説明

紙製タブテープ

【課題】本発明の解決しようとする課題は、紙製容器を冷やした場合でも、暖めた場合でも開封後のタブテープを確実に保持することができ、しかも開封が容易な紙製のステイオンタブテープを提案するものである。
【解決手段】紙製容器の天板に形成された開口部を封緘するために天板の表面に装着される紙製タブテープであって、天板の縁部を超えて突出するつまみ部と、開封後には該つまみ部を折り返して挿入可能な切り込みを有し、開口部を密封する開口部シールと仮付けシールによって、天板に密着しており、開口部シール開封後は、仮付けシールによって、天板に残留することを特徴とする紙製タブテープである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製容器の開口部を封緘するための紙製タブテープに関し、開封後も容器に留まって散逸しない新規なステイオンタブに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護に対する意識の高まりから、再生産可能な資源である紙を主材料とした紙製容器が注目されている。紙製容器の開口部を封緘するタブテープとしては、従来はプラスチックフィルムやアルミ箔などを組み合わせた材料から作られたタブテープが使用されていた(特許文献1、第0013段落参照)。しかし開封後のタブテープが散逸してごみとなる問題が発生し、この問題を防ぐために、開封後も容器に留まるいわゆるステイオンタブに対する要望が高まってきた。しかしながら容器本体が紙製である以上、容器本体に留まって、容器本体と共に廃棄されるタブテープもまた、紙製であることが好ましいのは、言うまでもないことである。
【0003】
紙製のステイオンタブの例としては、紙製容器の天板の縁部を超えて胴部材まで達する短冊状のタブテープであって、容器本体の開口部を密封する飲み口シール部に連続してタブテープ固定部を設けた紙製タブテープが弊社より提案されている(特許文献2参照)。この紙製タブテープは、天板からはみ出した部分をつまみ部とし、このつまみ部の内面に粘着層を形成したものである。開封後のタブテープは、タブテープ固定部によって保持され、散逸することはない。また開封後には、タブテープのつまみ部に設けた粘着層を容器の天板に仮着させることにより、内容物を飲むときに、タブテープが邪魔にならないようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-129699号公報
【特許文献2】特開2005-178830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載された紙製タブテープは、飲用時のタブテープの固定方法として粘着層の粘着作用を利用したものであるが、冷蔵庫で冷やした容器の外表面が結露した場合や逆に容器ごと暖めたような場合に、粘着剤の働きが十分発揮されず、タブテープの固定がうまく行かない場合があるという問題があることが分かった。また、タブテープの内面に、部分的に粘着加工を施すことは、工程が煩雑であり、コスト面においても有利とは言えなかった。
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、紙製容器を冷やした場合でも、暖めた場合でも開封後のタブテープを確実に保持することができ、しかも開封が容易な紙製のステイオンタブテープを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、紙製容器の天板に形成された開口部を封緘するために天板の表面に装着される紙製タブテープであって、天板の縁部を超えて突出するつまみ部と、開封後には該つまみ部を折り返して挿入可能な切り込みを有し、開口部を密封する開口部シールと仮付けシールによって、天板に密着しており、開口部シール開封後は、仮付けシールによって、天板に残留することを特徴とする
紙製タブテープである。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、紙製タブテープのつまみ部の反対側の端部と、前記切り込みとの間に、凹型エンボスを設けたことを特徴とする請求項1に記載の紙製タブテープである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る紙製タブテープは、天板の縁部を超えて突出するつまみ部を有するので、開封に当たっては、このつまみ部を手掛かりとして、容易に開封することができる。また、開封後には、つまみ部を折り返して挿入可能な切り込みを有するので、開封したタブテープを折り返してこの切り込みに挿入することにより、容器内の内容物の温度に関係なく確実に固定することができる。また開口部に直接口をつけて内容物を飲むような場合にも、タブテープが邪魔になることはない。また、タブテープは、開口部を密封する開口部シールと仮付けシールによって、天板に密着しており、開口部シール開封後は、仮付けシールによって、天板に残留するので、タブテープが散逸してごみになるようなことがない。また、タブテープは、紙製であるから、容器本体の紙製容器と共に紙としてリサイクルまたは廃棄することができる。
【0010】
また、紙製タブテープのつまみ部の反対側の端部と、切り込みとの間に、凹型エンボスを設けた場合には、凹型エンボスの裏面が凸状となるために、切り込みの凹型エンボス側が隆起するため、切り込みへのつまみ部の挿入が容易となる。また挿入されたつまみ部は、該凹型エンボスの裏面の凸部によって圧迫されるので、確実に係止するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明に係る紙製タブテープの一実施態様を用いた紙製容器を示した平面模式図である。
【図2】図2は、図1に示した紙製容器の全体を示した斜視図である。
【図3】図3は、図1に示した紙製容器の未開封の状態を示した断面模式図である。
【図4】図4は、図1に示した紙製容器の開封後の状態を示した断面模式図である。
【図5】図5は、本発明に係る紙製タブテープの層構成の一例を示した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る紙製タブテープについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る紙製タブテープの一実施態様を用いた紙製容器を示した平面模式図である。本発明に係る紙製タブテープ5は、紙製容器1の天板3に形成された開口部4を封緘するために天板3の表面に装着される紙製タブテープであって、天板3の縁部を超えて突出するつまみ部6と、該つまみ部6を折り返して挿入可能な切り込み7を有し、開口部を密封する開口部シール8と仮付けシール9によって、天板3に密着している。図1に示した実施態様においては、紙製タブテープ5のつまみ部6の反対側の端部と、切り込み7との間に、凹型エンボス10が設けられている。
【0013】
紙製容器1を開封する場合には、つまみ部6が天板3の縁部よりも外側に突出しているので、このつまみ部6を持って、容易に開封することができる。開口部シール8開封後は、紙製タブテープ5は、仮付けシール9によって、天板3に付着したまま残留するので、タブテープが散逸してごみになるようなことはない。
【0014】
図2は、図1に示した紙製容器の全体を示した斜視図である。天板3は、側板2の上端部よりも低い位置にあるため、天板3に形成された開口部4を封緘する紙製タブテープ5を引き剥がす際に、つまみ部6が存在しない場合には、手掛かりが掴みにくいものであるが、つまみ部6が天板3の縁部よりも外側に突出しているために、これを手掛かりとして容易に開封が可能となっている。
【0015】
図3は、図1に示した紙製容器の未開封の状態を示した断面模式図である。開口部4を有する天板3は、周囲を折曲げて立ち上げ、皿状に成形してある。この立ち上げ部分を巻き込むように、側板2が成形されている。天板3と側板2の内面側には、熱融着可能なシーラント層が設けられているので、端部を熱融着した紙製容器の内面は、密封された状態となる。
【0016】
開口部4を封緘する紙製タブテープ5は、開口部4の周囲の開口部シール8と仮付けシール9とによって天板3に密着している。紙製タブテープ5には、天板3の縁部を超えて突出するつまみ部6が設けてある。また開封後には、つまみ部6を折り返して挿入可能な切り込み7が設けられている。この実施態様においては、紙製タブテープ5のつまみ部6の反対側の端部と、切り込み7との間に、凹型エンボス10が設けられている。
【0017】
凹型エンボス10が設けられていることにより、紙製タブテープ5の裏面に突起が形成されるため、切り込み7の凹型エンボス10側が隆起するために、開封後につまみ部6を切り込み7に挿入しやすくなる。
【0018】
図4は、図1に示した紙製容器の開封後の状態を示した断面模式図である。この図のように、開封後の紙製タブテープ5のつまみ部6を切り込み7に挿入することにより、固定することができるので、開口部4に直接口をつけて内容物を飲むような場合にも、紙製タブテープ5が邪魔にならない。紙製タブテープ5は、開封後も仮止めシール9によって天板3に固定されているので、散逸してごみになることはない。またつまみ部6を切り込み7に挿入した時、凹型エンボス10の裏面側の凸部がつまみ部6を圧迫するので、つまみ部6が抜けにくくなるという効果もある。
【0019】
紙製タブテープの材料構成としては、内容物に応じて種々の層構成が用いられる。図5は、本発明に係る紙製タブテープの層構成の一例を示した断面模式図である。紙基材13の表面側に印刷絵柄層12と表面フィルム層11が設けられており、紙基材13の裏面側には、バリア層14、裏面フィルム層15、ピール層16が設けられている。表面フィルム層としては、公知の熱可塑性樹脂が使用されるが、紙基材13への吸湿を防ぐ意味からポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステル系合成樹脂フィルムが好ましく用いられる。バリア層14は、紙製容器の開口部のガスバリア性を担保するものであり、二軸延伸されたPETフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィン系フィルムなどの延伸フィルム上に、酸化アルミニウムや酸化けい素などの無機化合物の薄膜を蒸着した無機物蒸着フィルムや、エチレンビニルアルコール(EVA)フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等のガスバリア性合成樹脂フィルムや、アルミニウム箔などが用いられる。裏面フィルム層15は、紙製タブテープの特に冷間破断強度を保証する目的で用いられるものであり、ポリアミド樹脂フィルムやPETフィルム等が好ましく用いられる。ピール層16としては、天板表面の合成樹脂層と熱融着可能であり、しかも適度な剥離強度で剥離する材質であることが必要であり、具体的には、数種類のポリオレフィン樹脂をブレンドした低剥離強度タイプの未延伸ポリオレフィン樹脂フィルム等が使用できる。印刷絵柄層12は、通常の包装材料用インキを用いて、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等によって印刷される。
【0020】
本発明に係る紙製タブテープを、紙製容器の開口部に封緘する方法としては、まず紙製容器の天板の開口部に紙製タブテープを仮付けシールによって固定する。次に滅菌が完了した紙製容器の開口部から内容物を注入して充填する。最後に紙製タブテープを開口部シールして、封緘が完了する。
【0021】
以上説明したように、本発明に係る紙製タブテープは、開封後のタブテープが紙製容器の天板に付着して残留しており、しかもつまみ部を折り返して切り込みに挿入するという物理的な手段によって、先端を固定することができるので、紙容器に直接口をつけて飲むような場合であっても、邪魔にならない。内容物を紙製容器ごと冷やしたり、あるいは暖めた場合であっても、安定して固定することが可能である。従って、本発明に係る紙製タブテープを使用した紙製容器は、冷却用にも加熱用にも使用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1・・・紙製容器
2・・・側板
3・・・天板
4・・・開口部
5・・・紙製タブテープ
6・・・つまみ部
7・・・切り込み
8・・・開口部シール
9・・・仮付けシール
10・・・凹型エンボス
11・・・表面フィルム層
12・・・印刷絵柄層
13・・・紙基材
14・・・バリア層
15・・・裏面フィルム層
16・・・ピール層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製容器の天板に形成された開口部を封緘するために天板の表面に装着される紙製タブテープであって、天板の縁部を超えて突出するつまみ部と、開封後には該つまみ部を折り返して挿入可能な切り込みを有し、開口部を密封する開口部シールと仮付けシールによって、天板に密着しており、開口部シール開封後は、仮付けシールによって、天板に残留することを特徴とする紙製タブテープ。
【請求項2】
紙製タブテープのつまみ部の反対側の端部と、前記切り込みとの間に、凹型エンボスを設けたことを特徴とする請求項1に記載の紙製タブテープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−215261(P2010−215261A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62816(P2009−62816)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】