紙葉類収納箱及び紙葉類取扱装置
【課題】一度に多くの収納箱を安全に運搬することができる取っ手構造を備えた紙葉類収納箱及び紙葉類取扱装置を提供することを課題とする。
【解決手段】箱体の外面一側に備えられた紙葉類の収納繰出口と、収納繰出機構と、前記箱体の外面に起立傾倒自在に軸支される取っ手とを備えた紙葉類収納箱であって、前記取っ手の回動方向を、前記箱体の前記外面一側と前記外面他側との対向方向に設定し、前記取っ手の回動支持部を、前記箱体の前記外面中央より前記外面一側寄りに設け、前記取っ手の回動範囲を、取っ手の把持部が前記外面の他側に傾倒した傾倒位置から、前記把持部が、前記回動支持部を回動支点に起立した起立位置を越えて前記外面の一側に向かって回動し、該回動した把持部が少なくとも前記外面一側の周部上に至る傾斜位置までを含む構成とした紙葉類収納箱を構成する。
【解決手段】箱体の外面一側に備えられた紙葉類の収納繰出口と、収納繰出機構と、前記箱体の外面に起立傾倒自在に軸支される取っ手とを備えた紙葉類収納箱であって、前記取っ手の回動方向を、前記箱体の前記外面一側と前記外面他側との対向方向に設定し、前記取っ手の回動支持部を、前記箱体の前記外面中央より前記外面一側寄りに設け、前記取っ手の回動範囲を、取っ手の把持部が前記外面の他側に傾倒した傾倒位置から、前記把持部が、前記回動支持部を回動支点に起立した起立位置を越えて前記外面の一側に向かって回動し、該回動した把持部が少なくとも前記外面一側の周部上に至る傾斜位置までを含む構成とした紙葉類収納箱を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙幣や小切手等の紙葉類を取扱う紙葉類取扱装置に内部構成される紙葉類収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類の一例として紙幣を取扱う紙幣入出金機を例にとって説明する。
従来から金融機関等において使用される紙幣入出金機には、各種の紙幣収納箱(以降、単に収納箱と略す)が実装されている。具体的には、入金紙幣を収納する収納箱(入金庫)、出金用の紙幣を収納する収納箱(出金庫)、入出金兼用の紙幣を収納する収納箱(リサイクル庫)、入金庫やリサイクル庫に収納しない入金紙幣や出金庫から繰出された紙幣のうち出金しない紙幣を収納する収納箱(リジェクト庫)、リサイクル庫に補充する紙幣を繰出しリサイクル庫から回収する紙幣を収納する収納箱(装填回収庫)などがある。
【0003】
紙幣入出金機は、入金時に入金された紙幣を複数の収納箱に金種別に分けて収納し、出金時にはこれらの収納箱から必要な金種の紙幣を繰出して出金する入出金処理構造を有している。前記紙幣入出金機を運用して一日の業務が終了すると、金融機関等は該紙幣入出金機の機内に存在している紙幣をすべて収納箱に回収し、その回収した収納箱を係員が紙幣入出金機から取出して出納室や現金処理センタに運搬して保管している。また、始業時に係員は、収納箱を持ち運んで紙幣入出金機に収納操作している。このように取扱われる収納箱には係員が収納箱を持ち運ぶための取っ手が設けられている。
【0004】
この種の取っ手の一例として、収納箱(カセット)の両側面に取っ手の回動支持部を持ち、該回動支持部を支点に取っ手を起立傾倒自在に軸支したものが提案されている(例えば特許文献1参照)。このほかにも収納箱(紙幣カセット)の上面中央に、取っ手を固定して設置したものが提案されている(例えば特許文献2参照)。なお、括弧内は特許文献に記載された名称を示す。
【0005】
ところが、収納箱の上面に取っ手が固定されていると、該取っ手が収納箱と一体化して回動しないため、片手で1個の収納箱しか把持することができなかった。特に、紙幣入出金機には、通常3〜5個の収納箱が実装されており、これらの収納箱を紙幣入出金機からすべて持ち運ぶには、係員が何度も往復しなければならなかった。
【0006】
また、収納箱の持ち運び時に、係員が収納箱を脇に抱えたり、複数の収納箱を山積みにして無理に収納箱を運ぼうとした場合、収納箱を落下させてしまうおそれがあった。前記収納箱をぶつけたり、落下させるなどして、収納箱に強い衝撃が加わった場合、内部機構が変形したり破損したりするおそれがある。該収納箱の外観上から内部機構の変形や破損が分からなければ、収納箱をそのまま紙幣入出金機に実装してしまい、その後の紙幣入出金機の動作が不具合になって、入出金取引が中断してしまう問題があった。
【0007】
さらに、別の取っ手構造として箱上部の一側角部に、箱上面の背面側に、取っ手の回動支持部を備えた収納箱がある。該収納箱は持ち運びに際して、2個の収納箱を背面合わせすると、2個の収納箱の中央に両側の取っ手が揃うので、片手で2個の収納箱を一括して把持することができ、収納箱を効率よく持ち運びできるようにした収納箱が知られている(例えば特許文献3参照)。
【0008】
しかし、取っ手の回動支持部が収納箱上部の背面側角部にあるため、係員が取っ手を掴んで1個の収納箱を運搬しようとする場合、持ち上げられた収納箱の上面が正面側に傾き、収納箱は菱形状に傾いて吊り下げられ、収納箱を単独に運搬する場合には不安定な運搬となる。そして、この傾きが生じると、収納箱の内部に積層されている紙幣の集積姿勢が崩れやすくなる。例えば、内部に積層されている水平状態の一部の紙幣が垂直状態になって紙幣繰出時に動作不良を発生させる原因になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−263719号公報
【特許文献2】特開2003−203263号公報
【特許文献3】特開平7−329976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこでこの発明は、係員が片手で2個の収納箱を持ち運ぶ際に、収納箱が傾かないようにすることができる紙葉類収納箱及び紙葉類取扱装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、箱体の内部空間に紙葉類を厚さ方向に積層して収納する収納部と、前記箱体の外面一側に備えられた紙葉類の収納繰出口と、前記箱体に内蔵されて前記収納繰出口より紙葉類を収納または繰出す収納繰出機構と、前記箱体の外面に起立傾倒自在に回動支持される取っ手とを備えた紙葉類収納箱であって、前記取っ手の回動方向を、前記箱体の前記外面一側と前記外面他側との対向方向に設定し、前記取っ手の回動支持部を、前記箱体の前記外面中央より前記外面一側の収納繰出口寄りに設け、前記取っ手の回動範囲を、取っ手の把持部が前記外面の他側に傾倒した傾倒位置から、前記把持部が、前記回動支持部を回動支点に起立した起立位置を越えて前記外面の一側に向かって回動し、該回動した把持部が少なくとも前記外面一側の周部上に至る傾斜位置までを含む構成とした紙葉類収納箱であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、取っ手の回動軸支部を外面の中央より一側に寄って取り付けているため、取っ手が箱体の外面一側に向けて回動したとき、該取っ手の把持部を外面一側まで、あるいはそれ以上に外方へと長く突出させることができる。このため、取っ手の長さを十分に長くとることができる。したがって、2個の箱体を並列させた場合、両側より対向させた取っ手の把持部が山形ブリッジ状の突き合わせ状態となり、この山形ブリッジ状となった突き合わせ部分を係員が片手で一括して容易に把持することができ、片手で箱体を安定して持ち運ぶことができる。よって、係員は両手で左右に箱体を2個ずつ最大4個まで一括して持ち運ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】紙幣入出金機の内部構成図。
【図2】紙幣入出金機からの収納箱の引出状態を示す内部構成図。
【図3】収納箱の外観斜視図。
【図4】収納箱の概略側面図。
【図5】取っ手の傾倒状態の各例を示した収納箱の平面図。
【図6】両側の取っ手を片手で一括して把持可能な状態を示す概略側面図。
【図7】並列する収納箱の仕切状態を示す要部側面図。
【図8】収納箱の背面重ね合わせ状態を示す側面図。
【図9】並列面間の位置合せ部を備えた収納箱の外観斜視図。
【図10】薄型取っ手の一例を示す要部側面図。
【図11】取っ手の取付面が異なる一例を示す収納箱の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図面は紙幣入出金機に用いられる紙幣収納箱を示し、該紙幣収納箱の持ち運び効率を高めた実施形態を示す。
【実施例】
【0015】
図1はこの発明の一実施例を示す紙葉類取扱装置の一例である紙幣入出金機21の内部構造を表わしている。この紙幣入出金機21は、利用者が紙幣の受入部または放出部として紙幣の投入と取り出しを行う入出金口24と、紙幣の真偽及び金種を識別する識別部25と、入金した紙幣を取引成立までの間一時保管する一時保管庫26と、機内の上部側で紙幣を搬送する上部紙幣搬送路L1を備えた上部搬送機構22と、紙幣を収納する複数の紙葉類収納箱としての紙幣収納箱(以下、収納箱と称す)1と、前記収納箱1を横方向に一列に並べて載置する収納庫としての引出ユニット14と、機内の下部側で紙幣を搬送する下部紙幣搬送路L2を備えた下部紙幣機構23と、紙幣入出金機21の取引動作を制御する図示しない制御部とから構成される。
【0016】
図2は紙幣入出金機21から引き出される引出ユニット14とともに引き出される収納箱1の引き出し状態を示している。引出ユニット14は、上面を開放した箱形状を有し、図示しない下面の引出レールに沿って横方向にスライド自在に支持されている。そして、上面開放部から収納箱1が各区画された箱収納部に対し着脱自在に収納される。よって、紙幣入出金機21から引出ユニット14が引き出されると、該引出ユニット14に並列して載置されている各収納箱1も一括して引き出される。この引出ユニット14内では、各収納箱1が幅狭方向に並列配置されている。
【0017】
図3(a)は正面側から見た収納箱1の外観斜視図、図3(b)は背面側から見た収納箱1の外観斜視図、図4は収納箱1に積層された紙幣5の積層状態を示す内部構成図である。
前記収納箱1は、平面視長方形状の縦長の中空箱体である。該収納箱1の外周囲のうち、箱体の外面他側として幅広面となる前面を箱正面10とし、その両側の幅狭面を箱側面11とし、箱体の外面一側として幅広面となる後面を箱背面12とし、箱体の外面としての上面を箱上面13としている。
【0018】
箱正面10には、図3(a)に矢印2aで示すように、片開き式に開閉する扉2を備えている。この扉2は収納箱内部への紙幣5の装填操作、または取出し操作時に開閉される。箱上面13には、図3(a)及び図4にも示すように、収納繰出口3と、取っ手6と、コ型凹部7と、傾斜係止面13aを備えている。
【0019】
前記収納繰出口3は、箱上面13の背面側に沿って細長く開口して設け、紙幣5を1枚ずつ収納または繰出す兼用口として設けられている。この収納繰出口3と対応する収納箱1の内部には、図4に示すように、収納繰出機構4が内蔵されている。
【0020】
該収納繰出機構4は、複数の搬送ローラ4aや搬送ガイド部材4bにより構成され、収納繰出口3より紙幣5を収納または繰出すのに近い上方の収納繰出口3寄りに設けられている。ことに、該収納繰出機構4は、硬貨のような重量のある媒体とは異なり、薄くて軽い紙幣を破損しないように1枚ずつ確実に収納または繰出す搬送構造を要することから重量があり、この重い収納繰出機構4は収納箱1内で収納繰出口3側寄りに配置されて、収納箱1の重心が前記収納繰出口3側寄りに変位している。また、収納箱1の内部には多数枚の紙幣5を厚さ方向(上下方向)に積層する収納空間としての収納部8が設けられている。
【0021】
前記取っ手6は、係員が持ち運ぶのに適したコの字形状を有して、取っ手取付用の外面として設けられる箱上面13に起立傾倒自在に取り付けられている。この取っ手6の回動方向は、箱上面13における箱正面10側と箱背面12側とが対向する対向方向に設定され、この方向に取っ手6が起立傾倒される。
【0022】
さらに、取っ手6の回動支持部6aの位置を、箱上面13の中央より収納繰出口3側寄りにずらせた位置に設定し、この位置で取っ手6のコ型両片に該当する両側の回動アームHの端部を箱上面13に回動自由に軸支している。この回動支持部6aにおける回動支持構造は、取っ手6のコ型両片と箱上面13とが対向する支持位置の例えば取っ手6側に軸体を設け、これと対応する箱上面13側に軸孔を設けて軸支することにより、箱上面13上まで取っ手6を正転方向または逆転方向に回動自由に軸支する。
【0023】
また、回動支持部6aは、箱上面13の中央より収納繰出口3側寄りにずらせた位置に設定して、前記した収納繰出機構4が重いことに基づいて変位した収納箱1の重心G(図5参照)と対応する位置で該収納箱1を支持するように設けている。
【0024】
さらに、取っ手6は回動範囲を、回動始端部となる傾倒位置(0度)Aから回動中間部となる起立位置(90度)Bを経由して回動終端部となる傾斜位置(例えば135度)Cに至るまでの間としている。
【0025】
前記取っ手6の両側の回動アームHは、図5(a)に示すように、収納箱1の平面視短辺方向に回動可能に軸支されている。さらに、該回動アームHの長さH1は回動支持部6aから箱正面10までの一方の短辺長さと同じ長さを有している。そして、回動支持部6aから箱背面12までの他方の短辺長さH2よりも該回動アームHの長さH1が長くなるように配置した位置関係にある。
【0026】
よって、回動アームHの長さH1が一方の短辺長さと同じ長さであるため、回動アームHが箱正面10側に回動しても箱上面13の実装面上に留まり、取っ手6の最も外側に位置する把持部6bが箱正面10側の外方に突出することはない(図5a〜図5dの各傾倒位置A参照)。また、回動アームHが箱背面12側に回動すると、回動アームHの長さH1が他方の短辺長さH2より長いため、取っ手6の最も外側に位置する把持部6bが箱背面12側の上方位置で持ち手用空間F(図6参照)を確保でき、さらに箱背面12より外方に突出することが可能になる。
【0027】
前記把持部6bは、コ型両片の前記回動アームH間をつなぐ直棒部分に該当し、この部分が係員により把持される。また、把持部6bはどの回動位置にあっても箱上面13と常に平行となる位置関係にある。
【0028】
前記傾倒位置Aとは、該取っ手6の把持部6bが回動支持部6aを回動支点に回動し、箱上面13における箱正面10側に傾倒して水平状態に至った位置である。
起立位置Bとは、把持部6bが回動支持部6aを回動支点に垂直に起立した位置である。
傾斜位置Cとは、前記起立位置Bを越えて箱背面12側に向かって回動し、該回動した把持部6bが、箱上面13の箱背面12側の周部上を越えて外方へ傾斜突出した位置である。
【0029】
前記傾倒位置Aにおいて、傾倒姿勢の取っ手6と対応する箱上面13にはコ型凹部7(図3参照)を形成している。このコ型凹部7は箱上面13の周部に沿う箱正面10とその両側の箱側面11とをコ型形状の凹部に切欠いて設けている。このコ型凹部7の凹部空間に対して同コ型形状の取っ手6が傾倒時にコ型凹部7に格納されるように水平に傾倒する。
【0030】
この場合、取っ手6の周部は、図5(a)に示すように、コ型両片間の把持部6b長さWとコ型両片の回動アームH長さH1とが、箱上面13の周部に沿う大きさであり、箱上面13の周部より外側にはみ出さないように形成されている。また、取っ手6のコ型部分だけでなく取っ手6や回動支持部6aも箱上面13の実装面内の領域に、はみ出さないように形成している。したがって、収納箱1を運搬する時や収納箱1を紙幣入出金機21に着脱する際に、取っ手6が障害物と接触することを回避することができる。
【0031】
前記取っ手6は、図5(b)〜(d)にも示すように、各種のコ型形状の形成例が考えられる。図5(b)は取っ手6のコ型幅を狭めた例を示し、図5(c)は取っ手6のコ型両片の長さを短くした例を示し、図5(d)は取っ手6のコ型幅とコ型両片とをそれぞれ短くした例を示している。
【0032】
また、図5(d)のように取っ手6の回動アームHの長さH1を短くした場合であっても、該回動アームHの長さH1は、他方の短辺長さH2よりも長い位置関係にある。このため、回動アームHが箱正面10側に回動しても箱上面13の実装面上に留まるが、回動アームHが箱背面12側に回動したときは、回動アームHの長さH1が他方の短辺長さH2より長いため、取っ手6の最も外側に位置する把持部6bが箱背面12側よりも外方に突出する。
【0033】
なお、取っ手6の不使用時には、取っ手6を傾倒位置Aに倒しておくのが好ましいため、取っ手6が自動的に傾倒位置Aに傾倒されて納まるよう、取っ手6にバネなどの弾性体を取り付けてもよい。
【0034】
さらに、コ型凹部7の深さは、該コ型凹部7に取っ手6が傾倒した傾倒位置Aで箱上面13の上面高さと、取っ手6の傾倒した上面高さとが略同高さになる凹部深さに形成されている。これにより、取っ手6は箱上面13より突出しなくなり、収納箱1の実装面内に取っ手6を格納させて傾倒させることができる。なお、収納箱1が引出ユニット14に収納されている場合は、取っ手6が傾倒位置Aにあって、機内の搬送部材等とは干渉しない。
【0035】
前記起立位置Bは、箱上面13に取っ手6を垂直に起立させた位置であり、この起立位置Bで係員が取っ手6を手提げ状態に掴んで持ち運ぶものである。この起立位置Bにおいて、取っ手6は収納箱1の重心位置上に立ち上がる。よって、係員が取っ手6を掴んで収納箱1を持ち上げた際に、収納箱1が持ち運ばれる姿勢は真っ直ぐでバランスがとれているため、垂直な姿勢を維持して傾かなくなり、収納箱1の安全な運搬を確保できる。
【0036】
前記傾斜位置Cは、取っ手6の回動終端部となる傾斜角度を位置決めする位置であり、2個の収納箱1を片手で一括して持ち運ぶ場合、そのときの片方の取っ手6(図6では左側の取っ手に該当する)に対応して係止させる位置である。この傾斜位置Cは位置決め手段としての傾斜係止面13aにより形成される。
【0037】
前記傾斜係止面13aは、箱上面13の背面側寄りで、取っ手6のコ型両片に係止対応する回動支持部6a近傍の位置に傾斜突出して形成している。この傾斜係止面13aの傾斜角度は、図6にも示すように、2個の収納箱1を並列配置した時に、両側の取っ手6の把持部6bが山形ブリッジ状に互いに突き合わすことができる傾斜角度に設定している。
【0038】
具体的には、図6において並列配置された収納箱1のうち、左側の収納箱1の取っ手6が箱背面12側に向けて大きく左回動方向に回動し、この回動した取っ手6のコ型両片が傾斜係止面13aに当接して回動規制されることで傾斜位置Cに位置決め係止される。この傾斜位置Cに位置決めされた取っ手6の把持部6bに対し、図6において、右側の収納箱1の取っ手6の把持部6bを傾倒位置Aから右回動方向に回動させて、若干立ち上がった傾斜位置の時点で互いに把持部6b同士が山形ブリッジ状に突き合わさった傾斜姿勢で対向するとともに、山形ブリッジ状の下方には一括把持に適した持ち手用空間Fが形成される。
【0039】
このとき、両側の把持部6bの回動軌跡Dが当接する位置で、互いに回動する該両側の把持部6bが、ある一点で突き合わさった状態に当接する。このため、両側の取っ手6の一括把持位置が特定される。この一括把持位置では、両側の回動支持部6aが突き合わさった一か所の部分で並列状態に揃い、2個の収納箱1を片手で一括して持ち運ぶことが可能になる。
【0040】
さらに、一括把持位置で突き合わさる両把持部6bの当接面が垂直面で突き合わさるように、把持部6bの外表面を逆V字形状に突出して形成し、その逆V字形状の片側の傾斜面同士が当接時に垂直に平面対接する平面対接面6cとなる。この平面対接面6cを形成することにより、両取っ手6の把持部6bが対向したときは、互いの平面対接面6cが平面対接して両取っ手6による山形ブリッジ及び持ち手用空間Fを容易に形成し、またその状態を安定して維持することができる。
【0041】
さらに、一括把持位置は、取っ手6が収納箱1の重心位置上に取り付けられているため、両側の収納箱1の中間位置で一括把持する場合であっても、該一括把持位置では2個の収納箱の重心位置上になり、安定した持ち運びが可能になる。
【0042】
図7(a)にも示すように、縦型の収納構造を有する引出ユニット14に収納される各収納箱1は、同じ向きになるよう並列して収納されている。このため、引出ユニット14から外方に取り出される収納箱1、あるいは引出ユニット14へと収納される収納箱1は、着脱姿勢を変えることなく、そのままの姿勢で収納箱1を着脱操作することができる。また、着脱姿勢を変えることなく、そのままの並列姿勢で2個の収納箱1を一括して着脱することができ、また2個の収納箱1を一括して運搬することができる。
【0043】
図7(b)では収納箱1の着脱操作をより一層高めた構成例を示している。まず、引出ユニット14の収納箱1間を仕切る仕切板14aの高さを低くして設置する。該仕切板14aの高さを低くしたことにより、該仕切板14aの上方では遮るものがなくなり、両収納箱1の上部で対向する垂直な箱正面10と箱背面12とを平面対接させて安定した並列状態を保つことができる。
【0044】
具体的には、収納箱1の中間高さ程度の仕切板14aを、引出ユニット14の各収納箱1を区画する箱仕切位置14bに設置し、該仕切板14aで並列する収納箱1の下部間を仕切るように設けている。一方、箱仕切位置14bに仕切板14aが介在しない並列する収納箱1の上部間では、互いに対向する仕切方向の上部対向面1a同士が平面対接するように突出させて構成している。
【0045】
この平面対接構造とすることにより、並列する収納箱1間での上部対向隙間が無くなり、2個の収納箱1が並列配置された状態では予め対面した収納状態となる。このため、2個の収納箱1を一体化した状態にして、そのままの姿勢で一括して着脱できる。また、対面させることで、2個一括での着脱がより安定する。
【0046】
次に、このように構成された収納箱1を係員が着脱及び持ち運びする動作について説明する。
金融機関等において、紙幣入出金機21を運用して一日の業務が終了すると、該紙幣入出金機21の機内に存在している紙幣5をすべて収納箱1に回収する。回収後は、各収納箱1を係員が紙幣入出金機21から取り出す。
【0047】
この収納箱1を取り出す場合、図2に示すように、紙幣入出金機21の図示しない本体扉を開けて、例えば開放された開口部から引出ユニット14を引き出す。この引き出された引出ユニット14に収納されている収納箱1は、各取っ手6が傾倒位置Aに傾倒した収納セット状態にある。
【0048】
これらの収納箱1を収納している引出ユニット14から片手で2個の収納箱1を一括して取り出す場合は、図6に示すように、まず、左側の収納箱1の取っ手6を右回動させて、傾倒位置Aから起立させ、さらに起立位置Bを越えた傾斜位置Cに至ると、取っ手6は傾斜係止面13aに当接して位置決めされる。このとき、把持部6bは一括把持位置の傾斜角度で回動係止される。
【0049】
続いて、右側の収納箱1の取っ手6を右回動させて、傾倒位置Aから把持部6bを左側の取っ手6の把持部6bと対向する一括把持位置まで回動させて、両側より互いの把持部6bを山形ブリッジ状に突き合わせた状態に対向させる。このとき、互いの把持部6bの平面対接面6cが垂直に平面対接するので、両側の取っ手6は安定した山形ブリッジ状を維持する。また、その山形ブリッジ状の下方に手を入れ易い持ち手用空間Fが形成される。
【0050】
これにより、係員は山形ブリッジ状に傾斜対向している両側の取っ手6の一括把持位置(両把持部6b)を片手で掴んで一括して把持することができる。したがって、係員が2個の収納箱1を片手で掴んで引き上げることで、引出ユニット14から収納箱1を2個ずつ取り出すことができる。
【0051】
ここで、2個の収納箱1を片手で安定して取り出す条件を考察してみると、係員が取っ手6を持って収納箱1を持ち上げる場合、その取っ手6の回動支持部6aの位置が収納箱1の重心Gに対応した位置に取り付けられていれば、収納箱1は傾かず、バランスのとれた垂直な姿勢を保って取り出すことが可能になる。
【0052】
したがって、図6に示すように、2個の収納箱1を片手で一括して取り出す場合にあっても、両側の収納箱1は単独でそれぞれ回動支持部6aの位置と重心Gの位置とが対応しているため両側の重心位置上からの把持部6bの両回動軌跡Dが当接する一点が一括把持位置となり、両側の把持部6bを突き合わせた山形ブリッジ状の一括把持位置を掴めば2個の収納箱1の重心がとれた位置からの取り出しとなる。
【0053】
このように、収納箱1の重心Gに対応した位置の回動支持部6aは、箱上面13の中央ではなく、収納繰出口3側に寄って変位しているため、この回動支持部6aを支点とする把持部6bの回動軌跡Dは箱背面12の外方に向けてさらに回動させることができる。つまり、並列する2個の収納箱1の重心位置が変位していても、その変位した2個の収納箱1の位置まで把持部6bを回動させることができるという取っ手6の長さ(回動アームHの長さH1)を確保することが重要であり、この取っ手6の長さを十分に長くできることを可能にしたことにより、上述の条件を満たしたものである。
【0054】
そして、収納箱1の持ち運び時には、取っ手6の長さが十分に足りているため、片手で両収納箱1を吊り下げても傾かない。つまり、取っ手長さ不足のために両収納箱1の上部が内向きに引っ張られて、両収納箱1の下部間が開くようなことが解消される。このため、両収納箱1を運んでも不安定に揺れることがなく、バランスがとれた垂直状態を保つことができる。さらに、片手で2個ずつ持てば、係員1人で最大4個の収納箱1を一度に持ち運ぶことができる。
【0055】
さらに、係員は不安定な持ち運び姿勢を発生させる原因がないので、収納箱1が係員の足などに接触せず、また収納箱1を落下させたり、ぶつけたりするようなおそれもなくなる。さらに、取っ手6やその把持部6bは収納箱1の実装面内に納まるため、運搬時に取っ手6を障害物等にぶつけるおそれがなくなる。よって、内部機構が変形したり破損したりするおそれもなくなる。また、紙幣の積層状態が崩れ難くなるので、収納箱1を用いたその後の紙幣の入出金取引動作が安定する。さらに、収納箱1を保管する場合においても、収納箱1の上面に取っ手6が突出しないため箱上面13に平面が得られ、山積みが可能になる。
【0056】
さらに、両収納箱1を引出ユニット14に収納する場合においても、同様に山形ブリッジ状の一括把持位置の把持部6bを片手で掴んで引出ユニット14の開放された上方からそのまま垂直に下ろせば、両収納箱1は垂直な姿勢を維持し、傾かないので容易に両収納箱1を引出ユニット14内に収納させることができる。
【0057】
また、収納箱1を単独で着脱する場合や持ち運ぶ場合にあっても、収納箱1の重心に対応した把持部6bでの重心がとれているため、そのまま垂直に引き上げれば、傾かずに取り出すことができる。そして、持ち運ぶ場合も傾かず、安全で信頼性の高い安定した持ち運びができる。さらに、引出ユニット14に収納する場合も、取っ手6を起立位置Bで掴んで引出ユニット14内に真っ直ぐ下ろせば、そのままの姿勢で収納させることができる。よって、収納位置合わせに手間がかからず、また収納方向を変えるような操作も要せず、簡単に収納できる。
【0058】
次に、両収納箱1の運搬時における収納繰出口3の保護を図った取っ手6の構成例を、図8を参照して説明する。
両側の収納箱1を背面合わせし、そのとき取っ手6の把持部6bを箱背面12の鉛直上まで傾斜した対称傾斜位置Eに係止されるように回動規制手段としての傾斜係止面13aを形成すれば、取っ手6は箱背面12の鉛直上よりも箱背面12の周部を越えて回動することはない。このため、箱背面12同士を対面させると、両収納箱1の対接面上において両取っ手6の把持部6bを突き合わせた山形ブリッジ状の一括把持部を形成することができる。
【0059】
前記両収納箱1の配設する向きを箱正面10同士、または箱正面10と箱背面12を対面させても、両側の取っ手6の把持部6bは対向部間が非対称で離れているため、山形ブリッジ状を構成することができず、両把持部6bを片手で一括して持つことができない。
【0060】
このため、片手で2個の収納箱1を一括して持つ場合は、必ず箱背面12が対面した並列配置状態となる。つまり、把持部6bの回動軌跡Dが同高さの一点で当接するので係員は両側の把持部6bを一括して把持することができる。このように背面同士を対向させた配置構成では、箱背面12側に位置する収納繰出口3同士が内向きに対向し、並列配置した収納箱1の内側になって保護された状態となり、収納繰出口3に備えられている櫛歯状の爪等が運搬中に外部の部材とぶつからず、外部の衝撃から保護した持ち運びができる。
【0061】
さらに、2個の収納箱1を背面合わせした状態では、両側の取っ手6がそれぞれ適切な同じ角度で止まるため、把持し易い左右対称の山形ブリッジ状を形成する。さらに、両側より対向する把持部6bの互いの接触部分を平面的に密着するように対向させれば、両側の取っ手6が位置ずれしなくなり、両側の収納箱1を安定して対接させることができる。
【0062】
ことに、係員が両側の取っ手6を回動させて山形ブリッジを構築しようとする場合、例えば左側の把持部6bが左側の傾斜係止面13aにより回動規制されて回動軌跡D上の一点で止まる。これに対向する右側の把持部6bも同様に右側の傾斜係止面13aにより回動規制されて回動軌跡D上の一点で止まる。これにより、両側の把持部6bは自ずと同じ傾斜角度で同じ高さ位置に対向して適切な一括把持位置にセットすることができる。
【0063】
前記取っ手6の把持部6bの形状は、直棒形状のほかに、波形状に設けて把持し易くしてもよい。また、断面円柱形も考えられるが、断面円柱形では両側の把持部6bの接触部分が円弧面で接触して点接触になる。よって、より安定した状態で運搬するには、把持部6b同士の互いが面接触で突き合わされるよう形成されているほうがよい。また、取っ手6の把持部6b間に隙間がある構造としてもよいが、より安定した状態で運搬するには、把持部6b同士を突き合わせて接触している構造が好ましい。
【0064】
図9(a)は箱正面10側に形成されている位置ずれ防止機構15を示す収納箱1の外観斜視図、図9(b)は箱背面12側に形成されている位置ずれ防止機構15を示す収納箱1の外観斜視図である。
【0065】
前記位置ずれ防止機構15は、収納箱1を並列配置した際に、互いに対向する収納箱1の箱正面10と箱背面12との対向面間において、位置ずれ防止用の一対の凹部15aと凸部15bを箱正面10と箱背面12とに形成して、それぞれ嵌め合い可能な形状に設けたものである。図9においては、左右一対の凹部15aと凸部15bを形成している。また、収納箱1の対向面に限らず、取っ手6の把持部6b同士の対向面を凹凸対応させて設けてもよい。さらに、これらの凹部15aや凸部15bは、四角、台形、円形などからなる凹凸を対応させる構成、S字溝やV字溝を対応させる構成、あるいはフック形状のような構成でもよい。このように、位置ずれ防止機構15として、両収納箱1間における対接面の一部を凹凸形状に嵌合対応させることで、収納箱1同士を定位置に密着させて、より安定した結合状態を維持できるため、持ち運びがし易くなる。
【0066】
図10は薄型の取っ手6を用いて収納箱1の高さを低くするようコンパクト化を図った構成例を示している。前記薄型の取っ手6は、傾倒位置Aにおいて取っ手6が水平に傾倒した状態で、該取っ手6を薄肉(図10ではコ型両片の薄型化を示している)にして該取っ手6の介在スペースを縮小化している。これにより、収納箱1の高さを若干低くして収納箱1のコンパクト化を図っている。すなわち、取っ手6を薄肉にしている分だけ収納箱1内部の構造を上方に移動させて、収納空間を大きくとることができる。
【0067】
図11は取っ手6の各種の取り付け例を示している。図11(a)は取っ手6を箱側面11に取り付けた構成例である。この場合は、収納箱1の箱側面11に位置する取っ手6を掴んで収納箱1を水平方向に進退させて、この水平方向より着脱する横型の収納構造の場合に適用することができる。また、横型の収納構造であっても収納箱1を並列配置した状態から、両側の取っ手6の把持部6bを山形ブリッジ状に突き合わせた状態に対向させれば、片手で一括して把持することができる。この場合も、片手で2個の収納箱1を着脱操作することができる。
【0068】
図11(b)は横長の収納箱1の上面に取っ手6を有する場合を示し、収納箱1を横長の状態で使用される場合に適用することができる。この場合も同様に収納箱1を並列すれば、片手で2個の収納箱1を着脱操作及び運搬することができる。
【0069】
以上説明したように、この発明の収納箱1を用いれば、係員が取っ手6を持って収納箱1を着脱する場合、その取っ手6の回動支持部6aの位置が収納箱1の重心Gに対応した位置に取り付けられているため、収納箱1は傾かず、バランスのとれた垂直な姿勢を保って着脱することができる。したがって、2個の収納箱1を片手で一括して着脱する場合であっても、両側の収納箱1の各重心位置上からの把持部6bの両回動軌跡Dが当接する一点が一括把持位置となり、両側の把持部6bを突き合わせた山形ブリッジ状の一括把持位置を掴めば2個の収納箱1の重心がとれた位置からの一括した着脱操作ができる。このため、片手で2個の収納箱1を効率よく一括して着脱及び持ち運ぶことができる。その際に、収納箱1は吊支状態で重心がとれて傾かず、安全に着脱及び持ち運ぶことが可能になる。また、2個の収納箱運搬時には両手が塞がって不自由になることがなく、また最大4個まで一度に持ち運ぶことができる。
【符号の説明】
【0070】
1…収納箱
3…収納繰出口
4…収納繰出機構
5…紙幣
6…取っ手
6a…回動支持部
6b…把持部
10…箱正面
11…箱側面
12…箱背面
13…箱上面
13a…傾斜係止面
14…引出ユニット
14a…仕切板
A…傾倒位置
B…起立位置
C…傾斜位置
D…回動軌跡
E…対称傾斜位置
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙幣や小切手等の紙葉類を取扱う紙葉類取扱装置に内部構成される紙葉類収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類の一例として紙幣を取扱う紙幣入出金機を例にとって説明する。
従来から金融機関等において使用される紙幣入出金機には、各種の紙幣収納箱(以降、単に収納箱と略す)が実装されている。具体的には、入金紙幣を収納する収納箱(入金庫)、出金用の紙幣を収納する収納箱(出金庫)、入出金兼用の紙幣を収納する収納箱(リサイクル庫)、入金庫やリサイクル庫に収納しない入金紙幣や出金庫から繰出された紙幣のうち出金しない紙幣を収納する収納箱(リジェクト庫)、リサイクル庫に補充する紙幣を繰出しリサイクル庫から回収する紙幣を収納する収納箱(装填回収庫)などがある。
【0003】
紙幣入出金機は、入金時に入金された紙幣を複数の収納箱に金種別に分けて収納し、出金時にはこれらの収納箱から必要な金種の紙幣を繰出して出金する入出金処理構造を有している。前記紙幣入出金機を運用して一日の業務が終了すると、金融機関等は該紙幣入出金機の機内に存在している紙幣をすべて収納箱に回収し、その回収した収納箱を係員が紙幣入出金機から取出して出納室や現金処理センタに運搬して保管している。また、始業時に係員は、収納箱を持ち運んで紙幣入出金機に収納操作している。このように取扱われる収納箱には係員が収納箱を持ち運ぶための取っ手が設けられている。
【0004】
この種の取っ手の一例として、収納箱(カセット)の両側面に取っ手の回動支持部を持ち、該回動支持部を支点に取っ手を起立傾倒自在に軸支したものが提案されている(例えば特許文献1参照)。このほかにも収納箱(紙幣カセット)の上面中央に、取っ手を固定して設置したものが提案されている(例えば特許文献2参照)。なお、括弧内は特許文献に記載された名称を示す。
【0005】
ところが、収納箱の上面に取っ手が固定されていると、該取っ手が収納箱と一体化して回動しないため、片手で1個の収納箱しか把持することができなかった。特に、紙幣入出金機には、通常3〜5個の収納箱が実装されており、これらの収納箱を紙幣入出金機からすべて持ち運ぶには、係員が何度も往復しなければならなかった。
【0006】
また、収納箱の持ち運び時に、係員が収納箱を脇に抱えたり、複数の収納箱を山積みにして無理に収納箱を運ぼうとした場合、収納箱を落下させてしまうおそれがあった。前記収納箱をぶつけたり、落下させるなどして、収納箱に強い衝撃が加わった場合、内部機構が変形したり破損したりするおそれがある。該収納箱の外観上から内部機構の変形や破損が分からなければ、収納箱をそのまま紙幣入出金機に実装してしまい、その後の紙幣入出金機の動作が不具合になって、入出金取引が中断してしまう問題があった。
【0007】
さらに、別の取っ手構造として箱上部の一側角部に、箱上面の背面側に、取っ手の回動支持部を備えた収納箱がある。該収納箱は持ち運びに際して、2個の収納箱を背面合わせすると、2個の収納箱の中央に両側の取っ手が揃うので、片手で2個の収納箱を一括して把持することができ、収納箱を効率よく持ち運びできるようにした収納箱が知られている(例えば特許文献3参照)。
【0008】
しかし、取っ手の回動支持部が収納箱上部の背面側角部にあるため、係員が取っ手を掴んで1個の収納箱を運搬しようとする場合、持ち上げられた収納箱の上面が正面側に傾き、収納箱は菱形状に傾いて吊り下げられ、収納箱を単独に運搬する場合には不安定な運搬となる。そして、この傾きが生じると、収納箱の内部に積層されている紙幣の集積姿勢が崩れやすくなる。例えば、内部に積層されている水平状態の一部の紙幣が垂直状態になって紙幣繰出時に動作不良を発生させる原因になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−263719号公報
【特許文献2】特開2003−203263号公報
【特許文献3】特開平7−329976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこでこの発明は、係員が片手で2個の収納箱を持ち運ぶ際に、収納箱が傾かないようにすることができる紙葉類収納箱及び紙葉類取扱装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、箱体の内部空間に紙葉類を厚さ方向に積層して収納する収納部と、前記箱体の外面一側に備えられた紙葉類の収納繰出口と、前記箱体に内蔵されて前記収納繰出口より紙葉類を収納または繰出す収納繰出機構と、前記箱体の外面に起立傾倒自在に回動支持される取っ手とを備えた紙葉類収納箱であって、前記取っ手の回動方向を、前記箱体の前記外面一側と前記外面他側との対向方向に設定し、前記取っ手の回動支持部を、前記箱体の前記外面中央より前記外面一側の収納繰出口寄りに設け、前記取っ手の回動範囲を、取っ手の把持部が前記外面の他側に傾倒した傾倒位置から、前記把持部が、前記回動支持部を回動支点に起立した起立位置を越えて前記外面の一側に向かって回動し、該回動した把持部が少なくとも前記外面一側の周部上に至る傾斜位置までを含む構成とした紙葉類収納箱であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、取っ手の回動軸支部を外面の中央より一側に寄って取り付けているため、取っ手が箱体の外面一側に向けて回動したとき、該取っ手の把持部を外面一側まで、あるいはそれ以上に外方へと長く突出させることができる。このため、取っ手の長さを十分に長くとることができる。したがって、2個の箱体を並列させた場合、両側より対向させた取っ手の把持部が山形ブリッジ状の突き合わせ状態となり、この山形ブリッジ状となった突き合わせ部分を係員が片手で一括して容易に把持することができ、片手で箱体を安定して持ち運ぶことができる。よって、係員は両手で左右に箱体を2個ずつ最大4個まで一括して持ち運ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】紙幣入出金機の内部構成図。
【図2】紙幣入出金機からの収納箱の引出状態を示す内部構成図。
【図3】収納箱の外観斜視図。
【図4】収納箱の概略側面図。
【図5】取っ手の傾倒状態の各例を示した収納箱の平面図。
【図6】両側の取っ手を片手で一括して把持可能な状態を示す概略側面図。
【図7】並列する収納箱の仕切状態を示す要部側面図。
【図8】収納箱の背面重ね合わせ状態を示す側面図。
【図9】並列面間の位置合せ部を備えた収納箱の外観斜視図。
【図10】薄型取っ手の一例を示す要部側面図。
【図11】取っ手の取付面が異なる一例を示す収納箱の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図面は紙幣入出金機に用いられる紙幣収納箱を示し、該紙幣収納箱の持ち運び効率を高めた実施形態を示す。
【実施例】
【0015】
図1はこの発明の一実施例を示す紙葉類取扱装置の一例である紙幣入出金機21の内部構造を表わしている。この紙幣入出金機21は、利用者が紙幣の受入部または放出部として紙幣の投入と取り出しを行う入出金口24と、紙幣の真偽及び金種を識別する識別部25と、入金した紙幣を取引成立までの間一時保管する一時保管庫26と、機内の上部側で紙幣を搬送する上部紙幣搬送路L1を備えた上部搬送機構22と、紙幣を収納する複数の紙葉類収納箱としての紙幣収納箱(以下、収納箱と称す)1と、前記収納箱1を横方向に一列に並べて載置する収納庫としての引出ユニット14と、機内の下部側で紙幣を搬送する下部紙幣搬送路L2を備えた下部紙幣機構23と、紙幣入出金機21の取引動作を制御する図示しない制御部とから構成される。
【0016】
図2は紙幣入出金機21から引き出される引出ユニット14とともに引き出される収納箱1の引き出し状態を示している。引出ユニット14は、上面を開放した箱形状を有し、図示しない下面の引出レールに沿って横方向にスライド自在に支持されている。そして、上面開放部から収納箱1が各区画された箱収納部に対し着脱自在に収納される。よって、紙幣入出金機21から引出ユニット14が引き出されると、該引出ユニット14に並列して載置されている各収納箱1も一括して引き出される。この引出ユニット14内では、各収納箱1が幅狭方向に並列配置されている。
【0017】
図3(a)は正面側から見た収納箱1の外観斜視図、図3(b)は背面側から見た収納箱1の外観斜視図、図4は収納箱1に積層された紙幣5の積層状態を示す内部構成図である。
前記収納箱1は、平面視長方形状の縦長の中空箱体である。該収納箱1の外周囲のうち、箱体の外面他側として幅広面となる前面を箱正面10とし、その両側の幅狭面を箱側面11とし、箱体の外面一側として幅広面となる後面を箱背面12とし、箱体の外面としての上面を箱上面13としている。
【0018】
箱正面10には、図3(a)に矢印2aで示すように、片開き式に開閉する扉2を備えている。この扉2は収納箱内部への紙幣5の装填操作、または取出し操作時に開閉される。箱上面13には、図3(a)及び図4にも示すように、収納繰出口3と、取っ手6と、コ型凹部7と、傾斜係止面13aを備えている。
【0019】
前記収納繰出口3は、箱上面13の背面側に沿って細長く開口して設け、紙幣5を1枚ずつ収納または繰出す兼用口として設けられている。この収納繰出口3と対応する収納箱1の内部には、図4に示すように、収納繰出機構4が内蔵されている。
【0020】
該収納繰出機構4は、複数の搬送ローラ4aや搬送ガイド部材4bにより構成され、収納繰出口3より紙幣5を収納または繰出すのに近い上方の収納繰出口3寄りに設けられている。ことに、該収納繰出機構4は、硬貨のような重量のある媒体とは異なり、薄くて軽い紙幣を破損しないように1枚ずつ確実に収納または繰出す搬送構造を要することから重量があり、この重い収納繰出機構4は収納箱1内で収納繰出口3側寄りに配置されて、収納箱1の重心が前記収納繰出口3側寄りに変位している。また、収納箱1の内部には多数枚の紙幣5を厚さ方向(上下方向)に積層する収納空間としての収納部8が設けられている。
【0021】
前記取っ手6は、係員が持ち運ぶのに適したコの字形状を有して、取っ手取付用の外面として設けられる箱上面13に起立傾倒自在に取り付けられている。この取っ手6の回動方向は、箱上面13における箱正面10側と箱背面12側とが対向する対向方向に設定され、この方向に取っ手6が起立傾倒される。
【0022】
さらに、取っ手6の回動支持部6aの位置を、箱上面13の中央より収納繰出口3側寄りにずらせた位置に設定し、この位置で取っ手6のコ型両片に該当する両側の回動アームHの端部を箱上面13に回動自由に軸支している。この回動支持部6aにおける回動支持構造は、取っ手6のコ型両片と箱上面13とが対向する支持位置の例えば取っ手6側に軸体を設け、これと対応する箱上面13側に軸孔を設けて軸支することにより、箱上面13上まで取っ手6を正転方向または逆転方向に回動自由に軸支する。
【0023】
また、回動支持部6aは、箱上面13の中央より収納繰出口3側寄りにずらせた位置に設定して、前記した収納繰出機構4が重いことに基づいて変位した収納箱1の重心G(図5参照)と対応する位置で該収納箱1を支持するように設けている。
【0024】
さらに、取っ手6は回動範囲を、回動始端部となる傾倒位置(0度)Aから回動中間部となる起立位置(90度)Bを経由して回動終端部となる傾斜位置(例えば135度)Cに至るまでの間としている。
【0025】
前記取っ手6の両側の回動アームHは、図5(a)に示すように、収納箱1の平面視短辺方向に回動可能に軸支されている。さらに、該回動アームHの長さH1は回動支持部6aから箱正面10までの一方の短辺長さと同じ長さを有している。そして、回動支持部6aから箱背面12までの他方の短辺長さH2よりも該回動アームHの長さH1が長くなるように配置した位置関係にある。
【0026】
よって、回動アームHの長さH1が一方の短辺長さと同じ長さであるため、回動アームHが箱正面10側に回動しても箱上面13の実装面上に留まり、取っ手6の最も外側に位置する把持部6bが箱正面10側の外方に突出することはない(図5a〜図5dの各傾倒位置A参照)。また、回動アームHが箱背面12側に回動すると、回動アームHの長さH1が他方の短辺長さH2より長いため、取っ手6の最も外側に位置する把持部6bが箱背面12側の上方位置で持ち手用空間F(図6参照)を確保でき、さらに箱背面12より外方に突出することが可能になる。
【0027】
前記把持部6bは、コ型両片の前記回動アームH間をつなぐ直棒部分に該当し、この部分が係員により把持される。また、把持部6bはどの回動位置にあっても箱上面13と常に平行となる位置関係にある。
【0028】
前記傾倒位置Aとは、該取っ手6の把持部6bが回動支持部6aを回動支点に回動し、箱上面13における箱正面10側に傾倒して水平状態に至った位置である。
起立位置Bとは、把持部6bが回動支持部6aを回動支点に垂直に起立した位置である。
傾斜位置Cとは、前記起立位置Bを越えて箱背面12側に向かって回動し、該回動した把持部6bが、箱上面13の箱背面12側の周部上を越えて外方へ傾斜突出した位置である。
【0029】
前記傾倒位置Aにおいて、傾倒姿勢の取っ手6と対応する箱上面13にはコ型凹部7(図3参照)を形成している。このコ型凹部7は箱上面13の周部に沿う箱正面10とその両側の箱側面11とをコ型形状の凹部に切欠いて設けている。このコ型凹部7の凹部空間に対して同コ型形状の取っ手6が傾倒時にコ型凹部7に格納されるように水平に傾倒する。
【0030】
この場合、取っ手6の周部は、図5(a)に示すように、コ型両片間の把持部6b長さWとコ型両片の回動アームH長さH1とが、箱上面13の周部に沿う大きさであり、箱上面13の周部より外側にはみ出さないように形成されている。また、取っ手6のコ型部分だけでなく取っ手6や回動支持部6aも箱上面13の実装面内の領域に、はみ出さないように形成している。したがって、収納箱1を運搬する時や収納箱1を紙幣入出金機21に着脱する際に、取っ手6が障害物と接触することを回避することができる。
【0031】
前記取っ手6は、図5(b)〜(d)にも示すように、各種のコ型形状の形成例が考えられる。図5(b)は取っ手6のコ型幅を狭めた例を示し、図5(c)は取っ手6のコ型両片の長さを短くした例を示し、図5(d)は取っ手6のコ型幅とコ型両片とをそれぞれ短くした例を示している。
【0032】
また、図5(d)のように取っ手6の回動アームHの長さH1を短くした場合であっても、該回動アームHの長さH1は、他方の短辺長さH2よりも長い位置関係にある。このため、回動アームHが箱正面10側に回動しても箱上面13の実装面上に留まるが、回動アームHが箱背面12側に回動したときは、回動アームHの長さH1が他方の短辺長さH2より長いため、取っ手6の最も外側に位置する把持部6bが箱背面12側よりも外方に突出する。
【0033】
なお、取っ手6の不使用時には、取っ手6を傾倒位置Aに倒しておくのが好ましいため、取っ手6が自動的に傾倒位置Aに傾倒されて納まるよう、取っ手6にバネなどの弾性体を取り付けてもよい。
【0034】
さらに、コ型凹部7の深さは、該コ型凹部7に取っ手6が傾倒した傾倒位置Aで箱上面13の上面高さと、取っ手6の傾倒した上面高さとが略同高さになる凹部深さに形成されている。これにより、取っ手6は箱上面13より突出しなくなり、収納箱1の実装面内に取っ手6を格納させて傾倒させることができる。なお、収納箱1が引出ユニット14に収納されている場合は、取っ手6が傾倒位置Aにあって、機内の搬送部材等とは干渉しない。
【0035】
前記起立位置Bは、箱上面13に取っ手6を垂直に起立させた位置であり、この起立位置Bで係員が取っ手6を手提げ状態に掴んで持ち運ぶものである。この起立位置Bにおいて、取っ手6は収納箱1の重心位置上に立ち上がる。よって、係員が取っ手6を掴んで収納箱1を持ち上げた際に、収納箱1が持ち運ばれる姿勢は真っ直ぐでバランスがとれているため、垂直な姿勢を維持して傾かなくなり、収納箱1の安全な運搬を確保できる。
【0036】
前記傾斜位置Cは、取っ手6の回動終端部となる傾斜角度を位置決めする位置であり、2個の収納箱1を片手で一括して持ち運ぶ場合、そのときの片方の取っ手6(図6では左側の取っ手に該当する)に対応して係止させる位置である。この傾斜位置Cは位置決め手段としての傾斜係止面13aにより形成される。
【0037】
前記傾斜係止面13aは、箱上面13の背面側寄りで、取っ手6のコ型両片に係止対応する回動支持部6a近傍の位置に傾斜突出して形成している。この傾斜係止面13aの傾斜角度は、図6にも示すように、2個の収納箱1を並列配置した時に、両側の取っ手6の把持部6bが山形ブリッジ状に互いに突き合わすことができる傾斜角度に設定している。
【0038】
具体的には、図6において並列配置された収納箱1のうち、左側の収納箱1の取っ手6が箱背面12側に向けて大きく左回動方向に回動し、この回動した取っ手6のコ型両片が傾斜係止面13aに当接して回動規制されることで傾斜位置Cに位置決め係止される。この傾斜位置Cに位置決めされた取っ手6の把持部6bに対し、図6において、右側の収納箱1の取っ手6の把持部6bを傾倒位置Aから右回動方向に回動させて、若干立ち上がった傾斜位置の時点で互いに把持部6b同士が山形ブリッジ状に突き合わさった傾斜姿勢で対向するとともに、山形ブリッジ状の下方には一括把持に適した持ち手用空間Fが形成される。
【0039】
このとき、両側の把持部6bの回動軌跡Dが当接する位置で、互いに回動する該両側の把持部6bが、ある一点で突き合わさった状態に当接する。このため、両側の取っ手6の一括把持位置が特定される。この一括把持位置では、両側の回動支持部6aが突き合わさった一か所の部分で並列状態に揃い、2個の収納箱1を片手で一括して持ち運ぶことが可能になる。
【0040】
さらに、一括把持位置で突き合わさる両把持部6bの当接面が垂直面で突き合わさるように、把持部6bの外表面を逆V字形状に突出して形成し、その逆V字形状の片側の傾斜面同士が当接時に垂直に平面対接する平面対接面6cとなる。この平面対接面6cを形成することにより、両取っ手6の把持部6bが対向したときは、互いの平面対接面6cが平面対接して両取っ手6による山形ブリッジ及び持ち手用空間Fを容易に形成し、またその状態を安定して維持することができる。
【0041】
さらに、一括把持位置は、取っ手6が収納箱1の重心位置上に取り付けられているため、両側の収納箱1の中間位置で一括把持する場合であっても、該一括把持位置では2個の収納箱の重心位置上になり、安定した持ち運びが可能になる。
【0042】
図7(a)にも示すように、縦型の収納構造を有する引出ユニット14に収納される各収納箱1は、同じ向きになるよう並列して収納されている。このため、引出ユニット14から外方に取り出される収納箱1、あるいは引出ユニット14へと収納される収納箱1は、着脱姿勢を変えることなく、そのままの姿勢で収納箱1を着脱操作することができる。また、着脱姿勢を変えることなく、そのままの並列姿勢で2個の収納箱1を一括して着脱することができ、また2個の収納箱1を一括して運搬することができる。
【0043】
図7(b)では収納箱1の着脱操作をより一層高めた構成例を示している。まず、引出ユニット14の収納箱1間を仕切る仕切板14aの高さを低くして設置する。該仕切板14aの高さを低くしたことにより、該仕切板14aの上方では遮るものがなくなり、両収納箱1の上部で対向する垂直な箱正面10と箱背面12とを平面対接させて安定した並列状態を保つことができる。
【0044】
具体的には、収納箱1の中間高さ程度の仕切板14aを、引出ユニット14の各収納箱1を区画する箱仕切位置14bに設置し、該仕切板14aで並列する収納箱1の下部間を仕切るように設けている。一方、箱仕切位置14bに仕切板14aが介在しない並列する収納箱1の上部間では、互いに対向する仕切方向の上部対向面1a同士が平面対接するように突出させて構成している。
【0045】
この平面対接構造とすることにより、並列する収納箱1間での上部対向隙間が無くなり、2個の収納箱1が並列配置された状態では予め対面した収納状態となる。このため、2個の収納箱1を一体化した状態にして、そのままの姿勢で一括して着脱できる。また、対面させることで、2個一括での着脱がより安定する。
【0046】
次に、このように構成された収納箱1を係員が着脱及び持ち運びする動作について説明する。
金融機関等において、紙幣入出金機21を運用して一日の業務が終了すると、該紙幣入出金機21の機内に存在している紙幣5をすべて収納箱1に回収する。回収後は、各収納箱1を係員が紙幣入出金機21から取り出す。
【0047】
この収納箱1を取り出す場合、図2に示すように、紙幣入出金機21の図示しない本体扉を開けて、例えば開放された開口部から引出ユニット14を引き出す。この引き出された引出ユニット14に収納されている収納箱1は、各取っ手6が傾倒位置Aに傾倒した収納セット状態にある。
【0048】
これらの収納箱1を収納している引出ユニット14から片手で2個の収納箱1を一括して取り出す場合は、図6に示すように、まず、左側の収納箱1の取っ手6を右回動させて、傾倒位置Aから起立させ、さらに起立位置Bを越えた傾斜位置Cに至ると、取っ手6は傾斜係止面13aに当接して位置決めされる。このとき、把持部6bは一括把持位置の傾斜角度で回動係止される。
【0049】
続いて、右側の収納箱1の取っ手6を右回動させて、傾倒位置Aから把持部6bを左側の取っ手6の把持部6bと対向する一括把持位置まで回動させて、両側より互いの把持部6bを山形ブリッジ状に突き合わせた状態に対向させる。このとき、互いの把持部6bの平面対接面6cが垂直に平面対接するので、両側の取っ手6は安定した山形ブリッジ状を維持する。また、その山形ブリッジ状の下方に手を入れ易い持ち手用空間Fが形成される。
【0050】
これにより、係員は山形ブリッジ状に傾斜対向している両側の取っ手6の一括把持位置(両把持部6b)を片手で掴んで一括して把持することができる。したがって、係員が2個の収納箱1を片手で掴んで引き上げることで、引出ユニット14から収納箱1を2個ずつ取り出すことができる。
【0051】
ここで、2個の収納箱1を片手で安定して取り出す条件を考察してみると、係員が取っ手6を持って収納箱1を持ち上げる場合、その取っ手6の回動支持部6aの位置が収納箱1の重心Gに対応した位置に取り付けられていれば、収納箱1は傾かず、バランスのとれた垂直な姿勢を保って取り出すことが可能になる。
【0052】
したがって、図6に示すように、2個の収納箱1を片手で一括して取り出す場合にあっても、両側の収納箱1は単独でそれぞれ回動支持部6aの位置と重心Gの位置とが対応しているため両側の重心位置上からの把持部6bの両回動軌跡Dが当接する一点が一括把持位置となり、両側の把持部6bを突き合わせた山形ブリッジ状の一括把持位置を掴めば2個の収納箱1の重心がとれた位置からの取り出しとなる。
【0053】
このように、収納箱1の重心Gに対応した位置の回動支持部6aは、箱上面13の中央ではなく、収納繰出口3側に寄って変位しているため、この回動支持部6aを支点とする把持部6bの回動軌跡Dは箱背面12の外方に向けてさらに回動させることができる。つまり、並列する2個の収納箱1の重心位置が変位していても、その変位した2個の収納箱1の位置まで把持部6bを回動させることができるという取っ手6の長さ(回動アームHの長さH1)を確保することが重要であり、この取っ手6の長さを十分に長くできることを可能にしたことにより、上述の条件を満たしたものである。
【0054】
そして、収納箱1の持ち運び時には、取っ手6の長さが十分に足りているため、片手で両収納箱1を吊り下げても傾かない。つまり、取っ手長さ不足のために両収納箱1の上部が内向きに引っ張られて、両収納箱1の下部間が開くようなことが解消される。このため、両収納箱1を運んでも不安定に揺れることがなく、バランスがとれた垂直状態を保つことができる。さらに、片手で2個ずつ持てば、係員1人で最大4個の収納箱1を一度に持ち運ぶことができる。
【0055】
さらに、係員は不安定な持ち運び姿勢を発生させる原因がないので、収納箱1が係員の足などに接触せず、また収納箱1を落下させたり、ぶつけたりするようなおそれもなくなる。さらに、取っ手6やその把持部6bは収納箱1の実装面内に納まるため、運搬時に取っ手6を障害物等にぶつけるおそれがなくなる。よって、内部機構が変形したり破損したりするおそれもなくなる。また、紙幣の積層状態が崩れ難くなるので、収納箱1を用いたその後の紙幣の入出金取引動作が安定する。さらに、収納箱1を保管する場合においても、収納箱1の上面に取っ手6が突出しないため箱上面13に平面が得られ、山積みが可能になる。
【0056】
さらに、両収納箱1を引出ユニット14に収納する場合においても、同様に山形ブリッジ状の一括把持位置の把持部6bを片手で掴んで引出ユニット14の開放された上方からそのまま垂直に下ろせば、両収納箱1は垂直な姿勢を維持し、傾かないので容易に両収納箱1を引出ユニット14内に収納させることができる。
【0057】
また、収納箱1を単独で着脱する場合や持ち運ぶ場合にあっても、収納箱1の重心に対応した把持部6bでの重心がとれているため、そのまま垂直に引き上げれば、傾かずに取り出すことができる。そして、持ち運ぶ場合も傾かず、安全で信頼性の高い安定した持ち運びができる。さらに、引出ユニット14に収納する場合も、取っ手6を起立位置Bで掴んで引出ユニット14内に真っ直ぐ下ろせば、そのままの姿勢で収納させることができる。よって、収納位置合わせに手間がかからず、また収納方向を変えるような操作も要せず、簡単に収納できる。
【0058】
次に、両収納箱1の運搬時における収納繰出口3の保護を図った取っ手6の構成例を、図8を参照して説明する。
両側の収納箱1を背面合わせし、そのとき取っ手6の把持部6bを箱背面12の鉛直上まで傾斜した対称傾斜位置Eに係止されるように回動規制手段としての傾斜係止面13aを形成すれば、取っ手6は箱背面12の鉛直上よりも箱背面12の周部を越えて回動することはない。このため、箱背面12同士を対面させると、両収納箱1の対接面上において両取っ手6の把持部6bを突き合わせた山形ブリッジ状の一括把持部を形成することができる。
【0059】
前記両収納箱1の配設する向きを箱正面10同士、または箱正面10と箱背面12を対面させても、両側の取っ手6の把持部6bは対向部間が非対称で離れているため、山形ブリッジ状を構成することができず、両把持部6bを片手で一括して持つことができない。
【0060】
このため、片手で2個の収納箱1を一括して持つ場合は、必ず箱背面12が対面した並列配置状態となる。つまり、把持部6bの回動軌跡Dが同高さの一点で当接するので係員は両側の把持部6bを一括して把持することができる。このように背面同士を対向させた配置構成では、箱背面12側に位置する収納繰出口3同士が内向きに対向し、並列配置した収納箱1の内側になって保護された状態となり、収納繰出口3に備えられている櫛歯状の爪等が運搬中に外部の部材とぶつからず、外部の衝撃から保護した持ち運びができる。
【0061】
さらに、2個の収納箱1を背面合わせした状態では、両側の取っ手6がそれぞれ適切な同じ角度で止まるため、把持し易い左右対称の山形ブリッジ状を形成する。さらに、両側より対向する把持部6bの互いの接触部分を平面的に密着するように対向させれば、両側の取っ手6が位置ずれしなくなり、両側の収納箱1を安定して対接させることができる。
【0062】
ことに、係員が両側の取っ手6を回動させて山形ブリッジを構築しようとする場合、例えば左側の把持部6bが左側の傾斜係止面13aにより回動規制されて回動軌跡D上の一点で止まる。これに対向する右側の把持部6bも同様に右側の傾斜係止面13aにより回動規制されて回動軌跡D上の一点で止まる。これにより、両側の把持部6bは自ずと同じ傾斜角度で同じ高さ位置に対向して適切な一括把持位置にセットすることができる。
【0063】
前記取っ手6の把持部6bの形状は、直棒形状のほかに、波形状に設けて把持し易くしてもよい。また、断面円柱形も考えられるが、断面円柱形では両側の把持部6bの接触部分が円弧面で接触して点接触になる。よって、より安定した状態で運搬するには、把持部6b同士の互いが面接触で突き合わされるよう形成されているほうがよい。また、取っ手6の把持部6b間に隙間がある構造としてもよいが、より安定した状態で運搬するには、把持部6b同士を突き合わせて接触している構造が好ましい。
【0064】
図9(a)は箱正面10側に形成されている位置ずれ防止機構15を示す収納箱1の外観斜視図、図9(b)は箱背面12側に形成されている位置ずれ防止機構15を示す収納箱1の外観斜視図である。
【0065】
前記位置ずれ防止機構15は、収納箱1を並列配置した際に、互いに対向する収納箱1の箱正面10と箱背面12との対向面間において、位置ずれ防止用の一対の凹部15aと凸部15bを箱正面10と箱背面12とに形成して、それぞれ嵌め合い可能な形状に設けたものである。図9においては、左右一対の凹部15aと凸部15bを形成している。また、収納箱1の対向面に限らず、取っ手6の把持部6b同士の対向面を凹凸対応させて設けてもよい。さらに、これらの凹部15aや凸部15bは、四角、台形、円形などからなる凹凸を対応させる構成、S字溝やV字溝を対応させる構成、あるいはフック形状のような構成でもよい。このように、位置ずれ防止機構15として、両収納箱1間における対接面の一部を凹凸形状に嵌合対応させることで、収納箱1同士を定位置に密着させて、より安定した結合状態を維持できるため、持ち運びがし易くなる。
【0066】
図10は薄型の取っ手6を用いて収納箱1の高さを低くするようコンパクト化を図った構成例を示している。前記薄型の取っ手6は、傾倒位置Aにおいて取っ手6が水平に傾倒した状態で、該取っ手6を薄肉(図10ではコ型両片の薄型化を示している)にして該取っ手6の介在スペースを縮小化している。これにより、収納箱1の高さを若干低くして収納箱1のコンパクト化を図っている。すなわち、取っ手6を薄肉にしている分だけ収納箱1内部の構造を上方に移動させて、収納空間を大きくとることができる。
【0067】
図11は取っ手6の各種の取り付け例を示している。図11(a)は取っ手6を箱側面11に取り付けた構成例である。この場合は、収納箱1の箱側面11に位置する取っ手6を掴んで収納箱1を水平方向に進退させて、この水平方向より着脱する横型の収納構造の場合に適用することができる。また、横型の収納構造であっても収納箱1を並列配置した状態から、両側の取っ手6の把持部6bを山形ブリッジ状に突き合わせた状態に対向させれば、片手で一括して把持することができる。この場合も、片手で2個の収納箱1を着脱操作することができる。
【0068】
図11(b)は横長の収納箱1の上面に取っ手6を有する場合を示し、収納箱1を横長の状態で使用される場合に適用することができる。この場合も同様に収納箱1を並列すれば、片手で2個の収納箱1を着脱操作及び運搬することができる。
【0069】
以上説明したように、この発明の収納箱1を用いれば、係員が取っ手6を持って収納箱1を着脱する場合、その取っ手6の回動支持部6aの位置が収納箱1の重心Gに対応した位置に取り付けられているため、収納箱1は傾かず、バランスのとれた垂直な姿勢を保って着脱することができる。したがって、2個の収納箱1を片手で一括して着脱する場合であっても、両側の収納箱1の各重心位置上からの把持部6bの両回動軌跡Dが当接する一点が一括把持位置となり、両側の把持部6bを突き合わせた山形ブリッジ状の一括把持位置を掴めば2個の収納箱1の重心がとれた位置からの一括した着脱操作ができる。このため、片手で2個の収納箱1を効率よく一括して着脱及び持ち運ぶことができる。その際に、収納箱1は吊支状態で重心がとれて傾かず、安全に着脱及び持ち運ぶことが可能になる。また、2個の収納箱運搬時には両手が塞がって不自由になることがなく、また最大4個まで一度に持ち運ぶことができる。
【符号の説明】
【0070】
1…収納箱
3…収納繰出口
4…収納繰出機構
5…紙幣
6…取っ手
6a…回動支持部
6b…把持部
10…箱正面
11…箱側面
12…箱背面
13…箱上面
13a…傾斜係止面
14…引出ユニット
14a…仕切板
A…傾倒位置
B…起立位置
C…傾斜位置
D…回動軌跡
E…対称傾斜位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体の内部空間に紙葉類を厚さ方向に積層して収納する収納部と、前記箱体の外面一側に備えられた紙葉類の収納繰出口と、前記箱体に内蔵されて前記収納繰出口より紙葉類を収納または繰出す収納繰出機構と、前記箱体の外面に起立傾倒自在に回動支持される取っ手とを備えた紙葉類収納箱であって、
前記取っ手の回動方向を、前記箱体の前記外面一側と前記外面他側との対向方向に設定し、
前記取っ手の回動支持部を、前記箱体の前記外面中央より前記外面一側の収納繰出口寄りに設け、
前記取っ手の回動範囲を、取っ手の把持部が前記外面の他側に傾倒した傾倒位置から、前記把持部が、前記回動支持部を回動支点に起立した起立位置を越えて前記外面の一側に向かって回動し、該回動した把持部が少なくとも前記外面一側の周部上に至る傾斜位置までを含む構成とした
紙葉類収納箱。
【請求項2】
前記把持部を前記外面の一側へと回動させたとき、前記把持部を特定の傾斜角度に位置決めする位置決め手段を備えた
請求項1に記載の紙葉類収納箱。
【請求項3】
前記箱体の外面に傾倒した傾倒姿勢の取っ手を、前記箱体の外周囲より内方の実装面内に収納させて構成した
請求項1または2に記載の紙葉類収納箱。
【請求項4】
前記取っ手の回動範囲を、前記箱体を複数並列配置して一方の箱体から取っ手を回動させた場合に、該取っ手の把持部が前記外面一側の周部上よりも外方となる他方の箱体の領域まで回動する構成とした
請求項1、2または3に記載の紙葉類収納箱。
【請求項5】
前記箱体は、外面の一側に、前記取っ手の把持部を外面一側に向けて回動させた位置で回動規制する回動規制手段を備え、
該回動規制手段は、前記箱体の外面一側同士が互いに対向するように対接面を中心に両側の箱体の向きを対称形に並列配置した状態で前記取っ手を両側より対向させたとき、前記両箱体の取っ手の把持部が、前記回動規制手段により回動規制された傾斜角度で対向する構成とした
請求項1〜4の何れか1項に記載の紙葉類収納箱
【請求項6】
並列配置された両箱体の取っ手の把持部を内向きに対向させたとき、両側の把持部の回動軌跡が当接する位置で、前記把持部が平面対接する構成とした
請求項1〜5の何れか1項に記載の紙葉類収納箱。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の紙葉類収納箱と、
取引内容を入力操作させる操作部と、
投入された紙葉類を受入処理させる受入部と、
繰出される紙葉類を放出処理させる放出部と、
紙葉類の真偽及び種別を識別する識別部と、
取引動作を実行させる制御部とを備えた
紙葉類取扱装置。
【請求項8】
前記紙葉類収納箱の複数を並列して収納する収納庫に前記紙葉類収納箱間を仕切る仕切板を備え、
前記仕切板を、前記収納庫に収納される前記紙葉類収納箱の収納方向長さより短く形成して前記紙葉類収納箱の収納方向奥側となる前記収納庫の箱仕切位置に設置し、
前記箱仕切位置での前記仕切板が介在しない前記紙葉類収納箱の収納方向前部側の対向面を、少なくとも仕切対向間隔を狭める方向に突出させて構成した
請求項7に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項1】
箱体の内部空間に紙葉類を厚さ方向に積層して収納する収納部と、前記箱体の外面一側に備えられた紙葉類の収納繰出口と、前記箱体に内蔵されて前記収納繰出口より紙葉類を収納または繰出す収納繰出機構と、前記箱体の外面に起立傾倒自在に回動支持される取っ手とを備えた紙葉類収納箱であって、
前記取っ手の回動方向を、前記箱体の前記外面一側と前記外面他側との対向方向に設定し、
前記取っ手の回動支持部を、前記箱体の前記外面中央より前記外面一側の収納繰出口寄りに設け、
前記取っ手の回動範囲を、取っ手の把持部が前記外面の他側に傾倒した傾倒位置から、前記把持部が、前記回動支持部を回動支点に起立した起立位置を越えて前記外面の一側に向かって回動し、該回動した把持部が少なくとも前記外面一側の周部上に至る傾斜位置までを含む構成とした
紙葉類収納箱。
【請求項2】
前記把持部を前記外面の一側へと回動させたとき、前記把持部を特定の傾斜角度に位置決めする位置決め手段を備えた
請求項1に記載の紙葉類収納箱。
【請求項3】
前記箱体の外面に傾倒した傾倒姿勢の取っ手を、前記箱体の外周囲より内方の実装面内に収納させて構成した
請求項1または2に記載の紙葉類収納箱。
【請求項4】
前記取っ手の回動範囲を、前記箱体を複数並列配置して一方の箱体から取っ手を回動させた場合に、該取っ手の把持部が前記外面一側の周部上よりも外方となる他方の箱体の領域まで回動する構成とした
請求項1、2または3に記載の紙葉類収納箱。
【請求項5】
前記箱体は、外面の一側に、前記取っ手の把持部を外面一側に向けて回動させた位置で回動規制する回動規制手段を備え、
該回動規制手段は、前記箱体の外面一側同士が互いに対向するように対接面を中心に両側の箱体の向きを対称形に並列配置した状態で前記取っ手を両側より対向させたとき、前記両箱体の取っ手の把持部が、前記回動規制手段により回動規制された傾斜角度で対向する構成とした
請求項1〜4の何れか1項に記載の紙葉類収納箱
【請求項6】
並列配置された両箱体の取っ手の把持部を内向きに対向させたとき、両側の把持部の回動軌跡が当接する位置で、前記把持部が平面対接する構成とした
請求項1〜5の何れか1項に記載の紙葉類収納箱。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の紙葉類収納箱と、
取引内容を入力操作させる操作部と、
投入された紙葉類を受入処理させる受入部と、
繰出される紙葉類を放出処理させる放出部と、
紙葉類の真偽及び種別を識別する識別部と、
取引動作を実行させる制御部とを備えた
紙葉類取扱装置。
【請求項8】
前記紙葉類収納箱の複数を並列して収納する収納庫に前記紙葉類収納箱間を仕切る仕切板を備え、
前記仕切板を、前記収納庫に収納される前記紙葉類収納箱の収納方向長さより短く形成して前記紙葉類収納箱の収納方向奥側となる前記収納庫の箱仕切位置に設置し、
前記箱仕切位置での前記仕切板が介在しない前記紙葉類収納箱の収納方向前部側の対向面を、少なくとも仕切対向間隔を狭める方向に突出させて構成した
請求項7に記載の紙葉類取扱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−211340(P2010−211340A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54402(P2009−54402)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]