説明

細繊維電気紡糸装置、濾過媒体システムおよび方法

高分子溶液からナノ繊維を形成するためなどの静電細繊維生成装置を提供する。細繊維生成装置は、ステンレス鋼ビード付チェーンの形態を呈してもよいストランドを含む。ビード付チェーンは、2つのガイドホイール周りに巻き回され収集媒体に対して垂直に無端経路周りを駆動される無端チェーンであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、紡糸電極と収集電極との間の電圧差により生じる静電界における、高分子溶液からの細繊維の静電紡糸に関し、より詳細には、新しい紡糸電極装置の配置および/または電気紡糸の方法に関する。また、本発明の他の態様は、濾過媒体製造システムおよび方法、すなわち流体ストリームから汚染物質を濾過するための高効率層を濾過媒体上に生成する細繊維の濾過媒体への適用に関する。
【背景技術】
【0002】
収集電極と紡糸電極との間の電圧差により生じる電界を介して静電紡糸(electrostatic spinning)(「電気紡糸(electro-spinning)」としても知られる)により高分子溶液から細繊維を製造することが知られている。例えば、米国特許第6,743,273号に示されているように、高分子溶液は回転エミッタ形態の紡糸電極に圧送されるが、そこではポンプ溶液がリザーバから圧送されて、エミッタの孔を強制的に通過させられる。通過すると、グリッドとエミッタ間の静電電位により電荷が付与され、液体は薄く細い繊維として「紡糸」され、基体上で効率層として収集される。このプロセスで、溶媒は細繊維から蒸発し、それによりフライト中の繊維の直径が小さくなる。
【0003】
静電紡糸装置の別の例が特許公開US2006/0290031号およびWO2006/131081号に示されている。両出願に開示されている紡糸電極は、いくつかの異なる形態を取り得る設計の回転ドラム体である。ドラムを、高分子溶液リザーバに浸漬するように配置し、収集媒体の経路に対して垂直な軸を中心に回転させる。ドラムを高分子溶液を通して回転させることにより、帯電電極の紡糸表面は高分子溶液で被覆される。ドラム体の様々な変形が両特許公開を通じて示されており、それらには、複数の先端を提供することで細繊維が生成される個別の紡糸位置が設けられるものが含まれる。
【0004】
本発明は、静電細繊維の製造および紡糸電極の設計および/または細繊維濾過媒体の製造に関し、既存の技術水準に対する改善を提供する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、個々または組み合わせにより特許性を有する、主張可能ないくつかの態様があり、かかる態様には以下が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0006】
本発明の第1の態様は、好適な収集媒体上に細繊維を製造するための装置を対象とする。本装置は、離間する2つの電極を含み、そのうちの紡糸電極は、少なくとも2つのガイド上に巻き回されたストランドを含む。本装置は、第1経路に沿って離間する入口領域と出口領域とを有し、収集媒体は、第1経路に沿って入口領域から出口領域まで、紡糸電極から離間して駆動されるようになされている。駆動ユニットは、ストランドを少なくとも2つのガイドに沿って駆動し、第1経路を横断する(例えば、横方向に、特定の実施の形態によれば垂直であってもよい)第2経路に沿って移動させるようになされている。電圧源は、第1および第2電極間に電圧差を発生し、静電界を生成して細繊維を紡糸するように配置されている。
【0007】
ストランドは、チェーン、バンド、ストリップ、その他のストランド構造の形態を呈してもよい。好ましい実施の形態によれば、ストランドは、無端連続経路周りに駆動される無端ストランドの形態をとることができる。上記の第2経路は、この無端経路の一部である。無端経路は、無端ストランドから離間する戻り経路をさらに含み、無端ストランドは、戻り経路沿いに、細繊維の電気紡糸が生じる第2経路と比較して収集電極から離れている。さらに、特定の実施の形態によれば、好適な高分子溶液を収容するようになされた浸漬槽が設けられる。無端ストランドは、戻り経路に沿う部分が高分子溶液に浸漬され、それにより無端ストランドが高分子溶液で被覆されるように、浸漬槽を通って進む。
【0008】
本発明の別の態様は、濾過媒体製造システムを対象とする。このシステムは、細繊維生成装置の入口領域から出口領域まで第1経路に沿って基板材料のシートを供給する基板材料のロールを含む。シートは、第1経路に対して略平行な対向側縁部を有する。細繊維生成装置は、少なくとも1つのストランドと、第1経路に対して横断する第2経路に沿って第1ガイドから第2ガイドまでストランドを駆動する駆動ユニットとを含む。ストランドは、高分子溶液で濡らされるとともに、電圧差を受けて後に基板材料上に堆積される細繊維を生成するための静電界を提供する。
【0009】
特定の実施の形態によれば、かかる態様は、無端経路に沿って進行する無端ストランドを含んでもよく、また、無端ストランドの一部をいずれかの所与の時間に高分子溶液槽へ浸漬することにより、無端ストランド上への高分子溶液の被覆を補うことに関係してもよい。
【0010】
別の発明性を有する態様は、細繊維を収集媒体上に製造するための装置を含み、少なくとも1つの紡糸電極が、平坦な収集電極に対して一定の間隔に維持された直線セグメントを有する。この態様によれば、収集電極は、収集媒体を支持するための平坦支持表面を有し、少なくとも1つの紡糸電極は、平坦支持表面に隣接する直線セグメントを有し、駆動ユニットは、駆動ユニットによる駆動時に直線セグメントと平坦支持表面との間を一定の間隔に維持しながら、紡糸電極を駆動する。電圧源は、第1および第2電極の間に電圧差を発生させ、細繊維を紡糸するように配置されている。
【0011】
特定の実施の形態によれば、本装置は、第1経路に沿って離間する入口領域と出口領域とを含むことができ、収集媒体は、第1経路に沿って入口領域から出口領域まで、紡糸電極から離間して駆動されるようになされている。紡糸電極は無端経路周りに駆動され、高分子溶液を収容する浸漬槽が提供される。いずれの時点においても、紡糸電極の一部は、高分子溶液に浸漬され、それにより紡糸電極が高分子溶液で被覆されるように、浸漬槽を通って延在し、紡糸電極の一部は、細繊維を生成するように露出される。
【0012】
さらに別の発明性を有する態様は、一定の間隔を維持しつつ細繊維を生成する方法に関する。この発明性を有する態様による方法は、電極の直線アレイ状に配置された複数の紡糸位置から、電極上の高分子溶液被覆からの細繊維を電気紡糸するステップと、紡糸位置が収集媒体に対して離間する関係で収集媒体と紡糸位置とを相対移動させるステップと、細繊維を収集媒体上に堆積させるステップと、紡糸位置と収集媒体との間を一定の間隔に維持するステップと、紡糸位置の各々を高分子溶液被覆で周期的に再生させるステップとを含む。
【0013】
さらに別の発明性を有する態様は、細繊維を生成する方法であって、第1電極および第2電極を離間する関係に配置するステップであって、第2電極が少なくとも1つのストランドを含み、第1電極と第2電極との間に電圧差を発生させるステップと、ストランドを高分子溶液で濡らすステップと、収集媒体を第2電極に対して離間する関係で第1経路に沿って進行させるステップと、電圧差により、少なくとも1つのストランドに沿う複数の紡糸位置に沿う収集媒体上に、高分子材料の細繊維を紡糸するステップと、ストランドを第1経路に対して横断する第2経路に沿って進行させるステップとを含む方法に関する。
【0014】
特定の実施の形態によれば、上記方法は、無端ストランドを少なくとも2つのガイド(ガイドホイールの形状を呈してもよい)上に巻き回すステップと、無端ストランドを少なくとも2つのガイド周りの無端経路に沿って進行させるステップと、無端ストランドの露出され収集媒体に面する第1部分から細繊維を生成するステップと、無端ストランドの第2部分を高分子溶液に浸漬させるステップと、それにより紡糸位置を周期的に再生させるステップとを含んでもよい。さらに、細繊維は、典型的には電極ストランドにわたって間隙を介して隔てられた複数の個別セグメントから生成可能である。紡糸位置は、無端ストランドを第2横断経路に沿って進行させる際、媒体が沿って進行する第1経路に対して横断するように媒体を横切って移動できる。
【0015】
本発明の他の態様、目的および利点は、添付図面を参照した、以下の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に組み込まれ、その一部を成す添付図面は、本発明のいくつかの態様を示し、詳細な説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。図面は下記の通りである。
【0017】
【図1】本発明の実施の形態による濾過媒体の製造に用いることができる細繊維生成装置の部分側立面略図である。
【0018】
【図2】図1に示す装置の部分平面略図である。
【0019】
【図3】本発明の実施の形態に従う、図1に示す略図に組み込んで用いることができる、複数の高分子溶液槽および電気紡糸電極、ならびにそれらを駆動するための適切な駆動機構の等角図である。
【0020】
【図4】図3に示す装置の一部拡大図である。
【0021】
【図5】駆動ユニットの例をより良好に示す、図3に示す装置の一部の異なる拡大等角図である。
【0022】
【図6】図3に示す装置の個々のユニットの1つの拡大側面図である。
【0023】
【図7】図3に示す電気紡糸セルまたはユニットの1つの断面図である。
【0024】
【図8】動作中に個々のチェーンセグメントの各々の高分子溶液被覆から少なくとも2つの紡糸位置をどのように形成するのが典型的であるかを説明するために用いる、前述の図面において用いられる無端チェーン電極の一部の近接説明図である。
【0025】
【図9】本発明の代替の実施の形態によるサーペンタインベルト電気紡糸装置の斜視図である。
【0026】
【図10】動作中にベルトを高分子溶液で濡らすためのニードル投与位置が単一の、無端ベルトを駆動する2つのガイドホイールプーリを伴う本発明のさらに別の代替の実施の形態を示す。
【0027】
本発明は、ある好ましい実施の形態と関連付けて説明されるが、それら実施の形態に限定する意図はない。反対に、意図するところは、全ての代替物、変形、均等物を、特許請求の範囲に定義されているように本発明の精神と範囲内に含まれるものとして、カバーすることである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
説明のために、本発明の実施の形態を、図1および図2に、濾過媒体製造システム12の一部である細繊維製造装置10の部分概略形態で示す。製造システムは、アンワインド装置16上に配置した濾過媒体基体ロール14の形態で示す細繊維収集媒体基体の交換式マスターロール14を含む。連続基体シート18は、細繊維を収集するため濾過媒体基体ロール14から細繊維製造装置を通じて送られ、濾過媒体基体層24および高効率細繊維層26を有する濾過媒体ロール22上にリワインド装置20により巻き取られる。マスター基体ロール14は、空になってから、必要に応じて新しい濾過媒体基体ロールに交換される。
【0029】
図示のように、媒体のシート18は、概ね入口領域32から出口領域34まで細繊維製造装置10を通じて第1方向30に沿って延びている。濾過媒体シートの両方の側部36は、自ずと第1方向30に対して略平行に延びている。
【0030】
細繊維製造装置は、第1および第2電極間に生成される静電界を含む一方、細繊維が生成される1つ以上の紡糸電極40と、細繊維が静電界により提供される力を受けて引き寄せられる収集電極42とを含む。図示のように、通常は細繊維が収集電極42上に堆積せずに濾過媒体シート18上に堆積するように、媒体シート18を紡糸電極40と収集電極42との間に延在させるのが普通である。収集電極42は、好ましくは、スレッド収集位置を最大数にするように相当な表面積を有する導電性多孔板である。多くの小孔46を穿孔板に形成することにより、蒸発した溶媒を施設外などの外部位置に排出するブロワ駆動換気フードシステム48を通じて、蒸発した溶媒を真空吸引(vacuum suction)することが容易になる。(概略的に示すように、収集電極42は、換気フードシステム48と同様に、少なくとも媒体の幅に及ぶとともに、紡糸電極40をひとまとめにした長さに及ぶ。濾過媒体基体層は、収集電極42に接触した状態で延在するとともに、重力に抗する吸引圧力を受けて収集電極42に支持されている。この支持配置は、図示のように平坦で平面状であるのが好ましい。
【0031】
静電界を生成するため、高電圧源が設けられ、かかる高電圧源は、電極40と42の間に10,000〜150,000ボルト以上(濾過媒体用細繊維の製造にとって、より好ましくは75,000〜120,000ボルト)のオーダーの高電圧差を発生させるように、電極40および42の少なくとも一方に接続されるが、他の電圧範囲も可能である。収集電極42は、普通には単純に接地されるが、紡糸電極が接地電位に対して必ずしもかかる高電位を有さなくてもよいように、電圧生成源により収集電極に対して接地電位以外の電位を与えてもよい。いずれの場合も、電圧源は、静電界を通じて高分子溶液から細繊維を紡糸するために十分な電圧差を第1および第2電極間に発生させるように配置される。
【0032】
一実施の形態において、装置は単一紡糸電極40を含む。例えば、図7の単一電極を用いてそれ自体の装置を形成してもよい。その他の図に示すように、複数の紡糸電極40を入口領域32と出口領域との間に設けることができる。1つ以上の紡糸電極を、ユニットとして個々の細繊維製造セル50に組み込んでもよい。例えば、図1〜図3に示すように、入口領域と出口領域との間に複数の細繊維製造セル50を配置することが可能である。細繊維製造セル50の各々は、電線52を介して高電圧源44に結合され、セルの各々は、収集電極42に対して同じ電位差を受ける。
【0033】
個々の製造セル50のさらなる詳細について説明する。図7を参照すると、各セル50は、プラスチック製の有壁箱状の容器構造の形態であってもよい浸漬槽54を含む。浸漬槽54の各壁56は、高電圧源44から槽54に伝えられた電圧の不意の放電を防止するため、プラスチックなどの絶縁材料(ただし、使用予定の溶媒に対して可溶性がないプラスチックまたは他の絶縁材料)から構成される。浸漬槽54は、細繊維の電気紡糸にとって好適な溶媒と好適な高分子との高分子溶液58を含む。
【0034】
プラスチック壁56の1つには、壁56の1つを貫通して延び、電線52を介して高電圧源44に接続される金属の電気端子60が装着されている。端子60は、高分子溶液58と導通することにより、溶液を通じて電位を紡糸電極40に伝えるために溶液を帯電させる。
【0035】
加えて、高分子溶液を周期的に補充するため、一方向チェック弁を含む従来からのクイック接続カップリング62などの流体継手を壁56の1つを貫通して装着することで、かかる溶液のさらなる追加による高分子溶液の周期的な補充が可能になる。流体計量ユニット64およびリザーバ66を含み、槽に高分子溶液をさらに周期的に補充する流体補充システムを接続してもよい。制御弁または個々の計量ユニット(各ユニットを各セルの専用とする)を設けることで、各セルにおける溶液を個々に制御してもよい。
【0036】
図示のように、紡糸電極40は、ストランドの形態を呈してもよいし、実施の形態で示すように、無端チェーン70の形態をした無端ストランドであってもよい。無端チェーン70は金属製または他の導電材料製であるのが好ましく、それにより無端チェーン70は難なく導電性を呈し、かつ高分子溶液58により、およびそれを通じて提供される電気的導通により高電圧源44との間で電気回路を構成する。図8に最良に示すように、無端チェーン70は、複数の個別セグメント72を含むのが好ましい。個別セグメントの各々は、間隙74とスペーサセグメント76とにより、隣接する別のセグメントから離間して接続されている。本実施の形態において、セグメント72はビード付チェーンを形成するビードであり、各ビードは略球状のボール78の形をとる。例えば、ステンレス鋼製のビード付チェーンを紡糸電極とすることができる。
【0037】
無端チェーン70は、浸漬槽54の離間する対向両端にある可動ガイドホイール82の形態をとってもよい2つのガイド周りの無端経路80に沿って装着される。ガイドホイール82は、図示のようにシーブ状構造であってもよく、金属、プラスチック、または他の好適な材料で構成できる。ガイドホイール82は、プラスチック材料の軸などの絶縁軸84に回転可能に装着されることで、浸漬槽54内の電位を絶縁する。軸84は、浸漬槽54の壁56に対して回転可能である。無端チェーン70は、ガイドホイール82に巻き回され、高分子溶液58から露出した直線紡糸経路86を含む。紡糸経路86は、収集電極42に最も近接して対面している。また、無端チェーン70は、無端チェーンのセグメントを周期的に再生させる目的で、(すなわち、チェーンを高分子溶液に浸漬し、通過させることにより)浸漬槽54および高分子溶液58を通して延びる直線戻し経路88を有する。どの時点においても、チェーンの一部は溶液で再生されており、一部は電気紡糸のために露出している。
【0038】
無端チェーン70をガイドホイール82周りの無端経路80に沿って駆動するために、出力軸92上に回転出力部を有する回転モータ90を備えた好適な駆動ユニットが設けられる。出力は、次いで、伝動装置を通じて伝達軸94に伝達され、伝達軸94により、チェーンおよびスプロケット機構96を介して電気絶縁駆動装置98に伝達される。これらの駆動装置98は、永久磁石102を収容する、分離しているが近接して配置されたハウジング100(図6参照)を含み、ハウジング100は、動作時にハウジング100の一方が回転すると、両ハウジング間の永久磁石102の散在した関係およびそれらの永久磁石により生成される反発力または吸引力により他方のハウジング100が回転するように、図示のようなオフセット配置(磁石が互いの間に介在している)に構成されている。駆動ハウジング100の一方を、各浸漬槽セルのガイドホイール82の少なくとも一方に装着されることで、ガイドホイールは、無端チェーン70を無端経路80周りに駆動する駆動ホイールを兼ねるようになっている。勿論、他の適切な駆動ユニットを設けて無端チェーン70を無端経路80周りに駆動してもよい。
【0039】
図1、図2、および図7から分かるように、無端チェーン70の直線紡糸経路86部分は、第1方向30に対して好ましくは横断する(すなわち、垂直または対角もしくは斜めなどその他横方向のいずれかである)第2方向104に沿って移動するため、第1方向に対して横断するように延在する。その結果、媒体のシートが入口領域32から出口領域34まで第1方向30に沿って移動するに従って、無端チェーン70の個々のセグメント72が、対向する側部36の間を基体シートを横切って第2方向に沿って移動する。
【0040】
加えて、図7に最良に示すように、個々のセグメント72が直線紡糸経路86の全体にかけて一端から他端まで移動する際、収集電極42および/または媒体シート18からセグメント72までを一定の離間距離106とすることが可能である。かかる一定の目標距離には、細繊維の製造に大きく影響しない無端チェーンの弛みによる軽微なばらつきがあってもよい。その結果、紡糸目標離間距離106は、厳密に制御可能で、回転ドラムアプリケーションでの場合のように幅広いばらつきが生じることはない。直線紡糸経路86に沿う無端チェーンの望ましくない弛みが存在する限り、経路に沿って中間ガイド支持体(不図示)を設けることが可能で、かかる中間ガイド支持体によって、無端チェーン上の高分子被覆を周期的に再生してもよい。かかる追加の中間支持装置は、はるかに長いスパンにかけての電気紡糸を所望する場合に設けることができる。中間における再生は、高分子溶液をニードルからチェーン上に圧送することにより、および/または、溶液をすくい上げて無端チェーン上に送り込む搬送ホイールを通じて、実現することも可能である。いずれの場合も、紡糸経路に沿う無端チェーンの弛みが軽微である限り、本発明および本明細書に付帯する請求項の意味および文脈における文言上は、一定の離間間隔106を含むと考えられ、紡糸経路86に沿う移動については、本発明および本明細書に付帯する請求項の文脈における文言上は、直線的であると考えられる。
【0041】
上記から明白であるように、直線紡糸経路86および無端チェーン70の移動方向は、収集媒体シート18の移動方向30に対して横断している。好ましくは、および図示のように、この横断配置は垂直であるのが好ましいが、90°以外の角度を含む他の横断配置を用いてもよいことは言うまでもない。従って、本明細書の文脈において、横断とは、垂直を含むがそれを意味するのではなくより広い意味を有し、概ね収集媒体シート18の対向する側部36の間の方向に略横方向に移動する電気紡糸生成のためのストランドも含むことを意図している。
【0042】
動作モードの実施の形態によれば、動作中、濾過媒体収集シート18は、第1方向に沿って連続的に進行するとともに、無端チェーン70は、無端経路80周りを連続的に移動する。しかし、様々な目的のために所望される場合は、いずれも間欠動作とすることが可能であることは言うまでもない。
【0043】
動作中、図7および図8に示すように、直線紡糸経路86に沿う無端チェーン70は、少なくとも1列(図では2列)のアレイ状に直線配列された複数の紡糸位置108を含む。紡糸位置は、間隙74により隔てられ、かかる間隙74は、本実施の形態の場合、紡糸位置108が直線紡糸経路86に沿って均等に離間されるように、均等に離間させた間隙74である。これは、球状ボール78の構成では、細繊維110の形成のための2つの紡糸位置108が生じるのが典型的であるからである。図示のように、紡糸位置108は、球状ボール78の対向側にあり、電気的反発力(例えば、帯電した紡糸スレッドは互いに反発する傾向がある)により直線紡糸経路86に対して垂直な横軸112に沿って離間されている。従って、個々のセグメント72の湾曲形状は、紡糸位置間を所望される間隔とし、各個のセグメント当たり複数の紡糸位置を設けるのに有益であり、それにより、より細い繊維を製造し、細繊維の製造の均一性を制御できる。しかし、紡糸位置を形成するために鋭利な縁部またはセグメント化されていないストランドを提供するなど、他の構成としてもよいことは言うまでもない。
【0044】
水を溶媒として用いる水溶性高分子の場合、装置を、覆っていない状態で用いてもよい。しかし、開示の実施の形態は、浸漬槽の、さもなければ開放された端部118を実質的に覆うように配置された中心カバー116を提供することにより、伝統的な浸漬システムに対して顕著な利点を提供する顕著なオプションの好適な特長を有する。この配置によれば、カバー周りで駆動される無端チェーン電極が、浸漬槽内に収容されカバーにより実質的に浸漬槽に封じ込められた第1部分と、露出され細繊維を生成可能な第2部分とを含むことが分かる。カバー116は、図示のようにバネ電極の異なる部分の間に介在させ、電極の浸漬を実質的に閉じ込めることが可能である。カバー116は、離間する両ガイドホイール82間に実質的に延在し、本実施の形態では、ガイドホイールを受け入れるとともに無端チェーン70が通過できる開口を提供するガイドホイールスロット120を含んでもよい。本実施の形態の場合、セル50当たり2本の無端チェーン70が含まれ、各無端チェーン70に2つのガイドホイール82のみが提供されるため、合計で4つのスロット120を設けることができる。他の支持装置が所望される、または必要とされる場合は、追加のガイドホイールのための追加のスロットを設けてもよい。カバー116は、高分子溶液が揮発性溶媒および/または水以外の溶媒を伴うときに特に有益である。例えば、特定の溶媒材料は、水よりも早く蒸発し得るので、望ましい高分子対溶液比の維持がより困難になる。カバー116により、いずれの瞬間においても外部に露出した溶媒の量が最小化され、それにより溶媒ロスが最小化される。これは、材料の節約および環境的視点からもより有益であろう。
【0045】
例えば、図1〜図8の開示によるカバーを有する無端ビード付チェーンの実施の形態を、カバーのない構成を有する市販装置、すなわち、チェコ共和国リベレツ州のエル−マルコ,s.r.o.(El-Marco, s.r.o.)から入手可能なEl−Marco NANOSPIDER型式NS−8A 1450の装置と比較したところ、16時間の試験期間にわたり顕著な溶媒の節約を示した。詳細には、蟻酸1/3および酢酸2/3の溶媒を用いるナイロン6などの12%高分子溶液(高分子対溶液比)から高分子細繊維を紡糸する際、浸漬槽における溶液を12%に維持するため、エル−マルコ装置の覆われていない浸漬槽における局所的な高分子溶液の補充については、蒸発した溶媒のロスにより、大いに希釈された高分子溶液(より多くの溶媒を含む)を浸漬槽に補充することが要求された。具体的には、エル−マルコ装置には、溶媒を多く含む補充溶液である2%溶液が必要であった。一方、実施の形態では、溶媒の蒸発が少ないため、より多くの高分子を含む溶液である7%補充溶液で12%高分子溶液の維持が達成された。この比較では、装置のパラメータのすべてが等しいわけではないことを述べておく(例えば、とりわけ、電極の構成および駆動が異なり、収集媒体流量が異なり、本発明の実施の形態では、ドラム状電極の回転を収容する必要がないため収集媒体の移動方向において浸漬槽をより薄くできることを考慮すると、浸漬槽の容器サイズがより小さい)。
【0046】
蒸発は大部分が利用可能な表面積(ならびに表面攪拌および空気流(例えば電極の浸漬部の入口および出口領域周辺)など)に関することを考慮したとしても、溶媒の節約は、主として、本明細書において開示されている槽および電極を覆う手法によるものである。例えば、図1〜図8の実施の形態では、高分子溶液の表面、および電極浸漬の入口と出口位置(攪拌エリア)も実質的に覆われている。従って、他のパラメータは、蒸発ロスに対して著しく影響しているようには見えない。比較した装置において、溶媒蒸発についての節約は、60%以上に達し得ると算出された。この利点の多くは、浸漬中の電極を覆ったこと、および高分子溶液を実質的に閉じ込めたことによるものと考えられる。従って、好ましくは、十分な覆いを設けることにより、溶媒ロスを少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%削減する。
【0047】
一実施の形態を実装する際、カバー116を浸漬槽54の壁にねじなどで堅固に締結することが可能である。カバーの構成および取付は、電極の構成に依存し得る。他の配置または他の種類の電気紡糸システムも可能である。好ましくは、カバーにより、高分子溶液の溶媒からの蒸発が、無カバー電極紡糸装置と比較して少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%削減される。例えば、上記実施例では、溶媒のおよそ3分の2の節約が実証されている。
【0048】
さらに、図示の実施の形態は、セル50の対向端に、カバー116の上方に延在する壁延長部124に装着された端部カバー122を含み、端部カバー122は、無端チェーン70の対向端の上方に位置してガイドホイール82の上方に配設される。端部カバー122も、溶媒の蒸発を低減し、また、細繊維の製造スパンを制限するシュラウドとしての役も担う。図示のように、対向端部カバーの内縁の間の端部カバースパン126は、対向する側部36の間に定義された対応する媒体シート18の幅とほぼ同じであり、好ましくは媒体シート18の幅よりも少し長い。細繊維製造装置10を通じて延在し得る収集媒体シート18の異なる幅を収容するためスパン126を調整できるように、端部カバー122は、調整可能であり、および/または、他のより長い端部カバーと相互交換可能であってもよい。
【0049】
図9を参照して、本発明の代替の実施の形態を、多くの点において第1の実施の形態と同様の細繊維製造装置140として示す。例えば、本実施の形態は、高分子溶液で濡らされ収集媒体に対して一定間隔の紡糸位置を維持可能なストランドを同様に用いる。さらに、本実施の形態は、紡糸電極を提供する無端経路周りに駆動される無端ストランドも含む。従って、より際立った差違のいくつかについて詳細に説明する。
【0050】
本実施の形態において、細繊維製造装置は、複数のガイドホイール144周りの無端経路で駆動される無端サーペンタインベルト142を含む。サーペンタインベルト142は導電材料製であるのが好ましく、紡糸電極を提供するため図示のように連続的な無端金属バンドの形態を呈してもよい。サーペンタインベルト142は、各々が複数の紡糸位置を提供する、隣接するガイドホイール144の間のいくつかの直線セグメント146を含む。一般に、収集電極に最も近接して配設された縁部148が、紡糸位置を提供する。この縁部148は、複数の個別の均等に離間する鋭利な縁部(不図示)を提供するため鋸歯状とすることが可能であり、および/または、縁部148に沿って局所的な高分子溶液流体リザーバを提供するためポケットその他を構成することができる。好ましくは、ガイドホイールは、ベルト142上の孔152および他の同様の位置決め構造に係合する歯または他の位置決め構造を含み、一定の間隔が望ましい場合は、縁部を一定の間隔に維持することにより一定の離間距離106を維持する。
【0051】
サーペンタインベルト142は、電圧源により静電界を生成し、それにより紡糸電極としての役を担う。ベルト142に沿って高分子溶液を提供するため、本実施の形態は、サーペンタインベルト142の縁部148に隣接して離間する制御オリフィス155を有する1つ以上のニードル154を含む濡れ供給システムを含む。加えて、ニードルは、リザーバ158からの高分子溶液を配給するポンプ156により実現される加圧高分子溶液源に、流体線路に沿って接続される。従って、ストランドの生成は、必ずしも浸漬により行う必要はなく、代替として、本実施の形態に従って他の手段において濡らすことにより行うことができる。加えて、本実施の形態は、浸漬槽において電極を浸漬させる能力も提供可能である。例えば、サーペンタインベルトの柔軟な性質により、サーペンタインベルトの各部分を、水平方向ではなく垂直方向に延在するように配置することが可能である。代替として、収集媒体を水平方向ではなく垂直方向に延在するように配置した状態で、右手部分を、高分子溶液を含む浸漬容器に浸漬させてもよい。
【0052】
図9の実施の形態に大きく類似する細繊維製造装置160である本発明の第3の実施の形態を図10に示す。従って、説明は限定する。本実施の形態は、同様に、ニードル制御オリフィス、ポンプ、および高分子溶液リザーバを備える高分子供給システムを用いることが可能である。本実施の形態も、無端ストランドを用い、かかる無端ストランドは、本実施の形態では、2つのプーリ164周りで駆動されるより単純な金属バンド162の形態を呈する。繊維の生成は、収集媒体(不図示)に最も近接して配設されることを意図する縁部166から得ることができる。また、本実施の形態は、バンド162の両方の直線セグメント168が繊維の製造のために配置され、高分子溶液に浸漬されないという点を除き、第1の実施の形態に大きく類似する。セグメント168の各々を一定の距離に維持する必要がないことに留意すべきである。例えば、収集媒体に対して異なる距離に配置された、異なる繊維生成紡糸電極ストランドを有し、異なる特性の異なる繊維を生成することが有益であるかもしれない。本実施の形態において、プーリ164は、シーブまたは他の位置決め構造の形態を呈することで、収集媒体に対する縁部166の位置決めを維持してもよい。
【0053】
本明細書中で引用する公報、特許出願および特許を含むすべての文献は、各文献を個々に、具体的に示し、引用して組み込むかのように、また、その全体を本明細書に記載するかのように、引用して組み込まれる。
【0054】
本発明の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数および複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」および「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「〜を含むが限らない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、請求項に記載されていない要素を、本発明の実施に不可欠であるものとして示すものとは解釈されないものとする。
【0055】
本明細書中では、本発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読めば、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを予期しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本発明が実施されることを予定している。従って本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正および均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、すべての変形における上記要素のいずれの組み合わせも本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細繊維を収集媒体上に製造するための装置であって:
第1電極と;
前記第1電極から離間する第2電極であって、前記第2電極が、少なくとも2つのガイド上に巻き回されたストランドを含む、第2電極と;
第1経路に沿って離間する入口領域および出口領域であって、前記収集媒体が、前記第1経路に沿って前記入口領域から前記出口領域まで、前記第2電極から離間する関係で駆動されるようになされている、入口領域および出口領域と;
前記ストランドを前記少なくとも2つのガイドに沿って駆動し、前記第1経路に対して横断する第2経路に沿って移動させるようになされた駆動ユニットと;
前記第1および第2電極の間に電圧差を発生し、細繊維の紡糸を発生させるように配置された電圧源とを備える;
装置。
【請求項2】
前記ストランドは、無端経路周りを駆動される無端ストランドであり、
前記第2経路は前記無端経路の一部であり、
前記無端経路は、前記第2経路から離間する戻り経路をさらに含み、
前記無端ストランドは、前記戻り経路に沿う部分が前記第2経路よりも第1電極から離れている、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
高分子溶液を収容するようになされた浸漬槽をさらに含み、
前記無端ストランドは、前記戻り経路に沿う部分が前記高分子溶液に浸漬されることにより前記高分子溶液で被覆されるように、前記浸漬槽を通って進む、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記無端ストランドは、間隙を介して分離された複数の個別セグメントの無端チェーンであり、
各セグメントは、典型的には、動作中に高分子細繊維が電気紡糸される少なくとも1つの個別の紡糸位置を提供する、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記セグメントの各々は略球形のボールである、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ガイドは、前記第1経路に対して略平行な軸周りに回転可能な1対の離間するホイールを備える、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ストランドは、3つ以上のガイド上に巻き回され無端経路に沿って移動する無端サーペンタインベルトであり、前記無端サーペンタインベルトは、前記第1経路に対して横断するように延びる複数の略直線のスパンを含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記高分子溶液の供給源に接続された計量ユニットと;
前記サーペンタインベルトの縁部を濡らすように配置された出口を有する少なくとも1つの投与ニードルとをさらに備える;
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
それぞれ前記入口領域および前記出口領域に近接して配置されたアンワインド装置およびリワインド装置と;
前記アンワインド装置および前記リワインド装置上に設けられた濾過媒体のロールであって、前記ロールは前記収集媒体により接続され、前記濾過媒体は、動作中に、前記アンワインド装置から巻き出され、第1経路に沿って前記入口領域から前記出口領域まで進行し、前記リワインド装置上に巻き戻される、ロールとをさらに備える;
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
細繊維を収集媒体上に製造するための装置であって:
前記収集媒体を支持するための平坦支持表面を有する収集電極と;
前記平坦支持表面に隣接する直線セグメントを有する少なくとも1つの紡糸電極と;
前記紡糸電極を駆動するようになされた駆動ユニットであって、前記直線セグメントが、前記駆動ユニットによる駆動時に前記平坦支持表面から一定の間隔を維持する、駆動ユニットと;
前記収集電極および前記紡糸電極の間に電圧差を発生させ、細繊維の紡糸を発生させるように配置された電圧源とを備える;
装置。
【請求項11】
第1経路に沿って離間する入口領域および出口領域であって、前記収集媒体は、前記第1経路に沿って前記収集電極を横切って前記入口領域から前記出口領域まで、前記紡糸電極から離間する関係で駆動されるようになされている、入口領域および出口領域と;
高分子溶液を収容するようになされた浸漬槽であって、前記紡糸電極が、前記紡糸電極の一部が前記高分子溶液に浸漬され、それにより前記紡糸電極が前記高分子溶液で被覆されるように、前記浸漬槽を通って延在した状態で、および前記紡糸電極の一部が細繊維を生成するように露出した状態で、無端経路周りを駆動される、浸漬槽とをさらに含む;
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
細繊維生成装置の入口領域から出口領域まで第1経路に沿って基板材料のシートを供給する基板材料のロールを備え;
前記シートは、前記第1経路に対して略平行な対向側縁部を有し、前記細繊維生成装置は、少なくとも1つのストランドと、前記第1経路に対して横断する第2経路に沿って第1ガイドから第2ガイドまで前記ストランドを駆動する駆動ユニットとを含み;
前記ストランドは、高分子溶液で濡らされるとともに電圧差を受けて前記基板材料上に堆積される細繊維を生成する、
濾過媒体製造システム。
【請求項13】
前記第1経路は前記対向する側縁部間に延びており、
前記ストランドは、間隙を介して分離された複数の個別セグメントの無端チェーンであり、
各セグメントは、典型的には、動作中に高分子細繊維が紡糸される少なくとも1つの個別の紡糸位置を提供し、
各個別の紡糸位置は、前記基板材料の一方の側縁部から他方の側縁部まで前記基板材料上を横方向に移動する、
請求項12に記載の濾過媒体製造システム。
【請求項14】
前記ストランドは、無端経路周りを駆動され、
前記第1経路は前記無端経路の一部であり、
前記無端経路は、前記第2経路から離間する戻り経路をさらに含み、
前記ストランドは、前記戻り経路に沿う部分が前記第2経路よりも前記第1電極から離れている、
請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記高分子溶液を収容するようになされた浸漬槽をさらに含み、
前記ストランドは、前記戻り経路に沿う部分が前記高分子溶液に浸漬されることにより高分子溶液で被覆されるように、前記浸漬槽を通って進む、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
電極の直線アレイ状に配置された複数の紡糸位置から、前記電極上の高分子溶液被覆から細繊維を電気紡糸するステップと;
前記紡糸位置が収集媒体に対して離間する関係で前記収集媒体と前記紡糸位置とを相対直線移動させるステップと;
前記細繊維を前記収集媒体上に堆積させるステップと;
前記紡糸位置と前記収集媒体との間を一定の間隔に維持するステップと;
前記紡糸位置の各々を高分子溶液被覆で周期的に再生させるステップとを備える;
細繊維を生成する方法。
【請求項17】
前記直線アレイは、複数列の紡糸位置を含み、
前記紡糸位置の少なくとも1つの第1列を第1方向に移動させるステップと;
前記紡糸位置の少なくとも1つの第2列を第2方向に移動させるステップとをさらに備える;
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記周期的に再生させるステップは:
前記紡糸位置を高分子溶液に浸漬させるステップと;
前記堆積ステップ中に前記収集媒体を平坦支持体上を進行させるステップとを有する;
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記電極は、無端ストランドを含み、
前記ストランドは、間隙を介して分離する複数の個別セグメントを有し、
前記無端ストランドを少なくとも2つのプーリ上に巻き回すステップと;
前記無端ストランドを前記少なくとも2つのプーリ周りの無端経路に沿って進行させるステップと;
典型的には前記個別セグメントの各々から、細繊維を紡糸することにより、前記無端ストランドの露出され前記収集媒体に面する第1部分から細繊維を生成するステップであって、前記紡糸位置は、前記無端ストランドを前記第2経路に沿って進行させる際、前記第1経路に対して横断するように前記媒体を横切って移動する、ステップと;
前記無端ストランドの第2部分を前記高分子溶液に浸漬させるステップとをさらに備える;
請求項16に記載の方法。
【請求項20】
第1電極および第2電極を離間する関係に配置するステップであって、前記第2電極は少なくとも1つのストランドを含む、ステップと;
前記第1電極と前記第2電極との間に電圧差を発生させるステップと;
前記ストランドを高分子溶液で濡らすステップと;
収集媒体を前記第2電極に対して離間する関係で第1経路に沿って進行させるステップと;
前記電圧差により、前記少なくとも1つのストランドに沿った複数の紡糸位置に沿う前記収集媒体上に、高分子材料の細繊維を紡糸するステップと;
前記ストランドを前記第1経路に対して横断する第2経路に沿って進行させるステップとを備える;
細繊維を生成する方法。
【請求項21】
前記ストランドは、無端ストランドであり、
前記無端ストランドを少なくとも2つのガイド上に巻き回すステップと;
前記無端ストランドを前記少なくとも2つのガイド周りの無端経路に沿って進行させるステップと;
前記無端ストランドの露出され前記収集媒体に面する第1部分から細繊維を生成するステップと;
前記無端ストランドの第2部分を前記高分子溶液に浸漬させるステップとをさらに備える;
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ストランドは、間隙を介して分離された複数の個別セグメントを有する無端ストランドであり、
典型的には前記個別セグメントの各々の紡糸位置から、細繊維を生成するステップであって、前記紡糸位置は、前記無端ストランドを前記第2経路に沿って進行させる際、前記第1経路に対して横断するように前記媒体を横切って移動する、ステップとをさらに備える;
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記個別セグメントの各々から、典型的には少なくとも2つの紡糸位置を発生させるステップをさらに備える;
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記収集媒体は、濾過媒体基板であり、
前記濾過媒体基板を巻き出すステップと;
前記濾過媒体基板を前記第2電極上に送るステップと;
前記濾過媒体基板上に細繊維を堆積させて細繊維層とするステップと;
前記細繊維層と一体となった前記濾過媒体基板を巻き戻すステップとをさらに備える;
請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記第2経路に沿う対向方向に複数のストランドを進めさせるステップをさらに備える;
請求項20に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2011−503384(P2011−503384A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534140(P2010−534140)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/083219
【国際公開番号】WO2009/067368
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(510135935)クラーコア インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】CLARCOR Inc.
【住所又は居所原語表記】840 Crescent Drive,Suite 600,Franklin,Tennessee 37067 United States of America
【Fターム(参考)】