説明

紙葉類分離搬送装置

【課題】小形および簡素で処理能力が高く、安定した分離搬送ができる紙葉類分離搬送装置を提供する。
【解決手段】複数枚集積された帳票群から帳票12を順に繰出部32で繰り出し、繰出部32で繰り出された帳票12を第1の分離部51で分離する。第1の分離部51は、帳票12を搬送方向に送る第1の搬送機構54と、第1の搬送機構54で搬送方向に送る帳票12に伴って送られる他の帳票12を反搬送方向に戻す第1の逆転機構55を備える。第1の逆転機構55は、第1の搬送機構54に対向する位置から搬送方向上流側に亘り搬送方向に沿ってベルト面59aが配置されるベルト59を有する。繰出部32から複数枚の帳票12が一度に繰り出された場合、それら帳票12をベルト59のベルト面59aとの接触によって捌いて分離させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類を1枚ずつ分離して搬送する紙葉類分離搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚集積された帳票などの紙葉類を1枚ずつ分離して搬送する紙葉類分離搬送装置がある。
【0003】
この紙葉類分離搬送装置では、複数枚集積された紙葉類群から紙葉類を順に繰り出す繰出部、およびこの繰出部から繰り出された紙葉類が2枚以上重なった状態で送られるのを防止するために紙葉類を1枚ずつに分離して搬送する分離部を備えている。分離部は、紙葉類の搬送方向に回転駆動される搬送ローラと、反搬送方向にトルクリミッタを介して逆転駆動される逆転ローラとを有し、逆転ローラが搬送ローラに接触する方向に付勢されている。
【0004】
そして、搬送ローラと逆転ローラとの間に紙葉類が送り込まれていない状態では、両ローラが接触し、両ローラ間の摩擦力がトルクリミッタの伝達力より大きく、逆転ローラが搬送ローラに従動して搬送方向に回転する。
【0005】
搬送ローラと逆転ローラとの間に繰出部から紙葉類が1枚の状態で送り込まれると、各ローラと紙葉類との摩擦力がトルクリミッタの伝達力より大きく、逆転ローラが搬送ローラで搬送方向に送られる紙葉類に従動して搬送方向に回転する。
【0006】
搬送ローラと逆転ローラとの間に繰出部から紙葉類が2枚以上重なった状態で送り込まれると、トルクリミッタの伝達力が、各ローラと各紙葉類との摩擦力より小さいが、重なっている紙葉類間の摩擦力より大きくなるため、逆転ローラが逆転し、搬送ローラで搬送方向に送られる1枚の紙葉類に対して重なっている他の紙葉類が反搬送方向に戻され、搬送ローラと逆転ローラとの間を紙葉類が1枚ずつ通過する。
【0007】
また、紙葉類が帳票の場合、1枚ずつの単票帳票以外に、複数枚綴られた綴り帳票がある。このような複数枚綴られた綴り紙葉類の場合には、綴り紙葉類専用の紙葉類分離搬送装置が用いられている。この紙葉類分離搬送装置では、複数の綴り紙葉類が集積された紙葉類群から吸引装置によって1つの綴り紙葉類を吸引して取り出し、取り出した1つの綴り紙葉類を搬送するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−116782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、搬送ローラと逆転ローラとで構成される分離部を備えた紙葉類分離搬送装置では、繰出部によって繰り出された紙葉類が搬送ローラと逆転ローラとの間に到達した時点で始めて分離作用が働くため、複数枚の紙葉類が一度に搬送ローラと逆転ローラとの間に送り込まれることがあり、その場合には複数枚の紙葉類を確実に分離できないことがあり、安定した分離動作ができない。特に、綴り紙葉類の場合、複数の綴り紙葉類が一度に搬送ローラと逆転ローラとの間に送り込まれた場合、搬送ローラと逆転ローラとの間に複数の綴り紙葉類が同時に噛み込んで詰まることがある。
【0010】
また、綴り紙葉類専用の紙葉類分離搬送装置では、大型化および複雑化し、紙葉類を分離搬送する処理能力が低い問題がある。
【0011】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、小形および簡素で処理能力が高く、安定した分離搬送ができる紙葉類分離搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の紙葉類分離搬送装置は、複数枚集積された紙葉類群から紙葉類を順に繰り出す繰出部と、この繰出部で繰り出された紙葉類を搬送方向に送る第1の搬送機構、およびこの第1の搬送機構によって搬送方向に送る紙葉類に伴って送られる他の紙葉類を反搬送方向に戻す第1の逆転機構を備え、前記第1の逆転機構は、前記第1の搬送機構に対向する位置から搬送方向上流側に亘り搬送方向に沿ってベルト面が配置されるベルトを有し、このベルトが前記搬送方向に対して逆転される第1の分離部とを具備しているものである。
【0013】
請求項2記載の紙葉類分離搬送装置は、請求項1記載の紙葉類分離搬送装置において、前記ベルトのベルト面は、前記繰出部によって紙葉類群から紙葉類が繰り出される繰出領域に対して前記搬送方向の上流側から下流側に斜めに侵入されているものである。
【0014】
請求項3記載の紙葉類分離搬送装置は、請求項1または2記載の紙葉類分離搬送装置において、前記第1の分離部を通過した紙葉類を搬送方向に送る第2の搬送機構、およびこの第2の搬送機構に対向する第2の逆転機構を備え、前記第2の逆転機構は、処理対象とする紙葉類が1枚ずつの単紙葉類の場合には前記第2の搬送機構によって搬送方向に送る単紙葉類に伴って送られる他の単紙葉類を反搬送方向に戻すように回転し、処理対象とする紙葉類が複数枚綴られた綴り紙葉類の場合には前記第2の搬送機構とともに綴り紙葉類を搬送方向に送るように回転する第2の分離部を具備しているものである。
【0015】
請求項4記載の紙葉類分離搬送装置は、請求項3記載の紙葉類分離搬送装置において、処理対象とする紙葉類が単紙葉類か綴り紙葉類かのモードを指定する操作部と、この操作部で指定されたモードに応じて、前記第2の逆転機構の回転方向を制御する制御部とを具備しているものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の紙葉類分離搬送装置によれば、第1の分離部の第1の搬送機構と第1の逆転機構とのうち、第1の逆転機構は、第1の搬送機構に対向する位置から搬送方向上流側に亘り搬送方向に沿ってベルト面が配置されるベルトを有し、このベルトが搬送方向に対して逆転するため、繰出部によって紙葉類群から複数枚の紙葉類が一度に繰り出された場合でも、それら紙葉類が第1の搬送機構とベルトとが対向する位置に到達するまでの間にベルト面との接触によって捌かれてある程度分離され、複数枚の紙葉類が一度に第1の搬送機構とベルトとの間に送り込まれることがなく、分離動作が確実にでき、したがって、小形および簡素で処理能力が高く、安定した分離搬送ができる。
【0017】
請求項2記載の紙葉類分離搬送装置によれば、請求項1記載の紙葉類分離搬送装置の効果に加えて、ベルトのベルト面が、繰出部によって紙葉類群から紙葉類が繰り出される繰出領域に対して搬送方向の上流側から下流側に斜めに侵入されているため、そのベルト面によって複数枚の紙葉類を確実に捌くことができる。
【0018】
請求項3記載の紙葉類分離搬送装置によれば、請求項1または2記載の紙葉類分離搬送装置の効果に加えて、第2の分離部の第2の搬送機構と第2の逆転機構とのうち、第2の逆転機構は、処理対象とする紙葉類が1枚ずつの単紙葉類の場合、第2の搬送機構によって搬送方向に送る単紙葉類に伴って送られる他の単紙葉類を反搬送方向に戻すように回転するため、単紙葉類を1枚ずつに確実に分離でき、また、処理対象とする紙葉類が複数枚綴られた綴り紙葉類の場合には、第2の搬送機構とともに綴り紙葉類を搬送方向に送るように回転するため、綴り紙葉類を剥がして分離するようなことなく搬送することができ、したがって、単紙葉類と綴り紙葉類との両方に対応できる。
【0019】
請求項4記載の紙葉類分離搬送装置によれば、請求項3記載の紙葉類分離搬送装置の効果に加えて、操作部で指定されたモードに応じて、第2の逆転機構の回転方向を制御するため、機械的な変更なしに、ソフト的な制御だけで簡単にモード切換できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態を示す紙葉類分離搬送装置の単紙葉類を処理する場合の側面図である。
【図2】同上紙葉類分離搬送装置の第1の分離部の正面図である。
【図3】同上紙葉類分離搬送装置の第2の分離部の正面図である。
【図4】同上紙葉類分離搬送装置の幅寄せ機構の正面図である。
【図5】同上紙葉類分離搬送装置の圧力調整機構による調整動作を(a)(b)(c)の順に示す側面図である。
【図6】同上第1の分離部の分離動作を示す側面図である。
【図7】同上第2の分離部の分離動作を(a)(b)の順に示す側面図である。
【図8】同上第2の分離部の正常時の分離動作を(a)(b)(c)に示す側面図である。
【図9】同上第2の分離部の異常時の分離動作を示す側面図である。
【図10】同上紙葉類分離搬送装置で処理する綴り紙葉類の斜視図である。
【図11】同上紙葉類分離搬送装置の綴り紙葉類を処理する場合の側面図である。
【図12】同上紙葉類分離搬送装置のブロック図である。
【図13】同上紙葉類分離搬送装置の圧力調整機構による追従度合の履歴を(a)(b)に示す表である。
【図14】同上紙葉類分離搬送装置を用いた紙葉類処理機の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
まず、図14に、紙葉類を分離搬送する紙葉類分離搬送装置を用いた紙葉類処理機として帳票仕分け機11を示す。
【0023】
この帳票仕分け機11で処理する紙葉類としては、例えば、公共料金の納付書や、国税および社会保険料の歳入金の納付書などの帳票12である。この帳票12には、1枚ずつの単紙葉類としての単帳票12aと、図10に示すように複数枚帳票の一端が綴られている綴り紙葉類としての綴り帳票12bとがあり、また、種類に応じて様々なサイズのものがある。
【0024】
帳票仕分け機11は、機体14、複数枚集積して装填された帳票12を機体14内に1枚ずつ(1綴りずつ)分離搬送する紙葉類分離搬送装置15、この紙葉類分離搬送装置15で機体14内に分離搬送されてくる帳票12を搬送する機体14内の搬送路16、この搬送路16によって搬送する帳票12のデータを読み取る読取部17、この読取部17による読取結果に応じて搬送路16から帳票12を受け入れて一時保留したり一時保留した帳票12を搬送路16に送り出す複数の一時保留部18、搬送路16によって搬送する帳票12を種類別に仕分ける複数の仕分け部19、およびこの帳票仕分け機11を制御する制御装置20を備えている。
【0025】
一時保留部18は、一対のテープ22、これら一対のテープ22の一端側を重ねて一緒に巻き取る巻取りローラ23、および各テープ22の他端側をそれぞれ巻き取る一対の巻取りリール24を備えている。そして、帳票12の収納時には、巻取りローラ23で一対のテープ22を巻き取るとともに各巻取りリール24から各テープ22を巻き戻し、搬送路16から1枚ずつ送り込まれる帳票12を一対のテープ22間に挟み込んで一対のテープ22とともに巻取りローラ23に巻き取って収納し、また、帳票12の繰出時には、各巻取りリール24で各テープ22を巻き取るとともに巻取りローラ23から一対のテープ22を巻き戻し、一対のテープ22間から帳票12を1枚ずつ搬送路16に送り出す。
【0026】
そして、帳票仕分け機11では、複数枚集積されて装填された帳票12を紙葉類分離搬送装置15によって1枚ずつ搬送路16に送り込み、この搬送路16によって搬送する帳票12のデータを読取部17で読み取り、帳票12の種類を判別する。種類を判別した帳票12は、設定に応じて、仕分け部19に搬送したり、全ての帳票12を一時保留部18に一時保留したり、読取不良などの一部の帳票12のみを一時保留部18に一時保留する。帳票12を一時保留部18に一時保留した場合には、一時保留部18から帳票12を1枚ずつ繰り出して仕分け部19に搬送する。仕分け部19では、搬送路16によって搬送してくる帳票12を種類別に仕分ける。
【0027】
次に、紙葉類分離搬送装置15の構成を説明する。
【0028】
紙葉類分離搬送装置15は、複数枚集積された帳票12が装填される装填部31、この装填部31の複数枚集積された紙葉類群としての帳票群から帳票12を機体14内の搬送路16へ向けた搬送方向へ1枚ずつ(1綴りずつ)順に繰り出す繰出部32、この繰出部32で繰り出された帳票12を1枚ずつ(1綴りずつ)に分離する分離部33、およびこの分離部33を通過して1枚ずつ(1綴りずつ)に分離された帳票12を搬送方向へ向けて搬送する搬送部34を備えている。これら分離部33および搬送部34には、搬送路16に帳票12を搬送する分離搬送通路35が形成されている。
【0029】
装填部31は、搬送方向に対して対向する規制壁37、この規制壁37の一側に直交して配置される基準壁38(図4参照)、これら規制壁37および基準壁38の内側間で昇降するステージ39、およびこのステージ39を昇降させるステージモータ(図示せず)を有している。複数枚集積された帳票12を装填部31に装填する場合には、帳票12の直交する2辺を規制壁37および基準壁38にそれぞれ押し当てて、帳票12をステージ39上に水平に載置する。ステージ39は、最も下降した位置を帳票12の装填位置とし、処理開始により上昇して帳票12を繰出部32に対して所定の押圧力で押し付ける。
【0030】
装填部31の上方には、帳票12を一側の基準壁38に幅寄せする幅寄せ機構40が設置されている。図1および図4に示すように、この幅寄せ機構40は、適度な摩擦力および柔軟性を有する複数の羽根41が放射状に突出された羽根車42を備え、この羽根車42が幅寄せ方向に羽根車モータ(図示せず)で回転駆動される。ステージ39の上昇で最上位の帳票12が繰出部32に接触する前に回転する羽根車42の羽根41が最上位の帳票12に接触し、羽根41と帳票12との摩擦力によって帳票12を一側の基準壁38に幅寄せする。また、繰出部32によって帳票群の最上位の帳票12が繰り出されて羽根車42の下から外れると、羽根車42の羽根41が帳票群の最上位から2番目の帳票12の上面に接触し、その帳票12を基準壁38に幅寄せする。このように、幅寄せ機構40により、帳票12が繰出部32に接触する前に帳票12を基準壁38に順次幅寄せし、帳票12の一側を揃えて繰出部32で繰り出すことができる。
【0031】
また、図1に示すように、繰出部32は、装填部31の上方で搬送方向に寄った位置に配置される繰出回転体としての繰出ローラ45を有し、この繰出ローラ45を繰出モータ46(図12参照)によって搬送方向(繰出方向)に回転駆動する。繰出ローラ45は、繰出モータ46によって回転駆動する軸47に固定されているが、装填部31の一側の基準壁38を基準として、処理対象の帳票12のうちの最小サイズの帳票12の幅寸法の領域内に配置されている。そのため、繰出ローラ45に押し付ける帳票群の最上位に最小サイズの帳票12があり、最上位から2番目に最小サイズより大きいサイズの帳票12があっても、繰出ローラ45は最小サイズの帳票12のみに接触し、2番目の帳票12に接触することがなく、2番目の帳票12を繰り出すのを防止できる。
【0032】
規制壁37の上端により、装填部31から繰出ローラ45によって繰り出される帳票12を1枚ずつ(1綴りずつ)に規制する。この規制壁37の上端と繰出ローラ45との間に、帳票12を分離部33へ1枚ずつ(1綴りずつ)繰り出す繰出口48が形成されている。
【0033】
また、分離部33は、搬送方向の上流側から順に配置された第1の分離部51および第2の分離部52を有している。
【0034】
図1および図2に示すように、第1の分離部51は、繰出ローラ45で繰り出された帳票12を搬送方向に送る第1の搬送機構54、およびこの第1の搬送機構54によって搬送方向に送る帳票12に伴って送られる他の帳票12を反搬送方向に戻す第1の逆転機構55を備えている。
【0035】
第1の搬送機構54は、分離搬送通路35の上側に配置されており、第1の搬送回転体としての第1の搬送ローラ56、この第1の搬送ローラ56を固定した第1の搬送軸57、およびこの第1の搬送軸57を搬送方向に回転駆動する第1の搬送モータ58(図12参照)を備えている。図2に示すように、第1の搬送ローラ56は、複数個あり、第1の搬送軸57の軸方向に所定の間隔をあけて配置されている。
【0036】
第1の逆転機構55は、分離搬送通路35の下側に配置されており、第1の搬送機構54の下側に対向する位置から搬送方向上流側に亘り搬送方向に沿って配置されるベルト59を備えている。このベルト59は、第1の搬送機構54の下側に対向する位置に配置される搬送方向下流側の下流側プーリ60と、第1の搬送機構54に対向する位置より搬送方向上流側に配置される搬送方向上流側の上流側プーリ61とに掛け回されている。
【0037】
上流側プーリ61は、下流側プーリ60より小径で、繰出ローラ45によって繰り出される帳票12の繰出領域(繰出口48に対向する領域)より外であって下側に配置されている。これにより、ベルト59の上面側のベルト面59aが、繰出ローラ45によって繰り出される帳票12の繰出領域(繰出口48に対向する領域)に対して搬送方向の上流側から下流側に斜めに侵入するように配置されている。そのため、ベルト59の上面側のベルト面59aが、繰出ローラ45によって繰り出される帳票12の繰出領域(繰出口48)に対向されている。
【0038】
各プーリ60,61は第1の逆転軸62,63に取り付けられている。図2に示すように、ベルト59および各プーリ60,61は、複数個あり、第1の逆転軸62,63の軸方向に所定の間隔をあけた位置でかつ各第1の搬送ローラ56とは軸方向に沿って交互にずれた位置に配置されている。
【0039】
第1の逆転軸62,63の一方が第1の逆転モータ64(図12参照)によって反搬送方向に回転駆動され、これにより、ベルト59のベルト面59aが反搬送方向に回転駆動される。
【0040】
そして、第1の分離部51において、軸方向から見た第1の搬送ローラ56の下面とベルト59のベルト面59aとの間隔は、帳票12の1枚の厚みより小さく、例えば、間隔がゼロでも、少しだけ互いに入り込んで重なり合っていてもよい。
【0041】
なお、ベルト59において、第1の搬送機構54に対向する位置とは、ベルト59が第1の搬送ローラ56に直接的には対向していないが、第1の搬送機構54を全体としてみれば対向しているといえるものであり、また、軸方向から見て対向する位置であり、あるいは軸方向から見てベルト59と重なり合う位置でもある。
【0042】
また、複数の第1の搬送ローラ56および複数のベルト59は、繰出ローラ45と同様に、装填部31の一側の基準壁38を基準として、処理対象の帳票12のうちの最小サイズの帳票12の幅寸法の領域内に配置されている。そのため、第1の分離部51に複数枚の帳票12が一度に送り込まれた場合に、上側の帳票12とその下側の帳票12とのサイズが異なっていても、第1の搬送ローラ56は上側の帳票12のみに接触し、ベルト59は下側の帳票12のみに接触し、正常に分離搬送動作ができる。
【0043】
なお、第1の分離部51の第1の搬送モータ58と第1の逆転モータ64とを1つの共通のモータとし、この共通のモータからの駆動力を伝達機構を介して第1の搬送ローラ56およびベルト59にそれぞれ伝達するようにしてもよい。
【0044】
一方、図1および図3に示すように、第2の分離部52は、第1の搬送ローラ56で搬送してくる帳票12を搬送方向に送る搬送機構としての第2の搬送機構66、およびこの第2の搬送機構66に対向する逆転機構としての第2の逆転機構67を備えている。第2の逆転機構67は、処理する帳票12の種類に応じて、単帳票12aの場合には第2の搬送機構66によって搬送方向に送る帳票12に伴って送られる他の帳票12を反搬送方向に戻し、綴り帳票12bの場合には第2の搬送機構66とともに帳票12を搬送方向に送る。
【0045】
第2の搬送機構66は、分離搬送通路35の上側に配置されており、搬送回転体および第2の搬送回転体としての第2の搬送ローラ68、この第2の搬送ローラ68を固定した第2の搬送軸69、およびこの第2の搬送軸69を搬送方向に回転駆動する第2の搬送モータ70(図12参照)を備えている。
【0046】
第2の逆転機構67は、分離搬送通路35の下側に配置されており、第2の搬送ローラ68の下側に配置される逆転回転体および第2の逆転回転体としての第2の逆転ローラ71、この第2の逆転ローラ71を支持する第2の逆転軸72、第2の逆転ローラ71と第2の逆転軸72との間に介在されるトルクリミッタ73、および第2の逆転軸72を反搬送方向と搬送方向とのいずれにも回転駆動可能とする第2の逆転モータ74(図12参照)を備えている。
【0047】
そして、第2の分離部52において、第2の搬送ローラ68に対して第2の逆転ローラ71が圧着されている。トルクリミッタ73の伝達力は、第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71とが直接圧着する場合の第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間の摩擦力、および第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間に1枚の帳票12が進入する場合の帳票12と第2の搬送ローラ68との間の摩擦力および帳票12と第2の逆転ローラ71との間の摩擦力より小さい値に設定されている。この場合には、第2の逆転ローラ71が第2の搬送ローラ68に追従して搬送方向に回転する。さらに、トルクリミッタ73の伝達力は、第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間に例えば2枚の帳票12が侵入した場合の2枚の帳票12間の摩擦力より大きい値に設定されている。この場合には、第2の逆転ローラ71が反搬送方向に回転する。
【0048】
また、第2の搬送ローラ68および第2の逆転ローラ71は、繰出ローラ45と同様に、装填部31の一側の基準壁38を基準として、処理対象の帳票12のうちの最小サイズの帳票12の幅寸法の領域内に配置されている。そのため、第2の分離部52に複数枚の帳票12が一度に送り込まれた場合に、上側の帳票12とその下側の帳票12とのサイズが異なっていても、第2の搬送ローラ68は上側の帳票12のみに接触し、第2の逆転ローラ71は下側の帳票12のみに接触し、正常に分離搬送動作ができる。
【0049】
また、図5に示すように、第2の分離部52は、第2の逆転機構67の動作状況を検知するものであって、第2の逆転ローラ71の回転方向および角度を検知する動作検知部および回転検知部としてのロータリーエンコーダ75を備えている。
【0050】
さらに、図5に示すように、第2の分離部52は、第2の搬送ローラ68および第2の逆転ローラ71の摩擦力の変動に対して、第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71とが圧着する圧力を適切に調整する圧力調整機構76を備えている。この圧力調整機構76は、中間部が軸77で揺動可能に軸支されたアーム78を有し、このアーム78の一端に第2の逆転ローラ71が第2の逆転軸72によって支持され、他端に付勢手段としてのコイルスプリング79の一端が取り付けられている。コイルスプリング79の他端は、円板状のカム80の周辺部から突出する連結部81に取り付けられている。カム80は、調整モータとしてのステッピングモータ82(図12参照)で回転方向の一方および他方のいずれにも回動駆動可能とする。
【0051】
カム80の回転位置を検知するために原点位置検知センサ83および荷重上限位置検知センサ84を備えている。原点位置検知センサ83は、第2の搬送ローラ68に第2の逆転ローラ71を圧着させる圧力を予め決められた所定の圧力とするカム80の原点位置を検知し、荷重上限位置検知センサ84は、第2の搬送ローラ68に第2の逆転ローラ71を圧着させる圧力が最大となるカム80の荷重上限位置を検知する。
【0052】
また、図1に示すように、第2の分離部52より搬送方向下流側であって搬送部34との間に、第2の分離部52を通過した帳票12の先端を検知する紙葉類検知部86が配置されている。この紙葉類検知部86には、分離搬送通路35を介して投光器と受光器とを対向させたフォトインタランプが用いられている。
【0053】
また、搬送部34は、分離搬送通路35の上下にそれぞれ配置され、互いに圧着する一対の搬送ローラ88を備え、これら搬送ローラ88が搬送モータ89(図12参照)によって搬送方向に回転駆動される。
【0054】
また、図12には、制御装置20のうち、紙葉類分離搬送装置15に関する制御系のブロック図を示す。
【0055】
制御装置20の制御部91には、繰出部32、第1の分離部51、第2の分離部52、搬送部34、圧力調整機構76、紙葉類検知部86、データを記憶する記憶部92、各種事項を入力操作する操作部93、および報知事項を表示などで報知する報知部94が接続されている。この他、制御部91には、装填部31のステージモータ、幅寄せ機構40の羽根車モータなども接続されている。
【0056】
記憶部92には、圧力調整機構76による圧力調整処理時毎に、ロータリーエンコーダ75の検知結果の履歴が記憶される。
【0057】
操作部93では、処理対象とする帳票12が単帳票12aか綴り帳票12bかに応じて、単帳票モードまたは綴り帳票モードを指定可能とする。
【0058】
そして、制御部91は、紙葉類分離搬送装置15を制御するものであり、さらに、少なくとも次の機能を有している。
【0059】
ロータリーエンコーダ75の検知結果から搬送異常の有無を判定する搬送異常判定手段の機能。搬送異常を判定すると、繰出部32および分離部33を停止させる停止手段の機能。紙葉類検知部86で帳票12の先端を検知すると、搬送異常判定手段による搬送異常の有無の判定を開始させる判定開始制御手段の機能。
【0060】
操作部93で指定されたモードに応じて、第2の逆転ローラ71の回転方向を制御するものであって、単帳票モードの場合には第2の逆転ローラ71を反搬送方向に回転させ、綴り帳票モードの場合には第2の逆転ローラ71を搬送方向に回転させる回転方向制御手段の機能。
【0061】
ロータリーエンコーダ75の検知結果から第2の搬送ローラ68の回転に対する第2の逆転ローラ71の回転の追従度合を判定する追従度合判定手段の機能。第2の搬送ローラ68の回転に対する第2の逆転ローラ71の回転の追従度合の判定に基づいて、所定の追従度合となるように圧力調整機構76を制御する圧力調整制御手段の機能。記憶部92に記憶された追従度合の履歴に基づいて報知内容を判定し、その報知内容を報知部94で報知させる報知制御手段の機能。帳票群毎に繰出部32が繰出動作を開始する前のタイミングで、毎回、追従度合判定手段で追従度合を判定させる追従度合判定開始制御手段の機能。
【0062】
次に、紙葉類分離搬送装置15の動作を説明する。
【0063】
操作部93で仕分け処理を行う帳票12の種類に対応したモードを指定し、複数枚集積された帳票12を装填部31に装填する。帳票12の装填は、帳票12の直交する2辺を規制壁37および基準壁38にそれぞれ押し当てて、帳票12を予め装填位置に下降しているステージ39上に水平に載置する。
【0064】
装填部31に配設されている図示しない装填検知センサで帳票12の装填を検知すると、自動的に仕分け処理を開始するか、操作部93で仕分け処理の開始を操作することにより、仕分け処理を開始する。この仕分け処理の開始により、紙葉類分離搬送装置15を含む帳票仕分け機11の各機構が動作を開始する。
【0065】
仕分け処理の開始により、ステージ39が上昇し、ステージ39上の帳票群の最上位の帳票12を繰出ローラ45に押し付ける。このとき、ステージ39の上昇で最上位の帳票12が繰出ローラ45に接触する前に繰出動作中は常に回転している羽根車42の羽根41が最上位の帳票12に接触し、羽根41と帳票12との摩擦力によって帳票12を一側の基準壁38に幅寄せする。
【0066】
さらに、仕分け処理の開始によりステージ39が上昇を開始してから繰出ローラ45による繰り出しを開始するまでの間に、圧力調整機構76によって第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71とが圧着する圧力を調整する。この圧力調整機構76による圧力調整動作の詳細は後述する。
【0067】
そして、繰出ローラ45が回転し、繰出ローラ45に押し付けられている帳票群の最上位の帳票12を繰出口48から繰り出す。
【0068】
ここでは、まず、単帳票12aを処理する単帳票モードの場合であって、繰出ローラ45により帳票群から最上位の1枚の帳票12のみが繰り出された場合について説明する。
【0069】
繰出ローラ45によって繰り出された帳票12の搬送方向先端は、第1の分離部51に送り込まれる。第1の分離部51では、上側の第1の搬送ローラ56が常に搬送方向に回転し、下側のベルト59が常に反搬送方向に移転している。
【0070】
繰出ローラ45によって繰り出された帳票12の搬送方向先端は、反搬送方向に回転している複数のベルト59のベルト面59aに接触する。このとき、繰出ローラ45による繰出力が、帳票12と複数のベルト59との間の摩擦力より大きいので、帳票12の搬送方向先端が複数の第1の搬送ローラ56と複数のベルト59との間に送り込まれる。図2に示すように、軸方向に交互に配置されている複数の第1の搬送ローラ56と複数のベルト59との間で帳票12が波状に挟まれた状態となるが、この帳票12は、1枚であり、厚みが薄く、弾力性が弱いことから、複数の第1の搬送ローラ56や複数のベルト59に対して強く接触せず、発生する摩擦力も小さい。そのため、この1枚の帳票12に対して、複数のベルト59との接触で反搬送方向への摩擦力が作用しても、複数の第1の搬送ローラ56との接触による搬送方向への摩擦力と繰出ローラ45による繰出力とを合わせた力の方が大きいため、帳票12の搬送方向先端が複数の第1の搬送ローラ56と複数のベルト59との間を通過して第2の分離部52に送り込まれる。
【0071】
第2の分離部52では、図7(a)に示すように(図7(a)では帳票12が2枚重なっている例を示す)、紙葉類検知部86で帳票12の搬送方向先端を検知するまでの間、第2の搬送ローラ68のみが搬送方向に回転駆動され、第2の逆転ローラ71は回転駆動されていない。ただし、第2の逆転ローラ71は、第2の搬送ローラ68に圧着しているため、第2の搬送ローラ68に追従して搬送方向に回転している。そのため、第2の分離部52に送り込まれた帳票12の搬送方向先端は、第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間に挟み込まれた状態で搬送方向に搬送される。紙葉類検知部86の検知後に第2の逆転ローラ71の逆転動作をさせることにより、1枚であっても先端が少し折れた程度(第2の逆転ローラ71の最上面から紙葉類検知部86までの距離に相当する寸法程度)の帳票12であれば、そのまま搬送できる。もし、紙葉類検知部86がなければ、このような折れた帳票12を2枚重なっている場合と同様の動作を行い、噛み込んで詰まりが発生してしまう恐れがある。
【0072】
図7(b)に示すように(図7(b)では帳票12が2枚重なっている例を示す)、第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間を通過した帳票12の搬送方向先端を紙葉類検知部86が検知すると、第2の逆転ローラ71が反搬送方向に回転するように第2の逆転モータ74が駆動される。このとき、トルクリミッタ73の伝達力が、帳票12と第2の搬送ローラ68との間の摩擦力および帳票12と第2の逆転ローラ71との間の摩擦力より小さい値に設定されているため、第2の逆転ローラ71は、反搬送方向に回転せず、第2の搬送ローラ68で搬送方向に送られる帳票12に追従して搬送方向に回転する。
【0073】
さらに、帳票12の搬送方向先端を紙葉類検知部86が検知すると、制御部91は、ロータリーエンコーダ75で検知する第2の逆転ローラ71の回転方向および角度に基づいて、第2の分離部52における帳票12の搬送異常の有無を判定する。ここでは、図8(a)に示すように、1枚の帳票12を搬送しており、第2の逆転ローラ71が第2の搬送ローラ68で搬送方向に送られる1枚の帳票12に追従して搬送方向に回転している状態にあるため、制御部91は、帳票12の分離搬送が正常と判定し、紙葉類分離搬送装置15の動作を継続する。
【0074】
第2の分離部52を1枚状態で通過した帳票12の搬送方向先端が搬送部34の一対の搬送ローラ88間に送り込まれ、これら一対の搬送ローラ88で帳票12を搬送路16へ向けて搬送する。
【0075】
また、一対の搬送ローラ88で搬送路16へ搬送される帳票12の搬送方向後端が紙葉類検知部86の位置を通過し、紙葉類検知部86が帳票12を検知しなくなると、第2の逆転モータ74の駆動を停止するとともに、帳票12の搬送異常の判定動作を停止する。なお、紙葉類検知部86が特になくてもよい。その場合は、帳票12が繰り出されるタイミングで第2の逆転ローラ71の回転駆動を開始すればよい。以降は、紙葉類検知部86を配置した場合の実施の形態を示す。
【0076】
また、第2の分離部52の第2の搬送ローラ68および搬送部34の一対の搬送ローラ88によって搬送される帳票12の搬送方向後端が繰出ローラ45の下から外れると、帳票群の最上位から2番目の帳票12が繰出ローラ45に押し付けられ、続けてその繰出ローラ45に押し付けられた帳票12を繰り出す。このとき、第2の分離部52の第2の搬送ローラ68および搬送部34の一対の搬送ローラ88による帳票12の搬送速度は、繰出ローラ45による帳票12の繰出速度より速く設定されているため、続けて繰り出される帳票12が前に繰り出された帳票12と重なって繰り出されることがなく、前に繰り出された帳票12と続けて繰り出される帳票12との間には所定の間隔があけられる。
【0077】
次に、単帳票12aを処理する単帳票モードの場合であって、繰出ローラ45により帳票群から繰り出される最上位の帳票12に伴って複数枚の帳票12が重なった状態で一度に繰り出された場合について説明する。
【0078】
繰出ローラ45によって重なった状態で一度に繰り出された複数枚の帳票12の搬送方向先端は、第1の分離部51に送り込まれる。第1の分離部51では、上側の第1の搬送ローラ56が常に搬送方向に回転し、下側のベルト59が常に反搬送方向に移転している。
【0079】
図6に示すように、繰出ローラ45によって重なった状態で一度に繰り出された複数枚の帳票12の搬送方向先端は、反搬送方向に回転している複数のベルト59のベルト面59aに接触する。このとき、繰出ローラ45の繰出力であって繰出ローラ45とこの繰出ローラ45に押し付けられている最上位の帳票12との間の摩擦力が、最上位の帳票12と複数のベルト59との間の摩擦力より大きいので、最上位の帳票12の搬送方向先端が複数の第1の搬送ローラ56と複数のベルト59との間に送り込まれる。また、重なっている最上位の帳票12とその最上位より下側の帳票12との間の摩擦力は、繰出ローラ45と最上位の帳票12との間の摩擦力より小さく、かつ最上位より下側の帳票12と複数のベルト59との間の摩擦力より小さい。そのため、重なっている最上位より下側の帳票12は、複数のベルト59との摩擦力により、反搬送方向に戻されたり、搬送方向への移動が制止されたり、搬送方向への移動が遅らされる。したがって、重なっている複数枚の帳票12が複数の第1の搬送ローラ56と複数のベルト59とが対向する位置に到達するまでの間に、複数のベルト59のベルト面59aによって複数枚の帳票12を捌いてある程度、搬送方向に沿って分離させることができ、帳票12が1枚ずつ複数の第1の搬送ローラ56と複数のベルト59との間に送り込まれやすくできる。
【0080】
それでも、複数の第1の搬送ローラ56と複数のベルト59との間に複数枚の帳票12が重なっている状態で一度に送り込まれた場合、図2に示すように、軸方向に交互に配置されている複数の第1の搬送ローラ56と複数のベルト59との間で複数枚の帳票12が波状に挟まれた状態となるが、複数枚纏まった帳票12は、厚みが厚く、弾力性が強くなるため、重なっている最上位の帳票12は複数の第1の搬送ローラ56に強く接触して第1の搬送ローラ56との摩擦力が増大し、最上位より下側の帳票12は複数のベルト59に対して強く接触して複数のベルト59との摩擦力が増大する。そのため、最上位の帳票12は、搬送方向に送られて第2の分離部52に送り込まれるが、最上位より下側の帳票12は、複数のベルト59との摩擦力により、反搬送方向に戻されたり、搬送方向への移動が制止されたり、搬送方向への移動が遅らされる。したがって、複数の第1の搬送ローラ56と複数のベルト59との間に複数枚の帳票12が重なっている状態で一度に送り込まれた場合でも、帳票12を1枚ずつに分離しやすくできる。
【0081】
なお、第1の分離部51に複数枚の帳票12が重なった状態で一度に送り込まれた場合、最上位の帳票12が第1の分離部51から搬送方向に送られると、それと同様にして、最上位から2枚目の帳票12の送り動作が開始され、複数枚の帳票12が順に搬送方向に送られる。
【0082】
第2の分離部52では、図7(a)に示すように(図7(a)では帳票12が2枚重なっている例を示す)、紙葉類検知部86で帳票12の搬送方向先端を検知するまでの間、第2の搬送ローラ68のみが搬送方向に回転駆動され、第2の逆転ローラ71は回転駆動されていない。ただし、第2の逆転ローラ71は、第2の搬送ローラ68に圧着しているため、第2の搬送ローラ68に追従して搬送方向に回転している。そのため、第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間に送り込まれた帳票12は、第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間に挟み込まれた状態で搬送方向に搬送される。
【0083】
図7(b)に示すように(図7(b)では帳票12が2枚重なっている例を示す)、第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間を通過した帳票12の搬送方向先端を紙葉類検知部86が検知すると、第2の逆転ローラ71が反搬送方向に回転するように第2の逆転モータ74が駆動される。このとき、第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間に2枚の帳票12が送り込まれている場合、第2の逆転ローラ71のトルクリミッタ73の伝達力が2枚の帳票12間の摩擦力より大きい値に設定されているため、第2の逆転ローラ71が反搬送方向に回転し、第2の逆転ローラ71が接する下側の帳票12を反搬送方向に戻す。したがって、第2の搬送ローラ68に接する上側の帳票12のみが第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間から搬送方向に送られる。また、第2の逆転ローラ71が接する下側の帳票12を反搬送方向に戻すと、第2の逆転ローラ71が第2の搬送ローラ68で送られる上側の帳票12に接触し、上述したトルクリミッタ73の働きで第2の逆転ローラ71の反搬送方向への回転が一旦止まり、図8(b)(c)に示す状態となる。
【0084】
なお、第2の分離部52に複数枚の帳票12が一度に送り込まれた場合、最上位の1枚の帳票12が第2の分離部52から搬送方向に送られると、それと同様にして、最上位から2枚目の帳票12の送り動作が開始され、複数枚の帳票12が順に搬送方向に送られる。
【0085】
さらに、帳票12の搬送方向先端を紙葉類検知部86が検知すると、制御部91は、ロータリーエンコーダ75で検知する第2の逆転ローラ71の回転方向および角度に基づいて、第2の分離部52における帳票12の搬送異常の有無を判定する。
【0086】
図8(b)(c)に示すように、例えば2枚重なっている帳票12が第2の分離部52に送り込まれている場合で、上側の1枚の帳票12が第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間から搬送方向に送られ、下側の帳票12が第2の逆転ローラ71によって搬送方向への送りが規制されて分離されている状態にあるとする。この場合、図8(b)に示すように、第2の逆転ローラ71が下側の帳票12が搬送方向に送られるのを規制した静止状態にあるか、図8(c)に示すように、下側の帳票12が第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間に入り込んで第2の逆転ローラ71が追従して搬送方向に微小角度回転した後に、上述したように第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間に2枚の帳票12が入り込むことで下側の帳票12を反搬送方向に戻すように第2の逆転ローラ71が反搬送方向に微小角度回転し、第2の逆転ローラ71が微小な角度範囲内で搬送方向への回転と反搬送方向への回転とを繰り返す。制御部91は、第2の逆転ローラ71が静止状態にあるか、第2の逆転ローラ71が微小な角度範囲であって予め設定された正常な角度範囲内で搬送方向への回転と反搬送方向への回転とを繰り返していれば、帳票12の分離搬送が正常と判定し、紙葉類分離搬送装置15の動作を継続する。
【0087】
そして、上述した図8(a)(b)(c)のいずれかの現象が生じている場合には、帳票12の分離搬送が正常と判定し、紙葉類分離搬送装置15の動作を継続するが、それら以外の現象が生じた場合には、帳票12の分離搬送が異常と判定し、紙葉類分離搬送装置15の動作を直ちに停止させる。
【0088】
例えば、図9に示すように、先端が第2の逆転ローラ71と接する下側に折れ曲がっている帳票12が第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間に送り込まれた場合、上述した帳票12が2枚以上重なっていた場合と同等の状態となるため、第2の搬送ローラ68によって帳票12の折れた先端以外は搬送方向に送ろうとするが、第2の逆転ローラ71によって帳票12の折れた先端は反搬送方向に戻そうとする。このとき、上述した帳票12が2枚以上重なっていた場合には、第2の逆転ローラ71が所定角度だけ反搬送方向に回転すれば、2枚重なりが解消されて第2の逆転ローラ71の反搬送方向への回転が一旦止まるが、先端が折れた帳票12の場合には、第2の搬送ローラ68によって帳票12の折れた先端以外は搬送方向に送られ続け、第2の逆転ローラ71によって帳票12の折れた先端は反搬送方向に戻され続けるため、第2の逆転ローラ71が正常な角度範囲を超えて反搬送方向に回転し、これをロータリーエンコーダ75で検知する。この場合、制御部91は、帳票12の分離搬送が異常と判定し、紙葉類分離搬送装置15の動作を直ちに停止させる。
【0089】
仮に、紙葉類分離搬送装置15の動作を停止させなかった場合には、同じ帳票12を異なる方向に送ろうとするために、第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間で帳票12が詰まってしまう搬送異常が発生し、帳票12に大きな損傷を与えてしまうことがある。そこで、第2の逆転ローラ71の回転方向および角度をロータリーエンコーダ75でダイレクトに検知し、帳票12の搬送異常を判定したら紙葉類分離搬送装置15の動作を直ちに停止させることにより、帳票12に与える損傷を軽減できる。
【0090】
帳票12の搬送異常で紙葉類分離搬送装置15の動作を停止させた場合には、帳票仕分け機11の機体14の一部を開き、紙葉類分離搬送装置15内で停止している帳票12を取り除き、機体14を元に戻し、処理を再開する。
【0091】
また、第2の分離部52を1枚状態で通過した帳票12の搬送方向先端が搬送部34の一対の搬送ローラ88間に送り込まれ、これら一対の搬送ローラ88で帳票12を搬送路16へ向けて搬送する。
【0092】
また、一対の搬送ローラ88で搬送路16へ搬送される帳票12の搬送方向後端を紙葉類検知部86の位置を通過し、紙葉類検知部86が帳票12を検知しなくなると、第2の逆転モータ74の駆動を停止するとともに、帳票12の搬送異常の判定動作を停止する。
【0093】
また、第2の分離部52の第2の搬送ローラ68および搬送部34の一対の搬送ローラ88によって搬送する帳票12の搬送方向後端が繰出ローラ45の下から外れると、帳票群の最上位から2番目の帳票12が繰出ローラ45に押し付けられ、続けてその繰出ローラ45に押し付けられた帳票12を繰り出す。このとき、第2の分離部52の第2の搬送ローラ68および搬送部34の一対の搬送ローラ88による帳票12の搬送速度は、繰出ローラ45による帳票12の繰出速度より速く設定されているため、続けて繰り出される帳票12が前に繰り出されている帳票12と重なって繰り出されることがなく、前に繰り出された帳票12と続けて繰り出される帳票12との間には所定の間隔があけられる。
【0094】
次に、図11を参照して、綴り帳票12bを処理する綴り帳票モードでの紙葉類分離搬送装置15の動作を説明する。なお、単帳票12aを処理する単帳票モードでの動作との相違点のみを説明し、共通の動作の説明は省略する。
【0095】
綴り帳票12bの場合には、綴られている一端を搬送方向先端に向けて装填部31に装填する。
【0096】
繰出ローラ45によって1綴りの帳票12が第1の分離部51に繰り出された場合、軸方向に交互に配置されている複数の第1の搬送ローラ56と複数のベルト59との間で帳票12が波状に挟まれた状態となるが、この帳票12は、1綴りであり、厚みが薄く、弾力性が弱いことから、複数の第1の搬送ローラ56や複数のベルト59に対して強く接触せず、発生する摩擦力も小さい。そのため、この1綴りの帳票12に対して、複数のベルト59との接触で反搬送方向への摩擦力が作用しても、複数の第1の搬送ローラ56との接触で搬送方向への摩擦力と繰出ローラ45による繰出力とを合わせた力の方が大きいため、帳票12の搬送方向先端が複数の第1の搬送ローラ56と複数のベルト59との間を通過して第2の分離部52の第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間に送り込まれる。
【0097】
また、繰出ローラ45によって複数綴りの帳票12が第1の分離部51に繰り出された場合、軸方向に交互に配置されている複数の第1の搬送ローラ56と複数のベルト59との間で帳票12が波状に挟まれた状態となるが、複数綴り纏まった帳票12は厚みが厚く、弾力性が強くなるため、最上位の帳票12は複数の第1の搬送ローラ56に強く接触して第1の搬送ローラ56との摩擦力が増大し、最上位より下側の帳票12は複数のベルト59に対して強く接触して複数のベルト59との摩擦力が増大する。そのため、最上位の帳票12は、搬送方向に移動して第2の分離部52に送り込まれるが、最上位より下側の帳票12は、複数のベルト59との摩擦力により、反搬送方向に戻されたり、搬送方向への移動が制止されたり、搬送方向への移動が遅らされる。したがって、複数の第1の搬送ローラ56と複数のベルト59との間に複数綴りの帳票12が一度に送り込まれた場合でも、帳票12を1綴りずつに分離し、第2の分離部52に送り込むことができる。
【0098】
そして、第2の分離部52では、第2の逆転ローラ71が搬送方向に回転駆動されるか、回転駆動されずに第2の搬送ローラ68の回転に追従して搬送方向に回転する。そのため、第2の分離部52に送り込まれた1綴りの帳票12は、第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間に挟み込まれて搬送方向に送られる。
【0099】
なお、紙葉類検知部86で検知しても、第2の搬送ローラ68は逆転駆動されないとともに、搬送異常の判定も行われない。
【0100】
また、綴り帳票モードでは、単帳票モードに比べて、綴り帳票12bの繰出速度および搬送速度を含む処理速度を遅くすることにより、綴り帳票12bの分離搬送をより確実に行うことができる。
【0101】
また、繰出部32による繰出動作中において、繰出部32で帳票12の詰まりが生じ、繰出ローラ45が回転しないことを回転検知センサで検知した場合、あるいは装填部31に帳票12があることが装填検知センサで検知しているにもかかわらず紙葉類検知部86での帳票12の検知が所定時間以上ない場合などには、制御部91は、繰出部32で帳票12の繰出詰まりなどのエラーが発生したと判定する。この場合には、繰出部32の繰出ローラ45の回転を直ちに停止させるが、紙葉類分離搬送装置15の繰出部32以降の分離部33や搬送部34や帳票仕分け機11の各機構での処理は停止させることなく継続させる。これにより、帳票仕分け機11内の処理途中にある帳票12の処理を完了させることができるため、帳票仕分け機11内の処理途中にある帳票12の処理を停止させた場合にそれら処理途中の帳票12を全て取り除く必要がない。
【0102】
そして、繰出部32で詰まった帳票12は機体14を開いて取り除いてもよいし、制御部91の自動復旧機能を利用して自動復旧させてもよい。制御部91の自動復旧機能では、繰出部32の繰出ローラ45を逆転させて詰まりが生じている帳票12を装填部31に戻した後、繰出モータ45を繰出方向に回転させて繰出動作を再開させる。この繰出動作の再開時には、数枚分(例えば5枚程度)の帳票12の繰り出しまでは繰出速度を通常よりも遅くすることにより、帳票12の詰まりの再発を低減できる。
【0103】
次に、図5を参照して、圧力調整機構76により、第2の搬送ローラ68および第2の逆転ローラ71の摩擦力の変動に対して、第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71とが圧着する圧力を適正に調整する圧力調整動作を説明する。
【0104】
仕分け処理の開始によりステージ39が上昇を開始してから繰出ローラ45による繰り出しを開始するまでの間の時間を有効利用して圧力調整機構76が圧力調整動作する。
【0105】
圧力調整機構76が圧力調整動作を開始すると、図5(a)に示すように、ステッピングモータ82を駆動し、カム80を原点位置検知センサ83で検知する原点位置に回転させて停止させる。この原点位置では、コイルスプリング79の付勢力により、第2の逆転ローラ71が第2の搬送ローラ68に所定の基準圧力で圧着する。
【0106】
第2の搬送ローラ68を搬送方向に回転駆動し、第2の逆転ローラ71を反搬送方向に回転駆動する。このとき、第2の逆転ローラ71のトルクリミッタ73の伝達力が、圧着する第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との間の摩擦力より小さい値に設定されているため、第2の逆転ローラ71は、反搬送方向に回転せず、第2の搬送ローラ68の回転に追従して搬送方向に回転する。この第2の逆転ローラ71の回転をロータリーエンコーダ75で検知する。
【0107】
制御部91は、ロータリーエンコーダ75の検知に基づいて、第2の搬送ローラ68の回転量に対する第2の逆転ローラ71の回転量の割合であって、第2の搬送ローラ68の回転に追従して回転する第2の逆転ローラ71の追従具合(追従割合)を割り出し、その追従具合が予め計算や測定などによって決められている追従具合の適正な範囲となる適正値にあるか判定する。
【0108】
追従具合の判定の結果、追従具合が適正値より低ければ、圧力を高める回転方向およびパルス数を求め、その回転方向およびパルス数に従ってステッピングモータ82でカム80を所定角度回転させて、追従具合を適正値に向けて高め、また、追従具合が適正値より高ければ、圧力を弱める回転方向およびパルス数を求め、その回転方向およびパルス数に従ってステッピングモータ82でカム80を所定角度回転させて、追従具合を適正値に向けて低くする。
【0109】
例えば、追従具合が適正値より低ければ、圧力を強める方向にカム80を予め決められた初期の基準角度だけ回転させ、そのカム80の位置での追従具合を判定し、ここで追従具合が適正値より高ければ、圧力を弱める回転方向およびパルス数を求め、その回転方向およびパルス数に従ってステッピングモータ82でカム80を基準角度の1/2角度だけ回転させ、そのカム80の位置での追従具合を判定し、さらに、ここで追従具合が適正値より低ければ、圧力を強める回転方向およびパルス数を求め、その回転方向およびパルス数に従ってステッピングモータ82でカム80を基準角度の1/2のさらに1/2角度だけ回転させ、そのカム80の位置での追従具合を判定する。このようにして、カム80の回転と追従度合の判定とを繰り返すとともにカム80の回転角度を1/2ずつ徐々に小さくしていくことにより、最終的に追従具合が適正値となり、適正となった位置でステッピングモータ82を停止させてカム80の回動位置を保持し、圧力調整動作が終了となる。
【0110】
なお、予め、原点位置での追従具合とこの追従具合が適正値になるのに必要なステッピングモータ82の回転方向およびパルスとの関係が計算や測定によって求められている調整テーブルを記憶部92に記憶させておくことにより、その調整テーブルに基づき、原点位置で判定された追従具合からステッピングモータ82をどの回転方向に何パルス駆動すれば追従具合が適正値になるかを割り出し、割り出したパルス分だけステッピングモータ82を駆動することにより、1回のカム80の回転で追従具合を適正値に合わせることができ、圧力調整動作を短時間で完了できる。
【0111】
また、圧力調整機構76による圧力調整動作は、仕分け処理の開始によりステージ39が上昇を開始してから繰出ローラ45による繰り出しを開始するまでの間のタイミングで実施したが、帳票仕分け機11の電源投入時や、操作部93による圧力調整モードの選択時に実施してもよい。
【0112】
また、圧力調整機構76による圧力調整処理時毎に、追従具合の履歴が記憶部92に記憶される。追従具合の履歴には、カム80の原点位置から追従度合が適正値となった調整位置までのロータリーエンコーダ75のパルス数、および調整を行った日時が含まれる。
【0113】
制御部91は、記憶部92に記憶された追従度合の履歴に基づいて、パルス数がある閾値を超えたら、パルス数の変動状況から報知内容を判定し、その報知内容を報知部94で報知させる。
【0114】
例えば、図13(a)に示すように、時間の経過とともにパルス数が徐々に増加する傾向の変動であれば、ローラ表面材料の劣化などの経年変化による第2の搬送ローラ68および第2の逆転ローラ71の摩擦力の変動であると判定し、その旨の報知内容を報知部94で報知する。
【0115】
図13(b)に示すように、時間の経過とともにパルス数が徐々に増加する傾向の変動とは異なり、パルス数が突然大きく変動した場合、例えば汚れによる変動であると判定し、清掃を即す報知内容を報知部94で報知する。
【0116】
したがって、帳票仕分け機11の管理者や作業者が、報知部94で報知される報知内容を確認して、第2の搬送ローラ68および第2の逆転ローラ71の不具合やその内容を容易に把握でき、交換や清掃などの適切な対応をとることができる。
【0117】
以上のように構成された本実施の形態の紙葉類分離搬送装置15によれば、分離部33において第2の逆転機構67の動作状況を直接的に監視して、帳票12の搬送異常の有無を判定するため、分離部33で帳票12の搬送異常が発生したことを迅速に判定でき、分離部33の駆動停止などの対応が直ぐに可能となり、帳票12への損傷を軽減できる。
【0118】
帳票12の搬送異常を判定すると、繰出部32および分離部33を停止させるため、帳票12への損傷を軽減できる。
【0119】
分離部33の第2の逆転ローラ71の回転方向および角度を検知することにより、帳票12の搬送異常の有無を正確に判定することができる。
【0120】
分離部33の搬送方向下流側に設けられた紙葉類検知部86で帳票12を検知すると、帳票12の搬送異常の有無を判定するため、誤判定を防止し、正確な判定ができる。
【0121】
また、分離部33の第2の搬送ローラ68と圧着してその第2の搬送ローラ68の回転に追従する第2の逆転ローラ71の回転を監視し、第2の搬送ローラ68の回転に対する第2の逆転ローラ71の回転の追従度合を判定するため、温度や汚れなどの使用環境やローラ表面材料の劣化などの経年変化による第2の搬送ローラ68および第2の逆転ローラ71の摩擦力の変動を把握でき、それによって例えば第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との圧着力を調整したり交換するなどの対応をすれば、常に安定した分離動作ができる。
【0122】
追従度合の判定に基づいて、所定の追従度合となるように、圧力調整機構76により第2の搬送ローラ68と第2の逆転ローラ71との圧着力を調整でき、常に安定した分離動作ができる。
【0123】
追従度合の履歴を記憶するため、追従度合の変化を把握することができる。
【0124】
追従度合の履歴に基づいて、温度や汚れなどの使用環境による第2の搬送ローラ68および第2の逆転ローラ71の摩擦力の変動なのか、ローラ表面材料の劣化などの経年変化による第2の搬送ローラ68および第2の逆転ローラ71の摩擦力の変動なのかといった報知内容を判定し、その報知内容を報知するため、第2の搬送ローラ68および第2の逆転ローラ71の状況を把握でき、適切な対応を採ることができる。
【0125】
装填部31に装填された帳票群毎に繰出部32が繰出動作を開始する前のタイミングで、毎回、追従度合を判定すれば、常に安定した分離動作ができる。
【0126】
また、第1の分離部51の第1の搬送機構54と第1の逆転機構55とのうち、第1の逆転機構55は、第1の搬送機構54に対向する位置から搬送方向上流側に亘り搬送方向に沿ってベルト面59aが配置されるベルト59を有し、このベルト59が搬送方向に対して逆転するため、繰出部32によって帳票群から複数枚の帳票12が一度に繰り出された場合でも、それら帳票12が第1の搬送機構54とベルト59とが対向する位置に到達するまでの間にベルト面59aとの接触によって捌かれてある程度分離され、複数枚の帳票12が一度に第1の搬送機構54とベルト59との間に送り込まれることがなく、分離動作が確実にでき、したがって、小形および簡素で処理能力が高く、安定した分離搬送ができる。
【0127】
ベルト59のベルト面59aが、繰出部32によって帳票群から帳票12が繰り出される繰出領域に対して搬送方向の上流側から下流側に斜めに侵入されているため、そのベルト面59aによって複数枚の帳票12を確実に捌くことができる。
【0128】
第2の分離部52の第2の搬送機構66と第2の逆転機構67とのうち、第2の逆転機構67は、処理対象とする帳票12が1枚ずつの単帳票12aの場合、第2の搬送機構66によって搬送方向に送る単帳票12aに伴って送られる他の単帳票12aを反搬送方向に戻すように回転するため、単帳票12aを1枚ずつに確実に分離でき、また、処理対象とする帳票12が複数枚綴られた綴り帳票12bの場合には、第2の搬送機構66とともに綴り帳票12bを搬送方向に送るように回転するため、綴り帳票12bを剥がして分離するようなことなく搬送することができ、したがって、単帳票12aと綴り帳票12bとの両方に対応できる。
【0129】
操作部93で指定されたモードに応じて、第2の逆転機構67の回転方向を制御するため、機械的な変更なしに、ソフト的な制御だけで簡単にモード切換できる。
【0130】
なお、繰出ローラ45、第1の分離部51の第1の搬送ローラ56およびベルト59、第2の分離部52の第2の搬送ローラ68および第2の逆転ローラ71をそれぞれ個別のモータで駆動するようにしたが、それらローラやベルトに対して1つのモータで伝達機構を介して駆動するようにすれば、モータを共通化することができる。
【0131】
また、分離部33の第1の分離部51のベルトを除き、その第1の分離部51の搬送回転体や、第2の分離部52の搬送回転体および逆転回転体には、ローラ、ベルトのいずれを用いてもよい。
【0132】
また、紙葉類分離搬送装置が処理対象する紙葉類は、帳票に限らず、紙幣、書類などの薄いシート状のものであればいずれでもよい。そのため、紙葉類分離搬送装置を用いる紙葉類処理機は、帳票仕分け機に限らず、紙葉類を分離搬送する処理を有する機械であればいずれでもよい。
【符号の説明】
【0133】
12 紙葉類としての帳票
12a 単紙葉類としての単帳票
12b 綴り紙葉類としての綴り帳票
15 紙葉類分離搬送装置
32 繰出部
51 第1の分離部
52 第2の分離部
54 第1の搬送機構
55 第1の逆転機構
59 ベルト
59a ベルト面
66 第2の搬送機構
67 第2の逆転機構
91 制御部
93 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚集積された紙葉類群から紙葉類を順に繰り出す繰出部と、
この繰出部で繰り出された紙葉類を搬送方向に送る第1の搬送機構、およびこの第1の搬送機構によって搬送方向に送る紙葉類に伴って送られる他の紙葉類を反搬送方向に戻す第1の逆転機構を備え、前記第1の逆転機構は、前記第1の搬送機構に対向する位置から搬送方向上流側に亘り搬送方向に沿ってベルト面が配置されるベルトを有し、このベルトが前記搬送方向に対して逆転される第1の分離部と
を具備していることを特徴とする紙葉類分離搬送装置。
【請求項2】
前記ベルトのベルト面は、前記繰出部によって紙葉類群から紙葉類が繰り出される繰出領域に対して前記搬送方向の上流側から下流側に斜めに侵入されている
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類分離搬送装置。
【請求項3】
前記第1の分離部を通過した紙葉類を搬送方向に送る第2の搬送機構、およびこの第2の搬送機構に対向する第2の逆転機構を備え、前記第2の逆転機構は、処理対象とする紙葉類が1枚ずつの単紙葉類の場合には前記第2の搬送機構によって搬送方向に送る単紙葉類に伴って送られる他の単紙葉類を反搬送方向に戻すように回転し、処理対象とする紙葉類が複数枚綴られた綴り紙葉類の場合には前記第2の搬送機構とともに綴り紙葉類を搬送方向に送るように回転する第2の分離部を具備している
ことを特徴とする請求項1または2記載の紙葉類分離搬送装置。
【請求項4】
処理対象とする紙葉類が単紙葉類か綴り紙葉類かのモードを指定する操作部と、
この操作部で指定されたモードに応じて、前記第2の逆転機構の回転方向を制御する制御部とを具備している
ことを特徴とする請求項3記載の紙葉類分離搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−166876(P2012−166876A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27701(P2011−27701)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】