説明

紙葉類処理装置及びプログラム

【課題】 投入部から装置内部へ取り込む際の取込み不良を軽減できる紙幣処理装置を提供する。
【解決手段】 投入部に1又は複数の紙幣が上下方向に積載されてセットされ、最下位位置の紙幣から装置内部に取り込む紙幣処理装置に関する。投入部には、積載紙幣を上方から押下し得る紙幣押さえ部が設けられている。そして、投入部による装置内部への紙幣の取込みが開始された以降において、所定事象の発生に応じて、紙幣押さえ部による押下状態を制御する押下状態制御手段を有することを特徴とする。例えば、装置内部に取り込めない異常の発生時には、紙幣押さえ部による押下力を印加し、若しくは押下力を高める。また例えば、重送の発生時には、紙幣押さえ部による押下力を解除し、若しくは軽減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙葉類処理装置及びプログラムに関し、例えば、紙幣を金種別などに分類して計数し、計数した分類紙幣をそれぞれ一時集積部に集積し、一定枚数毎に結束して整理する紙幣結束整理装置に適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
金融機関の本支店や大型小売店等の1日に多くの紙幣を取り扱う店舗においては、精査時等に回収した紙幣を一定枚数毎に束ねて整理する紙幣結束整理装置が導入されている。従来の紙幣結束整理装置は、多数枚の紙幣を投入部にセットし、1枚ずつ鑑別部に搬送して金種や、正券又は損券等の鑑別を行い、予めオペレータが指定した金種や正券又は損券などの指定に基づいて、複数の一時集積部に分別して集積し、集積枚数が一定になるとそれを紙テープ等の結束材により束ねて排出するものとなっている(特許文献1参照)。
【0003】
紙幣結束整理装置に1回に投入される紙幣は多いこともあり、整理する紙幣がセットされる投入部は、多くの紙幣をセット可能である。投入部は、セット枚数が多いこともあるので、紙幣を投入部のステージ上に積載してセットし、最下位側から1枚ずつ紙幣を装置内部に取り込む形式を採用している。この取込み時には、セット時に退避していた紙幣押さえ部が、積載されている最上位の紙幣の上方から、その自重により紙幣を押すようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−113152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
海外向け紙幣結束整理装置は、その国の紙幣を取り扱う。多くの国の紙幣は日本券より腰が弱い。そのような腰が弱い積載紙幣を、紙幣押さえ部によって押下することにより、繰出しローラが内部に繰出せないなど、取り込み不良が多く発生していた。
【0006】
一方、仮に、紙幣押さえ部による押下をしなければ、大きくカールしていたり折り曲げ癖が残っていたりする紙幣の矯正が不十分になって、この場合にも取込み不良が発生する。
【0007】
そのため、投入部から装置内部へ取り込む際の取込み不良を軽減することができる紙葉類処理装置や紙葉類処理プログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、第1の本発明は、投入部に1又は複数の紙葉類が上下方向に積載されてセットされ、最下位位置の紙葉類から装置内部に取り込む紙葉類処理装置において、上記投入部の積載紙葉類を上方から押下し得る、上記投入部に設けられた紙葉類押さえ部と、上記投入部による装置内部への紙葉類の取込みが開始された以降において、所定事象の発生に応じて、上記紙葉類押さえ部による押下状態を制御する押下状態制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、第2の本発明の紙葉類処理プログラムは、投入部に1又は複数の紙葉類が上下方向に積載されてセットされ、最下位位置の紙葉類から装置内部に取り込む紙葉類処理装置であって、上記投入部の積載紙葉類を上方から押下し得る紙葉類押さえ部が上記投入部に設けられた紙葉類処理装置に搭載されるコンピュータを、上記投入部による装置内部への紙葉類の取込みが開始された以降において、所定事象の発生に応じて、上記紙葉類押さえ部による押下状態を制御する押下状態制御手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置内部への紙葉類の取込みが開始された以降においても、適宜、紙葉類押さえ部による押下状態を制御するので、投入部から装置内部へ取り込む際の取込み不良を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の紙幣結束整理装置の内部構造を示す概略側面図(一方の側板を取り外して見た概略側面図)である。
【図2】図1における上部構造を拡大して示す拡大側面図である。
【図3】第1の実施形態に係る紙幣結束整理装置の外観を示す斜視図である。
【図4】第1の実施形態の紙幣結束整理装置における紙幣押さえ部を上下動させる機構を示す側面図である。
【図5】第1の実施形態に係る紙幣結束整理装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施形態の紙幣結束整理装置における紙幣押さえ部の投入動作開始時の位置を制御する動作を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態の紙幣結束整理装置において投入部から取込めない異常が生じた際に紙幣押さえ部の位置を制御する動作を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施形態の紙幣結束整理装置において重送が生じた際に紙幣押さえ部の位置を制御する動作を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施形態の紙幣結束整理装置において投入部から全ての紙幣を繰り出した際に紙幣押さえ部の位置を制御する動作を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態の紙幣結束整理装置における上部構造を拡大して示す拡大側面図である。
【図11】第2の実施形態の紙幣結束整理装置において投入部に紙幣がセットされた際に実行される動作を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態の紙幣結束整理装置において高い方の積載量センサが検知していた状態から検知しない状態に変化した際に実行される動作を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施形態の紙幣結束整理装置において低い方の積載量センサが検知していた状態から検知しない状態に変化した際に実行される動作を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施形態の紙幣結束整理装置において重送が生じた際に紙幣押さえ部の位置を制御する動作を示すフローチャートである。
【図15】第3の実施形態の紙幣結束整理装置において押さえ下降ボタンが操作されたときの動作を示すフローチャートである。
【図16】第3の実施形態の紙幣結束整理装置において押さえ上昇ボタンが操作されたときの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による紙葉類処理装置及びプログラムを、紙幣結束整理装置に適用した第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に係る紙幣結束整理装置の内部構造を示す概略側面図(一方の側板を取り外して見た側面図)である。図2は、図1における上部構造を拡大して示す拡大側面図である。図3は、第1の実施形態に係る紙幣結束整理装置の外観を示す斜視図である。図1〜図3だけでなく後述する各図を含め、同一、対応部分には、同一、対応符号を付して示している。
【0014】
第1の実施形態に係る紙幣結束整理装置100の正面上部には、紙幣の投入部1が設けられている。投入部1は、セット紙幣が載置される固定ステージ60と、セット紙幣を上方から押下し得る紙幣押さえ部61とを有する。
【0015】
図4は、紙幣押さえ部61を上下動させる機構を示す側面図である。紙幣押さえ部61は、外部から見える部分だけでなく、投入部1の背面板1aに上下方向に設けられた1又は複数の案内孔を通過して装置内部側に延びている延長部61aを有する。駆動源であるモータ70の回転軸70aには、アーム71が取り付けられており、アーム71の先端71a(若しくはアームの先端に直角に取り付けられた棒状の部材であっても良い)が、紙幣押さえ部61の延長部61aの下面に接触し得るようになされている。アーム71の先端71aには、上下方向の移動時に摩擦を弱めるように遊挿ローラが設けられていても良い。図4は、紙幣押さえ部61が上下方向のとり得る最上位位置(待機位置)P1と最下位位置P2とを示している。図4の例では、モータ70が、アーム71の図4の時計回りに回転させることにより、紙幣押さえ部61を上動させることができる。モータ70は、外部から内蔵する回転防止用ブレーキを制御できるものであり、紙幣押さえ部61がある位置(例えば、最上位位置P1)に位置しているときに、モータ70の回転防止用ブレーキを解放することにより、紙幣押さえ部61は自重により下降する。なお、下降も、モータ70に対する回転量制御で実現するようにしても良い。
【0016】
なお、紙幣押さえ部61を上下動させる機構は、図4に示すものに限定されず、既存の上下動機構を適用することができる。
【0017】
鑑別部2は、装置内に設けられており、投入部1から投入された紙幣の真偽(真券、偽券)、金種、正損(正券、損券)、表裏等の鑑別や計数を行うと共に、搬送異常の検出を行うものである。鑑別された紙幣を搬送する搬送路3の詳細については、後述する。表裏反転部4は、鑑別部2の後段に位置するように設けられており、後述する制御部50の制御下で、紙幣の表裏反転を行うものである。
【0018】
オープンポケット5は、装置の上面に設けられており、後述する制御部50の制御下で、集積、結束対象外の金種の紙幣がこのオープンポケット5へ排出される。リジェクトポケット8は、鑑別部2でリジェクト紙幣と鑑別された紙幣が排出されるものである。
【0019】
操作部7は、投入部1の一側(図示のものは右側)に設けられている。この操作部7には、紙幣の計数を指示する計数開始ボタン、装置の障害復旧時に装置を再稼働させるためのリセットボタン、計数及び結束処理の完了を指示する完了ボタンなどが設けられている。
【0020】
操作表示部13は、装置上面においてオープンポケット5の後方に位置するように設けられている。操作表示部13は、液晶ディスプレイとその表面に配置されたタッチパネルによって構成されている。オペレータは、この操作表示部13を操作して、モードの指定や、後述する一時集積部6a〜6dに集積する紙幣の金種、集積順序等を設定できるようになされている。また、この操作表示部13には、後述する制御部50の制御下で、鑑別部2で鑑別された紙幣の金種、正損、計数結果等が表示される。
【0021】
集積機構6には、上下方向に1列に4つの一時集積部6a〜6dが並べられて装置内に設けられている。各一時集積部6a〜6dにはそれぞれ、後述する制御部50の制御下で、予め定められた枚数(例えば100枚)を上限とした指定種類の紙幣が集積できるようになっている。なお、一時集積部の数は4つに限定されるものではない。
【0022】
移送機構9は、一時集積部6a〜6dの集積紙幣を紙幣結束機構10に移送するものであり、紙幣結束機構10は、移送されてきた集積紙幣を紙テープ等の結束材により束ねるものであり、両者とも装置内に設けられている。放出口11は、紙幣結束機構10の結束により形成された紙幣束を放出させる開口である。放出口11の上部の装置正面に設けられた扉12は、開けることで、オペレータが集積機構6にアクセスできるものとなっている。
【0023】
次に、搬送路3について詳述する。搬送路3は、ローラや搬送ベルトや通過を検知するセンサ、駆動モータ等からなっているが、以下では、紙幣の経路という面から搬送路3を説明する。搬送路3は、図2に示すように、大きくは5つの部分(以下、部分に対しても搬送路と呼ぶこととする)3a〜3eに分かれている。
【0024】
搬送路3aは、投入部1から鑑別部2を経て分岐点Aに至る部分である。搬送路3bは、分岐点Aからリジェクトポケット8に至る部分である。搬送路3cは、分岐点Aから分岐点Bに至る部分であり、その途中に表裏反転部4が設けられており、搬送路3cは、表裏反転部4を通過しないように紙幣を搬送することもできる。表裏反転部4は溝状のものであり、搬送されてきた紙片は、表裏反転部4に一端から挿入され、他端から引き出されることを通じて表裏が反転される。搬送路3dは、分岐点Bから、最下段の一時集積部6dに至る部分である。搬送路3eは、分岐点Bからオープンポケット5に至る部分である。
【0025】
図5は、第1の実施形態に係る紙幣結束整理装置100の制御系の構成を示すブロック図である。
【0026】
図5において、制御部50は、例えば、主にマイクロコンピュータなどで構成されており、当該紙幣結束整理装置100全体の動作制御を行うものである。メモリ部51は、例えば、プログラムメモリやワーキングメモリや設定データメモリを有する。制御部50は、プログラムメモリに格納されているプログラムや設定データメモリに設定されているデータに従い、ワーキングメモリを、情報を一時的に記憶するメモリとして用いながら、各部を制御する。また、メモリ部51は、投入紙幣から得た分類集計結果も記憶するものである。
【0027】
制御部50には、I/Oインタフェース回路52を介して、投入部1の構成要素(モータ、ソレノイドなどの駆動要素や、センサ要素など;図5では「構成要素」の用語を省略している;以下の説明においても「構成要素」の用語を省略する)、鑑別部2、搬送路3、表裏反転部4、集積機構6、操作部7、移送機構9、紙幣結束機構10、操作表示部13、カウンタ52a〜52dなどが接続されている。
【0028】
カウンタ52a〜52dはそれぞれ、一時集積部6a〜6dに1対1で対応しており、例えば、対応する一時集積部6a〜6dの所定位置に設けられているセンサが進入紙幣を検知する毎にカウントアップするものである。
【0029】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、上述した構成を有する第1の実施形態に係る紙幣結束整理装置100の動作について説明する。第1の実施形態に係る紙幣結束整理装置100は、投入部1の紙幣押さえ部61に対する制御に特徴を有するので、投入部1にセットされた紙幣を装置内部に取込む際の動作を中心に説明する。
【0030】
紙幣結束整理装置100の電源が投入されると、制御部50は、操作表示部13に初期画面を表示させ、オペレータは、この初期画面に表示されているモード選択肢を指で押下して動作モードを選択する。動作モードは、投入された紙幣を計数し、その情報をメモリ部51に記憶させるか否かでも分けられ、また、どのように紙幣を分類して結束するかという観点からも分けられる。
【0031】
いずれの動作モードが選択された場合であっても、動作モードが選択されると、制御部50は、図6に示すフローチャートを開始し、操作部7の計数開始ボタンで処理を開始する旨を操作表示部13に表示させて、計数開始ボタンが操作させる(ステップS1)。計数開始ボタンが操作されると、制御部50は、投入部1の紙幣押さえ部61に対する制御方法を選択させる画面を操作表示部13に表示させ(ステップS2)、オペレータが選択した制御方法を取込んで判別する(ステップS3)。この第1の実施形態の場合、選択し得る制御方法は2種類であり、第1は、投入開始時に投入部1の紙幣押さえ部61を待機位置(最上位位置)に位置させておく方法であり、第2は、投入開始時に投入部1の紙幣押さえ部61を最上位位置の紙幣に当接させて自重で押下させる方法である。
【0032】
これらの制御方法の選択について、以下のような変形例を挙げることができる。事前に保守モードで、選択した動作モードを装置内のメモリに記憶し、電源投入時に、記憶されている動作モードをメモリから読み出し、その動作モードの動作を開始し、計数開始ボタンの操作待ちとするようにしても良い。
【0033】
第1の制御方法が選択された場合には、制御部50は、第1の制御方法が選択されたことをメモリ部51に記憶させた後(ステップS4)、直ちにメインルーチンに戻る。なお、電源投入時には、紙幣押さえ部61は待機位置に位置しており、第1の制御方法が選択されたときには、何らの位置変更動作も実行させずに待機位置を維持させる。
【0034】
これに対して、第2の制御方法が、選択された場合には、制御部50は、第2の制御方法が選択されたことをメモリ部51に記憶させた後(ステップS5)、紙幣押さえ部61を最上位位置の紙幣に当接させて自重で押下させる状態にさせ(ステップS6)、その後、メインルーチンに戻る。
【0035】
このようにしてメインルーチンに戻った際には、制御部50は、投入部1にセットされている紙幣を1枚ずつ取込むこと(繰り出すこと)を実行させる。
【0036】
このような投入部1からの紙幣に取込む中に、投入部1から装置内部に取込めない異常が生じると、制御部50は、メインルーチンから図7に示すサブルーチンに移行する。例えば、投入部1から紙幣を取込むための繰り出しローラの近傍には、繰り出された(取込まれた)紙幣を検出するためのセンサが設けられており、繰り出しローラが繰り出すための回転を行ったにも拘らず、センサが紙幣を検知しなかった場合に、制御部50は、投入部1から装置内部に取込めない異常が生じたと判断する。但し、ステージ上に紙幣が残っていることは確認する。例えば、ステージのいずれかの箇所には小孔が設けられており、紙幣押さえ部61に設けられた発光素子からの光線がこの小孔を通り、ステージ下の受光素子に到達するように発光素子及び受光素子が設けられており、受光素子が発光素子からの光線を受光できることで、ステージ上に紙幣が存在しないことを検知できる。但し、紙幣が存在しないことの検出方法は、これに限定されるものではない。
【0037】
図7に示すサブルーチンを開始すると、制御部50は、まず、メモリ部51を参照して、制御方法が第1の制御方法か第2の制御方法かを判別する(ステップS51)。
【0038】
第2の制御方法が選択されている場合には、制御部50は、異常の連続回数をカウントするパラメータNを1インクリメントした後(ステップS52)、パラメータNが警報回数NTH(2以上の整数)に達したか否かを判別する(ステップS53)。パラメータNが警報回数NTHに達すると、制御部50は、操作表示部13に取込めない異常がNTH回連続したことを表示すると共に(ステップS54)、各部の動作を停止させ(ステップS55)、オペレータに対応を委ねる。これに対して、パラメータNが警報回数NTHに達していないと、制御部50は、メインルーチンに直ちに戻る。第2の制御方法は、紙幣押さえ部61で紙幣を押下している方法であるので、取込めない異常が生じても、NTH回連続するまでは取込み動作を継続させることとした。なお、連続回数に代え、又は、連続回数に加え、所定時間に生じた回数を判別して、処理を切り替えるようにしても良い。
【0039】
一方、第1の制御方法が選択されている場合には、制御部50は、紙幣押さえ部61を最上位位置の紙幣に当接させて自重で押下させる状態にさせた後(ステップS56)、メモリ部51の記憶内容を第2の制御方法が選択されたことに書き換えて(ステップS57)、メインルーチンに戻る。この荷重の増加変化により、取込めない異常が解消することが期待される。
【0040】
投入部1からの紙幣に取込む中に、投入部1から装置内部に複数枚の紙幣が重なって取込まれる重送が生じると、制御部50は、メインルーチンから図8に示すサブルーチンに移行する。例えば、重送は、投入部1から紙幣を取込むための繰り出しローラの近傍に設けられた光電センサが遮断される時間によって検出することができ、また、鑑別部2による画像処理によっても検出することができる。但し、重送の検出方法は、これに限定されるものではない。
【0041】
図8に示すサブルーチンを開始すると、制御部50は、まず、メモリ部51を参照して、制御方法が第1の制御方法か第2の制御方法かを判別する(ステップS101)。
【0042】
第2の制御方法が選択されている場合には、制御部50は、紙幣押さえ部61を待機位置に復帰させた後(ステップS102)、メモリ部51の記憶内容を第1の制御方法が選択されたことに書き換えて(ステップS103)、メインルーチンに戻る。この荷重の解放変化により、重送が生じない状態になることが期待される。なお、紙幣押さえ部61を待機位置に復帰させるのを、重送が所定時間内に所定回数以上生じることという条件の成立時にするようにしても良い。
【0043】
一方、第1の制御方法が選択されている場合には、制御部50は、何ら処理することなく、メインルーチンに直ちに戻る。第1の制御方法は、紙幣押さえ部61による押下を実行していない方法であるので、重送が生じても様子を見ることとしている。
【0044】
投入部1にセットされた紙幣の全てが装置内部に取込まれると(取込完了)、制御部50は、図9に示すサブルーチンを開始し、メモリ部51を参照して、制御方法が第1の制御方法か第2の制御方法かを判別する(ステップS151)。制御部50は、第2の制御方法が選択されている場合には、紙幣押さえ部61を待機位置に復帰させた後(ステップS152)、第1の制御方法が選択されている場合には、直ちに、メインルーチンに戻る。
【0045】
投入部から装置内部に取込まれた紙幣は、従来装置と同様に処理され、予めオペレータが指定した金種や正券又は損券などの指定に基づいて分類されて一時集積部に集積され、集積枚数が一定になると結束されて排出される。
【0046】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、投入部1から装置内部へ投入部1にセットされた紙幣を1枚ずつ繰り出す(取込む)際に、発生した取り込みの異常種類に応じて、紙幣押さえ部61による押下、押下解放を制御するようにしたので、投入部から装置内部へ繰り出す際の取込み不良を大幅に軽減することが期待できる。
【0047】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による紙葉類処理装置及びプログラムを、紙幣結束整理装置に適用した第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0048】
(B−1)第2の実施形態の構成
図10は、第2の実施形態の紙幣結束整理装置100Aにおける上部構造を拡大して示す拡大側面図であり、第1の実施形態に係る図2との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0049】
第2の実施形態に係る紙幣結束整理装置100Aの投入部1Aは、2つの紙幣押さえ部61L及び61Uを備えている。各紙幣押さえ部61L及び61Uは、上述した図4に示すような上下動機構により、基本的には、それぞれが独立に上下動できるようになされている。
【0050】
また、投入部1Aは、2つの積載量センサ62L及び62Uを有する。各積載量センサ62L及び62Uはそれぞれ、固定ステージ60から所定の高さを有するように設けられており、その高さに固定ステージ60に積載されている紙幣が存在するか否かを検知するものである。積載量センサ62Lの方が積載量センサ62Uより低い位置を担当している。積載量センサ62L、62Uとしては、投入部1Aの左右の側壁にそれぞれ設けられた発光素子及び受光素子の組合せを適用できる。但し、これに限定されるものではない。
【0051】
第2の実施形態でも、制御系の構成を、第1の実施形態に係る図5で表すことができるが、メモリ部51に格納されている紙幣押さえ部61L、61Uを制御するプログラムは、第1の実施形態のものとは異なっている。また、メモリ部51には、紙幣押さえ部61L及び61Uのそれぞれについて、押下状態にあるか待機位置に位置しているかや、積載量センサ62L、積載量センサ62Uの検知の有無などの情報が格納されているようになされている。
【0052】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態の紙幣結束整理装置100Aにおいて、投入部1Aにセットされた紙幣を装置内部に取込む際の動作を中心に説明する。
【0053】
制御部50は、いずれの動作モードが選択された場合であっても、投入部1Aに紙幣がセットされた場合には、図11に示すサブルーチンを開始し、各積載量センサ62L、62Uの検知状態を取込んで判別する(ステップS201)。検知状態としては、積載量センサ62L及び62Uが共にその高さに紙幣があることを検知している第1の検知状態と、下側の積載量センサ62Lだけがその高さに紙幣があることを検知している第2の検知状態と、積載量センサ62L及び62Uが共にその高さに紙幣があることを検知できない第3の検知状態とがある。
【0054】
第1の検知状態の場合には、制御部50は、第1の検知状態にあることをメモリ部51に記憶させた後(ステップS202)、操作部7の計数開始ボタンで処理を開始する旨を操作表示部13に表示させ(ステップS203)、メインルーチンに戻る。第1の検知状態は、セット時の紙幣の積載量が多いので、紙幣押さえ部61L及び61Uによる押下を不要とし、紙幣押さえ部61L及び61Uを共に待機位置(最上位位置)に位置させておくこととした。
【0055】
第2の検知状態の場合には、制御部50は、第2の検知状態にあることをメモリ部51に記憶させた後(ステップS204)、下側の紙幣押さえ部61Lを最上位位置の紙幣に当接させて自重で押下させる状態にさせ(ステップS205)、その後、操作部7の計数開始ボタンで処理を開始する旨を操作表示部13に表示させ(ステップS203)、メインルーチンに戻る。第2の検知状態は、セット時の紙幣の積載量が中間的であるので、紙幣押さえ部による軽い押下が必要であるとし、下側の紙幣押さえ部61Lだけで押下することとした。
【0056】
第3の検知状態の場合には、制御部50は、第3の検知状態にあることをメモリ部51に記憶させた後(ステップS206)、2つの紙幣押さえ部61L及び61Uで最上位位置の紙幣から押下させる状態にさせ(ステップS207)、その後、操作部7の計数開始ボタンで処理を開始する旨を操作表示部13に表示させ(ステップS203)、メインルーチンに戻る。第3の検知状態は、セット時の紙幣の積載量が少ないので、2つの紙幣押さえ部61L及び61U共に押下に利用することとした。
【0057】
上記では、当初の積載量を検知した後に、操作部7の計数開始ボタンの操作を表示で促して操作させる場合を示したが、この順序を逆にしても良い。すなわち、操作部7の計数開始ボタンの操作を表示によって促して操作させ、操作されると、当初の積載量を検知して、2つの紙幣押さえ部61L及び61Uを、初期位置に制御するようにしても良い。
【0058】
オペレータは、上述したステップS203の表示に応じて、操作部7の計数開始ボタンを操作し、制御部50は、投入部1にセットされている紙幣を1枚ずつ取込むこと(繰り出すこと)を実行させる。このような紙幣の繰り出しにより、ステージ60上の積載量は徐々に減少していく。そのため、当初状態が第1の検知状態であっても、積載量の減少によって、やがて積載量センサ62Uが紙幣を検知し得ない状態に変化し、さらなる積載量の減少によって、積載量センサ62Lが紙幣を検知し得ない状態に変化する。また、当初状態が第2の検知状態であっても、積載量の減少によって、やがて積載量センサ62Lが紙幣を検知し得ない状態に変化する。
【0059】
制御部50は、高い方の積載量センサ62Uが検知していた状態(第1の検知状態)から検知しない状態(第2の検知状態)に変化した直後に、図12に示すサブルーチンを開始する。そして、制御部50は、下側の紙幣押さえ部61Lだけで積載紙幣を押下するようにし(ステップS251)、下側の紙幣押さえ部61Lだけで積載紙幣を押下していることをメモリ部51に書き込んで(ステップS252)、メインルーチンに戻る。
【0060】
また、制御部50は、低い方の積載量センサ62Lだけが検知していた状態(第2の検知状態)から検知しない状態(第3の検知状態)に変化した直後に、図13に示すサブルーチンを開始し、制御部50は、そのときの押下状態を判別する(ステップS301)。押下状態としては、下側の紙幣押さえ部61Lだけで押下している第1の押下状態(図12に示す処理による)、2つの紙幣押さえ部61L及び61Uが共に押下していない第2の押下状態(後述する図14の処理による)、2つの紙幣押さえ部61L及び61Uが共に押下している第3の押下状態があるが、ステップS301の判別時には、第1若しくは第2の押下状態をとっている。制御部50は、現状が第1の押下状態にあれば、上側の紙幣押さえ部61Uも積載紙幣を押下するようにし(ステップS302)、2つの紙幣押さえ部61L及び61Uで積載紙幣を押下していることをメモリ部51に書き込んで(ステップS303)、メインルーチンに戻る。これに対して、現状が第2の押下状態にあれば、下側の紙幣押さえ部61Lだけで積載紙幣を押下するようにし(ステップS304)、下側の紙幣押さえ部61Lだけで積載紙幣を押下していることをメモリ部51に書き込んで(ステップS305)、メインルーチンに戻る。
【0061】
次に、投入部1Aからの紙幣の取込む中に重送が生じる場合の動作を、図14のフローチャートを参照しながら説明する。重送が生じると、制御部50は、まず、メモリ部51を参照して、現状の押下状態を判別する(ステップS351)。下側の紙幣押さえ部61Lだけで押下している第1の押下状態にあれば、制御部50は、下側の紙幣押さえ部61Lを待機位置に復帰させた後(ステップS352)、メモリ部51の記憶内容を、2つの紙幣押さえ部61L及び61Uが共に押下していないことに書き換えて(ステップS353)、メインルーチンに戻る。2つの紙幣押さえ部61L及び61Uが共に押下している第3の押下状態にあれば、制御部50は、上側の紙幣押さえ部61Uだけを待機位置に復帰させた後(ステップS354)、メモリ部51の記憶内容を、紙幣押さえ部61Lだけで押下していることに書き換えて(ステップS355)、メインルーチンに戻る。2つの紙幣押さえ部61L及び61Uが共に押下していない第2の押下状態にあれば、制御部50は、直ちに、メインルーチンに戻る。
【0062】
以上のように、第2の実施形態においても、重送が生じる状況では、押下力を軽減若しくは解放するようになされている。
【0063】
投入部1Aにセットされた紙幣の全てが装置内部に取込まれると(取込完了)、フローチャートの図示は省略しているが、制御部50は、そのとき押下している紙幣押さえ部があれば全てを待機位置に復帰させた後、押下している紙幣押さえ部がなければ、直ちに、メインルーチンに戻る。
【0064】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、投入部1Aから装置内部へ投入部1Aにセットされた紙幣を1枚ずつ繰り出す(取込む)際に、投入部1Aに残っている紙幣の量(積載量)に応じて、紙幣押さえ部61L、61Uによる押下を制御すると共に、重送の発生により押下力を軽減若しくは解放するようにしたので、投入部1Aから装置内部へ繰り出す際の取込み不良を大幅に軽減することが期待できる。
【0065】
(B−4)第2の実施形態に対する変形実施形態
上記では、独立に上下動できる紙幣押さえ部と積載量センサとがそれぞれ2つの場合を示したが、1つでも、3つ以上でも良い。
【0066】
1つの場合であれば、1つの積載量センサが検知状態から非検知状態に変化したときに、紙幣押さえ部による押下を実行させる。そして、唯一の紙幣押さえ部による押下中に重送か発生すると、紙幣押さえ部を待機位置に復帰させる。
【0067】
3つ以上の場合であれば、ある積載量センサが検知状態から非検知状態に変化したときに、その積載量センサに対応付けられた紙幣押さえ部による押下を開始させることにより、積載量が少なくなるに従って、押下する紙幣押さえ部の数を増やしていく。そして、重送が発生する毎に、押下している中の最も上の紙幣押さえ部を待機位置に復帰させる。
【0068】
(C)第3の実施形態
次に、本発明による紙葉類処理装置及びプログラムを、紙幣結束整理装置に適用した第3の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0069】
第3の実施形態の紙幣結束整理装置の機構的な構成は、図示は省略するが、第2の実施形態に係る図10から積載量センサ62L、62Uを除外したものとなっている。一方、制御系の構成は、第1の実施形態に係る図5で表すことができる。但し、メモリ部51に格納されている紙幣押さえ部61L、61Uを制御するプログラムは、第2の実施形態のものとは異なっており、メモリ部51に適宜格納するワーキングデータも、第2の実施形態のものとは異なっている。
【0070】
紙幣押さえ部61L及び61Uは初期状態では共に待機位置に位置している。
【0071】
制御部50は、投入部1Aに紙幣がセットされた時点から、投入部1Aの紙幣が全て装置内部に取り込まれるまでの間、操作表示部13の表示画面の一部に、「押さえ下降ボタン」と「押さえ上昇ボタン」とを表示させる。なお、表示開始時点は、電源投入時点であっても良く、操作部7の計数開始ボタンが操作された時点であっても良い。
【0072】
「押さえ下降ボタン」が操作されたときには、制御部50は、図15に示すサブルーチンを開始し、そしてまず、その時点の押下状態を判別する(ステップS401)。下側の紙幣押さえ部61Lだけで押下している第1の押下状態にあれば、制御部50は、上側の紙幣押さえ部61Uも積載紙幣を押下するようにし(ステップS402)、2つの紙幣押さえ部61L及び61Uで積載紙幣を押下していることをメモリ部51に書き込んで(ステップS403)、メインルーチンに戻る。また、現状が2つの紙幣押さえ部61L及び61Uが共に押下していない第2の押下状態にあれば、制御部50は、下側の紙幣押さえ部61Lだけで積載紙幣を押下するようにし(ステップS404)、下側の紙幣押さえ部61Lだけで積載紙幣を押下していることをメモリ部51に書き込んで(ステップS405)、メインルーチンに戻る。さらに、現状が2つの紙幣押さえ部61L及び61Uが共に押下している第3の押下状態にあれば、制御部50は、直ちに、メインルーチンに戻る。但し、この際には、ブザーを鳴動させるなどして、「押さえ下降ボタン」の操作を無視したことを伝えるようにしても良い。
【0073】
一方、「押さえ上昇ボタン」が操作されたときには、制御部50は、図16に示すサブルーチンを開始し、そしてまず、その時点の押下状態を判別する(ステップS451)。下側の紙幣押さえ部61Lだけで押下している第1の押下状態にあれば、制御部50は、下側の紙幣押さえ部61Lも待機位置に復帰させ(ステップS452)、2つの紙幣押さえ部61L及び61Uが共に積載紙幣を押下していないことをメモリ部51に書き込んで(ステップS453)、メインルーチンに戻る。また、現状が2つの紙幣押さえ部61L及び61Uが共に押下していない第2の押下状態にあれば、制御部50は、直ちに、メインルーチンに戻る。但し、この際には、ブザーを鳴動させるなどして、「押さえ上昇ボタン」の操作を無視したことを伝えるようにしても良い。さらに、現状が2つの紙幣押さえ部61L及び61Uが共に押下している第3の押下状態にあれば、制御部50は、上側の紙幣押さえ部61Uを待機位置に復帰させ(ステップS454)、下側の紙幣押さえ部61Lだけで積載紙幣を押下していることをメモリ部51に書き込んで(ステップS455)、メインルーチンに戻る。
【0074】
この第3の実施形態において、投入部1Aからの紙幣の取込む中に重送が生じる場合の動作は、第2の実施形態での動作と同様であるので、その説明は省略する。
【0075】
また、投入部1Aにセットされた紙幣の全てが装置内部に取込まれた際(取込完了)の動作も、第2の実施形態での動作と同様であるので、その説明は省略する。
【0076】
第3の実施形態によれば、投入部1Aから装置内部へ投入部1Aにセットされた紙幣を1枚ずつ繰り出す(取込む)際に、オペレータのボタン操作に応じて、紙幣押さえ部61L、61Uによる押下を制御すると共に、重送の発生により押下力を軽減若しくは解放するようにしたので、投入部1Aから装置内部へ繰り出す際の取込み不良を大幅に軽減することが期待できる。
【0077】
第3の実施形態においても、独立に上下動できる紙幣押さえ部の数は2つに限定されず、1つでも、3つ以上でも良い。
【0078】
1つの場合であれば、「押さえ下降ボタン」の操作で押下状態に変換し、「押さえ上昇ボタン」の操作で待機状態に復帰することになる。
【0079】
3つ以上の場合であれば、「押さえ下降ボタン」の1回の操作で押下状態にある紙幣押さえ部の数を1つ増やし(但し、上限数のときに操作されても数を維持するだけとなる)、「押さえ上昇ボタン」の1回の操作で押下状態にある紙幣押さえ部の数を1つ減らすこととなる(但し、0のときに操作されても0を維持するだけとなる)。
【0080】
上記説明では、1個ずつ下降又は上昇させる「押さえ上昇ボタン」及び「押さえ下降ボタン」を示したが、これに加え、2個まとめて下降又は上昇させる「押さえ上昇ボタン」や「押さえ下降ボタン」を設けるようにしても良い。さらに、下降は1個ずつしか認めず、上昇だけ2個まとめた選択を可能とするようにしても良い。
【0081】
(D)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を上げることができる。
【0082】
上記各実施形態においては、重送を検出したときに、押下力を減少若しくは解放するものを示したが、重送の検出時に、押下状態の変更処理を実行しないものであっても良い。
【0083】
第1の実施形態の技術思想と、第2の実施形態の技術思想とを組み合わせるようにしても良い。上記第2の実施形態においては、非押下状態にあった紙幣押さえ部を押下状態に変更させるトリガが、その紙幣押さえ部に対応する積載量センサが検知状態から非検知状態に変化することであったが、繰出しローラが投入部の紙幣を装置内部に繰出すことができない異常が生じる毎に、押下状態の紙幣押さえ部を増やすようにしても良い。この場合には、積載量センサを不要とすることができる。
【0084】
上記第1の〜第3の実施形態の特徴方法を選択できるように、紙幣結束整理装置を構築しても良い。例えば、選択用の第1及び第2のディップスイッチを設け、第1及び第2のディップスイッチが共にON側に位置しているときに、第1の実施形態で説明した紙幣押さえ部の制御を適用し、第1のディップスイッチがON側で第2のディップスイッチがOFF側に位置しているときに、第2の実施形態で説明した紙幣押さえ部の制御を適用し、第1のディップスイッチがOFF側で第2のディップスイッチがON側に位置しているときに、第3の実施形態で説明した紙幣押さえ部の制御を適用し、第1及び第2のディップスイッチが共にOFF側に位置しているときに全ての紙幣押さえ部を常時待機位置に位置させるようにしても良い。
【0085】
上記第2及び第3の実施形態では、押下状態にある紙幣押さえ部の数を変更することで押下力を変更するものを示したが、押下力の変更方法はこれに限定されない。例えば、紙幣押さえ部の基端を下降方向に押下する直動モータを、紙幣押さえ部を待機位置に復帰させるモータの他に設け、直動モータの駆動力によって押下力を変更するようにしても良い。
【0086】
上記各実施形態では紙幣結束整理装置に本発明を適用したものを示したが、本発明の適用装置は、紙幣結束整理装置に限定されない。要は、投入部構成が、紙幣結束整理装置の投入部と同様である紙幣処理装置であれば、本発明の技術思想を適用することができる。
【0087】
また、上記各実施形態では、紙幣を扱う紙幣結束整理装置に本発明を適用したものを示したが、本発明が適用し得る紙葉類は、紙幣に限らず、小切手、商品券などの他の紙葉類であっても良い。
【符号の説明】
【0088】
1、1A…投入部、2…鑑別部、13…操作表示部、50…制御部、51…メモリ部、60…固定ステージ、61、61L、61U…紙幣押さえ部、62L、62U…積載量センサ、100、100A…紙幣結束整理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入部に1又は複数の紙葉類が上下方向に積載されてセットされ、最下位位置の紙葉類から装置内部に取り込む紙葉類処理装置において、
上記投入部の積載紙葉類を上方から押下し得る、上記投入部に設けられた紙葉類押さえ部と、
上記投入部による装置内部への紙葉類の取込みが開始された以降において、所定事象の発生に応じて、上記紙葉類押さえ部による押下状態を制御する押下状態制御手段と
を有することを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
上記押下状態制御手段は、装置内部に取り込もうとして取り込めない異常が生じたときに、上記紙葉類押さえ部による押下力を積載紙葉類に印加し、若しくは、上記紙葉類押さえ部による積載紙葉類への押下力を高めることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
上記押下状態制御手段は、複数枚の紙葉類が重なって装置内部に取り込まれる異常が生じたときに、上記紙葉類押さえ部による積載紙葉類への押下力を解除し、若しくは、上記紙葉類押さえ部による積載紙葉類への押下力を弱めることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
上記押下状態制御手段は、積載紙葉類の積載高さが所定高さを下回ったときに、上記紙葉類押さえ部による押下力を積載紙葉類に印加し、若しくは、上記紙葉類押さえ部による積載紙葉類への押下力を高めることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
上記押下状態制御手段は、オペレータによって押下力アップが指示されたときに、上記紙葉類押さえ部による押下力を積載紙葉類に印加し、若しくは、上記紙葉類押さえ部による積載紙葉類への押下力を高めることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
上記押下状態制御手段は、オペレータによって押下力ダウンが指示されたときに、上記紙葉類押さえ部による積載紙葉類への押下力を解除し、若しくは、上記紙葉類押さえ部による積載紙葉類への押下力を弱めることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項7】
投入部に1又は複数の紙葉類が上下方向に積載されてセットされ、最下位位置の紙葉類から装置内部に取り込む紙葉類処理装置であって、上記投入部の積載紙葉類を上方から押下し得る紙葉類押さえ部が上記投入部に設けられた紙葉類処理装置に搭載されるコンピュータを、
上記投入部による装置内部への紙葉類の取込みが開始された以降において、所定事象の発生に応じて、上記紙葉類押さえ部による押下状態を制御する押下状態制御手段として機能させることを特徴とする紙葉類処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−50813(P2013−50813A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187804(P2011−187804)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】