説明

紙葉類処理システム

【課題】機器本体と情報処理機器とからなる紙葉類処理システムにおいて、機器本体の障害発生時に、機器本体の復旧を待つことなしに業務が続行でき、業務の停止を回避できる。
【解決手段】IDカード27のIDにより特定された責任者によって、機器本体の代行を行い、セキュリティ確保とデータの整合性を保つ情報処理機器への入力が可能なものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給される紙葉類を鑑査して、その鑑査結果に基づき上記紙葉類を区分する機器本体とこの機器本体からの少なくとも上記区分した紙葉類の枚数を含む処理結果の処理データをデータベースに登録することにより管理する情報処理機器から構成される紙葉類処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類処理システムは、紙葉類を処理する機器本体とこの機器本体を管理する情報処理機器から構成される。機器本体で処理する紙葉類の枚数や状態を確認し、情報処理機器でその確認した処理結果のデータ管理を行っている。
【0003】
また、紙葉類に何らかの問題があり、紙葉類処理システムで正常に処理出来ない場合には、本体稼動中に情報処理機器へキーボード入力を行うことで機器本体の代行を行っていた。
【0004】
また、機器本体と情報処理機器は密接に関連し、機器本体に障害が発生しても、あるいは情報処理機器に障害が発生しても、システムとしては続行不可能となり、業務が中断されていた。
【0005】
従来も、情報処理機器へキーボード入力を行うことで機器本体の代行を行っていたが、機器本体が稼動中である必要があること、またシステムによってはセキュリティ面から機器本体に設けられた鍵が条件となることもあり、機器本体と電気的に接続される必要もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、機器本体と情報処理機器とからなる紙葉類処理システムにおいて、機器本体の障害発生時に、機器本体の復旧を待つことなしに業務が続行でき、業務の停止を回避できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、紙葉類を処理する機器本体と、この機器本体を管理する情報処理機器とからなる紙葉類処理システムにおいて、上記情報処理機器に接続され、IDカード内のIDを読取る読取手段と、上記情報処理機器に接続され、障害時に、上記機器本体による処理が済んでいない紙葉類の状態および枚数を入力する入力手段と、上記機器本体に異常が発生した際に、機器本体の電源を遮断し、上記情報処理機器、読取手段、入力手段へ電源を供給する手段と、この手段により電源が供給されている状態で、上記読取手段によりIDカードからIDを読取るように処理する第1の処理手段と、この第1の処理手段により読取ったIDがあらかじめ登録されている障害対応許可のIDと一致するか否かにより障害対応を許可するか不許可とするかを判断する判断手段と、この判断手段により障害対応の許可が判断された際に、処理が済んでいない紙葉類の状態および枚数を上記入力手段により入力する第2の処理手段と、この第2の処理手段により入力された処理が済んでいない紙葉類の状態と枚数に基づいて、入力内容の正当性が判断された際に、その入力内容を上記情報処理機器に追加登録する第3の処理手段とから構成される。
【0008】
この発明は、供給される紙葉類を鑑査して、その鑑査結果に基づき上記紙葉類を区分する機器本体とこの機器本体からの少なくとも上記区分した紙葉類の枚数を含む処理結果の処理データをデータベースに登録することにより管理する情報処理機器から構成される紙葉類処理システムにおいて、上記情報処理機器に接続され、IDカード内のIDを読取る読取手段と、上記情報処理機器に接続され、障害時に、処理が済んでいない紙葉類の状態および枚数を入力する入力手段と、上記機器本体に異常が発生した際に、機器本体の電源を遮断することにより、紙葉類に対する処理を中断し、上記情報処理機器、読取手段、入力手段へ電源を供給する手段と、この手段により電源が供給されている状態で、上記読取手段によりIDカードからIDを読取るように処理する第1の処理手段と、この第1の処理手段により読取ったIDがあらかじめ登録されている障害対応許可のIDと一致するか否かにより障害対応を許可するか不許可とするかを判断する判断手段と、この判断手段により障害対応の許可が判断された際に、処理が済んでいない紙葉類の状態および枚数を上記入力手段により入力する第2の処理手段と、この第2の処理手段により入力された処理が済んでいない紙葉類の状態と枚数、プリセット情報、障害直前の計数内容により、入力内容の正当性が判断された際に、その入力内容を上記データベースに追加登録する第3の処理手段とから構成される。
【発明の効果】
【0009】
以上詳述したように、この発明によれば、機器本体と情報処理機器とからなる紙葉類処理システムにおいて、機器本体の障害発生時に、機器本体の復旧を待つことなしに業務が続行でき、業務の停止を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、この発明の実施の形態に係る紙葉類処理システムの概略構成を示すものである。
【0011】
この紙葉類処理システム1は、供給される紙葉類(紙幣)を鑑査して、その鑑査結果に基づき上記紙葉類を区分する機器本体2、機器本体2から送られる処理データを管理する情報処理機器3から構成される。
【0012】
機器本体2はたとえば紙幣処理装置であり、供給される紙葉類(紙幣)を鑑査して、その鑑査結果に基づき上記紙葉類を区分するものであり、特定金種の紙幣についてのみ所定枚数毎に紙帯で施封する機能を有するものである。
【0013】
機器本体2は、紙葉類としての有価証券を1枚ずつ搬送しながら、有価証券の真偽判定を行ない、真券については更に正損判定を行なうことにより、正券と損券とに区分し、正券は所定枚数ごとに施封処理し、損券は再使用できないように裁断処理するとともに、少なくともその裁断処理した有価証券の枚数を含む処理結果の処理データを出力する。
【0014】
機器本体2は、その全体を制御する主制御部11を有している。主制御部11は、副制御部12および判定用制御部13からのデータを集中的に処理し、最終的に情報処理機器3とデータをやり取りすることで、本装置をなり立たせる機能を実現するようになっている。
【0015】
情報処理機器3は、機器本体2の動作モードを指示して動作させ、適宜、機器本体2の動作状況を監視するとともに、機器本体2から出力される処理データの集計をデータベース3aを用いて行なったり、各業務ごとの集計結果を印刷したりするものであり、上記指示の設定用の入力部(キーボード:代行入力手段)21と表示部22と全体制御用の制御部23からなるパーソナルコンピュータにより構成され、磁気ディスク等の大容量記憶装置としてのデータベース3aを有している。情報処理機器3は、USB(ユニバーサルシリアルバス)ケーブル24、25を介して機器本体2とIDカードリーダ26に接続されている。IDカードリーダ26は、たとえば、IDカード27に記憶されているIDを読取り、情報処理機器3へ送信するものである。
【0016】
次に、このような構成において、機器本体2が何らかの障害があり稼動できない場合の処理について、図2に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0017】
すなわち、機器本体2において何らかの障害が発生した際に、機器本体2は障害の内容を情報処理機器3に通知する。この通知を受けた情報処理機器3は、障害により機器本体2が稼動できないと判断した場合、機器本体2への電源供給を遮断する。この際、情報処理機器3(キーボード21)とIDカードリーダ26を起動状態(あるいは電源供給状態)とする。また、情報処理機器3は表示部22により機器本体2が障害により稼動できない旨、及び責任者による業務終了処理が案内され、責任者のIDカード27のリーダへの挿入が案内されている。この案内により、責任者はIDカードリーダ6にIDカード27を挿入する。すると、IDカードリーダ6によりIDカード27からIDを読取り情報処理機器3へ送信する。これにより、情報処理機器3はIDカード27からのIDとあらかじめメモリに記憶されている責任者のIDと一致するものがある際に、業務終了処理の許可を判断する。
【0018】
すなわち、セキュリティ面から操作を許されたオペレータのみが所有するIDカード27をIDカードリーダ6で読取り(ST1)、事前に登録されたIDであった場合には情報処理機器3の障害時操作を可能とする(ST2)。
【0019】
次に、情報処理機器3は表示部22により処理が済んでいない紙葉類の状態と枚数の入力を案内する。この案内に応じて、オペレータは機器本体2の処理が済んでいない紙葉類の状態および枚数を確認し、キーボード21により入力する(ST3)。この入力内容は情報処理機器3に通知される。
【0020】
これにより、情報処理機器3は、障害発生時が機器本体処理中でなかった場合、事前に登録されたプリセット情報、キーボード21の入力内容を突合せ、整合性を確認し、障害発生時が機器本体処理中であった場合、事前に登録されたプリセット情報、キーボード21の入力内容、障害直前の計数を突合せ、整合性を確認する(ST4)。
【0021】
ついで、情報処理機器3は整合性に問題が無い場合、キーボード21の入力内容をデータとしてデータベース3aに保存し、処理を完了する。
【0022】
このように、機器本体の代行を行い、セキュリティ確保とデータの整合性を保つ情報処理機器への入力が可能なものである。すなわち、機器本体に障害が発生しても、機器本体の復旧を待たずに業務続行可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態を説明するための紙葉類処理システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】機器本体が何らかの障害があり稼動できない場合の処理を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0024】
2…機器本体 3a…データベース 3…情報処理機器 21…キーボード 26…IDカードリーダ 27…IDカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を処理する機器本体と、この機器本体を管理する情報処理機器とからなる紙葉類処理システムにおいて、
上記情報処理機器に接続され、IDカード内のIDを読取る読取手段と、
上記情報処理機器に接続され、障害時に、上記機器本体による処理が済んでいない紙葉類の状態および枚数を入力する入力手段と、
上記機器本体に異常が発生した際に、機器本体の電源を遮断し、上記情報処理機器、読取手段、入力手段へ電源を供給する手段と、
この手段により電源が供給されている状態で、上記読取手段によりIDカードからIDを読取るように処理する第1の処理手段と、
この第1の処理手段により、読取ったIDがあらかじめ登録されている障害対応許可のIDと一致するか否かにより障害対応を許可するか不許可とするかを判断する判断手段と、
この判断手段により障害対応の許可が判断された際に、処理が済んでいない紙葉類の状態および枚数を上記入力手段により入力する第2の処理手段と、
この第2の処理手段により入力された処理が済んでいない紙葉類の状態と枚数に基づいて、入力内容の正当性が判断された際に、その入力内容を上記情報処理機器に追加登録する第3の処理手段と、
を具備したことを特徴とする紙葉類処理システム。
【請求項2】
供給される紙葉類を鑑査して、その鑑査結果に基づき上記紙葉類を区分する機器本体とこの機器本体からの少なくとも上記区分した紙葉類の枚数を含む処理結果の処理データをデータベースに登録することにより管理する情報処理機器から構成される紙葉類処理システムにおいて、
上記情報処理機器に接続され、IDカード内のIDを読取る読取手段と、
上記情報処理機器に接続され、障害時に、上記機器本体による処理が済んでいない紙葉類の状態および枚数を入力する入力手段と、
上記機器本体に異常が発生した際に、機器本体の電源を遮断することにより、紙葉類に対する処理を中断し、上記情報処理機器、読取手段、入力手段へ電源を供給する手段と、
この手段により電源が供給されている状態で、上記読取手段によりIDカードからIDを読取るように処理する第1の処理手段と、
この第1の処理手段により読取ったIDがあらかじめ登録されている障害対応許可のIDと一致するか否かにより障害対応を許可するか不許可とするかを判断する判断手段と、
この判断手段により障害対応の許可が判断された際に、処理が済んでいない紙葉類の状態および枚数を上記入力手段により入力する第2の処理手段と、
この第2の処理手段により入力された処理が済んでいない紙葉類の状態と枚数、プリセット情報、障害直前の計数内容により、入力内容の正当性が判断された際に、その入力内容を上記データベースに追加登録する第3の処理手段と、
を具備したことを特徴とする紙葉類処理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−99434(P2006−99434A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284823(P2004−284823)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】