説明

細胞および/または高分子の保存および/または安定化のための組成物、システムおよび方法

本開示は、細胞(例えば、完全細胞)を保存および/もしくは安定化するための組成物、システムおよび方法に関する。細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、キレート化剤、キレート化剤増強成分、および必要に応じて、塩基(例えば、プリン塩基もしくはピリミジン塩基)を含み得る。細胞安定化方法は、細胞と、細胞および/もしくは高分子安定化組成物とを接触させる工程を包含し得る。細胞安定化システムは、細胞を含むサンプルを受容するのに適した容器、ならびに細胞および/もしくは高分子安定化組成物を含み得る。細胞は、周囲条件下で(例えば、冷却なしで)保存および/もしくは安定化され得る。細胞は、タンパク質、核酸、ならびに/または細胞保存および/もしくは安定化の別の生体分子マーカーを含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2007年3月14日に出願された米国仮特許出願第60/894,795号、2007年9月7日に出願された米国仮特許出願第60/970,881号、および2007年10月29日に出願された米国仮特許出願第60/983,468号の利益を請求する。本願は、2007年3月14日に出願された米国特許出願第11/686,169号の一部継続出願である。本願は、2007年3月14日に出願されたPCT出願第PCT/US07/63982号の一部継続出願である。上述の出願の各々の内容は、本明細書中にその全体が参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、一般に、高分子および/もしくは生体分子の保存のための組成物、システム、および方法に関する。例えば、本開示の組成物、システム、および方法は、コンホメーション特異的様式および/もしくは配列特異的様式において、別の分子と相互作用し得る条件において、高分子および/もしくは生体分子を保存および/もしくは安定化するために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
(背景)
高分子および生体分子は、いくつかの条件下で不安定であり得る。核酸分子は、例えば、ヌクレアーゼの存在下で分解され得る。同様に、タンパク質分子は、プロテアーゼの存在下で分解され得る。高分子および生体分子の分解は、時間とともに増大し得る。このような分子の特性(存在、濃度、配列、コンホメーション)の検出を含むアッセイの効力は、このような分解が起こる場合、低下し得るかまたは失われ得る。例えば、微量の生体分子の検出に依存する診断アッセイもしくは法医学的アッセイは、生体分子が分解した場合に、信頼性の高い結果を生むことができない可能性がある。
【0004】
性行為感染症(STD)病院は、定期的に、淋病および梅毒としてこのような疾患に関してスクリーニングし、患者を処置する。淋菌のような感染性因子は、DNAサンプルを分析することによって検出され得る。遺伝的形質転換(genetic transformation)試験(GTT)(例えば、GonostatTM(Sierra Diagnostics,Inc.,Sonora,Calif.))は、非特許文献1に従って、男性の尿道、ならびに女性の子宮頚管および肛門から採取された標本中の淋菌DNAを検出するために使用され得る。WL Whittingtonらは、類似の結果を得た(非特許文献2)。しかし、感染性因子の存在について患者をすぐに試験することは、常に可能であるわけではない。例えば、病院の実験室は、多くの田舎の地域もしくは未開発地域においては容易に見いだされない。このような状況において、分析用の実験室に患者の試験標本を輸送することが必要であるが、その間に、目的の標本は、部分的にもしくは完全に分解してしまうかもしれない。
【0005】
高分子および/もしくは生体分子の分解は、上記高分子もしくは生体分子の温度を低下させることによって、軽減し得る。しかし、この選択肢は、全ての状況において利用可能でない可能性があるかまたは、十分に長期間にわたって(例えば、サンプル収集の時から分析時まで)利用可能でない可能性がある。例えば、遠隔地でサンプルが収集される(例えば、患者から)場合、サンプルが、上記サンプルが分析される施設へ輸送されるのに十分長く、その標的分子を保存することは、困難もしくは不可能であり得る。さらに、冷却は、全てのサンプルに対して均一ではない可能性があるか、そして/または実験間で一定でない可能性がある。
【0006】
高分子および/もしくは生体分子の分解は、1種以上のヌクレアーゼもしくはプロテアーゼを不活性化するに十分な温度へと、組成物を加熱することによって軽減され得る。しかし、限られた数のプロテアーゼおよびヌクレアーゼが、加熱によって不活性化されるに過ぎない。さらに、加熱は、標的分子を保存するのではなく、分解し得る。
【0007】
疾患の診断は、収集と分析の間に維持される細胞の状態に依存し得る。しかし、高分子のように、細胞(例えば、完全細胞)は、その通常の環境の外では不安定であり得る。例えば、ヒトの身体から取り出された細胞(例えば、血球)は、取り出されてから数秒から数分以内に劣化し始める可能性がある(例えば、溶解、酸化、および/もしくは凝集し得る)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】HW Jaffeら、J.Inf.Dis.146:275−279(1982)
【非特許文献2】WL Whittingtonら、Abstr.Ann.Meeting Am.Soc.Microbiol.,p.315(1983)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(要旨)
従って、細胞(例えば、完全細胞)を保存および/もしくは安定化するための組成物、システム、および方法の必要性が生じた。
【0010】
本開示は、高分子および/もしくは生体分子(まとめて「高分子」)を保存および/もしくは安定化するための組成物、システム、および方法に関する。いくつかの実施形態によれば、高分子および/もしくは生体分子は、タンパク質および/もしくは核酸(例えば、DNAおよびRNA)を含み得る。当業者によって認識されるように、核酸は、複数の供給源に由来する配列を含み得る。例えば、単一の核酸は、人口配列(例えば、プライマー結合部位)、ヒト配列(例えば、adenomatous polyposis coli(APC)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、乳癌1(BRCA1)、膜貫通プロテアーゼセリン2(TMPRSS2)、v−ets赤芽球症ウイルスE26癌遺伝子ホモログ(ERG))、植物配列、微生物配列(例えば、抗生物質耐性遺伝子)、ウイルス配列(例えば、HIVプロテアーゼ)、および/もしくはこれらの組み合わせを含み得る。単一の核酸配列はまた、共通する供給源の通常でないかもしくは2つの配列の人工的融合物(例えば、TMPRSS2:ERG融合物)を含み得る。高分子は、上記高分子が、存在する場合に、少なくともサンプル収集の時からサンプル分析の時まで検出可能な形態で維持される限りにおいて、保存されるとみなされ得る。いくつかの実施形態において、本開示は、体液もしくは排出物(例えば、尿、血液、血清、羊水、髄液、結膜液、唾液、膣液、糞便、精液、および汗)中の高分子の保存および/もしくは安定化に関する。いくつかの実施形態において、核酸ハイブリダイゼーションにおける予測外の改善は、このような核酸試験法において(例えば、本開示の保存組成物、システム、もしくは方法が内場合に行われる同じ方法と比較して)観察され得る。
【0011】
本開示は、細胞(例えば、完全細胞)ならびに/または高分子および/もしくは生体分子(まとめて、「高分子」)を、保存および/もしくは安定化するための組成物、システム、および方法に関する。例えば、本開示は、いくつかの実施形態によれば、細胞(例えば、完全細胞)を保存および/もしくは安定化するための組成物(「細胞安定化組成物」)に関する。
【0012】
いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、(a)キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、[エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)]四酢酸(EGTA)、1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)、およびこれらの塩から選択されるキレート化剤)、(b)少なくとも1種のキレート化剤増強成分(例えば、グアニジン、塩化リチウム、サリチル酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、およびチオシアン酸ナトリウムからなる群より選択される、キレート化剤増強成分)、ならびに必要に応じて、(c)プリン塩基およびピリミジン塩基からなる群より選択される、塩基を含み得る。キレート化剤、キレート化剤増強成分、および/もしくは塩基の濃度は、任意の達成し得る濃度から各々選択され得る。例えば、キレート化剤の濃度は、約0.1mM〜約0.1Mであり得、キレート化剤増強成分の濃度は、約1mM〜約5Mであり得;そして/または塩基の濃度は、約0.1mM〜約5Mであり得る。いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、水溶液として処方され得る。いくつかの実施形態において、キレート化剤増強成分は、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、および塩化リチウムからなる群より選択され得る。細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、いくつかの実施形態によれば、塩化マンガン、サルコシル、ドデシル硫酸ナトリウム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の酵素不活性化成分を含んでいてもよいし、除いてもよい。いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、固体、液体、および/もしくはヒドロゲルを含み得る。細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、いくつかの実施形態において、溶媒(例えば、水および/もしくは有機溶媒)を含み得る。細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、いくつかの実施形態によれば、細胞(例えば、インタクトな細胞、完全細胞など)、タンパク質(例えば、細胞性タンパク質および/もしくは細胞非含有タンパク質(cell−free protein))、ならびに/または核酸(例えば、細胞性および/もしくは無細胞性のRNA、DNAなど)を含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、可塑剤(例えば、クエン酸化アルコール)および/もしくは抗凝固剤(例えば、ヘパリン)を含み得る。細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、いくつかの実施形態において、室温(例えば、約20℃)で保存したサンプル(例えば、血液サンプル)における凝集および/もしくは凝固を軽減および/もしくはブロックし得る。
【0014】
細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、いくつかの実施形態によれば、緩衝液を含み得る。例えば、緩衝液は、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシアミノ)メタン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、2−[(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸、N−(2−アセトアミド)2−イミノ二酢酸、3−[(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルグリシン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)イミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン、3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸、3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、N−(2−ヒドロキシエチルピペラジン)−N’−(3−プロパンスルホン酸)、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、2−(N−モルホリン)エタンスルホン酸、トリエタノールアミン緩衝液、イミダゾール、グリシン、エタノールアミン、3−(N−モルホリン)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、N−トリス[(ヒドロキシメチル)メチル]−3−アミノプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、本開示はまた、細胞を保存および/もしくは安定化するための方法(「細胞安定化方法」)に関する。細胞安定化方法は、例えば、高分子と、細胞および/もしくは高分子安定化組成物とを接触させる工程を包含し得、上記組成物は、(a)キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(etbylenediaminetetraacetic acid)(EDTA)、[エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)]四酢酸(EGTA)、1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸 (BAPTA)、およびこれらの塩からなる群より選択される、キレート化剤)、(b)少なくとも1種のキレート化剤増強成分(例えば、グアニジン、塩化リチウム、サリチル酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、およびチオシアン酸ナトリウムからなる群より選択される、キレート化剤増強成分)、ならびに(c)塩基(例えば、プリン塩基およびピリミジン塩基からなる群より選択される塩基)を含む。細胞は、いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞、植物細胞、酵母細胞、細菌細胞、ウイルス感染細胞、病的細胞、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される細胞を含み得る。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞は、赤血球、白血球、リンパ球、組織球、上皮細胞、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される細胞を含み得る。哺乳動物細胞は、いくつかの実施形態によれば、ヒト細胞を含み得る。高分子安定化組成物および/もしくは方法で保存および/もしくは安定化されるべき高分子は、いくつかの実施形態によれば、DNA、RNA、mRNA、およびcDNAからなる群より選択される核酸を含み得る。核酸は、例えば、原核生物および/もしくは真核生物のDNAを含み得る。いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子安定化組成物ならびに/または細胞および/もしくは高分子安定化方法で、保存および/もしくは安定化されるべき細胞および/もしくは高分子は、ヒト被験体から得られた体液中に存在し得る。体液としては、例えば、血液、血清、羊水、髄液、結膜液、唾液、膣液、糞便、精液、および汗からなる群より選択される物質が挙げられ得る。
【0016】
本開示はさらに、いくつかの実施形態において、細胞(例えば、完全細胞)(「細胞安定化システム」)および/もしくは高分子(「高分子安定化システム」)を保存および/もしくは安定化するためのシステムに関する。細胞および/もしくは高分子安定化システムは、細胞を含むサンプルを受容しかつ上記サンプルが入るように構成されかつ配置されたサンプル容器、ならびに細胞および/もしくは高分子安定化組成物(例えば、キレート化剤、少なくとも1種のキレート化剤増強成分、および塩基を含む)を含み得る。システムはまた、いくつかの実施形態において、ユーザー説明書を含み得る。上記サンプル容器は、いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子安定化組成物を含み得る。例えば、上記サンプル容器は、少なくとも1つの内表面および少なくとも1つの外表面を含み得、上記少なくとも1つの該表面には、細胞および/もしくは高分子安定化組成物がコーティングされている。サンプル容器は、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの小胞、リポソーム、および/もしくはミセルを含み得る。細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、小胞、リポソーム、および/もしくはミセルの内腔内に存在し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示のいくつかの実施形態は、一部は以下の説明および添付の図面を参照することによって理解され得る。
【図1】図1は、本開示の実施形態に従って保存された尿中のDNA濃度の棒グラフである。
【図2】図2は、本開示の実施形態に従って保存された尿に関する8日間の連続データのグラフである。
【図3】図3は、本開示の実施形態に従って保存されていない正常尿および本開示の実施形態に従って保存された正常尿におけるPCR結果を含むグラフである。
【図4】図4は、本開示の実施形態に従って保存された血清に関する8日間の連続データのグラフである。
【図5】図5は、本開示の実施形態に従って保存された血清中のDNA濃度のグラフである。
【図6】図6は、本開示の一実施形態に従ってDNAを保存するためのシステムの模式図である。
【図7】図7は、上記DNAが本開示の保存剤で処理され、一方は処理されていないPCRアッセイにおけるシグナル応答の比較をグラフで示す。
【図8】図8は、種々の保存条件に供した血漿サンプルの分枝DNAアッセイのシグナル応答を増強する、本開示の試薬の効力を例示する。
【図9】図9は、血清サンプルおよび血漿サンプルの分枝DNAアッセイのシグナル応答を増強する、本開示の試薬の効力を例示する。
【図10】図10は、保護されていない血清中のB型肝炎配列MD03/06に関するPCR増幅アッセイのPCR吸光度に対するメトヘモグロビンの干渉を示すグラフである。
【図11】図11は、本開示の保存剤で処置した血清中のB型肝炎配列MD03/06に関するPCR増幅アッセイのPCR吸光度に対するメトヘモグロビンの干渉を減少させることにおける改善を示すグラフである。
【図12A】図12Aは、緩衝液(保護なし)、グアニジンのみ、EGTAのみ、もしくはEGTA+グアニジンと接触させた血清中において、MD03プライマーおよびMD06プライマー、ならびにB型肝炎テンプレートを使用する例示的PCR増幅から得られた結果の代表を示すチャートである。
【図12B】図12Bは、緩衝液(保護なし)、EDTAのみ、過塩素酸ナトリウムのみ、もしくはEDTA+過塩素酸ナトリウムと接触させた血清中において、MD03プライマーおよびMD06プライマー、ならびにB型肝炎テンプレートを使用する例示的PCR増幅から得られた結果の代表を示すチャートである。
【図12C】図12Cは、緩衝液(保護なし)、EGTAのみ、過塩素酸ナトリウムのみ、もしくはEGTA+過塩素酸ナトリウムと接触させた血清中において、MD03プライマーおよびMD06プライマーならびにB型肝炎テンプレートを使用する例示的PCR増幅から得られた結果の代表を示すチャートである。
【図12D】図12Dは、緩衝液(保護なし)、EDTAのみ、もしくはEDTA+チオシアン酸ナトリウムと接触させた血清中において、MD03プライマーおよびMD06プライマーならびにB型肝炎テンプレートを使用する例示的PCR増幅から得られた結果の代表を示すチャートである。
【図12E】図12Eは、緩衝液(保護なし)、EGTAのみ、もしくはEGTA+チオシアン酸ナトリウムと接触させた血清中において、MD03プライマーおよびMD06プライマーならびにB型肝炎テンプレートを使用する例示的PCR増幅から得られた結果の代表を示すチャートである。
【図12F】図12Fは、緩衝液(保護なし)もしくはBAPTAのみと接触させた血清中において、MD03プライマーおよびMD06プライマーならびにB型肝炎テンプレートを使用する例示的PCR増幅から得られた結果の代表を示すチャートである。
【図13A】図13Aは、室温で保存し、その後本開示の試薬中に含まれる特定の成分の個々の添加によって提供されるPCR検出に供した尿中の淋菌DNAに対して保存効果がないことを示すグラフである。
【図13B】図13Bは、室温で保存し、その後本開示の試薬中に含まれる特定の成分の個々の添加によって提供されるPCR検出に供した尿中の淋菌DNAに対して保存効果がないことを示すグラフである。
【図13C】図13Cは、室温で保存し、その後本開示の試薬中に含まれる特定の成分の個々の添加によって提供されるPCR検出に供した尿中の淋菌DNAに対して保存効果がないことを示すグラフである。
【図13D】図13Dは、室温で保存し、その後本開示の試薬中に含まれる特定の成分の個々の添加によって提供されるPCR検出に供した尿中の淋菌DNAに対して保存効果がないことを示すグラフである。
【図13E】図13Eは、室温で保存し、その後本開示の試薬中に含まれる特定の成分の個々の添加によって提供されるPCR検出に供した尿中の淋菌DNAに対して保存効果がないことを示すグラフである。
【図13F】図13Fは、室温で保存し、その後本開示の試薬中に含まれる特定の成分の個々の添加によって提供されるPCR検出に供した尿中の淋菌DNAに対して保存効果がないことを示すグラフである。
【図13G】図13Gは、室温で保存し、その後本開示の試薬中に含まれる特定の成分の個々の添加によって提供されるPCR検出に供した尿中の淋菌DNAに対して保存効果がないことを示すグラフである。
【図14A】図14Aは、シトシンのみもしくはチオシアン酸ナトリウム+EDTA+シトシンと接触させた新鮮な尿中において、淋菌DNAテンプレートを使用する例示的PCR増幅の結果を示すチャートである。
【図14B】図14Bは、グアニンのみもしくはチオシアン酸ナトリウム+EDTA+グアニンと接触させた新鮮な尿中において、淋菌DNAテンプレートを使用する例示的PCR増幅の結果を示すチャートである。
【図14C】図14Cは、チミンのみもしくはチオシアン酸ナトリウム+EDTA+チミンと接触させた新鮮な尿中において、淋菌DNAテンプレートを使用する例示的PCR増幅の結果を示すチャートである。
【図14D】図14Dは、ウラシルのみもしくはチオシアン酸ナトリウム+EDTA+ウラシルと接触させた新鮮な尿中において、淋菌DNAテンプレートを使用する例示的PCR増幅の結果を示すチャートである。
【図15A】図15Aは、1M アデニン、1M チオシアン酸ナトリウム、1M EDTA、もしくは1M チオシアン酸ナトリウム+0.01M EDTA+1M アデニンと接触させた新鮮な尿中において、淋菌DNAテンプレートを使用する例示的PCR増幅の結果を示すチャートである。
【図15B】図15Bは、1M アデニン、1M EDTA、2M チオシアン酸ナトリウム+1M EDTA、もしくは2M チオシアン酸ナトリウム+1M EDTA+1M アデニンと接触させた新鮮な尿中において、淋菌DNAテンプレートを使用する例示的PCR増幅の結果を示す。
【図15C】図15Cは、1M アデニン、1M グアニジン、1M グアニジン+0.01M EDTA、2M チオシアン酸ナトリウム+1M EGTA、もしくは1M グアニジン・HCl+1M EGTA+2M アデニンと接触させた新鮮な尿中において、淋菌DNAテンプレートを使用する例示的PCR増幅の結果を示すチャートである。
【図15D】図15Dは、1M アデニン、1M グアニジン、1M グアニジン+0.01M EDTA、1M 塩化リチウム+1M BAPTA、もしくは2M グアニジンチオシアネート+1M BAPTA+2M アデニンと接触させた新鮮な尿中において、淋菌DNAテンプレートを使用する例示的PCR増幅の結果を示すチャートである。
【図15E】図15Eは、1M 過塩素酸ナトリウム、1M チオシアン酸ナトリウム+2M EDTA、もしくは1M 過塩素酸ナトリウム+1M EDTAと接触させた新鮮な尿中において、淋菌DNAテンプレートを使用する例示的PCR増幅の結果を示すチャートである。
【図16A】図16Aは、1M グアニジン・HClもしくは1M グアニジン・HCl+0.01M BAPTA+4M アデニンと接触させた新鮮な尿中において、淋菌DNAテンプレートを使用する例示的PCR増幅の結果を示すチャートである。
【図16B】図16Bは、0.01M EDTA、2M チオシアン酸ナトリウム、1M チオシアン酸ナトリウム+0.1M EDTA+1M アデニン、もしくは2M チオシアン酸ナトリウム+0.1M EGTA+2M アデニンと接触させた新鮮な尿中において、淋菌DNAテンプレートを使用する例示的PCR増幅の結果を示すチャートである。
【図17A】図17Aは、試験組成物(例えば、本開示の例示的実施形態もしくはコントロール)と接触させ、フローサイトメトリー分析に供した細胞の経時的なCD3パーセンテージのプロットである。
【図17B】図17Bは、試験組成物(例えば、本開示の例示的実施形態もしくはコントロール)と接触させ、フローサイトメトリー分析に供した細胞の経時的なCD4パーセンテージのプロットである。
【図17C】図17Cは、試験組成物(例えば、本開示の例示的実施形態もしくはコントロール)と接触させ、フローサイトメトリー分析に供した細胞の啓示的なCD3絶対数のプロットである。
【図18】図18は、試験組成物(例えば、本開示の例示的実施形態もしくはコントロール)と接触させたサンプルの経時的な総RNA収量(曲線下の測定された面積)のプロットである。
【図19A】図19Aは、PAXgeneTM組成物と接触させたRNA含有サンプルの電気泳動図である。
【図19B】図19Bは、EDTA組成物と接触させたRNA含有サンプルの電気泳動図である。
【図19C】図19Cは、本開示の具体例の実施形態に従う組成物と接触させたRNA含有サンプルの電気泳動図である。
【図19D】図19Dは、本開示の具泰定の実施形態に従う組成物と接触させたRNA含有サンプルの電気泳動図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(説明)
本開示は、細胞(例えば、完全細胞)ならびに/または高分子および/もしくは生体分子(「高分子」)の分解を遅らせるための組成物、システム、および方法に関する。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、組成物は、細胞を保存および/もしくは安定化し得る(「細胞および/もしくは高分子安定化組成物」)。細胞は、完全細胞を含み得る。完全細胞は、例えば、細胞表面物質(例えば、細胞表面タンパク質、細胞外マトリクス、細胞壁、および/もしくは外膜)を含み得る。保存および/もしくは安定化され得る細胞としては、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)、植物細胞、酵母細胞、細菌細胞、ウイルス感染細胞、病的細胞、およびこれらの組み合わせから選択される細胞を含み得る。哺乳動物細胞としては、赤血球、白血球、リンパ球、組織球、上皮細胞、幹細胞、およびこれらの組み合わせから選択される細胞が挙げられ得る。
【0020】
細胞は、いくつかの実施形態において、生きたまま維持される場合、保存および/もしくは安定化され得る。いくつかの実施形態において、細胞は、インビボの細胞と(例えば、形態学的に、生理学的に、遺伝的に、および/もしくは生化学的に)同じ条件もしくは実質的に同じ条件において維持される場合に、保存および/もしくは安定化され得る。細胞は、いくつかの実施形態において、身体もしくは体液中に存在していたときと同じもしくは実質的に同じ条件(例えば、健康的もしくは病的な)で維持される場合に、保存および/もしくは安定化され得る。例えば、保存および/もしくは安定化は、細胞のエネルギー消費、存在する代謝産物(例えば、ピルベート)の量、存在する遊離ATPの量、転写および/もしくは翻訳の速度、ならびに/または1種以上のタンパク質および/もしくは核酸の存在(もしくは非存在)に関して評価され得る。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、高分子および/もしくは生体分子は、タンパク質および/もしくは核酸(例えば、DNAおよびRNA)を含み得る。当業者によって認識されるように、核酸は、複数の供給源に由来する配列を含み得る。例えば、単一の核酸は、人工配列(例えば、プライマー結合部位)、ヒト配列(例えば、adenomatous polyposis coli(APC)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、乳癌1(BRCA1)、膜貫通プロテアーゼセリン2(TMPRSS2)、v−ets赤芽球症ウイルスE26癌遺伝子ホモログ(ERG))、植物配列、微生物配列(例えば、抗生物質耐性遺伝子)、ウイルス配列(例えば、HIVプロテアーゼ)、および/もしくはこれらの組み合わせを含み得る。単一の核酸配列はまた、共通の供給源に由来する2つの配列の異常なもしくは人工融合物(例えば、TMPRSS2:ERG融合物)を含み得る。高分子は、上記高分子が、存在する場合は、少なくともサンプル収集の時からサンプル分析の時まで、検出可能な形態において維持される限りにおいて、保存されているとみなされ得る。いくつかの実施形態において、本開示は、体液もしくは排出物(例えば、尿、血液、血清、羊水、髄液、結膜液、唾液、膣液、糞便、精液、および汗)中の高分子の保存および/もしくは安定化に関する。いくつかの実施形態において、核酸ハイブリダイゼーションにおける予測外の改善は、このような核酸試験法において(例えば、本開示の保存組成物、システム、もしくは方法の非存在下で実施される同じ方法と比較して)、観察され得る。
【0022】
分解は、目的の分子もしくは目的の分子の集まりを検出不能にする分子構造の任意の変化としてみなされ得る。例えば、タンパク質の分解としては、一次構造、二次構造、三次構造もしくは四次構造の任意の改変(例えば、ジスルフィド結合の還元、ペプチド結合の加水分解、または共有結合、イオン結合、疎水性結合、水素結合、もしくはファンデルワールス結合の他の切断)が挙げられ得る。核酸の分解としては、ハイブリダイゼーション状態(例えば、一本鎖、二本鎖、もしくは三本鎖)、らせん溝蔵(例えば、A、B、もしくはZ)、スーパーコイル、もしくは配列(例えば、ピリミジンダイマー化、脱アミノ化、酸化、脱プリン化(depurination)、または共有結合、イオン結合、疎水性結合、もしくは水素結合の任意の他の切断)の任意の改変が挙げられ得る。この分解の遅延は、長期間もしくは無期限の期間にわたって、所望の形態で上記高分子を保存することとみなされ得る。この遅延はまた、一定期間(例えば、サンプル収集の時からアッセイの時まで)にわたって、所望の形態において上記高分子を保存もしくは安定化するとみなされ得る。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態に従う組成物、システム、および方法は、生物学的流体および/もしくは排出物中の高分子の分解を軽減もしくは排除し得る。例えば、本開示の組成物、システム、および/もしくは方法は、いくつかの実施形態において、体液(例えば、尿)中の目的の核酸の酵素的破壊を排除し得る。保存および/もしくは安定化され得る核酸としては、例えば、DNA、RNA、RNA/DNAハイブリッド、およびこれらの改変体の天然および/もしくは合成の形態が挙げられる。保存および/もしくは安定化され得る核酸としては、細胞内核酸および/もしくは細胞内核酸が挙げられ得る。保存および/もしくは安定化され得るDNAとしては、例えば、ヒトDNA、哺乳動物DNA、細菌DNA、真菌DNA、およびウイルスDNAが挙げられ得る。保存および/もしくは安定化され得る細菌DNAとしては、例えば、淋菌DNA、Haemophilus influenzae DNA、およびBacillus subtilis DNAが挙げられ得る。
【0024】
保存および/もしくは安定化されるべき細胞および/もしくは高分子(および/もしくは生体分子)は、体液および/もしくは排出物、組織(例えば、生検組織)、および/もしくは物体(例えば、骨)中に含まれ得る。例えば、高分子は、食品粒子、土壌サンプル、法医学的サンプル(例えば、服、毛髮、指紋の物品)、ファブリック、細菌マトリクス、粘着物(slime)、環境的標本、および/もしくは細菌戦標本(biowarfare specimen)中に含まれ得る。保存および/もしくは安定化されるべき高分子(および/もしくは生体分子)は、完全細胞中に含まれ得るか、そして/または完全細胞から精製され得る(例えば、完全にもしくは部分的に精製され得る)。
【0025】
組成物、システム、および方法は、細胞および/もしくは高分子を(例えば、室温において)、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、および/もしくは少なくとも約4週間にわたって保存および/もしくは安定化し得る。組成物、システム、および方法は、細胞および/もしくは高分子を(例えば、室温において)、最大約1日間、最大約2日間、最大約3日間、最大約4日間、最大約5日間、最大約6日間、最大約1週間、最大約2週間、最大約3週間、および/もしくは最大約4週間にわたって、保存および/もしくは安定化し得る。組成物、システム、および方法は、いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子を、前述の期間にわたって冷却なしで保存および//もしくは安定化し得る。例えば、保存および/もしくは安定化は、周囲温度および/もしくは上記組成物の温度が約70℃、約60℃、約55℃、約50℃、約45℃、および/もしくは約40℃を超えない場合に達成され得る。保存および/もしくは安定化は、周囲温度および/もしくは上記組成物の温度が約0℃〜約10℃、約10℃〜約20℃、約15℃〜約25℃、約20℃〜約30℃、約15℃〜約35℃、および/もしくは約30℃〜約40℃である場合に達成され得る。温度範囲の選択は、いくつかの実施形態において、特定のサンプルについて予測されるおよび/もしくは所望される貯蔵条件に基づいて選択され得る。例えば、組成物、システム、および方法は、冷却が現実的でないそして/または利用不能であり、かつ日中の温度が50℃に達する未開発国において収集される物質を、保存および/もしくは安定化するように適合され得る。同様に、組成物、システム、および方法は、輸送条件、貯蔵条件、および/もしくは周囲条件が20℃未満の温度を含む場所で収集された物質を保存および/もしくは安定化するように適合され得る。
【0026】
いかなる特定の作用機構にも限定されることなしに、本開示の組成物、システム、および方法は、目的の高分子および/もしくは生体分子を含む試験サンプル(例えば、体液)中に存在する1種以上の金属依存性酵素および/もしくは1種以上の金属非依存性酵素を不活性化し得る。例えば、二価金属キレート化剤は、上記金属依存性酵素(例えば、デオキシリボヌクレアーゼ)に利用可能なままである金属が、触媒作用(すなわち、核酸分解)を支援するに不十分である程度にまで、利用可能な金属(例えば、Mg2+およびCa2+)を結合し得る。繰り返すと、いかなる特定の作用機構にも限定されることなしに、キレート化剤増強成分は、体液中に見いだされる1種以上の金属非依存性酵素を不活性化し得る。例えば、金属非依存性酵素としては、DNAリガーゼ(例えば、D4 DNAリガーゼ)、DNAポリメラーゼ(例えば、T7 DNAポリメラーゼ)、エキソヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ2、l−エキソヌクレアーゼ)、キナーゼ(例えば、T4ポリヌクレオチドキナーゼ)、ホスファターゼ(例えば、BAPおよびCIPホスファターゼ)、ヌクレアーゼ(例えば、BL31ヌクレアーゼおよびXOヌクレアーゼ)、およびRNA改変酵素(例えば、E.coli RNAポリメラーゼ、SP6RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、およびT4 RNAリガーゼ)が挙げられ得る。いかなる特定の作用機構にも限定されることなしに、プリン塩基および/もしくはピリミジン塩基は、核酸に結合し得、DNAおよび/もしくはRNAを分解する1種以上の酵素についての異性体標的として作用し得る。
【0027】
本開示のいくつかの具体例の実施形態によれば、プリン塩基を有する細胞および/もしくは高分子安定化組成物と接触した標的核酸(例えば、淋菌DNA)のPCR増幅からのその収量は、プリン塩基を有する細胞および/もしくは高分子安定化組成物と接触させていない同じ標的核酸のPCR増幅からの収量よりも、少なくとも約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、および/もしくは10倍高い可能性がある。本開示のいくつかの具体例の実施形態によれば、キレート化剤、キレート化剤増強成分、およびプリン塩基を有する細胞および/もしくは高分子安定化組成物と接触させた標的核酸(例えば、淋菌DNA)のPCR増幅からの収量は、キレート化剤およびキレート化剤増強成分を有するが、プリン塩基を欠いている細胞および/もしくは高分子安定化組成物と接触させた同じ標的核酸のPCR増幅からの収量よりも、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、および/もしくは10倍高い可能性がある。例えば、EDTA(例えば、0.1M)、チオシアン酸ナトリウム(例えば、1M)、およびアデニンを有する細胞および/もしくは高分子安定化組成物と接触させた標的核酸(例えば、淋菌DNA)のPCR増幅からの収量は、EDTA(例えば、0.1M)およびチオシアン酸ナトリウム(例えば、1M)を有するが、アデニンを欠いている細胞および/もしくは高分子安定化組成物と接触させた同じ標的核酸のPCR増幅からの収量よりも、約10倍高い可能性がある。
【0028】
(組成物)
高分子および/もしくは生体分子を保存および/もしくは安定化のための組成物(「高分子安定化組成物」)は、本開示のいくつかの実施形態によれば、キレート化剤、キレート化剤増強成分、プリン塩基、および/もしくはピリミジン塩基を含み得る。例えば、高分子安定化組成物は、キレート化剤、キレート化剤増強成分、およびプリン塩基を含み得る。細胞(例えば、完全細胞)を保存および/もしくは安定化するための組成物(「細胞および/もしくは高分子安定化組成物」)は、本開示のいくつかの実施形態によれば、キレート化剤、キレート化剤増強成分、プリン塩基、および/もしくはピリミジン塩基を含み得る。例えば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、キレート化剤、キレート化剤増強成分、およびプリン塩基を含み得る。
【0029】
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、[エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)]四酢酸(EGTA)および1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)、および/もしくはその塩が挙げられ得る。キレート化剤は、含まれる場合、任意の所望の濃度において存在し得る。例えば、キレート化剤は、少なくとも約0.1mM、少なくとも約0.005M、少なくとも約0.01M、少なくとも約0.05M、および/もしくは少なくとも約0.1Mの濃度で含まれ得る。キレート化剤は、最大約0.1mM、最大約5mM、最大約0.01M、最大約0.05M、および/もしくは最大約0.1Mの濃度で含まれ得る。キレート化剤は、約0.1mM〜約0.1Mの濃度で含まれ得る。2種以上のキレート化剤が単一の組成物中に含まれる場合、各キレート化剤の濃度もしくは合わせたキレート化剤の総濃度は、提供された範囲のうちのいずれか内に入り得る。いくつかの実施形態において、キレート化剤としては、EDTA、EGTA、BAPTA、イミダゾール、イミノジアセテート(IDA)、ビス(5−アミジノ−2−ベンゾイミダゾリル)メタン(BABIM)、および/もしくはこれらの塩が挙げられ得る。
【0030】
キレート化剤増強成分は、例えば、塩化リチウム、グアニジン、サリチル酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、およびこれらの組み合わせを含み得る。当業者が認識するように、グアニジンは、グアニン、プリン塩基、およびリボースを含む。キレート化剤増強成分は、含まれる場合、任意の所望の濃度で存在し得る。例えば、キレート化剤増強成分は、少なくとも約1mM、少なくとも約10mM、少なくとも約0.05M、少なくとも約0.1M、少なくとも約0.5M、少なくとも約1M、少なくとも約1.5M、少なくとも約1.75M、少なくとも約2M、少なくとも約3M、少なくとも約4M、および/もしくは少なくとも約5Mの濃度で含まれ得る。キレート化剤増強成分は、最大約1mM、最大約0.05M、最大約0.1M、最大約0.5M、最大約1M、最大約1.5M、最大約1.75M、および/もしくは最大約2Mの濃度で含まれ得る。キレート化剤増強成分は、前述の濃度のいずれかによって規定されるエンドポイントを有する範囲内の濃度で存在し得る。例えば、キレート化剤増強成分は、約1mM〜約0.5M、約0.1M〜約1.75M、約0.1M〜約2.0M、約0.1M〜約3.0M、約0.5M〜約3.0M、および/もしくは約0.1M〜約5.0Mの濃度で含まれ得る。
【0031】
プリン塩基は、アデニン、グアニン、およびこれらの組み合わせを含み得る。プリン塩基はまた、アナログおよび/もしくは改変体(例えば、メチルアデニン、メチルグアニン、エチルアデニン、エチルグアニン)を含み得る。プリン塩基はまた、構造的に類似のアナログおよび/もしくは改変体(例えば、イノシン、カフェイン、尿酸、テオブロミン、テオフィリン、2−アミノプリン、6−アミノプリン、ヒポキサンチン(6−オキシプリン)、およびキサンチン(2,6−ジオキシプリン)を含み得る。プリン塩基は、塩(例えば、アデニンヘミスルフェート塩、アデニンヒドロクロリド)を含み得る。プリン塩基は、含まれる場合、任意の所望の濃度で存在し得る。例えば、プリン塩基は、少なくとも約0.1mM、少なくとも約1mM、少なくとも約10mM、少なくとも約0.1M、少なくとも約0.25M、少なくとも約0.5M、少なくとも約0.75M、少なくとも約1M、少なくとも約1.5M、少なくとも約1.75M、少なくとも約2M、少なくとも約2.5M、少なくとも約3M、少なくとも約4M、少なくとも約5M、少なくとも約6M、および/もしくは少なくとも約7Mの濃度で含まれ得る。プリン塩基は、最大約0.1mM、最大約1mM、最大約10mM、最大約0.1M、最大約0.25M、最大約0.5M、最大約0.75M、最大約1M、最大約1.5M、最大約2M、最大約2.5M、最大約3M、最大約4M、最大約5M、最大約6M、および/もしくは最大約7Mまでの濃度で含まれ得る。プリン塩基は、含まれる場合、前述の濃度のうちのいずれかによって規定されるエンドポイントを有する範囲内の濃度で存在し得る。例えば、プリン塩基は、約0.1mM〜約100mM、約1mM〜約10mM、約0.1M〜約1.0M、約0.1M〜約2.0M、約0.1M〜約5.0M、約0.1M〜約1.75M、約0.5M〜約2.0M、約0.75M〜約3M、および/もしくは約0.1M〜約7Mの濃度で含まれ得る。
【0032】
ピリミジン塩基は、例えば、シトシン、チミン、ウラシル、およびこれらの組み合わせを含み得る。ピリミジン塩基はまた、アナログおよび/もしくは改変体(例えば、メチルシトシン、メチルチミン、メチルウラシル、エチルシトシン、エチルチミン、エチルウラシル)を含み得る。ピリミジン塩基はまた、構造的に類似のアナログおよび/もしくは改変体(例えば、オロチン酸、チアミン、5−フルオロウラシル、6−アザウラシル、ピラジン、および/もしくはピリダジン)を含み得る。ピリミジン塩基は、塩(例えば、ピリミジン塩、2−ピペラジノピリミジン塩)を含み得る。ピリミジン塩基は、含まれる場合、任意の所望の濃度で存在し得る。例えば、ピリミジン塩基は、少なくとも約0.1mM、少なくとも約1mM、少なくとも約10mM、少なくとも約0.1M、少なくとも約0.25M、少なくとも約0.5M、少なくとも約0.75M、少なくとも約1M、少なくとも約1.5M、少なくとも約1.75M、少なくとも約2M、少なくとも約2.5M、少なくとも約3M、少なくとも約4M、少なくとも約5M、少なくとも約6M、および/もしくは少なくとも約7Mの濃度で含まれ得る。ピリミジン塩基は、最大約0.1mM、最大約1mM、最大約10mM、最大約0.1M、最大約0.25M、最大約0.5M、最大約0.75M、最大約1M、最大約1.5M、最大約2M、最大約2.5M、最大約3M、最大約4M、最大約5M、最大約6M、および/もしくは最大約7Mまでの濃度で含まれ得る。ピリミジン塩基は、含まれる場合、前述の濃度のうちのいずれかによって規定されるエンドポイントを有する範囲内の濃度で存在し得る。例えば、ピリミジン塩基は、約0.1mM〜約100mM、約1mM〜約10mM、約0.1M〜約1.0M、約0.1M〜約2.0M、約0.1M〜約5.0M、約0.1M〜約1.75M、約0.5M〜約2.0M、約0.75M〜約3M、および/もしくは約0.1M〜約7Mの濃度で含まれ得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、EDTA、EGTA、BAPTA、およびこれらの塩から選択される二価金属キレート化剤の量;および塩化リチウム、グアニジン、サリチル酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、およびチオシアン酸ナトリウムから選択される少なくとも1種のキレート化剤増強成分の量を含み得る。二価金属キレート化剤の量は、一般に、約0.1mM〜約0.1Mの範囲において存在し得る。キレート化剤増強成分の量は、一般に、約1mM〜約500mMの範囲において存在し得る。組成物中のキレート化剤の量は、例えば、少なくとも約0.01Mであり得る。組成物中のキレート化剤増強成分の量は、例えば、少なくとも約1Mであり得る。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、高分子安定化組成物は、一般に、約0〜5%モル濃度の範囲の量の、少なくとも1種の酵素不活性化成分(例えば、塩化マンガン、サルコシル、もしくはドデシル硫酸ナトリウム)を含み得る。いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、酵素不活性化成分を含んでいてもよいし、排除していてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、プリン塩基、ピリミジン塩基、もしくはプリン塩基とピリミジン塩基の両方を含み得る。例えば、組成物は、キレート化剤、キレート化剤増強成分、およびプリン塩基(例えば、アデニン)を含み得る。いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、(a)キレート化剤、(b)キレート化剤増強成分、および(c)プリン塩基および/もしくはピリミジン塩基のみを含み得る。細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、他の実施形態において、1種以上の溶媒(例えば、水性および/もしくは有機性)、緩衝液、塩、界面活性剤、酸化剤、還元剤、および/もしくは他の試薬を含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、約4.5〜約8.5のpHを有し得る。細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、上記保存および/もしくは安定化されるべきサンプル(例えば、体液)と合わせた際に、その混合物は、約4.5〜約8.5のpHを有するように、処方され得る。いくつかの実施形態において、適切な緩衝液は、Good緩衝液(例えば、HEPES)、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリス(ヒドロキシアミノ)メタン(トリス)、およびこれらの組み合わせから選択され得る。例えば、緩衝液としては、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、トリス、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)緩衝液、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)緩衝液、2−[(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸(ACES)緩衝液、N−(2−アセトアミド)2−イミノ二酢酸緩衝液(ADA)、3−[(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパンスルホン酸(AMPSO)緩衝液、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)緩衝液、ビシン(Bicine)(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルグリシン)緩衝液、ビス−(2−ヒドロキシエチル)イミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン(ビス−トリス)緩衝液、3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)緩衝液、3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(CAPSO)緩衝液、2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)緩衝液、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸(DIPSO)緩衝液、N−(2−ヒドロキシエチルピペラジン)−N’−(3−プロパンスルホン酸)(HEPPS)緩衝液、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)(HEPPSO)緩衝液、2−(N−モルホリン)エタンスルホン酸(MES)緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液、イミダゾール緩衝液、グリシン緩衝液、エタノールアミン緩衝液、リン酸緩衝液、3−(N−モルホリン)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)緩衝液、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)緩衝液、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)緩衝液、N−トリス[(ヒドロキシメチル)メチル]−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)緩衝液、2−ヒドロキシ−3−[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸(TAPSO)緩衝液、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸(TES)緩衝液、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(トリシン)緩衝液、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール緩衝液、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール緩衝液、およびこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0037】
組成物(例えば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物)は、いくつかの実施形態において、界面活性剤および/もしくは還元剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。界面活性剤(surfactant)は、いくつかの実施形態において、洗浄剤(detergent)を含み得る。洗浄剤としては、例えば、アニオン性洗浄剤、非イオン性洗浄剤、および/もしくはカチオン性洗浄剤が挙げられ得る。非イオン性洗浄剤としては、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、オクチル−フェノキシポリエトキシエタノール、ノニル−フェノキシポリエトキシエタノール、オクチルフルコピラノシド(octyl flucopyranoside)、ドデシルマルトピラノシド、ヘプチルチオグルコピラノシド、大きな(big)CHAP洗浄剤、Genapol X−80、Pluronic洗浄剤、アルキルフェノールのポリオキシエチレンエステル(例えば、Triton)、ならびに/またはこれらの誘導体およびアナログが挙げられ得る。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態によれば、組成物(例えば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物)は、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪エステル、長鎖脂肪アルコール、リチウム、ヘパリン、ヘパリナーゼ、ブチルヘキシルシトレート、および/もしくはこれらの組み合わせを含み得る。組成物を、本開示のいくつかの実施形態によれば、フローサイトメトリー法において試験した。組成物(例えば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物)は、いくつかの実施形態において、ヘパリンを排除し得る。例えば、ヘパリンの存在が望ましくない場合(例えば、ヘパリンが有害にPCRをもたらし得る場合)、ヘパリンは省かれ得る。いくつかの場合において、ヘパリナーゼは、さらに、ヘパリンを除去するに十分な量で含まれ得る。
【0039】
細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、いくつかの実施形態によれば、固体、液体、もしくは気体(例えば、蒸気)として調製および/もしくは使用され得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、両方の完全細胞アッセイ(例えば、フローサイトメトリー)および分子アッセイ(例えば、PCR、RT−PCR、組織化学)に有用な安定化組成物を有することが望ましい可能性がある。いくつかの実施形態によれば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、(a)キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、[エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)]四酢酸(EGTA)、1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)、およびこれらの塩から選択されるキレート化剤、(b)少なくとも1種のキレート化剤増強成分(例えば、グアニジン、塩化リチウム、サリチル酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、およびチオシアン酸ナトリウムから選択されるキレート化剤増強成分)、(c)塩基(例えば、プリン塩基およびピリミジン塩基からなる群より選択される塩基)、(d)抗凝固剤(例えば、硫酸化グリコサミノグリカン)、および(e)可塑剤(例えば、クエン酸化アルコール)を含み得る。例えば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、本明細書に記載されるキレート化剤、キレート化剤増強成分、および塩基を含み得る。いくつかの実施形態によれば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、1種以上の細胞(例えば、赤血球、白血球)を、ほとんどもしくは全く凝固も凝集もさせずに安定化し得る。このように安定化した細胞は、フローサイトメトリーによる分析に適切であり得る。塩基は、約0.01mg/L〜約1mg/L、約0.01mg/L〜約0.5mg/L、および/もしくは約0.2mg/L〜約0.5mg/Lの濃度で存在し得る。細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、いくつかの実施形態において、可塑剤をさらに含み得る。可塑剤は、約0.1%(v/v)〜約10%(v/v)、約0.2%(v/v)〜約5%(v/v)、約0.5%(v/v)〜約2%(v/v)、および/もしくは約1%(v/v)〜約5%(v/v)の濃度で存在し得る。可塑剤は、いくつかの実施形態において、クエン酸化アルコールを含み得る。クエン酸化アルコールの例としては、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸アセチルトリヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル(例えば、クエン酸n−ブチリルトリ−n−ヘキシル)、クエン酸トリメチル、およびこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0041】
細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、いくつかの実施形態において、約200mg/L〜約20g/L、約400mg/L〜約5g/L、約500mg/L〜約2g/L、および/もしくは約1g/L〜約3g/Lの濃度で、抗凝固剤を含み得る。抗凝固剤は、いくつかの実施形態において、硫酸化グリコサミノグリカンが挙げられ得る。硫酸化グリコサミノグリカンの例は、ヘパリンおよび/もしくはヘパリン塩(例えば、ヘパリンアンモニウム、ヘパリンカルシウム、ヘパリンリチウム、ヘパリンカリウム、ヘパリンナトリウム、および/もしくはヘパリン亜鉛リチウム)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0042】
(システム)
本開示のシステムは、いくつかの実施形態によれば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物およびサンプル貯蔵容器を含み得る。例えば、システムは、保存および/もしくは安定化されるべき上記高分子および/もしくは生体分子を含むサンプルを受容するように構成しかつ配置された容器を含み得る。容器は、上記サンプルと、細胞および/もしくは高分子安定化組成物とを接触するように構成しかつ配置され得る。単純な例において、固体(例えば、錠剤、散剤、もしくはヒドロゲル)として処方される細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、小さなチューブの底に沈着させられ得る。上記チューブの中にサンプル(例えば、液体サンプル)を入れる際に、上記細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、サンプル環境と接触および混合し得る。上記サンプルは、細胞および/もしくは高分子安定化組成物と、上記サンプルが容器中に入れられると同時またはそのいくらか後に、接触(例えば、混合)され得る。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態において、システムは、脂質、界面活性剤、および/もしくは洗浄剤をさらに含む細胞および/もしくは高分子安定化組成物を含み得る。例えば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、ミセル、リポソーム、小胞、および/もしくは膜結合空間中に含まれ得る。
【0044】
システムは、いくつかの実施形態によれば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物および使用のための説明書を含み得る。いくつかの実施形態において、システムは、細胞および/もしくは高分子安定化組成物、サンプル貯蔵容器、および使用のための説明書を含み得る。システムはまた、サンプル貯蔵容器およびその中身を含むように構成された輸送可能な容器を含み得る。
【0045】
システムは、いくつかの実施形態によれば、保存された分子および/もしくは細胞を分析するための分析デバイスを含み得る。分析デバイスの例としては、顕微鏡、プレートリーダー、サイズ分画ゲル、サーモサイクラー、フローサイトメーター、自動化血液分析器、示差式細胞カウンター、セルソーター、ビーズ(例えば、磁性ビーズ)、アフィニティーマトリクス、および/もしくは分光計が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0046】
(方法)
高分子および/もしくは生体分子を保存および/もしくは安定化するための方法(「高分子安定化方法」)は、本開示のいくつかの実施形態によれば、上記高分子と、高分子安定化組成物とを接触させる工程を包含し得る。例えば、高分子を含む体液は、キレート化剤、キレート化剤増強成分、およびプリン塩基(例えば、アデニン)を有する高分子安定化組成物と接触させられ得る。細胞を保存および/もしくは安定化するための方法(例えば、完全細胞)(「細胞安定化方法」)は、本開示のいくつかの実施形態によれば、上記細胞と、細胞および/もしくは高分子安定化組成物とを接触させる工程を包含し得る。例えば、細胞を含む体液は、キレート化剤、キレート化剤増強成分、およびプリン塩基(例えば、アデニン)を有する細胞および/もしくは高分子安定化組成物と接触させられ得る。
【0047】
本開示はまた、試験サンプルの分子アッセイのシグナル応答を改善するための方法に関し、上記方法は、上記試験サンプルと、細胞および/もしくは高分子安定化組成物とを接触させて、保存および/もしくは安定化した試験サンプル(「保存された試験サンプル」)を生成する工程、目的の分子分析物を上記試験サンプルから単離および/もしくは精製する工程、ならびに分子アッセイを、上記単離および/精製された目的の分子分析物に対して行う工程を包含する。いかなる特定の作用機構にも限定されることなしに、核酸アッセイにおける改善されたシグナル応答は、本開示の細胞および/もしくは高分子安定化組成物の使用の結果として、増強されたハイブリダイゼーションに一部起因し得る。
【0048】
本開示はさらに、核酸のハイブリダイゼーションを改善するための方法に関し、上記方法は、試験核酸と、細胞および/もしくは高分子安定化組成物とを接触させて、試験用駅を形成する工程、ならびに上記試験溶液と、標的核酸とを、試験核酸−標的核酸ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させる工程を包含する。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、方法は、上記細胞がフローサイトメトリーによる分析に供され得るように、細胞を十分に安定化および/もしくは保存する工程を包含し得る。例えば、方法は、上記細胞(例えば、上記細胞が位置する環境)が、フロー分析を干渉シエル凝集および/もしくは細片がないように、細胞を保存および/もしくは安定化する工程を包含し得る。保存および/もしくは安定化は、任意の利用可能な測定基準法もしくは測定基準法の組み合わせを使用して評価され得る。凝集および/もしくは細片の形成は、保存および/もしくは安定化測定基準法として使用され得る。外見(例えば、色)はまた、保存および/もしくは安定化測定基準法として使用され得る。
【0050】
保存および/もしくは安定化測定基準法としては、例えば、経時的な1種以上のマーカー(例えば、細胞外マーカー)の存在が挙げられ得る。保存および/もしくは安定化マーカーは、1種以上のタンパク質、1種以上の炭水化物、1種以上の脂質、1種以上の核酸、および/もしくはこれらの組み合わせを含み得る。例えば、保存マーカーは、1種以上のリンパ球表面マーカーを含み得る。マーカーの例としては、例えば、B細胞マーカー(例えば、CD19、CD20、CD21、CD22、およびこれらの組み合わせ)、T細胞マーカー(例えば、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD10、およびこれらの組み合わせ)、NK細胞マーカー(例えば、CD16、CD56、CD57、およびこれらの組み合わせ)、骨髄マーカー(例えば、CD13、CD33、CD34、およびこれらの組み合わせ)、単球マーカー(例えば、CD14)、および/もしくは凡白血球マーカー(例えば、CD45)が挙げられ得る。いくつかの実施形態において、組成物(例えば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物)と接触した細胞(例えば、リンパ球)は、パーセンテージおよび/もしくは絶対数の点で、室温(例えば、約20℃)において約48時間、約72時間、および/もしくは約96時間で、約80%より多く、約90%より多く、約95%より多く、および/または約99%より多くの1種以上のマーカー(例えば、細胞表面マーカー)を保持し得る。例えば、組成物と接触したリンパ球は、室温において約96時間(tは、上記細胞と上記組成物とが接触する時である)にわたって、少なくとも約80%の1種以上のT細胞マーカー(例えば、CD3、CD4、CD8)を保持し得る。測定基準法の別の例は、保存および/もしくは安定化した細胞において検出されたおよび/もしくは保存および/もしくは安定化した細胞から回収された1種以上の核酸の量およびもしくは質であり得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子安定化組成物 対 サンプルの容積比および/もしくは重量比は、約1:10〜約10:1、約1:10〜約1:1、および/もしくは約1:10〜約1:5であり得る。細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、サンプル1mLおよび/もしくは1gあたり約10μg〜約10mgの細胞および/もしくは高分子安定化組成物の割合でサンプルと合わされ得る。細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、いくつかの実施形態によれば、保存および/もしくは安定化されるべきサンプル(例えば、上記サンプルを含む容器)に添加され得る。保存および/もしくは安定化されるべきサンプルは、いくつかの実施形態において、細胞および/もしくは高分子安定化組成物(例えば、上記細胞および/もしくは高分子安定化組成物を含む容器)に添加され得る。いくつかの実施形態によれば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物、ならびに保存および/もしくは安定化されるべきサンプルは、互いに同時に添加され得る。例えば、両方ともが、別の空の混合容器に添加され得る。
【0052】
当業者によって理解されるように、本開示の実施形態に従う細胞および/もしくは高分子および/もしくは生体分子を保存および/もしくは安定化するための他の等価なもしくは代替の組成物、システム、および方法は、その本質的な特徴から逸脱せずに想定され得る。例えば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、散剤、顆粒、錠剤、カプセル剤、脂質、シロップ剤、パスタ剤として処方され得る。細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、任意の利用可能な方法によって、サンプル容器中に沈着させられ得る。例えば、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、高分子含有サンプルが導入される前にサンプル容器の内表面にコーティング(例えば、噴霧もしくは噴霧乾燥)され得る。細胞および/もしくは高分子安定化組成物はまた、固体もしくは液体の形態においてサンプル容器中に単純に配置され得る。あるいは、細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、別個の容器に維持され得、そしてサンプルがサンプル容器中に入れられた後に、上記サンプルと接触させられ得る。また、範囲が提供される場合、開示されたエンドポイントは、特定の実施形態によって望まれるもしくは要求される場合、正確および/もしくは予測値として処理され得る。さらに、いくつかの実施形態において、範囲のエンドポイントを混合しかつ適合させることは、望ましい可能性がある。いくつかの実施形態において、用語「約」は、数値に適用される場合、その値±約1%、その値±約5%、その値±約10%、その値±約25%、および/もしくはその値±約50%の数値をいう。上記数値が、ある範囲に対するエンドポイントとして提供される場合、用語「約」とは、いくつかの実施形態によれば、上記範囲の程度に依存して、多かれ少なかれ融通性を有し得る。例えば、上記範囲が一桁の大きさ(例えば、約1〜約10)を網羅する場合、「約」は、少ない融通性を有し得る。しかし、数桁の大きさ(例えば、約0.1〜約100)を網羅する範囲については、上記エンドポイントは、より大きな融通性を有し得る。いくつかの実施形態において、用語「最大(「up to」)を含む濃度範囲(例えば、最大1mMのNaCl)は、ゼロを上回る物質の任意の量に達する低いエンドポイント(例えば、任意の微量のNaCl)を含み得る。用語「最大」は、いくつかの実施形態において、上記特定の物質のいくらかのゼロでない量が存在することを企図および/もしくは必要とし得る。明らかな変化および改変とともに、これらの等価物および代替物は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。本開示は、本開示の範囲の例示であるが、限定でないことが意図される。添付の特許請求の範囲は、本開示の範囲の例示であるが、限定でないことが同様に意図される。
【0053】
本開示のいくつかの具体的実施形態は、少なくとも一部、以下の具体例の実施形態に言及することによって、理解され得る。これら実施例は、本開示のいくつかの実施形態のいくつかの(しかし必ずしも全てではない)局面を例示し、さらなるバリエーションは、当業者に本開示の利益をもたらすことが明らかである。
【実施例】
【0054】
(実施例1)
図1は、本開示の一実施形態に従って保存および/もしくは安定化された尿中のDNA濃度の棒グラフである。尿標本のうちの10タイプにおける形質転換対の数を、GTTを使用して試験紙、1時間毎に計数し、その後まとめた。標準的なGonostatプロトコル(以下の実施例2を参照のこと)を使用し、使用した保存剤は、1M グアニジンHCl/0.01M EDTAであった。200個のコロニーの数が、標本の全ての保存を示す。保存された尿中の淋菌形質転換体数は、その試験の4時間の間中、比較的一定であって、200にほぼ等しいままであった。保存のレベルの有意差は、尿標本の異なるタイプの間では認められなかった。従って、試験した実施例組成物は、尿中DNAに対してほぼ完全な保護を提供した。
【0055】
(実施例2)
図2は、本開示の一実施形態に従って保存および/もしくは安定化された尿に関する、8日間のGTT連続データのグラフである。1pgの淋菌DNAを、9mLの新鮮なヒト尿および1M 過塩素酸ナトリウムおよび0.01M EGTAを含む水性高分子安定化組成物1mLに添加した。300μLを。8日間にわたって24時間間隔で、Gonostat生物の菌叢上にスポットした。そのプレートは、BBLチョコレートII寒天を含んでおり、読み取りを行う前に、37℃で24時間にわたってインキュベートした。その8日間の試験期間全体にわたって観察されたコロニー数は、下は188個から上は197個の範囲に及んだ。従って、本開示の実施形態は、以前に提供されたものよりもかなり長期間にわたって、尿中のDNA濃度のグラフを保存および/もしくは安定化し得る。
【0056】
(実施例3)
図3は、保存されていない正常尿と、本開示の一実施形態に従って保存された(保存および/もしくは安定化された)正常尿とにおけるPCR結果を比較するグラフである。Chlamydia trachomatisに対するMOMPテンプレートを使用し、標準PCRプロトコルを使用して増幅した。上記MOMP標的の200コピーを、1M 過塩素酸ナトリウムおよび0.01M BAPTAを含む9mLの新鮮なヒト尿に添加した。PCRを合計8時間にわたって、各時間行った。保存されていない尿において、約3つのPCR吸光度が、DNAを上記尿に添加した後1時間で測定された。PCR吸光度の数は、6時間までに0に近づいた。対照的に、保存および/もしくは安定化された標本において、3つより多いPCR吸光度が、その1時間の試験において測定された。しかし、約3つのPCR吸光度が、6時間までなお観察された。従って、本開示の実施形態は、十分なDNAおよび核酸配列を保存および/もしくは安定化して、保存されていない尿の試験限界を十分に超えるPCR試験を可能にし得る。図に示される結果は、尿標本中のDNAの全てのタイプにわたって一致している。
【0057】
(実施例4)
本開示の試薬および方法は、他の体液および排出物(例えば、血清)を保存するために使用され得る。図4は、本開示の一実施形態に従って保存および/もしくは安定化した血清に関する8日間の連続データのグラフである。使用したプロトコルは、新鮮なヒト血清を使用した以外は、実施例3と類似であった。上記8日間の試験期間全体にわたって観察された形質転換体コロニー数は、上は1日目測定の110から下は7日目測定の約92個までの範囲に及んだ。事実、この試験結果は、7日目と8日目の間の形質転換体コロニーの増加を実際に示した。従って、本開示のいくつかの実施形態は、以前に達成し得たものよりもかなり長期間にわたって血清中のDNAを保存および/もしくは安定化し得る。
【0058】
(実施例5)
図5は、本開示の一実施形態に従って保存および/もしくは安定化した血清中のDNA濃度のグラフである。上記血清を、1M グアニジンHCl/0.01M EDTAを含む高分子安定化組成物で保存および/もしくは安定化した。使用したプロトコルは、新鮮なヒト血清を使用し、研究時間を10時間とした以外は、実施例3と類似であった。120個より多い形質転換体を、淋菌DNAを上記血清に添加した時に測定した。6時間の測定で、約100個の形質転換体を計数した。しかし、10時間までには、試験によって、保存された血清中の生物学的に活性なDNAの濃度が、約110個の形質転換体コロニーに増大したことが示された。
【0059】
(実施例6)
DNAを保存するための方法10の例示的実施形態を、図6に模式的に示す。このプロトコルは、以下の表1に記載され、尿標本を使用するPCR、制限フラグメント長多型アッセイ(RFLP)、および核酸プローブのような試験法に適した多量のDNA/RNAを生成することが認められた。
【0060】
【表1】

(実施例7)
シミュレートした臨床標本におけるDNAの保存
以下の実験において、シミュレートした臨床的尿標本を生成し、淋菌DNAの存在について試験した。以下の表2に列挙した化学物質を、以前に記載された濃度において、EDTAと同様に、健康な成人に由来する尿標本に添加した。
【0061】
淋菌の懸濁物を、各尿標本にすぐに添加した。上記添加した淋菌は、5% CO雰囲気中、37℃でGC寒天培地上において一晩増殖させた、N.gonorrhoeae,49191という通常の株であった。上記N.Gonorrhoeaeコロニーを拾い上げ、GC緩衝液中に懸濁した。約10個のコロニー形成単位(cfu)/mLを含む標本の1/10容積を、尿に添加した。陽性コントロールとして、上記淋菌の懸濁液もまた、Hepes緩衝液に添加した。
【0062】
全てのシミュレートした臨床的標本および上記Hepesコントロールを、時間ゼロ(すなわち、上記化学物質および淋菌を添加した時)に試験した。上記標本およびコントロールも同様に、室温において6日間にわたる貯蔵の後に試験した。この6日間の期間を、患者標本の収集、郵送、および試験の間で予測される最大時間に近似するように選択した。
【0063】
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびサルコシルを含む尿サンプルを除いて、上記シミュレートした標本およびHepesコントロールを、以下のように処理した:
1.10mL量を、4000rpmにおいて30分間遠心分離した。
2.その上清をデカントし、そのペレットを、1mL リン酸緩衝液中に懸濁した。
3.その懸濁液を、60℃のウォーターバス中で10分間加熱した。
4.冷却後、その懸濁液をGTTにおいて使用した。
【0064】
SDS−EDTAもしくはサルコシル−EDTAを含む上記シミュレートした尿標本を、以下のように処理した:
1.約2 1/2容積(約25mL)の95% エチルアルコールを、上記尿および高分子安定化組成物を含むチューブに添加した。その内容物を、チューブを数回転倒混和することによって混合した。
2.その混合物を、4000rpmにおいて30分間遠心分離した。
3.そのペレットを、10mLの70% アルコール中で懸濁し、遠心分離した。
4.次いで、そのペレットを1mL リン酸緩衝液中で懸濁した。
5.その懸濁液を、60℃のウォーターバス中で10分間加熱した。
6.冷却後、その懸濁液をGTTにおいて使用した。
【0065】
その接種された尿を、試験前に、室温において6日間貯蔵した。上記Hepes緩衝液コントロール中とほぼ同程度にまで、上記接種された尿において、淋菌DNAを6日間保存および/もしくは安定化した処方物(+)、または淋菌DNAを保存および/もしくは安定化しなかった処方物(−)を示す。GonostatTMアッセイの結果は、半定量され得るが、その試験を、上記高分子安定化組成物の相対的効力をランク付けするために設計した。従って、表2に示される結果は、6日間の期間にわたって上記特定の化学物質が、Hepes緩衝液中と同程度にまで尿中のDNAを保存および/もしくは安定化したか否かを示す。
【0066】
【表2】

男性の尿標本で示した92%感度は、文献中で報告した培養結果に匹敵する。さらに、女性の尿標本で示した88% 感度は、以前に報告されたレベルを超えている。
【0067】
本開示の好ましい実施形態は、淋菌DNAの保存に関するが、本開示が他のタイプのDNA(例えば、Haemophilus influenzaeおよびBacillus subtilisのもの)を保存することにおける使用に適合可能であることは、当業者に容易に明らかである。本開示のいくつかの実施形態はまた、体液サンプル中に含まれるRNAを保存および/もしくは安定化するために使用され得る。このような保存されたRNAは、ウイルスセグメントおよびヒト遺伝子配列試験のRNA転写酵素および逆転写酵素アッセイのために使用され得る。
【0068】
さらに、高分子安定化組成物は、体液(例えば、尿標本)に添加され得るが、尿標本はまた、保存/安定化の効力に対する有害性なしに、高分子安定化組成物に添加され得る。上記DNAの最適な保存は、単一の本開示の高分子安定化組成物を標本に添加することによって達成され得る。
【0069】
(実施例8)
ペニシリナーゼ生成Neisseria gonorrheaのPCR検出
本開示の高分子安定化組成物のPCRシグナル増強効果は、以下の実施例によって実証される。TEMをコードするプラスミドの4つの改変体を、PPNGにおいて見いだされる。これらは、6.7kb(4.4Mda)アジアタイプ、5.1kb(3.2Mda)アフリカタイプ、4.9kb(3.05−Mda)トロントタイプおよび4.8kb(2.9−Mda)リオタイプである。このPPNGについてのPCRアッセイは、TEM−1遺伝子がトランスポゾンTn2の末端近くに位置するという事実を利用する;TEM−1遺伝子における一方のプライマーおよびTn2の末端の範囲を超え、全ての4つのプラスミドに共通する配列における他方のプライマーの使用によって、プラスミドにのみ由来しかつTEM−1をコードするプラスミドに由来しないPCR生成物を、得た(以下の表3)。このプロトコルと関連した条件を、上記ハイブリダイゼーション中に高分子安定化組成物を含むように改変し、上記処理したプローブを、標準PCRプロトコルによって761−bp増幅生成物と混合した。その結果を、A450nmで読み取った。
【0070】
(材料および試薬)
BBLチョコレート11寒天プレート
滅菌トリス緩衝液 10mM トリス(pH7.4),1mM EDTA
0.5−mL Gene Amp反応チューブ
滅菌使い捨てパスツールピペットチップ
耐エアロゾルチップ
PCRマスターミックス:
50mM KCl
2mM MgCl
以下を各々50μM:
デオキシリボヌクレオシドトリホスフェート;
2.5UのTaqポリメラーゼ(Perkin Elmer);
5% グリセロール;
プライマーPPNG−LおよびPNG−Rの各々を50pmol(100μL反応あたり)
変性溶液
1M Na 5×デンハルト溶液
プレハイブリダイゼーション溶液
5×SSC(1×SSCは、0.015M NaCl+0.015M クエン酸ナトリウムである);
5×デンハルト溶液;
0.05% SDS;
0.1% ナトリウムPpi,および
1mLあたり100μgの超音波処理サケ精子DNA。
ハイブリダイゼーション溶液
デンハルト溶液を含まず、200μLの高分子安定化組成物1を含むことを除いてプレハイブリダイゼーション溶液と同じ。
1mL DNA/RNA高分子安定化組成物(1M グアニジンHCl/0.01M EDTA)
アビジン−HRPペルオキシダーゼ複合体(Zymed)
磁性微粒子(Seradyne)。
【0071】
【表3】

(方法)
サンプル調製:2つのコロニーを、チョコレート寒天プレートから拾い上げた。コロニーを、PCRを設定する直前に、脱イオン水中に懸濁した。そのマスターミックスを、上記の方法に従って調製した。上記の新たに調製した細菌懸濁物の5μLを、95μLのマスターミックスに添加した。そのDNAを遊離させ、94℃で3分および55℃で3分の3サイクルを使用して、サーモサイクラー中で変性させた。そのDNAを、以下の2工程プロファイルを使用することによってサーマルサイクラーで増幅させた:合計30サイクルで、95℃で25秒変性および55℃で25秒アニーリング。時間を、上記2つの温度プラトーの間で設定して、上記2つの温度の間で可能な限り最速のアニーリングを可能にした。15pmolの標識(アビジン−HRP複合体)検出プローブPPNG−Cを、37℃で1時間にわたって上記高分子安定化組成物ありまたはなしで磁性微粒子に結合させた上記ハイブリダイゼーション溶液に添加した。次いで、上記コントロールプローブおよび処理プローブを、その増幅生成物に添加し、その反応を、A450nmにおいて比色的に検出した。本開示の高分子安定化組成物で処理したハイブリダイゼーションプローブから得られたシグナルは、ミス織りプローブより有意に高いことが見いだされた。
【0072】
(実施例9)
本開示のいくつかの実施形態に従う組成物、システム、および方法は、核酸試験法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、LC、および遺伝的形質転換試験(genetic transformation testing)(GTT)で得られるシグナルを増大させ得る。例えば、組成物、システム、および方法は、上記PCRのような核酸試験法におけるハイブリダイゼーションを増強し得る。図7は、ペニシリナーゼ生成Neisseria gonorrhea(PPNG)DNAおよびPPNG−Cプローブのハイブリダイゼーションに対して、本明細書に開示される高分子安定化組成物の具体例の実施形態から得られたハイブリダイゼーションにおける改善を例示する。そのPCRプロトコルは、実施例10に記載されるものと同じであった。
【0073】
(実施例10)
図8および図9は、核酸試験法(この場合、分枝DNAアッセイ(Chiron))で得られた結果を改善することにおける本開示の組成物、システム、および方法の具体例の実施形態の効力をさらに例示する。図8で行った試験において、bDNAアッセイを、上記高分子安定化組成物の保護効果を評価するために使用した。C型肝炎ウイルス由来のDNA配列を、血清および血漿に添加した。上記保護された血清および血漿を、9mLの血清もしくは血漿および1mLの高分子安定化組成物と混合した。以下の処方物を使用した:1)1M グアニジンHCl/0.01M EDTA、2)1M 過塩素酸ナトリウム/0.01M BAPTA、3)1M チオシアン酸ナトリウム/0.01M EGTA、および4)1M塩化リチウム/0.01M EGTA。上記処方物を、4℃において7日間貯蔵した。bDNAアッセイは、ハイブリダイゼーションに依存する;その標的配列が分解に対して保護されているのみならず、吸光度の倍加を超える結果が、その標的配列のハイブリダイゼーション/アニーリングの増強もまた示すということが吸光度の結果から明らかに認めら得る。
【0074】
図9は、血清 対 血漿研究を示す。新鮮なヒト血漿の50μLサンプルおよび新鮮なヒト血清の1mLサンプルを、1M グアニジンHCl/0.01M EDTAで保護し、これらサンプルを20oFで48時間にわたって貯蔵した後に、上記bDNAアッセイを上記サンプルに対して行った。結果を、保護しなかったサンプルと比較した。その標的配列が分解に対して保護されているのみならず、吸光度の倍加を超える結果が、その標的配列のハイブリダイゼーション/アニーリングの増強もまた示すということは、吸光度結果から明らかに認められ得る。
【0075】
(実施例11)
メトヘモグロビンのようなヘム化合物は、核酸のPCR増幅を干渉することが観察された。例えば、図10は、実施例10に従って行った一連のPCRアッセイ(ここでそのテンプレート、新鮮なヒト血清を、漸増量のメトヘモグロビンとともに添加した)の結果を示す。示されるように、吸光度は、メトヘモグロビン濃度の関数として減少する。最高濃度において、吸光度(すなわち、増幅)は全く認められなかった。
【0076】
本開示の高分子安定化組成物は、いくつかの実施形態によれば、血清に対して実施されるPCRアッセイに際するヘム化合物(例えば、メトヘモグロビン)との干渉を除去し得る。図11は、上記血清サンプルに、1M チオシアン酸ナトリウムおよび0.1M EDTAを含む高分子安定化組成物を添加することによって得られた改善(すなわち、吸光度(A450)によって測定される場合の増大した増幅)を例示する。コントロール(図10)と同様に、血清サンプルに、漸増量のメトヘモグロビン(濃度10dl/mLまで)を添加した。一連のPCRアッセイを4時間にわたって行った。
【0077】
(実施例12)
二価金属キレート化剤およびキレート化剤増強成分を含む例示的組成物は、血清中のB型肝炎配列を保護することに対して驚くべきかつ相乗的効果を有した。具体的には、B型肝炎テンプレートを、試験組成物(例えば、1M 過塩素酸ナトリウム/0.01M EGTA)と、室温において最大36時間にわたって接触させた(2時間間隔でサンプリングした)。実施例10に記載されるようなサンプルPCRプロトコルを使用して、サンプルを、MD03プライマーおよびMD06プライマーを使用するPCR増幅に供した。得られた結果の代表を、図12A〜図12Fに提供する。まとめると、これらの図は、B型肝炎配列の保護および/もしくは増幅が、本開示の高分子安定化組成物の具体例の実施形態が、EGTAもしくは過塩素酸ナトリウムを個々に添加することと比較して使用される場合に、増大することを示す。
【0078】
(実施例13)
図13は、室温において貯蔵し、その後、本開示の試薬の成分(すなわち、二価金属キレート化剤0.01M BAPTA(図13A)、0.01M EDTA(図13B)、0.01M EGTA(図13C);およびキレート化剤増強成分1M 過塩素酸ナトリウム(図13D)、1M サリチル酸(図13E)、1M グアニジンHCl(図13F)、1M チオシアン酸ナトリウム(図13G)、ならびに塩化リチウム(図13H)を個々に添加することによって提供されるPCR検出に供した尿中の淋菌DNAに対する(比較的中程度の)保護効果を例示する。10タイプの尿標本における形質転換体数を、GTTを使用して試験紙、時間毎に計数し、その後、まとめた。標準的Gonostatプロトコル(実施例2を参照のこと)を使用し、室温において貯蔵し、その後、PCR検出に供した尿中の淋菌DNAを保護することにおいて、二価金属キレート化剤およびキレート化剤増強成分の組み合わせによって得られた相乗的効果を例示した。
【0079】
(実施例14)
プリン塩基もしくはピリミジン塩基(1M)を含む組成物を、チオシアン酸ナトリウム(1M)およびEDTA(0.1M)ありまたはなしのいずれかで調製した。ヒト尿の新鮮なサンプルを回収し、1pgの淋菌DNAを添加し、上記の組成物のうちの1つと合わせ、室温においてインキュベートした。8時間後にアリコートを取り出し、増幅可能な淋菌DNAの存在についてPCRで試験した。そのPCRプロトコルは、実施例10に記載されるものと同じであった。図14に図示されるように、チオシアン酸ナトリウム、EDTA、およびプリン塩基もしくはピリミジン塩基を含む組成物は、プリン塩基もしくはピリミジン塩基単独を含む組成物より効率的に、尿中の淋菌DNAを安定化した。
【0080】
(実施例15)
チオシアン酸ナトリウム、EDTA、および/もしくはアデニンを含む組成物を調製した。ヒト尿の新鮮なサンプルを回収し、1pgの淋菌DNAを添加し、上記記載された組成物のうちの1つと合わせ、室温においてインキュベートした。8間後にアリコートを取り出し、増幅可能な淋菌DNAの存在についてPCRで試験した。そのPCRプロトコルは、実施例10に記載されるものと同じであった。図15Aに図示されるように、チオシアン酸ナトリウム、EDTA、およびアデニンを含む組成物は、一般に、全ての3つより少ない成分を含む組成物よりも効率的に、尿中の淋菌DNAを安定化した。認められた唯一の例外は、上記組成物が、チオシアン酸ナトリウムおよびEGTAを含む場合であった。
【0081】
(実施例16)
過塩素酸ナトリウム、塩化リチウム、グアニジンHCl、チオシアン酸グアニジン、EDTA、EGTA、BAPTA、および/もしくはアデニンを含む組成物を調製した。ヒト尿の新鮮なサンプルを回収し、1pgの淋菌DNAを添加し、上記記載された組成物のうちの1つと合わせ、室温においてインキュベートした。8間後にアリコートを取り出し、増幅可能な淋菌DNAの存在についてPCRで試験した。そのPCRプロトコルは、実施例10に記載されるものと同じであった。図15Bに図示されるように、キレート化剤、キレート化剤増強成分、およびアデニンを含む組成物は、全ての3つより少ない成分を含む組成物よりも効率的に、尿中の淋菌DNAを安定化した。
【0082】
(実施例17)
チオシアン酸ナトリウム、グアニジンHCl、EDTA、EGTA、BAPTA、および/もしくはアデニンを含む組成物を調製した。ヒト尿の新鮮なサンプルを回収し、1pgの淋菌DNAを添加し、上記記載された組成物のうちの1つと合わせ、室温においてインキュベートした。8間後にアリコートを取り出し、増幅可能な淋菌DNAの存在についてPCRで試験した。そのPCRプロトコルは、実施例10に記載されるものと同じであった。図16に図示されるように、キレート化剤、キレート化剤増強成分、およびアデニンを含む組成物は、これら成分のうちのただ1つを含む組成物よりも効率的に、尿中の淋菌DNAを安定化した。
【0083】
(実施レセプター18)
本開示の組成物は、いくつかの実施形態によれば、完全細胞を保存および/もしくは安定化し得る(「細胞および/もしくは高分子安定化組成物」)。具体例において、300個の尿標本を、以下の条件のうちの1つ以上を有する患者から採取した:急性糸球体腎炎、急性腎盂腎炎、ネフローゼ症候群、急性尿細管壊死(acute tubular necrosis)、膀胱炎、尿路新形成、およびウイルス感染。
【0084】
回収の10分以内に、尿サンプルを、冷蔵するか(2〜8℃)、または1M チオシアン酸ナトリウム、0.01M EDTA、および1M アデニンを有する細胞および/もしくは高分子安定化組成物(CSC)と合わせたかのいずれかであった(9mL 尿+1mL 高分子安定化組成物)。冷蔵したサンプルを、回収の2時間以内に処理した。
【0085】
表4に示されるように、細胞および/もしくは高分子安定化組成物を使用する、種々の完全細胞の保存および/もしくは安定化は、少なくとも冷却と同程度に良好であった。
【0086】
【表4】

(実施例19)
最初のフローサイトメトリー実験の間に、0.01M EDTAおよび1M チオシアン酸ナトリウムからなる組成物と接触させたいくらかの赤血球は、1日目には良好な状態にあるようであったが、試験される特定の条件下では、3〜5日目に凝集を形成することが認められた。凝集した細胞を含むサンプルは、フローサイトメトリーによって分析するのはより困難であるとみなされ得る。従って、フロー分析のために細胞を安定化する改善された処方物が求められた。
【0087】
(実施例20)
処方物を調製した。いくつかの実施形態によれば、この処方物は、いくつかの条件下で観察され得る膨潤および凝集も生じることなく、赤血球集団および白血球集団の保存、ならびに白血球上の共存する表面抗原マーカーの保存の両方を可能にし得る。
【0088】
組成物の例示的実施形態は、以下のとおりに調製され得る:
1.ヘパリンリチウムを、水を含む混合容器に添加する。透明になるまで混合する。
2.Genelockストック化学物質を混合容器に添加する。
3.アデニンを添加し、透明になるまで混合する。
4.界面活性剤(例えば、クエン酸ブチリルトリ−n−ヘキシル(hexal))を添加する。10分間混合する。
5.水を添加して、総容積を所望の最終体積にする。
6.15分間混合する。
7.濾過(例えば、濾過滅菌)して、最終組成物を生成する。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、化学的性質における変化は、クエン酸リン酸緩衝系およびアデニンの濃度の増加の代わりにヘパリンリチウムを使用することを包含し得る。例えば、組成物は、以下を含み得る:
【0090】
【表4−2】

血液を1日目に採血し、保存剤−対−血液比1:7で、この組成物と合わせ、周囲温度(例えば、室温(RT))で3日間静置(aged)した。この血液を、ベックマンコールター細胞分析器での示差的細胞分析に供した。この分析によって、白血球集団および赤血球集団の両方の優れた保存が示された。この血液は、新たに回収した血液の色とはわずかに変化して、桃色でかつ粘性であった。血液における肉眼的変化の証拠はなく、フロー分析に適していると予測される。
【0091】
(実施例21)
以下の細胞および/もしくは高分子安定化組成物を調製した:
【0092】
【表4−3】

【0093】
【表4−4】

新鮮な血液を、保存剤−対−血液比1:7において組成物1および組成物FCの各々と合わせ、周囲温度(例えば、室温(RT))で3日間静置した。24時間後、組成物U−1と合わせた血液は、凝集した。対照的に、組成物FCと合わせた血液は、72時間後に凝集を有さなかった。生存性を、トリパンブルーアッセイを使用して評価した。組成物FCと合わせた血液からの白血球のうちの99%超が、72時間後、インタクトであった(保存されていた)。結果を表5に示される。
【0094】
【表4−5】

凝集:なし(−−)、軽度(+)、大量(++)
生存性:検出されない(−−)、わずかな生存細胞(−);99%+生存性(++)
(実施例22)
細胞および/もしくは高分子安定化組成物を、キレート化剤増強成分(例えば、チオシアン酸ナトリウム)および脱イオン限外濾過(deionized ultra−filtered)(DIUF)水を混合容器に添加し、次いで、10分間混合することによって、周囲温度および圧力において調製した。次に、予め溶解させたキレート化剤(例えば、EDTA)を上記混合容器に添加し、10分間混合した。次いで、塩基(例えば、アデニン)を、上記容器に添加し、透明な溶液が得られるまで混合した。望ましい場合、緩衝液(例えば、リン酸塩緩衝液)をこの時点で添加した。最終的に、DIUF水を添加して、上記混合容器における容積を望ましい総容積になるまでにして、上記溶液を、10分間混合した。その最終溶液を、得られた混合物を滅菌用器(例えば、Nalgeneボトル)へと濾過滅菌することによって得た。フローサイトメトリーアッセイにおいて使用される細胞および/もしくは高分子安定化組成物のいくつかの具体例の処方を、表5に述べる。
【0095】
【表5】

(実施例23)
細胞および/もしくは高分子安定化組成物を、USP精製水のアリコートを適切なサイズにした容器に添加し、キレート化剤増強成分(例えば、チオシアン酸ナトリウム)を添加し、次いで混合することによって周囲温度および圧力で調製した。次に、予め溶解させたキレート化剤(例えば、EDTA)を上記混合容器に添加し、混合した。最後に、USP精製水を添加して、上記混合容器における容積を望ましい総容積にし、上記溶液を混合した。その最終溶液(溶液A)を、その得られた混合物を滅菌用器(例えば、Nalgeneボトル)へと濾過滅菌することによって得た。
【0096】
水を第2の容器に添加した。デキストロースを添加し、上記組成物を透明になるまで混合した。次に、クエン酸ナトリウムを添加し、上記組成物を透明になるまで混合した。次いで、クエン酸を添加し、上記組成物を再び透明になるまで混合した。一塩基性リン酸ナトリウムを添加し、上記組成物を透明になるまで混合した。次いで、アデニンを添加し、上記組成物を透明になるまで混合した。最後に、DUIF水を添加して、上記混合容器中の容積を望ましい総容積にし、そして上記溶液を混合した。その最終溶液(溶液B)を、その得られた混合物を滅菌容器(例えば、Nalgeneボトル)へと濾過滅菌することによって得た。
【0097】
溶液Bのアリコートを容器に添加し、続いて、溶液Aのアリコートを添加した。その合わせた溶液を、周囲条件下で(例えば、15分間)混合した。フローサイトメトリーアッセイにおいて使用される細胞および/もしくは高分子安定化組成物の具体例の処方は、表6に述べられる。
【0098】
【表6】

(実施例24)
方法:フローサイトメトリーによる標準リンパ球免疫表現型タイプ分けを、絶対数較正のためのビーズとともに、Becton Dickenson FacsCaliburで行った。lyse/no洗浄技術を使用して、全血を、一方のチューブにおいてCD3、CD4、CD8、およびCD45について染色し、別のチューブにおいてCD16+56、CD19、およびCD45について染色した。前方散乱およびCD45に対してゲート制御することによって、リンパ球を同定し、10,000事象を計数した。各CD抗原が染色されているリンパ球のパーセンテージおよび各抗原について陽性のリンパ球絶対数を、0時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、および160時間で報告した。コントロールチューブには、上記試験組成物の任意の希釈効果を説明するために、溶液中に、EDTA(標準的な紫色の頂部)およびヘパリン(標準的な緑色の頂部)、ならびにEDTAおよびヘパリンを含んでいた。上記安定化試験試薬を、実施例22および実施例23に従って調製した。各組成物のpHを、表7に示す。フローパラメーターを、表8に示す。
【0099】
【表7】

【0100】
【表8】

結果:上記リンパ球マーカーのパーセンテージおよび/もしくは絶対数を時間に対してプロットすることによって、種々の細胞および/もしくは高分子安定化組成物の有効性を、現在の常套手段的保存剤EDTAおよびヘパリンと比較し得る。例えば、図17Aは、コントロールと比較して、処方物の時間に対してCD3パーセンテージをプロットする。同様に、図17Bは、コントロールと比較して、処方物の時間に対してCD4パーセンテージをプロットする。上記CD3およびCD4のパーセンテージは、EDTAおよびヘパリンの両方の、推奨されかつ許容される安定性を長く超えた160時間をさらに超えて、安定なようである。さらに、CD3の絶対数(血液1mLあたりのCD3細胞数)を、96時間を超えて安定である(図17C)。
【0101】
(実施例25)
RNA方法:RNAを、PAXgeneTMチューブ(これは、テトラデシルトリメチルアンモニウムシュウ酸および酒石酸を含み得る)から種々の時間点で、またはQiagen RNA Blood Miniキットを使用して、赤血球の低張性溶解後に単離した。次いで、上記単離したRNAを定量し、そしてその質を、Picoカートリッジ(Agilent)を使用するAgilent 2100 BioAnalyzerを使用して評価した。
【0102】
RNA結果:図18に示されるように、48時間までの時間で、T8およびT10処理で保存したサンプルからのRNA収量は、PAXgeneTMより多く、EDTAコントロールとほぼ同じであった。72時間では、PAXgeneTM、T8、T10およびEDTAからのRNA収量は、全てほぼ同じであった。芽胞凝固(Sporadic clotting)は、72時間後にいくつかのチューブの分析を妨げた。得られたRNAの量のみが、本開示に従う細胞および/もしくは高分子安定化組成物で多かったのみならず、T8およびT10からのRNAの質もまた、PAXgeneTM RNAの質より優れており、EDTAコントロールに等しかった。72時間においてPAXgeneTM、EDTA、T8、およびT10と接触させたRNAについての質データを、それぞれ、図19A、図19B、図19C、および図19Dに示す。これら試験についてのRNA完全数(RNA integrity number)(RIN)は、6.20(19A)、7.90(19B)、7.90(19C)、および7.4(19D)であった。RNAの質を、線(trace)の右半分にある2つのリボソームRNAピークの存在によって評価し得る。より大きなリボソームピーク(最も右側)は、PAXgeneTMチューブにおいて存在しない。このことは、顕著な分解を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞および/もしくは高分子安定化組成物であって、該組成物は、
(a)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、[エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)]四酢酸(EGTA)、1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)、およびそれらの塩からなる群より選択されるキレート化剤;
(b)グアニジン、塩化リチウム、サリチル酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、およびチオシアン酸ナトリウムからなる群より選択される、少なくとも1種のキレート化剤増強成分;ならびに
(c)プリン塩基およびピリミジン塩基からなる群より選択される塩基、
を含む、組成物。
【請求項2】
前記キレート化剤の濃度は、約0.1mM〜約0.1Mである、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のキレート化剤増強成分の濃度は、約1mM〜約5Mである、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項4】
前記塩基の濃度は、約0.1mM〜約5Mである、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項5】
前記細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、水溶液として処方される、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のキレート化剤増強成分は、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム,および塩化リチウムからなる群より選択される、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のキレート化剤増強成分は、約1Mの量で存在する、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項8】
二価金属キレート化剤が約1mMの量で存在する、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項9】
前記塩基は、約2mMの量で存在する、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項10】
緩衝液をさらに含む、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項11】
前記緩衝液は、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシアミノ)メタン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸),3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、2−[(2−アミノ−2−オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸、N−(2−アセトアミド)2−イミノ二酢酸、3−[(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルグリシン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)イミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン、3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸、3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含む、請求項10に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項12】
前記緩衝液は、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、N−(2−ヒドロキシエチルピペラジン)−N’−(3−プロパンスルホン酸)、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、2−(N−モルホリン)エタンスルホン酸、トリエタノールアミン緩衝液、イミダゾール、グリシン、エタノールアミン、3−(N−モルホリン)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、N−トリス[(ヒドロキシメチル)メチル]−3−アミノプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含む、請求項10に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項13】
細胞をさらに含む、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項14】
前記細胞は、哺乳動物細胞、植物細胞、酵母細胞、細菌細胞、ウイルス感染細胞、病的細胞、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される細胞を含む、請求項13に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項15】
前記哺乳動物細胞は、赤血球、白血球、リンパ球、組織球、上皮細胞、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される細胞を含む、請求項14に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項16】
核酸をさらに含む、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項17】
前記核酸は、リボ核酸、デオキシリボ核酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるポリ核酸を含む、請求項16に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項18】
可塑剤をさらに含む、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項19】
前記可塑剤は、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸アセチルトリヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル、クエン酸トリメチル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるクエン酸化アルコールを含む、請求項18に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項20】
前記可塑剤は、クエン酸ブチリルトリヘキシルである、請求項18に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項21】
前記クエン酸ブチリルトリヘキシルは、クエン酸n−ブチリルトリ−n−ヘキシルを含む、請求項20に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項22】
前記可塑剤の濃度は、約0.1%(v/v)〜約10%(v/v)である、請求項18に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項23】
抗凝固剤をさらに含む、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項24】
前記抗凝固剤は、ヘパリン、ヘパリン塩、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される硫酸化グリコサミノグリカンを含む、請求項23に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項25】
前記抗凝固剤は、ヘパリンアンモニウム、ヘパリンカルシウム、ヘパリンリチウム、ヘパリンカリウム、ヘパリンナトリウム、ヘパリン亜鉛リチウム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるヘパリン塩である、請求項23に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項26】
前記抗凝固剤の濃度は、約200mg/L〜約20g/Lである、請求項23に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項27】
ヘパリナーゼをさらに含む、請求項1に記載の細胞および/もしくは高分子安定化組成物。
【請求項28】
細胞を保存および/もしくは安定化するための方法であって、該方法は、
細胞と、細胞および/もしくは高分子安定化組成物とを接触させる工程、
を包含し、該組成物は、
(a)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、[エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)]四酢酸(EGTA)、1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)、およびこれらの塩からなる群より選択される、キレート化剤;ならびに
(b)グアニジン、塩化リチウム、サリチル酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、およびチオシアン酸ナトリウムからなる群より選択される、少なくとも1種のキレート化剤増強成分
を含む、
方法。
【請求項29】
前記細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、プリン塩基およびピリミジン塩基からなる群より選択される塩基をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記細胞は、哺乳動物細胞、ウイルス感染細胞、病的細胞、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される細胞を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記哺乳動物細胞は、赤血球、白血球、リンパ球、組織球、上皮細胞、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される細胞を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記哺乳動物細胞はヒト細胞を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記キレート化剤の濃度は、約0.1mM〜約0.1Mである、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1種のキレート化剤増強成分の濃度は、約0.1mM〜約0.5Mである、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記塩基の濃度は、約0.1mM〜約5Mである、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、水溶液として処方される、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1種のキレート化剤増強成分は、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、および塩化リチウムからなる群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
細胞内核酸を保存する工程をさらに包含し、ここで該核酸は、DNA、RNA、mRNA、およびcDNAからなる群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記核酸は、真核生物RNAである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記細胞は、ヒト被験体から得られる体液中に存在する、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
細胞および/もしくは高分子組成物:体液の容積比は、約1:10〜約10:1である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記細胞と、前記細胞および/もしくは高分子安定化組成物とを接触させる工程は、前記細胞を、前記細胞および/もしくは高分子安定化組成物に添加する工程を包含する、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記細胞と、前記細胞および/もしくは高分子安定化組成物とを接触させる工程は、前記細胞および/もしくは高分子安定化組成物を、前記細胞に添加する工程を包含する、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記細胞および/もしくは高分子安定化組成物ならびに前記体液は、一緒になって、前記細胞が該細胞および/もしくは高分子安定化組成物と接触した後、最大約5日間にわたって、実質的に凝集がないままである安定化体液組成物を形成する、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記体液は、血液、血清、羊水、髄液、結膜液、唾液、膣液、糞便、精液、および汗からなる群より選択される物質を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記細胞はリンパ球である、請求項28に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞は、前記細胞と、該細胞および/もしくは高分子安定化組成物とを接触させた後、少なくとも約3日間にわたって、細胞外マーカーのうちの少なくとも約80%を保持している、請求項28に記載の方法。
【請求項48】
前記細胞外マーカーは、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD10、CD13、CD14、CD16、CD19、CD20、CD21、CD22、CD33、CD34、CD45、CD56、CD57、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記細胞は、該細胞と、前記細胞および/もしくは高分子安定化組成物とを接触させた約5日後に、細胞外マーカーのうちの少なくとも約95%を保持している、請求項28に記載の方法。
【請求項50】
前記細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪エステル、長鎖脂肪アルコール、リチウム、ヘパリン、ヘパリナーゼ、クエン酸ブチルヘキシル、および/もしくはこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の化合物をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項51】
前記細胞と、フローサイトメーターとを接触させる工程をさらに包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法。前記細胞と、フローサイトメーターとを接触させる工程は、細胞および/もしくは高分子安定化組成物と接触させた後に、最大約2日間までに、最大約3日間までに、最大約4日間までに、最大約5日間までに、最大約6日間までに、もしくは最大約7日間までに起こる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
サンプル中の細胞を保存するためのシステムであって、該システムは、
該細胞を含むサンプルを受容しかつ入れるように構成されたサンプル容器;および
細胞および/もしくは高分子安定化組成物
を含み、該組成物は、
(a)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、[エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)]四酢酸(EGTA)、1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)、およびこれらの塩からなる群より選択される、キレート化剤;
(b)グアニジン、塩化リチウム、サリチル酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、およびチオシアン酸ナトリウムからなる群より選択される、少なくとも1種のキレート化剤増強成分;ならびに
(c)プリン塩基およびピリミジン塩基からなる群より選択される、塩基、
を含む、
システム。
【請求項54】
ユーザー説明書をさらに含む、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記サンプル容器は、細胞および/もしくは高分子安定化組成物が入る、請求項53に記載のシステム。
【請求項56】
前記細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、固体、液体もしくはヒドロゲルをさらに含む、請求項53に記載のシステム。
【請求項57】
前記サンプル容器は、少なくとも1つの内表面および少なくとも1つの外表面を含む、請求項53に記載のシステム。
【請求項58】
前記細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、前記少なくとも1つの内表面上のコーティングである、請求項53に記載のシステム。
【請求項59】
システムであって、該システムは、
(a)保存された細胞;
(b)細胞および/もしくは高分子安定化組成物であって、
(i)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、[エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)]四酢酸(EGTA)、1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)、およびこれらの塩からなる群より選択される、キレート化剤;
(ii)グアニジン、塩化リチウム、サリチル酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、およびチオシアン酸ナトリウムからなる群より選択される、少なくとも1種のキレート化剤増強成分;ならびに
(iii)プリン塩基およびピリミジン塩基からなる群より選択される、塩基;
を含む組成物;ならびに
(c)分析デバイス
を含む、システム。
【請求項60】
前記細胞および/もしくは高分子安定化組成物は、可塑剤および抗凝固剤をさらに含む、請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
前記分析デバイスは、顕微鏡、プレートリーダー、サイズ分画ゲル、サーモサイクラー、フローサイトメーター、自動化血液分析器、示差式細胞カウンター、セルソーター、ビーズ、アフィニティーマトリクス、分光計、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項59に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図19D】
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【公表番号】特表2010−535013(P2010−535013A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553822(P2009−553822)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/057081
【国際公開番号】WO2008/113017
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(509116093)シエラ モレキュラー コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】