説明

紙製容器の充填シール方法

【課題】筒状のカートン8を折り込んで底部を形成し液体を充填した後、頂部を折り曲げてシールする紙製容器の充填シール方法において、高い殺菌レベルを維持して充填およびシールを行う。
【解決手段】先ず、扁平に折り畳まれたカートン8を取り出して角筒状に起函し、その底部に殺菌剤を吹き付けて殺菌した後、折り曲げて底部を形成する。次に、カートン8の底部が上方を向くようにを倒立させて、下方の頂部側から殺菌剤をカートン内面に吹き付けて殺菌をする。その後、カートン8を反転させて頂部が上を向くように正立状態にし、内容物を充填した後、頂部を折り曲げてシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙製容器の充填シール方法に係り、特に、無菌雰囲気内で紙製容器を殺菌した後、内容物の充填およびシールを行う紙製容器の充填シール方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙製容器を取り出して筒状に拡開し、底部を組み立てた後、内容物を充填し、その後、頂部側を密封する紙製容器の充填シール方法が従来から知られている。特に無菌雰囲気内で充填を行ってシールをする装置では、内容物を充填する前に容器の殺菌を行う必要があるが、従来の装置は、前記各工程のうち充填を行う前のいずれかの段階で容器の殺菌を行うようにしている(例えば、特許文献1ないし特許文献3参照)。
【0003】
特許文献1に記載された紙容器の製造方法は、扁平に折り畳まれた紙容器を取り出して四角形状に拡開し、供給された注出口を所定の位置に溶着する。そして、紙容器の底部の内外面に付着している接着剤を溶融し,底部の折り畳み面を内側に折り込んで接着して底部を組み立てる。この紙容器を過酸化水素噴霧装置の真下に送って、過酸化水素を紙容器の内面全体に噴霧する。その後、熱風を吹き付けて乾燥させた後、充填ノズルにより所定の内容物を充填し、次いで、頭部折り畳み加圧装置によって紙容器の頭部のシールを行って紙容器の製造が完了する。
【0004】
また、特許文献2に記載された包装機械は、クリーンブース内で扁平状に折り畳まれた容器を取り出し、角筒状に開いてこの容器に口栓を取り付け、容器殺菌装置で殺菌をした後、無菌チャンバー内で底部の成形を行い、その後、充填装置に送って内容物の充填を行い、容器頂部シール装置で容器の頂部をシールするようになっている。
【0005】
さらに、特許文献3に記載された無菌充填装置における紙容器の殺菌方法は、底部、頭部とも開放した状態のカートンを、殺菌装置に搬入して表面および底面に殺菌剤ミストを噴霧して殺菌し、その後、底部を折り込み加圧シールして底部を形成する。次に、殺菌剤スプレー装置により紙容器内面に殺菌剤を噴霧して殺菌し、続いて、殺菌した紙容器に内容物を充填した後、頭部をくせ折りし、シールして密封する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−244702号公報
【特許文献2】特開2003−81220号公報
【特許文献3】特開平9−240629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載された発明の構成では、容器底部を折り込んでシールを行った後に容器の殺菌を行っているので、底面の折り込まれている部分には殺菌剤が付着していないため、殺菌レベルが低いという問題があった。また、底部をシールした後に、上向きの容器の上方の開口部から過酸化水素を噴霧しているため、過酸化水素が容器の内部に残留している危険性があった。
【0008】
特許文献2に記載された発明の構成では、容器の殺菌をした後に底部のシールを行っており、殺菌工程が充填を行う直前ではないので、時間の経過によって殺菌レベルが低下してしまうおそれがあった。
【0009】
さらに、特許文献3に記載された発明の構成では、殺菌をした後に容器の底部をシールし、その後、容器内面を殺菌してから充填を行っており、底部の殺菌レベルが低いことはなく、また、充填直前に殺菌をしているので殺菌レベルが低下するおそれはないが、この発明でも、容器を正立させた状態で殺菌を行っているため、容器の内部に殺菌剤が残留するおそれがあるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、殺菌レベルが高く、しかも、容器内に殺菌剤が残留するおそれのない紙製容器の充填シール方法を提供することを目的とするもので、扁平に折り畳まれた紙製容器を頂部と底部が開放した筒状に開く起函工程と、起函された筒状の紙製容器の底部に殺菌剤を吹き付ける底部殺菌工程と、紙製容器の底部を折り曲げてシールする底部形成工程と、底部が形成された紙製容器の内面に、底部を上方にした倒立状態で下方の頂部側から殺菌剤を吹き付ける内面殺菌工程と、紙製容器の頂部を上方にした正立状態に姿勢を変更する姿勢変更工程と、紙製容器の頂部から製品を充填する充填工程と、紙製容器の頂部を折り曲げてシールする頂部形成工程とを行うものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の紙製容器の充填シール方法では、紙製容器の底部に殺菌剤を吹き付ける工程を行った後底部を形成する工程を行い、その後、倒立した状態で下方から容器の内部に殺菌剤を噴射するようにしているので、底部の折り込まれた部分でも殺菌レベルが高く、また倒立した状態で下方から容器内に殺菌剤を吹き付けるので、容器の内部に殺菌剤が残留するおそれがなく、しかも、充填工程の直前に容器内部の殺菌を行っているので、時間の経過により殺菌レベルが低下してしまうおそれもないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係る紙製容器の充填シール方法を実施する紙製容器の充填装置の全体の構成を示す側面図である。(実施例1)
【図2】図2は、前記図1の要部(符号Pで示す範囲)を拡大して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
扁平に折り畳まれてマガジン内に多数枚収容されている紙製容器を順次取り出して、底部と頂部が開放した状態の筒状に起函する工程と、起函された紙製容器の底部側に殺菌剤を吹き付けて、後に底部になる部分の内外面を殺菌する底部殺菌工程と、この殺菌された底部を折り曲げてシールすることにより底部を形成する底部形成工程と、底部が形成された紙製容器を底部が上方を向いた倒立状態にして、下方を向いている頂部側の開放部から上方へ向けて殺菌剤を吹き付けて紙製容器の内面を殺菌する内面殺菌工程と、倒立状態で内面が殺菌された紙製容器を反転させて頂部側を上方に向けた正立状態に姿勢を変更する姿勢変更工程と、上方を向いている頂部側から紙製容器内に液体等の製品を充填する充填工程と、紙製容器の開放していた頂部を折り曲げてシールすることにより、頂部を密封する頂部形成工程とを行うことにより、高度な殺菌レベルを維持して、紙製容器の充填およびシールを行うという目的を達成する。
【実施例1】
【0014】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この発明に係る紙製容器の充填シール方法を実施する充填シール装置は、上流側(図1の右側)から順に、カートン供給部A、口栓取付部B、カートン底部の殺菌部C、底面シール部D、反転倒立部E、内面殺菌部F、反転起立部G、充填部Hおよびトップシール部Iを有している。上流側のカートン供給部Aおよび口栓取付部Bは、外部から密閉されたチャンバー2(以下、第1のチャンバーと呼ぶ)内に設置されており、また、下流側の底面シール部D、反転倒立部E、内面殺菌部F、反転起立部G、充填部Hおよびトップシール部Iは別の無菌チャンバー4(以下、第2のチャンバーと呼ぶ)内に設置されている。これら上流側の第1チャンバー2と下流側の第2チャンバー4とが接続通路6によって接続されており、この接続通路6内に、後に説明するカートン搬送手段が配置されるとともに、前記底部殺菌部Cが設けられている。
【0015】
最も上流側のカートン供給部Aには、角筒状のカートン8を扁平に折り畳んで多数枚積み重ねた状態で収容するカートンマガジン10が傾斜させて配置されており、下方に設けられてカートンマガジン10の底面側に向けて進退動するカートン取り出し手段12によって、カートンマガジン10の最下端からカートン8を取り出して、底部および頂部が開放した状態の角筒状に起函する。この実施例のカートン8が、請求項1の紙製容器に相当する。
【0016】
前記カートンマガジン10に隣接して、角筒状に起函されたカートン8を受け取って間欠的に回転搬送するロータリ式のカートン搬送機構14(以下、第1カートン搬送機構と呼ぶ)が設けられている。この第1カートン搬送機構14は、水平な回転軸14aを中心に回転する八角形の回転体14bを有しており、この回転体14bの周囲8箇所の各平坦面に、それぞれ2個のカートン保持部材14cが取り付けられている。第1カートン搬送機構14は、図1の反時計回り方向に1周の1/8ずつ回転(45度ずつ回転)して各処理ポジションに停止する。第1ポジション14A(図1の右斜め下方を向いた位置)はカートン受け取り位置であり、前記カートン供給部Aのカートン取り出し位置に対向しており、カートン取り出し手段12によって取り出されて起函されたカートン8が、口栓8a(図2参照)の取り付けられる頂部側を回転体14bの外方側に向けて、カートン保持部材14cに受け渡される。なお、この実施例では、カートン8を2個ずつ処理するようになっており、カートンマガジン10からカートン8を2個ずつ取り出し、第1カートン搬送機構14が2個のカートン保持部材14cによってカートン8を2個ずつ間欠的に搬送する。
【0017】
第1カートン搬送機構14の第2ポジション14Bは、カートン8を水平な状態で停止させて口栓8aの仮取付を行う口栓仮取付部であり、第1チャンバー2の上方に設置された口栓供給用パーツフィーダー16からシュート18を介して供給された口栓8aが、カートン8の口栓取り付け部に仮に取り付けられる。第1カートン搬送機構14がさらに回転して、カートン8の頂部側を上方に向けて停止する第4ポジション14Dには口栓溶着手段20が設けられており、この第4ポジション14Dで口栓8aを角筒状のカートン8の口栓取付部に溶着する。その後、水平位置の第6ポジション14Fで、口栓8aが溶着された角筒状のカートン8が接続通路6内に配置されているカートン搬送手段に受け渡される。
【0018】
前記第1カートン搬送機構14の第6ポジション14Fで取り出された角筒状のカートン8は、接続通路6内のカートン搬送手段22(図2参照)に受け渡される。カートン搬送手段22は、角筒状のカートン8の幅よりもやや大きい間隔に配置された両側ガイド22aと、これら両側ガイド22a間に送り込まれた角筒状カートン8の後端面(底部側の端面)に係合して押圧するフィンガ22bとを備えている。フィンガ22bは搬送方向(図1の左右方向)に向かって進退動するとともに、水平方向に移動してカートン8に係合する位置と係合しない位置との間で横移動できるようになっている(図1および図2の紙面の手前側と奥側に移動できる)。この接続通路6のカートン搬送手段22もカートン8を間欠的に搬送するようになっており、角筒状のカートン8の後端面に係合して前進(図1の右から左へ移動)し、図1に示すように3箇所に順次停止させた後、横方向(各図の紙面の奥側)に移動してカートン8に係合しない位置に退避し、その退避位置で上流側に後退(図1の左から右へ移動)する。この上流端で再びカートン8に係合する位置に移動(各図の紙面の手前側に移動)し、次のカートン8の後端部に係合して間欠的に前進させる。
【0019】
カートン搬送手段22が設けられている接続通路6内は、2箇所の仕切り板24、26によって区画されている。第1(上流側)の仕切り板24は、接続通路6内の上流部にカートン8の1個分のスペースを有する位置に設置され、第2の仕切り板26は、接続通路6の出口から下流側の第2チャンバー4側へ突出させて設置されており、前記第1仕切板24と第2仕切り板26との間にカートン8の2個分のスペースが設けられている。これら両仕切り板24、26の間のスペースの下流側(図1に符号Pで示す範囲)が底部殺菌部Cになっている。接続通路6内の第2チャンバー4寄りの位置(底部殺菌部C)に、カートン8の斜め後方側から過酸化水素ガスを噴射して、角筒状に開放しているカートン8の底部の内外面を殺菌する過酸化水素ガス噴射ノズル28が設けられている(図1では図示を省略)。
【0020】
底部側と頂部側の双方とも開放した状態の角筒状カートン8が、接続通路6内の底部殺菌部Cで底部側を殺菌された後、第2チャンバー4内に搬入されると、その入口側に底面を折り込むためのロータリ式のカートン搬送機構30(以下、第2カートン搬送機構と呼ぶ)が配置されている。この第2カートン搬送機構30は、前記第1カートン搬送機構14と同様の構成を有しており、水平軸30aにより回転する回転体30bの外周8箇所にそれぞれ2個のカートン保持部材30cが設けられ、間欠的に回転して8箇所のポジションに停止する。前記接続通路6から送り出された角筒状のカートン8は、図1の右側の水平位置(第1ポジション30A)でこの第2カートン搬送機構30のカートン保持部材30cに受け渡される。前記第1カートン搬送機構14では、底部側と頂部側の双方が開放した状態の角筒状のカートン8が、底部側を回転体30bの中央に向けて、カートン保持部材30cに保持されていたが、この第2カートン搬送機構30では、角筒状カートン8の頂部側を回転体30bの中心方向を向けるとともに、底部側を回転体30bの外方を向けた状態でカートン保持部材30cに保持される。
【0021】
第2カートン搬送機構30も図1の反時計回り方向に回転するようになっており、底部を殺菌された角筒状カートン8を受け取って回転し、次の第2ポジション30Bに停止する。この第2ポジション30Bと第3ポジション30Cには、それぞれ熱風吹き付け装置32、34が配置されており、これら各ポジション30B、30Cに停止したカートン8に熱風を吹き付けてその底面を溶融する。第4ポジション30Dには底面仮折り手段36が設けられおり、底面を形成するための仮折りを行う。続く第5ポジション30Eには、底面シール圧着手段38が設けられており、第2および第3ポジション30B、30Cで溶融され、第4ポジション30Dで仮折りされたカートン8の底部がシール圧着される。その後、カートン8が鉛直方向を向いた第7ポジション30G(カートン取り出し位置)で、底部が折り込まれて底面が形成されたカートン8が、第2カートン搬送機構30から取り出される。前記のようにカートン8は頂部側が回転体30bの中心方向を向いて保持されており、下方へ取り出された時点では、頂部が上を向き底部側が下を向いた正立状態になっている。その直後の反転倒立部Eに反転倒立手段(図示を省略)が設けられており、正立状態のカートン8を底部が上を向き、頂部側が下を向いた倒立状態に反転させる。
【0022】
前記反転倒立部Eの下流側には、底部が折り込まれて封止されたカートン8を倒立状態で搬送する搬送手段(図示を省略)が設けられており、形成された底部側を上方に向けて倒立状態でカートン8を間欠的に搬送する。この倒立搬送手段の下方には、上方を向けた複数本の過酸化水素ガス噴射ノズル42が設けられ、さらにその下流側に、同じく上方を向けた複数本の熱風噴射ノズル44が配置されており、下向きで開放している頂部側から過酸化水素ガスを上方へ向けてカートン8の内部に吹き込み、その後、熱風を下方から吹き込むことによりカートン8の内面側の乾燥滅菌を行う。
【0023】
倒立した状態で搬送する間に、下方から内面側に過酸化水素ガスを吹き込まれた後、熱風により乾燥されたカートン8は、その下流側の反転起立部Gに配置されている反転起立手段(図示を省略)によって反転されて頂部側を上に向けた状態に戻される。
【0024】
反転起立部Gの下流側に充填部Hが設けられている。開放した状態の頂部側を上に向けて、搬送手段によって搬送されるカートンの搬送経路の上方に、複数本の充填ノズル46が配置されており、カートン8が間欠的に搬送されている間に複数本の充填ノズル46から複数回の充填が行われる。
【0025】
充填部Hに続いてトップシール部Iが設けられている。トップシール部Iは、開放している頂部を上に向けて、搬送手段によって搬送されているカートン8の搬送経路の上方に、2箇所の熱風吹き付け手段48、50が設けられている。搬送手段によって間欠的に搬送されているカートン8は、2箇所の熱風吹き付け手段48、50によって2回にわたり熱風が吹き付けられ、カートン8の頂部側が溶融される。熱風吹き付け手段48、50に続いてシール圧着手段52が設けられており、カートン8の溶融された頂部側が折り込まれて圧着される。
【0026】
以上の構成に係る紙製容器の充填シール装置の作動について説明する。角筒状のカートン8を扁平に折り畳んだ状態で多数枚積み重ねてカートンマガジン10内に収容する。カートンマガジン10の底部側にカートン取り出し手段12が設けられており、カートンマガジン10の底部側に向けて進退動してカートン8を取り出し、頂部側と底部側が開放した角筒状に起函する。この実施例では、カートン8を2個ずつ間欠的に搬送して処理するようになっており、カートン取り出し手段12が2枚のカートン8を取り出して角筒状に起函する。
【0027】
起函されたカートン8は、第1カートン搬送機構14の第1ポジション14Aで、カートン保持部材14cに受け渡される。第1カートン搬送機構14は間欠的に回転しており、第2ポジション14Bに停止している間に上方のパーツフィーダー16から供給された口栓8aがカートン8の口栓取付部に仮取り付けされる。第1カートン搬送機構14がさらに回転して、第4ポジション14Dで仮取り付けされていた口栓8aが口栓溶着手段20により溶着される。その後、カートン8は第1カートン搬送機構14によって第6ポジション14Fまで搬送され、接続通路6内に設けられたカートン搬送手段22に引き渡される。この時点では、カートン8は頂部側も底部側も開放した角筒状をしており、頂部側を前方に向けて搬送される。
【0028】
カートン8が接続通路6内のカートン搬送手段22によって間欠的に搬送され、カートン8の底部を殺菌する殺菌部C(図2に示す範囲)に停止すると、この位置の後方側に配置された過酸化水素ガス噴射ノズル28から、カートン8の開放している底部側の内外面に過酸化水素ガスが吹き付けられる。その後、このカートン8は、第2カートン搬送機構30の第1ポジション30Aでカートン保持部材30cに引き渡される。カートン8は、頂部側を前方に向けて搬送されており、そのまま頂部側を第2カートン搬送機構30の中心方向に向けてカートン保持部材30cに保持される。第2カートン搬送機構30が間欠的に回転して第2ポジション30Bおよび第3ポジション30Cに停止している間に、これら各ポジション30B、30Cに設置されている熱風吹き付け手段32、34によって2回にわたり開放している底面に熱風が吹き付けられて底面が溶かされる。続いて第4ポジション30Dでカートン8の底面が仮折りされ、第5ポジション30Eで底面がシール圧着される。このように、カートン8の底面に過酸化水素ガスを吹き付けて殺菌をした後、直ちに底面を折り込んでシールするので、底面について極めて高い殺菌レベルを確保することができる。
【0029】
第2カートン搬送機構30の第6ポジション30Fでこの第2カートン搬送機構30から取り出されたカートン8は、底部側が折り込まれて底面として形成されており、頂部側は開放した状態になっている。このカートン8は、第2カートン搬送機構30から取り出された時点では、底部を下にして正立した状態になっているが、反転倒立部Eの反転倒立手段によって底部を上に向け、開放した頂部側を下方に向けた状態に反転され、この状態で図示しない搬送手段によって搬送される。次に、内面殺菌部Fで上向きに配置されている過酸化水素ガス噴射ノズル42から、カートン8の内部に過酸化水素ガスを噴射される。続いて、下向きの開口部から上向きの熱風噴射ノズル44によってカートン8の内部に熱風が噴射されて乾燥される。カートン8の開放している頂部を上方に向けて上から殺菌剤を吹き付けると、カートン8の内部に殺菌剤が残留してしまうおそれがあるが、この実施例では、底部を上にし、開口した頂部側を下向きにして、下方から過酸化水素ガスをカートン8内に吹き付けるようにしているので、余分な殺菌剤は下方へ流れ出るため、カートン8の内面に殺菌剤が残留するおそれをなくすことができる。
【0030】
殺菌および乾燥が済んだカートン8を、反転起立部Gの反転起立手段で再度反転させて正立状態に戻した後、充填部Hで液体等の内容物を充填する。そして、充填後、トップシール部Iで、第1熱風吹き付け手段48および第2熱風吹き付け手段50によって熱風吹き付けを行った後、頂部シール圧着手段52によって頂部側をシールする。以上のように底面を殺菌して直ちにシールし、さらに、内面を殺菌した後、内容物を充填して頂部側も密封するので、極めて高いレベルの殺菌性能を得ることができる。
【符号の説明】
【0031】
8 紙製容器(カートン)
28 底部殺菌工程の噴射ノズル
38 底部形成工程の底面シール圧着手段
42 内面殺菌工程の噴射ノズル
46 充填工程の充填ノズル
52 頂部形成工程の頂部シール圧着手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平に折り畳まれた紙製容器を頂部と底部が開放した筒状に開く起函工程と、起函された筒状の紙製容器の底部に殺菌剤を吹き付ける底部殺菌工程と、紙製容器の底部を折り曲げてシールする底部形成工程と、底部が形成された紙製容器の内面に、底部を上方にした倒立状態で下方の頂部側から殺菌剤を吹き付ける内面殺菌工程と、紙製容器の頂部を上方にした正立状態に姿勢を変更する姿勢変更工程と、紙製容器の頂部から製品を充填する充填工程と、紙製容器の頂部を折り曲げてシールする頂部形成工程とを行う紙製容器の充填シール方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−136257(P2012−136257A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290059(P2010−290059)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)