説明

紙製の床養生材

【課題】 建設中の建物の床面、特に木質フローリング等の木質の床面を保護するための養生材であり、使用済み後は板紙等に使用する紙に再生することができる両面段ボールタイプの床養生材を提供する。
【解決手段】 両面段ボールシートの少なくとも一方のライナー表面に紙に再生可能な水離解性の不織布を貼り合わせた両面段ボールシートからなる、紙製の床養生材。
該段ボールシートは、厚さが3.0mm以上6.0mm未満で総坪量が580〜850g/mであり、鋼球特性が14cm以上で、先鋭棒特性が5cm以上である緩衝特性を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設中の建物の床面、特に木質フローリング等の木質の床面を保護するための養生材であり、使用済み後は紙に再生することができる両面段ボールタイプの養生材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の木質床面用の養生材としては、発泡プラスチックを裏面に貼り合せた板紙製のものが市販されている。この床養生材は木質床面等の保護機能に優れているが、発泡プラスチックが板紙を古紙として再生する際の禁忌品となるため、使用済み後に紙の回収工程に供給することができない。
【0003】
また、板紙等に使用される紙に再生できる紙製の床養生材としては、厚手のライナー紙に強化中芯紙を貼合した片面段ボール構造のもの(例えば、特許文献1)が知られているが、上記発泡プラスチックを板紙に貼り合せたものと比較すると緩衝性が劣るし、また、発泡プラスチックを板紙に貼り合せたものと同程度までにその緩衝特性を引き上げようとすると、段ボールシートの全体厚さを厚くする必要があるため、厚さ制限がある施行現場では使用できない場合がある。
【0004】
【特許文献1】特開2001−12082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、汎用品である発泡プラスチック(古紙禁忌品)と板紙を貼り合せたものと同等の建物の床面保護機能を備えていて、かつ、養生材として使用した後は紙に再生可能である木質床用の養生材を提供することを目的とする。
また、本発明は、施工現場での取り扱い性に優れた薄くて軽量である木質床用の紙製養生材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、両面段ボールの少なくとも一方のライナーの表面に不織布を貼り付けているという基本的な構造を有することに加えて、該不織布として紙製の両面段ボールシートと同様に水離解性で紙に再生可能である材料によって形成されている不織布を採用することを特徴とする、以下に記載するような建物の木質床面の保護用として有用な紙製の床養生材から選ばれる発明に関する。
【0007】
(1)両面段ボールシートの少なくとも一方のライナー表面に紙に再生可能な水離解性の不織布を貼り合わせた両面段ボールシートからなる紙製の床養生材。
【0008】
(2)前記不織布を貼り合せたライナーを有する両面段ボールシートは、厚さが3.0mm以上6.0mm未満で、総坪量が850g/m以下、好ましくは580〜850g/mである(1)項記載の紙製の床養生材。
【0009】
(3)前記不織布がセルロース系パルプ繊維と水溶性乃至水離解性の接着剤によって形成されている、厚さが0.8〜1.3mmで、坪量が20〜70g/mの紙に再生可能な不織布であることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の紙製の床養生材。
【0010】
(4)前記セルロース系パルプ繊維が木材パルプである(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の紙製の床養生材。
【0011】
(5)前記不織布は、水溶性乃至水離解性の接着剤により前記ライナー表面に貼着されていることを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の紙製の床養生材。
【0012】
(6)前記両面段ボールシートは、段高が2.3〜2.7mmで、段山数が38山/30cm〜52山/30cmであり、段繰率が1.2〜1.4である中芯を有する両面段ボールシートである(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の紙製の床養生材。
【0013】
(7)鋼球特性が14cm以上で、先鋭棒特性が5cm以上であることを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載の紙製の床養生材。
〔但し、床養生材の「鋼球特性」と「先鋭棒特性」に関する数値は、本明細書の実施例において<試験方法1>として記載されている鋼球特性試験と、<試験方法2>として記載されている先鋭棒特性試験に基づく測定値を意味する。〕
【0014】
(8)段ボールシートの両面ライナーの一方が、表面側に厚さが1mm以上の紙に再生可能な水離解性不織布を貼り合わせたライナーからなり、他方のライナーがフレキソ印刷可能面を有する紙製ライナーからなることを特徴とする(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の紙製の床養生材。
【0015】
(9)前記両面段ボールシートに折り畳み用の罫線が設けられていることを特徴とする(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載の紙製の床養生材。
【発明の効果】
【0016】
本発明の床養生材は、優れた耐圧縮性、耐衝撃性を備えた両面段ボール構造体であることと、柔軟で嵩高な網状構造体である不織布層を保護対象床面側のライナー表面に有していることにより、落下物による衝撃や重量物荷重から床面を保護することができる十分な緩衝特性を備えているとともに、工事現場において、保護対象床面に往々にして散在する砂粒のような小固形物を不織布層内に取り込んで該小固形物による保護対象床面の傷付きを効果的に防止する機能をも備えている。
【0017】
本発明の床養生材は、その素材に紙に再生可能な水離解性の不織布と紙製のライナーのみを使用し、古紙禁忌品である発泡プラスチックシート及びプラスチックフィルムを使用していないため、床養生材として使用後は、通常の古紙回収ルートで回収し、紙に再生することができる。
【0018】
また、本発明の紙製の床養生材は、ライナーに貼着されている不織布が、同じ坪量の板紙よりも柔軟で優れたクッション性を備えているため、紙製ライナーの坪量を単に増加させた場合と比較してその坪量(単位面積当たりの重量=g/m)を余り上げずに両面段ボールシートの緩衝特性を向上せしめることができるし、また、軽くて作業者への負担が小さいものとなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の紙製の床養生材は、建設中の建物の床、特に木質床面を傷付きや汚染等から保護するために建物の床面に敷詰めて使用されるので、一定以上の緩衝性と剛性を備えることに加えて、保護対象床面を傷つけない柔軟性も備えた面を有するものであることを目的として構成されている。
そのために、本発明の床養生材は、耐圧縮性、耐衝撃性等の緩衝特性に優れた構造体である両面段ボールと、保護対象床面を傷つけることの少ない柔軟で嵩高なクッション性に優れた網状構造体である不織布とを組み合わせることによって構成されている。
また、使用済み後にそのまま古紙として回収して紙に再生できるように、紙製である両面段ボールのライナー表面と貼り合わせる不織布として、紙に再生可能な繊維材料と水溶性乃至水離解性のバインダーによって作成されている不織布を使用している。
【0020】
本発明の床養生材を構成する両面段ボールシート部分としては、建物の木質床面上に敷設した状態で、通常の工事現場で発生する可能性のある落下物等による衝撃を吸収する耐衝撃性を備えるとともに、作業上の必要性から床上に載置した状態で使用される重量物、たとえば、エアコンプレッサー等の荷重によって床面が不可逆的に変形することを防止できる耐圧縮性等の緩衝特性を備えており、各工事現場での使用に支障のないサイズのものであるか該サイズに折り畳み可能に加工できるものである限り、市販品や使用目的に応じて作製される特別仕様の両面段ボールのいずれも使用可能である。
【0021】
建設中の一般的な建物のドアと床面の隙間は、通常、6.0mm以下で、多くは約5.5mm以下であるため、上記のような一般的な建物の床養生材としても使用できるものであるためには、本発明の床養生材を構成する片側ライナー面に不織布を貼り合わせた両面段ボールシートの全体厚さは、6.0mm以下、特に5.5mm以下であることが好ましい。5.5mmより厚いとドアを開けた時に、ドアの下端が床面に敷設した養生材に閊えて建物の内装作業に支障をきたすことがあることと、一定の緩衝特性を満たすためにはある程度の厚さが必要であることを考慮すると、単一規格の養生シートとして製品化する場合には3.0〜6.0mmの範囲の厚さとすることが特に好ましい。
【0022】
また、通常の床養生材は、20枚梱包時の梱包箱を含めた状態での重さが30kg以下、好ましくは25kg以下が作業者から望まれるため、本発明の床養生材は、20枚梱包時の梱包箱を含めた重さが30kg以下となるように、その坪量を850g/m以下、特に580g/m〜850g/mとすることが好ましく、より好ましくは580g/m〜770g/mの範囲とする。
【0023】
本発明の紙製の床養生材を構成する両面段ボールシートとしては、前記した一定の緩衝特性を有し、かつ、その全体厚さが6.0mm以下、好ましくは5.5mm以下で、その総坪量が850g/m以下の両面段ボールシートを作製するために、段高が3.0mm以下、好ましくは2.3〜2.7mmで、段山数が50±2山/30cmであるBフルート乃至段高が段高が3.0mm以下、好ましくは2.3〜2.7mmで、段山数が40±2山/30cmのCフルートである段ボール中芯が好ましい。これらの中芯は、一般的には段繰り率が1.2〜1.4である。
フルート段高が3.0mm以下、好ましくは2.3〜2.7mmのCフルートの段山数のものは、段高はBフルートと同様でも、中芯の使用量がBフルートより少なくなるので段ボールシートの総質量を減少させる効果がある。
【0024】
上記中芯としては、坪量が100〜200g/mの通常中芯、耐水中芯、強化中芯等を使用することができる。輸入ライナーと強化中芯は、いずれも強度が一般の原紙より高いため、養生材全体の質量を上げることなく緩衝特性を高めることができる優位性がある。
耐水ライナーと耐水中芯は、耐水性を必要とする本発明に床養生材に使用するものである。
【0025】
両面段ボールには、坪量160〜350g/mのライナーを使用することが好ましい。両面のライナーは、両面段ボールシート製の養生材全体の坪量を850g/m以下に抑えるために、中芯部、不織布部、使用接着剤をも合わせた全体の坪量が上記数値を超えず、かつ、前記した全体の厚さが所定厚さに維持できる限り、異なる坪量、異なる厚さ、異なる強度のライナーを任意に組み合わせて使用することができる。たとえば、一方のライナーに、一般に高強度であるとされる坪量が337g/mの高強度輸入ライナーを使用し、もう一方のライナーに坪量が170g/mの国産ライナーを使用する構成とすることも可能である。
【0026】
本発明の床養生材となる両面段ボールのライナーに貼り合わせて使用される不織布は、古紙の離解装置内で離解されて紙として再生されるセルロースパルプ繊維成分と該離解装置内で離解されるバインダー成分から形成されている不織布である。レーヨン等の化学繊維や熱融着性合成繊維等の繊維は古紙として回収する場合に禁忌品となるので実質的な量で含まれていないものである。
紙として再生可能なセルロースパルプ繊維としては、通常、製紙用パルプとして使用されている針葉樹や広葉樹等の木材パルプの他に、靭皮繊維、種毛繊維、葉の繊維、草類繊維等の植物繊維からなる非木材パルプが挙げられる。
【0027】
不織布を段ボールの片面側のライナー表面に貼り合せる場合は、養生材全体の質量と厚さにおける制限との関係、及び緩衝特性と表面クッション性等との関係から、不織布の坪量を20〜70g/mとし、その厚さを0.8〜1.3mmとすることが好ましい。
【0028】
本発明の床養生材は、緩衝特性に関する「鋼球特性試験」と「先鋭棒特性」の数値が、鋼球特性が14cm以上、好ましくは16cm以上で、先鋭棒特性が5cm以上、好ましくは6cm以上である。
本発明において、床養生材の上記緩衝特性に関する「鋼球特性試験」と「先鋭棒特性」の数値は、後記実施例に記載する<試験方法1>の鋼球特性試験と<試験方法2>の先鋭棒特性試験にしたがって測定して得られる数値として定義される。
【0029】
本発明の床養生材は、例えば、以下のような製造方法にしたがって製造される。
まず、両面段ボールのライナーに貼り付ける不織布は、セルロールパルプ繊維とバインダーとしての水溶性樹脂を使用して坪量70g/m以下の水離解性の不織布として作成される。
この不織布は、例えば、エアレイ法と呼ばれる方法で製造される。すなわち、セルロースパルプを乾燥状態で単繊維に解繊後に、多量の空気と共に風送し、ウェブ形成装置において繊維のみをワイヤ上に残してウェブを連続的に形成する。さらに、水溶性樹脂バインダーをスプレーした後乾燥して巻き取る。
【0030】
スプレーする水溶性樹脂バインダーとしては、カゼイン、澱粉、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩などの糊剤と称される水溶性高分子や、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダのような水溶性合成高分子などが使用できる。なお、不織布の水離解性を損なうことなく、ある程度の耐水性や強度を付与することが必要な場合には、アクリル系エマルジョン等の合成樹脂エマルジョンを併用することもできる。
【0031】
次に、この不織布と、坪量が350g/m以下のライナーとを水系樹脂バインダーを用いて貼り合せて不織布ラミネートした段ボール用のライナーが作成される。この場合に、不織布ラミネートライナーを本発明の養生材とする段ボールシートの片面側のみに使用する場合は、不織布の坪量を70g/m以下とする。
貼り合わせのために使用される水系樹脂バインダーとしては、上記不織布を製造する際に使用される水溶性樹脂バインダーと同種の樹脂バインダーを使用することができる。
【0032】
次に、上記のように製造した不織布ラミネートライナーと波形中芯とを段ボール用の通常の水系接着剤である澱粉系接着剤又は澱粉系耐水接着剤等を用いて貼り合せ、本発明の床養生材が製造される。
この貼合工程は、通常の段ボール製造機であるコルゲーターを用いて行われる。貼合用接着剤の使用量は6〜10g/m程度が一般的である。
さらに、必要に応じて、不織布ラミネートライナーと通常のライナーと波形中芯とからなる床養生材の不織布を貼り合わせていないライナー表面に、段ボールライナー面に対する印刷に通常使用されるフレキソ印刷により、商品名、ロット番号のほか、升目の印刷を施すことにより、床養生材を床の形に合わせて切断・施工する時の手立てとする。
【0033】
また、床養生材に折り畳み用の罫線を入れておくと、施工時又は解体時の折り畳みが容易となり、作業性が向上する。床養生材の寸法は、通常、畳一畳分である約0.9×1.8mの大きさであるので取り扱い難い場合がある。このような場合でも、予め罫線に沿って半分に折畳んで半畳の大きさとすることで、出荷・輸送時、更に施工現場の狭い入り口の部屋に搬入する時の利便性が増す。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例に従って説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
【0035】
<実施例1>
木材パルプ繊維(王子製紙社製、NBKP100%、数平均繊維長5mm)と水溶性樹脂バインダーとしてポリビニルアルコールを使用し、エアレイ法により、坪量60g/m、厚さ1.2mmの水離解性の不織布を作成した。
次に、上記不織布と坪量180g/mのライナー(王子板紙:OFK180)とをバインダーとして酢酸ビニール系接着剤を使用して塗布量10g/m(固形分)で貼り合せ加工し、坪量250g/mの不織布ラミネートライナーを作成した。
次に、コルゲーターにて、上記不織布ラミネートライナーをSF(シングルフェーサ)側に使用し、中芯には王子板紙社製の強化中芯(坪量160g/m)を使用し、DF(ダブルフェーサ)側ライナーには、坪量280g/mの王子板紙社製「OFK280」ライナーを使用し、貼合用接着剤として一般澱粉糊を両面合計8g/m(固形分)使用して、厚さ4.4mmのBフルートの両面段ボールシートを作成し、総坪量754g/mの床養生材とした。
【0036】
<実施例2>
坪量270g/mの不織布ラミネートライナー作成までは、実施例1と同様に行った。コルゲーター貼合時のSF側段ロールに段高=2.6mm、段山数=39山/30cmの段ロールを用いて、SF側に上記不織布ラミネートライナー、中芯には王子板紙社製の強化中芯(坪量160g/m)、DF側ライナーには坪量280g/mの王子板紙社製「SK280」ライナー(耐水原紙)、貼合用接着剤としては耐水澱粉糊を合計8g/m(固形分)の量でそれぞれ使用して、厚さ4.4mmの両面段ボールシートを作成し、総坪量756g/mの床養生材とした。
【0037】
<実施例3>
実施例1と同様のセルロールパルプ繊維と水溶性樹脂バインダーとしてのポリビニルアルコールを使用し、エアレイ法により、坪量35g/m、厚さ0.9mmの水離解性の不織布を作成した。
次に、上記不織布と坪量337g/mの輸入ライナー(ウェアハウザー「Kライナー」)とをバインダーとして酢酸ビニール系接着剤10g/m(固形分)を使用して貼り合せ加工し、坪量382g/mの不織布ラミネートライナーを作成し、DF側用ライナーとした。
次に、上記不織布(坪量35g/m、厚さ0.9mm)と坪量170g/mのライナー(王子板紙社製:OFK170)とをバインダーとして酢酸ビニール系接着剤10g/m(固形分)を使用して貼り合せ加工し、坪量215g/mの不織布ラミネートライナーを作成し、SF側用ライナーとした。
次に、コルゲーターにて、上記SF側用ライナーをSF側に、中芯には王子板紙社製の強化中芯(坪量160g/m)、DF側には上記DF側ライナー、貼合用接着剤には一般澱粉接着剤8g/mをそれぞれ使用して、厚さ4.7mmのBフルートの両面段ボールシートを作成し、総坪量821g/mの床養生材とした。
【0038】
<比較例1>
現市販品:エコフルガード(フクビ化学工業製)、構成=エンボス加工のプラスチックフィルム+再生紙(約1mm)+発泡ポリエチレンシート(約2mm)の1体シート(厚さ約3mm、坪量800g/m)。
【0039】
<比較例2>
コルゲーターにて、SF側段ロールには、一般Bフルートの段ロールを使用し、SF側とDF側ライナーには坪量280g/mの王子板紙社製の「OFK280」ライナー、中芯には王子板紙社製の強化中芯(坪量160g/m)、貼合用接着剤には一般澱粉接着剤8g/mをそれぞれ使用して、厚さ3.2mmの通常のBフルートの両面段ボールシートを作成し、総坪量784g/mの床養生材とした。
【0040】
<比較例3>
コルゲーターにて、SF側段ロールには、一般Bフルートの段ロールを使用し、SF側とDF側ライナーには輸入品(ウェアハウザー「Kライナー」坪量337g/m)、中芯には王子板紙社製の強化中芯(坪量160g/m)、貼合用接着剤には一般澱粉接着剤8g/mをそれぞれ使用して、厚さ3.3mmの通常のBフルートの両面段ボールを作成し、総坪量898g/mの床養生材とした。
【0041】
<比較例4>
コルゲーターにて、SF側段ロールには、一般Aフルートの段ロールを使用し、SF側とDF側ライナーには坪量280g/mの王子板紙社製の「OFK280」ライナーを、中芯には王子板紙強化中芯(坪量160g/m)を、貼合用接着剤には一般澱粉接着剤6g/mを用いて、通常のAフルートを作成し、厚さ5.6mmの両面段ボールシートを作成し、総坪量814g/mの床養生材とした。
【0042】
<比較例5>
コルゲーターにて、SF側段ロールには、一般Bフルートの段ロールと一般Aフルートの段ロールを使用し、SF側とDF側ライナーには坪量280g/mの王子板紙OFK280ライナー、中芯(王子板紙社製の一般中芯:坪量120g/m)、中ライナー(王子板紙社製の一般中芯:坪量120g/m)、中芯(王子板紙社製の一般中芯:坪量120g/m)、貼合用接着剤には一般澱粉接着剤を合計14g/m使用して、K280*S120*S120*S120*K280構成の厚さ8.1mmのダブルフルート(BAフルート)を作成し、総坪量1042g/mの床養生材とした。
【0043】
<結果>
実施例及び比較例の床養生材について、リサイクル性、緩衝特性(鋼球特性、先鋭棒特性)、厚さ特性、重量特性を評価した。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
*1)使用済み後に古紙回収ルートで再生可能を○、回収不可を×とする。
*2)緩衝特性の総合評価は、鋼球特性=16cm以上、先鋭棒特性=6cm以上のうち、両方達成を○、片方達成を△、両方未達成を×とする。
*3)シート厚さが5.5mm以下を○、5.5mmを上回るものを×とする。
*4)シート坪量が770g/m未満を○、770g/m〜850g/mを△、850g/mを上回るものを×とする。
【0046】
表1から明らかなように、実施例1〜3の床養生材は、重要特性であるリサイクル性、緩衝特性、厚さ特性の全てが○である。
これに対し、比較例1と2と4と5には、重要特性の1つ以上に×評価がある。比較例3は、重量特性が×であり、重すぎて作業者への負担が大で、床養生材として実際に使用することは非常に困難である。
【0047】
なお、本発明の床養生材の緩衝特性を示す「鋼球特性」と「先鋭棒特性」についての試験方法は以下のとおりである。
【0048】
<試験方法1>鋼球特性試験
鋼球特性試験は、図1に示す構成の試験装置において、白色合板の上にカーボン面を下にしてカーボン紙を置く、次に試験用の床養生材を置き、鋼球を置き、鋼球をパイプ内部に入れる状態でパイプを置く。
次に、支えピンで落下高さを定め、支えピンの上に鋼球用錘を置き、試験開始状態になる。
試験は、支えピンをパイプから引き抜き、鋼球用錘を定めた高さから落下させ、鋼球用錘の落下による衝撃で、白色合板にカーボンが付着するか、しないかを確認する。
白色合板にカーボンが付着しない最高の高さを鋼球特性とする。
【0049】
<試験方法2>先鋭棒特性試験
先鋭棒特性試験は、図2に示す構成の試験装置において、白色合板の上に試験用の床養生材を置き、先鋭棒を置き、ゴム柱で支える。
次に、先鋭棒をパイプ内部に入れる状態でパイプを置き、支えピンで落下高さを定め、支えピンの上に先鋭棒用錘を置き、試験開始状態になる。
試験は、支えピンをパイプから引き抜き、先鋭棒用錘を定めた高さから落下させ、先鋭棒用錘の落下による衝撃で、白色合板に先鋭棒先端の傷がつくか、つかないかを確認する。
白色合板に先鋭棒先端の傷がつかない最高の高さを先鋭棒特性とする。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、建設中の建物の床、特に木質床面の養生材として利用できる。また、使用済み後は、通常の古紙ルートで回収して板紙等に再生することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】鋼球特性試験の装置の構成図である。
【図2】先鋭棒特性試験の装置の構成図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面段ボールシートの少なくとも一方のライナー表面に紙に再生可能な水離解性の不織布を貼り合わせた両面段ボールシートからなる、紙製の床養生材。
【請求項2】
前記不織布を貼り合せたライナーを有する両面段ボールシートは、厚さが3.0mm以上6.0mm未満で総坪量が580〜850g/m以下である請求項1記載の紙製の床養生材。
【請求項3】
前記不織布がセルロース系パルプ繊維と水溶性乃至水離解性の接着剤によって形成されている、厚さが0.8〜1.3mmで、坪量が20〜70g/mの紙に再生可能な不織布であることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙製の床養生材。
【請求項4】
前記両面段ボールシートは、段高が2.3〜2.7mmで、段山数が38山/30cm〜52山/30cmであり、段繰率が1.2〜1.4である中芯を有する両面段ボールシートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙製の床養生材。
【請求項5】
鋼球特性が14cm以上で、先鋭棒特性が5cm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の紙製の床養生材。
【請求項6】
前記両面段ボールシートに折り畳み用の罫線が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の紙製の床養生材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−267125(P2008−267125A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62105(P2008−62105)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【出願人】(502356517)王子チヨダコンテナー株式会社 (66)
【出願人】(390004145)城東テクノ株式会社 (53)
【出願人】(000205498)オー・ジー株式会社 (12)