説明

紫外線照射装置

【課題】温度計による被処理水の流れの抵抗を低減することが可能な紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】ランプハウジング4の内側の外周部であって、ランプハウジングと被処理水2が流れるシリンダー3とが交差する位置に被処理水2の流れに沿うように設けられた温度計100とを備えている紫外線照射装置1を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を利用した紫外線照射装置に関し、特に上下水道処理における微生物の殺菌・消毒・不活化を行う紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、上下水道の殺菌・消毒・脱色、工業用水の脱臭・脱色等を行う場合に、紫外線処理が行われている。特に、上下水道の殺菌・消毒・不活化を行う紫外線照射装置では、紫外線ランプを備え、紫外線ランプから紫外線を被処理水に照射して殺菌・消毒・不活化を行う。また、被処理水が流れる流路に温度計を設けて、被処理水の温度変化等を監視することも行っている。例えば、特許文献1の技術においては、被処理水が流れる流路に温度計を備えている。この温度計は、被処理水の流れに対して垂直に設けられており、被処理水の流れに対して垂直に設けられた温度計が被処理水と接触することにより当該被処理水の温度を測定する構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−225067号公報(段落0060、図26)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1では、紫外線照射装置が備える温度計が被処理水の流れに対して垂直に設けられているため、温度計が被処理水の流れの抵抗を直接受けることになる。また、温度計が被処理水の流れの抵抗を直接受けることにより、被処理水の流れを阻害して被処理水への照射効率が悪くなるという課題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、温度計による被処理水の流れの抵抗を低減することが可能な紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、被処理流体に対して紫外線を用いて微生物の殺菌・消毒・不活化を行う紫外線照射装置であって、筐体と、前記筐体の内側の外周部であって、前記筐体と前記被処理流体が流れる流路とが交差する位置に前記被処理流体の流れに沿うように設けられた温度計とを備えていることを特徴とする紫外線照射装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、温度計による被処理水の流れの抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態による紫外線照射装置他の構成の概要を示す図。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図。
【図3】本実施形態の変形例に係る紫外線照射装置他の構成の概要を示す図。
【図4】同実施形態の紫外線照射装置が備える温度計の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態に係る紫外線照射装置について詳細に説明する。
【0010】
本発明の一実施形態に係る紫外線照射装置について、図1および図2を参照して説明する。ここで、図1は、紫外線照射装置他の概要を模式的に示す図、図2は図1のX−X方向に沿う断面図である。
【0011】
次に、紫外線照射装置1の構成について図1を参照して詳細に説明する。同図に示されるように、紫外線照射装置1は、被処理水2および処理水5が流れるシリンダー3と、このシリンダー3の中央部で該シリンダー3と十字に接合する、該シリンダー3と同管径のランプハウジング(筐体)4を備えている。被処理水2は、図1において、左側から流入し、装置内で紫外線照射を受けた処理水5として右側へ排出される。ランプハウジング4は、紫外線を透過可能なランプスリーブ(保護管:紫外線ランプカバー、例えば石英ガラス管製)6a、6b、6c、6d、6e、6fと、その中に紫外線ランプ7a、7b、7c、7d、7e、7fが夫々挿入設置された状態で、6組等間隔に設置されている。
【0012】
これら紫外線ランプ7a〜7fを内蔵したランプスリーブ6a〜6fの両端部は、ランプハウジング蓋8、8に図示していない水密OリングとOリング押さえ9(9b、9e)、10(10b、10e)により水封シールされている。また、紫外線照射装置1のランプハウジング蓋8、8には、それぞれフランジカバー20a、20bが設けられている。フランジカバー20a、20bは、上述したシリンダー(流路)3と隔離された領域(被処理水2と接触しない領域)を構成する部材であって、紫外線ランプカバーであるランプスリーブ6a〜6fの両端とそれぞれ挿通して接続される2つの蓋部となっている。なお、ランプスリーブ6a〜6fは、被処理水2と接触して紫外線を被処理水2に照射し、フランジカバー20a、20bは、被処理水2と接触しないようにシリンダー(流路)3とはランプハウジング4を介して隔離されている構成となっている。
【0013】
また、紫外線照射装置1には、本発明の特徴である温度計100が設けられている。この温度計100は、紫外線照射装置1のランプハウジング4の下部に、被処理水2の流れとほぼ平行に設けられている。即ち、ランプハウジング4の内側の外周部(下部を含む)であって、流路であるシリンダー3と交差する位置に被処理水2の流れに沿うように温度計100が設けられている。温度計100を紫外線照射装置1のランプハウジング4の下部(または外周部)に設けるのは、被処理水2が流れる流速は、被処理水2の流路であるシリンダー3の中央部で一番速く、周辺部(外周部)で一番遅いため、被処理水2の流れに対して一番影響(抵抗)の少ない位置だからである。なお、図1に示される角度からみた場合、温度計100が被処理水2の流れと完全に平行ではなく、ほぼ平行に設けられているのは、ランプハウジング4の下部から温度計100が外側に出ている部分を目視して温度を読み取る必要があるからである(後述する図2に示される角度からみた場合は、温度計100は被処理水2の流れと完全に平行となっている)。このように、温度計100が、紫外線照射装置1のランプハウジング4の下部に、被処理水2の流れとほぼ平行に設けられていることにより、温度計100と被処理水2との接触する面積を減少させることができる。このため、紫外線照射装置1に温度計100を設けることによって被処理水2の流れを阻害することを軽減することができる。
【0014】
さらに、紫外線照射装置1には、ランプハウジング4の中心に設置された洗浄板駆動軸11、駆動ネジ12、駆動モータ13、洗浄板14、ランプスリーブワイパーブラシ15a、15b、15c、15d、15e、15fからなる洗浄装置が組み込まれている。
【0015】
次に、図2は、図1の紫外線照射装置1をX−X線に沿う断面に、温度計100の配置を示した図である。上述した温度計100は、同図に示されるように、紫外線照射装置1のランプハウジング4の下部に、被処理水2の流れと平行に設けられている。温度計100が被処理水2の流れと平行に設けられていることにより、温度計100と被処理水2との接触する面積を減少させることができる。このため、紫外線照射装置1に温度計100を設けることによって発生する被処理水2の流れの乱れを軽減することができる。
【0016】
また、上述した本発明の実施形態に係る紫外線照射装置1に設けられた温度計100の配置の変形例としては、図3に示されるように、温度計100を被処理水2の流れと完全に平行に設けるように構成することもできる。この場合、温度計100は、例えば、ランプハウジング4の内側の外周部に両側を支持されるように配置される。また、当該構成においては、温度計100がランプハウジング4の内側にすべて埋没してしまう構成となるため、上述した実施形態のように、ランプハウジング4の外部に出ている温度計100の温度を目視で読み取ることができない。このため、温度計100が測定した温度を読み取るために、例えば、次のような構成を用いる。
【0017】
図4は、図3の温度計100の構成を示したブロック図である。温度計100は、温度測定部101、温度無線送信部102、および電源部103を備える。温度測定部101は、被処理水2と接触して被処理水2の温度を測定するための測定デバイスである。温度無線送信部102は、温度測定部101で測定された被処理水2の水温の情報を温度測定部101から受信して、無線通信を用いて受信機へ送信する無線デバイスである。電源部103は、上述した温度測定部101および温度無線送信部102に電源を供給するためのバッテリである。また、上述した図示しない受信機は、温度無線送信部102から測定された被処理水2の水温の情報を受信した水温の情報を表示するためのディスプレイを備えている。この受信機は、例えば、紫外線照射装置1のランプハウジング4の側面等に設けてもよい。
【0018】
当該変形例を用いることにより、図3に示される角度からみた場合でも温度計100を被処理水2の流れと完全に平行に設けるように構成することで、上述した実施形態よりもさらに、紫外線照射装置1に温度計100を設けることによって発生する被処理水2の流れの乱れを軽減することができる。
【0019】
なお、以上の実施形態では、紫外線照射装置の構造として、上述した温度計100は、紫外線照射装置1のランプハウジング4の下部に、被処理水2の流れと平行に設けられているが、これに限定されることはない。例えば、上述した温度計100は、紫外線照射装置1のランプハウジング4の下部に、被処理水2の流れと平行に設けてもよく、さらに、被処理水2が流れる流速は、被処理水2の流路であるシリンダー3の中央部で一番速く、周辺部で一番遅いため、被処理水2の流れに一番影響の少ない位置であるシリンダー3の周辺部に温度計100が配置されるように設けてもよい。
【0020】
また、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。更に、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0021】
1…紫外線照射装置、2…被処理水、3…シリンダー、4…ランプハウジング、5…処理水、6a、6b、6c、6d、6e、6f…ランプスリーブ、7a、7b、7c、7d、7e、7f…紫外線ランプ、8、8…ランプハウジング蓋、9a、9b、9c、9d、9e、9f、10a、10b、10c、10d、10e、10f…Oリング押さえ、11…洗浄板駆動軸、12…駆動ネジ、13…駆動モータ、14…洗浄板、15a、15b、5c、15d、15e、15f…ランプスリーブワイパーブラシ、20a、20b…フランジカバー、100…温度計、101…温度測定部、102…温度無線送信部、103…電源部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理流体に対して紫外線を用いて微生物の殺菌・消毒・不活化を行う紫外線照射装置であって、
筐体と、
前記筐体の内側の外周部であって、前記筐体と前記被処理流体が流れる流路とが交差する位置に前記被処理流体の流れに沿うように設けられた温度計とを備えていることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記温度計は、前記筐体の内側の外周部であって、前記筐体と前記被処理流体が流れる流路とが交差する位置に前記被処理流体の流れと平行に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記温度計は、無線通信部を備え、当該温度計によって測定した温度情報を前記無線通信部を介して送信することを特徴とする請求項2に記載の紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−56440(P2011−56440A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210921(P2009−210921)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】