説明

細胞分化装置、細胞分化方法、及び象牙芽細胞

【課題】他の細胞から象牙芽細胞へ効率的に細胞分化させる細胞分化装置を提供する。
【解決手段】
細胞分化装置100は、筒状のチャンバ130と、加圧部110とを有する。チャンバ130は、多数の凹部からなる多凹面部132を有する天井膜131を、凹部開口がチャンバ内側に向けて配置される。多凹面部132には幹細胞が付着される。圧力部110は、多凹面部132に周期的に圧力をかける。刺激を与えられた幹細胞は、細胞突起を凹部132a内に伸ばした状態で象牙芽細胞に分化する。幹細胞は、例えば歯髄幹細胞である。加圧部からの圧力は、機械加圧又は静水圧加圧である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幹細胞を象牙芽細胞に分化させるための細胞分化装置、幹細胞を象牙芽細胞に分化させる細胞分化方法、及びその細胞分化方法を使用して分化誘導された象牙芽細胞に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、う蝕歯等の治療方法において、う蝕が深くて歯髄にまで達している場合、歯髄全部を除去して空隙に根管充填材(剤)を充填して封鎖する処置(抜髄処置)が採られることが多かった。
【0003】
しかしながら、歯髄除去後は、血管による歯(象牙質・歯髄)の物質代謝が絶たれるため象牙質が脆弱化し割れやすくなる。また、痛みを伝える神経が無くなるので、再びう蝕が進行した場合に自覚症状が得られず、さらに感染抵抗力もなくなるので、予期せぬ間にう蝕が悪化するという問題点がある。従って、近年では、歯の健康状態を維持し長持ちさせるためにはむしろ歯髄を保存するのが好ましいと考えられている。
【0004】
歯髄を保存するには、露出した歯髄表面(露髄面)を覆髄剤で覆う直接覆髄法と、歯髄の一部のみを除去し、根部歯髄を覆髄剤で覆う生活歯髄切断法とがあり、いずれも歯髄を感染から保護するために用いられる。歯髄の保存を考慮した場合、歯髄の外側(冠部側)に象牙質が形成されることが重要であり、特許文献1〜2には、歯髄露出部に注射等により適用する覆髄剤が記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の覆髄剤は血液抽出物を有効成分として用いるものであるが、象牙質形成促進能及び安全性の観点から問題点がある。また、特許文献2に記載の覆髄剤はN−アセチルグルコサミンを有効成分とするものであるが、細胞表層や細胞間物質であって象牙芽細胞分化誘導のために必須の形態形成因子・細胞増殖分化因子・細胞遊走因子が含まれず、間接的に局所で遊離した因子を吸着するにすぎないため、象牙質形成促進及び象牙質・歯髄複合体の再生には不十分であるという問題点がある。
【0006】
そこで、試験管内で歯髄又は他組織の幹細胞から象牙芽細胞を細胞分化させ、細胞分化により得られた象牙芽細胞から象牙質を形成し、形成した象牙質をう触により失われた歯髄露出部に移植するという手法が考えられる。
【0007】
例えば、非特許文献1には、ヒト歯髄細胞を燐酸三カルシウムとハイドロキシアパタイトとの複合体粉体に播種した試料をヌードマウス皮下へ移植して摘出することが開示されている。摘出後のヘマトキシリン/エオシン染色像から硬組織の形成が確認され、さらにこの試料から抽出したRNAを、RT-PCRを用いて評価したところ、硬組織が象牙質様組織であったことが記載されている。しかしながら形成された硬組織の量は非常に少なく、臨床応用の見地からは効率的な象牙芽細胞への効率的な分化手法が求められる。
【0008】
また、非特許文献2には、生体外で歯髄幹細胞を抽出し、その歯髄幹細胞に骨形成因子(Bone Morphogenetic Proteins:BMP)蛋白質の投与又はBMP遺伝子を導入し、三次元培養を行い分化した象牙芽細胞を露出歯髄面上に移植する象牙質の再生が記載されている。しかしながら、再生される象牙質は細管構造を持たない骨様象牙質であり、方向性を規定できず物理学的性質が細管象牙質に比べて劣る。
【0009】
また、特許文献3には、MIP-3α(Macrophage inflammatory protein-3alpha)受容体の発現を誘導する分化因子及びMIP-3αの存在下にて、間葉系幹細胞から象牙芽細胞を製造する方法が記載されているが、特許文献3に記載されている方法では細胞分化効率は十分なものとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−363084号公報
【特許文献2】特開平6−256132号公報
【特許文献3】再表2006−009291号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】S.Gronthosら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2000,5;97(25):13625-30
【非特許文献2】Nakashima and Reddi, 2003;Nakashima and Akamine, 2006(PMID 12949568 doi 10.1038/nbt864;PMID:16186748)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、歯髄又は他組織の幹細胞から象牙芽細胞へ効率的に細胞分化させる装置、歯髄又は他組織の幹細胞から象牙芽細胞へ効率的に細胞分化させる方法、及び、その方法を使用して得られる象牙芽細胞を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る細胞分化装置は、多数の凹部からなり幹細胞が付着される多凹面部を有する天井膜を、凹部開口がチャンバ内側に向けて有する筒状のチャンバと、前記多凹面部に周期的に圧力をかけることにより前記幹細胞に刺激を与え、幹細胞の細胞突起を前記凹部内に伸ばした状態で前記幹細胞を象牙芽細胞に分化させる加圧部とを有することを特徴とする。
【0014】
前記幹細胞は、歯髄幹細胞、骨髄幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、胚性幹細胞、及びiPS細胞のうち少なくとも何れか一つを含むものであることが好ましい。
【0015】
また、前記加圧部に印加する駆動波形が、正弦波、余弦波、矩形波、台形波、鋸波、三角波、又はこれらの合成波の何れか一つであることが好ましい。
【0016】
また、前記加圧部における加圧は、前記チャンバの天井膜側から軸方向に周期的にかかる機械加圧であることが可能である。
【0017】
また、前記加圧部における加圧は、前記チャンバを耐圧容器内の媒体中に浸漬し、前記チャンバの外面に一様な等方圧を作用させる静水圧加圧であることが可能である。
【0018】
前記機械加圧による圧力は、0.75N/m以上1.5N/m以下であることが好ましい。
【0019】
前記静水圧加圧による圧力は、0.5MPa以上1.0MPa以下であることが好ましい。
【0020】
また、前記凹部の内部の形状は、深さが1μm以上20μm以下であり、直径が1μm以上12μm以下である略円柱形状であることが好ましい。
【0021】
また、前記天井膜は、表面にプラズマ処理された酸素透過性のシリコン膜であることが好ましい。
【0022】
更に、前記チャンバ内に細胞分化を促進する分化培地が含有され、前記分化培地中及び前記天井膜の少なくとも何れか一方に、骨形成因子(Bone Morphogenetic Proteins)又はbFGF(basic fibroblast growth factor)が含有されることが好ましい。
【0023】
前記骨形成因子は、BMP2、BMP7、BMP11、GDF(Growth Differentiation Factor)5及びGDF6のうち少なくとも何れか一つを含むものであることが好ましい。
【0024】
前記チャンバは、歯牙う触により生じる象牙質の空隙形状であることが好ましい。
【0025】
前記歯髄幹細胞は、永久歯又は乳歯由来の歯髄幹細胞であることが好ましい。
【0026】
また、本発明に係る細胞分化方法は、多数の凹部からなる多凹面部を有する天井膜を、凹部開口がチャンバ内側に向けて有する筒状のチャンバの前記多凹面部に幹細胞を付着させる工程と、前記チャンバの天井膜側から軸方向に周期的に圧力をかけることにより前記幹細胞に刺激を与え、幹細胞の細胞突起を前記凹部内に伸ばした状態で前記幹細胞を象牙芽細胞に分化させる工程とを有することを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る象牙芽細胞は、多数の凹部からなる多凹面部を有する天井膜を、凹部開口がチャンバ内側に向けて有する筒状のチャンバの前記多凹面部に幹細胞を付着させる工程と、前記チャンバの天井膜側から軸方向に周期的に圧力をかけることにより前記幹細胞に刺激を与え、幹細胞の細胞突起を前記凹部内に伸ばした状態で前記幹細胞を象牙芽細胞に分化させる工程とを有する細胞分化方法により得られる分化誘導された象牙芽細胞である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、歯髄幹細胞等の幹細胞から短時間で安全にしかも大量に象牙芽細胞を分化させることができる。分化させた象牙芽細胞からは象牙質を得ることができ、これを患者のう触により生じた空隙に移植することで適切なう触治療ができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a),(b)は、機械加圧による加圧部を有する第1実施形態に係る細胞分化装置を示した展開図であり、そのうち(a)は全体を説明するものであり、(b)は内側に複数個の凹部を有する天井膜を説明する断面図である。
【図2】(a),(b)は、機械加圧による加圧部を有する第1実施形態に係る細胞分化装置を示した展開図であり、そのうち(a)は組み立て途中を説明するものであり、(b)は装置の概観図である。
【図3】第1実施形態に係る細胞分化装置の加圧部の断面図である。
【図4】(a),(b)は、天井膜の複数個の凹部を説明する説明図であり、そのうち(a)は複数個の凹部の平面図であり、(b)は複数個の凹部の断面図である。
【図5】パルス電気信号の波形を説明する説明図であり、(a)は正弦波若しくは余弦波であり、(b)は矩形波であり、(c)は台形波であり、(d)は鋸波であり、(e)は三角波である。
【図6】台形波の波形の変形例を示す説明図である
【図7】(a)〜(d)は幹細胞が象牙芽細胞に分化して基質を形成することを説明する図であり、そのうち(a)は、最初、幹細胞が複数個の凹部に付着する状態を説明する断面図であり、(b)は加圧により細胞が突起を伸ばして象牙芽細胞に分化する状態を説明する断面図であり、(c)は象牙芽細胞が象牙質基質を形成しながら後退する状態を説明する断面図であり、(d)はスキャフォールドとともに注入された歯髄幹細胞が歯髄細胞を含む歯髄組織として三次元構築(バイオ歯が形成)される状態を説明する断面図である。
【図8】チャンバ内部の空間が歯牙う触により生じる象牙質の空隙形状である他の実施形態に係る細胞分化装置の展開図である。
【図9】静水圧加圧による加圧部を有する第2実施形態に係る細胞分化装置の断面図である。
【図10】第3実施形態に係る細胞分化装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
以下、添付の図面を参照して本発明の第1実施形態について具体的に説明する。図1(a)は、機械加圧による加圧部を有する第1実施形態に係る細胞分化装置全体を説明するものであり、図1(b)は内側に複数個の凹部を有する天井膜を説明する断面図である。図2(a)は、第1実施形態に係る細胞分化装置の組み立て途中を説明するものであり、図2(b)は第1実施形態に係る細胞分化装置の概観図である。図3は、第1実施形態に係る細胞分化装置の加圧部の断面図である。図4(a)は天井膜の複数個の凹部の平面図であり、図4(b)は天井膜の複数個の凹部の断面図である。
【0031】
本実施形態に係る細胞分化装置100は、図1(a)に示すように、筒状のチャンバ130と、加圧部110とを有する。
【0032】
筒状のチャンバ130は、筒体133と、筒体133の上部に載置される天井膜131とを有する。天井膜131の厚みは、例えば200μm〜1000μmである。筒体133の内部空間134は、上下面が解放するように形成されている。筒体133は円筒形状であるが、このような形状に限定されることはなく角筒体等の種々の形状を採用することができる。筒体133の高さは例えば5mm〜10mmであり、直径は例えば25mm〜30mmである。内部空間134の内径は例えば2mm〜12mmである。内部空間134の容積は、例えば300mm〜1300mm、好ましくは390mm〜1130mmである。図1(b)に示すように、天井膜131には、多数の凹部132aからなる多凹面部132が形成されている。凹部132aは、深さ方向が一定方向を指向して配列されている。なお、内部空間134内に、幹細胞の分化のための小型のアダプタチャンバを配置することも可能である。
【0033】
天井膜131は、その多数の凹部132aの開口がチャンバ130の内側に向くように配置して、筒体133の上部に載置される。天井膜131は、生体親和性及びガス透過性を有する材質から形成される。細胞へ酸素を供給し且つ細胞から不要な二酸化炭素及び代謝産物を排出することによりチャンバ130内の環境を生体環境に近づけるためである。
【0034】
天井膜131は、例えばシリコンハイドロゲルで形成される。シリコンハイドロゲルを用いることにより、レーザー等により凹部132aを形成することなく、天井膜131を成形すると同時に凹部132aも形成できる。例えば、窩洞修復形態に準じたキャビティを有する鋳型に、象牙細管様の凹部132aを形成可能な成形部位(具体的には凸状部)を備えさせることで、成形と同時に凹部132aを形成できる。シリコンハイドロゲルは、ポリシロキサン骨格とポリカーボネート骨格を含むコポリマーと、親水性モノマーを重合した親水性ポリマーからなり、該コポリマーと親水性ポリマーの相互網目構造を有する透明ゲルを用いることができる。シリコンハイドロゲル以外にもポリジメチルシロキサン(PDMS)、ジメチルシロキサングリセロールメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート等のエラストマーで天井膜131を形成することも可能である。なお、外部観察を容易にするため、透明な材料で天井膜131を形成することが好ましい。
【0035】
天井膜131の表面には、幹細胞が付着しやすいように、膜表面をプラズマ処理した後にコラーゲンコート処理がなされる。コラーゲンコートに使用されるコラーゲンは、I型コラーゲンを用いることが好ましい。I型コラーゲンとは、基本的コラーゲンであり、繊維性コラーゲンである。
【0036】
蓋体120は、外部の物理的衝撃等から天井膜131を保護するためのものである。蓋体120は柔軟性を有するとともに物理的衝撃にも耐性を有する材料から形成される。更には蓋体120もガス透過性を有する材料で形成されることが好ましい。蓋体120も天井膜131と同様の材質で形成することができる。蓋体120の中央部には穴121が設けられている。
【0037】
加圧部110は、チャンバ130の天井膜131側から、穴121を介して、チャンバ130の軸方向に矢印Sで示すように周期的に加圧板119にて天井膜131に対して圧力をかける。
【0038】
図2(a)に示すように、チャンバ130は、カップ140内部に載置され、天井膜131の上に蓋体120が載置される。そして、図2(b)に示すように、加圧板119が穴121に入り込み、天井膜131の上に加圧板119が置かれる。筒体133の内部空間134の上部は、天井膜131で蓋される。筒体133の内部空間134の下部は、カップ140の下面141で蓋される。
【0039】
加圧部110は、多凹面部132に周期的に圧力をかけることができるものであれば、任意の機構を使用することができる。本実施形態では、図3に示すように、加圧部110は、アクチュエータ250と、天井膜131を加圧する加圧板119と、アクチュエータ250の振動を加圧板119に伝達する振動棒118とを有する。
【0040】
アクチュエータ250は、制御回路111と、円盤状の第1ヨーク112と、第2ヨーク113と、マグネット114と、コイル115と、コイルボビン116とを有する。アクチュエータ250はケース117に収納されている。
【0041】
第2ヨーク113の内側には、振動棒118の振動方向Sに着磁されたマグネット114が内蔵されている。マグネット114には、円板状の第1ヨーク112が取り付けられている。マグネット114、第1ヨーク112及び第2ヨーク113により磁気回路が構成される。
【0042】
マグネット114と第2ヨーク113との間の隙間空間には、コイル115が巻回されたコイルボビン116が出入りする。コイル115には、給電線が接続されており、その給電線は駆動用のIC等の制御回路111に電気的に接続されている。この制御回路111からパルス電気信号がアクチュエータ250に供給される。加圧板119には圧力状況を検知する圧力センサが配置され、多凹面部132にかかる圧力をモニタして、振動棒118の変位量を制御する制御手段が設けられることが好ましい。振動棒118の変位量制御は、加圧板119にかかる圧力に基づくフィードバック制御により、振動棒118の変位量を制御することが好ましい。
【0043】
多凹面部132に設けられている凹部132aは、例えば3千個/mm〜5万個/mm形成されることが好ましい。また、凹部132aの形状は特に限定されるものではないが、例えば図4(a)及び(b)に示すように、非貫通型の略円柱形状の空隙である。凹部132aのサイズは、後述するように、分化した象牙芽細胞の細胞突起が凹部132a内部に入り込みやすいように象牙質の象牙細管の態様に類似する態様で形成される。凹部132aの直径131dは、例えば1μm以上12μm以下であり、好ましくは1μm以上10μm以下であり、より好ましくは2μm以上8μm以下である。凹部132a同士のピッチ131pは例えば2μm以上30μm以下であり、好ましくは3μm以上28μm以下であり、より好ましくは4μm以上26μm以下である。また、凹部132aの深さ132hは、例えば1μm以上20μm以下であり、好ましくは1μm以上15μm以下であり、より好ましくは2μm以上10μm以下である。なお、凹部132aは開口部を有する面の反対側まで到達する貫通状の形状でもよい。
【0044】
次に、上述した細胞分化装置100の使用態様、及び、本実施形態に係る細胞分化方法を説明する。図5は、パルス電気信号の波形を説明する説明図であり、(a)は正弦波若しくは余弦波であり、(b)は矩形波であり、(c)は台形波であり、(d)は鋸波であり、(e)は三角波である。図6は、より好ましい台形波の波形を示す説明図である。図7は、幹細胞が象牙芽細胞に分化して基質を形成することを説明する説明図であり、(a)は、最初、幹細胞が複数個の凹部に付着する状態であり、(b)は加圧により細胞が突起を伸ばして象牙芽細胞に分化する状態であり、(c)は象牙芽細胞が象牙質基質を形成しながら後退する状態であり、(d)はスキャフォールドに歯髄幹細胞を混合して筒体内に注入し、さらに培養して歯髄細胞を含む歯髄組織が三次元構築される状態である。スキャフォールドは、例えば、I型及びIII型コラーゲン、グリコサミノグリカン、ゼラチン、ヒアルロン酸、キチン、フィブロネクチン、アルギン酸、ヘパラン硫酸、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト等の天然材料及びその誘導体のほか、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸グリコール酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリシリコン、ポリカプロラクトン等の合成高分子材料が挙げられる。I型及びIII型コラーゲンは、I型及びIII型コラーゲンを混合させたものであり、I型コラーゲンとIII型コラーゲンとの重量比は例えば2:3〜3:2であり、好ましくは1:1である。また、スキャフォールドは、熱可塑性高分子等の高分子体で作製された数平均直径が1nm〜1000nmのナノファイバーからなるスポンジ状の三次元構造体も使用できる。そのような三次元構造体の空隙率は80%〜99.99%とすることが好ましい。
【0045】
まず、図7(a)に示すように、天井膜131の多凹面部132に幹細胞300を付着させる。幹細胞300は特に限定されるものではないが、象牙芽細胞に分化しやすい幹細胞300が選択され、例えば歯髄幹細胞、骨髄幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、胚性幹細胞、iPS細胞(induced pluripotent stem cells,人工多能性幹細胞)又はこれらの混合を使用することができる。多凹面部132に付着させる幹細胞300の密度は、例えば1×10個/cm〜1×10個/cm、好ましくは5×10個/cm〜5×10個/cm、より好ましくは1×10個/cm〜1×10個/cmの範囲とすることができる。
【0046】
歯髄幹細胞は、例えば、ヒトの抜去歯(永久歯若しくは乳歯由来)等から採取することができる。歯髄幹細胞は、CD31陰性且つCD146陰性SP(Side Population)細胞、CD24陽性細胞、CD105陽性細胞、CD150陽性細胞、CD133陽性細胞、MHC(major histocompatibility complex) class I陰性、MHC class II陰性細胞等に多く含まれる。なお、ヒトについてのMHC class IがHLA(human leukocyte antigen)class Iであり、MHC class IにはHLA class Iも含まれる。ヒト歯髄幹細胞は、例えばNakashima M. Archs oral Biol. 36(9), 655-663, 1991に記載の方法に従って採取することができる。例えば埋伏歯を無菌的に取り出し、Phosphate Buffered Saline(PBS)溶液等の適当な保存液で保存する。歯牙の中の石灰化した部分を取り除き、歯髄組織を細切して、PBS溶液等を用いて組織を洗浄する。次いで、コラゲナーゼやディスパーゼを用いて組織を酵素処理する。酵素処理後、ピペッティング操作と遠心操作により細胞を回収する。特に乳歯の中には歯髄幹細胞が高密度に含有されているので、ヒトの乳歯は歯髄幹細胞を採取するのに好適である。
【0047】
次に筒体133をカップ140内部に入れて、筒体133の内部空間134に細胞分化を促進する分化培地(又はスキャフォールド)を入れることができる。分化培地は種々のものを使用することができ、例えば、GIBCO社のDMEM、メディカルト社のIVC、アーバイン社のHTF、等を用いることができる。分化培地には骨形成因子(Bone Morphogenetic Proteins)が含有されることが好ましい。より好ましくはプラズマコートした多凹面部132にI型コラーゲンとともに骨形成因子をコートする。骨形成因子は特に限定されるものではないが、例えばBMP2、BMP4、BMP7、BMP11、GDF5、GDF6等を使用することができる。また分化培地には10%ウシ胎児血清もしくは10%仔ウシ血清、50μg/mlアスコルビン酸、4mMのPi(リン酸)を含有しても良い。
【0048】
また分化培地(又はスキャフォールド)には、マトリックスメタロプロテアーゼ3(MMP3)活性を有するタンパク質を含有させることも可能である。MMP3は、MMPファミリーに属するタンパク質の一種であり、ストロムライシン1とも呼称されている。MMP3は、各種の生物種から取得されており、例えば、ヒトのMMP3のアミノ酸配列及び塩基配列は、GenBankにてアクセッション番号NP_002413.1にて取得することができ、特異的に象牙質形成促進作用を有する。
【0049】
更に、分化培地(又はスキャフォールド)には、象牙芽細胞への分化誘導を促進するとされる公知の形態形成因子を含むことができる。このような形態形成因子としては、例えばサイトカイン類、ケモカイン類、ビタミン類、抗生物質、ホルモン生理活性物質が挙げられ、好ましくは、デキサメタゾン、MIP−3α、MCP−1、TGF−β、β−グリセロリン酸、アスコルビン酸、タクロリムス、シクロスポリン、スタチン、ビタミンD、グルココルチコイド、Insulin-like growth factors (IGFs)、Fibroblast growth factors (FGFs)等が挙げられる。これらの因子は、単一の添加でもよいし、複数の因子を組み合わせて添加してもよい。
【0050】
次に、幹細胞を付着させた凹部132aを内部空間134側に向けて、天井膜131を筒体133の上部に載置する。次に図2(a)で示すように天井膜131の上に蓋体120を被せ、図2(b)で示すように天井膜131の上に加圧板119が置かれる。加圧部110は固定部材にて固定されることが好ましい。なお、チャンバ130内部は、細胞分化が促進されやすいように37℃〜38℃程度に保つことが好ましい。
【0051】
次に、加圧部110の図示されていない電源をオンにして、制御回路111からアクチュエータ250に対してパルス電気信号を供給して、加圧板119を上下に振動させて、チャンバ130の軸方向に周期的に圧力をかける。パルス電気信号の波形は、特に限定されるものではないが、例えば図5(a)に示すように正弦波若しくは余弦波、図5(b)に示すように矩形波、図5(c)に示すように台形波、図5(d)に示すように鋸波、図5(e)に示すように三角波、又はこれらの合成波を使用することができる。
【0052】
矩形波は、簡単なデジタル回路を用いることで容易に生成可能であるうえ、応答が速いので効率良く微振動させることができる。しかし、圧力変動が大きくなり、幹細胞又は象牙芽細胞にダメージを与える可能性があるので、電圧の立ち上がりと立ち下がりが傾斜している台形波が好適である。台形波は、図5(c)に示すように、上端部の時間tと下端部の時間tとが同一であり、また上端部から下端部への移動時間tと下端部から上端部への移動時間tとも同一である。なお、例えば時間tの場合は加圧板119が最上部にあり、時間tの場合は加圧板119が最下部にあると考えることができる。
【0053】
図6に示すように、台形波は、上端部の時間tと下端部の時間tとが同一であるが、上端部から下端部への移動時間tよりも下端部から上端部への移動時間tが短いほうが好適である。即ち、加圧板119が最上部から最下部へ移動(押し動作)する時間よりも、最下部から最上部へ移動(引く動作)する時間のほうが短いほうが好適である。なお、台形波以外の正弦波、余弦波、矩形波、鋸波、三角波においても、加圧板119の押し動作時間より引き動作時間が短くなるような変形波形が好適である。
【0054】
パルス電気信号の波形が正弦波又は余弦波の場合は、その周波数fは特に限定されるものではないが、あまりにも高周波数となると幹細胞又は歯髄幹細胞にダメージを与える可能性がある。そこで、周波数fは低周波数とすることが好ましく、例えば0.1〜1.5Hz、より好ましくは0.2〜1.0Hz、更に好ましくは0.3〜0.5Hzである。また、パルス電気信号の波形が矩形波又は台形波の場合は、波形が最上部又は最下部に位置するタイミングが単位時間あたりに余りに多いと細胞にダメージを与える可能性がある。そこで、波形が最上部又は最下部に位置するタイミングは単位時間あたり所定回数に抑制することが好ましく、例えば1分間あたり、2〜12回、より好ましくは3〜8回、更に好ましくは4〜6回である。
【0055】
加圧板119の上下振動により、チャンバ130の軸方向に周期的に圧力がかかる。機械圧力は特に限定されるものではないが、あまりに高い圧力がかかると幹細胞又は象牙芽細胞にダメージが与えられる可能性があるから、例えば0.75N/m以上1.5N/m以下、好ましくは例えば0.85N/m以上1.25N/m以下、より好ましくは0.95N/m以上1.0N/m以下である。
【0056】
そして、チャンバ130の軸方向に周期的にかかる圧力は、口腔内で歯髄幹細胞に日常的に加わる生体物理刺激に類似する圧力である。このように、凹部132aに付着している幹細胞300にチャンバ130の軸方向に生体内と同じような周期的圧力が与えられ、幹細胞300は象牙芽細胞310に分化する。象牙芽細胞310は、象牙質の外側端部に整列した偏心的な核と、長い細胞突起311とを有する円柱状の一方向に並んだ細胞であり、この象牙芽細胞310は図7(b)に示すように、その細胞突起311を凹部132a内に伸ばした状態で、幹細胞から分化する。そして、図7(c)に示すように象牙芽細胞は象牙質基質360を形成し、図7(d)に示すようにスキャフォールド370内に歯髄細胞からの基質が三次元構築される。
【0057】
本実施形態に係る発明によれば、簡易な手法又は装置にて、短時間で効率よく幹細胞から象牙芽細胞を分化させることができる。更に、図8に示すように、チャンバ130の筒体133の内部空間133を歯牙う触により生じる象牙質の空隙形状に形成しておけば、患者に移植するのに好ましい形状にて象牙質の三次元構造体(バイオ歯)を得ることができ、これを患者のう触により生じた空隙に移植することにより、移植したバイオ歯が削って残った象牙質と完全に接着する。移植物と残存象牙質とでは熱膨張率、収縮率及び力学的性質がほぼ同じであるため、鋳型で作った人工材料の充填修復物又は補綴物を装着する従来の治療法と比較して、隙間から再度う蝕になることを防ぐことができる。また、象牙質切削を従来よりも大幅に削減し、さらに再生された象牙質は種々の細胞増殖因子及び形態形成因子を含むため、う蝕予防・自然修復効果が高く、歯の寿命を著しく増大させることができる。
【0058】
(第2実施形態)
本実施形態に係る細胞分化装置100は、第1実施形態と異なり、加圧部110における加圧が静水圧加圧である。図9は本実施形態に係る細胞分化装置の断面図である。
【0059】
図9に示すように、加圧部110は、アクチュエータ筐体230と、アクチュエータ250と、振動板221とを有する。振動板221は薄厚みの板体であり、例えば樹脂、金属等で形成される。樹脂にて振動板221を形成する場合は例えばポリエチレン等を使用することできる。金属にて振動板221を形成する場合は例えば銅、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス等で形成できる。アクチュエータ筐体230内部には流体が充填されており、流体は特に限定されるものではないが例えば水である。アクチュエータ筐体230の右側端部には流路孔230a,230bが形成されている。振動板221はその両端部にてゴム等の弾性支持部材222により支持されており、アクチュエータ筐体230内部の空間を上部空間281と下部空間282とで分割している。アクチュエータ筐体230は耐圧容器である。
【0060】
アクチュエータ250の構成は第1実施形態と同様であり、下部空間282に配置されている。アクチュエータ250は、アクチュエータケース214内に収納されており、これによりアクチュエータ250が流体に曝されることが防止される。アクチュエータケース214は、上ケース212と、下ケース211と、これらを接続するゴム部材213とで構成される。下ケース211は下部空間282の任意の箇所に固定されており、コイルボビン116と上ケース212とは接着剤等により固着されている。
【0061】
チャンバ130は、カップ140内部に入れられ、接着剤等を介して蓋体120にてシールされる。チャンバ130は、チャンバ筐体270内に収納される。チャンバ容器270は耐圧容器である。接着剤等を使用して蓋体120でシールするのは、流体が内部に浸透して幹細胞又は歯髄幹細胞に付着しないようにするためである。チャンバ筐体270内部には、アクチュエータ筐体230内部と同様に流体が充填されている。チャンバ筐体270の両端部には流路孔270a,270bが形成されている。流路孔230aと流路孔270aとは流体が流れる管路241で接続されている。また、流路孔230bと流路孔270bとは流体が流れる管路242で接続されている。
【0062】
次に、本実施形態に係る細胞分化装置100の使用態様を説明する。天井膜131の多凹面部132に歯髄幹細胞等の幹細胞を付着させ、筒体133をカップ140内部に入れ、内部空間134に分化培地を入れ、天井膜131を筒体133の上部に載置し、天井膜131の上に蓋体120を被せる(ただし本実施形態では蓋体120に穴121はない)ところまでは、上述した第1実施形態と共通である。
【0063】
アクチュエータ筐体230及びチャンバ筐体270内部を水で充填し、加圧部110の図示されていない電源をオンにして、制御回路111からアクチュエータ250に対して台形波等のパルス電気信号を供給する。これにより、振動板221は台形波振動を行い、上部空間281及び下部空間282の容積が増減する。上部空間281及び下部空間282の容積変化に伴い、上部空間281及び下部空間282の圧力が交互に増減し、夫々管路241及び管路242を介して交互に流体の脈流として吐出される。即ち、コイルボビン116が上方向に移動すると、振動板221も上方向に移動し、上部空間281の容積が減少し、上部空間281内から流体が吐出され、管路241を通じて流体がチャンバ筐体270内に流入してチャンバ筐体270内の圧力が上昇する。一方、コイルボビン116が下方向に移動すると、振動板221も下方向に移動し、下部空間282の容積が減少し、下部空間282内から流体が吐出され、管路242を通じて流体がチャンバ筐体270内に流入してチャンバ筐体270内の圧力が上昇する。
【0064】
静水圧加圧は、特に限定されるものではないが、あまりに高い圧力がかかると幹細胞又は象牙芽細胞にダメージが与えられる可能性があるから、例えば0.5MPa以上1.0MPa以下、好ましくは0.7MPa以上0.9MPa以下、より好ましくは0.8MPa以上0.85MPa以下である。
【0065】
このようにして、チャンバ130の多凹面部132に周期的に圧力がかかり、凹部132aに付着している幹細胞300に刺激が与えられ、細胞突起311を凹部132a内に伸ばした状態で象牙芽細胞310に分化する。静水圧加圧によれば多凹面部132に対して鉛直方向に精度良く圧力を与えることができる。
【0066】
(第3実施形態)
図10は本実施形態に係る細胞分化装置の概観図である。本実施形態に係る細胞分化装置100は、第1実施形態と異なり、天井膜131と筒体133とが一体となっており、部品点数削減により細胞分化装置100の製造コストを低減させることができる。
【0067】
図10に示すように、本実施形態に係る細胞分化装置100は蓋体120を使用しないので、天井膜131は外部からの物理的衝撃に対して耐性を有する程度の強度を有する材質で形成される。筒体133の内部空間134は下面のみが解放されており、ここから幹細胞を多凹面部132に付着させる。多凹面部132に幹細胞を付着させた後、チャンバ130をカップ140内に載置して、天井膜131の上に加圧部110を載置して、加圧板119の上下振動により、チャンバ130の軸方向に周期的に圧力がかかる。本実施形態によれば簡易な構造により装置を構成できる。
【符号の説明】
【0068】
100 :細胞分化装置
110 :加圧部
111 :制御回路
112 :第1ヨーク
113 :第2ヨーク
114 :マグネット
115 :コイル
116 :コイルボビン
117 :ケース
118 :振動棒
119 :加圧板
120 :蓋体
130 :チャンバ
131 :天井膜
132 :多凹面部
132a:凹部
133 :筒体
134 :内部空間
140 :カップ
211 :下ケース
212 :上ケース
213 :ゴム部材
214 :アクチュエータケース
221 :振動板
222 :弾性支持部材
230 :アクチュエータ筐体
241 :管路
242 :管路
250 :アクチュエータ
270 :チャンバ筐体
281 :上部空間
282 :下部空間
300 :幹細胞
311 :歯髄幹細胞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の凹部からなり幹細胞が付着される多凹面部を有する天井膜を、凹部開口がチャンバ内側に向けて有する筒状のチャンバと、前記多凹面部に周期的に圧力をかけることにより前記幹細胞に刺激を与え、幹細胞の細胞突起を前記凹部内に伸ばした状態で前記幹細胞を象牙芽細胞に分化させる加圧部とを有することを特徴とする細胞分化装置。
【請求項2】
前記幹細胞は、歯髄幹細胞、骨髄幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、胚性幹細胞、及びiPS細胞のうち少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項1記載の細胞分化装置。
【請求項3】
前記加圧部に印加するパルス電気信号の波形は、正弦波、余弦波、矩形波、台形波、鋸波、三角波、又はこれらの合成波の何れか一つであることを特徴とする請求項1又は2項に記載の細胞分化装置。
【請求項4】
前記加圧部における加圧は、前記チャンバの天井膜側から軸方向に周期的にかかる機械加圧であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の細胞分化装置。
【請求項5】
前記加圧部における加圧は、前記チャンバを耐圧容器内の媒体中に浸漬し、前記チャンバの外面に一様な等方圧を作用させる静水圧加圧であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の細胞分化装置。
【請求項6】
前記機械加圧による圧力は、0.75N/m以上1.5N/m以下であることを特徴とする請求項4記載の細胞分化装置。
【請求項7】
前記静水圧加圧による圧力は、0.5MPa以上1.0MPa以下であることを特徴とする請求項5記載の細胞分化装置。
【請求項8】
前記凹部の内部の形状は、深さが1μm以上20μm以下であり、直径が1μm以上12μm以下である略円柱形状であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の細胞分化装置。
【請求項9】
前記天井膜は、表面にI型コラーゲンがコートされたシリコン膜であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の細胞分化装置。
【請求項10】
前記チャンバ内に細胞分化を促進する分化培地が含有され、前記分化培地中及び前記天井膜の少なくとも何れか一方に、骨形成因子(Bone Morphogenetic Proteins)又はbFGF(basic fibroblast growth factor)が含有されることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の細胞分化装置。
【請求項11】
前記骨形成因子は、BMP2、BMP7、BMP11、GDF5及びGDF6のうち少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項10記載の細胞分化装置。
【請求項12】
前記チャンバの内部空間の形状は、歯牙う触により生じる象牙質の空隙形状であることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の細胞分化装置。
【請求項13】
前記歯髄幹細胞は、永久歯又は乳歯由来の歯髄幹細胞であることを特徴とする請求項2記載の細胞分化装置。
【請求項14】
多数の凹部からなる多凹面部を有する天井膜を、凹部開口がチャンバ内側に向けて有する筒状のチャンバの前記多凹面部に幹細胞を付着させる工程と、前記チャンバの天井膜側から軸方向に周期的に圧力をかけることにより前記幹細胞に刺激を与え、幹細胞の細胞突起を前記凹部内に伸ばした状態で前記幹細胞を象牙芽細胞に分化させる工程とを有することを特徴とする細胞分化方法。
【請求項15】
多数の凹部からなる多凹面部を有する天井膜を、凹部開口がチャンバ内側に向けて有する筒状のチャンバの前記多凹面部に幹細胞を付着させる工程と、前記チャンバの天井膜側から軸方向に周期的に圧力をかけることにより前記幹細胞に刺激を与え、幹細胞の細胞突起を前記凹部内に伸ばした状態で前記幹細胞を象牙芽細胞に分化させる工程とを有する細胞分化方法により得られる分化誘導された象牙芽細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−213631(P2010−213631A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65054(P2009−65054)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(803000056)財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 (341)
【Fターム(参考)】