説明

紫外線ランプ、紫外線ランプユニット及び紫外線ランプ装置

【課題】小形化が可能であるとともに、高い紫外線照度を確保し得る紫外線ランプ、紫外線ランプユニット及びこれらを用いた紫外線ランプ装置を提供する。
【解決手段】本発明は、軸方向へ互いに略平行に延出する直管部1cを有して中間部1aが屈曲されるとともに、両端部に熱陰極形の一対の電極2a、2bが封止されて封止部4が形成され、管外径の寸法Dがφ5mm〜φ8mmであって、前記封止部4から軸方向の端部までの全長の寸法Lが35mm〜60mm、軸方向と直交する方向の幅寸法Wが12mm〜18mmに形成された紫外線透過性のバルブ1と、このバルブ1内に封入された水銀及び希ガスを含む放電媒体とを備える紫外線ランプである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線ランプ、紫外線ランプユニット及びこれらを用いた紫外線ランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線ランプとして例えば、波長253.7nmの紫外線を発生する紫外線殺菌ランプを用いて行う殺菌は、使用方法が簡単で、塩素や塩素化合物による殺菌のようにダイオキシン等の有害物を発生する危険性がなく、安全性の高い殺菌方法として利用が進んでいる。
【0003】
これらの場合、小形機器に搭載されて使用される小形形状の殺菌ランプの需要が増加してきており、機器の小形化に伴い殺菌ランプの小形化が要請され、また、同時に紫外線殺菌出力の増大も要求されている。
【0004】
従来、このような殺菌ランプにおいては、直管形の蛍光ランプと同様に、直管状のガラスバルブの両端に一対の電極を対向して設け、この電極間の放電により紫外線を発生させるものが知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
また、電球形の小形の殺菌ランプが製品化されている。この殺菌ランプは、全長が60mm〜65mm、バルブ径がφ15mm〜φ20mm程度のサイズに設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−31976号公報
【特許文献2】特開2003−157802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一般的に、短時間で殺菌能力を発揮するためには、紫外線照度は、150μW/cm以上必要であり、これを達成するには、殺菌ランプの放電路長を長くして大きなランプ電力を投入しなければならない。したがって、殺菌ランプの大形化を招来するという課題が発生する。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、小形化が可能であるとともに、高い紫外線照度を確保し得る紫外線ランプ、紫外線ランプユニット及びこれらを用いた紫外線ランプ装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の紫外線ランプは、軸方向へ互いに略平行に延出する直管部を有して中間部が屈曲されるとともに、両端部に熱陰極形の一対の電極が封止されて封止部が形成され、管外径の寸法がφ5mm〜φ8mmであって、前記封止部から軸方向の端部までの全長の寸法が35mm〜60mm、軸方向と直交する方向の幅寸法が12mm〜18mmに形成された紫外線透過性のバルブと、このバルブ内に封入された水銀及び希ガスを含む放電媒体と を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小形化が可能であるとともに、高い紫外線照度を確保し、高密度の紫外線出力を得ることができる紫外線ランプ、紫外線ランプユニット及びこれらを用いた紫外線ランプ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る紫外線ランプとしての殺菌ランプを示す正面図である。
【図2】測定試料としての各殺菌ランプを示す正面図である。
【図3】測定試料としての各殺菌ランプの放電路長(アーク長)と紫外線照度(UV照度)との関係を示すグラフである。
【図4】同アーク長と紫外線効率との関係を示すグラフである。
【図5】同バルブ体積と紫外線照度との関係を示すグラフである。
【図6】同紫外線効率と紫外線密度との関係を示すグラフである。
【図7】同管径と紫外線効率との関係を示すグラフである。
【図8】殺菌ランプの結線状態を示す結線図である。
【図9】同殺菌ランプの結線状態を示す結線図である。
【図10】同じく、殺菌ランプの結線状態を示す結線図である。
【図11】ランプ電力と紫外線照度との関係を示すグラフである。
【図12】同じく、ランプ電力と紫外線照度との関係を示すグラフである。
【図13】本発明の第2の実施形態(実施例1)において、バルブの端部に設けられた接続部を示す正面図である。
【図14】同(実施例2)において、バルブの端部に設けられた接続部を示す正面図である。
【図15】同じく、(実施例3)において、バルブの端部に設けられた接続部を示す正面図である。
【図16】同じく、(実施例4)において、バルブの端部に設けられた接続部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第1の実施形態について図1乃至図10を参照して説明する。図1は、紫外線ランプとしての殺菌ランプを示す正面図、図2は、測定試料としての殺菌ランプを示す正面図、図3は、各殺菌ランプの放電路長(アーク長)と紫外線照度(UV照度)との関係を示すグラフ、図4は、各殺菌ランプのアーク長と紫外線効率との関係を示すグラフ、図5は、各殺菌ランプのバルブ体積と紫外線照度との関係を示すグラフ、図6は、各殺菌ランプの紫外線効率と紫外線密度との関係を示すグラフ、図7は、バルブの管径と紫外線効率との関係を示すグラフ、図8乃至図10は、殺菌ランプの結線状態を示す結線図、図11及び図12は、ランプ電力と紫外線照度との関係を示すグラフである。
【0013】
図1において、紫外線ランプとしての殺菌ランプは、気密性のバルブ1と、このバルブ1内の両端部に封装された一対の電極2a、2bと、この電極2a、2bに接続され外部に導出されたリード部材3a、3bとを備えている。
【0014】
バルブ1は、管外径の寸法Dがφ5mm〜φ8mmの透明ガラス製の断面略円筒状の管体が、中間部1aで屈曲されて湾曲した頂部1bを有する略U字状に形成されている。すなわち、バルブ1は、管状をなし、軸方向へ互いに略平行に延出する直管部1cを有して中間部1aが屈曲されて略U字形に連続して形成されたU字形屈曲バルブである。
【0015】
バルブ1の両端部は、ピンチシールによって封止され、封止部4が形成されて気密空間を有している。このバルブ1は、例えば、波長300nm以下の紫外線を透過する紫外線透過材料である石英ガラスを用いて形成されている。なお、バルブ1は、紫外線透過材料であれば、軟質系のソーダライムガラスや硬質系のホウケイ酸ガラス等を用いることができる。
【0016】
封止部4の中央部には、封止切りによってチップオフされた円筒状の細管、すなわち、排気管5が突出している。この排気管5は、ランプの製造過程で希ガスが封入されて置換された後に、溶断することによって封止される。
【0017】
バルブ1の気密空間内には、放電媒体として水銀及び希ガスが封入されている。水銀は、純水銀の形又はアマルガムの形で封入することができる。また、希ガスには、アルゴンを主体としたものが用いられているが、ネオン、クリプトンやキセノン又はこれらの混合ガスを用いることができる。この希ガスは、200Pa〜1300Paの圧力で封入されている。
【0018】
一対の電極2a、2bは、熱陰極形であり、タングステン製の2重コイル状のフィラメント電極である。この電極2a、2bには、電子放射物質、例えば、バリウム、ストロンチウム、カルシウムを主体とする酸化物が塗布されている。そして、これら一対の電極2a、2bは、ガラスステム6によって保持された各一対のリード部材3a、3bの内端間に接続され支持されている。
【0019】
リード部材3a、3bは、内部導入線部3iと、封着導体部3sと、外部導出線部3oとから構成されており、内部導入線部3iは、バルブ1の気密空間内に延在していて先端部に電極2a、2bが継線されている。封着導体部3sは、封止部4に気密に封着され、外部導出線部3oは、封止部4から外部に導出されており、図示しない点灯回路に接続されるようになっている。これら内部導入線部3i、封着導体部3s、外部導出線部3oは、同一の導電性材料によって一体的に構成してもよいし、また、例えば、封着導体部3sには、ジュメット線等の封着性の良好な材質の導体を格別に用いるようにしてもよい。
【0020】
このように形成されたバルブ1は、管外径の寸法Dがφ5mm〜φ8mmであって、封止部4から軸方向の端部、すなわち、頂部1bまでの全長の寸法Lが35mm〜60mmに形成され、軸方向と直交する方向の幅寸法Wが12mm〜18mmに形成されている。また、一対の電極2a、2b間で形成される放電路長(アーク長)は、50mm〜100mmとなっている。
【0021】
本実施形態の殺菌ランプにおいては、具体的に、管外径の寸法Dがφ7mm、封止部4から軸方向の端部までの全長の寸法Lが51mm、軸方向と直交する方向の幅寸法Wが17mmに形成されている。また、放電路長は、66mmに形成されている。
【0022】
以上のような本実施形態の殺菌ランプによれば、小形化が可能であるとともに、高い紫外線照度を確保し、高密度の紫外線出力を得ることができ、小形化に最適な管径、形状を実現することができる。
次に、上記のような殺菌ランプの設計に至った根拠について、図2乃至図7に示す測定及び調査分析結果を参照して説明する。
まず、図2に示すように、(A)〜(I)までの9種類の各種形態、サイズの殺菌ランプを試料として用意した。これら試料の概要を順次説明する。
【0023】
(A)、(B)及び(C)タイプは、小形の電球形のランプであり、略円筒状の透明のガラスバルブb内に、リード部材lをステムsに封着し、このリード部材lに一対の電極としてのコイル状フィラメントfがV字状をなすように接続されている。また、リード部材lは、E17口金cに接続されている。
【0024】
このようなタイプのランプにおいて、全長L(口金c端部からバルブb端部)が60mm〜65mm、管外径の寸法Dがφ15mm〜φ20mmの寸法の範囲内で、寸法の異なる(A)、(B)及び(C)の3種類のものを用意した。
【0025】
(D)タイプは、略円筒状の透明のガラスバルブb内に、一対のコイル状フィラメントfを軸方向にフィラメントf間の距離を空けて対向して配置したものである。全長Lは、43mmであり、管外径の寸法Dは、φ12mmである。
【0026】
(E)タイプは、直管状のバルブbの両端部に対向してコイル状フィラメントfが配置されているものである。全長Lは、83mmであり、管外径の寸法Dは、φ12mmである。
【0027】
(F)タイプは、端子ピンが突設された口金cに、U字形屈曲バルブbを立設するように設けたものである。また、バルブbの両端部にコイル状フィラメントfが配置されている。全長Lは、55mm、管外径の寸法Dは、φ12mmであり、軸方向と直交する方向の幅寸法Wは、27mmである。
(G)タイプは、上記本実施形態の殺菌ランプである。
【0028】
(H)タイプは、本体uの一端側にE17口金cが配設され、他端側に(G)タイプと同様なバルブbを2本並設するように配置したものである。また、本体uには、点灯回路が内蔵されている。全長Lは、92mm、管外径の寸法Dは、φ7mmであり、側面視における幅寸法W1は、16mmである。
【0029】
(I)タイプは、本体uの一端側にE14口金cが配設され、他端側に螺旋状に巻回されたバルブbが配設されたものである。また、バルブbの両端部には、図示しないコイル状フィラメントfが配置され、本体uには、点灯回路が内蔵されている。全長Lは、84mm、管外径の寸法Dは、φ7mmであり、幅寸法Wは、30mmである。
【0030】
以上のような(A)〜(I)の殺菌ランプは、点灯回路を介して電力が供給されることにより、放電し点灯する。これら(A)〜(I)の殺菌ランプの放電方式は、電極間距離の狭い(A)〜(D)は、グロー・アーク放電であり、(E)〜(I)は、アーク放電となる。
【0031】
次に、図3乃至図6を参照して(A)〜(I)の殺菌ランプについて、これらランプを50mA〜150mAの電流で点灯し、紫外線照度(UV照度)(μW/cm)を測定し調査分析した結果を説明する。この紫外線照度(UV照度)は、バルブb表面から20cm離れた距離で測定した値である。
【0032】
まず、図3は、放電路長(アーク長)と紫外線照度(UV照度)との関係を示している。図中、横軸は、電極間で形成されるアーク長(mm)を示し、縦軸は、UV照度(μW/cm)を示している。例えば、アーク長が約3mm〜5mmのアーク長が短い(A)〜(D)のランプは、UV照度が低く、アーク長が約250mmのアーク長が長い(I)のランプは、UV照度が高い。
【0033】
したがって、アーク長が長い方がUV照度が高くなる傾向となり、UV照度は、アーク長に依存していることが分かる。また、有効な殺菌能力を発揮するためには、UV照度が150μW/cm以上必要であることからすると、少なくともアーク長は、50mm以上を確保する必要がある。
【0034】
しかしながら、アーク長は、バルブbの外形に依存し、アーク長を長くすると、バルブbの外形が大きくなり、ランプが大形化してしまうこととなり、小形化の実現が困難となる。
【0035】
次に、図4に示すように、放電路長(アーク長)と紫外線効率(UV効率)との関係を調べた。ここで、UV効率(μW/WL)は、単位ランプ出力(W)あたりのUV照度(μW/cm)を示した値である。図中、横軸は、アーク長(mm)を示し、縦軸は、UV効率(μW/WL)を示している。
【0036】
アーク長が長くなるほどUV効率が上昇する傾向となるが、バルブbの形態にも依存し、管外径の寸法Dがφ7mmの(G)のランプが最もUV効率が良好であることが分かる。
【0037】
例えば、(H)及び(I)のランプにおいては、アーク長は長いが、それに応じてUV効率が上昇していない。これは、(H)及び(I)のランプでは、形状損失が発生し、つまり、バルブbの内側に向かう光が相互に干渉して外方に放射されず、ロスが発生しているものと考えられる。
【0038】
続いて、図5に示すように、ランプの小形化のもう一つのファクターであるバルブ体積と紫外線照度(UV照度)との関係を調べた。バルブ体積は、バルブbの外形上において占める体積である。図中、横軸は、バルブ体積(cm)を示し、縦軸は、UV照度(μW/cm)を示している。
【0039】
(A)〜(D)のランプでは、バルブ体積を大きくしてもUV照度は、50μW/cm程度を超えることができない。また、管外径の寸法Dがφ12mmの(E)及び(F)のランプの場合もバルブ体積を大きくしてもUV照度は、120μW/cm程度を超えることができない。
【0040】
これに対し、管外径の寸法Dがφ7mmの(G)、(H)及び(I)のランプの場合では、バルブ体積が10cm以下であっても200μW/cmの高照度を達成することが可能となる。
【0041】
次に、図6に示すように、紫外線効率(UV効率)と紫外線密度(UV密度)との関係を調べた。この場合、高密度のUV照度を表すために、UV照度をバルブ体積で除して「UV密度」として表現することができる。図中、横軸は、UV効率(μW/WL)を示し、縦軸は、UV密度(μW/cm)を示している。
【0042】
小形で高照度のランプほどUV密度が高いといえる。グラフから明らかなように、本実施形態の(G)のランプが最もUV効率が高く、かつUV密度も最も高いことが分かる。
【0043】
さらに、図7に示すように、管外径の寸法Dと紫外線効率(UV効率)との関係を調査した。ここでは、管外径の寸法Dが異なる6種類の直管状のバルブを有する殺菌ランプを試料としている。直管状のバルブの両端部には、コイル状フィラメントが配置されている。管外径の寸法Dは、φ3mm、φ5mm、φ7mm、φ10mm、φ12.5mm、φ15.5mmの6種類であり、各全長Lは、100mmである。これらランプにランプ電流100mAの一定電流を流して点灯した。
【0044】
図中、横軸は、管外径の寸法D(mm)を示し、縦軸は、紫外線効率(UV効率)(%)を示している。UV効率は、管外径の寸法Dがφ7mmのランプを100とし場合の値である。グラフに示されるように、管外径の寸法Dがφ7mm前後にUV効率が最適な領域があり、これにより管外径の寸法Dがφ5mm〜φ8mmの範囲が好適な値であることが分かる。
【0045】
以上の測定及び調査分析結果を総合すると、小形化できるとともに、高い紫外線照度を確保し得、高紫外線効率、高紫外線密度の出力を達成するに最適なバルブの形状及び寸法は、前記(G)タイプの殺菌ランプであり、管外径の寸法Dがφ5mm〜φ8mmであって、封止部から軸方向の端部までの全長の寸法Lが35mm〜60mmに形成され、軸方向と直交する方向の幅寸法Wが12mm〜18mmに形成されるバルブとなる。
【0046】
次に、図8乃至図10を参照して本実施形態における殺菌ランプの結線状態について説明する。図8は、殺菌ランプが接続された点灯回路を示し、図9は、グロースタータ方式の点灯回路を示し、図10は、高周波点灯方式の点灯回路を示している。
【0047】
図8において、殺菌ランプは、点灯回路10に接続されている。具体的には、電源ACに安定器11を介して一対の電極2a、2bが直列に接続されるように結線され、殺菌ランプと点灯回路10とで殺菌ランプユニットが構成されている。ここで、電源AC側と殺菌ランプのリード部材3a、3b、つまり、外部導出線部3oとの接続は、適宜ソケット等を適用して行うことができきる。
【0048】
このように構成された殺菌ランプユニットに電源ACをスイッチSWを操作して投入すると、リード部材3a、3bを通じて電極2a、2bに電流が流れて発熱し予熱され、熱電子が放出され、電極2a、2b間にアーク放電が生成されて点灯する。そして、この放電により紫外線が発生し、紫外線は、バルブ1を透過して外部に放射される。
【0049】
図9において、殺菌ランプユニットは、殺菌ランプと、この殺菌ランプが接続され、これを点灯制御する 点灯回路10とを備えている。点灯回路10は、安定器11、点灯管12を備えており、殺菌ランプをグロースタータ方式で点灯制御するものである。図に示すように、電源AC及び点灯管12は、電極2a、電極2bに接続されている。点灯管12は、例えば、バイメタルからなる可動電極12a及び固定電極12bを備えており、点灯管12の両端には雑音防止用のコンデンサ13が接続されている。
【0050】
このように構成された殺菌ランプユニットの動作を説明する。スイッチSWを操作して電源ACを投入すると、点灯管12がグロー放電して可動電極12aの温度が上がり、可動電極12aが固定電極12bに接触する。これによりグロー放電が止まり、電極2a、2bに通電され電流が多く流れて発熱し予熱される。そして、グロー放電が止まると可動電極12aは冷却され固定電極12bから離れる瞬間、安定器のインダクタンスによるパルス電圧が電極2a、2b間に印加され、電極2a、2b間にアーク放電が生成され、ランプが点灯し、前記予熱が停止される。このような動作において、主として点灯管12は、電極2a、2bへの通電を遮断して予熱を停止する予熱停止手段としての機能を有するものである。
【0051】
したがって、ランプ点灯後、電極2a、2bの予熱が予熱停止手段により停止されるため、ランプの温度上昇が抑制され、また、電力損失が少なくなり、ランプの小形化に有利となる。なお、ランプ点灯後、予熱を停止する予熱停止手段とは、その時間的な前後は厳密なものではない。例えば、ランプの点灯と予熱の停止が同時的に行われる場合をも許容する。
【0052】
図10において、殺菌ランプユニットは、殺菌ランプと、この殺菌ランプが接続され、これを点灯制御する高周波点灯回路10とを備えている。点灯回路10は、フィルタ回路15、整流平滑回路16、インバータによる高周波変換回路17及びランプ点灯回路18とから構成されており、ランプ点灯回路18にはランプの電極2a、2bが接続されるようになっている。フィルタ回路15は、商用交流電源ACに接続され、ノイズによる機器の誤動作や他の機器への障害を防止する機能をなし、整流平滑回路16は、商用交流を整流平滑し、高周波変換回路17は、直流を20KHz〜100KHzの高周波に変換し、この高周波を点灯周波数としてランプ点灯回路18に供給する。ランプ点灯回路18は、ランプの始動、点灯維持機能を有する。
【0053】
また、ランプ点灯回路18には、正温度特性抵抗素子や負温度特性抵抗素子が実装されていて予熱停止手段の機能を有するように構成されている。この場合も効率が良好でランプの小形化の実現に有利となる。
【0054】
次に、図11及び図12において、殺菌ランプのランプ電力と紫外線照度(UV照度)との関係を示している。図11は、点灯回路に鉄心形安定器を用いたものであり、図12は、点灯回路に電子回路(高周波点灯回路)を用いたものである。図中、横軸は、ランプ電力(W)を示し、縦軸は、UV照度(μW/cm)を示している。
【0055】
図11及び図12に示すいずれの場合であってもランプ電力を上げれば、UV照度も上昇する。また、いずれの場合であっても2W〜3Wの低電力の投入で、有効な殺菌能力を発揮する150μW/cm以上の紫外線照度が得られることが確認できた。
【0056】
次に、第2の実施形態について図13乃至図16を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には、同一符号を付し重複した説明は省略する。
本実施形態では、バルブ1の端部に口金等の接続部8を設けて電極2a、2bに通電する各種形態を示している。
(実施例1)
【0057】
図13に示すように、接続部8として略直方体形状に形成された口金が設けられている。この口金からは、電極2a、2bに接続された4本の端子ピンが並設するように突出して設けられている。したがって、口金を図示しないソケットを介して点灯回路に接続することによりランプの点灯が可能となる。
(実施例2)
【0058】
図14に示すように、接続部8として略楕円筒状に形成された口金が設けられている。この口金からは、電極2a、2bに接続された4本の端子ピンが突出して設けられている。なお、端子ピンは、図示上、前後2本が重なるように配置されている。実施例1と同様に、口金を図示しないソケットを介して点灯回路に接続することによりランプの点灯が可能となる
(実施例3)
【0059】
図15に示すように、接続部8は、略直方体形状に形成されており、この接続部8からは、電極2a、2bに接続されたリード部材3a、3bが導出されている。
したがって、このリード部材3a、3bを点灯回路に接続することによりランプの点灯が可能となる。
(実施例4)
【0060】
図16に示すように、接続部8は、バルブ1の各端部に設けられている。接続部8は、例えば、シリコーンゴム等の材料によって略円筒のキャップ状に形成されており、この接続部8からは、電極2a、2bに接続されたリード部材3a、3bが導出されている。
したがって、実施例3と同様に、このリード部材3a、3bを点灯回路に接続することによりランプの点灯が可能となる。
【0061】
なお、上記図8乃至図10にて説明した点灯回路10を例えば、接続部8内に内蔵させるようにし、点灯回路10をランプに一体的に組込むように構成することができる。また、点灯回路10をランプに一体的に組込むように構成できれば、その構成は、格別限定されるものではない。
【0062】
次に、図示は省略するが、本発明の実施形態に係る紫外線ランプ装置として殺菌装置について説明する。前記殺菌ランプは、歯ブラシ殺菌装置、靴殺菌装置や水殺菌装置等の各種殺菌装置に適用可能である。
【0063】
この場合、殺菌ランプは、小形化されているため、殺菌装置の小形化を図ることができ、また、有効な殺菌効果を発揮できる殺菌装置を提供することが可能となる。
【0064】
なお、本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、紫外線ランプとしては、殺菌ランプに限らず、宝石、鉱石等の各種鑑別、文書の偽造発見、舞台や看板の照明に用いられる400nm以下の波長の紫外線を放射するブラックライトに適用可能である。
【0065】
また、殺菌装置としては、紫外線を照射することによって生じる殺菌作用を利用するように構成されたあらゆる装置を含むものである。歯ブラシ殺菌装置、靴殺菌装置、水殺菌装置等に限らず、例えば、冷蔵庫に殺菌ランプ及びその点灯回路を内蔵することにより構成される庫内冷蔵食品の殺菌装置やエアコンに内蔵されることによって循環空気を殺菌する殺菌装置が含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・バルブ
1a・・・中間部
1c・・・直管部
2a、2b・・・電極
3a、3b・・・リード部材
4・・・封止部
10・・・点灯回路
D・・・管外径の寸法
L・・・全長の寸法
W・・・幅寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向へ互いに略平行に延出する直管部を有して中間部が屈曲されるとともに、両端部に熱陰極形の一対の電極が封止されて封止部が形成され、管外径の寸法がφ5mm〜φ8mmであって、前記封止部から軸方向の端部までの全長の寸法が35mm〜60mm、軸方向と直交する方向の幅寸法が12mm〜18mmに形成された紫外線透過性のバルブと、
このバルブ内に封入された水銀及び希ガスを含む放電媒体と、
を具備することを特徴とする紫外線ランプ。
【請求項2】
前記バルブの両端部における電極間の放電路長は、50mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線ランプ。
【請求項3】
前記バルブの端部には、口金が一体的に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紫外線ランプ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の紫外線ランプと、
この紫外線ランプに接続されて、紫外線ランプを点灯制御する点灯回路と、
前記紫外線ランプの一対の電極に通電して予熱し、ランプ点灯後、この通電を遮断して予熱を停止する予熱停止手段と、
を具備することを特徴とする紫外線ランプユニット。
【請求項5】
前記点灯回路は、点灯周波数が20KHz〜100KHzの高周波点灯回路であることを特徴とする請求項4に記載の紫外線ランプユニット。
【請求項6】
前記点灯回路が一体的に組込まれている特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の紫外線ランプ。
【請求項7】
装置本体と、
この装置本体に配設された請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の紫外線ランプと、
を具備することを特徴とする紫外線ランプ装置。
【請求項8】
装置本体と、
この装置本体に配設された請求項4又は請求項5に記載の紫外線ランプユニットと、
を具備することを特徴とする紫外線ランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−227073(P2012−227073A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95644(P2011−95644)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(594094146)三共電気株式会社 (3)
【Fターム(参考)】