説明

紙葉類収納装置

【課題】紙葉類収納袋を保持する各保持部材の装置手前側への引き出し距離を短くすることができ、装置手前側の省スペース化を図ることができる紙葉類収納装置を提供する。
【解決手段】機体内からの第1保持部材40および第2保持部材42の引き出し方向に直交する方向に沿って離間して並ぶよう第1保持部材40および第2保持部材42が配置されているとともに、引き出し方向に直交する方向に沿って第1保持部材40が第2保持部材42に向かって移動可能となっている。第1保持部材40が第2保持部材42に向かって移動して両者が当接したときに紙幣収納袋50の上部開口が封止される。第1保持部材40および第2保持部材42が互いに当接した状態でのみこれらの第1保持部材40および第2保持部材42が機体内から外部に引き出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体内に取り込まれた紙葉類を収納する紙葉類収納装置に関し、とりわけ、紙葉類収納袋を保持する各保持部材の装置手前側への引き出し距離を短くすることができ、装置手前側の省スペース化を図ることができる紙葉類収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機体内に取り込まれた紙葉類を収納する紙葉類収納装置として様々なタイプのものが知られている。例えば、特許文献1に開示される紙幣処理装置において、第1フレームと第2フレームとの間にパウチ袋を取り付け、装置内で第1フレームおよび第2フレームによりパウチ袋を開口状態で保持するようになっている。また、この紙幣処理装置では、紙幣をパウチ袋に収納させた後にパウチ袋の上部開口を密閉する際には、第1フレームを装置手前側に引くことにより第1フレームと第2フレームとを互いに当接させてパウチ袋の上部開口を密閉するようになっている。そして、上部開口の密閉後に第1フレームを更に手前側に引き出すことにより、上部開口が密閉されたパウチ袋を装置内から外部に取り出し、最終的にこのパウチ袋を回収するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開公報EP1369826A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等に開示されるような従来のパウチ袋の密閉機構では、上述のように、第1フレームを装置手前側に引くことにより第1フレームと第2フレームとを互いに当接させてパウチ袋の上部開口を密閉させ、上部開口の密閉後に第1フレームを更に手前側に引き出すことにより、上部開口が密閉されたパウチ袋を装置内から外部に取り出すようになっている。しかしながら、このような密閉機構では、第1フレームを2段階にわたって(すなわち、パウチ袋の密閉前および密閉後の2回にわたって)装置手前側に引くこととなり、このような第1フレームの装置手前側への引き出しのために装置手前側に広いスペースが必要となる。しかしながら、当該パウチ袋の密閉機構が設けられた紙葉類収納装置の設置箇所によっては、装置手前側に広いスペースを確保することができない場合もある。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、紙葉類収納袋を保持する第1保持部材および第2保持部材を互いに当接させて紙葉類収納袋の上部開口を密閉する際に、機体内から外部への紙葉類収納袋の引き出し方向と直交する方向に第1保持部材を移動させることによって、紙葉類収納袋を保持する各保持部材の装置手前側への引き出し距離を短くすることができ、装置手前側の省スペース化を図ることができる紙葉類収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の紙葉類収納装置は、紙葉類を機体内に取り込むための取込部と、前記取込部により機体内に取り込まれた紙葉類を収納するための収納部であって、紙葉類を収納する紙葉類収納袋が着脱自在に設置可能な収納部と、を備え、前記収納部は、前記紙葉類収納袋をその上部開口が開いた状態で保持する第1保持部材および第2保持部材を有し、前記第1保持部材および前記第2保持部材は同一平面上で離間して設置されているとともに前記第1保持部材と前記第2保持部材との間に前記紙葉類収納袋が保持されるようになっており、前記紙葉類収納袋を保持した状態で第1保持部材および第2保持部材を一体的に機体内から外部に引き出すことができるようになっており、機体内からの前記第1保持部材および前記第2保持部材の引き出し方向に直交する方向に沿って離間して並ぶよう前記第1保持部材および前記第2保持部材が配置されているとともに、前記引き出し方向に直交する方向に沿って前記第1保持部材は前記第2保持部材に向かって移動可能となっており、前記第1保持部材が前記第2保持部材に向かって移動して両者が当接したときに前記紙葉類収納袋の上部開口が封止されるようになっていることを特徴とする。
【0007】
このような紙葉類収納装置によれば、機体内からの第1保持部材および第2保持部材の引き出し方向に直交する方向に沿って離間して並ぶよう第1保持部材および第2保持部材が配置されているとともに、引き出し方向に直交する方向に沿って第1保持部材が第2保持部材に向かって移動可能となっており、第1保持部材が第2保持部材に向かって移動して両者が当接したときに紙葉類収納袋の上部開口が封止されるようになっている。また、第1保持部材および第2保持部材が互いに当接した状態でのみこれらの第1保持部材および第2保持部材が機体内から外部に引き出されるようになっている。このように、紙葉類収納袋を保持する第1保持部材および第2保持部材を互いに当接させて紙葉類収納袋の上部開口を密閉する際に、機体内から外部への紙葉類収納袋の引き出し方向と直交する方向に第1保持部材を移動させることによって、紙葉類収納袋を保持する各保持部材の装置手前側への引き出し距離を短くすることができ、装置手前側の省スペース化を図ることができる。
【0008】
本発明の紙葉類収納装置においては、前記第1保持部材にはレバーが設けられており、当該レバーを動かすことにより前記第1保持部材が前記第2保持部材に向かって移動するようになっていてもよい。
【0009】
この際に、前記第1保持部材と前記レバーとの間には水平方向に伸縮自在の第1伸縮機構が設けられており、前記第1保持部材は前記第1伸縮機構の先端に取り付けられており、前記レバーを動かすことにより前記第1伸縮機構が伸張して前記第1保持部材が前記第2保持部材に向かって移動するようになっていてもよい。
【0010】
ここで、前記第1伸縮機構はパンタグラフ機構であってもよい。
【0011】
本発明の紙葉類収納装置においては、前記収納部には、前記第1保持部材および前記第2保持部材を機体内にロックするロック機構が設けられており、前記第2保持部材は、前記第1保持部材の移動方向に沿ってわずかに移動可能となっており、前記第2保持部材が前記第1保持部材により押圧されて移動したときに、前記ロック機構によるロックが解除されて前記第1保持部材および前記第2保持部材を機体内から外部に引き出すことができるようになっていてもよい。
【0012】
本発明の紙葉類収納装置においては、前記収納部に設置された前記紙葉類収納袋の上方に設けられ、前記収納部に送られた紙葉類を前記紙葉類収納袋に収納する前に紙葉類を一時的に保留する一時保留板と、前記一時保留板上に一時的に保留された紙葉類を下方に押圧することにより紙葉類を前記紙葉類収納袋内に押し込む押し込み板と、を更に備え、前記一時保留板は軸により枢支されており、当該一時保留板は、水平方向に延びる保留位置と、この保留位置から軸を中心として回動して下方または斜め下方に延びる解放位置との間で移動するようになっており、前記一時保留板が前記保留位置にあるときに、前記収納部に送られた紙葉類が前記一時保留板上に一時的に保留されるようになっており、前記押し込み板が前記一時保留板上の紙葉類を下方に押圧することにより前記一時保留板が保留位置から解放位置に移動し、当該一時保留板上の紙葉類が前記押し込み板により前記紙葉類収納袋内に押し込まれるようになっていてもよい。
【0013】
この際に、前記押し込み板は、鉛直方向に伸縮自在の第2伸縮機構の先端に取り付けられており、前記第2伸縮機構が下方に伸張することにより、前記押し込み板が前記一時保留板上の紙葉類を下方に押圧し、前記一時保留板が保留位置から解放位置に移動して当該一時保留板上の紙葉類が前記押し込み板により前記紙葉類収納袋内に押し込まれるようになっていてもよい。
【0014】
また、前記一時保留板は、前記保留位置から前記解放位置に移動したときに、前記第1保持部材および/または前記第2保持部材の上方の隙間を塞ぐようになっていてもよい。
【0015】
本発明の紙葉類収納装置においては、前記収納部に前記紙葉類収納袋が設置されているか否かを検知する紙葉類収納袋検知部を更に備えていてもよい。
【0016】
この際に、前記紙葉類収納袋には、前記第1保持部材および前記第2保持部材にそれぞれ保持される被保持部材が設けられており、前記紙葉類収納袋検知部は前記被保持部材を検知するようになっていてもよい。
【0017】
ここで、前記被保持部材は光非透過材料から形成されており、前記紙葉類収納袋検知部は光センサからなっていてもよい。
【0018】
また、前記被保持部材には開口が設けられており、前記第1保持部材および前記第2保持部材には、前記収納部に前記紙葉類収納袋が設置されたときに当該紙葉類収納袋の前記被保持部材の開口を貫通する突起部材が設けられており、前記被保持部材の開口が前記突起部材に引っ掛けられることにより前記紙葉類収納袋が前記第1保持部材および前記第2保持部材により保持されるようになっていてもよい。
【0019】
また、前記突起部材は前記第1保持部材および前記第2保持部材の上面からそれぞれ上方に延びるよう設けられていてもよい。
【0020】
また、前記突起部材は前記第1保持部材および前記第2保持部材の内部に退避することができるようになっており、前記突起部材が前記第1保持部材および前記第2保持部材の内部に退避することにより前記紙葉類収納袋が前記第1保持部材および前記第2保持部材から解放されるようになっていてもよい。
【0021】
本発明の紙葉類収納装置においては、前記第2保持部材に対する前記第1保持部材の位置を検知する第1保持部材検知部を更に備え、前記第1保持部材検知部により検知される、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間の距離に基づいて前記紙葉類収納袋の開口の度合いが検知されるようになっていてもよい。
【0022】
あるいは、前記レバーの位置を検知するレバー検知部を更に備え、前記レバー検知部により検知される前記レバーの位置に基づいて算出される、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間の距離に基づいて前記紙葉類収納袋の開口の度合いが検知されるようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の紙葉類収納装置によれば、紙葉類収納袋を保持する各保持部材の装置手前側への引き出し距離を短くすることができ、装置手前側の省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一の実施の形態における現金出納装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す現金出納装置における紙幣出納装置の内部構成を示す構成図である。
【図3】図2に示す紙幣出納装置の収納部に設けられた第1保持部材および第2保持部材等の構成を示す斜視図である。
【図4】図2に示す紙幣出納装置の収納部に設置されるべき紙幣収納袋の構成を示す斜視図である。
【図5】図4に示す紙幣収納袋の断面図である。
【図6】(a)は、紙幣収納袋を保持する紙幣収納袋固定ピンの構成を示す断面図であり、(b)は、紙幣収納袋を紙幣収納袋固定ピンから解放するための袋外しレバーの構成を示す断面図である。
【図7】(a)は、第1保持部材および第2保持部材が離間しているときの各保持部材の上面図であり、(b)は、第1保持部材および第2保持部材が離間しているときの各保持部材の前面図(図7(a)を右方から見たときの図)である。
【図8】(a)は、第1保持部材および第2保持部材が当接しているときの各保持部材の上面図であり、(b)は、第1保持部材および第2保持部材が当接しているときの各保持部材の前面図(図8(a)を右方から見たときの図)である。
【図9】第1保持部材および第2保持部材を筐体内にロックするためのロック機構の構成を示す側面図であって、(a)は、ロック機構により枠体がロックされているときの状態を示す側面図であり、(b)は、ロック機構による枠体のロックが解除されたときの状態を示す側面図である。
【図10】紙幣を紙幣収納袋に押し込むための押し込み機構の構成を示す前面図であって、(a)は、押し込み機構により紙幣が紙幣収納袋に押し込まれる前の状態を示す前面図であり、(b)は、押し込み機構により紙幣が紙幣収納袋に押し込まれた後の状態を示す前面図である。
【図11】図10に示す押し込み機構の押し込み板に取り付けられた第2伸縮機構の構成を示す構成図であって、(a)は、第2伸縮機構が収縮した状態を示す図であり、(b)は、第2伸縮機構が伸張した状態を示す図である。
【図12】収納部に紙葉類収納袋が設置されているか否かを検知する紙葉類収納袋検知部の構成を示す図である。
【図13】紙幣収納袋の接着面に取り付けられた剥離紙を保持するための剥離紙保持部材の構成を示す断面図であって、(a)は、第1保持部材により保持された紙幣収納袋の剥離紙が剥離紙保持部材により保持された状態を示す断面図であり、(b)は、剥離紙が紙幣収納袋から剥がされた後の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一の実施の形態において、本発明に係る紙葉類収納装置として紙幣の処理を行う紙幣出納装置が用いられる場合について説明する。また本実施の形態では、紙幣出納装置および硬貨出納装置が組み合わせられた現金出納装置についても説明する。
【0026】
図1乃至図13は、本実施の形態に係る紙幣出納装置およびこの紙幣出納装置を備えた現金出納装置を示す図である。このうち、図1は、本発明の一の実施の形態における現金出納装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す現金出納装置における紙幣出納装置の内部構成を示す構成図である。また、図3乃至図13は、図2に示す紙幣出納装置に設けられた収納部の構成を示す図である。
【0027】
まず、図1を用いて現金出納装置10の構成について説明する。一般的に、スーパーマーケット等の店舗では、店員が顧客との間で実際にやりとりした現金を入出金するフロント領域と、フロント領域の現金や商品を管理するバックヤード領域とに区分けされており、フロント領域には一または複数の現金精算装置が設置されているとともに、バックヤード領域には図1に示すような現金出納装置10が設置されている。ここで、現金精算装置は、店員によって操作されるようになっており、店員と顧客との間の精算処理が当該現金精算装置によって行われる。例えば、現金精算装置は、顧客が支払った代金を入金したり、顧客へ支払う釣銭を出金したりするようになっている。また、現金出納装置10は、現金精算装置へ装填するための釣銭準備金を出金したり、現金精算装置から回収した売上金を入金したりするようになっている。そして、現金精算装置および現金出納装置10にそれぞれ着脱可能となっている現金搬送カセットにより、現金精算装置と現金出納装置10との間で現金の授受を行うようになっている。なお、現金搬送カセットは、現金精算装置や現金出納装置10から離脱しているときには当該現金搬送カセット内に収納された現金を取り出せないようになっている。
【0028】
図1に示すように、バックヤード領域に設置される現金出納装置10は、紙幣出納装置20および硬貨出納装置30を備えている。紙幣出納装置20は、フロント領域に設置された現金精算装置へ装填する紙幣を出金したり、現金精算装置から回収した紙幣を入金したりするようになっている。また、硬貨出納装置30は、フロント領域に設置された現金精算装置へ装填する硬貨を出金したり、現金精算装置から回収した硬貨を入金したりするようになっている。
【0029】
次に、図1および図2を用いて紙幣出納装置20の構成の概略について説明する。図1に示すように、紙幣出納装置20は、筐体20aと、入金部21と、出金部22と、操作表示部29とを備えており、入金部21には、紙幣受入ユニット21aが着脱自在に装着されている。ここで、紙幣受入ユニット21aは、紙幣出納装置20の外部から紙幣を受け入れて1枚ずつ筐体20a内に繰り出すようになっている。このような紙幣受入ユニット21aは、店員が紙幣出納装置20へ紙幣を手動で入金する場合に用いられるようになっている。なお、入金部21には、紙幣受入ユニット21aの代わりに、前述した現金搬送カセットを装着することができるようになっていてもよい。この場合には、現金搬送カセットが入金部21に装着されたときに、この現金搬送カセットの内部に設けられた繰出機構により現金搬送カセット内の紙幣が1枚ずつ筐体20a内に繰り出されるようになっている。
【0030】
図2に示すように、紙幣出納装置20の筐体20a内には紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部23が設けられており、この搬送部23の端部23aに前述した入金部21が設けられている。そして、紙幣受入ユニット21aが入金部21に装着されたときに、当該紙幣受入ユニット21aから繰り出された紙幣は搬送部23の端部23aを介して当該搬送部23により搬送されるようになっている。
【0031】
図2に示すように、搬送部23には識別部24が設けられており、この識別部24によって、搬送部23により搬送される紙幣の金種、正損、真偽等の識別を行うようになっている。
【0032】
また、筐体20a内において複数の収納繰出部25が設けられており、各収納繰出部25はそれぞれ搬送部23に接続されている。各収納繰出部25は、紙幣を金種別に収納するようになっている。より詳細には、識別部24による識別結果に基づいて、入金部21から搬送部23に繰り出された紙幣は当該搬送部23により各収納繰出部25に金種別に送られるようになっている。また、各収納繰出部25は、当該収納繰出部25に収納された紙幣を1枚ずつ搬送部23に繰り出すことができるようになっている。各収納繰出部25は、図2に示すような紙幣を1枚ずつ一対のテープ間に挟み込んだ状態で当該テープを紙幣とともに巻き取るテープリール式の収納繰出部であってもよく、あるいは、紙幣を積み重ねて収納するスタッカ式の収納繰出部(図示せず)であってもよい。
【0033】
また、筐体20a内には収納部(回収部)26が設けられており、この収納部26は、収納繰出部25に収納された紙幣を回収する際に用いられるようになっている。より具体的には、収納部26には、紙幣を収納する紙幣収納袋50(後述)が着脱自在に設置可能となっており、収納繰出部25から搬送部23を経て収納部26に送られた紙幣が紙幣収納袋50内に収納されるようになっている。また、各収納繰出部25に割り当てられていない金種の紙幣や、対応する金種の収納繰出部25がフル状態のために収納できないオーバーフロー紙幣も紙幣収納袋50内に収納されるようになっている。そして、収納部26から紙幣収納袋50を取り出すことにより、紙幣出納装置20から紙幣収納袋50ごと紙幣の回収を行うようになっている。このような収納部26の構成の詳細については後述する。
【0034】
また、図2に示すように、紙幣出納装置20には、機外リジェクト部27および機内リジェクト部28がそれぞれ設けられている。ここで、機外リジェクト部27には、入金部21により筐体20a内に取り込まれた紙幣のうち識別部24により正常な紙幣ではないと識別された紙幣がリジェクト紙幣として搬送部23から送られるようになっており、この機外リジェクト部27によりリジェクト紙幣を紙幣出納装置20の外部に投出するようになっている。一方、機内リジェクト部28には、紙幣出納装置20の外部に投出することのできないようなリジェクト紙幣が搬送部23から送られるようになっており、この機内リジェクト部28にリジェクト紙幣を収納するようになっている。そして、店員等の管理権限のない操作者は機内リジェクト部28内の紙幣を取り出すことはできないようになっている。
【0035】
操作表示部29は、現金出納装置10における紙幣や硬貨の収納状態等の様々な情報を表示するとともに、店員がデータを入力することができるように構成されている。操作表示部29は、例えばタッチパネル式のディスプレイ等から構成されている。なお、操作表示部29は、紙幣出納装置20または硬貨出納装置30のいずれか一方に設けられ、それらの両方の情報を表示するために共通に用いられるようになっている。
【0036】
次に、このような紙幣出納装置20における収納部26の構成の詳細について図3乃至図13を用いて説明する。
【0037】
本実施の形態による紙幣出納装置20では、前述のように、紙幣を収納する紙幣収納袋50が収納部26に着脱自在に設置可能となっており、搬送部23から収納部26に送られた紙幣は、この収納部26に設置された紙幣収納袋50内に収納されるようになっている。
【0038】
図3に示すように、収納部26は、紙幣収納袋50をその上部開口が開いた状態で保持する第1保持部材40および第2保持部材42を有しており、第1保持部材40および第2保持部材42は同一の水平面上で離間して設置されているとともに第1保持部材40と第2保持部材42との間に紙幣収納袋50が保持されるようになっている。また、収納部26には枠体44が設けられており、第1保持部材40および第2保持部材42はそれぞれ枠体44により保持されるようになっている。なお、図3において、X方向は、紙幣出納装置20の筐体20aの奥行き方向(図2における左右方向)であり、Y方向は、紙幣出納装置20の筐体20aの幅方向(図2における紙面に直交する方向)であり、Z方向は、紙幣出納装置20の筐体20aの高さ方向(図2における上下方向)である。
【0039】
本実施の形態による収納部26では、筐体20aの幅方向であるY方向に沿って第1保持部材40および第2保持部材42が離間して並ぶよう配置されている。また、このY方向に沿って第1保持部材40は第2保持部材42に向かって移動可能となっている。そして、第1保持部材40が第2保持部材42に向かって移動して両者が当接したときに紙幣収納袋50の上部開口が封止されるようになっている。また、本実施の形態による収納部26では、第1保持部材40および第2保持部材42が互いに当接した状態でのみこれらの第1保持部材40および第2保持部材42を筐体20a内から手前側に(ずなわち、図3におけるX方向に)引き出すことができるようになっている。
【0040】
以下、このような収納部26の構成の詳細を説明するにあたり、まず、紙幣収納袋50の構成について図4および図5を用いて説明する。図4は、収納部26に設置されるべき紙幣収納袋50の構成を示す斜視図であり、図5は、図4に示す紙幣収納袋50の断面図である。
【0041】
図4および図5に示すように、紙幣収納袋50は、上部が開口した袋本体51を有しており、この袋本体51は例えば透明または半透明のビニル樹脂等(例えばポリエチレン)から形成されている。なお、紙幣収納袋50に収納された紙幣が外部から見られないようにするために、袋本体51を黒色等の色付きのものとしてもよい。また、袋本体51の内面には帯電防止加工が施されている。また、袋本体51の底部にはマチが設けられており、このことにより紙幣収納袋50の紙幣収納量を増加させるようになっている。
【0042】
図4および図5に示すように、袋本体51の外面上部には、第1保持部材40および第2保持部材42にそれぞれ保持される一対の被保持部材52が取り付けられている。各被保持部材52は例えば黒色等の光非透過材料のフィルム材料から形成されており、このフィルム材料のコシを利用することにより、袋本体51にシワが発生することを防止したり、パウチの取付に役立てたりするようになっている。また、各被保持部材52の上端には一対の引掛部53が当該被保持部材52から直角に折り曲げられるよう設けられており、各引掛部53には開口53aが形成されている。そして、各引掛部53が第1保持部材40および第2保持部材42によりそれぞれ保持されるようになっている。具体的には、各引掛部53に形成された開口53aに、後述する紙幣収納袋固定ピン64を貫通することにより、各引掛部53が第1保持部材40および第2保持部材42によりそれぞれ保持されるようになる。また、各引掛部53と被保持部材52との間にはミシン目が形成されており、このことにより各引掛部53を被保持部材52から容易に折り曲げることができるようになっている。
【0043】
また、図4および図5に示すように、袋本体51の内面上部には接着面54が形成されており、この接着面54には剥離紙55が取り付けられている。ここで、図5に示すように剥離紙55における接着面54側の端部は同方向に2度折れており、2度折れた先端部分が接着面54に取り付けられるようになっている。また、剥離紙55における袋本体51から離れた箇所には一対の開口55aが形成されており(図4参照)、これらの開口55aには、後述する剥離紙固定ピン94を貫通させることができるようになっている。なお、剥離紙55における接着面54側の端部はこのような構成に限定されることはなく、剥離紙55における接着面54側の端部が1度だけ折れてV字形状となっており、折れた先端部分が接着面54に取り付けられるようになっていてもよい。この場合には、後述する剥離紙保持部材90により剥離紙55が保持される際に、この剥離紙55における折れた先端部分とは反対側の部分が折り曲げられるようになる。
【0044】
次に、第1保持部材40および第2保持部材42により紙幣収納袋50を保持する構成について、図6を用いてより詳細に説明する。
【0045】
紙幣収納袋50が第1保持部材40および第2保持部材42により保持される際に、被保持部材52に設けられた一対の引掛部53の開口53aにそれぞれ紙幣収納袋固定ピン64が通されるようになっている。図6(a)は、紙幣収納袋固定ピン64の構成を示す断面図である。図6(a)に示すように、第1保持部材40および第2保持部材42の内部にはそれぞれピン収容部材62が設けられており(図6(a)では第2保持部材42の内部に設けられたピン収容部材62について図示している)、紙幣収納袋固定ピン64は各ピン収容部材62に収納されるようになっている。また、このピン収容部材62の内部には圧縮バネ(図示せず)が収容されており、この圧縮バネにより紙幣収納袋固定ピン64は上下方向に伸縮するようになっている。また、ピン収容部材62には引掛部分62aが設けられており、この引掛部分62aが押し下げられると紙幣収納袋固定ピン64は下方に退避するようになっている。なお、図6(a)では、ピン収容部材62が第2保持部材42の内部に設けられた例について説明しているが、このようなピン収容部材62は第1保持部材40の内部にも設けられるようになっている。
【0046】
また、第1保持部材40にはカバー部材66が取り付けられており、このカバー部材66には開口66aが形成されている。このカバー部材66の開口66aには、紙幣収納袋固定ピン64が通されるようになっている。そして、紙幣収納袋50の被保持部材52における引掛部53は、第1保持部材40や第2保持部材42の上面とカバー部材66との間に挟まれた状態で、紙幣収納袋固定ピン64が開口53aを貫通することにより当該引掛部53が紙幣収納袋固定ピン64に固定されるようになっている。また、図6(a)に示すように、紙幣収納袋固定ピン64は、その上面が斜め方向に傾斜している。このことにより、操作者が紙幣収納袋50の被保持部材52における引掛部53を第1保持部材40や第2保持部材42に引っ掛けようとする際に、この引掛部53を第1保持部材40や第2保持部材42の上面とカバー部材66との間の隙間に挿入すると、紙幣収納袋固定ピン64はその傾斜した上面が引掛部53に押されることにより自動的に下方に退避するようになり、このことにより引掛部53の開口53aに紙幣収納袋固定ピン64を貫通させることができるようになる。
【0047】
また、第1保持部材40および第2保持部材42には袋外しレバー60がそれぞれ設けられている(なお、図3では、第2保持部材42に設けられた袋外しレバー60については図示しているが、第1保持部材40に設けられた袋外しレバー60は剥離紙保持部材90に隠れているための図示されていない)。図6(b)は、袋外しレバー60の構成を示す断面図である。この袋外しレバー60は、操作者が下方に押圧することができるようになっている。また、袋外しレバー60は、図6(a)における、ピン収容部材62の引掛部分62aを下方に押圧するための押圧部分60aに接続されている。そして、紙幣収納袋50の被保持部材52における引掛部53が第1保持部材40や第2保持部材42の上面とカバー部材66との間に挟まれた状態で、紙幣収納袋固定ピン64が開口53aを貫通しているときに、袋外しレバー60を下方に押圧すると、押圧部分60aがピン収容部材62の引掛部分62aを下方に押圧するようになり、紙幣収納袋固定ピン64が下方に退避する。このことにより、引掛部53の開口53aから紙幣収納袋固定ピン64が抜け、操作者は紙幣収納袋50の引掛部53を第1保持部材40や第2保持部材42から取り外すことができるようになる。
【0048】
次に、第1保持部材40を第2保持部材42に向かって移動させる機構について図7および図8を用いて説明する。ここで、図7(a)は、第1保持部材40および第2保持部材42が離間しているときの各保持部材40、42の上面図であり、図7(b)は、第1保持部材40および第2保持部材42が離間しているときの各保持部材40、42の前面図(図7(a)を右方から見たときの図)である。また、図8(a)は、第1保持部材40および第2保持部材42が当接しているときの各保持部材40、42の上面図であり、図8(b)は、第1保持部材40および第2保持部材42が当接しているときの各保持部材40、42の前面図(図8(a)を右方から見たときの図)である。
【0049】
図3、図7および図8に示すように、第1保持部材40にはレバー46が設けられており、操作者はこのレバー46を筐体20aの手前側(図3におけるX方向)に引くことができるようになっている。そして、操作者がレバー46を筐体20aの手前側に引くことにより、第1保持部材40が第2保持部材42に向かって移動するようになっている。より詳細には、第1保持部材40とレバー46との間には、水平方向に伸縮自在の第1伸縮機構48が設けられており、第1保持部材40は第1伸縮機構48の先端に取り付けられている。この第1伸縮機構48は例えばパンタグラフ機構から構成されている。そして、操作者がレバー46を筐体20aの手前側に引くことにより、第1伸縮機構48が図7(a)に示すような収縮状態から伸張して図8(a)に示すような伸張状態となり、この際に第1保持部材40が第2保持部材42に向かって移動するようになる。
【0050】
以下、第1保持部材40、第2保持部材42および第1伸縮機構48の構成の詳細について説明する。
【0051】
図7(b)および図8(b)に示すように、枠体44の側面には水平方向に延びる細長い開口44aが設けられている。また、図7(a)および図8(a)に示すように第1保持部材40の両端部にはそれぞれ一対のピン部材40aが設けられており、各ピン部材40aは枠体44の側面に形成された開口44a内に挿入されるようになっている。そして、各ピン部材40aが開口44aに沿って移動することにより、第1保持部材40は図7(b)および図8(b)における左右方向、すなわち図7(a)および図8(a)における上下方向に移動することができるようになっている。
【0052】
パンタグラフ機構からなる第1伸縮機構48は、端部に設けられた4つのピン部材48a、48b、48c、48dを有している。これらの4つのピン部材のうち、第1ピン部材48aおよび第2ピン部材48bはレバー46側に設けられており、第3ピン部材48cおよび第4ピン部材48dは第1保持部材40側に設けられている。また、第1ピン部材48aおよび第4ピン部材48dは第1棒状部材48eの両端部に設けられており、第2ピン部材48bおよび第3ピン部材48cは第2棒状部材48fの両端部に設けられている。また、第1棒状部材48eおよび第2棒状部材48fは中央ピン部材48gにより互いに対して回動可能なように接続されている。
【0053】
また、枠体44における第1保持部材40近傍の箇所には細長い開口44bが形成されており、この開口44bに第1ピン部材48aが挿入されるようになっている。そして、第1ピン部材48aはレバー46に接続されており、操作者がレバー46を引くと(この場合、レバー46は図7(a)における右方向に移動する)、第1ピン部材48aも開口44b内で図7(a)における右方向に移動する。また、レバー46には細長い開口46aが設けられており、この開口46aに第2ピン部材48bが挿入されるようになっている。ここで、第2ピン部材48bは枠体44に取り付けられており、操作者がレバー46を引いてもこの第2ピン部材48bは移動しないようになっている。また、レバー46を引く際に、第2ピン部材48bが当該レバー46の開口46a内に位置したまま、開口46aが移動するようになる。また、第3ピン部材48cは第1保持部材40に対して図7(a)および図7(b)における左右方向に移動可能なように第1保持部材40に設けられており、一方、第4ピン部材48dは第1保持部材40に対して移動しないよう当該第1保持部材40に設けられている。
【0054】
そして、図7(a)に示すように第1保持部材40および第2保持部材42が互いに離間した状態にあるときに、操作者がレバー46を筐体20aの手前側に引くと、このレバー46は図7(a)における右方向に移動し、第1伸縮機構48のピン部材48aも図7(a)における右方向に移動する。このことにより、第1伸縮機構48は下方に伸張し、図8(a)に示すように第1保持部材40および第2保持部材42が互いに当接するようになる。第1保持部材40および第2保持部材42が互いに当接すると、図8(b)に示すように、紙幣収納袋50の上部開口が封止されるようになる。
【0055】
また、収納部26における枠体44には、当該枠体44を筐体20a内にロックするためのロック機構49が設けられている。また、第2保持部材42は、第1保持部材40の移動方向(すなわち、図7(a)等における上下方向)に沿ってわずかに移動可能となっている。そして、第1伸縮機構48が下方に伸張し、図8(a)に示すように第1保持部材40および第2保持部材42が互いに当接した後、更にレバー46を筐体20aの手前側に引くことにより第1保持部材40が第2保持部材42を押圧して第2保持部材42を移動させると、ロック機構49によるロックが解除されて枠体44を筐体20a内から手前側に引き出すことができるようになっている。このことにより、枠体44に設けられた第1保持部材40および第2保持部材42も筐体20a内から手前側(図3におけるX方向)に引き出すことができるようになり、これらの第1保持部材40および第2保持部材42に保持された紙幣収納袋50を回収することができるようになる。
【0056】
このようなロック機構49の構成について図9を用いて説明する。なお、図9は、第1保持部材40および第2保持部材42を筐体20a内にロックするためのロック機構49の構成を示す側面図であって、図9(a)は、ロック機構49により枠体44がロックされているときの状態を示す側面図であり、図9(b)は、ロック機構49による枠体44のロックが解除されたときの状態を示す側面図である。図9に示すように、ロック機構49は、軸49bに枢支されたロック部材49aと、ロック部材49aが引っ掛けられるロックピン49cとを有している。ロックピン49cは筐体20aに位置固定で取り付けられている。また、ロック部材49aの軸49bは枠体44に取り付けられている。このため、ロック部材49aがロックピン49cに引っ掛けられるような図9(a)に示す状態では、枠体44を筐体20a内から手前側に(すなわち、図9における右方向)に引き出すことができないようになっている。
【0057】
また、ロック部材49aにはリンク機構(図示せず)が取り付けられており、このリンク機構はレバー46に接続されている。そして、第2保持部材42が第1保持部材40により押圧されて図8(a)における下方向に移動すると、レバー46に接続されたリンク機構によりロック部材49aは図9(a)に示す状態から軸49bを中心として時計回りの方向に回動するようになっている。このようにして、ロック部材49aが図9(a)に示す状態から軸49bを中心として時計回りの方向に回動すると、図9(b)に示すようにこのロック部材49aはロックピン49cから外れるようになる。ロック部材49aがロックピン49cから外れると、枠体44を筐体20a内から手前側に(すなわち、図9における右方向)に引き出すことができるようになる。
【0058】
また、収納部26における枠体44の上方には、紙幣を紙幣収納袋50に押し込むための押し込み機構70が設けられている。このような機構について図10および図11を用いて説明する。ここで、図10(a)は、押し込み機構70により紙幣が紙幣収納袋50に押し込まれる前の状態を示す前面図であり、図10(b)は、押し込み機構70により紙幣が紙幣収納袋50に押し込まれた後の状態を示す前面図である。
【0059】
押し込み機構70は、収納部26に設置された紙幣収納袋50の上方に設けられた左右一対の一時保留板72を有している。これらの一時保留板72は、搬送部23から収納部26に送られた紙幣を紙幣収納袋50に収納する前に一時的に保留するようになっている。図10(a)において、左右一対の一時保留板72により一時的に保留された紙幣を参照符号B1で示す。また、押し込み機構70には、各一時保留板72上に一時的に保留された紙幣を下方に押圧することにより当該紙幣を紙幣収納袋50内に押し込む押し込み板74が設けられている。
【0060】
図10(a)(b)に示すように、各一時保留板72は軸72aにより枢支されている。各軸72aにはねじりバネが設けられており、一時保留板72に何ら力が加えられていないときには一時保留板72は水平方向に延びる状態を維持するが、一時保留板72に対して下方に押圧するような力が加えられると、ねじりバネの力に抗して一時保留板72は軸72aを中心として回動し、軸72aから下方または斜め下方に延びるような位置となる。このように、各一時保留板72は、図10(a)に示すような、水平方向に延びる保留位置と、図10(b)に示すような、この保留位置から軸72aを中心として回動して下方または斜め下方に延びる解放位置との間で移動するようになっている。そして、図10(a)に示すように各一時保留板72が保留位置にあるときには、搬送部23から収納部26に送られた紙幣は各一時保留板72に保留されるようになる。
【0061】
押し込み板74は、図10における上下方向に移動することができるようになっている。より詳細には、図11に示すように、鉛直方向に伸縮自在の第2伸縮機構76の先端に押し込み板74が取り付けられるようになっている。第2伸縮機構76は、例えばパンタグラフ機構から構成されている。ここで、図11(a)は、第2伸縮機構76が収縮した状態を示し、図11(b)は、第2伸縮機構76が伸張した状態を示している。
【0062】
図11に示すように、第2伸縮機構76の上部には位置固定で設けられた天井部材78が設けられており、第2伸縮機構76の上端に設けられた第1ピン部材76aが天井部材78に取り付けられている。また、天井部材78にはラック機構79が図11における左右方向に移動可能なように設けられている。ラック機構79におけるラック面79aにはピニオン部材80が設けられており、このピニオン部材80には歯車81が係合している。そして、図示しないモータにより歯車81が回転駆動させられることにより、ラック機構79がピニオン部材80により図11における左右方向に移動させられるようになっている。また、第2伸縮機構76の上端に設けられた第2ピン部材76bがラック機構79の端部に取り付けられており、ラック機構79が図11(a)に示すような状態から左方に移動することにより、第2ピン部材76bも左方に移動し、第2伸縮機構76が天井部材78から下方に伸張するようになる。このようにして、図11(b)に示すように、第2伸縮機構76の下端に取り付けられた押し込み板74も下方に移動するようになる。
【0063】
本実施の形態では、図10(a)に示すように搬送部23から収納部26に送られた紙幣が各一時保留板72に一時的に保留された状態で(図10(a)における紙幣B1参照)、第2伸縮機構76が下方に伸張することにより押し込み板74が下方に移動すると、当該押し込み板74が各一時保留板72上の紙幣を下方に押圧し、各一時保留板72は図10(a)に示すような保留位置から図10(b)に示すような解放位置に移動する。このことにより、各一時保留板72上の紙幣が押し込み板74により紙幣収納袋50内に押し込まれるようになる(図10における紙幣B2参照)。
【0064】
また、各一時保留板72が図10(a)に示すような保留位置から図10(b)に示すような解放位置に移動したときに、各一時保留板72は、第1保持部材40および第2保持部材42の上方の隙間(図10(a)において参照符号Rで表示)をそれぞれ塞ぐようになる(図10(b)参照)。このことにより、各一時保留板72に保留された紙幣が紙幣収納袋50内に収納される際に、第1保持部材40および第2保持部材42の上方の隙間Rに紙幣が入り込んでしまうことを防止することができ、収納部26で紙幣詰まり等のトラブルが発生することを防止することができる。
【0065】
また、本実施の形態では、図12に示すように、それぞれ枠体44に設けられた発光部45aおよび受光部45bからなる光センサ45が設けられており、当該光センサ45において発光部45aから発せられた光が受光部45bにより受けられるようになっている。これらの発光部45aおよび受光部45bは、第1保持部材40および第2保持部材42により紙幣収納袋50が保持されたときにこの紙幣収納袋50の被保持部材52が当接する面に設けられている。このため、第1保持部材40および第2保持部材42により紙幣収納袋50が保持されていないときには、発光部45aから発せられた光が受光部45bにより受けられるが、第1保持部材40および第2保持部材42により紙幣収納袋50が保持されたときには、発光部45aから発せられた光が光非透過材料からなる被保持部材52により遮られ、受光部45bには到達しなくなる。このように、発光部45aおよび受光部45bからなる光センサ45により、第1保持部材40および第2保持部材42により紙幣収納袋50が保持されているか否かを検知できるようになる。
【0066】
また、本実施の形態では、第1保持部材40および第2保持部材42により保持された紙幣収納袋50の接着面54に取り付けられた剥離紙55を保持するための剥離紙保持部材90が設けられている。以下、このような剥離紙保持部材90の構成について図3および図13を用いて説明する。なお、図13(a)は、第1保持部材40により保持された紙幣収納袋50の剥離紙55が剥離紙保持部材90により保持された状態を示す断面図であり、図13(b)は、剥離紙55が紙幣収納袋50から剥がされた後の状態を示す断面図である。
【0067】
図3に示すように、剥離紙保持部材90は第1保持部材40の近傍において枠体44に取り付けられている。ここで、第1保持部材40が第2保持部材42に向かって移動したときにも、剥離紙保持部材90は移動しないようになっている。また、図13に示すように、剥離紙保持部材90は、底板92と、この底板92から上方に延びるよう設けられた剥離紙固定ピン94とを有している。また、底板92の上方には剥離紙押さえ板96が設けられており、この剥離紙押さえ板96はヒンジ部材98(図3参照)により操作者が手動で底板92から離間させることができるようになっている。また、剥離紙押さえ板96にも開口96aが形成されており、剥離紙押さえ板96が底板92上に載置されたときにこの剥離紙押さえ板96の開口96aを剥離紙固定ピン94が貫通するようになっている。そして、操作者が手動で剥離紙押さえ板96を底板92から離間させ、剥離紙55に形成された開口55aに剥離紙固定ピン94を貫通させるよう当該剥離紙55の先端を底板92上に載置し(図13(a)参照)、剥離紙押さえ板96を剥離紙55上にかぶせることにより、剥離紙55の先端は底板92と剥離紙押さえ板96との間に保持されるようになる。
【0068】
そして、紙幣収納袋50を保持する第1保持部材40が第2保持部材42に向かって移動すると、第1保持部材40および剥離紙保持部材90が互いに離間することにより、図13(b)に示すように、剥離紙保持部材90により剥離紙55が保持されたままこの剥離紙55が紙幣収納袋50から剥がされるようになる。このようにして、第1保持部材40および第2保持部材42が当接したときには、紙幣収納袋50の内面に形成された接着面54からは剥離紙55が剥がされた状態となっているので、当該接着面54により紙幣収納袋50の上部開口が封止されるようになる。
【0069】
また、図3および図13に示すように、剥離紙保持部材90には、底板92と剥離紙押さえ板96との間に保持された剥離紙55を検知する剥離紙検知センサ99が設けられている。具体的には、剥離紙検知センサ99は例えば光センサからなり、この光センサの発光部99aから発せられた光が光非透過材料からなる剥離紙55により遮られて受光部99bに到達しないことにより、剥離紙55が剥離紙保持部材90により保持されていることを検知することができるようになっている。
【0070】
また、前述のように、剥離紙保持部材90により保持されるべき剥離紙55における接着面54側の端部は同方向に2度折れており、2度折れた先端部分がこの接着面54に取り付けられるようになっている(図5参照)。このことにより、紙幣収納袋50を保持する第1保持部材40が第2保持部材42に向かって移動して、剥離紙保持部材90により剥離紙55が保持されたままこの剥離紙55が紙幣収納袋50から剥がされる際に、剥離紙55をスムーズに紙幣収納袋50から剥がすことができるようになる。すなわち、例えば剥離紙55における接着面54側の端部が1度だけ折れて当該接着面54に取り付けられている場合には、第1保持部材40および剥離紙保持部材90を互いに離間させたときに剥離紙55が紙幣収納袋50から剥がれにくいという問題があるが、剥離紙55における接着面54側の端部を同方向に2度折ることにより、剥離紙55を紙幣収納袋50から剥がれやすくすることができる。なお、前述したように、剥離紙55における接着面54側の端部が1度だけ折れてV字形状となっており、折れた先端部分が接着面54に取り付けられるようになっていてもよい。この場合には、後述する剥離紙保持部材90により剥離紙55が保持される際に、この剥離紙55における折れた先端部分とは反対側の部分が折り曲げられるようになる。
【0071】
また、本実施の形態においては、第2保持部材42に対する第1保持部材40の位置を検知する第1保持部材検知部47が設けられている(図12参照)。この第1保持部材検知部47は、例えば第1保持部材40にそれぞれ設けられた発光部47aおよび受光部47bからなり、発光部47aから発せられて第2保持部材42の側面で反射した光が受光部47bにより受けられることにより、第1保持部材40と第2保持部材42との間の距離を検知するようになっている。そして、第1保持部材検知部47により検知される、第1保持部材40と第2保持部材42との間の距離に基づいて、紙幣収納袋50の上部開口における開口の度合いが検知されるようになっている。
【0072】
なお、第2保持部材42に対する第1保持部材40の位置を検知する第1保持部材検知部47の代わりに、レバー46の位置を検知するレバー検知部(図示せず)が設けられていてもよい。この場合には、レバー検知部により検知されるレバー46の位置に基づいて算出される、第1保持部材40と第2保持部材42との間の距離に基づいて紙幣収納袋50の上部開口における開口の度合いが検知されるようになる。また、開口の度合いに応じて、操作表示部29等の表示部により報知を行うことができる。具体的には、ある位置を超えて第1保持部材40が移動してしまった時には、紙幣収納袋50が若干密着してしまい、そのままの状態では紙幣の収納動作に影響するため、「レバーを引き出し、紙幣収納袋を密封させて下さい」等の表示を行うことにより操作者に報知を行うことができる。
【0073】
次に、このような構成からなる紙幣出納装置20の収納部26における紙幣の収納動作について説明する。
【0074】
まず、操作者が手動で空の紙幣収納袋50を収納部26に設置する。具体的には、収納部26における第1保持部材40および第2保持部材42により紙幣収納袋50の各被保持部材52を保持させるようにする。より詳細には、図6(a)に示すように、各被保持部材52に設けられた引掛部53を、操作者が第1保持部材40や第2保持部材42の上面とカバー部材66との間の隙間に挿入すると、紙幣収納袋固定ピン64における斜め方向に傾斜した上面に引掛部53が乗ることにより、紙幣収納袋固定ピン64が引掛部53により押圧されて下方に一旦退避し、その後引掛部53の開口53aに紙幣収納袋固定ピン64が貫通するよう当該紙幣収納袋固定ピン64が上方に再び伸びるようになる。このようにして、紙幣収納袋50の各引掛部53が第1保持部材40および第2保持部材42にそれぞれ引っ掛けられるようになる。紙幣収納袋50が収納部26に設置されると、光センサ45によりこのことが検知される。
【0075】
また、紙幣収納袋50が第1保持部材40および第2保持部材42により保持された後、この紙幣収納袋50の接着面54に取り付けられた剥離紙55を剥離紙保持部材90により保持させるようにする。具体的には、操作者が手動で剥離紙押さえ板96を底板92から離間させ、この底板92から上方に延びる剥離紙固定ピン94に剥離紙55の開口55aを貫通させ、その後剥離紙押さえ板96を底板92上に載置させることにより、図13(a)に示すように、剥離紙55が底板92と剥離紙押さえ板96との間に保持される。そして、剥離紙55が剥離紙保持部材90に保持されると、剥離紙検知センサ99によりこのことが検知される。
【0076】
紙幣収納袋50が第1保持部材40および第2保持部材42により保持されるとともに、この紙幣収納袋50の接着面54に取り付けられた剥離紙55が剥離紙保持部材90により保持されると、搬送部23から収納部26に送られた紙幣を紙幣収納袋50内に収納させることができるようになる。より具体的には、搬送部23から収納部26に送られた紙幣は、まず各一時保留板72上に保留される(図10(a)における紙幣B1参照)。そして、各一時保留板72上に保留された紙幣は、押し込み板74により紙幣収納袋50内に押し込まれる。具体的には、図10(a)に示すように搬送部23から収納部26に送られた紙幣が各一時保留板72に一時的に保留された状態で、第2伸縮機構76が下方に伸張することにより押し込み板74が下方に移動すると、当該押し込み板74が各一時保留板72上の紙幣を下方に押圧し、各一時保留板72は図10(a)に示すような保留位置から図10(b)に示すような解放位置に移動する。このことにより、各一時保留板72上の紙幣が押し込み板74により紙幣収納袋50内に押し込まれるようになる(図10における紙幣B2参照)。ここで、各一時保留板72が図10(a)に示すような保留位置から図10(b)に示すような解放位置に移動したときに、各一時保留板72は、第1保持部材40および第2保持部材42の上方の隙間(図10(a)において参照符号Rで表示)をそれぞれ塞ぐようになる(図10(b)参照)。
【0077】
紙幣収納袋50に紙幣が収納された後、この紙幣収納袋50を収納部26から取り出して紙幣収納袋50ごと紙幣を回収する際には、操作者はレバー46を筐体20aから手前側に引く。このことにより、第1伸縮機構48が図7(a)に示すような収縮状態から伸張して図8(a)に示すような伸張状態となり、第1保持部材40および第2保持部材42が互いに当接するようになる。ここで、紙幣収納袋50を保持する第1保持部材40が第2保持部材42に向かって移動すると、第1保持部材40および剥離紙保持部材90が互いに離間することにより、図13(b)に示すように、剥離紙保持部材90により剥離紙55が保持されたままこの剥離紙55が紙幣収納袋50から剥がされるようになる。このようにして、第1保持部材40および第2保持部材42が当接したときには、紙幣収納袋50の内面に形成された接着面54からは剥離紙55が剥がされた状態となっているので、当該接着面54により紙幣収納袋50の上部開口が封止されるようになる。
【0078】
また、図8(a)に示すように第1保持部材40および第2保持部材42が互いに当接した後、更にレバー46を操作者が筐体20aの手前側に引くことにより第1保持部材40が第2保持部材42を押圧して第2保持部材42を移動させると、ロック機構49によるロックが解除されて枠体44を筐体20a内から手前側に引き出すことができるようになる。このようにして、操作者は枠体44に設けられた第1保持部材40および第2保持部材42を筐体20a内から手前側に引き出すことができるようになり、これらの保持部材40、42により保持された、上部開口が封止された紙幣収納袋50も筐体20a内から手前側に引き出されることとなる。その後、操作者が第1保持部材40および第2保持部材42にそれぞれ設けられた袋外しレバー60を下方に押圧すると、この袋外しレバー60に接続された押圧部分60aがピン収容部材62の引掛部分62aを下方に押圧するようになり、紙幣収納袋固定ピン64が第1保持部材40や第2保持部材42の内部に退避する。このことにより、引掛部53の開口53aから紙幣収納袋固定ピン64が抜け、操作者は紙幣収納袋50の引掛部53を第1保持部材40や第2保持部材42から取り外すことができるようになる。このようにして、上部開口が封止された紙幣収納袋50を第1保持部材40および第2保持部材42から取り外し、この紙幣収納袋50を回収することができるようになる。
【0079】
以上のように本実施の形態の紙幣出納装置20によれば、筐体20a内からの第1保持部材40および第2保持部材42の引き出し方向(図3におけるX方向)に直交する方向(図3におけるY方向)に沿って離間して並ぶよう第1保持部材40および第2保持部材42が配置されているとともに、引き出し方向に直交する方向に沿って第1保持部材40が第2保持部材42に向かって移動可能となっており、第1保持部材40が第2保持部材42に向かって移動して両者が当接したときに紙幣収納袋50の上部開口が封止されるようになっている。また、第1保持部材40および第2保持部材42が互いに当接した状態でのみこれらの第1保持部材40および第2保持部材42が筐体20a内から外部に引き出されるようになっている。このように、紙幣収納袋50を保持する第1保持部材40および第2保持部材42を互いに当接させて紙幣収納袋50の上部開口を密閉する際に、筐体20a内から外部への紙幣収納袋50の引き出し方向(図3におけるX方向)と直交する方向に第1保持部材40を移動させることによって、紙幣収納袋50を保持する各保持部材40、42の装置手前側への引き出し距離を短くすることができ、装置手前側の省スペース化を図ることができる。
【0080】
また、本実施の形態の紙幣出納装置20においては、第1保持部材40にレバー46が設けられており、レバー46を動かすことにより第1保持部材40が第2保持部材42に向かって移動するようになっている。また、第1保持部材40とレバー46との間には水平方向に伸縮自在の第1伸縮機構48が設けられており、第1保持部材40は第1伸縮機構48の先端に取り付けられている。そして、レバー46を動かすことにより第1伸縮機構48が伸張して第1保持部材40が第2保持部材42に向かって移動するようになっている。ここで、第1伸縮機構48はパンタグラフ機構から構成されている。
【0081】
また、本実施の形態の紙幣出納装置20においては、収納部26には、第1保持部材40および第2保持部材42を筐体20a内にロックするロック機構49が設けられており、第2保持部材42は、第1保持部材40の移動方向に沿ってわずかに移動可能となっている。そして、第2保持部材42が第1保持部材40により押圧されて移動したときに、ロック機構49によるロックが解除されて第1保持部材40および第2保持部材42を筐体20a内から外部に引き出すことができるようになっている。
【0082】
また、本実施の形態の紙幣出納装置20においては、収納部26に設置された紙幣収納袋50の上方に設けられ、紙幣を紙幣収納袋50に収納する前に紙幣を一時的に保留する一時保留板72と、一時保留板72上に一時的に保留された紙幣を下方に押圧することにより紙幣を紙幣収納袋50内に押し込む押し込み板74とを更に備えている。そして、一時保留板72は軸72aにより枢支されており、当該一時保留板72は、水平方向に延びる保留位置(図10(a)参照)と、この保留位置から軸72aを中心として回動して下方または斜め下方に延びる解放位置(図10(b)参照)との間で移動するようになっている。そして、一時保留板72が保留位置にあるときに、収納部26に送られた紙幣が一時保留板72上に一時的に保留されるようになっており、押し込み板74が一時保留板72上の紙幣を下方に押圧することにより一時保留板72が保留位置から解放位置に移動し、一時保留板72上の紙幣が押し込み板74により紙幣収納袋50内に押し込まれるようになっている。このことにより、紙幣収納袋50内に紙幣を収納させる取引毎に押し込み板74により紙幣収納袋50内の紙幣を圧縮させることで、紙幣収納袋50内で紙幣の集積不良が生じることを抑制し、紙幣収納袋50に収納される紙幣の収納量を増加させることができる。
【0083】
また、押し込み板74は、鉛直方向に伸縮自在の第2伸縮機構76の先端に取り付けられており、第2伸縮機構76が下方に伸張することにより、押し込み板74が一時保留板72上の紙幣を下方に押圧し、一時保留板72が保留位置から解放位置に移動して当該一時保留板72上の紙幣が押し込み板74により紙幣収納袋50内に押し込まれるようになっている。
【0084】
また、一時保留板72は、保留位置から解放位置に移動したときに、第1保持部材40および第2保持部材42の上方の隙間を塞ぐようになっている。このことにより、一時保留板72に保留された紙幣が紙幣収納袋50内に収納される際に、第1保持部材40および第2保持部材42の上方の隙間に紙幣が入り込んでしまうことを防止することができ、収納部26で紙幣詰まり等のトラブルが発生することを防止することができる。
【0085】
また、本実施の形態の紙幣出納装置20においては、収納部26に紙幣収納袋50が設置されているか否かを検知する紙幣収納袋検知部が設けられている。この紙幣収納袋検知部として例えば光センサ45が用いられるようになっている。
【0086】
また、本実施の形態の紙幣出納装置20においては、紙幣収納袋50には、第1保持部材40および第2保持部材42にそれぞれ保持される被保持部材52が設けられており、紙幣収納袋検知部は、被保持部材52を検知するようになっている。具体的には、被保持部材52は光非透過材料から形成されており、紙幣収納袋検知部は光センサ45からなる。このことにより、収納部26に紙幣収納袋50が設置されたときには、光センサ45の発光部45aから発せられた光が光非透過材料からなる被保持部材52により遮られ、受光部45bには到達しなくなり、このことにより紙幣収納袋検知部は収納部26に紙幣収納袋50が設置されていることを検知することができるようになる。
【0087】
また、本実施の形態の紙幣出納装置20においては、被保持部材52の引掛部53には開口53aが設けられている。また、第1保持部材40および第2保持部材42には、収納部26に紙幣収納袋50が設置されたときに、当該紙幣収納袋50の被保持部材52に設けられた引掛部53の開口53aに貫通する紙幣収納袋固定ピン64が設けられている。そして、紙幣収納袋50の被保持部材52に設けられた引掛部53の開口53aが紙幣収納袋固定ピン64に引っ掛けられることにより、紙幣収納袋50が第1保持部材40および第2保持部材42により保持されるようになっている。ここで、各紙幣収納袋固定ピン64は、第1保持部材40および第2保持部材42の上面からそれぞれ上方に延びるよう設けられている(図6(a)参照)。また、各紙幣収納袋固定ピン64は、第1保持部材40および第2保持部材42の内部にそれぞれ退避することができるようになっており、各紙幣収納袋固定ピン64が第1保持部材40および第2保持部材42の内部に退避することにより紙幣収納袋50が第1保持部材40および第2保持部材42から解放されるようになっている。
【0088】
また、本実施の形態の紙幣出納装置20においては、第2保持部材42に対する第1保持部材40の位置を検知する第1保持部材検知部47が設けられており、第1保持部材検知部47により検知される、第1保持部材40と第2保持部材42との間の距離に基づいて紙幣収納袋50の開口の度合いが検知されるようになっている。なお、前述のように、第1保持部材検知部47の代わりに、レバー46の位置を検知するレバー検知部により紙幣収納袋50の開口の度合いが検知されるようになっていてもよい。また、開口の度合いに応じて、操作表示部29等の表示部により報知を行うことができる。具体的には、ある位置を超えて第1保持部材40が移動してしまった時には、紙幣収納袋50が若干密着してしまい、そのままの状態では紙幣の収納動作に影響するため、「レバーを引き出し、紙幣収納袋を密封させて下さい」等の表示を行うことにより操作者に報知を行うことができる。
【0089】
なお、本発明による紙葉類収納装置は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。例えば、本発明による紙葉類収納装置として、バックヤード領域に設けられる紙幣出納装置20に限定されることはない。また、本発明による紙葉類収納装置は、紙幣以外の紙葉類を収納するものであってもよい。この場合、紙葉類を収納する紙葉類収納袋が収納部に着脱自在に設置されるようになる。
【符号の説明】
【0090】
10 現金出納装置
20 紙幣出納装置
20a 筐体
21 入金部
21a 紙幣受入ユニット
22 出金部
23 搬送部
23a 端部
24 識別部
25 収納繰出部
26 収納部
27 機外リジェクト部
28 機内リジェクト部
29 操作表示部
30 硬貨出納装置
40 第1保持部材
40a ピン部材
42 第2保持部材
44 枠体
44a 開口
44b 開口
45 光センサ
45a 発光部
45b 受光部
46 レバー
46a 開口
47 第1保持部材検知部
47a 発光部
47b 受光部
48 第1伸縮機構
48a〜48d ピン部材
48e 第1棒状部材
48f 第2棒状部材
48g 中央ピン部材
49 ロック機構
49a ロック部材
49b 軸
49c ロックピン
50 紙幣収納袋
51 袋本体
52 被保持部材
53 引掛部
53a 開口
54 接着面
55 剥離紙
60 袋外しレバー
60a 押圧部分
62 ピン収容部材
62a 引掛部分
64 紙幣収納袋固定ピン
66 カバー部材
70 押し込み機構
72 一時保留板
72a 軸
74 押し込み板
76 第2伸縮機構
76a 第1ピン部材
76b 第2ピン部材
78 天井部材
79 ラック機構
79a ラック面
80 ピニオン部材
81 歯車
90 剥離紙保持部材
92 底板
94 剥離紙固定ピン
96 剥離紙押さえ板
96a 開口
98 ヒンジ部材
99 剥離紙検知センサ
99a 発光部
99b 受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を機体内に取り込むための取込部と、
前記取込部により機体内に取り込まれた紙葉類を収納するための収納部であって、紙葉類を収納する紙葉類収納袋が着脱自在に設置可能な収納部と、
を備え、
前記収納部は、前記紙葉類収納袋をその上部開口が開いた状態で保持する第1保持部材および第2保持部材を有し、前記第1保持部材および前記第2保持部材は同一平面上で離間して設置されているとともに前記第1保持部材と前記第2保持部材との間に前記紙葉類収納袋が保持されるようになっており、前記紙葉類収納袋を保持した状態で第1保持部材および第2保持部材を一体的に機体内から外部に引き出すことができるようになっており、
機体内からの前記第1保持部材および前記第2保持部材の引き出し方向に直交する方向に沿って離間して並ぶよう前記第1保持部材および前記第2保持部材が配置されているとともに、前記引き出し方向に直交する方向に沿って前記第1保持部材は前記第2保持部材に向かって移動可能となっており、前記第1保持部材が前記第2保持部材に向かって移動して両者が当接したときに前記紙葉類収納袋の上部開口が封止されるようになっていることを特徴とする紙葉類収納装置。
【請求項2】
前記第1保持部材にはレバーが設けられており、当該レバーを動かすことにより前記第1保持部材が前記第2保持部材に向かって移動するようになっていることを特徴とする請求項1記載の紙葉類収納装置。
【請求項3】
前記第1保持部材と前記レバーとの間には水平方向に伸縮自在の第1伸縮機構が設けられており、前記第1保持部材は前記第1伸縮機構の先端に取り付けられており、前記レバーを動かすことにより前記第1伸縮機構が伸張して前記第1保持部材が前記第2保持部材に向かって移動するようになっていることを特徴とする請求項2記載の紙葉類収納装置。
【請求項4】
前記第1伸縮機構はパンタグラフ機構であることを特徴とする請求項3記載の紙葉類収納装置。
【請求項5】
前記収納部には、前記第1保持部材および前記第2保持部材を機体内にロックするロック機構が設けられており、
前記第2保持部材は、前記第1保持部材の移動方向に沿ってわずかに移動可能となっており、前記第2保持部材が前記第1保持部材により押圧されて移動したときに、前記ロック機構によるロックが解除されて前記第1保持部材および前記第2保持部材を機体内から外部に引き出すことができるようになっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項6】
前記収納部に設置された前記紙葉類収納袋の上方に設けられ、前記収納部に送られた紙葉類を前記紙葉類収納袋に収納する前に紙葉類を一時的に保留する一時保留板と、
前記一時保留板上に一時的に保留された紙葉類を下方に押圧することにより紙葉類を前記紙葉類収納袋内に押し込む押し込み板と、
を更に備え、
前記一時保留板は軸により枢支されており、当該一時保留板は、水平方向に延びる保留位置と、この保留位置から軸を中心として回動して下方または斜め下方に延びる解放位置との間で移動するようになっており、
前記一時保留板が前記保留位置にあるときに、前記収納部に送られた紙葉類が前記一時保留板上に一時的に保留されるようになっており、前記押し込み板が前記一時保留板上の紙葉類を下方に押圧することにより前記一時保留板が保留位置から解放位置に移動し、当該一時保留板上の紙葉類が前記押し込み板により前記紙葉類収納袋内に押し込まれるようになっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項7】
前記押し込み板は、鉛直方向に伸縮自在の第2伸縮機構の先端に取り付けられており、
前記第2伸縮機構が下方に伸張することにより、前記押し込み板が前記一時保留板上の紙葉類を下方に押圧し、前記一時保留板が保留位置から解放位置に移動して当該一時保留板上の紙葉類が前記押し込み板により前記紙葉類収納袋内に押し込まれるようになっていることを特徴とする請求項6記載の紙葉類収納装置。
【請求項8】
前記一時保留板は、前記保留位置から前記解放位置に移動したときに、前記第1保持部材および/または前記第2保持部材の上方の隙間を塞ぐようになっていることを特徴とする請求項6または7記載の紙葉類収納装置。
【請求項9】
前記収納部に前記紙葉類収納袋が設置されているか否かを検知する紙葉類収納袋検知部を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項10】
前記紙葉類収納袋には、前記第1保持部材および前記第2保持部材にそれぞれ保持される被保持部材が設けられており、前記紙葉類収納袋検知部は前記被保持部材を検知するようになっていることを特徴とする請求項9記載の紙葉類収納装置。
【請求項11】
前記被保持部材は光非透過材料から形成されており、前記紙葉類収納袋検知部は光センサからなることを特徴とする請求項10記載の紙葉類収納装置。
【請求項12】
前記被保持部材には開口が設けられており、
前記第1保持部材および前記第2保持部材には、前記収納部に前記紙葉類収納袋が設置されたときに当該紙葉類収納袋の前記被保持部材の開口を貫通する突起部材が設けられており、前記被保持部材の開口が前記突起部材に引っ掛けられることにより前記紙葉類収納袋が前記第1保持部材および前記第2保持部材により保持されるようになっていることを特徴とする請求項10または11記載の紙葉類収納装置。
【請求項13】
前記突起部材は前記第1保持部材および前記第2保持部材の上面からそれぞれ上方に延びるよう設けられていることを特徴とする請求項12記載の紙葉類収納装置。
【請求項14】
前記突起部材は前記第1保持部材および前記第2保持部材の内部に退避することができるようになっており、前記突起部材が前記第1保持部材および前記第2保持部材の内部に退避することにより前記紙葉類収納袋が前記第1保持部材および前記第2保持部材から解放されるようになっていることを特徴とする請求項12または13記載の紙葉類収納装置。
【請求項15】
前記第2保持部材に対する前記第1保持部材の位置を検知する第1保持部材検知部を更に備え、前記第1保持部材検知部により検知される、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間の距離に基づいて前記紙葉類収納袋の開口の度合いが検知されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。
【請求項16】
前記レバーの位置を検知するレバー検知部を更に備え、前記レバー検知部により検知される前記レバーの位置に基づいて算出される、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間の距離に基づいて前記紙葉類収納袋の開口の度合いが検知されるようになっていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の紙葉類収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−174131(P2012−174131A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37409(P2011−37409)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】