説明

紙製のパレット

【課題】古紙活用によりリサイクル効率を向上させ得ると共に、積載荷重が大きい場合にもこれを安定的に支持し得る強度を有し、然も比較的軽量で取り扱い性に優れ、製造コストの低減も期し得る紙製のパレットを提供する。
【解決手段】デッキボード2と、これを下方から支持する平行した複数の桁材3を具える紙製のパレットである。桁材3は、フルートがライナ間に介在されてなる紙製の段ボールの表裏面に紙管原紙からなる板紙を貼り合わせてなる板状部材を用いて構成する。桁材3はV字状枠21を具え、Vカット溝で折曲して構成する。V字状枠21の対向する傾斜片26,26においては、フルートの溝の延長方向F1が傾斜片26の傾斜方向F2に合致している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載荷重が大きい場合にもこれを安定的に支持し得る紙製のパレットに関す
るものである。
【背景技術】
【0002】
V字状に折曲された桁材をデッキボードの下面に設けると共に、該V字状の桁材の下端
で床面等の被設置面に設置されるように構成された紙製のパレットの一例としては、例え
ば実開昭56−68628号公報(特許文献1)が開示するパレットや、特開平8−13
3287号公報(特許文献2)が開示するパレットが提案されている。この種のパレット
aは、例えば図23や図24に示すように、デッキボードbの下面cの幅方向の両側及び
幅方向の中間部に、段ボールシートd(図25)の折り曲げによって形成されたV字状の
桁材e,e,eを設けて構成されていた。
【0003】
そして、該パレットaを組み立てるに際しては、先ず、図25に示すように、横長に裁
断した段ボールシートdに、その幅方向に平行して所要本数の折り線部fを設け、その後
、図23、図24に示すように、該段ボールシートdを該折り線部fで折り曲げることに
よって、前記デッキボードbの下面c側で前記V字状の桁材eを形成すると共に、該桁材
eの上端縁hに水平固定片jを連設することとし、該水平固定片jを前記デッキボードb
の下面cに接着して該パレットaを構成するものであった。該パレットaは、このように
、段ボールシートdを前記折り線部fで折り曲げて組み立てる構成のものであったため、
使用する段ボールシートdは、該折り線部fで折り曲げることができる程度の柔らかい素
材のものに限られざるを得なかった。
【0004】
従って、V字状の桁材eの強度アップを図るために、複数枚の段ボールを貼り合わせる
ことによって段ボールシートを構成した場合は、段ボールシートの全体厚さが厚くなるた
め、前記のようにして設けた折り線部fで該段ボールシートを折り曲げようとしても折り
曲げにくく、折り曲げの作業性が悪い問題があった。又、折り曲げることができた場合も
、V字状の桁材の下端部分が丸みを帯びてしまうため、パレットに積載される荷重が大き
い場合は該V字状の桁材が座屈し易い問題があった。かかることから、使用する段ボール
シートは、折り線部で折り曲げることができる程度の柔らかい素材のものに限られたので
あった。
【0005】
ところで前記特許文献1、特許文献2には、これらの折り線部fを段ボールシートdに
対してどのように設けるかは明記されていない。そこで、例えば図26(A)に示すよう
に、段ボールシートdの波形のフルートkの溝mの延長方向に折り線部fを設けたとすれ
ば、図26(B)(C)に示すように、V字状の桁材eの下端部分pは、段ボールシート
dが薄肉に潰れて薄紙状を呈し且つ下端面qが円弧状面を呈したものとなってしまう。一
方図27(A)に示すように、フルートkの溝mの延長方向と直交する方向に折り線部f
を設けたときも、V字状の桁材eの下端部分pは、図27(B)(C)に示すように、段
ボールシートdが薄肉に潰れて薄紙状を呈し且つ下端面qが円弧状面を呈したものとなっ
てしまう。
【0006】
段ボールの剛性は本来、図26(A)、図27(A)に示すように、波形に形成された
フルートkをライナs,s間に介在させることにより厚みを持たせたことによって得られ
るのであるが、このように薄紙状に潰れたV字状の桁材eの下端部分pでは、段ボールに
期待される剛性が発揮されないことになってしまう。かかることから、該下端部分pの剛
性は弱く、パレットaに積載荷重が加わった状態で横荷重が付加されたときに該V字状の
桁材eがぐらつき易い。又、前記のように下端面qが円弧状面を呈することから、前記デ
ッキボードbに大きな積載荷重が加わったときには、前記V字状の桁材eの対向する傾斜
片t,tが、例えば図28、図29に示すように外側に膨らみ変形しやすく、上からの荷
重に対して座屈し易かった。
【0007】
特に図26(A)に示すように、段ボールシートdの波形のフルートkの溝mの延長方
向に折り線部fを設けた場合は、V字状の桁材eがフルートkの溝部分で容易に折れ易い
ために、該V字状の桁材eの座屈が一層生じ易かった。
【0008】
このように、V字状の桁材eを具える前記従来の段ボール製のパレットaは、V字状の
桁材eとデッキボードbとによって強度的に安定した三角形構造部を形成せんとする着眼
には優れたものがあったが、柔らかい段ボール素材を折り曲げてV字状の桁材を構成して
いたために、積載荷重が大きい場合には該三角形構造部の本来の強度的性能を有効に発揮
させ難い問題があったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭56−68628号公報
【特許文献2】特開平8−133287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来の紙製のパレットの問題点に鑑みて開発されたものであり、古紙活
用によりリサイクル効率を向上させ得ると共に、積載荷重が大きい場合にもこれを安定的
に支持し得る強度を有し、しかも比較的軽量で取り扱い性に優れ、その上、製造コストの
低減も期し得る紙製のパレットの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る紙製のパレット(以下パレットという)は、デッキボードと、該デ
ッキボードを下方から支持する桁材とを具える紙製のパレットであって、前記デッキボー
ドと前記桁材は、波形に形成されたフルートがライナ間に介在されてなる紙製の段ボール
の表裏面に、紙管原紙の1枚乃至複数枚からなる板紙を貼り合わせてなる板状部材を用い
て構成されており、前記桁材は全て、下方に向けて細くなり且つ下端部分の第1のV字状
折曲部を介してV字状に形成されたV字状枠を具えており、該V字状枠の下端で被設置部
に設置されるものとなされている。そして、該第1のV字状折曲部は、前記板状部材が、
その一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠
切されたVカット溝の最深部を中心として折曲され、且つ該Vカット溝の左右のカット面
が当接されることによって構成されており、又、該V字状枠の対向する傾斜片においては
、前記段ボールの前記波形のフルートの溝の延長方向が該傾斜片の傾斜方向に合致されて
いることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係るパレットのより具体的な一態様は、デッキボードと、該デッキボードを下
方から支持する平行した複数の桁材とを具える紙製のパレットであって、前記桁材は、前
記デッキボードの幅方向の少なくとも両側に配置されるものであり、前記デッキボードと
前記桁材は、波形に形成されたフルートがライナ間に介在されてなる紙製の段ボールの表
裏面に、紙管原紙の1枚乃至複数枚からなる板紙を貼り合わせてなる板状部材を用いて構
成されており、前記桁材は全て、下方に向けて細くなり且つ下端部分の第1のV字状折曲
部を介してV字状に形成されたV字状枠を具えており、該V字状枠の下端で被設置部に設
置されるものとなされている。そして、前記デッキボードの幅方向の両側に配置される前
記桁材は、前記V字状枠の外の上端縁が前記デッキボードの側端に第2のV字状折曲部を
介して連設されており、又、該V字状枠の内の上端縁に、第3のV字状折曲部を介して、
前記デッキボードの下面に接着される水平固定片が該V字状枠の外方に向けて連設されて
おり、前記第1〜3の各V字状折曲部は、前記板状部材が、その一方の板紙側から他方の
板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切されたVカット溝の最深部
を中心として折曲されて構成されており、少なくとも前記第1のV字状折曲部にあっては
、前記Vカット溝の左右のカット面が当接されており、又、前記V字状枠の対向する傾斜
片においては、前記段ボールの前記波形のフルートの溝の延長方向が該傾斜片の傾斜方向
に合致されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係るパレットのより具体的な他の態様は、デッキボードと、該デッキボードを
下方から支持する平行した複数の桁材とを具える紙製のパレットであって、前記桁材は、
前記デッキボードの幅方向の両側に配置される側部の桁材と、該幅方向の中間部に配置さ
れる中間の桁材とからなり、前記デッキボードと前記桁材は、波形に形成されたフルート
がライナ間に介在されてなる紙製の段ボールの表裏面に、紙管原紙の1枚乃至複数枚から
なる板紙を貼り合わせてなる板状部材を用いて構成されており、前記桁材は全て、下方に
向けて細くなり且つ下端部分の第1のV字状折曲部を介してV字状に形成されたV字状枠
を具えており、該V字状枠の下端で被設置部に設置されるものとなされている。そして、
前記側部の桁材は、前記V字状枠の外の上端縁が前記デッキボードの側端に第2のV字状
折曲部を介して連設されており、又、該V字状枠の内の上端縁に、第3のV字状折曲部を
介して、前記デッキボードの下面に接着される水平固定片が該V字状枠の外方に向けて連
設されており、又、前記中間の桁材は、前記V字状枠の両上端縁の夫々に、第4のV字状
折曲部を介して、前記デッキボードの下面に接着される水平固定片が該V字状枠の外方に
向けて連設されており、前記第1〜4の各V字状折曲部は、前記板状部材が、その一方の
板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切されたV
カット溝の最深部を中心として折曲されており、少なくとも前記第1のV字状折曲部にあ
っては、前記Vカット溝の左右のカット面が当接されており、又、前記V字状枠の対向す
る傾斜片においては、前記段ボールの前記波形のフルートの溝の延長方向が該傾斜片の傾
斜方向に合致されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係るパレットのより具体的なその他の態様は、デッキボードと、該デッキボー
ドを下方から支持する平行した複数の桁材とを具える紙製のパレットであって、前記桁材
は、前記デッキボードの幅方向の少なくとも両側に配置されるものであり、前記デッキボ
ードと前記桁材は、波形に形成されたフルートがライナ間に介在されてなる紙製の段ボー
ルの表裏面に、紙管原紙の1枚乃至複数枚からなる板紙を貼り合わせてなる板状部材を用
いて構成されており、前記桁材は全て、前記デッキボードとは別体であり、下方に向けて
細くなり且つ下端部分の第1のV字状折曲部を介してV字状に形成されたV字状枠を具え
ており、該V字状枠の下端で被設置部に設置されるものとなされている。そして、該V字
状枠の両上端縁の夫々に、第4のV字状折曲部を介して、前記デッキボードの下面に接着
される水平固定片が該V字状枠の外方に向けて連設されており、前記第1のV字状折曲部
と前記第4のV字状折曲部は、前記板状部材が、その一方の板紙側から他方の板紙側に向
けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切されたVカット溝の最深部を中心とし
て折曲されることによって構成されており、少なくとも前記第1のV字状折曲部にあって
は、前記Vカット溝の左右のカット面が当接されており、又、前記V字状枠の対向する傾
斜片においては、前記段ボールの前記波形のフルートの溝の延長方向が該傾斜片の傾斜方
向に合致されていることを特徴とするものである。
【0015】
前記の各パレットにおいて、前記V字状枠の対向する傾斜片においては、前記紙管原紙
の流れ目の方向(紙管原紙を製造する抄紙機から流れ出る方向)が該傾斜片の傾斜方向に
合致するように構成するのがよい。
【0016】
前記のより具体的な各態様に係るパレットにおいて、前記Vカット溝の内、前記第1の
V字状折曲部を除いた他のV字状折曲部を構成するためのVカット溝に関し、前記左右の
カット面が当接され且つ接着されたものとして構成するのがよい。
【0017】
前記の各パレットにおいて、前記Vカット溝の全てについて、前記左右のカット面が当
接され且つ接着されたものとして構成するのがよい。
【0018】
前記のように接着する場合、前記接着剤が、前記段ボールの波形のフルートとライナと
により形成された筒状部の前記カット面で開口された開口部分に入り込むと共に、該フル
ートや該ライナに染み込んだ状態とし、前記板状部材を、前記Vカット溝の最深部を中心
として折曲し、且つ、前記左右の両カット面の開口部分に存する接着剤が一連に連なった
状態で前記両カット面が接着一体化される如く構成するのがよい。
【0019】
前記の各パレットにおいて、前記第1のV字状折曲部を構成するVカット溝が存する部
分及びその両側の周辺部分の表裏面を覆うように、前記板状部材の表裏面に遮水性粘着テ
ープを周方向で巻き付け、巻き付け端部分相互を重ね、前記板状部材を、前記カット溝の
最深部を中心として折曲し、該カット溝の前記左右のカット面が、該遮水性粘着テープを
介在させて当接される如く構成するのがよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るパレットは、以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明によるときは、環境に優しく、比較的軽量で取り扱い性が良好であり、しかも
製造コストの低減を期し得るパレットを提供できる。
より具体的には、本発明のパレットは、デッキボード及び桁部材を、紙製の段ボールや
紙管原紙を主体とした板状部材を用いて構成するため、リサイクル効率を向上させること
ができ、資源の有効活用を図ることができる。又、本発明のパレットは、デッキボード及
び桁部材を紙製の板状部材を用いて構成すると共に、該桁部材が、空洞部を有するV字状
枠を具えており、然も、下のデッキボードを省略して構成できるため、パレットの軽量化
を達成できパレットの取り扱い性を向上させることができる。
加えて本発明に係るパレットは、桁材を、空洞部を有するV字状枠を具えるものとして
構成することとし、又、下のデッキボードを省略して構成できるため、使用材料を削減で
き、パレットの製造コストの低減を期し得る。
【0021】
(2) 本発明に係るパレットは、デッキボードと桁材を、段ボールの表裏面に紙管原紙から
なる板紙を貼り合わせてなる板状部材を用いて構成しているため、該板状部材は、剛性の
低い段ボールを用いながらも、紙管原紙が貼り合わせられることによって剛性が向上され
ている。従って該板状部材は、段ボールを積層しなくても所要の剛性を有するものとして
構成され得る。そして前記桁材は、該板状部材を、Vカット溝の最深部を中心として折曲
すると共に該Vカット溝の左右のカット面を当接して構成することとし、且つ、これによ
って形成されたV字状枠の対向する傾斜片においては、前記段ボールの波形のフルートの
溝の延長方向が傾斜片の傾斜方向に合致するようになされている。
かかることから本発明によるときは、ぐらつきのない安定構造の第1のV字状折曲部を
有するV字状枠によって、安定した三角形構造部を形成できる。然も、該V字状枠の対向
する傾斜片においては、段ボールの波形のフルートとライナとにより形成された筒状部の
延長方向(フルートの溝の延長方向)が該傾斜片の傾斜方向に合致され、該筒状部が傾斜
片の長さ方向に多数本並設された状態が得られることとなる。
従って本発明に係るパレットによるときは、安定した三角形構造部を構成する前記V字
状枠の傾斜片の傾斜方向で見た直線性が安定的に保持されることになるので、全体が紙製
でありながら、又、下のデッキボードを具えないにも拘わらず、積載荷重が大きい場合に
もこれを安定的に支持できることになる。
【0022】
(3) 前記Vカット溝の左右のカット面に接着剤を塗布し、該接着剤が、両カット面で開口
された筒状部の開口部分に入り込むと共に前記フルートや前記ライナに染み込んだ状態と
し、その後、前記板状部材を前記Vカット溝の最深部を中心として折曲するときは、該両
カット面の開口部分に存する接着剤が一連に連なった状態で両カット面を接着一体化でき
ることになる。
該接着一体化状態で、前記フルートや前記ライナに染み込んでこれらと一体化した接着
剤硬化部が、前記開口部分に存して一連に連なった接着剤硬化物に対するアンカー作用を
発揮するため、該アンカー作用によって前記V字状折曲部が開きにくくなる。これによっ
て、前記V字状枠を具える前記三角形構造部の一層の強度向上を図ることができる。
【0023】
(4) 前記桁材を構成するV字状枠の上端縁に、Vカット溝を介して、前記デッキボードの
下面に接着される水平固定片を連設する場合、該Vカット溝の左右のカット面を当接状態
とする構成を採用し且つ該両カット面を前記独特の接着手段を採用して接着一体化すると
きは、該水平固定片を前記デッキボードの下面に接着した状態で前記V字状枠の上端縁を
確実に位置固定できることになる。これによって、パレットによる積載荷重の支持状態の
安定性を向上させることができる。
【0024】
(5) 特に、デッキボードの幅方向の両側に配置される側部の桁材を、デッキボードの側端
に第2のV字状折曲部を介して連設して構成するきは、V字状枠体の外の上端縁と内の上
端縁の夫々に水平固定片を連設する場合に比し、該V字状枠の下端を前記デッキボードの
側端に近接させることができる。このように構成するときは、前記デッキボードの側部分
にも積載荷重が付加される場合に、これを安定的に支持できて好ましい。
又このように連設することにより、側部の桁材が前記デッキボードと一連に構成された
状態となるため、該側部の桁材の安定性を向上させることができる。そして、このように
連設する場合は、V字状枠の両上端縁に水平固定片を連設する場合に比し、水平固定片の
接着手間を削減できる利点もある。
【0025】
(6) 前記V字状枠の対向する傾斜片において、前記紙管原紙の流れ目の方向を該傾斜片の
傾斜方向に合致させる場合は、前記筒状部を弓形に湾曲させる荷重に対する抵抗力がより
一層向上したものとなり、より大きな積載荷重を安定的に支持できることとなる。
【0026】
(7) 前記V字状枠の下端側の部分(下端及びその周辺部分)を、周方向で前記遮水性粘着
テープで被覆するときは、紙製のV字状枠の遮水処理を簡易且つ確実に行うことができる
と共に、被設置部が雨水等で濡れている場合に、該V字状枠が水分を吸収してパレットの
強度が低下するのを防止できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る二方向差しのパレットを上から見た斜視図である。
【図2】その下から見た斜視図である。
【図3】その正面図である。
【図4】パレットを構成する板状部材を示す斜視図と部分正面図である。
【図5】パレットの側部の桁材を示す正面図である。
【図6】その中間の桁材を示す正面図である。
【図7】桁材を示す一部欠切部分斜視図である。
【図8】デッキボードと側部の桁材とを構成する第1の板体を示す斜視図である。
【図9】その第1の板体を示す部分正面図である。
【図10】その部分拡大図である。
【図11】側部の桁材の部分構成を示す断面図である。
【図12】中間の桁材を構成する第2の板体を示す斜視図である。
【図13】その正面図である。
【図14】中間の桁材の部分構成を示す断面図である。
【図15】中間の桁材の他の態様を示す正面図である。
【図16】桁材の下端側の部分を遮水処理した斜視図である。
【図17】桁材の下端部分を遮水処理する作業工程を示す斜視図と正面図である。
【図18】四方向差しのパレットを示す斜視図である。
【図19】そのパレットを構成する桁材を示す正面図である。
【図20】パレットのその他の実施例を示す正面図である。
【図21】パレットのその他の実施例を示す正面図である。
【図22】パレットのその他の実施例を示す正面図である。
【図23】従来のパレットの一態様を示す斜視図である。
【図24】従来のパレットのその他の態様を示す斜視図である。
【図25】該一態様に係るパレットを形成するための、折り線部が設けられた段ボールシートを示す平面図である。
【図26】該一態様に係るパレットの桁材を構成するための、折り線部が設けられた段ボールシートを示す部分斜視図と、該段ボールシートを用いて構成された桁材を示す正面図及びその部分拡大図である。
【図27】該他の態様に係る桁材を構成するための、折り線部が設けられた段ボールシートを示す部分斜視図と、該段ボールシートを用いて構成された桁材を示す正面図及びその部分拡大図である。
【図28】該一態様に係るパレットを構成する桁材が膨らみ変形する問題点を説明する正面図である。
【図29】該他の態様に係るパレットを構成する桁材が膨らみ変形する問題点を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0028】
図1〜3において本発明に係るパレット1は、平面視で例えば正方形状を呈するデッキ
ボード2と、該デッキボード2を下方から支持する平行した複数の桁材3を具えており、
フォークリフトやハンドリフトのフォークを二方向の何れからでも挿入可能となされた二
方向差しパレットとして構成されている。該桁材3は、本実施例においては、前記デッキ
ボード2の幅方向の両側に配置される側部の桁材3a,3aと、該幅方向の中間部に配置
される中間の桁材3bの3本とからなる。正方形状を呈する前記デッキボード2は、本実
施例においては一辺長さが1100mm程度であり、前記桁材3a,3a,3bの高さは
例えば85〜90mm程度に設定されている。
【0029】
該デッキボード2と該側部の桁材3a,3aと該中間の桁材3bは、共に図4に示すよ
うに、波形に形成されたフルート5(例えばAフルート)がライナ6,6間に介在されて
なる紙製の段ボール7の表裏面9,10に紙管原紙11の1枚乃至複数枚(本実施例にお
いては1枚)からなる板紙12,12を貼り合わせてなる板状部材13を用いて構成され
ている。該板状部材13は、該フルート5と該ライナ6とにより形成された、一方向に延
長する孔部(前記フルート5の溝15によって形成されている)16が内在された筒状部
17の多数本が、該溝15の延長方向F1と直交する方向に並設されている。該紙管原紙
11としては、本実施例においては、例えば約1mm厚さで坪量が660g/m2 〜71
0g/m2 程度の高密度で圧縮強度が高いものを用いることができる。好ましくは、耐水
性の薬品を染み込ませてなる耐水性を有するものがよい。又、前記段ボール7のライナ6
に前記板紙12を貼り合わせるための接着剤としては、例えば酢酸ビニル樹脂エマルジョ
ンを用いることができる。前記板状部材13の全体肉厚は7.5mm程度に設定されてい
る。
【0030】
そして前記側部の桁材3a,3aと前記中間の桁材3bは、図3、図5、図6に示すよ
うに、Vカット溝19(図10、図13)で折曲して形成された第1のV字状折曲部20
を下端部分として有するV字状枠21を具えており、内部に空洞部18を有し、該V字状
枠21の下端22でコンクリート面等の被設置部23に設置される。この下端22は、実
際には若干の丸味を帯びるが、図5、図6においては便宜上、点状に示されている。従っ
て本発明に係るパレット1は、図3に一点鎖線で示すような下側のデッキボード25を具
備してはいない。
【0031】
又、図5〜7に示すように、前記V字状枠21の対向する傾斜片26,26においては
、前記段ボール7の前記フルート5の溝15の延長方向F1(図4)が該傾斜片26の傾
斜方向F2(図4)に合致されている。換言すれば、前記筒状部17の延長方向F3が該
傾斜片26の傾斜方向F2に合致されている。
【0032】
前記側部の桁材3a,3aは、図2〜3、図5に示すように、前記V字状枠21の外の
上端縁27が前記デッキボード2の側端29に第2のV字状折曲部30を介して連設され
ると共に、その内の上端縁31に、第3のV字状折曲部32を介して、前記デッキボード
2の下面33に接着される水平固定片35が該V字状枠21の外方に向けて連設されてい
る。前記V字状枠21は、左右非対称のV字状形態に構成されており、該V字状枠21の
外側に位置する傾斜片26aの垂直線Lに対する傾斜角度θ1は8度程度と小さく設定さ
れると共に、内側の傾斜片26bの垂直線Lに対する傾斜角度θ2は40度程度と大きく
設定されていて、前記V字状枠21の下端22を通る垂直線Lと前記デッキボード2との
交点37は、前記デッキボード2の前記側端29から10〜30mmの範囲に位置してい
る。本実施例においては、該交点37と前記デッキボード2の該側端29との間の距離が
10mm程度に設定されている。そして、前記側部の桁材3aに設けられている前記水平
固定片35の幅は例えば60mm程度に設定されている。
【0033】
又、前記中間の桁材3bは、図2〜3、図6に示すように、二等辺三角形状を呈する左
右対称のV字状枠21を具えており、該V字状枠21の対向する傾斜片26,26の垂直
線Lに対する傾斜角度θ3,θ4は等しく、例えば45度程度に設定されている。そして
、前記V字状枠21の両上端縁39,39の夫々に、第4のV字状折曲部40を介して、
前記デッキボード2の下面33に接着される水平固定片35,35が該V字状枠21の外
方に向けて連設されている。該水平固定片35,35の幅は例えば60mm程度に設定さ
れている。
【0034】
本実施例においては、前記デッキボード2とその両側端29,29に連設されてなる前
記側部の桁材3a,3aは、図8〜9に示すような、前記板状部材13を用いてなる第1
の板体41を用いて構成されると共に、前記中間の桁材3bは、該第1の板体41とは別
体の、前記板状部材13を用いてなる第2の板体42を用いて構成されている。
【0035】
前記第1の板体41は、図8〜10に示すように横長矩形板状を呈しており、前記デッ
キボード2を形成するデッキボード形成部分43の前記フルート5の溝15の延長方向F
1(図4)で見た両側に、前記V字状枠21を構成するV字状枠形成部分45が連設され
ると共に、該V字状枠形成部分45には、前記水平固定片35,35を形成する水平固定
片形成部分46,46が連設されている。
【0036】
かかる構成を有する第1の板体41の前記夫々の連設部位と、前記V字状枠形成部分4
5の長さ方向の中央部位において、所要の開口角度θでVカット溝19が設けられている
。今、このVカット溝19を、図8〜10に示すように、前記デッキボード形成部分43
の端部に設けられているものから順に、第1のVカット溝19a、第2のVカット溝19
b、第3のVカット溝19cとする。これらのVカット溝19a,19b,19cは、前
記フルート5が形成する溝15の延長方向F1と直交する方向で設けられ、平行している

【0037】
各Vカット溝19a,19b,19cは同様の構成を有しており、図10に示すように
、一方の板紙12a側から他方の板紙12b側に向けて欠切され、該他方の板紙12bを
切断しないように設けられている。そして該第1の板体41が、図11に示すように、前
記第1のVカット溝19a、第2のVカット溝19b、第3のVカット溝19cの最深部
47(図10)を中心として折曲され各Vカット溝の左右のカット面49,50(図10
)が夫々当接されることによって、図11(A)に示すように、前記V字状枠21の外の
上端縁27が前記デッキボード2の側端29に第2のV字状折曲部30を介して連設され
、又図11(C)に示すように、該V字状枠21の内の上端縁31に、第3のV字状折曲
部32を介して、前記デッキボード2の下面33に接着される前記水平固定片35が該V
字状枠21の外方に向けて連設されてなる、前記側部の桁材3aが構成されることになる
。該カット面49,50の当接によって、前記左右の非対称の側部の桁材3aを構成でき
るように、前記Vカット溝19の開口角度θ(図10)は、第1のVカット溝19aと第
2のVカット溝19bと第3のVカット溝19cにおいて異ならせてある。
【0038】
特に本実施例においては、前記Vカット溝19の左右のカット面49,50は接着によ
り当接一体化されている。そのために、前記左右のカット面49,50に接着剤51が塗
布されるのであるが、該接着剤51は、前記筒状部17の前記カット面49,50で開口
された開口部分52,52に入り込み、前記フルート5や前記ライナ6に染み込んだ状態
とされる。
【0039】
然して、このようにして接着剤を塗布して後、図11(A)(B)(C)に示すように
、該第1の板体41(即ち、前記板状部材13)を前記Vカット溝19の最深部47を中
心として折曲すると、前記の各筒状部17が平行状態にある段ボール7の構造上、左右の
カット面49,50の開口部分52,52に存する接着剤51が一連に連なった状態で該
両カット面49,50が接着一体化される。これにより、下端22が鋭角を呈してV字形
状が明確なV字状枠21を構成できることになる。該接着剤としては、例えば酢酸ビニル
樹脂エマルジョンを用いることができる。
【0040】
この接着一体化についてより詳しく説明すれば、前記第1〜第3の各V字状折曲部20
,30,32においては、図11(A)(B)(C)に示すように、前記カット面49,
50の前記開口部分52,52に存する接着剤51,51が一連に連なった状態にあり、
然も、該開口部分52,52に存する接着剤51,51が前記フルート5と前記ライナ6
に染み込んだ状態にある。かかることから、該接着剤51が硬化して両カット面49,5
0が接着一体化された状態では、該フルート5や該ライナ6に染み込んで硬化してこれら
と一体化した接着剤硬化部53が、前記開口部分52,52に存して一連に連なった接着
剤硬化物55に対するアンカー作用を発揮する。従って、一連に連なった該接着剤硬化物
55が、各V字状折曲部20,30,32の開きに対して大きく抵抗することになるので
、両カット面49,50が剥離しにくい強度的安定性に優れたV字状折曲部を構成できる
ことになる。
【0041】
前記第2の板体42(即ち、前記板状部材13)は、図12〜13に示すように、矩形
板状を呈し、前記V字状枠21を構成する前記V字状枠形成部分45の前記フルート5の
溝15の延長方向F1(図4)で見た両側に、前記水平固定片35,35を構成する水平
固定片形成部分46,46が連設されている。そして、該第2の板体42の、前記V字状
枠形成部分45の長さ方向の中央部位と、前記V字状枠形成部分45と前記水平固定片形
成部分46との連設部位において、所要の開口角度θで、第4のVカット溝19dと第5
のVカット溝19eと第6のカット溝19fが平行状態で設けられている。前記Vカット
溝19の開口角度θは、前記左右のカット面49,50の当接によって、前記水平固定片
35,35と、二等辺三角形状を呈する左右対称のV字状枠21を構成できるように、第
5のVカット溝19eと第6のVカット溝19fについては同一であるが、第4のVカッ
ト溝19dについては、これらと異なっている。
【0042】
然して、前記第1の板体41における場合と同様に、前記の各Vカット溝19d,19
e,19fの左右のカット面49,50に接着剤51を塗布して後、該第2の板体42を
、該Vカット溝19d,19e,19fの夫々の最深部47を中心として折曲すると、両
カット面49,50が図14(B)に示すように接着一体化され、これにより、下端22
が鋭角を呈するV字状枠21を構成できることになる。これによって、該V字状枠21の
両上端縁39,39の夫々に、第4のV字状折曲部40,40を介して、前記デッキボー
ド2の下面33に接着される前記水平固定片35,35が該V字状枠21の外方に向けて
連設されてなる、前記中間の桁材3bが構成されることになる。
【0043】
このようにして構成された前記中間の桁材3bと前記側部の桁材3a,3aを前記デッ
キボード2の下面33に接着して図1〜3に示すパレット1を構成するに際しては、側部
の桁材3a,3aの中間部位(本実施例においては中央部位)において、両側部の桁材3
a,3aと平行する状態に中間の桁材3bを位置決めした後、図2に示すように、各桁材
の水平固定片35を前記デッキボード2の下面33に接着する。該パレット1においては
、各V字状枠21,21,21の、対向する傾斜片26,26において、図5〜7に示す
ように、前記フルート5の溝15の延長方向F1(即ち、前記筒状部17の延長方向F3
)が該傾斜片26の傾斜方向に合致されている。
【0044】
前記構成のパレット1において前記第1のV字状折曲部20は、パレット1に積載荷重
が掛かっても口が開きにくいため、前記Vカット溝19で折曲する際に接着剤を介在させ
なくてもよい。
【0045】
特に本実施例においては、前記V字状枠21の対向する傾斜片26,26において、前
記紙管原紙11の流れ目の方向(紙管原紙を製造する抄紙機から流れ出る方向)F4を、
該傾斜片26の傾斜方向に合致させている。
【0046】
かかる構成を有するパレット1によるときは、以下の第1〜第4の理由により、積載荷
重が大きい場合(例えば300〜1000kgの中重量物を積載する場合)にもこれを安
定的に支持できる。
【0047】
第1の理由は、前記側部の桁材3a,3aの有するV字状枠21,21と前記中間の桁
材3bの有するV字状枠21が、前記デッキボード2との組み合わせで、強度的に安定し
た三角形構造部56を形成できるからである。より具体的に説明すれば、前記V字状枠2
1,21,21の下端部分を構成する前記第1のV字状折曲部20は、前記板状部材13
をVカット溝19で折曲して構成されており、第1のV字状折曲部20の、下端22で見
た上下方向の厚さが該板状部材13の厚さ以上に大きい。この点、前記従来のパレット1
においては、図26〜27に示すように、V字状折曲部が潰れて薄紙状を呈しているのと
明らかに異なる。かかることから本発明のパレット1においては、第1のV字状折曲部2
0が強度的に安定している。特に本実施例においてはVカット溝19の左右のカット面4
9,50が接着一体化されているため、両カット面49,50が離れにくく、第1のV字
状折曲部20の強度的安定性が一層向上されている。そして、前記デッキボード2の側端
29に連設された前記側部の桁材3a,3aの前記水平固定片35,35と、前記中間の
桁材3bの両水平固定片35,35が前記デッキボード2の下面33に接着されているた
め、前記V字状枠21,21,21の両上端縁27,31、27,31、39,39は、
前記デッキボード2に対して位置固定された状態にある。
【0048】
それ故、前記側部の桁材3a,3aの有するV字状枠21,21と前記デッキボード2
との組み合わせによって、又、前記中間の桁材3bと前記デッキボード2との組み合わせ
によって、強度的に安定した三角形構造部56を構成でき、これによって、積載荷重を安
定的に支持できるというのが第1の理由なのである。特に本実施例において、前記第1〜
第4のV字状折曲部20,30,32,40は、左右のカット面49,50が当接され且
つ接着されていて強度が高いために、前記三角形構造部56は強度的安定により優れたも
のとなっており、積載荷重をより安定的に支持できることとなる。
【0049】
第2の理由は、前記デッキボード2に加わった積載荷重に対して、前記V字状枠21,
21,21の夫々の対向する傾斜片26,26の直線性を保持できるからである。より具
体的に説明すれば、前記V字状枠21,21,21の夫々の対向する傾斜片26,26に
おいては、前記段ボール7の前記フルート5の溝15の延長方向F1が該傾斜片26の傾
斜方向F2に合致されているので、前記フルート5と前記ライナ6とによって形成された
筒状部17の延長方向F3が該傾斜片26の傾斜方向F2に合致し、該多数本の筒状部1
7が前記V字状枠21の延長方向に並設された状態となる。
【0050】
かかる並設状態の筒状部17は良好な曲げ強度(該筒状部17の延長方向F1を弓形に
湾曲させにくい曲げ強度)を発揮することから、前記デッキボード2に加わった積載荷重
に対して、前記V字状枠21,21,21の夫々の対向する傾斜片26,26の直線性を
保持でき、前記デッキボード2に加わった積載荷重に対して前記傾斜片26,26が膨ら
み変形するのを防止できるからである。
【0051】
第3の理由は、紙管原紙11からなる板紙12を前記紙製の段ボール7の表裏面9,1
0に貼り合わせることによって前記板状部材13を構成しているためである。より具体的
に説明すれば、本発明に係るパレット1は、比較的安価に製造できることと、リサイクル
効率の向上、比較的軽量化による取り扱い性向上等を目的として紙製の段ボールを主要材
料として構成されるものであるが、該紙製の段ボール7は柔らかくて形態保形に難がある
。そこで本発明に係るパレット1は、かかる紙製の段ボール7の有利性をそのまま生かし
つつ、その一方で、古紙を原料にしながらも硬質で耐衝撃性に優れ又形態保形性にも優れ
る硬質の紙管原紙に着眼し、前記段ボールを該紙管原紙11で補強してなる前記板状部材
13を用いて構成している。かかる板状部材13を用いる結果、強度的安定性に優れる前
記三角形構造部56を形成できると共に、傾斜片26,26の直線性をより確実に保持で
き、前記第1の理由、前記第2の理由で述べた作用効果を一層確実に発揮させることがで
きるからである。
【0052】
又、前記V字状枠21の上端縁と前記水平固定片35との接続部分57が強度の高い紙
管原紙11の折曲によって形成されているために、図11、図14に示すようにVカット
溝19の左右のカット面49,50が当接状態にあるときは元より、図15に示すように
Vカット溝19の左右のカット面49,50が当接状態にないときも、該接続部分57は
位置固定されてぐらつきが生じにくいからである。図23、図24に示す従来のパレット
aにあっては、段ボールシートdを折り線部fで折り曲げることによって、前記V字状の
桁材eと前記水平固定片jを構成していたため、該水平固定片jを前記デッキボードbの
下面cに接着した場合に、V字状の桁材eの上端縁hと水平固定片jとの接続部分が、段
ボールシートdが潰れて薄紙状を呈したため、該接続部分は、位置固定されずにぐらつき
が生ずる恐れがあったが、本発明に係るパレット1によるときは、かかるぐらつきを防止
できるのである。
【0053】
第4の理由は、特に本実施例においては、前記紙管原紙11の流れ目の方向(紙管原紙
を製造する抄紙機から流れ出る方向)F4を、前記段ボール7の前記筒状部17の延長方
向F3に合わせているため、該筒状部17を弓形に湾曲させる荷重に対する抵抗力がより
一層向上したものとなり、従って、より大きな積載荷重であってもこれを安定的に支持で
きることになるからである。
【0054】
又本実施例おいては、前記側部の桁材3a,3aを前記デッキボード2の側端29に連
設しているため、該側部の桁材3a,3aを構成するV字状枠21,21は、その下端の
第1のV字状折曲部20を前記デッキボード2の側端29に近接させて設けることができ
る。例えば、デッキボード2の該側端29から10〜30mm程度、内側に控えた部位に
位置させることができる。このように構成するときは、前記デッキボード2の側部分にも
積載荷重が付加される場合、これを安定的に支持できて好ましい。
【0055】
前記パレット1は、前記V字状枠21,21,21の下端22,22,22が、屋外の
コンクリート面等としての被設置部23に設置されることもある。該被設置部23が雨水
等で濡れている場合は、該V字状枠21が水分を吸収してパレットの強度低下を来す恐れ
がある。図16は、そのための対策の一つを示すものであり、該V字状枠21の下端22
及びその周辺部分59,59を、例えば塩化ビニル製等の薄肉の遮水性粘着テープ60で
被覆している。
【0056】
遮水性粘着テープ60で被覆する場合の一例としては、前記第1の板体41及び前記第
2の板体42をVカット溝19で屈曲するに先立って、例えば図17に示すように、前記
第1のV字状折曲部20を構成するVカット溝19(前記第1のVカット溝19a、前記
第4のVカット溝19d)が存する部分61及びその両側の周辺部分62,62の表裏面
63,65を覆うように、前記第1の板体41や前記第2の板体42の表裏面63,65
に遮水性粘着テープ60を周方向で巻き付ける。該遮水性粘着テープ60の巻き付け端部
分64,64相互は重ねる。その後、図16に示すように、前記第1の板体41及び前記
第2の板体42を、前記Vカット溝19の最深部47(図17)を中心にして折曲し、該
Vカット溝19の左右のカット面49,50を、該遮水性粘着テープ60を介在させて当
接状態にする。これにより、薄肉の遮水性粘着テープ60が左右のカット面49,50間
に介在されることになるが、該遮水性粘着テープ60は薄肉であるために、形成されたV
字状枠21を含む三角形構造部56の強度的な安定性を阻害しない。そして前記V字状枠
21の下端22及びその両側の周辺部分59,59が遮水性粘着テープ60で一連に被覆
されて、これらの部分が全周に亘って遮水された状態にあるため、被設置部23が雨水等
で濡れている場合にも、紙製の該V字状枠21が水分を吸収してパレットの強度低下を来
す恐れを回避できることとなる。
【0057】
なお、使用する遮水性粘着テープ60の幅寸法は、V字状枠21の遮水すべき部分の領
域を考慮して適宜に設定されるが、本実施例においては例えば100mm程度である。従
って、V字状枠21の対向する傾斜片26,26の下側の部分を、その内外において50
mm程度の幅で被覆できる。
【0058】
このように遮水性粘着テープ60で被覆する代わりに、前記V字状枠21に、シリコン
樹脂等の遮水剤をスプレーしたり塗布することもできる。前記V字状枠21の表面は紙管
原紙11で覆われると共に、図16に示すように、V字状枠21の両側端面66,66に
は、前記フルート5の側面67が現れており、フルートの溝15は現れていないため、溝
15に遮水剤が入り込まないことから、より少ない遮水剤で効果的に遮水できることにな
る。又、前記のように遮水性粘着テープ60によって被覆された部分の上側に、図16に
示すように、被覆されていない部分69が生ずる場合は、この部分69に前記遮水剤をス
プレーしたり塗布することとすれば、V字状枠21の遮水効果を向上させることができて
好ましい。
【実施例2】
【0059】
図18は、本発明に係るパレット1の他の実施例を示すものであり、フォークリフトや
ハンドリフトのフォークを四方向の何れからでも挿入可能となされた四方向差しパレット
として構成されている。デッキボード2は、平面視で横長の矩形板状を呈しており、その
短辺長さは例えば1100mmで、その長辺長さは例えば1600mmに設定されている
。該デッキボード2の下面33の四隅部69,69,69,69と、各辺の中間部分70
,70,70,70と、該下面33の中央部分71の夫々に、桁材3が設けられている。
【0060】
該桁材3は、前記と同様の構成を有しており、図19に示すように、例えば二等辺三角
形状を呈するV字状枠21の両上端縁39,39の夫々に、前記第4のV字状折曲部40
,40を介して、前記デッキボード2の下面33に接着される水平固定片35,35が、
該V字状枠21の外方に向けて連設されている。そして、前記V字状枠21の対向する傾
斜片26,26においては、前記段ボール7の前記フルート5の溝15の延長方向F1が
該傾斜片26の傾斜方向F2に合致されている。換言すれば、前記筒状部17の延長方向
F3が該傾斜片26の傾斜方向F2に合致されている。
【0061】
前記第4のV字状折曲部40は、図15に示すと同様に、Vカット溝19の左右のカッ
ト面49,50が当接状態とされないこともあるが、図18〜19においては、両カット
面49,50が当接されると共に、前記と同様にして接着されている。又本実施例におい
ては、より大きな積載荷重を安定的に支持できるようにするために、前記V字状枠21の
対向する傾斜片26,26において、前記紙管原紙の流れ目の方向F4が、該傾斜片26
の傾斜方向F2に合致されている。又本実施例においては、パレットの揺れに対する抵抗
力を向上させるために、一例として、対向する短辺の前記中間部分に存する桁材3c,3
dにおけるV字状枠21の有する空洞部18の延長方向F5を、その他の桁材3eにおけ
るV字状枠21の空洞部72の延長方向F6とは異ならせてある。
【実施例3】
【0062】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範
囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば
次のようである。
【0063】
(1) 本発明に係るパレット1は、積載物の種類や大きさ、その重量、積載物の個数、又、
デッキボード2上のどの部分にどの程度の荷重が加わるのか、更には、パレット1の移動
をフォークリフトで行うのかハンドリフトで行うのか等のパレット移動手段等の各種の使
用条件を考慮して、所要に構成されるものである。
これらの使用条件に応じて、デッキボード2の大きさやその形状、厚さ、デッキボード
2の上部の形態(積載物の形状に合わせて、デッキボードの上側に箱状収容部を形成する
等)等が設定される。又、前記デッキボード2のどの部分にどの程度の大きさの桁材を配
置するのか、即ち、前記V字状枠21の幅や高さ、そのV字状の形態、或いは、水平固定
片35の突出量をどの程度に設定するのか、等が検討されるものである。
【0064】
(2) 例えば、積載荷重が大きい場合は、前記デッキボード2や前記桁材3を構成するため
に用いられる前記板状部材13を、AAフルートを用いた複両面段ボールの他、ABフル
ートを用いた複両面段ボールや、ACフルートを用いた複両面段ボール等、所要構成の紙
製の段ボールを用いて構成できる。又、段ボール7の表裏面9,10に貼り合わせる紙管
原紙11を複数枚に設定したり、前記デッキボード2上に、例えば前記板状部材からなる
補強板を貼り合わせることもある。
【0065】
(3) 逆に、積載物が比較的軽量であるときは、例えば図20に示すように、前記実施例に
おける中間の桁材3bを省略してデッキボード2の両側にのみ桁材3,3を配置すること
もある。
【0066】
(4) 又、デッキボード2上での積載物の載置状態によっては、デッキボード2の両側に配
置される側部の桁材3a,3aを、前記のようにデッキボード2と一連に構成するのでは
なく、図21に示すように、デッキボード2とは別体の桁材3を用いて構成しその両側の
水平固定片35,35を該デッキボード2の下面33に接着することもある。
特にデッキボードの左右幅が市販品の最大幅よりも大きいときは、側部の桁材3aをデ
ッキボード2の側端29に連設できるだけの寸法を確保できないため、両側の側部の桁材
3a,3aを、デッキボード2とは別体の桁材3を用いて形成せざるを得ない。
【0067】
(5) 又、前記桁材3の高さや、桁材3,3間の間隔は、パレットの使用目的に応じて、フ
ォークリフトのフォークやハンドリフトのフォークの挿入が可能となるように適宜に設定
される。
【0068】
(6) V字状枠のぐらつきを確実に防止するためには、前記のように、V字状枠21の上端
縁と水平固定片35との間に介在されるVカット溝19の両カット面49,50相互を接
着するのがよい。しかし、積載荷重が比較的軽量な場合は、積載荷重を所要に支持できる
限り、製造手間を削減して製造コストの低減を図る観点から、前記Vカット溝19の左右
のカット面49,50を当接させる際にカット面49,50相互を接着しないこともある
。又、図15に示すように、V字状枠21の上端に前記水平固定片35を折曲形成する際
、Vカット溝19の左右のカット面49,50を当接させないこともある。
【0069】
(7) 前記桁材3は、図22に示すように、前記と同様構成のV字状枠21の複数個を平行
して連設した場合を示している。その個数は、パレットに積載される荷重の大きさを考慮
して設定されるものであり、図22においては、中間の桁材3bを2個に設定している。
【0070】
(8) 前記桁材3に連設される前記水平固定片35は、パレット1の強度向上を図るために
、前記実施例で示したものよりも長く形成されることがあり、例えば、隣り合う桁材の水
平固定片35,35の先端相互が当接乃至近接状態とされることもある。
【符号の説明】
【0071】
1 パレット
2 デッキボード
3 桁材
3a 側部の桁材
3b 中間の桁材
5 フルート
6 ライナ
11 紙管原紙
12 板紙
13 板状部材
15 溝
16 孔部
17 筒状部
19 Vカット溝
20 第1のV字状折曲部
21 V字状枠
22 下端
23 被設置部
26 傾斜片
27 外の上端縁
29 側端
30 第2のV字状折曲部
31 内の上端縁
32 第3のV字状折曲部
33 デッキボードの下面
35 水平固定片
37 交点
39 上端縁
40 第4のV字状折曲部
41 第1の板体
42 第2の板体
49 カット面
50 カット面
51 接着剤
52 開口部分
53 接着剤硬化部
55 接着剤硬化物
56 三角形構造部
60 遮水性粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキボードと、該デッキボードを下方から支持する桁材とを具える紙製のパレットであって、
前記デッキボードと前記桁材は、波形に形成されたフルートがライナ間に介在されてなる紙製の段ボールの表裏面に、紙管原紙の1枚乃至複数枚からなる板紙を貼り合わせてなる板状部材を用いて構成されており、
前記桁材は全て、下方に向けて細くなり且つ下端部分の第1のV字状折曲部を介してV字状に形成されたV字状枠を具えており、該V字状枠の下端で被設置部に設置されるものとなされており、
該第1のV字状折曲部は、前記板状部材が、その一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切されたVカット溝の最深部を中心として折曲され、且つ該Vカット溝の左右のカット面が当接されることによって構成されており、
又、該V字状枠の対向する傾斜片においては、前記段ボールの前記波形のフルートの溝の延長方向が該傾斜片の傾斜方向に合致されていることを特徴とする紙製のパレット。
【請求項2】
デッキボードと、該デッキボードを下方から支持する平行した複数の桁材とを具える紙製のパレットであって、
前記桁材は、前記デッキボードの幅方向の少なくとも両側に配置されるものであり、前記デッキボードと前記桁材は、波形に形成されたフルートがライナ間に介在されてなる紙製の段ボールの表裏面に、紙管原紙の1枚乃至複数枚からなる板紙を貼り合わせてなる板状部材を用いて構成されており、
前記桁材は全て、下方に向けて細くなり且つ下端部分の第1のV字状折曲部を介してV字状に形成されたV字状枠を具えており、該V字状枠の下端で被設置部に設置されるものとなされており、
前記デッキボードの幅方向の両側に配置される前記桁材は、前記V字状枠の外の上端縁が前記デッキボードの側端に第2のV字状折曲部を介して連設されており、又、該V字状枠の内の上端縁に、第3のV字状折曲部を介して、前記デッキボードの下面に接着される水平固定片が該V字状枠の外方に向けて連設されており、
前記第1〜3の各V字状折曲部は、前記板状部材が、その一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切されたVカット溝の最深部を中心として折曲されて構成されており、少なくとも前記第1のV字状折曲部にあっては、前記Vカット溝の左右のカット面が当接されており、
又、前記V字状枠の対向する傾斜片においては、前記段ボールの前記波形のフルートの溝の延長方向が該傾斜片の傾斜方向に合致されていることを特徴とする紙製のパレット。
【請求項3】
デッキボードと、該デッキボードを下方から支持する平行した複数の桁材とを具える紙製のパレットであって、
前記桁材は、前記デッキボードの幅方向の両側に配置される側部の桁材と、該幅方向の中間部に配置される中間の桁材とからなり、前記デッキボードと前記桁材は、波形に形成されたフルートがライナ間に介在されてなる紙製の段ボールの表裏面に、紙管原紙の1枚乃至複数枚からなる板紙を貼り合わせてなる板状部材を用いて構成されており、
前記桁材は全て、下方に向けて細くなり且つ下端部分の第1のV字状折曲部を介してV字状に形成されたV字状枠を具えており、該V字状枠の下端で被設置部に設置されるものとなされており、
前記側部の桁材は、前記V字状枠の外の上端縁が前記デッキボードの側端に第2のV字状折曲部を介して連設されており、又、該V字状枠の内の上端縁に、第3のV字状折曲部を介して、前記デッキボードの下面に接着される水平固定片が該V字状枠の外方に向けて連設されており、
又、前記中間の桁材は、前記V字状枠の両上端縁の夫々に、第4のV字状折曲部を介して、前記デッキボードの下面に接着される水平固定片が該V字状枠の外方に向けて連設されており、前記第1〜4の各V字状折曲部は、前記板状部材が、その一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切されたVカット溝の最深部を中心として折曲されており、少なくとも前記第1のV字状折曲部にあっては、前記Vカット溝の左右のカット面が当接されており、
又、前記V字状枠の対向する傾斜片においては、前記段ボールの前記波形のフルートの溝の延長方向が該傾斜片の傾斜方向に合致されていることを特徴とする紙製のパレット。
【請求項4】
デッキボードと、該デッキボードを下方から支持する平行した複数の桁材とを具える紙製のパレットであって、
前記桁材は、前記デッキボードの幅方向の少なくとも両側に配置されるものであり、前記デッキボードと前記桁材は、波形に形成されたフルートがライナ間に介在されてなる紙製の段ボールの表裏面に、紙管原紙の1枚乃至複数枚からなる板紙を貼り合わせてなる板状部材を用いて構成されており、
前記桁材は全て、前記デッキボードとは別体であり、下方に向けて細くなり且つ下端部分の第1のV字状折曲部を介してV字状に形成されたV字状枠を具えており、該V字状枠の下端で被設置部に設置されるものとなされており、
該V字状枠の両上端縁の夫々に、第4のV字状折曲部を介して、前記デッキボードの下面に接着される水平固定片が該V字状枠の外方に向けて連設されており、
前記第1のV字状折曲部と前記第4のV字状折曲部は、前記板状部材が、その一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切されたVカット溝の最深部を中心として折曲されることによって構成されており、少なくとも前記第1のV字状折曲部にあっては、前記Vカット溝の左右のカット面が当接されており、
又、前記V字状枠の対向する傾斜片においては、前記段ボールの前記波形のフルートの溝の延長方向が該傾斜片の傾斜方向に合致されていることを特徴とする紙製のパレット。
【請求項5】
前記V字状枠の対向する傾斜片においては、前記紙管原紙の流れ目の方向(紙管原紙を製造する抄紙機から流れ出る方向)が該傾斜片の傾斜方向に合致されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の紙製のパレット。
【請求項6】
前記Vカット溝の内、前記第1のV字状折曲部を除いた他のV字状折曲部を構成するためのVカット溝に関し、前記左右のカット面が当接され且つ接着されていることを特徴とする請求項2、3又は4記載の紙製のパレット。
【請求項7】
前記Vカット溝の全てについて、前記左右のカット面が当接され且つ接着されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の紙製のパレット。
【請求項8】
前記接着剤が、前記段ボールの波形のフルートとライナとにより形成された筒状部の前記カット面で開口された開口部分に入り込むと共に、該フルートや該ライナに染み込んだ状態で、前記板状部材が、前記Vカット溝の最深部を中心として折曲されており、且つ、前記左右の両カット面の開口部分に存する接着剤が一連に連なった状態で前記両カット面が接着一体化されていることを特徴とする請求項6又は7記載の紙製のパレット。
【請求項9】
前記第1のV字状折曲部を構成するVカット溝が存する部分及びその両側の周辺部分の表裏面を覆うように、前記板状部材の表裏面に遮水性粘着テープが周方向で巻き付けられ、巻き付け端部分相互が重なっており、前記板状部材が、前記カット溝の最深部を中心として折曲され、該カット溝の前記左右のカット面が、該遮水性粘着テープを介在させて当接されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の紙製のパレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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