説明

紙粉除去方法と紙粉除去装置

【課題】紙容器への紙粉混入を確実に防止し、紙容器の製造コストを低減することができる紙粉除去装置を提供する。
【解決手段】帯状の包材5の両端部に、紙粉を燃焼する燃焼手段18と紙粉を収集する収集手段19から成る紙粉除去装置20を設ける。燃焼手段18はガス管を介して設けられ、燃焼手段18のバーナーの炎は帯状の包材5の端部6の端面とその近傍の両面を覆って燃焼するので、回転刃17で切断した際に発生する紙粉を容易に燃焼できる。繰出される紙基材5の速度とバーナーの炎の燃焼量との関係は、紙基材5に付着する紙粉は焦げるが紙基材5に影響を与えない状態に設定される。紙基材5の両端部6に付着する紙粉の燃焼後の残渣物は燃焼手段18の下流に備えるバキューム式の収集手段19の吸引管を介して確実且つ容易に収集することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体食品を充填する紙容器の紙粉除去に関し、詳しくは帯状の包材を用いて液体食品を連続充填して紙容器を製造する紙容器充填装置に設ける紙粉除去方法とその紙粉除去方法を用いた紙粉除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジュース、牛乳等の液体食品などを充填する紙容器充填装置の紙粉除去装置に関する従来技術として特許文献1の内容が知られている。特許文献1によれば、充填機において帯状の包材を用いて、長手方向に縦シール部を形成して成るチューブ状包材に内容液を充填し所定間隔毎に横シール部で密封且つ切断して紙容器が形成される。ところが、包材が帯電すると静電気力によって紙粉の付着力が大きくなるので紙粉を除去するのが困難であるという問題があった。
【0003】
そこで、図7に示すように、紙粉除去装置21は包材22の表側及び裏側を除電する除電装置23、24と、除電した紙粉を除去する集塵装置25とで構成され、集塵装置25には集塵ノズル26を備える。除電装置23、24は直流型のイオナイザの場合、図示しない正電極針及び負電極針から成る放電針と、各放電針に高電圧を印加するための高圧電源を備え、高電圧が印加されて放電針から放出されたイオンが包材22に照射される。これによって包材22の除電が行われるので静電気力が小さくなり紙粉の付着力が減少するので集塵効果が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−256674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、包材22の端部22aに付着した紙粉を除電によって確実に除去するのは難しく、クリーンチャンバーや成型用ガイドローラーが紙粉汚染して稀であるが紙容器内部に紙粉が混入する可能性があった。このため、目視やサンプリング等による紙粉混入検査を実施すると費用が嵩むので紙容器の製造コストが高くなるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、従来の紙容器充填装置に設ける紙粉除去装置の問題点を解決して、紙容器への紙粉混入を確実に防止し、紙容器の製造コストを低減することができる紙粉除去方法と紙粉除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、熱可塑性樹脂を両面に備える帯状紙基材を縦シール部で筒状にして内容液を充填し、横シール部でシール且つ切断して枕状の原型容器を連続形成し、この原型容器の一対のフラップ部を折込み熱圧着で頂面と底面を形成して成る紙容器成形用の紙基材の紙粉除去方法である。そして、この紙粉除去方法は前記帯状紙基材の両端部に付着する紙粉を燃焼する燃焼手段と燃焼した残渣物を収集する収集手段とから成ることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の紙粉除去方法であって、前記燃焼手段は火炎式で前記収集手段はバキューム式であることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の紙粉除去方法で形成される紙粉除去装置であって、前記紙粉除去装置は親ロールを裁断して複数の前記帯状紙基材を形成する裁断工程で前記帯状紙基材の両端部に備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、熱可塑性樹脂を両面に備える帯状紙基材を縦シール部で筒状にして内容液を充填し、横シール部でシール且つ切断して枕状の原型容器を連続形成し、この原型容器の一対のフラップ部を折込み熱圧着で頂面と底面を形成して成る紙容器成形用の紙基材の紙粉除去方法である。そして、この紙粉除去方法は前記帯状紙基材の両端部に付着する紙粉を燃焼する燃焼手段と燃焼した残渣物を収集する収集手段とから成る。このため、燃焼手段によって前記帯状紙基材の両端部を燃焼することで両端部に付着する紙粉を容易に燃焼し、収集手段によって燃焼した残渣物を確実に収集することができるので、紙容器内に紙粉が混入するのを確実に防止することができる。
【0011】
目視やサンプリング等による紙粉混入検査を実施する必要がないので作業が簡素化するので、紙容器の歩留りが向上すると同時に紙容器の製造コストを低減できる。
【0012】
請求項2の発明によれば、前記燃焼手段は火炎式であるので、前記帯状紙基材の両端部の紙粉を非接触で燃焼する簡単な構造なので両端部を損傷することが無く製作コストも安価である。そして、燃焼した紙粉が前記紙粉収集手段のバキューム力により非接触で確実に収集できる。このため、請求項1の効果と同様の効果をさらに確実に得ることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、前記紙粉除去装置は親ロールを裁断して複数の前記帯状紙基材を形成する裁断工程で前記帯状紙基材の両端部に備え、この裁断工程で紙粉発生と同時に紙粉を非接触で除去できるので紙粉の除去効果に優れ紙粉を確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態における、紙容器成形装置1においてロール状に巻かれた帯状の包材5が繰出機から繰出され、下降しながら両端部6を寄せ重ねて熱圧着により縦シール7をして筒状に形成され、充填パイプ9を介して内容液9aが充填される状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における、内容液が充填された外形直方体形状の紙容器12の状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態における、帯状の包材5で一個の紙容器を形成する領域Pに、縦方向、横方向、斜め方向に折り目5a、5b、5cが各々複数形成された状態を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態における、幅広の親包材16を回転刃17で裁断して複数の帯状の包材5を形成する裁断装置15に紙粉除去装置20を設けた状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態における、帯状の包材5の端部6に紙粉を燃焼する燃焼手段18を設けた状態を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態における、帯状の包材5の端部に燃焼した紙粉を収集する収集手段19を設けた状態を示す断面図である。
【図7】従来例における、包材22の表側及び裏側を除電する除電装置23、24と、除電した紙粉を除去する集塵装置25と、で構成された紙粉除去装置21の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
<紙粉除去装置の構成>
【0016】
図1、図2、図3に示すように、紙容器成形装置1において、紙基材2に熱可塑性材料層3とバリヤー層4を備える帯状の包材5が図示しない繰出機から連続的に繰出される。帯状の包材5は図示しない複数のガイドローラーに案内され、上方から下方に下降しながら両端部6を矢印Aに示すように寄せ重ねて熱圧着により縦シール7をして筒状に形成される。そして、この筒状部8に充填パイプ9を介して内容液9aが連続的に充填される。なお、この紙容器成形装置1は図示しないクリーンチャンバー内に設置されている。
【0017】
筒状部8は紙容器一個分に相当する位置において遂次横シール10で密封し且つ切断すると連続的に枕状の原型容器11が形成される。そして、原型容器11の一対のフラップ部11aと一対のフラップ部11bを折込み熱圧着で頂面12aと底面12bを形成し、他の四組の側面12cと共に外形直方体形状の紙容器12が形成される。なお、筒状部8の縦シール7における内側端部は図示しないストリップテープで覆われるので内容液9aに触れることはない。
【0018】
帯状の包材5における一個分の紙容器12を形成する領域Pには縦方向、横方向、斜め方向に折り目5a、5b、5cが各々複数形成されているので、この折り目を折込むことで矩形の頂面12aと底面12bと四組の側面12cから成る直方体形状の紙容器12が容易に形成される。
【0019】
図4に示すように、帯状の包材5は幅広の親包材16を裁断して形成される。裁断装置15の図示しない繰出機に取付けたロール状の親包材16を繰出しながら4組の回転刃17で裁断して所定幅Qの帯状の包材5を三組リール状に形成する。親包材16の両端部16aは不要なので切り離し除去される。そして、各帯状の包材5の両端部に、裁断時に発生した紙粉を燃焼する燃焼手段18と、その下流側に紙粉を収集する収集手段19とから成る紙粉除去装置20が設けられる。なお、図において紙粉除去装置20は一組だけ示し、その他は図示されない。
【0020】
図5、図6に示すように、帯状の包材5の詳細構成は、紙基材2に熱可塑性材料層3(3a、3b、3c、3d)とバリヤー層4を備えて形成され、外側から内側に向かって外側層3a、紙基材2、接着層3b、バリヤー層4、二層の内側層3c、3dから成り、紙基材2の外側面にデザイン等2aが予め印刷される。外側層3a、内側層3dは低密度ポリエチレン樹脂、内側層3cはポリエチレン或いはエチレン共重合体等の樹脂、バリヤー層4はアルミ箔等で形成される。
【0021】
このため、親包材16から所定幅Qに裁断して形成された帯状の包材5に発生する粉紙には、熱可塑性材料層3であるポリエチレン等の樹脂粉、バリヤー層4のアルミニウム等の箔粉が含まれる。
【0022】
ガス管18aを介して送られた燃焼手段18のバーナーの炎18bは帯状の包材5の端部6である端面Tとその近傍の両面Sを覆って燃焼するので、回転刃17で切断した際に発生し付着している紙粉を容易且つ確実に燃焼することができる。なお、紙基材5の繰出される速度とバーナーの炎18bの燃焼量との関係は、紙基材5に付着する紙粉は焦げるが紙基材5には影響を与えない状態に設定される。そして、燃焼した紙粉は収集手段19の吸引流19bに運ばれて吸引管19aで確実に排出される。
<紙粉除去装置の作用>
【0023】
燃焼手段18のバーナーの炎18bで紙基材5の端部6である端面T及びその近傍の両面Sを直接炙るので、熱によって活性化した紙粉は確実に燃焼すると同時に燃焼後の焦げた残渣物は炎18bの風圧によって容易に離反して吹飛ばされ、燃焼手段18の下流直後に備えるバキューム式の収集手段19の吸引管19aを介して確実且つ容易に排出することができる。燃焼手段18と収集手段19は紙基材5に直接接触しないので端部6に物理的な影響を与えることなく焦げた紙粉を効率良く除去できる。
【0024】
紙容器12は紙粉の影響による接着不良が発生しないので容器としての成形性が向上する。紙粉が紙容器12に混入する恐れがなくなる。紙粉の清掃不足等による人為的トラブルも減少するので、充填装置の稼働率が向上して歩留りが良くなり紙容器のコストを低減することができる。作業員による紙粉の付着状態や混入状況等の監視を目視や抜取検査等によって行う必要がなくなるので作業が簡素化できる。
【0025】
さらに、焦げた残渣物は色が黒色系に変化するので容易に識別できるため除去等の処理作業が容易に判断できるので、成型ローラーへの紙粉付着、クリーンルーム内の紙粉汚染を回避して紙容器内への紙粉の混入を確実に防止できる。
【0026】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。たとえば、収集手段19の設置位置は燃焼手段18から離れて帯状の紙基材5を巻き取る直前に設けても構わない。バキューム式の収集手段19に空気圧で紙粉を吹き飛ばすノズルを補うと収集効果が更に上がる。紙粉除去装置20は紙容器成形装置1に設置することもできる。燃焼手段18の燃焼効果で紙基材5の両端部6に付着する紙粉の残渣物が低減できるので状況により収集手段19を省略することもできる。さらに、燃焼手段18と収集手段19は、4側面と底面を形成して内容液を充填した後に頂面を形成する屋根型紙容器の紙基材に対しても適用できる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明は、ジュース、牛乳などの飲料を包装容器で包装充填する製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
5 帯状の包材
6 端部
17 回転刃
18 燃焼手段
18a ガス管
18b 炎
19 収集手段
19a 吸引管
20 紙粉除去装置
T 端面
S 両面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を両面に備える帯状紙基材を縦シール部で筒状にして内容液を充填し、横シール部でシール且つ切断して枕状の原型容器を連続形成し、この原型容器の一対のフラップ部を折込み熱圧着で頂面と底面を形成して成る紙容器の紙粉除去方法であって、
前記紙粉除去方法は前記帯状紙基材の両端部に付着する紙粉を燃焼する燃焼手段と燃焼した残渣物を収集する収集手段とから成ることを特徴とする紙粉除去方法。
【請求項2】
請求項1に記載の紙粉除去方法であって、前記燃焼手段は火炎式で前記収集手段はバキューム式であることを特徴とする紙粉除去方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の紙粉除去方法で形成される紙粉除去装置であって、前記紙粉除去装置は親ロールを裁断して複数の前記帯状紙基材を形成する裁断工程で前記帯状紙基材の両端部に備えることを特徴とする紙粉除去装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−232762(P2012−232762A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101390(P2011−101390)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】