説明

紙管保持具

【課題】フィルムなどを紙管に巻き取る際に紙管の両端部が内側に折れ曲がることがないよう保持可能な紙管保持具を提供すること。
【解決手段】中空形状の紙管を、当該紙管の長尺方向の両端部から保持する一対のガイド部材と、当該ガイド部材が回転可能に支持された支柱とを備える紙管保持具であって、ガイド部材が、錐体状または錐台状のガイド部本体と、当該ガイド部本体の底面の中心を通る位置に設けられガイド部本体を回転可能に支持する支持部とを含み、ガイド部材は、紙管の中空孔内にガイド部本体の頂部を挿入することにより当該紙管を回転自在に保持することを特徴とする紙管保持具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙管保持具に関する。さらに詳しくは、フィルムなどを紙管に巻き取る際に紙管の端部が内側に折れ曲がることがないよう保持可能な紙管保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばフィルムを紙管に巻きつけてフィルムロールを製造する際、中空形状の紙管の両端部を保持具で回転可能に保持し、当該回転可能に保持された紙管を回転させながらフィルムを巻きつける方法が採用されている。図14および図15は、従来の紙管に被捲回体を巻き取る機構を説明する説明図である。図14では、紙管20にフィルム21が巻き取られる直前を示しており、図15では、紙管20にフィルム21を巻き取られてフィルムロール22が完成した状態を示している。図14および図15の比較から判るように、フィルム21が紙管20に巻き取られるにしたがって、支柱23における紙管の保持位置は支柱23に沿って上方へ移動する。図16は、図14の紙管等を矢印A方向から見た矢視図である。図14および図15に示されるように、ガイドロール19上に載置された紙管20の表面にフィルム21が導入され、ガイドロール19が回転することによりフィルム21が紙管20に巻き取られ、巻き取られたフィルムロール22の厚みの増加により、紙管20を支える支柱23が上方へ移動する。ここで、図16に示されるように、紙管20にフィルム21を導入する前に、支柱23に回転自在に支持された回転体24により紙管20の両端が回転可能に保持され、ガイドロール19の回転によりフィルム21が巻き取られる。
【0003】
このようにフィルム21が巻き取られる際、フィルムロール22形成後に紙管20の両端部が紙管20の内側方向に歪に変形するという問題があった。かかる変形の原因としては、以下のものが考えられる。たとえばフィルム21を巻きつけるにしたがって発生する紙管20の内側方向への応力が原因となり、紙管20の長尺方向の長さが伸びる結果、紙管20の両端部がそれぞれ保持している回転体24と必要以上に大きな力で接触し、紙管20が変形することが考えられる。また、フィルム21を巻きつける際に発生する長さ方向(紙管20の長尺方向)への振動により紙管20の両端部が回転体24に負荷を与える結果、紙管20の両端部が変形することが考えられる。または、それ以外の種々の要因(たとえば作業環境の湿度や温度などの諸要因)により、紙管20の両端部が回転体24と必要以上に大きな力で接触して変形すると考えられる。
【0004】
このように内側方向に紙管が変形すると、フィルムを使用する際に紙管の中空孔にロール芯を通すことが困難となるという問題がある。また、かかる問題を解決するためにフィルムロール形成後に紙管の変形を修復しようと試みても、フィルムは紙管に硬く巻きつけられているため容易ではない。また、紙管を保持する保持具が多くの特許文献が開示されている。たとえば特許文献1には、安定してロール体を保持でき、複数種類のロール体を保持可能なロール体保持装置が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載のロール体保持装置は、すでに巻き取られた状態のロール体からウェブを引き出す際に安定してロール体を保持し続けることや、内径の異なるロール体を使用する場合であっても装置を変更することなく使用できる等の利点があるが、ロール体形成時の紙管の内側方向への変形を解決するものではない。また、特許文献1以外のロール体保持装置も多数存在するが、いずれも紙管の内側方向への変形を防ぐことはできない。すなわち、紙管の内側方向への変形を防止することは、未解決な新規の課題であり、いまだ充分な解決はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−90707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、フィルムなどを紙管に巻き取る際に紙管の両端部が内側に折れ曲がることがないよう保持可能な紙管保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の紙管保持具は、中空形状の紙管を、当該紙管の長尺方向の両端部から保持する一対のガイド部材と、当該ガイド部材が回転可能に支持された支柱とを備える紙管保持具であって、
上記ガイド部材が、錐体状または錐台状のガイド部本体と、当該ガイド部本体の底面の中心を通る位置に設けられ、上記ガイド部本体を回転可能に支持する支持部とを含み、
上記ガイド部材は、上記紙管の中空孔内にガイド部本体の頂部を挿入することにより当該紙管を回転自在に保持することを特徴とする。
【0008】
本発明は、かかる構成を有することにより、フィルムなどを紙管に巻き取る際に紙管の両端部が内側に折れ曲がることがない。
【0009】
上記ガイド部本体が、
上記底面の径をHとするとき、上記底面の中心点cから或る径に沿って距離h1離れた点P1(ただし、h1の長さは0<h1<H/2)を通り、かつ、上記径と直交する平面F1と、
上記底面の中心点cから上記径に沿って距離h2離れた点P2(ただし、h2の長さは0<h<H/2)を通り、かつ、上記径と直交する平面F2とにより区切られた中央の立体であり、
点P1と中心点cと点P2とがこの順で同一直線上に存在し、
上記平面F1および上記平面F2との距離が、上記支柱の幅の長さ以下であることが好ましい。
【0010】
当該構成を有することにより、後述の図5および図7に示されるように、ガイド部材の形状が扁平な形状となり、支柱の幅よりもガイド部材の形状を細くすることが可能となる。その結果、フィルムを巻きつける前の紙管を2つのガイドローラ上に載置する場合において、当該2つのガイドローラ同士の間隙を、ガイド部材をあらかじめ支持した状態のままで支柱が通過することができる。これにより、ガイドローラを取り外してから支柱にガイド部材を取り付けて所望の位置まで移動させた後に再度ガイドローラを取り付ける必要がなく、製造時(特にガイド部材を変更する際)の利便性が向上する。
【0011】
上記錐体が円錐体または円錐台であることが好ましい。
【0012】
当該構成を有することにより、フィルムロール製造時の動作安定性が向上する。また、フィルム巻きつけ時において紙管が長尺方向に伸びたり、振動によりガイド部材に衝突する場合であっても内側に変形することなく、かつ、歪な形状に変形することがない。また、円錐体の場合、紙管に長尺方向の応力が発生したとしても、かかる応力を分散させやすいため、変形を最小限に留めることが可能となる。
【0013】
距離h1の長さと距離h2の長さとが等しいことが好ましい。
【0014】
当該構成を有することにより、ガイドロール回転時の重心が支持部と一致するため、フィルムロール製造時の動作安定性が向上する。
【0015】
上記支柱に1または複数のガイド部材が設けられてなることが好ましい。
【0016】
当該構成を有することにより、内径や厚みの異なる紙管を使用する場合であっても、その都度ガイド部材を取り替える必要がなく、製造時の利便性が向上する。種々の紙管を使用でき、ユーザーのニーズに合致することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フィルムなどを紙管に巻き取る際に紙管の両端部が内側に折れ曲がることがないよう保持可能な紙管保持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の紙管保持具の一実施形態(実施の形態1)にかかる紙管保持具が紙管を保持している状態を説明する説明図
【図2】図1の紙管保持具を矢印Bの方向からみた矢視図
【図3】本発明の紙管保持具の一実施形態(実施の形態2)にかかるガイド部本体の説明図
【図4】図3のガイド部本体を矢印Cの方向からみた矢視図
【図5】本発明の紙管保持具の一実施形態(実施の形態2)にかかるガイド部本体の正面図
【図6】図5のガイド部本体を矢印Dの方向からみた矢視図
【図7】本発明の紙管保持具の一実施形態(実施の形態2)にかかる紙管保持具が紙管を保持している状態を説明する説明図
【図8】本発明の紙管保持具の一実施形態(実施の形態3)にかかる紙管保持具が紙管を保持している状態を説明する説明図
【図9】本発明の紙管保持具の一実施形態(実施の形態4)にかかる紙管保持具が紙管を保持している状態を説明する説明図
【図10】本発明の紙管保持具の一実施形態(実施の形態4)変形例にかかる紙管保持具が紙管を保持している状態を説明する説明図
【図11】本発明の紙管保持具の一実施形態(実施の形態5)にかかる紙管保持具の説明図
【図12】本発明の紙管保持具の一実施形態(実施の形態5)にかかる紙管保持具の説明図
【図13】本発明の紙管保持具の一実施形態(実施の形態5)にかかる紙管保持具の説明図
【図14】従来の紙管に被捲回体を巻き取る機構の説明図
【図15】従来の紙管に被捲回体を巻き取る機構の説明図
【図16】従来の図14の紙管等を矢印A方向から見た矢視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
本実施の形態の紙管保持具1は、図1および図2に示される。図1は、本実施の形態にかかる紙管保持具1が紙管を保持している状態を説明する説明図である。図2は、図1の紙管保持具1を矢印Bの方向から見た矢視図である。図1および図2に示されるように、中空形状の紙管2を、当該紙管2の長尺方向の両端部から保持する一対のガイド部材3と、当該ガイド部材3が回転可能に支持された支柱4とを備えている。
【0020】
紙管2は、ガイドロール(図示せず)上に載置されており、ガイドロールの回転により紙管2およびガイド部材3が回転し、たとえばフィルムなどの被捲回体が捲回される。紙管2は、被捲回体を巻く際に芯体となる部材である。長尺かつ中空の形状を呈しており、その中空孔内にガイド部材3のガイド部本体3aの頂部が挿入される。紙管2の材質としては特に制限されず、紙、樹脂製パイプ(硬質塩化ビニルパイプ、ポリエチレンパイプ)等を採用することができる。本実施の形態では、紙を使用している。また、紙管2の厚みとしては特に制限されないが、たとえば3mm〜15mmを例示することができる。なお、紙管2に被捲回体が巻き取られるしたがって、被捲回体が巻かれた紙管2(以下、フィルムロールという)の厚みが大きくなるが、当該厚みの増加に合わせて支柱4に対する支持部3bの取り付け位置が変わらないように、支柱4が上下に移動する。なお、図1では、紙管2の一端のみを表示し、他端は図示した一端と同じ構成のため省略している。
【0021】
ガイドロールは、紙管2を載置し、紙管2を回転させて被捲回体を紙管2に巻き取らせるための部材である。
【0022】
被捲回体としては、特に制限されないが、たとえば、ポリエチレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムおよびこれらの積層フィルムを採用することができる。本実施の形態では、厚みが50〜200μmの、ポリエチレンフィルムおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムの積層フィルムを使用している。
【0023】
上記ガイド部本体3aの形状としては、錐体であれば特に限定されない。すなわち多角錐であってもよく円錐体であってもよい。フィルムロール形成後の紙管2の歪な変形を防止する観点から、正五角錐以上の多角錐または円錐体が好ましく、特に円錐体が好ましい。本実施の形態では円錐体のガイド部本体3aを使用している。
【0024】
ガイド部材3は、錐体状または錐台状のガイド部本体3aと、当該ガイド部本体3aの底面の中心を通る位置に設けられ上記ガイド部本体3aを回転可能に支持する支持部3bとを含む。すなわち、支持部3bは支柱4に回転自在に取り付けられており、ガイドロールの回転によりフィルムロールが回転する際に円滑に回転するよう支持されている。なお、支柱4から支持部3bを取り外せる構成としてもよく、支持部3bからガイド部本体3aを取り外せる構成としてもよい。
【0025】
支柱4は、被捲回体を紙管2に巻きつける際に、紙管2が長尺方向に移動しないよう位置を制御するための部材である。支柱4は、ガイド部材3とともに紙管2が長尺方向に移動しないよう保持する。
【0026】
前述の通り、従来の構成では、被捲回体を紙管2に巻きつける際に、何らかの要因により紙管2が回転体(図16の回転体24を参照)と必要以上の力で接触し、紙管2の端部が内側方向へ変形していた。内側に変形してしまうと、ユーザーがフィルムロールから被捲回体を取り出す際に、中空孔に芯体を挿入して保持しようとしても、内側に変形しているため芯体を挿入しにくいという問題があった。しかしながら、図1に示されるように、紙管2の中空孔にガイド部材3の頂部が挿入されているため、紙管2の端部が内側からしっかりと支持され、少なくとも内側方向へ紙管2の端部が変形することはない。そのため、容易に芯体を挿入することができる。
【0027】
本実施の形態によれば、フィルムなどの被捲回体を紙管2に巻き取る際に紙管2の両端部が内側に折れ曲がることがないよう保持可能な紙管保持具1を提供することができる。特に、ガイド部本体3aの形状が円錐体であるため、紙管2に長尺方向の応力が発生したとしても、かかる応力を分散させやすいため、変形を最小限に留めることが可能となる。本実施の形態にかかる紙管保持具1は、ガイド部本体3aの形状が円錐体であるため、以下の手順により紙管2を挟む。すなわち、まず、2つのガイドローラ(図14のガイドローラ19を参照)の間隙に、ガイド部材3を取り付ける前の支柱4を通過させる。通過させた後に、支柱4の所定の位置にガイド部材3を取り付ける。次いで、紙管2は、紙管2の中空孔にガイド部本体3aの頂部が挿入されるよう押し込むことにより設置される。その際、紙管2がガイド部本体3aと必要以上に大きな力で接触して紙管2が変形しないように、ガイド部材3は、支持部3bに設けられた付勢機構(図示せず)を介して適宜支柱4の方向へ移動する。かかる付勢機構は、紙管の中空孔にガイド部本体3aの頂部が挿入されたと同時に、紙管2をその長さ方向に付勢する。これにより、紙管2がガイドローラ上に設置されることになる。
【0028】
(実施の形態2)
本実施の形態の紙管保持具5は、図3〜図7に示される。図3は、実施の形態2にかかるガイド部本体3cの説明図であり、図4は、図3のガイド部本体3cを矢印Cの方向からみた矢視図である。これらはいずれも実施の形態1にかかるガイド部本体3aをもとに、本実施の形態にかかるガイド部本体3cを作成するために必要な点、直線および平面を示している。図5は、本実施の形態にかかるガイド部本体の正面図である。図6は、図5のガイド部本体を矢印Dの方向からみた矢視図である。図7は、本実施の形態にかかる紙管保持具が紙管を保持している状態を説明する説明図である。本実施の形態の紙管保持具5は、図5および図6に示されるガイド部本体3cを使用する以外は、実施の形態1にかかる紙管保持具1と同じの構成であり、同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0029】
ガイド部本体3cは、図4に示されるように、ガイド部本体3aの底面の径をHとするとき底面の中心点cから或る径に沿って距離h1離れた点P1(ただし、h1の長さは0<h1<H/2)を通り、かつ、上記径に沿って直交する平面F1と、底面の中心点cから径に沿って距離h2離れた点P2(ただし、h2の長さは0<h<H/2)を通り、かつ、上記径方向と直交する平面F2とにより区切られた中央の立体(得られた立体の形状は、図5および図6を参照)であり、点P1と中心点cと点P2とがこの順で同一直線上に存在し、上記平面F1および上記平面F2との距離が、上記支柱4の幅の長さ以下であることを特徴とする。当該立体の幅h3は、平面F1と平面F2との距離で表すことができる。
【0030】
図7は、本実施の形態にかかる紙管保持具5が紙管2を保持している状態を説明する説明図である。図7に示されるように、幅h3は、支柱4の幅h4以下である。幅h3が幅h4以下であることにより、図7に示されるように、ガイド部本体3cの形状が扁平な形状となり、支柱4の幅より細く重ね合わせることが可能となる。その結果、フィルムを巻きつける前の紙管2を、2つのガイドローラ上に載置する場合において、当該2つのガイドローラ同士の間隙を、ガイド部材をあらかじめ支持した状態のままで支柱4が通過することができる。これにより、実施例1にかかるガイド部材3aを使用する場合のようにガイドローラを取り外してからガイド部材3aを取付済みの支柱4を所望の位置まで移動させた後に再度ガイドローラを元の位置に戻して紙管2を載置する必要がなく、製造時(特にガイド部材を別の形状のガイド部材に変更する際)の利便性が向上する。
【0031】
距離h1の長さと距離h2の長さは、幅h3が幅h4以下となるよう調整されておれば特に制限はないが、距離h1の長さと距離h2の長さとが等しい場合、ガイドロール回転時の重心が支持部3bの重心と一致するため、フィルムロール製造時の動作安定性が向上するため好ましい。本実施の形態では、距離h1の長さと距離h2の長さは等しくなるよう調整されている。
【0032】
(実施の形態3)
本実施の形態の紙管保持具6は、図8に示される。図8は、本実施の形態にかかる紙管保持具6が紙管を保持している状態を説明する説明図である。図8に示されるように、ガイド部材7が紙管2を保持している際に、紙管2の厚みh5の長さよりも、紙管2とガイド部材7との接点P3からガイド部材7の底面方向へ下ろした垂線と底面との交点P4と底面の周のうち交点P4との距離が最短となる点P5との距離h6(図7参照)が小さくなることを特徴とする以外は、実施の形態1の紙管保持具1と同じ構成であり、同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0033】
当該構成を有することにより、ガイドロールに載置された紙管2がガイドロールにより回転して被捲回体を巻き取り始める際に、ガイド部材7の底面の周縁(点P5を含む周囲)がガイドロールに接触することがない。そのため、円滑に回転することができ、かつ、接触による破損等の問題も発生しない。
【0034】
(実施の形態4)
本実施の形態の紙管保持具8は、図9に示される。図9は、本実施の形態にかかる紙管保持具8が紙管2を保持している状態を説明する説明図である。図9に示されるように、実施の形態3のガイド部材7よりも高さが大きい以外は、実施の形態3にかかる紙管保持具6と同じ構成であり、同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0035】
すなわち、紙管の中空孔の孔径は実施の形態3の紙管2と同じh9である。しかしながら、紙管の厚みはh7であり、実施の形態3の紙管2の厚みh5よりも小さく構成されている。そのため、実施の形態3のガイド部材7を用いた場合、上記距離h6が厚みh7を超える結果、被捲回体を巻き取り始める際にガイド部材7の端部(点P5を含む周囲)がガイドロールに接触する虞がある。かかる問題を回避するために、ガイド部材9の高さ(ガイド部材9の錐体の頂点から底面に下ろした垂線の長さ)を大きくし、これにより、交点P4と点P5との距離h8を小さくすることができる。具体的には、頂点P6から底面に下ろす垂線と、錐体の母線との角度θ2が、実施の形態3における当該角度θ1よりも小さくなるようガイド部材9の形状を調整されてなる。
【0036】
これにより、各種厚みの異なる紙管を保持することが可能な紙管保持具8を提供することができる。なお、図9に示されるように、ガイド部材9の高さが大きい場合、紙管2の中空孔にガイド部本体の頂部を挿入しにくい、破損しやすい、危険である、重い、などの問題がある。かかる問題を解決するため、図10に示すように、ガイド部本体3dの形状を円錐台とすることができる。図10は、本実施の形態で用いるガイド部材7の別例である。これにより紙管2を設置する際にガイド部本体3dの頂部を紙管2の中空孔に挿入しやすい。また、同じ径を有する円錐体のガイド部材(たとえば図9のガイド部材9)と比較して軽量であり、取り扱いやすい等の利点がある。
【0037】
(実施の形態5)
本実施の形態の紙管保持具10および紙管保持具11は、図11および図12に示される。図11および図12は、それぞれ本実施の形態にかかる紙管保持具10および紙管保持具11の説明図である。図11および図12に示されるように、支柱4に2以上のガイド部材(それぞれガイド部材12〜15とする)が設けられてなる以外は、実施の形態1の紙管保持具1と構成であり、同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0038】
図11に示されるように、紙管保持具10の支柱4の上部には中空孔の孔径が大きな紙管を想定したガイド部材12が設置されており、支柱4の下部には中空孔の孔径がそれよりも小さな紙管を想定したガイド部材13が設置されている。また、図12に示される紙管保持具11も同様に、支柱4の上部には厚みが小さく中空孔の孔径が大きな紙管を想定したガイド部材14が設置されており、支柱4の下部には厚みが小さく中空孔の孔径がそれよりも小さな紙管を想定したガイド部材15が設置されている。これにより、紙管の中空孔の孔径が異なる紙管を連続的に使用する場合において、その都度ガイド部材を取り替える必要がなく、製造時の利便性が向上する。また、種々の紙管を使用でき、ユーザーのニーズに合致することができる。
【0039】
なお、ガイド部材は交換可能であるため、組み合わせは図11および図12に示したものに制限されず、種々の組み合わせを採用することができる。
【0040】
さらに、図13に示されるように、実施の形態2にかかる扁平形状のガイド部材(それぞれガイド部材16およびガイド部材17という、ガイド部本体3cの形状は図6を参照)を上下2段に設置した紙管保持具18とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の紙管保持具は、フィルムなどを紙管に巻き取る際に紙管の端部が内側に折れ曲がることがないよう保持可能な紙管保持具であり、フィルムなどを紙管に巻き取る際に紙管の両端部が内側に折れ曲がることがないため、たとえばフィルムを紙管に巻きつけてフィルムロールを製造する場合などに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1、5、6、8、10、11、18 紙管保持具
2、20 紙管
3、7、9、12〜17 ガイド部材
3a、3c、3d ガイド部本体
3b 支持部
4、23 支柱
19 ガイドロール
21 フィルム
22 フィルムロール
24 回転体
c 中心点
F1、F2 平面
H 錐体底面の径
h1 中心点cと点P1との距離
h2 中心点cと点P2との距離
h3 幅(平面F1と平面F2との距離)
h4 支柱の幅
h5、h7 紙管の厚み
h6、h8 点P4と点P5との距離
h9 紙管の厚み
P1、P2、P5 点
P3 紙管とガイド部材との接点
P4 接点P3から底面方向へ下ろした垂線と底面との交点
P6 ガイド部材の頂点
θ1、θ2 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空形状の紙管を、当該紙管の長尺方向の両端部から保持する一対のガイド部材と、当該ガイド部材が回転可能に支持された支柱とを備える紙管保持具であって、
前記ガイド部材が、錐体状または錐台状のガイド部本体と、当該ガイド部本体の底面の中心を通る位置に設けられ前記ガイド部本体を回転可能に支持する支持部とを含み、
前記ガイド部材は、前記紙管の中空孔内にガイド部本体の頂部を挿入することにより当該紙管を回転自在に保持することを特徴とする紙管保持具。
【請求項2】
前記ガイド部本体が、
前記底面の径をHとするとき、前記底面の中心点cから或る径に沿って距離h1離れた点P1(ただし、h1の長さは0<h1<H/2)を通り、かつ、前記径と直交する平面F1と、
前記底面の中心点cから前記径に沿って距離h2離れた点P2(ただし、h2の長さは0<h<H/2)を通り、かつ、前記径と直交する平面F2とにより区切られた中央の立体であり、
点P1と中心点cと点P2とがこの順で同一直線上に存在し、
前記平面F1および前記平面F2との距離が、前記支柱の幅の長さ以下であることを特徴とする請求項1記載の紙管保持具。
【請求項3】
前記錐体が円錐体または円錐台である請求項1または2記載の紙管保持具。
【請求項4】
距離h1の長さと距離h2の長さとが等しい請求項2または3記載の紙管保持具。
【請求項5】
前記支柱に1または複数のガイド部材が設けられてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の紙管保持具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−193028(P2012−193028A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59285(P2011−59285)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000106726)シーアイ化成株式会社 (267)
【Fターム(参考)】