細胞分離装置、及び細胞分離方法
【課題】 磁気ビーズを用いた細胞分離において、前記磁気ビーズと細胞とを十分に混合し、前記磁気ビーズに前記細胞を付着させ、前記細胞の分離を簡易かつ確実に行う。
【解決手段】 マイクロミキサーに設けられた第1の流体分断手段を用いて、磁気ビーズと所定の細胞とを含む流体を左右に分断し、前記マイクロミキサーに設けられた第2の流体分断手段を用いて、前記左右に分断された前記流体を上方に分断する。次いで、前記マイクロミキサーに設けられた第3の流体分断手段を用いて、前記左右に分断された前記流体を下方に分断し、前記マイクロミキサーに設けられた流体合流手段を用いて、前記上方に分断された前記流体と前記下方に分断された前記流体とを合流させる。その後、前記マイクロミキサーを透過した後の、前記流体中における前記磁気ビーズと、前記磁気ビーズに付着した前記細胞とを、セパレータによって前記流体の残部から分離する。
【解決手段】 マイクロミキサーに設けられた第1の流体分断手段を用いて、磁気ビーズと所定の細胞とを含む流体を左右に分断し、前記マイクロミキサーに設けられた第2の流体分断手段を用いて、前記左右に分断された前記流体を上方に分断する。次いで、前記マイクロミキサーに設けられた第3の流体分断手段を用いて、前記左右に分断された前記流体を下方に分断し、前記マイクロミキサーに設けられた流体合流手段を用いて、前記上方に分断された前記流体と前記下方に分断された前記流体とを合流させる。その後、前記マイクロミキサーを透過した後の、前記流体中における前記磁気ビーズと、前記磁気ビーズに付着した前記細胞とを、セパレータによって前記流体の残部から分離する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞分離装置、及び細胞分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の磁気ビーズを用いた細胞分離装置としては、例えばUS5536475があるが、大量な試料から所望の造血細胞などを抽出することを目的としているため、タンクで攪拌しながら磁気ビーズと細胞を混合させた上、前記磁気ビーズと前記細胞とが分子拡散によって接合するための十分なインキュベーション時間が必要であった。
【0003】
一方、幹細胞等は自己増殖が可能なので、ごく微少な試料からごくわずかでも抽出することができれば、その後の分化や成長を観察する上では十分である。しかしながら、微細な試料から目的とする細胞を抽出するシステムでは、流れのレイノルズ数が低下するため磁気ビーズと細胞の混合が抑制され、目的とする細胞の抽出ができないという課題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、磁気ビーズを用いた細胞分離において、レイノルズ数の大小によらず、前記磁気ビーズと細胞とを十分に混合し、前記磁気ビーズに前記細胞を付着させ、前記細胞の分離を簡易かつ確実に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく、本発明は、
磁気ビーズと所定の細胞とを含む流体を左右に分断するための第1の流体分断手段、前記左右に分断された前記流体を上方に分断するための第2の流体分断手段、前記左右に分断された前記流体を下方に分断するための第3の流体分断手段、及び前記上方に分断された前記流体と前記下方に分断された前記流体とを合流させる流体合流手段を有するマイクロミキサーと、
前記マイクロミキサーを透過した後の、前記流体中における前記磁気ビーズと、前記磁気ビーズに付着した前記細胞とを、前記流体の残部から分離するためのセパレータと、
を具えることを特徴とする、細胞分離装置に関する。
【0006】
また、本発明は、
マイクロミキサーに設けられた第1の流体分断手段を用いて、磁気ビーズと所定の細胞とを含む流体を左右に分断する第1の工程と、
前記マイクロミキサーに設けられた第2の流体分断手段を用いて、前記左右に分断された前記流体を上方に分断する第2の工程と、
前記マイクロミキサーに設けられた第3の流体分断手段を用いて、前記左右に分断された前記流体を下方に分断する第3の工程と、
前記マイクロミキサーに設けられた流体合流手段を用いて、前記上方に分断された前記流体と前記下方に分断された前記流体とを合流させる第4の工程と、
前記マイクロミキサーを透過した後の、前記流体中における前記磁気ビーズと、前記磁気ビーズに付着した前記細胞とを、セパレータによって前記流体の残部から分離するための第5の工程と、
を具えることを特徴とする、細胞分離方法に関する。
【0007】
本発明によれば、磁気ビーズと所定の細胞とを含む流体を左右方向に分断し、さらにこの分断された流体をそれぞれ上下方向に分断した後、これら分断された流体を合流させるようにしている。この過程において、前記上下方向に分断された流体の断面は、それぞれ最初の流体の断面に対して所定の角度だけ回転することができ、さらに前記上下方向に分断された流体が合流される際に、再度前記最初の流体の断面に対して所定の角度だけ回転することができる。したがって、上記過程を経ることにより、前記最初の流体は分断されるとともに、分断された流体の断面が所定角度回転された後、合流されることになるので、前記流体は十分に撹拌され混合されることになる。
【0008】
したがって、前記流体中に含まれる前記磁気ビーズ及び前記細胞も、互いに十分に撹拌混合されるようになるので、前記細胞は前記磁気ビーズに十分に付着するようになり、前記マイクロミキサーの後方に設けられたセパレータによって高効率に磁気的に分離されるようになる。
【0009】
なお、上述した説明から明らかなように、本発明では、流体の分断及び流体断面の回転によって前記流体の撹拌及び混合を実施しているので、前記流体のレイノルズ数の大小によらず、前記磁気ビーズと前記細胞との撹拌混合を十分に促進して、前記細胞を前記磁気ビーズの付着することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、磁気ビーズを用いた細胞分離において、レイノルズ数の大小によらず、前記磁気ビーズと細胞とを十分に混合し、前記磁気ビーズに前記細胞を付着させ、前記細胞の分離を簡易かつ確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について、最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の細胞分離装置の一例を示す構成図である。図1に示す細胞分離装置10は、複数のマイクロミキサー21が直列に接続されてなるマイクロミキサー部20と、複数のセパレータ31が直列に配列されてなるセパレータ部30と、磁気ビーズ及び細胞を含む流体を流し、マイクロミキサー部20及びセパレータ部30を通ることにより、以下に詳述する工程に従って前記流体を細胞分離に供するようにするための流路40とを具えている。
【0013】
図1に示す細胞分離装置10においては、例えば入り口11から磁気ビーズを含む流体を導入し、入り口12から骨髄液や血液などの幹細胞、あるいは血球細胞などを含む流体を導入し、流路40中で混合する。次いで、混合して得た流体はマイクロミキサー部20内に導入され、各マイクロミキサー21内で以下に詳述するように撹拌混合される。
【0014】
図2は、図1に示す細胞分離装置10におけるマイクロミキサー21の一例を示す分解構成図である。図2に示すマイクロミキサー21は、第1の板状部材22と、第1の板状部材22の上方において順次に設けられた第2の板状部材23及び第4の板状部材25と、第1の板状部材22の下方において順次に設けられた第3の板状部材24及び第5の板状部材26とを含んでいる。
【0015】
第1の板状部材22には、T字型の第1の開口部221及びI字型の第4の開口部222が形成され、これら開口部の端部221A及び222Aは、それぞれ第1の板状部材22の、互いに相対向する側端部に開口している。
【0016】
また、第2の板状部材23には、L字型の第2の開口部231が形成され、その一方の端部231Aは、第1の板状部材22における第1の開口部221の上辺開口部の端部111Bと連続している。さらに、第2の開口部231の他方の端部231Bは、第1の板状部材22における第4の開口部222の前方端部222Bと連続している。
【0017】
第3の板状部材24には、同じくL字型の第3の開口部241が形成され、その一方の端部241Aは、第1の板状部材22における第1の開口部221の上辺開口部の端部221Cと連続している。また、第3の開口部241の他方の端部241Bは、第1の板状部材22における第4の開口部222の前方端部222Bと連続している。
【0018】
なお、第4の板状部材25及び第5の板状部材26は、それぞれ第1の開口部221から第4の開口部222までを密閉するために云わば蓋として設けられ、図2に示すマイクロミキサーを実際の素子として機能させるためのものである。
【0019】
次に、図2に示すマイクロミキサー21を用いた流体の混合方法について説明する。図3及び図4は、図2に示すマイクロミキサー21内を流れる際の、流体の状態を示す図である。なお、本例においては、磁気ビーズを含む流体と細胞を含む流体とが上下方向に層をなしてなる多層流体の場合について説明する。
【0020】
最初に、多層流体S1は、マイクロミキサー21の第1の板状部材22における第1の開口部221に導入される。この際、多層流体S1は第1の開口部221の上辺部において左右方向に分断される。次いで、左右方向に分断された多層流体S1は、それぞれ第1の開口部221と連続した、第2の板状部材23における第2の開口部231及び第3の板状部材24における第3の開口部241に導入され、この結果、上下方向に分断されることになる。この際、多層流体S1は、その流れ方向に対して90度回転させられるので、その断面が90度回転することになる。
【0021】
次いで、多層流体S1は、第2の開口部231及び第3の開口部241と連続した、第1の板状部材22の第4の開口部222に導入され、上下方向に分断された多層流体S1が合流して多層流体S2となる。この際、分断されたそれぞれの多層流体S1は、それぞれ流れ方向に対してさらに90度回転させられるので、その断面が90度回転することになる。したがって、多層流体S2は、先の多層流体S1に対して、その断面が180度回転して各層を構成する流体の積層順序が逆転するとともに、積層数が2倍となる。
【0022】
結果として、図2に示すマイクロミキサー21内を通ることにより、多層流体S1が断面方向において分断されるとともに、その断面自体が180度回転するようになるので、得られた多層流体S2では、多層流体S1に比較して、各層同士がより混合して均一となる。したがって、各層中に含まれる磁気ビーズと細胞との混合撹拌が促進され、前記細胞は前記磁気ビーズに対して高効率で付着するようになる。
【0023】
なお、前記細胞の表面には表面マーカーとしての抗原を付着しておき、前記磁気ビーズの表面には前記抗原と抗原抗体反応を生ぜしめる抗体を付着させておくことが好ましい。この場合、前記細胞を前記抗原抗体反応を通じて前記磁気ビーズにより効率的かつ強固に付着させることができるようになる。
【0024】
図5は、図1に示す細胞分離装置10におけるセパレータ31を含む周辺部分を拡大して示す図である。図3から明らかなように、セパレータ31は、流路40を挟むようにして対向して配置された一対の磁石311及び312を含む。しかしながら、磁石311及び312は流露40を必ずしも挟み込むように配置する必要はなく、流露40に近接させて配置すれば良い。なお、図3において、矢印は流体の流れる方向を示し、黒丸は磁気ビーズを示し、鱗片状部材は細胞を示している。
【0025】
マイクロミキサー部20内を通過した磁気ビーズ及び細胞を含む流体は、セパレータ部30に至ると、磁石311及び312間において磁場Bの影響を受ける。このとき、前記磁気ビーズ及び前記磁気ビーズに付着した前記細胞は、磁場Bによって右方へ引き寄せれ、前記流体の残部から分離除去される。
【0026】
その後、分離除去された前記磁気ビーズ及び前記付着細胞は、バルブ13に至り出口15を介して外部へ取り出される。一方、前記流体の残部は、バルブ14に至り出口16を介して外部へ取り出される。したがって、以上のような工程を経ることにより、所望の細胞のみを前記磁気ビーズに付着させ、前記細胞の分離を簡易かつ確実に行うことができるようになる。
【0027】
なお、図1に示していないが、図1に示す細胞分離装置においては、セパレータ部30の下流側に純化分離装置を設けることができる。図6は、図1に示す細胞分離装置10における純化分離装置51を含む周辺部分を拡大して示す図である。図6から明らかなように、純化分離装置51は、流路40を挟むようにして対向して配置された一対の磁石511及び512を含む。なお、図6において、矢印は流体の流れる方向を示し、黒丸は磁気ビーズを示し、鱗片状部材は細胞を示している。
【0028】
セパレータ部30を通過することにより、分離除去された前記磁気ビーズ及び前記付着細胞は、バッファ液とともに純化分離装置51内に導入される。前記バッファ液は前記磁気ビーズから前記細胞を分離する作用があるので、これらの混合溶液が磁石511及び512間において磁場Bの影響を受けるとき、前記磁気ビーズは前記細胞の分離の有無によらず磁場Bの影響によって右方に引き寄せられ、バルブ13及び出口15を介して外部に取り出される。一方、前記磁気ビーズから分離された前記細胞は磁場Bの影響を受けることなく、バルブ14及び出口16を介して外部へ取り出される。
【0029】
このように、セパレータ部30の下流側に純化分離装置51を設けることによって、磁気ビーズを簡易に回収し、分離すべき前記細胞のみを簡易に取り出すことができるようになる。
【0030】
図7は、図1に示す細胞分離装置の変形例を示す構成図である。なお、図1に示す構成要素と同一あるいは類似の構成要素については同じ参照符号を用いて示している。図7に示す細胞分離装置10においては、入り口11及び12とマイクロミキサー部20との間、並びにセパレータ部30とバルブ13及び14との間にバイパス流路60を設け、セパレータ部30によって分離除去された磁気ビーズを含む流体を、ポンプ61によってマイクロミキサー部20の上流側へ循環するようにしている。このような構成によれば、細胞を吸着させるべき磁気ビーズを常に循環させて再利用するようにしているので、細胞分離に使用する全体的な磁気ビーズの使用量を減少させることができる。
【0031】
なお、マイクロミキサー21において、第1の板状部材22に設けられた第1の開口部221及び第4の開口部222、第2の板状部材23に設けられた第2の開口部231、並びに第3の板状部材24に設けられた第3の開口部241の少なくとも一つにおいて、角部の面取を行うことができる。これらの開口部において、尖い角部が存在すると、多層流体S1がそれらの開口部を流れる際に、前記角部において流速が減少してしまうので、多層流体S1の混合を十分に行うことができない場合がある。したがって、これらの問題発生を抑制するためには、上述したように、上記開口部の角部の面取を行うことが好ましい。
【0032】
また、各板状部材は如何なる材料からも形成することができるが、上述した本発明の流体混合方法を実現することができる限り、樹脂や金属、ガラスなどから形成することができる。したがって、各板状部材の準備、及び各板状部材に対する加工が容易になり、上述した開口部の形成、すなわちマイクロミキサー自体の形成を簡易に行うことができるようになる。
【0033】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0034】
例えば、上記具体例では、磁気ビーズと細胞とが多層流体を構成する場合について述べたが、本発明は前記磁気ビーズなどが多層流体を構成する場合のみならず、単層の流体である場合においても好適に使用することができる。また、上記具体例では、マイクロミキサー部20を複数のマイクロミキサー21から構成するとともに、セパレータ部30を複数のセパレータ31から構成するようにしているが、それぞれ単一のマイクロミキサー及び単一のセパレータから構成することもできる。
【0035】
また、マイクロミキサー21において、多層流体S1を第4の開口部222から第2の開口部231及び第3の開口部241を経て、第1の開口部221へ向けて逆流させることもできる。この場合、多層流体S1は、第2の開口部231で多層流体S1を上方に分断し、第3の開口部241で多層流体S1を下方に分断し、第1の開口部221で前記上方に分断された多層流体S1と前記下方に分断された多層流体S1とを合流させるようにすることもできる。この場合においても、多層流体S1は、図3及び4に示すような態様で十分に混合され、多層流体S2とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の細胞分離装置の一例を示す構成図である。
【図2】図1に示す細胞分離装置におけるマイクロミキサーの一例を示す分解構成図である。
【図3】図2に示すマイクロミキサー内を流れる際の、流体の状態を示す図である。
【図4】同じく、図2に示すマイクロミキサー内を流れる際の、流体の状態を示す図である。
【図5】図1に示す細胞分離装置におけるセパレータを含む周辺部分を拡大して示す図である。
【図6】図1に示す細胞分離装置における純化分離装置を含む周辺部分を拡大して示す図である。
【図7】図1に示す細胞分離装置の変形例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0037】
10 細胞分離装置
11、12 入り口
13、14 バルブ
15、16 出口
20 マイクロミキサー部
21 マイクロミキサー
30 セパレータ部
31 セパレータ
40 流路
51 純化分離装置
60 バイパス流路
61 ポンプ
S1、S2 多層流体
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞分離装置、及び細胞分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の磁気ビーズを用いた細胞分離装置としては、例えばUS5536475があるが、大量な試料から所望の造血細胞などを抽出することを目的としているため、タンクで攪拌しながら磁気ビーズと細胞を混合させた上、前記磁気ビーズと前記細胞とが分子拡散によって接合するための十分なインキュベーション時間が必要であった。
【0003】
一方、幹細胞等は自己増殖が可能なので、ごく微少な試料からごくわずかでも抽出することができれば、その後の分化や成長を観察する上では十分である。しかしながら、微細な試料から目的とする細胞を抽出するシステムでは、流れのレイノルズ数が低下するため磁気ビーズと細胞の混合が抑制され、目的とする細胞の抽出ができないという課題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、磁気ビーズを用いた細胞分離において、レイノルズ数の大小によらず、前記磁気ビーズと細胞とを十分に混合し、前記磁気ビーズに前記細胞を付着させ、前記細胞の分離を簡易かつ確実に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく、本発明は、
磁気ビーズと所定の細胞とを含む流体を左右に分断するための第1の流体分断手段、前記左右に分断された前記流体を上方に分断するための第2の流体分断手段、前記左右に分断された前記流体を下方に分断するための第3の流体分断手段、及び前記上方に分断された前記流体と前記下方に分断された前記流体とを合流させる流体合流手段を有するマイクロミキサーと、
前記マイクロミキサーを透過した後の、前記流体中における前記磁気ビーズと、前記磁気ビーズに付着した前記細胞とを、前記流体の残部から分離するためのセパレータと、
を具えることを特徴とする、細胞分離装置に関する。
【0006】
また、本発明は、
マイクロミキサーに設けられた第1の流体分断手段を用いて、磁気ビーズと所定の細胞とを含む流体を左右に分断する第1の工程と、
前記マイクロミキサーに設けられた第2の流体分断手段を用いて、前記左右に分断された前記流体を上方に分断する第2の工程と、
前記マイクロミキサーに設けられた第3の流体分断手段を用いて、前記左右に分断された前記流体を下方に分断する第3の工程と、
前記マイクロミキサーに設けられた流体合流手段を用いて、前記上方に分断された前記流体と前記下方に分断された前記流体とを合流させる第4の工程と、
前記マイクロミキサーを透過した後の、前記流体中における前記磁気ビーズと、前記磁気ビーズに付着した前記細胞とを、セパレータによって前記流体の残部から分離するための第5の工程と、
を具えることを特徴とする、細胞分離方法に関する。
【0007】
本発明によれば、磁気ビーズと所定の細胞とを含む流体を左右方向に分断し、さらにこの分断された流体をそれぞれ上下方向に分断した後、これら分断された流体を合流させるようにしている。この過程において、前記上下方向に分断された流体の断面は、それぞれ最初の流体の断面に対して所定の角度だけ回転することができ、さらに前記上下方向に分断された流体が合流される際に、再度前記最初の流体の断面に対して所定の角度だけ回転することができる。したがって、上記過程を経ることにより、前記最初の流体は分断されるとともに、分断された流体の断面が所定角度回転された後、合流されることになるので、前記流体は十分に撹拌され混合されることになる。
【0008】
したがって、前記流体中に含まれる前記磁気ビーズ及び前記細胞も、互いに十分に撹拌混合されるようになるので、前記細胞は前記磁気ビーズに十分に付着するようになり、前記マイクロミキサーの後方に設けられたセパレータによって高効率に磁気的に分離されるようになる。
【0009】
なお、上述した説明から明らかなように、本発明では、流体の分断及び流体断面の回転によって前記流体の撹拌及び混合を実施しているので、前記流体のレイノルズ数の大小によらず、前記磁気ビーズと前記細胞との撹拌混合を十分に促進して、前記細胞を前記磁気ビーズの付着することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、磁気ビーズを用いた細胞分離において、レイノルズ数の大小によらず、前記磁気ビーズと細胞とを十分に混合し、前記磁気ビーズに前記細胞を付着させ、前記細胞の分離を簡易かつ確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について、最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の細胞分離装置の一例を示す構成図である。図1に示す細胞分離装置10は、複数のマイクロミキサー21が直列に接続されてなるマイクロミキサー部20と、複数のセパレータ31が直列に配列されてなるセパレータ部30と、磁気ビーズ及び細胞を含む流体を流し、マイクロミキサー部20及びセパレータ部30を通ることにより、以下に詳述する工程に従って前記流体を細胞分離に供するようにするための流路40とを具えている。
【0013】
図1に示す細胞分離装置10においては、例えば入り口11から磁気ビーズを含む流体を導入し、入り口12から骨髄液や血液などの幹細胞、あるいは血球細胞などを含む流体を導入し、流路40中で混合する。次いで、混合して得た流体はマイクロミキサー部20内に導入され、各マイクロミキサー21内で以下に詳述するように撹拌混合される。
【0014】
図2は、図1に示す細胞分離装置10におけるマイクロミキサー21の一例を示す分解構成図である。図2に示すマイクロミキサー21は、第1の板状部材22と、第1の板状部材22の上方において順次に設けられた第2の板状部材23及び第4の板状部材25と、第1の板状部材22の下方において順次に設けられた第3の板状部材24及び第5の板状部材26とを含んでいる。
【0015】
第1の板状部材22には、T字型の第1の開口部221及びI字型の第4の開口部222が形成され、これら開口部の端部221A及び222Aは、それぞれ第1の板状部材22の、互いに相対向する側端部に開口している。
【0016】
また、第2の板状部材23には、L字型の第2の開口部231が形成され、その一方の端部231Aは、第1の板状部材22における第1の開口部221の上辺開口部の端部111Bと連続している。さらに、第2の開口部231の他方の端部231Bは、第1の板状部材22における第4の開口部222の前方端部222Bと連続している。
【0017】
第3の板状部材24には、同じくL字型の第3の開口部241が形成され、その一方の端部241Aは、第1の板状部材22における第1の開口部221の上辺開口部の端部221Cと連続している。また、第3の開口部241の他方の端部241Bは、第1の板状部材22における第4の開口部222の前方端部222Bと連続している。
【0018】
なお、第4の板状部材25及び第5の板状部材26は、それぞれ第1の開口部221から第4の開口部222までを密閉するために云わば蓋として設けられ、図2に示すマイクロミキサーを実際の素子として機能させるためのものである。
【0019】
次に、図2に示すマイクロミキサー21を用いた流体の混合方法について説明する。図3及び図4は、図2に示すマイクロミキサー21内を流れる際の、流体の状態を示す図である。なお、本例においては、磁気ビーズを含む流体と細胞を含む流体とが上下方向に層をなしてなる多層流体の場合について説明する。
【0020】
最初に、多層流体S1は、マイクロミキサー21の第1の板状部材22における第1の開口部221に導入される。この際、多層流体S1は第1の開口部221の上辺部において左右方向に分断される。次いで、左右方向に分断された多層流体S1は、それぞれ第1の開口部221と連続した、第2の板状部材23における第2の開口部231及び第3の板状部材24における第3の開口部241に導入され、この結果、上下方向に分断されることになる。この際、多層流体S1は、その流れ方向に対して90度回転させられるので、その断面が90度回転することになる。
【0021】
次いで、多層流体S1は、第2の開口部231及び第3の開口部241と連続した、第1の板状部材22の第4の開口部222に導入され、上下方向に分断された多層流体S1が合流して多層流体S2となる。この際、分断されたそれぞれの多層流体S1は、それぞれ流れ方向に対してさらに90度回転させられるので、その断面が90度回転することになる。したがって、多層流体S2は、先の多層流体S1に対して、その断面が180度回転して各層を構成する流体の積層順序が逆転するとともに、積層数が2倍となる。
【0022】
結果として、図2に示すマイクロミキサー21内を通ることにより、多層流体S1が断面方向において分断されるとともに、その断面自体が180度回転するようになるので、得られた多層流体S2では、多層流体S1に比較して、各層同士がより混合して均一となる。したがって、各層中に含まれる磁気ビーズと細胞との混合撹拌が促進され、前記細胞は前記磁気ビーズに対して高効率で付着するようになる。
【0023】
なお、前記細胞の表面には表面マーカーとしての抗原を付着しておき、前記磁気ビーズの表面には前記抗原と抗原抗体反応を生ぜしめる抗体を付着させておくことが好ましい。この場合、前記細胞を前記抗原抗体反応を通じて前記磁気ビーズにより効率的かつ強固に付着させることができるようになる。
【0024】
図5は、図1に示す細胞分離装置10におけるセパレータ31を含む周辺部分を拡大して示す図である。図3から明らかなように、セパレータ31は、流路40を挟むようにして対向して配置された一対の磁石311及び312を含む。しかしながら、磁石311及び312は流露40を必ずしも挟み込むように配置する必要はなく、流露40に近接させて配置すれば良い。なお、図3において、矢印は流体の流れる方向を示し、黒丸は磁気ビーズを示し、鱗片状部材は細胞を示している。
【0025】
マイクロミキサー部20内を通過した磁気ビーズ及び細胞を含む流体は、セパレータ部30に至ると、磁石311及び312間において磁場Bの影響を受ける。このとき、前記磁気ビーズ及び前記磁気ビーズに付着した前記細胞は、磁場Bによって右方へ引き寄せれ、前記流体の残部から分離除去される。
【0026】
その後、分離除去された前記磁気ビーズ及び前記付着細胞は、バルブ13に至り出口15を介して外部へ取り出される。一方、前記流体の残部は、バルブ14に至り出口16を介して外部へ取り出される。したがって、以上のような工程を経ることにより、所望の細胞のみを前記磁気ビーズに付着させ、前記細胞の分離を簡易かつ確実に行うことができるようになる。
【0027】
なお、図1に示していないが、図1に示す細胞分離装置においては、セパレータ部30の下流側に純化分離装置を設けることができる。図6は、図1に示す細胞分離装置10における純化分離装置51を含む周辺部分を拡大して示す図である。図6から明らかなように、純化分離装置51は、流路40を挟むようにして対向して配置された一対の磁石511及び512を含む。なお、図6において、矢印は流体の流れる方向を示し、黒丸は磁気ビーズを示し、鱗片状部材は細胞を示している。
【0028】
セパレータ部30を通過することにより、分離除去された前記磁気ビーズ及び前記付着細胞は、バッファ液とともに純化分離装置51内に導入される。前記バッファ液は前記磁気ビーズから前記細胞を分離する作用があるので、これらの混合溶液が磁石511及び512間において磁場Bの影響を受けるとき、前記磁気ビーズは前記細胞の分離の有無によらず磁場Bの影響によって右方に引き寄せられ、バルブ13及び出口15を介して外部に取り出される。一方、前記磁気ビーズから分離された前記細胞は磁場Bの影響を受けることなく、バルブ14及び出口16を介して外部へ取り出される。
【0029】
このように、セパレータ部30の下流側に純化分離装置51を設けることによって、磁気ビーズを簡易に回収し、分離すべき前記細胞のみを簡易に取り出すことができるようになる。
【0030】
図7は、図1に示す細胞分離装置の変形例を示す構成図である。なお、図1に示す構成要素と同一あるいは類似の構成要素については同じ参照符号を用いて示している。図7に示す細胞分離装置10においては、入り口11及び12とマイクロミキサー部20との間、並びにセパレータ部30とバルブ13及び14との間にバイパス流路60を設け、セパレータ部30によって分離除去された磁気ビーズを含む流体を、ポンプ61によってマイクロミキサー部20の上流側へ循環するようにしている。このような構成によれば、細胞を吸着させるべき磁気ビーズを常に循環させて再利用するようにしているので、細胞分離に使用する全体的な磁気ビーズの使用量を減少させることができる。
【0031】
なお、マイクロミキサー21において、第1の板状部材22に設けられた第1の開口部221及び第4の開口部222、第2の板状部材23に設けられた第2の開口部231、並びに第3の板状部材24に設けられた第3の開口部241の少なくとも一つにおいて、角部の面取を行うことができる。これらの開口部において、尖い角部が存在すると、多層流体S1がそれらの開口部を流れる際に、前記角部において流速が減少してしまうので、多層流体S1の混合を十分に行うことができない場合がある。したがって、これらの問題発生を抑制するためには、上述したように、上記開口部の角部の面取を行うことが好ましい。
【0032】
また、各板状部材は如何なる材料からも形成することができるが、上述した本発明の流体混合方法を実現することができる限り、樹脂や金属、ガラスなどから形成することができる。したがって、各板状部材の準備、及び各板状部材に対する加工が容易になり、上述した開口部の形成、すなわちマイクロミキサー自体の形成を簡易に行うことができるようになる。
【0033】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0034】
例えば、上記具体例では、磁気ビーズと細胞とが多層流体を構成する場合について述べたが、本発明は前記磁気ビーズなどが多層流体を構成する場合のみならず、単層の流体である場合においても好適に使用することができる。また、上記具体例では、マイクロミキサー部20を複数のマイクロミキサー21から構成するとともに、セパレータ部30を複数のセパレータ31から構成するようにしているが、それぞれ単一のマイクロミキサー及び単一のセパレータから構成することもできる。
【0035】
また、マイクロミキサー21において、多層流体S1を第4の開口部222から第2の開口部231及び第3の開口部241を経て、第1の開口部221へ向けて逆流させることもできる。この場合、多層流体S1は、第2の開口部231で多層流体S1を上方に分断し、第3の開口部241で多層流体S1を下方に分断し、第1の開口部221で前記上方に分断された多層流体S1と前記下方に分断された多層流体S1とを合流させるようにすることもできる。この場合においても、多層流体S1は、図3及び4に示すような態様で十分に混合され、多層流体S2とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の細胞分離装置の一例を示す構成図である。
【図2】図1に示す細胞分離装置におけるマイクロミキサーの一例を示す分解構成図である。
【図3】図2に示すマイクロミキサー内を流れる際の、流体の状態を示す図である。
【図4】同じく、図2に示すマイクロミキサー内を流れる際の、流体の状態を示す図である。
【図5】図1に示す細胞分離装置におけるセパレータを含む周辺部分を拡大して示す図である。
【図6】図1に示す細胞分離装置における純化分離装置を含む周辺部分を拡大して示す図である。
【図7】図1に示す細胞分離装置の変形例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0037】
10 細胞分離装置
11、12 入り口
13、14 バルブ
15、16 出口
20 マイクロミキサー部
21 マイクロミキサー
30 セパレータ部
31 セパレータ
40 流路
51 純化分離装置
60 バイパス流路
61 ポンプ
S1、S2 多層流体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ビーズと所定の細胞とを含む流体を左右に分断するための第1の流体分断手段、前記左右に分断された前記流体を上方に分断するための第2の流体分断手段、前記左右に分断された前記流体を下方に分断するための第3の流体分断手段、及び前記上方に分断された前記流体と前記下方に分断された前記流体とを合流させる流体合流手段を有するマイクロミキサーと、
前記マイクロミキサーを透過した後の、前記流体中における前記磁気ビーズと、前記磁気ビーズに付着した前記細胞とを、前記流体の残部から分離するためのセパレータと、
を具えることを特徴とする、細胞分離装置。
【請求項2】
前記マイクロミキサーにおいて、前記第1の流体分断手段は、第1の板状部材において、その端部に一端が開口したT字型の第1の開口部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の細胞分離装置。
【請求項3】
前記マイクロミキサーにおいて、前記第2の流体分断手段は、第2の板状部材において、前記第1の開口部の、上辺開口部における左端部又は右端部と連続したL字型の第2の開口部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の細胞分離装置。
【請求項4】
前記マイクロミキサーにおいて、前記第3の流体分断手段は、第3の板状部材において、前記第1の開口部の、前記上辺開口部における、前記第2の開口部が連続した前記左端部又は前記右端部の残りと連続したL字型の第3の開口部を含むことを特徴とする、請求項3に記載の細胞分離装置。
【請求項5】
前記マイクロミキサーにおいて、前記流体合流手段は、前記第1の板状部材において、前記第1の開口部の後方において、前記第2の開口部の先端部及び前記第3の開口部の先端部と連続したI字型の第4の開口部を含むことを特徴とする、請求項4に記載の細胞分離装置。
【請求項6】
前記マイクロミキサーの前記第2の流体分断手段において、前記流体の断面を、前記流体の、前記第1の流体分断手段への流入時と比較して、90度回転させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項7】
前記マイクロミキサーの前記第3の流体分断手段において、前記流体の断面を、前記流体の、前記第1の流体分断手段への流入時と比較して、90度回転させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項8】
前記マイクロミキサーの前記流体合流手段において、前記流体の断面を、前記流体の、前記第1の流体分断手段への流入時と比較して、180度回転させることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項9】
前記流体は、前記磁気ビーズを含む流体と前記細胞を含む流体とが積層された多層流体であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項10】
前記多層流体は、前記第1の流体分断手段、前記第2の流体分断手段及び前記第3の流体分断手段を介して分断された後、前記流体合流手段で合流された際に、その積層順序が逆転するとともに、その積層数が2倍となることを特徴とする、請求項9に記載の細胞分離装置。
【請求項11】
前記マイクロミキサーにおいて、前記第1の開口部から前記第4の開口部の少なくとも一つにおいて、角部の面取を実施したことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項12】
前記マイクロミキサーにおいて、前記第1の流体分断手段から前記第3の流体分断手段、及び前記流体合流手段の少なくとも一つは、樹脂、金属又はガラスからなることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項13】
前記流体は、前記マイクロミキサーにおいて、前記流体合流手段から前記第2の流体分断手段及び前記第3の流体分断手段を経て、前記第1の流体分断手段へ向けて逆流させ、前記第2の流体分断手段で前記流体を上方に分断し、前記第3の流体分断手段で前記流体を下方に分断し、前記第1の流体分断手段で前記上方に分断された前記流体と前記下方に分断された前記流体とを合流させるように構成したことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項14】
前記マイクロミキサーを複数直列に接続したことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項15】
前記セパレータは、前記流体の流路に設けられた磁石を含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項16】
前記マイクロミキサーを透過した後の、前記磁気ビーズ及び前記磁気ビーズに付着した前記細胞を含む流体に対してバッファ液を混合し、前記磁気ビーズに付着した前記細胞を含む流体から、前記細胞のみを分離除去するための純化分離装置を具えることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項17】
前記純化分離装置は、前記流体の流路に設けられた磁石を含むことを特徴とする、請求項16に記載の細胞分離装置。
【請求項18】
前記細胞の表面には表面マーカーとしての抗原が付着され、前記磁気ビーズの表面には前記抗原と抗原抗体反応を生ぜしめる抗体が付着されたことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項19】
前記磁気ビーズを循環し、再利用させるための循環手段を具えることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項20】
マイクロミキサーに設けられた第1の流体分断手段を用いて、磁気ビーズと所定の細胞とを含む流体を左右に分断する第1の工程と、
前記マイクロミキサーに設けられた第2の流体分断手段を用いて、前記左右に分断された前記流体を上方に分断する第2の工程と、
前記マイクロミキサーに設けられた第3の流体分断手段を用いて、前記左右に分断された前記流体を下方に分断する第3の工程と、
前記マイクロミキサーに設けられた流体合流手段を用いて、前記上方に分断された前記流体と前記下方に分断された前記流体とを合流させる第4の工程と、
前記マイクロミキサーを透過した後の、前記流体中における前記磁気ビーズと、前記磁気ビーズに付着した前記細胞とを、セパレータによって前記流体の残部から分離するための第5の工程と、
を具えることを特徴とする、細胞分離方法。
【請求項21】
前記第1の工程における前記第1の流体分断手段は、第1の板状部材において、その端部に一端が開口したT字型の第1の開口部を含むことを特徴とする、請求項20に記載の細胞分離方法。
【請求項22】
前記第2の工程における前記第2の流体分断手段は、第2の板状部材において、前記第1の開口部の、上辺開口部における左端部又は右端部と連続したL字型の第2の開口部を含むことを特徴とする、請求項21に記載の細胞分離方法。
【請求項23】
前記第3の工程における前記第3の流体分断手段は、第3の板状部材において、前記第1の開口部の、前記上辺開口部における、前記第2の開口部が連続した前記左端部又は前記右端部の残りと連続したL字型の第3の開口部を含むことを特徴とする、請求項22に記載の細胞分離方法。
【請求項24】
前記第4の工程における前記流体合流手段は、前記第1の板状部材において、前記第1の開口部の後方において、前記第2の開口部の先端部及び前記第3の開口部の先端部と連続したI字型の第4の開口部を含むことを特徴とする、請求項23に記載の細胞分離方法。
【請求項25】
前記第2の工程において、前記第2の流体分断手段により、前記流体の断面を、前記流体の、前記第1の流体分断手段への流入時と比較して、90度回転させることを特徴とする、請求項20〜24のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項26】
前記第3の工程において、前記第3の流体分断手段により、前記流体の断面を、前記流体の、前記第1の流体分断手段への流入時と比較して、90度回転させることを特徴とする、請求項20〜25のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項27】
前記第4の工程において、前記流体合流手段により、前記流体の断面を、前記流体の、前記第1の流体分断手段への流入時と比較して、180度回転させることを特徴とする、請求項20〜26のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項28】
前記流体は、前記磁気ビーズを含む流体と前記細胞を含む流体とが積層された多層流体であることを特徴とする、請求項20〜27のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項29】
前記多層流体は、前記第1の流体分断手段、前記第2の流体分断手段及び前記第3の流体分断手段を介して分断された後、前記流体合流手段で合流された際に、その積層順序が逆転するとともに、その積層数が2倍となることを特徴とする、請求項28に記載の細胞分離方法。
【請求項30】
前記第1の流体分断手段から前記第3の流体分断手段、及び前記流体合流手段における前記第1の開口部から前記第4の開口部の少なくとも一つにおいて、角部の面取を実施したことを特徴とする、請求項20〜29のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項31】
前記第1の流体分断手段から前記第3の流体分断手段、及び前記流体合流手段の少なくとも一つは、樹脂、金属又はガラスからなることを特徴とする、請求項20〜30のいずれか一に
記載の細胞分離方法。
【請求項32】
前記第1の工程から前記第5の工程を1サイクルとして、このサイクルを複数回実施することを特徴とする、請求項20〜31のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項33】
前記第5の工程において、前記分離は、前記流体の流路を挟むようにして設けられた磁石による磁力を利用して実施することを特徴とする、請求項20〜32のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項34】
前記マイクロミキサーを透過した後の、前記磁気ビーズ及び前記磁気ビーズに付着した前記細胞を含む流体に対してバッファ液を混合し、前記磁気ビーズに付着した前記細胞を含む流体から、前記細胞のみを分離除去する工程を具えることを特徴とする、請求項20〜33のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項35】
前記分離除去は、前記流体の流路を挟むようにして設けられた磁石による磁力を利用して実施することを特徴とする、請求項34に記載の細胞分離方法。
【請求項36】
前記細胞の表面に表面マーカーとしての抗原を付着し、前記磁気ビーズの表面に前記抗原と抗原抗体反応を生ぜしめる抗体を付着する工程を具えることを特徴とする、請求項20〜35のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項37】
所定の循環手段により、前記磁気ビーズを循環し、再利用する工程を具えることを特徴とする、請求項20〜36のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項1】
磁気ビーズと所定の細胞とを含む流体を左右に分断するための第1の流体分断手段、前記左右に分断された前記流体を上方に分断するための第2の流体分断手段、前記左右に分断された前記流体を下方に分断するための第3の流体分断手段、及び前記上方に分断された前記流体と前記下方に分断された前記流体とを合流させる流体合流手段を有するマイクロミキサーと、
前記マイクロミキサーを透過した後の、前記流体中における前記磁気ビーズと、前記磁気ビーズに付着した前記細胞とを、前記流体の残部から分離するためのセパレータと、
を具えることを特徴とする、細胞分離装置。
【請求項2】
前記マイクロミキサーにおいて、前記第1の流体分断手段は、第1の板状部材において、その端部に一端が開口したT字型の第1の開口部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の細胞分離装置。
【請求項3】
前記マイクロミキサーにおいて、前記第2の流体分断手段は、第2の板状部材において、前記第1の開口部の、上辺開口部における左端部又は右端部と連続したL字型の第2の開口部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の細胞分離装置。
【請求項4】
前記マイクロミキサーにおいて、前記第3の流体分断手段は、第3の板状部材において、前記第1の開口部の、前記上辺開口部における、前記第2の開口部が連続した前記左端部又は前記右端部の残りと連続したL字型の第3の開口部を含むことを特徴とする、請求項3に記載の細胞分離装置。
【請求項5】
前記マイクロミキサーにおいて、前記流体合流手段は、前記第1の板状部材において、前記第1の開口部の後方において、前記第2の開口部の先端部及び前記第3の開口部の先端部と連続したI字型の第4の開口部を含むことを特徴とする、請求項4に記載の細胞分離装置。
【請求項6】
前記マイクロミキサーの前記第2の流体分断手段において、前記流体の断面を、前記流体の、前記第1の流体分断手段への流入時と比較して、90度回転させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項7】
前記マイクロミキサーの前記第3の流体分断手段において、前記流体の断面を、前記流体の、前記第1の流体分断手段への流入時と比較して、90度回転させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項8】
前記マイクロミキサーの前記流体合流手段において、前記流体の断面を、前記流体の、前記第1の流体分断手段への流入時と比較して、180度回転させることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項9】
前記流体は、前記磁気ビーズを含む流体と前記細胞を含む流体とが積層された多層流体であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項10】
前記多層流体は、前記第1の流体分断手段、前記第2の流体分断手段及び前記第3の流体分断手段を介して分断された後、前記流体合流手段で合流された際に、その積層順序が逆転するとともに、その積層数が2倍となることを特徴とする、請求項9に記載の細胞分離装置。
【請求項11】
前記マイクロミキサーにおいて、前記第1の開口部から前記第4の開口部の少なくとも一つにおいて、角部の面取を実施したことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項12】
前記マイクロミキサーにおいて、前記第1の流体分断手段から前記第3の流体分断手段、及び前記流体合流手段の少なくとも一つは、樹脂、金属又はガラスからなることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項13】
前記流体は、前記マイクロミキサーにおいて、前記流体合流手段から前記第2の流体分断手段及び前記第3の流体分断手段を経て、前記第1の流体分断手段へ向けて逆流させ、前記第2の流体分断手段で前記流体を上方に分断し、前記第3の流体分断手段で前記流体を下方に分断し、前記第1の流体分断手段で前記上方に分断された前記流体と前記下方に分断された前記流体とを合流させるように構成したことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項14】
前記マイクロミキサーを複数直列に接続したことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項15】
前記セパレータは、前記流体の流路に設けられた磁石を含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項16】
前記マイクロミキサーを透過した後の、前記磁気ビーズ及び前記磁気ビーズに付着した前記細胞を含む流体に対してバッファ液を混合し、前記磁気ビーズに付着した前記細胞を含む流体から、前記細胞のみを分離除去するための純化分離装置を具えることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項17】
前記純化分離装置は、前記流体の流路に設けられた磁石を含むことを特徴とする、請求項16に記載の細胞分離装置。
【請求項18】
前記細胞の表面には表面マーカーとしての抗原が付着され、前記磁気ビーズの表面には前記抗原と抗原抗体反応を生ぜしめる抗体が付着されたことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項19】
前記磁気ビーズを循環し、再利用させるための循環手段を具えることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一に記載の細胞分離装置。
【請求項20】
マイクロミキサーに設けられた第1の流体分断手段を用いて、磁気ビーズと所定の細胞とを含む流体を左右に分断する第1の工程と、
前記マイクロミキサーに設けられた第2の流体分断手段を用いて、前記左右に分断された前記流体を上方に分断する第2の工程と、
前記マイクロミキサーに設けられた第3の流体分断手段を用いて、前記左右に分断された前記流体を下方に分断する第3の工程と、
前記マイクロミキサーに設けられた流体合流手段を用いて、前記上方に分断された前記流体と前記下方に分断された前記流体とを合流させる第4の工程と、
前記マイクロミキサーを透過した後の、前記流体中における前記磁気ビーズと、前記磁気ビーズに付着した前記細胞とを、セパレータによって前記流体の残部から分離するための第5の工程と、
を具えることを特徴とする、細胞分離方法。
【請求項21】
前記第1の工程における前記第1の流体分断手段は、第1の板状部材において、その端部に一端が開口したT字型の第1の開口部を含むことを特徴とする、請求項20に記載の細胞分離方法。
【請求項22】
前記第2の工程における前記第2の流体分断手段は、第2の板状部材において、前記第1の開口部の、上辺開口部における左端部又は右端部と連続したL字型の第2の開口部を含むことを特徴とする、請求項21に記載の細胞分離方法。
【請求項23】
前記第3の工程における前記第3の流体分断手段は、第3の板状部材において、前記第1の開口部の、前記上辺開口部における、前記第2の開口部が連続した前記左端部又は前記右端部の残りと連続したL字型の第3の開口部を含むことを特徴とする、請求項22に記載の細胞分離方法。
【請求項24】
前記第4の工程における前記流体合流手段は、前記第1の板状部材において、前記第1の開口部の後方において、前記第2の開口部の先端部及び前記第3の開口部の先端部と連続したI字型の第4の開口部を含むことを特徴とする、請求項23に記載の細胞分離方法。
【請求項25】
前記第2の工程において、前記第2の流体分断手段により、前記流体の断面を、前記流体の、前記第1の流体分断手段への流入時と比較して、90度回転させることを特徴とする、請求項20〜24のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項26】
前記第3の工程において、前記第3の流体分断手段により、前記流体の断面を、前記流体の、前記第1の流体分断手段への流入時と比較して、90度回転させることを特徴とする、請求項20〜25のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項27】
前記第4の工程において、前記流体合流手段により、前記流体の断面を、前記流体の、前記第1の流体分断手段への流入時と比較して、180度回転させることを特徴とする、請求項20〜26のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項28】
前記流体は、前記磁気ビーズを含む流体と前記細胞を含む流体とが積層された多層流体であることを特徴とする、請求項20〜27のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項29】
前記多層流体は、前記第1の流体分断手段、前記第2の流体分断手段及び前記第3の流体分断手段を介して分断された後、前記流体合流手段で合流された際に、その積層順序が逆転するとともに、その積層数が2倍となることを特徴とする、請求項28に記載の細胞分離方法。
【請求項30】
前記第1の流体分断手段から前記第3の流体分断手段、及び前記流体合流手段における前記第1の開口部から前記第4の開口部の少なくとも一つにおいて、角部の面取を実施したことを特徴とする、請求項20〜29のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項31】
前記第1の流体分断手段から前記第3の流体分断手段、及び前記流体合流手段の少なくとも一つは、樹脂、金属又はガラスからなることを特徴とする、請求項20〜30のいずれか一に
記載の細胞分離方法。
【請求項32】
前記第1の工程から前記第5の工程を1サイクルとして、このサイクルを複数回実施することを特徴とする、請求項20〜31のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項33】
前記第5の工程において、前記分離は、前記流体の流路を挟むようにして設けられた磁石による磁力を利用して実施することを特徴とする、請求項20〜32のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項34】
前記マイクロミキサーを透過した後の、前記磁気ビーズ及び前記磁気ビーズに付着した前記細胞を含む流体に対してバッファ液を混合し、前記磁気ビーズに付着した前記細胞を含む流体から、前記細胞のみを分離除去する工程を具えることを特徴とする、請求項20〜33のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項35】
前記分離除去は、前記流体の流路を挟むようにして設けられた磁石による磁力を利用して実施することを特徴とする、請求項34に記載の細胞分離方法。
【請求項36】
前記細胞の表面に表面マーカーとしての抗原を付着し、前記磁気ビーズの表面に前記抗原と抗原抗体反応を生ぜしめる抗体を付着する工程を具えることを特徴とする、請求項20〜35のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【請求項37】
所定の循環手段により、前記磁気ビーズを循環し、再利用する工程を具えることを特徴とする、請求項20〜36のいずれか一に記載の細胞分離方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2006−6166(P2006−6166A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186321(P2004−186321)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】
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