説明

紫外線処理装置

【課題】透過率計を用いることなく紫外線ランプの出力低下、及び被処理流体の透過率変化を検出できる紫外線処理装置を提供すること。
【解決手段】被処理水が流通する処理槽2に紫外線ランプ8を納め、当該紫外線ランプ8の紫外線で被処理水を処理する紫外線処理装置1において、前記処理槽2に前記紫外線ランプ8の紫外線を透過する透過窓18を設け、当該透過窓18の前方に紫外線照度を検出する紫外線モニタ22を設け、前記透過窓18と前記紫外線モニタ22の間に、前記被処理水と基準用水としての精製水を選択的に通水し、被処理水及び基準用水のそれぞれを通水したときの各紫外線照度Ia、Ibに基づいて前記被処理水の紫外線減衰率αを求め、当該紫外線減衰率αと前記紫外線照度Ia又はIbとに基づいて紫外線ランプ8の出力低下を検出する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水等の殺菌に用いて好適な紫外線処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被処理水が流通する筒状の処理槽に、該被処理水の流れに沿って延びる管状の紫外線ランプを設置し、殺菌などを行う流水処理用の紫外線照射装置が知られている。係る紫外線照射装置は、浄水場に設置されて原水の浄水処理や各種工業用水の処理に好適に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
この種の紫外線照射装置では、被処理水の紫外線透過率を透過率計を用いて測定して水質の変化を常に監視し、水質の変化に応じてランプ照度や流量の制御を行って、必要な殺菌率を常に確保する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−21434号公報
【特許文献2】特開2001−47040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紫外線ランプの出力低下を検出する場合、紫外線ランプの紫外線照度を検出する紫外線モニタを備える必要がある。また、紫外線照度の低下の要因には、紫外線ランプの出力低下以外にも、被処理水の水質変化による透過率低下が考えられることから、上記透過率計を併用する必要がある。しかしながら、一般に、透過率計は高価であることから、当該透過率計及び紫外線モニタを組み込むと装置コストが増大する、という問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、透過率計を用いることなく紫外線ランプの出力低下、及び被処理流体の透過率変化を検出することができる紫外線処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、被処理流体が流通する処理槽に紫外線ランプを納め、当該紫外線ランプの紫外線で被処理流体を処理する紫外線処理装置において、前記処理槽に前記紫外線ランプの紫外線を透過する透過窓を設け、当該透過窓の前方に紫外線照度を検出する紫外線照度検出手段を設け、前記透過窓と前記紫外線照射検出手段との間に、前記被処理流体と基準用流体とを選択的に流通させる流体流通手段を設け、該流体流通手段に被処理流体及び基準用流体のそれぞれを流通させたときの各紫外線照度に基づいて前記被処理流体の紫外線減衰率を求め、当該紫外線減衰率と前記紫外線照度とに基づいて紫外線ランプの出力低下を検出することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記紫外線処理装置において、前記紫外線減衰率と前記紫外線照度の検出値から求まる前記紫外線ランプの紫外線照度が基準照度を下まわった場合に警告を出力することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記紫外線処理装置において、前記処理槽の被処理流体の流量を検出する流量検出手段を備え、前記流量、前記紫外線減衰率、及び、前記紫外線減衰率と前記紫外線照度の検出値から求まる前記紫外線ランプの紫外線照度のそれぞれごとの紫外線照射量との各相関から求まる値に基づいて紫外線照射量を算出することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記紫外線処理装置において、前記紫外線照射量が基準値を下まわった場合に警告を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透過窓と紫外線照射検出手段との間に、被処理流体と基準用流体とを選択的に流通させる流体流通手段を設け、そこに被処理流体及び基準用流体のそれぞれを流通させたときの各紫外線照度に基づいて被処理流体の紫外線減衰率を求め、当該紫外線減衰率と紫外線照度とに基づいて紫外線ランプの出力低下を検出する構成を備える。この構成により、透過率計を用いることなく紫外線ランプの出力低下を検出することができる。また紫外線減衰率の変化から被処理流体の透過率変化を検出することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る紫外線処理装置の構成を示す図である。
【図2】紫外線モニタシステムの構成を模式的に示す図である。
【図3】紫外線減衰率の算出を説明するための図である。
【図4】紫外線照射量及び紫外線ランプ出力低下を検出する紫外線モニタリング処理のフローチャートである。
【図5】本発明の変形例に係る紫外線処理装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明に係る紫外線殺菌装置の一態様として、浄水場に設けられ、浄水処理後の水を殺菌対象物の被処理水として殺菌(消毒)を行い、耐塩素性病原微生物を不活性化する流水殺菌装置を説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る紫外線処理装置1の構成を示す模式図である。
紫外線処理装置1は、図1に示すように、筐体を構成する円筒状の処理槽2と、この処理槽2に内設された1本の紫外線ランプ体3とを有している。
処理槽2は、例えばステンレス鋼から形成され、その上下の開口がフランジ4、5により閉塞されている。処理槽2の外側面の下方には、被処理水を導入する導入ポート6が配設され、また、外側面の上方には、殺菌処理した被処理水を導出する導出ポート7が配設されている。導入ポート6からは、殺菌前の被処理水が所定の流量(或いは流圧)を保ちながら処理槽2に導入され、その流圧によって処理槽2内を上方の導出ポート7に向かって移動する。そして、被処理水は処理槽2内を移動中に上記紫外線ランプ体3による紫外線の照射を受けて殺菌され導出ポート7から外部に吐出される。
【0014】
紫外線ランプ体3は、直管状の紫外線ランプ8と、この紫外線ランプ8を装着する例えば石英から形成された紫外線透過性の円筒管としてのランプスリーブ9とを有している。ランプスリーブ9は、処理槽2の中心軸Cに沿って延在し、上下のフランジ4、5を貫通するように設けられ、その両端が開口している。
上記紫外線ランプ8は、ランプスリーブ9に装着した際に、導入ポート6から導出ポート7に亘って延在する程度の長さを有して構成されており、これにより、導入ポート6から導出ポート7に至る流路の全範囲にわたって紫外線が照射される。
【0015】
処理槽2には、ランプスリーブ9の表面を清掃するクリーニングプレート11が内設されている。クリーニングプレート11には、ランプスリーブ9が嵌め込まれる環状のクリーニングブラシ12が設けられている。クリーニングプレート11は、防水モータ13の駆動によって処理槽2の下端から上端の間を定期的に往復移動可能に構成され、この移動によりクリーニングブラシ12でランプスリーブ9の表面に付着したスケール等の汚れが除去される。これにより、ランプスリーブ9の表面の汚れによって紫外線透過率が低下することがなく殺菌能力を維持できる。
【0016】
処理槽2の側面には、例えば石英ガラス等の紫外線透過材から形成された透過窓18が嵌め込まれたフランジ17が設けられている。この透過窓18は、紫外線ランプ8の紫外線の照度を検出するための観察窓として用いられる。本実施形態では、透過窓18の前方に、透過窓18を通じて紫外線の照度を検出して紫外線照射量や紫外線ランプ8の出力低下を検出する紫外線モニタシステム20が設けられている。
【0017】
図2は、紫外線モニタシステム20の構成を模式的に示す図である。
紫外線モニタシステム20は、図2に示すように、透過窓18を通った紫外線照度を検出する照度検出手段としての紫外線モニタ22と、処理槽2の被処理水の流量を計測する流量計23と、紫外線照度及び流量に基づいて紫外線照射量を算出し、また、紫外線照度に基づいて紫外線ランプ8の出力低下を検出する制御ユニット24と、紫外線照射量を表示する表示モニタ26とを備えている。さらに、紫外線モニタシステム20は、紫外線モニタ22と透過窓18との間に配置される、流体流通手段としての紫外線透過セル28を備え、この紫外線透過セル28には、処理槽2内の被処理水と精製水のいずれかが選択的に通水される。
【0018】
紫外線透過セル28は、例えば石英ガラス等の紫外線透過材から形成され、紫外線モニタ22と透過窓18の間に隙間無く配置されている。この紫外線透過セル28の下端(流入側)には、電磁弁30が取り付けられた導入管32が設けられており、この電磁弁30には、処理槽2の側面を貫通し被処理水の一部を外部に取り出す取出管34と、精製水タンク35から精製水を導入する精製水導入管36とがそれぞれ接続され、電磁弁30の切り替えにより、被処理水及び精製水のいずれかが紫外線透過セル28に導入される。一方、紫外線透過セル28の上端(流出側)には、ポンプ38が経路内に設けられた排出管37が接続され、この排出管37が電磁弁39に接続されている。電磁弁39の2つのバルブには外部への排水用の排水管40が接続されている。
【0019】
紫外線透過セル28に被処理水を通水する場合には、電磁弁30、39及びポンプ38を制御して、処理槽2から被処理水を導入管32を通じて紫外線透過セル28に通水し、排出管37及び排水管40を介して導入管32に還流する。また、紫外線透過セル28に精製水を通水させる場合には、電磁弁30、39及びポンプ38を制御して、精製水タンク35の精製水を精製水導入管36及び導入管32を通じて紫外線透過セル28に通水し、排出管37及び排水管40を介して排水する。精製水の通水開始当初は、紫外線透過セル28の通水経路内に残留する被処理水とともに精製水が排水管40から排水される。このように、紫外線透過セル28には精製水が通水されるため、当該紫外線透過セル28に汚れが蓄積し難くなる。
【0020】
制御ユニット24は、弁制御部50と、ポンプ制御部52と、解析部54とを備えている。弁制御部50は、上記電磁弁30、39の切り替えを制御し、また、ポンプ制御部52はポンプ38の駆動を制御する。また解析部54は、紫外線照射量算出部56と、紫外線ランプ出力低下検出部58とを備えている。
【0021】
紫外線ランプ出力低下検出部58は、紫外線透過セル28に被処理水を通水したときの紫外線照度Ia、精製水を通水したときの紫外線照度Ib、及び紫外線透過セル28の厚さLに基づいて紫外線ランプ8の紫外線照度Icを求め、所定の基準照度と比較することで紫外線ランプ出力低下を算出し、算出結果を表示モニタ26に出力する。
さらに詳述すると、紫外線ランプ出力低下検出部58は、被処理水の単位長あたりの紫外線減衰率αを、精製水通水時の紫外線照度Ibと被処理水通水時の紫外線照度Iaとの照度差Ia−Ibと、経路長である紫外線透過セル28の厚さLとから、例えばランベルト・ベールの法則に基づいて求める。この場合、紫外線減衰率αは、精製水の紫外線減衰率を基準として求められた値となるものの、被処理水の透過率と相関を有した値である。したがって、高価な透過率計を備えることなく、被処理水の透過率変化を検出することができる。
【0022】
上記のように紫外線減衰率αが求まれば、図3に示すように、紫外線ランプ体3から紫外線モニタ22までの距離X、及び被処理水通水時の紫外線照度Iaに基づいて、紫外線ランプ8の紫外線照度Icが求められる。そこで、紫外線ランプ出力低下検出部58は、紫外線減衰率α、距離X、及び被処理水通水時の紫外線照度Iaに基づいて、紫外線ランプ8の紫外線照度Icを求め、所定の基準照度よりも低い場合に、紫外線ランプ8の出力が低下していると判定し、その旨を表示モニタ26に表示する。この所定の基準照度とは、殺菌性能を維持するに最低必要な紫外線照度(実際には、この最低紫外線照度に余裕を持たせて設定した値)である。
なお、紫外線減衰率αの算出には、紫外線ランプ体3のランプスリーブ9、透過窓18及び紫外線透過セル28のそれぞれの紫外線透過率が計算に組み込まれており、紫外線ランプ8の紫外線照度Icが正確に求められている。
また、紫外線ランプ8の紫外線照度Icを、精製水通水時の紫外線照度Ib、紫外線ランプ体3から透過窓18までの距離(≒X−L)及び紫外線減衰率から求めてもよい。
【0023】
紫外線照射量算出部56は、紫外線モニタ22によって検出された紫外線照度と、流量計23によって検出された被処理水の流量とに基づいて、被処理水への紫外線照射量F(ワット・秒/cm2)を算出し、算出結果を表示モニタ26に出力する。紫外線照射量は、紫外線処理装置1の殺菌能力の指標であり、単位面積あたりの紫外線強度(ワット/cm2)に照射時間(秒)を積算して求められる。紫外線照射量Fの基準値としては、所定の菌(又は微生物)に対して所定の殺菌率を達成する値が設定されており、紫外線照射量Fが基準値を下まわったときには、十分な殺菌性能が得られていないことになる。
【0024】
紫外線照射量Fは、紫外線ランプ8の紫外線照度Ic、被処理水の紫外線減衰率α、被処理水の滞留時間分布、及び紫外線照射強度分布の4つの因子から求められる。これらのうち滞留時間分布は、紫外線の照射時間に関する因子であるが、流路形状や流路内の構造物の有無等によって異なるため、シミュレーションにより求める必要がある。しかしながら、シミュレーションには時間がかかることから、紫外線照射量Fを常時モニタリングすることができなくなる。
【0025】
そこで本実施形態では、滞留時間分布の因子を流量Mで置き換えて簡易的に算出することとしている。また紫外線照射強度分布の変動要因は紫外線減衰率α及び紫外線照度Icであることから、流量M、紫外線減衰率α、及び紫外線照度Icのそれぞれを因子として紫外線照射量Fが簡易的に求められる。
すなわち、本実施形態では、流量Mと紫外線照射量Fの相関関数K1(M)と、紫外線減衰率αと紫外線照射量Fの相関関数K2(α)と、紫外線照度Icと紫外線照射量Fの相関関数K3(Ic)を予め実験等により求め、各相関関数K1〜K3を連立させる紫外線照射量の算出式を次式(1)に示す。
紫外線照射量F=[K1(M)+K2(α)+K3(Ic)]/3 (1)
このように、相関関数K1〜K3を用いることで紫外線照射量Fが簡単に求められる。
【0026】
上記紫外線照射量算出部56には、この相関関数K1〜K3が予め格納されており、流量Mと、紫外線ランプ出力低下検出部58によって求められた紫外線減衰率α及び紫外線ランプ8の紫外線照度Icと、上記(1)式とに基づいて、紫外線照射量Fを算出し、表示モニタ26に表示する。このとき、紫外線照射量Fが基準値を下まわったときには、その旨も表示する。この表示モニタ26には、紫外線ランプ出力低下検出部58により紫外線ランプ8の紫外線照度Icも表示されていることから、紫外線照射量Fが基準値を下まわったときに、その原因が、紫外線ランプ8の出力低下か、或いは被処理水の濁り等による紫外線減衰率αの増加によるものかを判別することができる。
なお、紫外線照射量算出部56が、紫外線ランプ出力低下検出部58と同様にして、紫外線モニタ22の検出値(紫外線照度Ia、Ib)に基づいて、紫外線減衰率α及び紫外線ランプ8の紫外線照度Icを求めてもよい。
【0027】
図4は、上述した紫外線照射量及び紫外線ランプ出力低下を検出する紫外線モニタリング処理のフローチャートである。
制御ユニット24は、電磁弁30、39及びポンプ38を制御して、紫外線透過セル28に被処理水を通水し(ステップS1)、そのときの紫外線照度Iaを計測した後(ステップS2)、精製水を通水し(ステップS3)、そのときの紫外線照度Ibを計測する(ステップS4)。
これら紫外線照度Ia、Ibが紫外線ランプ出力低下検出部58に入力されると、紫外線ランプ出力低下検出部58は、照度差Ib−Iaと、紫外線透過セル28の厚さLとに基づいて、被処理水の紫外線減衰率αを算出し(ステップS5)、また、この紫外線減衰率α、紫外線ランプ8と紫外線モニタ22までの距離X、及び被処理水通水時の紫外線照度Ibに基づいて、紫外線ランプ8の紫外線照度Icを算出する(ステップS6)。
そして紫外線ランプ出力低下検出部58は、紫外線照度Icが基準照度より低いか否かを判断し(ステップS7)、低い場合には(ステップS7:YES)、紫外線ランプ8の出力が寿命等により低下している事を示すため、その旨を表示モニタ26に表示して警告する(ステップS8)。
【0028】
次いで、制御ユニット24は、処理槽2の被処理水の流量Mを計測し(ステップS9)、この流量Mと、紫外線ランプ出力低下検出部58によって算出された紫外線減衰率α及び紫外線ランプ8の紫外線照度Icとを紫外線照射量算出部56に入力する。紫外線照射量算出部56は、上記(1)式に基づいて、紫外線照射量Fを算出し(ステップS10)、この紫外線照射量Fが基準値より低いか否かを判断する(ステップS11)。低い場合には(ステップS11:YES)、紫外線処理装置1の殺菌能力が不充分であることを示すため、その旨を表示モニタ26に表示して警告する(ステップS12)。なお、警告表示に伴い紫外線処理装置1からの被処理水の流出を停止し、殺菌が不充分な被処理水の流出を防止する構成としてもよい。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、透過窓18と紫外線モニタ22の間に、被処理流水と基準用水としての精製水を選択的に通水し、被処理流水及び基準用水のそれぞれを通水したときの各紫外線照度Ia、Ibに基づいて被処理流水の紫外線減衰率αを求め、当該紫外線減衰率αと紫外線照度Iaとに基づいて紫外線ランプ8の出力低下を検出する構成とした。この構成により、透過率計を用いることなく紫外線ランプ8の出力低下を検出することができる。また紫外線減衰率αの変化から被処理水の透過率変化を検出することもできる。
【0030】
また本実施形態によれば、紫外線減衰率αと紫外線照度の検出値から求まる紫外線ランプ8の紫外線照度Icが基準照度を下まわった場合に表示モニタ26に警告を表示する構成としたため、紫外線ランプ8の交換時期を容易に把握することができる。
【0031】
また本実施形態によれば、処理槽2の流量M、紫外線減衰率α、及び、紫外線ランプ8の紫外線照度Icのそれぞれごとに紫外線照射量Fとの相関関数K1〜K3から求まる値に基づいて紫外線照射量Fを算出する構成としたため、複雑な演算をせずとも紫外線照射量Fを簡単且つ迅速に算出することができる。
【0032】
また本実施形態によれば、紫外線照射量Fが基準値を下まわった場合に警告を表示モニタ26に表示する構成としたため、殺菌性能低下を速やかに把握することができる。これに加え、上述の通り、紫外線ランプ8の出力が低下している場合には、その旨も表示されることから、殺菌性能低下が紫外線ランプ8の出力低下によるものか否かを把握できる。
【0033】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、殺菌等の処理対象を液体としたが、これに限らず、処理槽を流通させることができる流体であれば、気体であっても良い。
また例えば、上述した実施形態では、処理槽2に納める紫外線ランプ8の本数が1本の場合を例示したが、これに限らず、複数本を収めてもよい。この場合、図5に示すように、処理槽2の中心軸Cに対して、各紫外線ランプ8を同心状に等間隔に配置して、処理槽2の被処理流体に均等に紫外線を照射することが望ましい。また、この場合には、各紫外線ランプ8の対向位置に紫外線モニタ22を配置し、それぞれの紫外線モニタ22ごとに、対向位置の紫外線ランプ8の紫外線照度Icを求めて紫外線ランプ8の出力低下を検出する。
【符号の説明】
【0034】
1 紫外線処理装置
2 処理槽
3 紫外線ランプ体
8 紫外線ランプ
9 ランプスリーブ
18 透過窓
20 紫外線モニタシステム
22 紫外線モニタ(紫外線照度検出手段)
23 流量計(流量検出手段)
24 制御ユニット
26 表示モニタ
28 紫外線透過セル
30、39 電磁弁
35 精製水タンク
40 排水管
54 解析部
56 紫外線照射量算出部
58 紫外線ランプ出力低下検出部
Ia、Ib、Ic 紫外線照度
X 距離
K1〜K3 相関関数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理流体が流通する処理槽に紫外線ランプを納め、当該紫外線ランプの紫外線で被処理流体を処理する紫外線処理装置において、
前記処理槽に前記紫外線ランプの紫外線を透過する透過窓を設け、当該透過窓の前方に紫外線照度を検出する紫外線照度検出手段を設け、
前記透過窓と前記紫外線照射検出手段との間に、前記被処理流体と基準用流体とを選択的に流通させる流体流通手段を設け、該流体流通手段に被処理流体及び基準用流体のそれぞれを流通させたときの各紫外線照度に基づいて前記被処理流体の紫外線減衰率を求め、当該紫外線減衰率と前記紫外線照度とに基づいて紫外線ランプの出力低下を検出する
ことを特徴とする紫外線処理装置。
【請求項2】
前記紫外線減衰率と前記紫外線照度の検出値から求まる前記紫外線ランプの紫外線照度が基準照度を下まわった場合に警告を出力することを特徴とする請求項1に記載の紫外線処理装置。
【請求項3】
前記処理槽の被処理流体の流量を検出する流量検出手段を備え、
前記流量、前記紫外線減衰率、及び、前記紫外線減衰率と前記紫外線照度の検出値から求まる前記紫外線ランプの紫外線照度のそれぞれごとの紫外線照射量との各相関から求まる値に基づいて紫外線照射量を算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線処理装置。
【請求項4】
前記紫外線照射量が基準値を下まわった場合に警告を出力することを特徴とする請求項3に記載の紫外線処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−183295(P2011−183295A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50459(P2010−50459)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】