説明

素子基板、素子基板の製造方法、液晶表示装置、電子機器

【課題】各色材部を透過した光の焦点距離を調整し、色バランスに優れた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】素子が形成された基板と、複数の色材部と、各前記色材部を透過した光を集光させるとともに、各前記色材部を透過した光の焦点距離が前記色材部毎に調整された集光レンズ部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子基板、素子基板の製造方法、液晶表示装置、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置として、カラーフィルター基板と素子基板との間に液晶層が封入されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。液晶層は、一対の偏光板の間に配置されている。素子基板は、液晶層に対して画素領域ごとに電界を印加可能になっている。電界印加の有無により、液晶層の液晶分子の方位角が変化し、液晶層を通る光は電界印加の有無により異なる偏光状態になる。液晶層を通った光は、偏光状態に応じてその一部が偏光板に吸収されて、所望の階調の光になる。カラーフィルター基板は、透過させる光の波長が異なる複数の色材部を含んでいる。色材部は、画素領域と1対1で対応している。液晶層から射出された光は、色材部を通ることにより所定の波長帯域の成分が吸収され、所望の色光になる。一般的には、赤緑青の3つの画素領域において液晶層が独立して制御され、赤緑青の3つの画素領域から射出される光により、フルカラー画像の1画素が構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3261854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記液晶表示装置において、各色材部には、同一のマイクロレンズが構成されている。しかしながら、各色材部を通った光は、各色材部の波長帯域の成分が吸収されて射出されるため、各色材部に同一のマイクロレンズが形成されると、透過光波長が長い色材部を透過した光の焦点距離は、透過光波長が短い色材部を透過した光の焦点距離よりも長くなるため、各色材部から射出された光の焦点距離が、色材部毎に異なってしまい、色バランスが崩れてしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる素子基板は、素子が形成された基板と、複数の色材部と、各前記色材部を透過した光を集光させるとともに、各前記色材部を透過した光の焦点距離が前記色材部毎に調整された集光レンズ部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、色材部毎に透過した光を集光させ、色材部毎を透過する光の焦点距離を揃えることが可能となり、色バランスを向上させることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる素子基板は、前記複数の色材部のうち、透過光波長が長い前記色材部に対応する前記集光レンズ部の曲率が、透過光波長の短い前記色材部に対応する前記集光レンズ部の曲率よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、集光レンズ部の曲率が大きい場合には、透過する光の焦点距離を短くさせることができる。また、集光レンズ部の曲率が小さい場合には、透過する光の焦点距離を長くさせることができる。従って、相対的に透過光波長が長い色材部を透過した光の焦点距離を短くさせ、透過光波長の短い色材部を透過した光の焦点距離を長くさせることが可能となる。これにより、容易に各色材部を透過した光の焦点距離を揃えることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる素子基板は、前記複数の色材部のうち、透過光波長が長い前記色材部と前記集光レンズ部との屈折率の差が、透過光波長が短い前記色材部と前記集光レンズ部との差よりも大きいことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、集光レンズ部の屈折率が高い場合には、透過する光の焦点距離を短くさせることができる。また、集光レンズ部の屈折率が低い場合には、透過する光の焦点距離を長くさせることができる。従って、相対的に透過光波長が長い色材部を透過した光の焦点距離を短くさせ、透過光波長の短い色材部を透過した光の焦点距離を長くさせることが可能となる。これにより、容易に各色材部を透過した光の焦点距離を揃えることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる素子基板は、前記素子が形成された前記基板上に形成された前記色材部と、前記色材部上に形成された前記集光レンズ部と、前記集光レンズ部上に形成された電極配線と、を有し、前記集光レンズ部の屈折率が、前記色材部の屈折率よりも高く、かつ、前記電極配線の屈折率よりも低いことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、例えば、色材部側から電極配線側に向けて光を照射した場合、光は、徐々に屈折率が変化する各部材内を進行することになる。このため、各部材の界面における光の反射が低減され、透過率を向上させることができる。
【0014】
[適用例5]本適用例にかかる素子基板の製造方法では、素子が形成された基板に対して、色材部を形成する色材部形成工程と、各前記色材部を透過した光を集光させるとともに、各前記色材部を透過した光の焦点距離が前記色材部毎に調整された集光レンズ部を形成する集光レンズ部形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、各色材部を通過する光の焦点距離を均一化させることができる。
【0016】
[適用例6]本適用例にかかる液晶表示装置は、上記の素子基板、または、上記の素子基板の製造方法によって製造された素子基板を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、いわゆるCOA構造(Color Filter on Array)を有する液晶表示装置を得ることができる。これにより、高開口率化が可能となり、高品質な液晶表示装置を提供することができる。
【0018】
[適用例7]本適用例にかかる電子機器は、上記の液晶表示装置を搭載したことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、高品位の液晶表示装置を搭載した電子機器を提供することができる。この場合、電子機器は、例えば、上記の液晶表示装置を搭載したテレビ受像機、パーソナルコンピューター、携帯電子機器、その他、各種の電子製品がこれに該当する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】液晶表示装置の構成を示し、(a)は斜視図、(b)一部拡大した平面図。
【図2】第1実施形態にかかる素子基板を含む液晶表示装置の構成を示す要部断面図。
【図3】液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図4】液滴吐出ヘッドの構成を示す断面図。
【図5】第1実施形態にかかる素子基板の製造方法を示す工程図。
【図6】第1実施形態にかかる素子基板の製造方法を示す工程図。
【図7】第1実施形態にかかる素子基板の製造方法を示す工程図。
【図8】電子機器の構成を示す斜視図。
【図9】第2実施形態にかかる素子基板を含む液晶表示装置の構成を示す要部断面図。
【図10】第2実施形態にかかる素子基板の製造方法を示す工程図。
【図11】変形例にかかる素子基板の構成を示す要部断面図。
【図12】他の変形例にかかる素子基板の構成を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、第1および第2実施形態について説明する。なお、説明に用いる図面において、特徴的な部分を分かりやすく示すために、図面中の構造の寸法や縮尺を実際の構造に対して異ならせている場合がある。また、実施形態において同様の構成要素については、同じ符号を付して図示し、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0022】
[第1実施形態]
(液晶表示装置の構成)
まず、液晶表示装置の構成について説明する。図1は、液晶表示装置の構成を示し、同図(a)は、斜視図であり、同図(b)は、一部拡大した平面図である。図1(a)に示すように、液晶表示装置1aは、概略板状のものであり、一方の面に表示領域A1を有している。表示領域A1内に、複数の画素領域Pが行列状に配置されている。表示領域A1の外側は、額縁A2になっている。液晶表示装置1aの内部には、複数の走査線10aと、複数のデータ線10bが設けられている。複数の走査線10aは互いに略平行に配列されている。また、複数のデータ線10bも互いに略平行に配列されている。そして、走査線10aとデータ線10bとが略直交(交差)しており、走査線10aとデータ線10bとで囲まれた領域の各々が、画素領域Pとなっている。
【0023】
走査線10aおよびデータ線10bは、表示領域A1と額縁A2とにわたって設けられている。額縁A2において走査線10aの端部は、走査信号を供給する走査線駆動回路(図示略)と電気的に接続されている。額縁A2においてデータ線10bの端部は、画像信号を供給するデータ線駆動回路(図示略)と電気的に接続されている。
【0024】
図1(b)に示すように、表示領域A1には、複数の画素領域Pが含まれている。本実施形態では、赤表示の画素領域Pr、緑表示の画素領域Pg、青表示の画素領域Pbが含まれている。画素領域Pr,Pg,Pbから、それぞれ赤色光、緑色光、青色光が表示側に向けて射出されると、赤色光、緑色光、青色光が混じり合って視認されて、フルカラー画像の1画素が表示される。画素領域Pr,Pg,Pbの間は、遮光領域Dが設けられている。
【0025】
図2は、本実施形態にかかる素子基板を含む液晶表示装置の要部断面図である。図2に示すように、液晶表示装置1aは、素子基板11aと、素子基板11aに対向して配置された対向基板12と、素子基板11aと対向基板12との間に挟持された液晶層13を備えている。
【0026】
素子基板11aは、素子としての薄膜トランジスター(TFT)112が形成された基板としての透明基板119と、複数の色材部122R,122G,122Bと、各色材部122R,122G,122Bを透過した光を集光させるとともに、各色材部122R,122G,122Bを透過した光の焦点距離が色材部122R,122G,122B毎に調整された集光レンズ部123a,123b,123cを備えている。すなわち、本実施形態にかかる液晶表示装置1aは、TFT112が形成されたアレイ基板110上に色材部122を備えた素子基板11aを有するCOA構造(Color Filter on Array)を構成するものである。
【0027】
透明基板119は、ガラスや石英、プラスチック等からなる透明性を有した基板である。そして、透明基板119上に素子層111が形成されている。素子層111には、素子としての薄膜トランジスター(TFT)112や、図1(a)に示した走査線10a、データ線10b等の各種配線や素子等が含まれている。なお、TFT112や各種配線は、光が遮光される遮光領域Dに対応する部分に設けることが好ましい。
【0028】
素子層111上には、遮光領域Dと重なる部分に隔壁121が設けられている。隔壁121には、画素領域Pr,Pg,Pbと重なる部分に開口が設けられている。すなわち、隔壁121は、画素領域Pr、Pg、Pbの各々を環状に囲んでいる。隔壁121は、例えば、黒色顔料等の遮光材料を含有したアクリル樹脂等からなり、ブラックマトリクスとして機能する。
【0029】
そして、画素領域Pr,Pg,Pbに対応する部分のそれぞれに、集光レンズ部123a,123b,123cが設けられている。本実施形態では、素子層111上に集光レンズ部123が設けられている。そして、集光レンズ部123は、液晶層13に向かって凸形状を有している。集光レンズ部123は、透光性を有する樹脂材料等から形成されている。
【0030】
集光レンズ部123a,123b,123c上に、色材部122R,122G,122Bが形成されている。すなわち、色材部122R,122G,122Bは、隔壁121に設けられた複数の開口内の各々に配置されており、隔壁121により仕切られている。色材部122R,122G,122Bは、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を透過させ、その他の波長帯域の色光を吸収する特性を有している。なお、本実施形態では、集光レンズ部123a,123b,123cの屈折率が、色材部122R,122G,122Bの屈折率よりも高くなるように設定されている。
【0031】
ここで、本実施形態にかかる集光レンズ部123の形状について詳細に説明する。図2に示すように、色材部122R,122G,122B毎に集光レンズ部123の曲率が異なっており、複数の色材部122R,122G,122Bのうち、透過光波長が長い色材部に対応する集光レンズ部123の曲率が、透過光波長の短い色材部に対応する集光レンズ部123の曲率よりも大きくなるように形成されている。本実施形態では、色材部122R,122G,122Bのうち、赤色光を透過させる色材部122Rが、最も透過光波長が長く、次いで、緑色光を透過させる色材部122Gが長く、青色光を透過させる色材部122Bが最も透過光波長が短い。従って、透過光波長が長い色材部122Rに対応する集光レンズ部123aの曲率が、透過光波長の短い色材部122G,122Bに対応する集光レンズ部123b,123cの曲率よりも大きくなるように形成されている。すなわち、色材部122Bに対応する集光レンズ部123c、色材部122Gに対応する集光レンズ部123b、色材部122Rに対応する集光レンズ部123aの順に曲率が大きくなるように形成されている。これにより、透過光波長が長い色材部122Rを透過する光が大きく屈折され、焦点距離を短くさせることができる。一方、透過光波長が短い色材部122Bを透過する光の屈折を小さくさせ、焦点距離を長くさせることができる。そして、各色材部122R,122G,122Bを透過して集光される距離が、透明基板120の面から等しくなるように各集光レンズ部123a,123b,123cの曲率が形成されている。なお、各色材部122R,122G,122Bに対応する集光レンズ部123a,123b,123cの曲率の設定方法は、特に限定されないが、例えば、色材部122Gに対応する集光レンズ部123bの曲率を基準として、集光レンズ部123aの曲率は、集光レンズ部123bの曲率よりも大きく、集光レンズ部123cの曲率は、集光レンズ部123bの曲率よりも小さくなるように形成することができる。
【0032】
色材部122R,122G,122B上に画素電極113が形成されている。各画素電極113は、コンタクトホール200を介してTFT112と1対1の関係で電気的に接続されている。TFT112は、走査信号に基づいて画像信号をスイッチングし、画像信号が画素電極113に所定のタイミングで供給される。
【0033】
画素電極113と液晶層13との間には、第1配向膜115が設けられている。第1配向膜115は、例えばポリイミド等からなる膜にラビング処理等の配向処理を施したものであり、後述する第2配向膜126とともに液晶層13の配向状態を制御する。ここでは、液晶層13をネマティックツイスト配向(TN配向)させるように、第1配向膜115、第2配向膜126に配向処理がなされている。
【0034】
本実施形態の液晶表示装置1aでは、透明基板119において液晶層13と反対側が照明光の入射側になっている。透明基板119において照明光の入射側には、第1偏光板116が設けられている。第1偏光板116は、所定の方向の直線偏光を通す特性を有している。第1偏光板116において液晶層13と反対側に、光源や導光板等からなる図示略の照明装置(バックライト)が配置されている。
【0035】
対向基板12は、透明基板120を有している。透明基板120は、ガラスや石英、プラスチック等からなる透明性を有した基板である。透明基板120の素子基板11aに対向する面には共通電極125が設けられている。そして、共通電極125上に第2配向膜126が設けられている。また、透明基板120の共通電極125が形成された面とは反対側の面には第2偏光板(偏光層)127が形成されている。第2偏光板127は、直線偏光を通す特性を有している。ここでは、第2偏光板127の透過軸が、第1偏光板116の透過軸に対して略90°の角度をなしている。
【0036】
液晶層13は、複屈折性を有する液晶材料からなる。本実施形態では、液晶層13の配向状態がTN配向になっており、液晶層13は電界非印加状態で複屈折性を発現するようになっている。液晶層13に電界が印加されると、液晶分子のディレクター方向が電界方向と略平行になり、液晶層13は複屈折性を発現しなくなる。
【0037】
次に、液晶表示装置1aの集光状態について説明する。図2に示すように、照明装置から照射された照明光は、第1偏光板116を通って直線偏光(第1直線偏光と称する)になり液晶層13に入射する。ここで、画素領域Prに着目すると、画素電極113に画像信号が供給されていない状態で、液晶層13は電界非印加状態になっており複屈折性を発現している。電界非印加状態の液晶層13に入射した光は、位相変調されて第1直線偏光から90°回転した第2直線偏光になり、集光レンズ部123aに入射する。そして、光は集光レンズ部123aの面で屈折し、集光レンズ部123aを透過した光は色材部122Rに入射する。色材部122Rに入射した光は、赤色光以外の波長帯域の光が吸収され、色材部122Rから赤色光が射出される。色材部122Rから射出された赤色光は、振動方向が第2偏光板127の透過軸と略一致しており、第2偏光板127を透過して、画素領域Prが明表示(赤)となり、第2偏光板127を透過した光は、集光点CP1において集光される。
【0038】
画素領域Pg,Pbの集光状態についても、上記画素領域Prと同様であるが、各集光レンズ部123a,123b,123cの曲率が、各色材部122R,122G,122Bの透過光波長に対応して設定されているため、透過光波長の長い色材部122Rを透過する光は、相対的に曲率の大きい集光レンズ部123aによって大きく屈折され、透過光波長の短い色材部122Bを透過する光は、相対的に曲率の小さい集光レンズ部123cによって屈折が抑えられるため、透過光波長が異なる場合であっても、例えば、透明基板120から各色材部122R,122G,122Bを透過した光の集光点CP1〜CP3までの距離をほぼ等しくさせることができる。
【0039】
なお、上記の実施形態では、素子基板11a側から対向基板12へ向けて照明光を当てたが、これに限定されない。例えば、対向基板12側から素子基板11a側に向けて照明光を当ててもよい。このようにしても、対向基板12に入射した光を、集光レンズ部123a,123b,123cにおいて屈折させ、集光させることができる。そして、透過光波長の長い色材部122Rを透過する光は、相対的に曲率の大きい集光レンズ部123aによって大きく屈折され、透過光波長の短い色材部122Bを透過する光は、相対的に曲率の小さい集光レンズ部123cによって屈折が抑えられるため、透過光波長が異なる場合であっても、素子基板11aを透過した光の集光点までの距離をほぼ等しくさせることができる。
【0040】
また、画素電極113に画像信号が供給された状態では、液晶層13が電界印加状態となり複屈折性を発現しなくなる。電界印加状態の液晶層13に入射した第1直線偏光は、偏光状態が変化せずに集光レンズ部123に入射する。集光レンズ部123に入射した光は、集光レンズ部123aの凸面で屈折し、色材部122Rに入射する。色材部122Rに入射した光は、赤色光以外の波長帯域の光が吸収され、色材部122Rから赤色光が射出される。色材部122Rから射出された赤色光は、振動方向が第2偏光板127の吸収軸と略一致しており、第2偏光板127に吸収される。これにより、画素領域Prが暗表示(黒)になる。画素領域Pg、Pbについても、上記画素領域Prと同様である。
【0041】
(素子基板の製造方法)
次に、素子基板の製造方法について説明する。なお、素子基板の製造では、機能液を液滴として吐出してパターンを形成する液滴吐出装置を用いるため、素子基板の製造方法の説明に先立ち、まず、液滴吐出装置について説明する。
【0042】
図3は、液滴吐出装置の構成を示す斜視図である。液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1001と、X軸方向駆動軸1004と、Y軸方向ガイド軸1005と、制御装置CONTと、ステージ1007と、クリーニング機構1008と、基台1009と、ヒーター1015を備えている。
【0043】
ステージ1007は、機能液が塗布されるワークWを支持するものであって、ワークWを基準位置に固定する図示は省略の固定機構を備えている。
【0044】
液滴吐出ヘッド1001は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とX軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド1001の下面に一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド1001の吐出ノズルからは、ステージ1007に支持されているワークWに対して、機能液を液滴として吐出して、ワークW上に機能液を塗布するように構成されている。
【0045】
X軸方向駆動軸1004には、X軸方向駆動モーター1002が接続されている。このX軸方向駆動モーター1002は、ステッピングモーター等からなるもので、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸1004を回転させる。X軸方向駆動軸1004が回転すると、液滴吐出ヘッド1001はX軸方向に移動する。
【0046】
Y軸方向ガイド軸1005は、基台1009に対して動かないように固定されている。ステージ1007は、Y軸方向駆動モーター1003を備えている。Y軸方向駆動モーター1003はステッピングモーター等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ1007をY軸方向に移動する。
【0047】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド1001に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モーター1002に液滴吐出ヘッド1001のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モーター1003にステージ1007のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
【0048】
クリーニング機構1008は、液滴吐出ヘッド1001をクリーニングするものである。クリーニング機構1008には、図示は省略のY軸方向の駆動モーターが備えられている。このY軸方向の駆動モーターの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸1005に沿って移動する。クリーニング機構1008の移動も制御装置CONTにより制御される。
【0049】
ヒーター1015は、ここではランプアニールによりワークWを熱処理する手段であり、ワークW上に配置された機能液に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒーター1015の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0050】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド1001とワークWを支持するステージ1007とを相対的に走査しつつ、ワークWに対して、液滴吐出ヘッド1001の下面にX軸方向に配列された複数の吐出ノズルから液滴を吐出するようになっている。
【0051】
図4は、ピエゾ方式による機能液の吐出原理を説明する図である。図4において、機能液を収容する液体室1021に隣接してピエゾ素子1022が設置されている。液体室1021には、機能液を収容する材料タンクを含む液体材料供給系1023を介して機能液が供給される。ピエゾ素子1022は駆動回路1024に接続されており、この駆動回路1024を介してピエゾ素子1022に電圧を印加し、ピエゾ素子1022を変形させることにより、液体室1021が変形し、吐出ノズル1025から機能液が液滴Sとして吐出される。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子1022の歪み量が制御される。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子1022の歪み速度が制御される。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0052】
素子基板の製造方法の説明に戻り、図を参照しながら説明する。本実施形態にかかる素子基板の製造方法は、素子が形成された基板に対して、色材部を形成する色材部形成工程と、各色材部を透過した光を集光させるとともに、各色材部を透過した光の焦点距離が色材部毎に調整された集光レンズ部を形成する集光レンズ部形成工程と、を含むものである。以下、具体的に説明する。図5および図6は、素子基板の製造方法を示す工程図である。
【0053】
まず、アレイ基板110上に隔壁121を形成する。具体的には、図5(a)に示すように、例えば、アレイ基板110上に樹脂材料を成膜し、この膜において画素領域Pr,Pg,Pbと重なる部分を開口して、隔壁121を形成する。
【0054】
次いで、集光レンズ形成工程では、まず、図5(b)に示すように、液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド1001から集光レンズ部123の材料を含む機能液を液滴S1として吐出させ、隔壁121に囲まれる部分に、機能液123a’,123b’,123c’を塗布する。
【0055】
当該塗布工程では、各集光レンズ部123a,123b,123cに対する機能液の吐出量(塗布量)を調整する。本実施形態では、機能液123c’、 機能液123b’、 機能液123a’の順に塗布量が多くなるように液滴S1を吐出する。
【0056】
そして、塗布された機能液123a’,123b’,123c’を乾燥・焼成等して固化させる。これにより、図5(c)に示すように、それぞれに曲率が異なる集光レンズ部123a,123b,123cが形成される。本実施形態では、集光レンズ部123c、集光レンズ部123b、集光レンズ部123aの順に曲率が大きくなるように形成される。
【0057】
次いで、色材部形成工程では、まず、図6(d)に示すように、各集光レンズ部123a,123b,123cに向けて各色材部122R,122G,122Bの材料を含む機能液を液滴S2として吐出させ、機能液122R’,122G’,122B’を付着させる。
【0058】
その後、付着した機能液122R’,122G’,122B’を乾燥・焼成等して固化する。これにより、図6(e)に示すように、色材部122R,122G,122Bが形成される。
【0059】
次いで、各色材部122R,122G,122B上に画素電極113を形成する。なお、画素電極113の形成は、例えば、フォトリソグラフィ法やインクジェット法等を用いることができる。図7(a)は、フォトリソグラフィ法を用いて、画素電極113を形成する場合について示している。図7(a)に示すように、色材部122を形成した後に、コンタクトホール200を形成し、その後、画素電極113を成膜すればよい。また、図7(b)は、インクジェット法を用いて、画素電極113を形成する場合について示している。図7(b)に示すように、隔壁121の形成時において、隔壁121aと隔壁121bとの間にコンタクトホール200を形成しておき、画素電極113の材料を含む機能液を液滴として、色材部122とコンタクトホール200に向けて吐出する。そして、塗布した機能液を固化すればよい。
【0060】
次いで、図6(f)に示すように、画素電極113および隔壁121上に第1配向膜115を形成する。これにより、第1偏光板116を除いた素子基板11aが形成される。
【0061】
さらに、液晶表示装置1aの製造方法としては、上記素子基板11aの形成と別に、対向基板12を形成する。具体的には、透明基板120上に共通電極125を形成し、共通電極125上に第2配向膜126を形成する。次いで、素子基板11aの画素電極113と対向基板12の共通電極125とを対向配置させる。そして、素子基板11aと対向基板12とを位置合わせしつつ、素子基板11aの周縁部と対向基板12の周縁部とを貼り合せるとともに、素子基板11aと対向基板12との間に液晶材料を封入して液晶層13を形成する。また、透明基板119の外側に第1偏光板116を貼設し、透明基板120の外側に第2偏光板127を貼設することにより液晶表示装置1aが形成される(図2参照)。
【0062】
(電子機器の構成)
次に、電子機器の構成について説明する。なお、本実施形態では、電子機器としてのモバイル型パーソナルコンピューターの構成について説明する。図8は、電子機器としてのモバイル型パーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。モバイル型パーソナルコンピューター1100は、液晶表示装置1aと、キーボード1102を有する本体部1103等を備えている。なお、上記の電子機器は、本発明の電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、液晶表示装置1aは、他の電子機器として、携帯電話、携帯用オーディオ機器、PDA(Personal Digital Assistant)などにも適用することができる。
【0063】
従って、上記の第1実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0064】
各色材部122R,122G,122Bに向かって凸形状を有する集光レンズ部123a,123b,123cを形成した。そして、複数の色材部122R,122G,122Bのうち、透過光波長が長い色材部122Rに対応する集光レンズ部123aの曲率が、他の透過光波長の短い色材部122G,122Bに対応する集光レンズ部123b,123cの曲率よりも大きくなるように形成した。具体的には、色材部122B、色材部122G、色材部122Rの順にそれぞれの色材部122B,122G,122Rに対応する集光レンズ部123の曲率を大きくした。これにより、透過光波長が長い色材部122Rを透過した光の焦点距離を短くさせ、透過光波長の短い色材部122Bを透過した光の焦点距離を長くさせることが可能となり、例えば、液晶表示装置1aの表示面から各色材部122R,122G,122Bを透過した光の集光点CP1〜CP3の高さ(距離)を揃えることができる。これにより色バランスを向上させることができる。
【0065】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、液晶表示装置の基本的な構成、電子機器の構成については第1実施形態と同様なので説明を省略する(図1,8参照)。また、第1実施形態と同様な部材については、第1実施形態と同じ符号を付している。
【0066】
図9は、本実施形態にかかる液晶表示装置の要部断面図である。図9に示すように、液晶表示装置1bは、素子基板11bと、素子基板11bに対向配置された対向基板12と、素子基板11bと対向基板12との間に挟持された液晶層13を備えている。なお、対向基板12の構成および液晶層13等の構成は、第1実施形態と同様なので説明を省略し、第1実施形態の構成と異なる部分、すなわち、素子基板11bの構成について主に説明する。
【0067】
素子基板11bは、素子としての薄膜トランジスター(TFT)112が形成された基板としての透明基板119と、複数の色材部122R,122G,122Bと、各色材部122R,122G,122Bを透過した光を集光させるとともに、各色材部122R,122G,122Bを透過した光の焦点距離が色材部122R,122G,122B毎に調整された集光レンズ部123a,123b,123cを備えている。
【0068】
透明基板119は、ガラスや石英、プラスチック等からなる透明性を有した基板である。そして、透明基板119上に素子層111が形成されている。素子層111には、素子としての薄膜トランジスター(TFT)112や、走査線10a、データ線10b等の各種配線等が含まれている。なお、TFT112や各種配線は、光が遮光される遮光領域Dに対応する部分に設けることが好ましい。
【0069】
素子層111上には、遮光領域Dと重なる部分に隔壁121が設けられている。隔壁121には、画素領域Pr,Pg,Pbと重なる部分に開口が設けられている。すなわち、隔壁121は、画素領域Pr、Pg、Pbの各々を環状に囲んでいる。隔壁121は、例えば、黒色顔料等の遮光材料を含有したアクリル樹脂等からなり、ブラックマトリクスとして機能する。
【0070】
そして、画素領域Pr,Pg,Pbに対応する部分のそれぞれに、集光レンズ部123a,123b,123cが設けられている。本実施形態では、素子層111上に集光レンズ部123が設けられている。そして、集光レンズ部123a,123b,123cは、液晶層13に向かって凸形状を有している。集光レンズ部123a,123b,123cのそれぞれが、ほぼ同一の形状を成し、集光レンズ部123a,123b,123cの各曲率は、ほぼ同一である。また、集光レンズ部123a,123b,123cは、透光性を有する樹脂材料等から形成されている。
【0071】
集光レンズ部123a,123b,123c上に、色材部122R,122G,122Bが形成されている。すなわち、色材部122R,122G,122Bは、隔壁121に設けられた複数の開口内の各々に配置されており、隔壁121により仕切られている。色材部122R,122G,122Bは、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を透過させ、その他の波長帯域の色光を吸収する特性を有している。色材部122R,122G,122Bは、同じ屈折率を有する材料で形成されている。
【0072】
そして、素子基板11bは、複数の色材部のうち、透過光波長が長い色材部と集光レンズ部との屈折率の差が、透過光波長が短い色材部と集光レンズ部との差よりも大きくなるように構成されている。本実施形態にかかる素子基板11bは、複数の色材部122R,122G,122Bのうち、透過光波長が長い色材部に対応する集光レンズ部123aが、透過光波長の短い他の色材部に対応する集光レンズ部123b,123cよりも屈折率が高い材料で形成されている。本実施形態では、色材部122R,122G,122Bのうち、赤色光を透過させる色材部122Rが、最も透過光波長が長く、次いで、緑色光を透過させる色材部122Gが長く、青色光を透過させる色材部122Bが最も透過光波長が短い。従って、透過光波長が長い色材部122Rに対応する集光レンズ部123aが、透過光波長の短い色材部122G,122Bに対応する集光レンズ部123b,123cよりも屈折率が高い材料で形成されている。すなわち、色材部122Bに対応する集光レンズ部123c、色材部122Gに対応する集光レンズ部123b、色材部122Rに対応する集光レンズ部123aの順に屈折率が高い材料で形成されている。従って、色材部122Rと集光レンズ部123aとの屈折率の差が、色材部122Gと集光レンズ部123bとの屈折率の差及び色材部122Bと集光レンズ部123cとの屈折率の差よりも大きい。これにより、透過光波長が長い色材部122Rを透過する光が大きく屈折され、焦点距離を短くさせることができる。一方、透過光波長が短い色材部122Bを透過する光の屈折を小さくさせ、焦点距離を長くさせることができる。そして、各色材部122R,122G,122Bを透過して集光される距離が、透明基板120の面から等しくなるように各集光レンズ部123a,123b,123cの屈折率が調整されている。なお、各色材部122R,122G,122Bに対応する集光レンズ部123a,123b,123cの屈折率の設定方法は、特に限定されないが、例えば、色材部122Gに対応する集光レンズ部123bの屈折率を基準として、集光レンズ部123aの屈折率は、集光レンズ部123bの屈折率よりも大きく、集光レンズ部123cの屈折率は、集光レンズ部123bの屈折率よりも小さくなるように形成することができる。
【0073】
なお、本実施形態では、各色材部122R,122G,122Bの屈折率は、ほぼ同じに形成されているため、素子基板11bは、複数の色材部122R,122G,122Bのうち、透過光波長が長い色材部に対応する集光レンズ部123の屈折率と色材部の屈折率との差が、透過光波長の短い色材部に対応する集光レンズ部123の屈折率と色材部の屈折率との差よりも大きくなるように構成されている。具体的には、色材部122Rと集光レンズ部123aとの屈折率の差が最も大きく、次いで、色材部122Gと集光レンズ部123bとの屈折率の差が大きく、色材部122Bと集光レンズ部123cとの屈折率の差が最も小さくなるように形成されている。
【0074】
色材部122R,122G,122B上に画素電極113が形成されている。各画素電極113は、コンタクトホール200を介してTFT112と1対1の関係で電気的に接続されている。TFT112は、走査信号に基づいて画像信号をスイッチングし、画像信号が画素電極113に所定のタイミングで供給される。
【0075】
画素電極113と液晶層13との間には、第1配向膜115が設けられている。第1配向膜115は、例えばポリイミド等からなる膜にラビング処理等の配向処理を施したものであり、後述する第2配向膜126とともに液晶層13の配向状態を制御する。ここでは、液晶層13をネマティックツイスト配向(TN配向)させるように、第1配向膜115、第2配向膜126に配向処理がなされている。
【0076】
次に、液晶表示装置1bの集光状態について、図9を参照して説明する。液晶表示装置1bにおいて、照明光は、第1偏光板116を通って直線偏光(第1直線偏光と称する)になり液晶層13に入射する。画素領域Prに着目すると、画素電極113に画像信号が供給されていない状態で、液晶層13は電界非印加状態になっており複屈折性を発現している。電界非印加状態の液晶層13に入射した光は、位相変調されて第1直線偏光から90°回転した第2直線偏光になり、集光レンズ部123aに入射する。そして、光は集光レンズ部123aの面で屈折し、集光レンズ部123aを透過した光は色材部122Rに入射する。色材部122Rに入射した光は、赤色光以外の波長帯域の光が吸収され、色材部122Rから赤色光が射出される。色材部122Rから射出された赤色光は、振動方向が第2偏光板127の透過軸と略一致しており、第2偏光板127を透過して、画素領域Prが明表示(赤)となり、第2偏光板127を透過した光は、集光点CP1において集光される。
【0077】
画素領域Pg、Pbの集光状態についても、上記画素領域Prと同様であるが、各集光レンズ部123a,123b,123cは、各色材部122B、122G、122Rの順に透過光波長に対応して材料の屈折率が高く設定されているため、透過光波長の長い色材部122Rを透過する光は、相対的に屈折率の高い集光レンズ部123aによって大きく屈折され、透過光波長の短い色材部122Bを透過する光は、相対的に屈折率の低い集光レンズ部123cによって屈折が抑えられるため、透過光波長が異なる場合であっても、例えば、透明基板120から各色材部122R,122G,122Bを透過した光の集光点CP1〜CP3までの距離をほぼ等しくさせることができる。
【0078】
なお、上記の実施形態では、素子基板11b側から対向基板12に向けて照明光を当てたが、これに限定されない。例えば、対向基板12側から素子基板11b側に向けて照明光を当ててもよい。このようにしても、対向基板12に入射した光を、集光レンズ部123a,123b,123cにおいて屈折させ、集光させることができる。そして、透過光波長の長い色材部122Rを透過する光は、相対的に屈折率の高い集光レンズ部123aによって大きく屈折され、透過光波長の短い色材部122Bを透過する光は、相対的に屈折率の低い集光レンズ部123cによって屈折が抑えられるため、透過光波長が異なる場合であっても、素子基板11bを透過した光の集光点までの距離をほぼ等しくさせることができる。
【0079】
なお、画素電極113に画像信号が供給された状態については、第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0080】
(素子基板の製造方法)
次に、素子基板の製造方法について説明する。なお、素子基板の製造に用いる液滴吐出装置IJの構成については、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。図10は、本実施形態にかかる素子基板の製造方法を示す工程図である。
【0081】
まず、アレイ基板110上に隔壁121を形成する。具体的には、図10(a)に示すように、例えば、アレイ基板110上に樹脂材料を成膜し、この膜において画素領域Pr,Pg,Pbと重なる部分を開口して、隔壁121を形成する。
【0082】
次いで、集光レンズ部形成工程では、図10(b)に示すように、液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド1001から集光レンズ部123の材料を含む機能液を液滴S1として吐出させ、隔壁121に囲まれる部分に、機能液123a’,123b’,123c’を塗布する。当該塗布工程では、各色材部122R,122G,122Bに対して、それぞれ屈折率の異なる機能液を液滴として吐出する。本実施形態では、色材部122B,122G,122Rの順に屈折率が高い材料を含む機能液を液滴として吐出する。
【0083】
また、当該塗布工程では、各集光レンズ部123a,123b,123cに対する機能液の吐出量(塗布量)を調整する。本実施形態では、機能液123c’,123b’,機能液123a’の塗布量がほぼ同一になるように液滴S1を吐出する。
【0084】
そして、塗布された機能液123a’,123b’,123c’を乾燥・焼成等して固化させる。これにより、図10(c)に示すように、それぞれの曲率がほぼ同一となる集光レンズ部123a,123b,123cが形成されるとともに、それぞれ屈折率が異なる集光レンズ部123a,123b,123cが形成される。
【0085】
以降、色材部形成工程等を含む素子基板の製造方法は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。そして、以上の工程を経ることにより、素子基板11bが形成される。
【0086】
従って、上記の第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下に示す効果がある。
【0087】
複数の色材部122R,122G,122Bのうち、透過光波長が長い色材部122Rに対応する集光レンズ部123aを、他の透過光波長の短い色材部122G,122Bに対応する集光レンズ部123b,123cよりも屈折率が高い材料で形成した。具体的には、色材部122B、色材部122G、色材部122Rの順にそれぞれの色材部122R,122G,122Bに対応する集光レンズ部123の屈折率を高くした。これにより、透過光波長が長い色材部122Rを透過した光の焦点距離を短くさせ、透過光波長の短い色材部122Bを透過した光の焦点距離を長くさせることが可能となり、例えば、液晶表示装置1bの表示面から各色材部122R,122G,122Bを透過した光の各集光点CP1〜CP3の高さを揃えることができる。これにより、色バランスを向上させることができる。
【0088】
なお、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例が挙げられる。
【0089】
(変形例1)上記実施形態の素子基板11a,11bでは、アレイ基板110上に集光レンズ部123が形成され、集光レンズ部123上に色材部122が形成され、色材部122上に画素電極113が形成された積層構造を有したが、この構成に限定されない。例えば、図11(a)に示すように、素子が形成された基板としてのアレイ基板110上に形成された色材部122と、色材部122上に形成された集光レンズ部123と、集光レンズ部123上に形成された電極配線としての画素電極113と、を有した構成であってもよい。さらに、この構成において、集光レンズ部123の屈折率が、色材部122の屈折率よりも高く、かつ、画素電極113の屈折率よりも低い構成の素子基板であってもよい。このようにすれば、色材部122側から画素電極113側に光を透過させた場合に、各部材の界面における光の反射が低減され、透過率を向上させることができる。
【0090】
また、図11(b)に示すように、色材部122と集光レンズ部123との間に、各画素における素子基板11dと対向基板12との間の液晶層13のギャップを調整するギャップ層124を備えてもよい。この場合において、ギャップ層124の屈折率が、色材部122の屈折率よりも高く、かつ、集光レンズ部123の屈折率より低く設定される。或いは、ギャップ層124の屈折率が、色材部122の屈折率と同等に設定される。このようにすれば、コントラストを向上させることができるとともに、透過率を向上させることができる。
【0091】
(変形例2)上記実施形態における素子基板11a,11bおよび変形例1における素子基板11c,11dの他、図12に示す構成であってもよい。図12は、他の変形例にかかる素子基板の構成を示す要部断面図である。
【0092】
図12(a)に示すように、素子基板11eは、隔壁121によって区画された領域のアレイ基板110上に形成された集光レンズ部123と、集光レンズ部123上に形成された色材部122と、色材部122上に形成された画素電極113とを有する構成であってもよい。ここで、集光レンズ部123は、アレイ基板110側に凹形状を有している。
【0093】
また、図12(b)に示すように、素子基板11fは、隔壁121によって区画された領域のアレイ基板110上に形成された色材部122と、色材部122上に形成された集光レンズ部123と、集光レンズ部123上に形成された画素電極113とを有する構成であってもよい。ここで、集光レンズ部123は、画素電極113側に凹形状を有している。
【0094】
また、図12(c)に示すように、素子基板11gは、隔壁121によって区画された領域のアレイ基板110上に形成された集光レンズ部123と、集光レンズ部123上に形成されたギャップ層124と、ギャップ層124上に形成された色材部122と、色材部122上に形成された画素電極113とを有する構成であってもよい。ここで、集光レンズ部123は、アレイ基板110側に凹形状を有している。
【0095】
また、図12(d)に示すように、素子基板11hは、隔壁121によって区画された領域のアレイ基板110上に形成された集光レンズ部123と、集光レンズ部123上に形成されたギャップ層124と、ギャップ層124上に形成された色材部122と、色材部122上に形成された画素電極113とを有する構成であってもよい。ここで、集光レンズ部123は、画素電極113側に凸形状を有している。
【0096】
また、図12(e)に示すように、素子基板11iは、隔壁121によって区画された領域のアレイ基板110上に形成された色材部122と、色材部122上に形成されたギャップ層124と、ギャップ層124上に形成された集光レンズ部123と、集光レンズ部123上に形成された画素電極113とを有する構成であってもよい。ここで、集光レンズ部123は、画素電極113側に向けて凹形状を有している。上記の図12(a)〜(h)ように構成しても、上記同様の効果を得ることができる。
【0097】
(変形例3)上記第1および第2実施形態、さらに、変形例1および変形例2にかかる素子基板11の構成を任意に組み合わせて液晶表示装置1a,1b等に適用してもよい。このようにすれば、設計の自由度を高めることができる。
【0098】
(変形例4)第2実施形態では、各色材部122R,122G,122Bの屈折率を固定し、各色材部122R,122G,122Bに対応する各集光レンズ部123a,123b,123cの屈折率を異ならせたが、これに限定されない。例えば、各集光レンズ部123a,123b,123cの屈折率を固定し、各集光レンズ部123a,123b,123cに対応する各色材部122R,122G,122Bの屈折率を異ならせてもよい。このようにしても上記同様の効果をうることができる。
【0099】
(変形例5)上記実施形態では、3種類の色材部122R,122G、122Bを例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、色材部122が、1または2種類であってもよいし、4種類以上あってもよい。このような場合であっても、色材部122の透過光波長に応じて、集光レンズ部123を構成すればよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【0100】
(変形例6)上記実施形態において説明した液晶層13は、VA配向等のTN配向以外の配向のものであってもよいし、横電界により駆動されるものでもよい。液晶層の配向性や駆動方法を変更する場合には、電極配置や配向膜の特性、偏光板の特性等も適宜変更すればよい。また、透過型の液晶装置の他にも、反射型、あるいは半透過半反射型の液晶表示装置としてもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0101】
1(1a,1b)…液晶表示装置、11(11a〜11i)…素子基板、12…対向基板、13…液晶層、113…画素電極、119…基板としての透明基板、120…基板としての透明基板、110…アレイ基板、122(122R,122G,122B)…色材部、123(123a,123b,123c)…集光レンズ部、124…ギャップ層、1001…液滴吐出ヘッド、1100…電子機器としてのモバイル型パーソナルコンピューター、IJ…液滴吐出装置、CP1〜CP3…集光点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子が形成された基板と、
複数の色材部と、
各前記色材部を透過した光を集光させるとともに、各前記色材部を透過した光の焦点距離が前記色材部毎に調整された集光レンズ部と、を備えたことを特徴とする素子基板。
【請求項2】
請求項1に記載の素子基板において、
前記複数の色材部のうち、透過光波長が長い前記色材部に対応する前記集光レンズ部の曲率が、透過光波長の短い前記色材部に対応する前記集光レンズ部の曲率よりも大きいことを特徴とする素子基板。
【請求項3】
請求項1に記載の素子基板において、
前記複数の色材部のうち、
透過光波長が長い前記色材部と前記集光レンズ部との屈折率の差が、透過光波長が短い前記色材部と前記集光レンズ部との差よりも大きいことを特徴とする素子基板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の素子基板において、
前記素子が形成された前記基板上に形成された前記色材部と、
前記色材部上に形成された前記集光レンズ部と、
前記集光レンズ部上に形成された電極配線と、を有し、
前記集光レンズ部の屈折率が、前記色材部の屈折率よりも高く、かつ、前記電極配線の屈折率よりも低いことを特徴とする素子基板。
【請求項5】
素子が形成された基板に対して、
色材部を形成する色材部形成工程と、
各前記色材部を透過した光を集光させるとともに、各前記色材部を透過した光の焦点距離が前記色材部毎に調整された集光レンズ部を形成する集光レンズ部形成工程と、を含むことを特徴とする素子基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の素子基板、または、請求項5に記載の素子基板の製造方法によって製造された素子基板を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液晶表示装置を搭載したことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−247595(P2012−247595A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118783(P2011−118783)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】