタックの頂面の紙に向けて移動するための追加のアクチュエータと、紙表面に隣接する位置からスタックの頂面に対して実質的に横断する方向にスタックから離れる流路に沿って気流を供給するための空気流発生装置とを備える把持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の把持装置であって、前記流路は、前記第1のホイールの移動方向に実質的に沿って前記スタックの側面に向かって向けられ、前記側面に近づくと前記スタックの頂面に対して実質的に横断する方向に前記スタックから遠ざかる方向に向けられている把持装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の把持装置であって、前記第1のホイールの回転軸に実質的に平行な向きの湾曲した円筒状表面をさらに備え、この円筒状表面により、前記流路を、前記第1のホイールの移動方向から、前記スタックの頂面に対して実質的に横断する方向に向けて前記スタックから離れる方向に向ける把持装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の把持装置であって、前記湾曲した表面は、前記第1のホイールに結合された円筒体によって形成される把持装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の把持装置であって、前記空気流発生装置は乱気流を発生するように構成されている把持装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の把持装置であって、前記第1のホイールは、前記第2のホイールに向かって移動中および移動後および/または移動中に、前記第1および第2のホイールの間に把持された紙部分が前記スタックから取り除かれるように、前記第1のホイールの回転軸に対して回転するように構成されている把持装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の把持装置であって、紙の一部分が前記第1および第2のホイールの間に把持された後に、前記スタック表面から前記第1のホイールを移動して離すためのさらなるアクチュエータを備える把持装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の把持装置であって、前記第1のホイールは前記第1のホイールを前記第2のホイールに向かって移動するアクチュエータにより駆動される把持装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の把持装置であって、前記第1のホイールは歯車伝動機構により駆動される把持装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の把持装置であって、前記第1のホイールには、前記第2のホイールの軸に対して固定されている歯車ラックと協働する歯車ホイールが固定して設けられている把持装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の把持装置であって、前記第1のホイールは、少なくとも1つの追加ホイールを設けた第1の車軸上に載置されている把持装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の把持装置であって、前記第2のホイールは、少なくとも1つの追加ホイールを設けた第2の車軸上に載置されている把持装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の把持装置であって、前記スタックから把持すべき紙の上方の表面を有する要素を取り除くための案内部材をさらに備えた把持装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の把持装置であって、前記第2のホイールは一方向にのみ回転可能である把持装置。
【請求項15】
スタックの頂面から紙を把持する方法であって、
相互にほぼ平行な回転軸を有する第1および第2のホイールの間に把持された紙の一部分に摩擦力を及ぼす工程と、
前記第2のホイールを前記スタックの頂面の紙に向かって移動する工程と、
前記第1のホイールを前記第2のホイールに向かって移動する工程と、を備え、
さらに、紙の表面に隣接する位置からスタックの頂面に対して実質的に横断する方向にスタックから離れる流路に沿って空気流を供給する工程を備える把持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2009−137764(P2009−137764A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−309299(P2008−309299)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(508358759)
【氏名又は名称原語表記】PUNCH GRAPHIX INTERNATIONAL N.V.
【住所又は居所原語表記】Duwijckstraat 17,B−2500 Lier, Belgium
【Fターム(参考)】