説明

紫外線照射装置

【課題】外套管内に長尺状のランプを挿入した光源エレメントを有する紫外線照射装置において、光照射領域の照度均一度を改善すること。
【解決手段】光源部10の光源エレメント20は、光透過性を有する長尺状の外套管24内に、長尺状のランプ25を挿入したものであり平行に等間隔で並列配置される。冷却ファン42によって作られた冷却風は、第1の導風路43Aを介して一端側から、光源エレメント20の冷却風流通路24Aに導入され、ランプ25を冷却しながら右から左に流れて他端側から排出される。排出された冷却風は、第2の導風路43Bから熱交換器43に導かれて冷却される。光源部10とワークステージ60の間には内面に反射面を有する筒型ライトガイド51が配置され、筒型ライトガイド51の冷却風の排出される側に設けた反射面の一部に反射する光の量を低下させる反射光量低下手段55が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過性を有する長尺状の外套管内に、長尺状のランプを挿入した光源エレメントを有する紫外線照射装置に関し、特に、液晶パネルの製造工程において用いるのに好適な紫外線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、2枚の光透過性基板(ガラス基板)の間に液晶を封入した構造であり、一方のガラス基板上に多数のアクテイブ素子(TFT)と液晶駆動用電極を形成し、その上に配向膜を形成している。もう一方のガラス基板には、カラーフィルタ、配向膜、そして透明電極(ITO)を形成している。そして両ガラス基板の配向膜間に液晶を封入し、シール剤にて周囲を封止している。
このような液晶パネルの製造工程において、液晶に紫外線に反応して重合する光反応性物質(モノマー)を含ませ、この液晶パネルに対して電圧を印加しながら紫外線を照射し、上記光反応性物質を重合することにより液晶のプレチルト角を制御する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。このような技術は、当該技術分野においてPSA(Polymer Sustained Alignment)という通称で呼ばれている。
このようなPSAの処理を行うための紫外線照射装置として、光照射面における紫外線照度の面内均一性が高く、また、紫外線照射中の液晶パネルの温度上昇が少なく、かつ液晶パネルの温度の面内均一性が良好な装置が期待されている。
【0003】
図8は、PSA用途に用いる紫外線照射装置の構成例を示す断面図である。
紫外線照射装置は、光源部10、ランプ冷却機構40、筒型ライトガイド50、ワークステージ60を有する。
光源部10は、光源エレメント20を備えている。光源エレメント20は、紫外線を放射する複数の長尺状のランプ25を、図8の手前から奥に平行に等間隔で並列配置することにより構成されている。
図9は、光源エレメント20を拡大して示した図である。図9(a)は、光源エレメント20の長手方向に沿った断面図であり、図9(b)は、光源エレメントの長手方向に直交する方向の断面図である。
ランプ25は、例えば長尺の矩形の筒状のガラス管(封体)25aの内部に放電ガスとしてキセノンガスを封入したエキシマランプである。このランプ25の封体25aの内壁には蛍光体が塗布されており、この蛍光体が、封体内で誘電体バリヤ放電により励起したキセノンガスから発生した紫外光により励起して、PSA処理に適する波長領域が300nm〜400nmの紫外線を放射する。
ランプ25のそれぞれは、光透過性を有する長尺状の両端を開放した外套管(円筒状のガラスジャケット)24内に挿入されている。外套管24の内面とランプ25の外面との間には隙間があり、この隙間は、点灯中のランプ25を冷却するための冷却風が流れる冷却風流通路24Aを構成する。
【0004】
次に、図8と図9を用いて、上記冷却風流通路24Aを流れる冷却風をつくるランプの冷却機構40について説明する。
ランプの冷却機構40は、冷却風を作る軸流ファンなどの冷却ファン42、冷却風を光源エレメントの冷却風流通路24Aに導く第1の導風路43A、ランプ25を冷却し冷却風流通路24Aから出てくる冷却風を冷却ファン42に導く第2の導風路43B、第2の導風路43Bを流れる冷却風を冷却する水冷ラジエータなどの熱交換器43を備える。
第1の導風路43A、第2の導風路43Bは、光源部10の側壁31と紫外線照射装置の外装カバー30と、光源部10とワークステージ60側を仕切る隔壁32とにより形成される。
冷却ファン42によって作られた冷却風は、第1の導風路43Aにより導かれて、両端が開放されている外套管24の一端側から、光源エレメント20の冷却風流通路24Aに導入される。冷却風流通路24Aに導入された冷却風は、ランプ25を冷却しながら冷却風流通路24Aを図8、図9の右から左に流れて、外套管24の他端側から排出される。排出された冷却風は、第2の導風路43Bにより、熱交換器43に導かれて冷却されて冷却フアン42に送られ、再度ランプ25の冷却に使われる。
ワークステージ60は、電圧をかけながら紫外線が照射される(PSA処理がなされる)液晶パネルを保持するステージである。
【0005】
図10にワークステージの斜視図を示す。なお、同図は、ワークステージ60上にPSA処理を行う液晶パネル70(以下ワークと呼ぶ場合もある)を置いた状態を示している。ワークステージ60の表面の周辺部には、紫外線照射中に液晶パネルをステージに吸着保持するための真空吸着孔61が形成されている。
筒型ライトガイド50は、光源部10とワークステージ60の間に、光源エレメント20を取り囲むように配置される。図11は、筒型ライトガイド50を光出射側(下側)から見上げた斜視図であり、図12は、筒型ライトガイド50を光源エレメント20側から見た斜視図である。筒型ライトガイド50の内面には、光源エレメント20から出射する光を反射する反射面が形成されている。
【0006】
筒型ライトガイド50は、図11、図12に示すように、ワークである液晶パネルの形状に応じた矩形状の光照射領域を形成するために、4つの板状部材52A、52B、52C、52Dを、それぞれ四角形の一辺になるように組み合わせて構成している。
図13は板状部材52の断面図である。同図に示すように、板状部材52は、例えばアルミニウムからなるベース部材53に、例えば高輝アルミからなる光反射性部材54を組み合わせることにより構成され、これらを複数枚、つなぎ合わせることにより上記板状部材52A、52B、52C、52Dは構成される。
このような内面に反射面を有する筒型のライトガイドを設けることにより、光照射面全体の照度の均一度が良くなることが知られており、高い照度均一度が要求される光照射装置においてはしばしば採用される(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−256515号公報
【特許文献2】特公平7−106316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記で示した紫外線照射装置を用いて、ランプ25を点灯し、ワークステージ上で、紫外線の照度分布を測定したところ、図14に示すように、矩形状の光照射領域の一部、具体的には、照射領域のある一辺に近い部分の紫外線照度が高くなるという現象が生じた。
PSAなど処理のためには、光照射領域の照度均一度は±5%以下、さらにはプロセスマージンを考慮すれば±2.5%以下が望まれている。しかし、このように、一部の紫外線照度が高くなると、±5%以下の照度均一度の要求に応えられず、面内均一性の高い紫外線を照射することが必要な工程に、本紫外線照射装置を用いることができない。
以上のように上記紫外線照射装置においては、光照射領域の一部の照度が高くなり、照度均一度が悪くなるという現象が生じた。
本発明は、上記問題点を解決するものであって、本発明の目的は、上記紫外線照射装置において光照射領域の照度均一度を改善し、これにより、紫外線照射装置を±5%以下、望ましくは±2.5%以下の面内均一性の高い紫外線を照射することが必要な工程に使用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、鋭意検討の結果、次のことを見出した。
光照射領域において照度が高くなる部分は、図14に示されるように照射領域のある一辺に近い部分である。そしてその一辺は、ランプの長手方向の一端側であて冷却風が排出される側である。
上記したように、冷却風は外套管の一端側から導入され、他端側から排出される。しかし、ランプは長尺であり、冷却風の温度は導入側に比べて排出側のほうが高くなる。冷却風の温度が排出側で高くなるということは、それに応じて、ランプ自体の温度も、冷却風の導入側に比べて排出側のほうが高くなる。
詳細な理由は不明であるが、図2に示すように、本発明の紫外線照射装置において使用している外套管に放電ランプを挿入した光源エレメントにおいては、ランプの温度が高くなると放射する紫外線の量(放射エネルギー)が増加するという関係があることがわかった。なお、図2(a)は光源エレメント20の長手方向に沿った断面図、図2(b)は光源エレメント長手方向のランプの温度分布、図2(c)は光源エレメント長手方向の放射エネルギー分布を示す。
すなわち、上記したように、ランプの温度は冷却風の入り口部と出口部の間で温度勾配が生じることで、この温度勾配に比例してランプの輝度分布が発生し、放射エネルギーにも勾配が生ずる。そして、ランプは、温度の高い冷却風排出側の紫外線の放射エネルギーが大きくなり、ランプの冷却風が排出される側に辺に近い領域の照度が高くなる。
この状態で液晶基板等の被照射物に紫外線を照射すると、被照射物の照射面で照度分布に影響がでる。前記したようにライトガイド50を配置してインテグレーションさせても、ランプの持つエネルギー勾配が反映し、被照射面には均一な照度分布の紫外線を照射することはできなかった。
【0010】
そこで、発明者らは、この光照射領域の一部の照度が高くなることを防ぐために、装置を次のように構成することを考えた。
光源部とワークステージの間に設けている筒型のライトガイドは、特許文献2に記載されているように、光源部から出射した光のうち、所望の光照射領域外に逃げていく光を、内面の反射面で折り返すことにより、光照射領域の周辺部の照度を高くする。
図3は、光源エレメント20と筒型ライトガイド50の断面図であり、光源エレメント20から出射した光の一部が、筒型ライトガイド50により反射される様子を示した図である。
同図に示すように、ランプ25の温度の高い部分から放射された紫外線の放射エネルギーの大きい光が、筒型ライトガイド50の冷却風排出側の板状部材52Cの反射面において反射し、このことにより光照射領域の冷却風排出側において照度が高くなる。
そこで、筒型ライトガイド50の、照度が高い側(光源エレメント20の冷却風排出側)の板状部材52Cの反射面の反射率を、他の反射面の反射率よりも下げることにより、冷却風排出側に生じている高い照度を低くすることができるのではないかと考えた。
このため、筒型ライトガイド50において、冷却風が排出される側にあたる反射面の一部に反射する光の量を低下させる反射率低下手段を設けた(具体的には、例えば黒色化した)ところ、光照射領域において照度の高い部分がなくなり、光照射領域の照度の均一度が改善された。
【0011】
すなわち、本発明においては、次のようにして前記課題を解決する。
(1)光透過性を有する長尺状の外套管内に、長尺状のランプを挿入した光源エレメントを有する光源部と、上記光源エレメントの上記外套管の一端側から、該外套管と上記ランプの間に冷却風を導入し、上記外套管の他端側から上記冷却風を排出するランプ冷却機構と、光源エレメントから放射される光が照射されるワークが置かれるワークステージと、上記光源部と上記ワークステージの間に配置した、上記光源エレメントからの光を反射する反射面を内面に有する筒型ライトガイドとを備えた紫外線照射装置において、上記筒型ライトガイドの反射面のうち、上記光源エレメントを流れる冷却風の排出される側に設けた反射面の一部に、反射する光の量を低下させる反射光量低下手段を設ける。
(2)上記反射光量低下手段としてメッキにより上記反射面を黒色化したものを用いる。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、筒型ライトガイドの、冷却風が排出される側にあたる反射面の一部に、反射する光の量を低下させる反射率低下手段を設けたので、光照射領域の照度均一度を改善することができた。これにより、面内均一性の高い紫外線を照射することが必要なPSAなどの処理に、本紫外線照射装置を用いることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例の紫外線照射装置の構成を示す図である。
【図2】光源エレメント長手方向のランプの温度分布、放射エネルギー分布を示す図である。
【図3】光源エレメントと筒型ライトガイドの断面図である。
【図4】本発明の実施例の紫外線照射装置の筒型ライトガイドの断面図である。
【図5】本発明の実施例の紫外線照射装置の筒型ライトガイドを模式的に示した斜視図である。
【図6】本発明で使用されるエキシマランプの構成例を示す図である。
【図7】本発明の紫外線照射装置による光照射領域の紫外線放射照度分布(照度分布)を示す図である。
【図8】PSA用途に用いる紫外線照射装置の構成例を示す断面図である。
【図9】図8に示す紫外線照射装置の光源エレメントの拡大図である。
【図10】ワークステージの斜視図である。
【図11】筒型ライトガイドの斜視図(下側から見上げた図)である。
【図12】筒型ライトガイドの斜視図(光源エレメント側から見た図)である。
【図13】筒型ライトガイドを構成する板状部材の断面図である。
【図14】従来の紫外線照射装置における光照射面上の紫外線の照度分布を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に、本発明の実施例の紫外線照射装置の構成を断面図で示す。図8により示した従来の装置と構成の異なる構成は、筒型ライトガイド50に反射率低下手段55を設けたことであり、その他の構成は基本的に同一である。
すなわち、前記したように紫外線照射装置は、光源部10、ランプ冷却機構40、筒型ライトガイド51(反射率低下手段55を設けた筒型ライトガイドを本実施例では筒型ライトガイド51という)、ワークステージ60を有する。光源部10は、光源エレメント20を備え、光源エレメント20は、紫外線を放射する複数の長尺状のランプ25を、同図の手前から奥に平行に等間隔で並列配置することにより構成されている。
光源エレメント20は、前記図2に示すように、光透過性を有する長尺状の外套管24内に、長尺状のランプ25を挿入したものであり、外套管24の内面とランプ25の外面との間には冷却風が流れる冷却風流通路24Aを構成する。ランプ25は、後述する例えば図6に示すエキシマランプであり、内壁に塗布された蛍光体が、封体内で誘電体バリヤ放電により励起したキセノンガスから発生した紫外光により励起して、波長領域が300nm〜400nmの紫外線を放射する。
【0015】
ランプの冷却機構40は、前記図8で説明したものと同様であり、冷却風を作る軸流ファンなどの冷却ファン42、第1の導風路43A、第2の導風路43B、水冷ラジエータなどの熱交換器43を備え、第1の導風路43A、第2の導風路43Bは、光源部10の側壁31と紫外線照射装置の外装カバー30と、光源部10とワークステージ60側を仕切る隔壁32とにより形成される。
冷却ファン42によって作られた冷却風は、第1の導風路43Aにより導かれて、外套管24の一端側から、光源エレメント20の冷却風流通路24Aに導入され、ランプ25を冷却しながら冷却風流通路24Aを図1の右から左に流れて、外套管24の他端側から排出される。排出された冷却風は、第2の導風路43Bにより、熱交換器43に導かれて冷却されて冷却フアン42に送られ、再度ランプ25の冷却に使われる。
【0016】
図4、図5に本発明の実施例の紫外線照射装置の筒型ライトガイド51を示す。図4は光源エレメントと筒型ライトガイドを示し、ランプ25の長手方向に沿った断面図である。図5は筒型ライトガイド51を模式的に示した斜視図である。なお、図5において、光源エレメント20の外套管24は1本のみ示している。
筒型ライトガイド51は、前記したように、光源部10とワークステージ60の間に、光源エレメント20を取り囲むように、すなわち、光源エレメントからの光が照射される光照射領域を取り囲むように配置され、高輝アルミからなる光反射性部材からなる4つの板状部材52A、52B、52C、52Dを、それぞれ四角形の一辺になるように組み合わせて構成している。
筒型ライトガイド51の大きさは、図5に示すように、X(ランプ長手方向)=約2800mm、Y(ランプを並べている方向)=約2400mm、Z(高さ)=約450mmであり、光源エレメントを流れる冷却風が排出される側の、板状部材52Cの反射面の一部の反射率を低くし、反射率低下手段55を形成した。
【0017】
本実施例における反射率を低くするための具体的な手段は、耐熱性対紫外線性を有する濃黒色無電界ニッケルメッキである。以下このメッキを施した部分を黒色化した部分と呼ぶ。反射面の黒色化した部分は、板状部材52Cの光源エレメント20側(上側)端から、a=130mmの幅で、板状部材52CのY方向の幅いっぱい(約2400mm)である。
ランプ25の長さ約3000mmで、図1において手前奥の方向に32本、長手方向をそろえて並べている。ランプを冷却するために流す冷却風の風量は、170m3/分、外套管1本に流れる流量は5.3m3/分、外套管の導入部分での冷却風温度は約35°Cで、排出部分での温度は約50°Cである。また、ランプの表面温度は冷却風導入側の部分で約65°C、冷却風排出側の部分で130°Cである。
【0018】
本発明の紫外線照射装置のランプはエキシマランプと呼ばれるランプであり、その一構成例を図6に示す。同図(a)は斜視図、同図(b)はランプの長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
ランプ(エキシマランプ)25は、内部に放電空間Sが形成された断面矩形状の中空長尺状の放電容器(封体)26を備えており、この封体26の内部には、放電用ガスとして、キセノンガスが封入されている。封体26は石英ガラスよりなる。
封体26における上壁26Aおよび下壁26Bの各々の外表面には、一対のメッシュ状の電極27Aと27Bが長手方向に伸びるよう互いに対向して配置されている。電極27Aは高電圧給電電極として機能し、電極27Bは接地電極として機能する。
封体26の内部の光出射部を形成する下壁26Bの内表面には、ガラス粉末層28bおよび蛍光体層28cが積層された状態で設けられている。また、封体26の内部の下壁26Bを除く壁の内表面には、外面側から順に、反射材層28a、ガラス粉末層28bおよび蛍光体層28cが積層された状態で設けられている。
【0019】
反射材層28aは、例えば、シリカとアルミナの混合物により構成されている。
ガラス粉末層28bを構成するガラスとしては、例えば、ホウケイ酸ガラス(Si−B−O系ガラス)およびアルミノケイ酸ガラス(Si−Al−O系ガラス)、バリウムケイ酸ガラス、または、これらいずれかの組成を元にアルカリ土類酸化物やアルカリ酸化物、金属酸化物を添加したガラスなどがある。
蛍光体層28cを構成する蛍光体としては、例えばユーロピウム付活ホウ酸ストロンチウム蛍光体、セリウム付活アルミン酸マグネシウムランタン蛍光体、ガドリニウム、プラセオジム付活リン酸ランタン蛍光体などがある。
【0020】
図7は、本発明の紫外線照射装置による光照射領域の紫外線放射照度分布(照度分布)を示す図である。同図において、横軸は光照射領域のランプ長手方向(X方向:図5参照)の距離(mm)であり、縦軸は光照射領域における紫外線の放射照度(mW/cm2)である。
同図において、右側が冷却風導入側、左側が冷却風排出側である。また、照度分布は、光照射領域のY方向(ランプを並べている方向:図5参照)の中間位置での値を示している。
なお、光源エレメント20から光照射面までの距離は、筒型ライトガイド51の高さ(Z方向距離:図5参照)とほぼ等しい450mmである。すなわち、光源部から光照射面までの距離は、筒型ライトガイド51の高さ(Z)とほぼ等しい。
【0021】
図7において、「◇」(同図A)は筒型ライトガイドの反射面に黒色化を施さない従来の装置における照度分布である。図からわかるように、左側(冷却風排出側)の放射照度が全体的に高くなっている。このデータに基づき照度分布を計算すると±5%であった。この値は、上記した課題の要求を満たすものの、プロセスマージンを考慮すると、さらに良好な均一度が望まれる。
これに対して、「*」、「×」、「□」(同図D,C,B)は、板状部材52Cの反射面の黒色化を行った場合の照度分布である。従来に比べて左側(冷却風排出側)の放射照度が低くなっている。
【0022】
同図Dの「*」は、板状部材52Cの反射面の上から約130mmを黒色化した場合の照度分布である。左側(冷却風排出側)の放射照度の高かった部分が低くなり、照度分布は左右でほぼ対称になっている。これにより、照度分布の均一度を±5%よりも良好な値にすることができた。
同図Bの「□」は板状部材52Cの反射面の上から約200mmを、同図Dの「*」は上記したように約130mmを、同図Cの「×」は約100mmを黒色化した場合の照度分布である。それぞれの照度分布は、「□」(黒色化幅約200mm)は±4.1%、「*」(黒色化幅約130mm)は±2.5%、「×」(黒色化幅約100mm)は±2.8%である。本実施例においては、黒色化幅を約130mmにした場合に、照度均一度が最も良くなり、望ましいとされる照度分布±2.5%を達成することができた。
【0023】
同図に示されるように、反射板の黒色化のZ(高さ)方向の幅を広くすれば、放射照度の低下の割合は大きくなり、幅を狭くすれば低下の割合は少なくなる。したがって、板状部材52Cに形成する黒色化のZ(高さ)方向の幅を変えることにより、放射照度の低下の割合を変化させ、光照射領域の照度分布を調整することができる。
【0024】
このように、筒型ライトガイド51に、冷却風排出側の反射面の反射率を低下させる反射率低下手段55を設けることにより、光照射領域の照度分布の面内均一度を良くすることができる。反射面の反射率を低下させる部分の位置や大きさは、光照射領域の照度分布を測定しながら、またシミュレーションにより適宜設定する。
筒型ライトガイドの反射面で反射する光の量を低下させる反射光量低下手段としては、上記に例示したメッキによる黒色化の他に以下のようなものが考えられる。
(1)黒色の耐熱性、耐紫外線性を備える塗料を塗布する。
(2)反射面を摺り面などにする。または、セラミック板を貼り付けて紫外線を拡散させる。
(3)反射面にフッ素樹脂板を貼り付けて紫外線を吸収する。
(4)反射面に切り欠き部を設ける。
【符号の説明】
【0025】
10 光源部
20 光源エレメント
24 外套管
24A 冷却風流通路
25 ランプ(エキシマランプ)
26 放電容器(封体)
27A、27B 電極
28a 反射材層
28b ガラス粉末層
28c 蛍光体層
30 外装カバー
31 側壁
32 隔壁
40 ランプ冷却機構
42 冷却ファン
43A 第1の導風路
43B 第2の導風路
43 熱交換器
51 筒型ライトガイド
52A、52B、52C、52D 板状部材
55 反射率低下手段
60 ワークステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する長尺状の外套管内に、長尺状のランプを挿入した光源エレメントを有する光源部と、
上記光源エレメントの上記外套管の一端側から、該外套管と上記ランプの間に冷却風を導入し、上記外套管の他端側から上記冷却風を排出するランプ冷却機構と、
光源エレメントから放射される光が照射されるワークが置かれるワークステージと、
上記光源部と上記ワークステージの間に配置した、上記光源エレメントからの光を反射する反射面を内面に有する筒型ライトガイドとを備えた紫外線照射装置において、
上記筒型ライトガイドの反射面のうち、上記光源エレメントを流れる冷却風の排出される側に設けた反射面の一部に、反射する光の量を低下させる反射光量低下手段を設けた
ことを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
上記反射光量低下手段は、メッキにより上記反射面を黒色化したものである
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−12425(P2013−12425A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145247(P2011−145247)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)