細胞分離装置及びその方法
従来の磁性キャリアが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液から、必要とする細胞を分離する過程において、分離効率が高い場合は、分離過程が煩雑であり、または、分離過程が簡単な場合は、相対的に分離効率が低いという問題があった。
本発明は、磁性キャリアが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液が、上方に膨らんだ形態に収容される細胞混合液収容部が上面に設けられる下板部と、前記下板部の上部に対向して位置し、前記細胞混合液収容部に収容された細胞混合液を下面に吸着させる上板部との間隔を調節し、細胞混合液層に形成、及び形成された細胞混合液層の上板部から磁力を印加しながら、幅調節と解体を通じて、細胞を簡便かつ高効率で分離する細胞分離装置及び方法を提供する。
本発明は、磁性キャリアが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液が、上方に膨らんだ形態に収容される細胞混合液収容部が上面に設けられる下板部と、前記下板部の上部に対向して位置し、前記細胞混合液収容部に収容された細胞混合液を下面に吸着させる上板部との間隔を調節し、細胞混合液層に形成、及び形成された細胞混合液層の上板部から磁力を印加しながら、幅調節と解体を通じて、細胞を簡便かつ高効率で分離する細胞分離装置及び方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞を分離する装置及び方法に関し、より詳しくは、磁性キャリアが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液に磁力を印加し、必要とする細胞を分離する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,602,422号(マイクロコラムシステム)では、小鋼球が積層されているコラムの内部に、磁性キャリアとしての磁性ビーズが付着した特定細胞が混合された細胞混合液を、重力方向に入れながら、外部側面から磁力を印加すると、特定細胞は、磁化した鋼球間の空隙に移動する過程で吸着され、特定細胞以外の残りの細胞は、下方へ流れるようになるが、ここで、鋼球に付着して分離された特定細胞は、加えられていた磁力を除去した後、緩衝液を流して収去する。
【0003】
しかしながら、前記コラム型細胞分離装置を用いて、様々なサイズの細胞を分離する場合は、前記鋼球間に生成する空隙のサイズが細胞の移動を妨害することがあるため、分離しようとする特定細胞の吸着程度やサイズのような特性と磁性ビーズのサイズに応じて、用いられる鋼球のサイズもその都度交替しなれればならない。
【0004】
また、前記細胞混合液中に混合されている細胞が、直接鋼球の表面に付着して、分離された特定細胞の収去を難しくすることもある。
【0005】
しかも、細胞が凝集しながら鋼球間の空隙に詰まる現象を無くすために、分離過程中にピペット等で周期的に均質化しなければならないという煩雑さもあった。
【0006】
一方、米国特許第5,602,042号(混合液から生体粒子を磁気的に分離する方法及び装置)では、磁石と平板を有する分離手段を、密閉した容器に満たされた混合液の内部に漬浸した状態で、上下及び回転運動しながら印加する磁力により、磁性ビーズが付着した生体粒子を平板に付着分離させる。
【0007】
しかしながら、前記容器型細胞分離装置を用いて分離する場合、前記分離手段を混合液から外部に取り出す過程で、分離手段のハウジングの側面に付いていた他の生体粒子も平板に集まって分離効率が極めて低くなるようになる。
【0008】
また、密閉した容器に混合液を満たした状態で分離するので、多量の試料を必要として多くの費用がかかり、上下及び回転運度のメカニズムを具現する分離手段が複雑となり、分離手段のハウジングのような露出部分が混合液と直接に接触しながら、混合液の汚染の可能性が高くなる。
【0009】
これから、本発明者らにより提案された韓国特許出願第2004−25421号(液滴状の細胞懸濁液を用いた細胞分離装置及び方法)では、磁性ビーズが付着した特定細胞が含まれている細胞混合液を、液滴状の細胞混合液で生成させ、ここに磁力を印加して上部に特定細胞、及び下部に特定細胞以外の残りの細胞に分けた後、緩衝液のみを別途に前記液滴状の細胞混合液にさらに供給し、下部の特定細胞以外の残りの細胞を重力により完全に分離させた状態で、特定細胞のみを収去させることにより、細胞分離装置の構造と工程の単純化を実現した。
【特許文献1】米国特許第5,602,042号
【特許文献2】韓国特許出願第2004−25421号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記液滴状の細胞混合液を用いて細胞を分離する場合、細胞混合液を液滴状に形成させる装置と過程が複雑となる。
【0011】
また、前記液滴状の細胞混合液の下部が吊るして空気に露出した状態であるため、微細な周辺空気の流れにも、内部の特定細胞以外の残りの細胞が動揺し、しかも、分離しようとする特定細胞以外の残りの細胞を除去するために緩衝液をさらに注入する過程において、下部にあった特定細胞以外の残りの細胞の一部がさらに上部の特定細胞側に移動してしまい、分離効率が低くなるという問題点があった。
【0012】
一方、前記分離過程中に特定細胞以外の残りの細胞の一部が、特定細胞が収去される面に付いてある場合は、収去された特定細胞を用いて行なう以降の実験に悪影響を及ぼすこともあるので、特定細胞の純度を最大限高くする必要があった。
【0013】
本発明は、上板部と、その下部に対向して位置する細胞混合液を収容した下板部との間隔を調節して、細胞混合液層を形成し、及び形成された細胞混合液層の上板部から磁力を印加しながら幅の調節と解体を行うことにより、細胞を簡便かつ高効率で分離する細胞分離装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するため、本発明による細胞分離装置は、磁性キャリアが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液が、上方に膨らんだ形態に収容される細胞混合液収容部が上面に設けられる下板部と、前記下板部の上部に対向して位置し、前記細胞混合液収容部に収容された細胞混合液を下面に吸着させる上板部と、前記上板部の上面に位置する磁力印加手段と、前記上板部または下板部に結合され、前記上板部と下板部の間隔が狭くまたは広くなるように調節する上下板部間隔調節手段とを備え、前記細胞混合液収容部に収容された細胞混合液が、前記上板部の下面に吸着されて細胞混合液層に形成されるように、前記上下板部間隔調節手段で上板部と下板部の間隔を狭く調節し、前記形成された細胞混合液層に前記磁力印加手段により印加される磁力により、上板部側に移動された特定細胞と、重力により下板部側に移動された特定細胞以外の残りの細胞を、細胞混合液層が解体され、それぞれ上板部の下面と下板部の細胞混合液水溶液に分離位置されるように、前記上下板部間隔調節手段で、上板部と下板部の間隔を広く調節することを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記上板部は、下面に前記細胞混合液が吸着される細胞混合液吸着部を形成し、前記細胞混合液吸着部に対応して下板部の細胞混合液収容部を位置させてもよい。
【0016】
好ましくは、下方に開放された上部ハウジングと上方に開放された下部ハウジングをそれぞれ設け、前記上部ハウジングの内部には、前記磁力印加手段、及び前記磁力印加手段が上面に位置するように上板部が設けられ、前記下部ハウジングの内部には、前記下板部、及び前記下板部と結合するように前記上下板部間隔調節手段が設けられ、前記上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部が対向して位置するように、前記ハウジングの下側と下部ハウジングの上側を結合させた状態で、前記上下板部間隔調節手段で下板部を上下に強制移動させ、上板部と下板部との間隔を調節してもよい。
【0017】
好ましくは、前記上下板部間隔調節手段は、上部に前記下板部を収容する溝と、下部にボルト状の連結部を形成する下板部支え台と、前記下板部支え台のボルト状の連結部と螺合するナット状の連結部を有する下板部支え台移動ダイアルとを備え、前記下板部支え台移動ダイアルの回転により、下板部支え台を上下に移動させてもよい。
【0018】
好ましくは、前記上下板部間隔調節手段は、前記細胞混合液層が保持されるように、前記下板部支え台移動ダイアルの回転を制限するダイアル回転制限ストッパーをさらに有してもよい。
【0019】
好ましくは、前記ダイアル回転制限ストッパーは、前記下板部支え台移動ダイアルの下部と、前記下板部支え台移動ダイアルの回転を制限すべき位置で、前記下板部支え台移動ダイアルの下部と当接させるように、前記下部ハウジングの該当部分に設けられてもよい。
【0020】
好ましくは、前記上下板部間隔調節手段は、上部に前記下板部を収容する溝と、下部に軸を中心にして転がり回転する転がり回転部を突設する下板部支え台と、前記下板部支え台の転がり回転部と、上部に形成された一方から他方に行くほど高さが低くなる多段部分が接触しながら、前記下板部支え台を上下に移動させる下板部支え台移動バーと、前記下板部支え台移動バーの側面に形成されたギア直線部と側面に沿って形成されたギア周縁部が噛合されるバー移動ダイアルとを備え、前記バー移動ダイアルを回転させ、前記下板部支え台の転がり回転部と接触する前記下板部支え台移動バーの多段部分の高さが変化しながら、前記下板部支え台を上下に移動させてもよい。
【0021】
好ましくは、前記多段部分には、前記下板部支え台の移動を一時的に制限する下板部支え台移動一時制限溝がさらに形成されてもよい。
【0022】
好ましくは、前記下板部支え台移動バーは、前記多段部分のうち、最高段を延長させ、ここに、複数の溝を形成させた下板部支え台振動発生部がさらに設けられてもよい。
【0023】
好ましくは、ハウジングを備え、前記ハウジングの内部に、前記上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部が対向して位置するように上板部と下板部が設けられ、前記磁力印加手段が、前記上板部の上面に位置するように設けられ、前記上下板部間隔調節手段が、前記上板部と結合するように設けられ、前記上下板部間隔調節手段で上板部を上下に移動させ、上板部と下板部の間隔を調節するようにしてもよい。
【0024】
好ましくは、前記上下板部間隔調節手段は、前記細胞混合液層が保持されるように、前記上板部支え台の上部側に移動を制限する上板部支え台移動制限ストッパーをさらに含んでいてもよい。
【0025】
また、本発明による細胞分離方法は、(a)下板部の細胞混合液収容部に上方に膨らんだ形態に収容された磁性キャリアが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液を、前記下板部の細胞混合液収容部に対向して位置する上板部の下面で吸着するように、前記上板部と下板部の間隔が狭くなるように調節し、細胞混合液層に形成させるステップと、(b)前記ステップ(a)で形成された細胞混合液層の上板部側から磁力を印加し、細胞混合液層の上板部側に特定細胞を移動させながら、重力により特定細胞以外の残りの細胞も、細胞混合液層の下板部側に移動させるステップと、(c)前記ステップ(b)で細胞混合液層の上板部側に移動された特定細胞と、下板部側に移動された特定細胞以外の残りの細胞が、前記上板部と下板部の間隔を広くし、前記細胞混合液層が解体されながら、上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部にそれぞれ分離位置させるステップとからなることを特徴とする。
【0026】
好ましくは、前記細胞混合液層に形成させるステップ(a)以降、前記上板部と下板部の間隔を調節し、前記細胞混合液層の幅を、必要とする細胞の分離を最適化する状態に維持させるステップをさらに行わせてもよい。
【0027】
好ましくは、(d1)前記ステップ(c)で分離され、下板部に位置する特定細胞以外の残りの細胞を全て除去または新たな下板部に交替し、前記下板部にいずれの細胞も入っていない緩衝液のみを注入収容した後、上板部と下板部の間隔を狭くし、特定細胞混合液層を形成させるステップと、(e1)前記ステップ(d1)で形成された特定細胞混合液層を保持しながら、前記上板部と下板部の間隔を複数回繰り返し変化させて、特定細胞混合層を均質化させるステップと、(f1)前記ステップ(e1)で均質化した特定細胞混合液層の上板部側から印加される磁力により特定細胞混合液層の上板部側に特定細胞を移動させながら、重力により特定細胞以外の残りの細胞を特定細胞混合液層の下板部側に移動させるステップと、(g1)前記ステップ(f1)で特定細胞混合液層の上板部側と下板部側に移動された特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞が、前記上板部と下板部の間隔を広くし、前記混合収容液層が解体されながら、上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部にそれぞれ分離位置させるステップとをさらに行わせてもよい。
【0028】
好ましくは、(d2)前記ステップ(c)で分離され、上板部に位置する特定細胞を全て除去または新たな上板部に交替し、前記下板部にいずれも細胞も入っていない緩衝液をさらに注入収容した後、上板部と下板部の間隔を狭くし、特定細胞以外の残りの細胞混合液層を形成させるステップと、(e2)前記ステップ(d2)で形成された残りの細胞混合液層を保持しながら、前記上板部と下板部の間隔を複数回繰り返し変化させ、残りの細胞混合液層を均質化させるステップと、(f2)前記ステップ(e2)で均質化した残りの細胞混合液層の前記上板部側から印加される磁力により、残りの細胞混合液層の上板部側に特定細胞を移動させながら、重力により特定細胞以外の残りの細胞を、残りの細胞混合液層の下板部側に移動させるステップと、(g2)前記ステップ(f2)で残りの細胞混合液層の上板部側と下板部側に移動された特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞が、前記上板部と下板部の間隔を広くし、前記残りの細胞混合液層が解体されながら、上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部にそれぞれ分離位置させるステップとをさらに行わせてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の細胞分離装置及び方法によると、上板部と、細胞混合液を収容する下板部とからなる細胞分離チップの上下間隔を調節し、細胞混合液層に形成、及び形成された細胞混合液層の幅調節と解体する過程を通じて、必要とする細胞を分離することにより、大きさに制限されず、全ての細胞の分離を一つの細胞分離チップで行うことができ、分離過程も、ピペット操作、回転、緩衝液注入のような別の追加工程無しに、簡便に行うことができ、相対的に強い磁力を細胞に露出させながら、分離条件に応じて細胞混合液層の幅を調節して分離効率を最大に高める一方、必要とする細胞を分離した状態で、均質化過程を通じて、必要としない細胞をさらに除去して、分離効率がさらに向上する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の一実施例による細胞分離装置10は、図1乃至図4に示すように、上体11と下体12からなり、細胞混合液が収容された下体12上に磁力が印加される上体11を覆って一体に結合させた状態で、細胞を分離する過程を行う。
【0031】
前記上体11は、上板部111と、前記上板部111の上面に位置し、磁力を印加する磁石113と、下側に開放し、前記上板部111と磁石113を内部に収容設置する上部ハウジング115と、前記上板部111を前記上部ハウジング115に固定させる上板部固定手段114とで構成されている。
【0032】
前記上板部111は、下面に形成された細胞混合液吸着部112に、前記下体12に収容された細胞混合液が吸着されるようにする。前記上板部111は、3mm以内の厚さを有する平らかつ透明なチップ形態に具現され得る。
【0033】
前記細胞混合液吸着部112は、前記上板部111が生体適合性物質として、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレンまたはポリイミドのような親水性物質であれば、溝を形成させまたは生体適合性物質中に、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のような疎水性物質でリングを形成させることができる。この場合、細胞混合液が前記溝の内部に吸着され、または細胞混合液が吸着される周囲を、前記リングで取り囲みながら境界を形成させる。
【0034】
前記磁石113は、前記上部ハウジング115の内部に収容された状態で固設される。前記磁石113は、細胞混合液吸着部112に磁力が集中して印加されるように、前記細胞混合液吸着部112に対応して位置させることが好ましい。この場合、前記磁石113の大きさは、前記細胞混合液吸着部112の大きさと同じまたは小さめに形成させ、磁力が充分に及ぶように、細胞混合液吸着部112の厚さを3mm以内である上板部111よりも薄く形成させる。
【0035】
前記磁石113から印加される磁力は、前記下体12に収容された細胞混合液の磁性ビーズが付着した特定細胞を上板部111側に移動させるために、前記特定細胞に作用する重力の大きさを克服可能な程度以上の大きさを維持する。
【0036】
本発明の実施例では、前記磁石113として、例えば、永久磁石であるネオジムを用いて、最小の空間を占めながらも、略0.5Tの相対的に強い磁力を発生させる。これにより、本発明の実施例による細胞分離装置は、高い分離効率を維持するとともに、小型化を実現することができる。
【0037】
前記上板部固定手段114は、前記磁石113と上面が対向して位置する上板部111を上部ハウジング115に固定させる。
【0038】
前記下体12は、下板部121と、前記下板部121が安着した状態で、分離過程を行うように支持する下板部支え台123と、前記下板部支え台123を上下に移動させるように回転する下板部支え台移動ダイアル124と、上方に開放され、前記下板部121、下板部支え台123、及び下板部支え台移動ダイアル124とを内部に収容設置する下部ハウジング126とで構成されている。
【0039】
また、前記下板部支え台移動ダイアル124の下部と、前記下部ハウジング126の該当部分には、前記下板部支え台移動ダイアル124が、一定の範囲以上に回転しないように制限するダイアル回転制限ストッパー125、125’、125”が設置される。
【0040】
前記下板部121は、分離しようとする細胞混合液が上面に設けられた細胞混合液収容部122において、上方に膨らんだ形態で収容させる。前記下板部121は、3mm以内の厚さを有する平らかつ透明なチップ形態に具現され、この場合、前記上板部111と一組の細胞分離チップをなし、1回限りの使用とすることが好ましい。
【0041】
前記細胞混合液収容部122は、円形またはこれに類似した形態であり、前記下板部121に液体を、水平な固体表面上に載せるとき、液体表面と固体表面がなす接触角が90°内外またはそれ以上に維持されるように、表面をコート処理しまたは溝を形成させ、ここに、細胞混合液を一定量注入収容し、上方に膨らんだ形態の細胞混合液に形成させる。
【0042】
ここで、前記細胞混合液収容部122を溝に形成する場合、前記下板部121が親水性物質であれば、前記溝の外部に細胞混合液が流れ出せず、別の処理を必要としないが、前記下板部121が疎水性物質であれば、前記溝の内部を親水性物質でコートして、細胞混合液がよく吸着されるようにする。
【0043】
前記細胞混合液収容部122は、前記上板部111の細胞混合液吸着部112に対応して位置するように形成し、収容される細胞混合液が前記細胞混合液吸着部112に吸着されながら層を形成させる。
【0044】
前記層は、上方には磁力が、下方には重力が作用する液体からなる空間を形成させ、この空間中で、磁性ビーズが付着した特定細胞と、これらの特定細胞以外の残りの細胞が、互いに正反対に作用する力により確実に分離され得る環境を与える。
【0045】
前記細胞混合液吸着部112と細胞混合液収容部122との間において、細胞混合液層を形成させて細胞を分離する場合は、細胞混合液を動的状態ではなく、静的な状態で、前記細胞混合液吸着部112に磁力が最大限印加されながら細胞分離過程が行われるので、簡便かつ高効率となり、また分離に必要な細胞混合液の量のみが用いられればよいので、費用節減となる。
【0046】
このような細胞混合液層を形成する前記上板部111の細胞混合液吸着部112と前記下板部121の細胞混合液収容部122は、大きさや個数に応じて、分離しようとする細胞の量を決定することができ、同時に複数種の細胞分離も可能であるので、状況に合わせた細胞分離を行うことができる。
【0047】
ここで、前記細胞混合液収容部122は、収容される細胞混合液の体積、すなわち、面積が増加すると、重力の影響が大きくなるとともに接触角が小さくなる。
【0048】
これにより、本発明の実施例では、分離のために細胞混合液層の幅を略2〜3mmの範囲内で維持するように、前記細胞混合液収容部122の直径を略18mmを超えないようにし、好ましくは、14mmとし、最適の分離環境を維持させる。
【0049】
前記下板部支え台123は、上部に前記下板部121を収容する溝を形成し、前記下板部121が前記溝の内部に安着した状態で分離過程を行うようにする。
【0050】
また、前記下板部支え台123は、前記下部ハウジング126の内部で上下に移動可能に設置され、下部にボルト状の連結部を形成し、前記ボルト状の連結部と螺合するナット状の連結部を有する前記下板部支え台移動ダイアル124の回転により上下に移動するとともに、前記下板部121を上下に移動させる。
【0051】
前記下板部支え台移動ダイアル124は、前記下部ハウジング126の前面側において、外部に周縁の一部を露出させた状態で、前記下板部支え台123を上下に移動可能に露出した部分を左右に回転させるように設置される。
【0052】
前記下板部支え台移動ダイアル124が左右に回転しながら、前記下板部支え台123を上下に移動させ、下板部121の上下位置を調節することにより、前記細胞混合液収容部122に収容された細胞混合液が、前記細胞混合液吸着部112に吸着され、前記上板部111と下板部との間に層を形成させ、または形成された細胞混合液層を解体させる。
【0053】
ここで、前記下板部支え台移動ダイアル124に、前記細胞混合液層が形成及び解体される位置や範囲を、数字や文字または色等で表示し、細胞分離操作過程を簡便にすることができる。
【0054】
例えば、前記下板部支え台移動ダイアル124の周縁に、左側から右側へ「1」、「2」及び「3」の数字を表示し、「1」は、細胞混合液層が押圧された状態を意味し、「2」は、細胞混合液層が分離に適当な幅を維持する状態を意味し、「3」は、細胞混合液層が解体された状態を意味するものとする。
【0055】
本発明の一実施例による細胞分離装置10では、前記細胞混合液収容部122の直径を14mmとした場合、前記上板部111と下板部121との間の間隙を、「1」の場合に2mm、「2」の場合に2.5〜3mm、「3」の場合に5〜6mmと設定することができる。
【0056】
これにより、本発明の一実施例による細胞分離装置10では、前記下板部支え台123と、前記下板部支え台移動ダイアル124が、細胞混合液層の形成と、形成された細胞混合液層の幅を調節及び解体する過程を行うように、前記下板部121を移動させ、前記上板部111と下板部121の間隔が狭くまたは広くなるように調節する上下板部間隔調節手段の機能を行う。
【0057】
前記上板部111と下板部121の間隔を狭くまたは広く調節しながら、細胞混合液層を形成、及び形成された層を解体させて細胞を分離する場合は、層の内部において、重力と磁力により定められる細胞の分布と、重力により定められる層の形成及び解体が同時に決定されるので、追加の機器的な接近がなくても、自然に分離を導き出すことができるようになる。
【0058】
また、前記下板部支え台移動ダイアル124の下部の前記ダイアル回転制限ストッパー125は、前記「1」と「3」に該当する位置に突起状に形成される。
【0059】
また、前記下部ハウジング126の底面のダイアル回転制限ストッパー125’は、前記「1」が、前記下部ハウジング126の前面側において、外部に露出して位置するとき、「3」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125と当接しながら、これ以上の回転ができないように、該当位置に突起状に設けられ、また、前記「3」が外部に露出して位置するときも、「1」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125と当接しながら、これ以上の回転ができないように、該当位置に突起状に設けられる。
【0060】
したがって、前記下板部支え台移動ダイアル124は、前記ダイアル回転制限ストッパー125、125’により、前記「1」と「3」の範囲内でのみ回転させ、特に注意を払わずに、簡便に細胞混合液層の形成と、形成された層を解体させる過程を行うようにする。
【0061】
前記下部ハウジング126は、開放された上側が上部ハウジング115の開放された下側と一体に結合するように形成される。前記上部ハウジング126の周縁には、突出部を形成させ、前記上部ハウジング115との結合を容易にしている。
【0062】
前記下部ハウジング126と上部ハウジング115が結合されながら、内部に密閉した空間を形成させ、細胞混合液層を形成する周辺の水分蒸発や温度変化を最小化するともに、細胞が分離過程中に生存する最適の環境を維持させる。
【0063】
一方、本発明の一実施例による細胞分離装置10での分離された特定細胞に、必要としない特定細胞以外の残りの細胞が一緒に付いてある場合、層を保持させた状態で、均質化する過程を通じて分離除去し、特定細胞の純度をさらに高めることができる。
【0064】
前記均質化過程を行う際に、層が保持される範囲内でのみ、下板部支え台移動ダイアル124が回転するように、ダイアル回転制限ストッパー125”を下部ハウジング126の前面の一側に設置する。
【0065】
前記ダイアル回転制限ストッパー125”は、左側または右側に移動位置可能に設けられ、前記下部ハウジング126の前面の一側において、左側または右側に移動する際に、前記下板部支え台移動ダイアル124が位置した方向に形成された突出部分が、前記下部ハウジング126の内部において、左右に同時に移動される。
【0066】
したがって、前記ダイアル回転制限ストッパー125”を左側に移動位置させると、前記下板部支え台移動ダイアル124が、前記「2」が露出して位置するとき、前記「1」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125を突出部分で遮断して、これ以上回転不可能になるので、細胞混合液層を保持しながら、迅速かつ簡便に均質化過程を行うことができるようにする。
【0067】
しかし、前記ダイアル回転制限ストッパー125”を右側に移動位置させた場合は、前記「2」が露出して位置するときも、前記「1」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125を突出部分で遮断せず、前記下板部支え台移動ダイアル124が右側に「3」まで回転可能になる。
【0068】
本発明の一実施例による細胞分離装置10は、前記上板部111と下板部121が細胞を分離する度に、新たに交替しながら使用される場合を考慮して、上板部111と下板部121からなる細胞分離チップと、前記細胞分離チップの上板部111と下板部121の間隔を調節しながら、印加される磁力により細胞を分離するように操作する細胞分離操作部で区分することもできる。
【0069】
以下、上述したような構成を有する本発明の一実施例による細胞分離装置10を用いて細胞を分離する過程について説明する。
【0070】
先ず、図3に示すように、本発明の一実施例による細胞分離装置10の上体11を下体12から分離させ、前記下体12の下板部121に、磁性ビーズが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液を、例えば、直径が14mmである細胞混合液収容部122毎に500μlを注入収容する。
【0071】
次に、図4に示すように、前記下体12に上体11を覆って一体に結合させる。ここで、図5に示すように、前記下体12の前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「1」を外部に露出して位置させた場合は、前記「3」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125と、前記下部ハウジング126の底面に設けられた前記ダイアル回転制限ストッパー125’が当接しながら、前記下板部支え台移動ダイアル124をこれ以上左側に回転させることができないようになる。
【0072】
この場合、前記上板部111の細胞混合液吸着部112と下板部121の細胞混合液収容部122との間で、特定細胞とこれ以外の残りの細胞が均一に分布した細胞混合液層が押圧された状態で形成される。
【0073】
次に、前記「1」を外部に露出して位置させた前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「2」が外部に露出するように右側に回転させると、図6に示すように、前記下板部支え台移動ダイアル124の下部に設けられたダイアル回転制限ストッパー125が右側に移動するが、前記下部ハウジング126の底面に設けられたダイアル回転制限ストッパー125’とは当接しないようになる。
【0074】
この場合、前記下板部121が下部に移動しながら、上板部111との間隔が広くなり、押圧された状態の細胞混合液層が細胞分離に適合した幅を有する層に形成される。
【0075】
ところが、細胞を分離する全ての場合に、前記上板部111と下板部121との間で形成された細胞混合液層の幅を一定に維持することが、かえって好ましくないこともあり得る。
【0076】
一般に、調節される細胞混合液層の上下の幅を、すなわち、上板部111と下板部121の間隔を広くするほど、特定細胞に加えられる磁力と、特定細胞以外の残りの細胞に加えられる重力により、細胞の分離を確実に行うこうができる。
【0077】
しかし、細胞混合液層が形成された後、メーカー毎に異なる磁性ビーズの性質(大きさ、密度、磁化程度等)を全て受容可能な互換性(汎用性の確保)を持たせ、または、細胞混合液に含まれた特定細胞の含有程度(細胞濃度)が異なるので、分離しようとする特定細胞そのものの特性に適切に対処し、または、用いられる細胞分離用のチップで、上板部111と下板部121の材質が親水性であるか或いは疎水性であるかにより、吸着程度が異なることを調節するためにも、上板部11と下板部121の間隔を調節して、必要とする細胞の分離を最適の状態に維持させなければならない。
【0078】
これにより、前記形成された細胞混合液層の幅をもう少し広くすることが、最適の細胞分離状態を維持すると仮定すると、図7に示すように、前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「2」が外部に露出する場合よりも、少し右側に回転させ、前記下板部121が、図6の場合よりも下部にさらに移動するようにする。
【0079】
この場合、前記下板部支え台移動ダイアル124の下部に設けられたダイアル回転制限ストッパー125が、右側にさらに移動するが、前記下部ハウジング126の底面に設けられたダイアル回転制限ストッパー125’とは当接しない。
【0080】
以降、前記最適の幅を維持する細胞混合液層の上板部111の上面で、磁石113を通じて磁力を印加しながら、7〜15分間その状態を保持すると、細胞混合液層の上板部111側に特定細胞が移動されながら、同時に重力により特定細胞以外の残りの細胞も、細胞混合液層の下板部121側に移動される。
【0081】
最後に、前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「3」が外部に露出するように右側に回転させると、図8に示すように、前記「1」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125が右側に移動しながら、前記下部ハウジング126の底面に設けられた該当ダイアル回転制限ストッパー125’と当接し、前記下板部支え台移動ダイアル124の回転を制限する。
【0082】
この場合、前記下板部121が下部に完全に移動しながら、細胞混合液層を解体させ、前記上板部111には特定細胞が、前記下板部121には特定細胞以外の残りの細胞がそれぞれ分離位置するようになる。
【0083】
したがって、前記下板部支え台移動ダイアル124は、前記ダイアル回転制限ストッパー125、125’により、前記「1」と「3」の範囲内でのみ回転しながら、簡便に細胞混合液層の形成と、形成された層の幅を調節及び解体させながら、細胞を分離する過程を行う。
【0084】
すると、図9に示すように、前記上体11の上板部111と、前記下体12の下板部121には、それぞれ特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞に分離され、以降、必要とする細胞を収去して用いるようになる。
【0085】
ここで、図4に示すように、前記下体12に上体11を覆って一体に結合させるとき、前記下体12の前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「2」または「3」を外部に露出して位置させ、前記下板部支え台移動ダイアル124を左右に回しながら、細胞混合液層を保持または形成させてもよい。
【0086】
本発明の一実施例による細胞分離装置10は、操作が簡単であり、小型として携帯可能であり、4℃を維持しなければならない特定細胞分離の場合、別途の場所に移動または追加の冷却器がなくても、冷蔵庫に入れて分離することができるので、簡便である。
【0087】
ところが、前記上板部111に吸着される細胞は、全て特定細胞でなければならないが、実際に層を形成するとき、特定細胞以外の残りの細胞が吸着され、または、特定細胞が前記磁石113から印加される磁力により、上板部111側に引かれて移動するとき、一緒に凝り固まっていた特定細胞以外の残りの細胞が一部含まれることもある。これにより、上板部111に吸着されている必要としない特定細胞以外の残りの細胞を分離しなければならない。
【0088】
したがって、先ず、特定細胞と凝り固まっていた特定細胞以外の残りの細胞の分離を最適化する環境を作るために、図10に示すように、分離された下板部121の特定細胞以外の残りの細胞を全て除去し、または、新たな下板部121に交替し、細胞が含まれていない緩衝液を注入収容した下板部121を備えた下体12に特定細胞が吸着されていない上板部111を備えた上体11を覆って一体に結合させる。
【0089】
この場合、図11に示すように、前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「3」を外部に露出して位置させた状態であるので、上板部111には、特定細胞が位置し、前記下板部121には緩衝液が位置されるが、層を形成してはいない。
【0090】
次に、図12及び図13に示すように、前記「3」を外部に露出して位置させた前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「2」と「1」が順に外部に露出するように左側に回転させると、前記下板部支え台移動ダイアル124の下部に設けられたダイアル回転制限ストッパー125が左側に移動しながら、前記下部ハウジング126の底面に設けられたダイアル回転制限ストッパー125’と当接し、前記下板部支え台移動ダイアル124をこれ以上左側に回転させないようにする。
【0091】
この場合、前記下板部121が上部に移動しながら、上下板部の間隔が狭くなり、前記上板部111に吸着された特定細胞と下板部121に収容された緩衝液が合わせられながら、細胞分離に適合した特定細胞混合液層を形成させ、形成された層は、さらに上下に押圧された状態となる。
【0092】
次に、図14に示すように、前記「1」を外部に露出して位置させた前記下板部支え台移動ダイアル124をそのまま保持しながら、前記ダイアル回転制限ストッパー125”を左側に移動位置させる。
【0093】
次に、図15に示すように、前記ダイアル回転制限ストッパー125”を左側に移動位置させた状態で、前記「1」を外部に露出して位置させた前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「2」が外部に露出するように右側に回転させると、前記ダイアル回転制限ストッパー125”が前記「1」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125の右側への移動を遮断し、前記下板部支え台移動ダイアル124をさらに右側に回転させないようにする。
【0094】
次に、前記上板部111と下板部121との間に形成された特定細胞混合液層を保持しながら、図15及び図16に示すような過程を複数回、例えば、10回未満繰り返し、特定細胞混合液層を迅速かつ簡便に均質化する。
【0095】
すると、特定細胞混合液層を保持した状態で、上下に最大限揺り動かし、前記磁石113に反応する特定細胞と凝り固まったまま、上板部111に付いてあった特定細胞以外の残りの細胞が落ちながら単一細胞化する。
【0096】
前記均質化過程を終えた後、図15に示すように、前記「2」を外部に露出して位置させた状態で、7〜15分間そのまま放置すると、前記均質化した特定細胞混合液層の上板部111側から磁石113を通じて印加される磁力により、特定細胞混合液層の上板部111側に特定細胞を移動させながら、同時に重力により、特定細胞以外の細胞を特定細胞混合液層の下板部121側に移動させる。
【0097】
このような状態で、図17に示すように、前記ダイアル回転制限ストッパー125”を右側に移動位置させた後、前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「3」が外部に露出するように右側に回転させると、図18に示すように、前記「1」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125が右側に移動しながら、前記下部ハウジング126の底面に設けられた該当前記ダイアル回転制限ストッパー125’と当接し、前記下板部支え台移動ダイアル124の回転を制限する。
【0098】
この場合、前記下板部121が下部に完全に移動しながら、細胞混合液層を解体させ、前記上板部111に特定細胞と前記下板部121に特定細胞以外の残りの細胞にそれぞれ分離位置させる。
【0099】
これにより、前記分離された特定細胞に含まれていた特定細胞以外の残りの細胞をさらに分離し、上板部111から除去することにより、必要とする特定細胞の純度を顕著に高めることができる。
【0100】
本発明の他の実施例による細胞分離装置20は、図19に示すように、上述した本発明の一実施例による細胞分離装置10と同一であり、ただ、上下板部間隔調節手段に差があるが、以下、上下板部間隔調節手段を中心として説明する。
【0101】
上述した本発明の一実施例による細胞分離装置10の上下板部間隔調節手段が、下板部121の上下位置を調節するために、前記下板部支え台123の下部に形成されたボルト状の連結部と螺合するナット状の連結部を有する前記下板部支え台移動ダイアル124を回転させ、前記下板部支え台123を上下に移動させることを、本発明の他の実施例による細胞分離装置20では、前記下板部支え台移動バー224の側面に形成されたギア直線部とギアに結合されるギア周縁部を有するバー移動ダイアル227を回転させ、前記下板部支え台223の下部に形成された転がり回転部と接触する前記下板部支え台移動バー224の上部に形成された3段部分の高さが変化するように左右に移動しながら、前記下板部支え台223を上下に移動させることに差がある。
【0102】
本発明の他の実施例による細胞分離装置20における前記3段部分は、本発明の一実施例による細胞分離装置10の前記下板部支え台移動ダイアル124の周縁に表示された「1」、「2」及び「3」のような意味で用いられる。
【0103】
前記下板部支え台223は、本発明の一実施例による細胞分離装置10の前記下板部支え台123の下部にボルト状の連結部が形成されこととは異なり、下部に軸を中心に回転する転がり回転部を突設する。
【0104】
前記下板部支え台移動バー224は、本発明の他の実施例では、上部に前記「1」乃至「3」に該当する前記下板部支え台223の上下移動を具現するために、左側から右側に高さが低くなるように3段部分を形成させるが、必要に応じて段を変形することができ、各段間を傾斜して連結する。
【0105】
前記下板部支え台223の下部に突設された転がり回転部は、前記下板部支え台移動バー224の上部に形成された3段部分と接触状態を維持する。
【0106】
これにより、前記下板部支え台移動バー224を左右に移動させると、前記3段部分の高さが変化しながら、接触状態を保持する転がり回転部を有する下板部支え台223が上下に移動するようになる。
【0107】
前記3段部分には、前記下板部支え台223の移動を一時的に制限する下板部支え台移動一時制限溝225が、各段毎に形成される。
【0108】
前記下板部支え台移動一時制限溝225は、一定以上の力が加えられるまで、一時的に固定され、前記「1」、「2」及び「3」を感覚的に分けて、使用者に層の形成と形成された層の幅を調節及び解体操作の便利さを提供する。
【0109】
また、前記下板部支え台移動バー224の上部には、前記「1」に該当する前記下板部支え台移動一時制限溝225から延長され、複数の溝が設けられた下板部支え台振動発生部226が設けられる。
【0110】
前記下板部支え台振動発生部226で発生する振動は、前記下板部支え台223を介して前記下板部221に伝達され、特定細胞以外の残りの細胞混合液層の均質化過程を行う。
【0111】
前記バー移動ダイアル227は、前記下部ハウジング228の前面側において、外部に周縁の一部を露出させた状態で、露出した部分を左右に回転させると、前記下板部支え台移動バー224が左右に移動して設置される。
【0112】
ここで、前記バー移動ダイアル227の側面に沿って形成されたギア周縁部と、下板部支え台移動バー224の側面に形成されたギア直線部が噛合されるようにし、前記バー移動ダイアル227を回転させ、前記下板部支え台223の下部に形成された転がり回転部と接触する前記下板部支え台移動バー224の上部に形成された3段部分の高さが変化しながら、前記下板部支え台223を上下に移動させる。
【0113】
以下、このような構成を有する本発明の他の実施例による細胞分離装置20を用いて細胞を分離する過程について説明する。
【0114】
先ず、本発明の他の実施例による細胞分離装置20の下体22に細胞混合液を注入収容した後、上体21を覆って一体に結合させる。ここで、図20に示すように、前記下体22の前記バー移動ダイアル227を、前記「1」を外部に露出して位置させると、前記下板部支え台移動バー224の左側に形成された前記「1」に該当する下板部支え台移動一時制限溝225−1に、前記下板部支え台223の転がり回転部が一時的に固定された状態に位置するようになる。
【0115】
この場合、前記上板部211の細胞混合液吸着部212と下板部221の細胞混合液収容部222との間で、特定細胞とその以外の残りの細胞が均一に分布された細胞混合液層が押圧された状態で形成される。
【0116】
次に、前記「1」を外部に露出して位置させた前記バー移動ダイアル227を、前記「2」が外部に露出するように右側に回転させると、図21に示すように、前記下板部支え台移動バー224が左側に移動しながら、前記下板部支え台223が下部へ移動し、上下板部の間隔が広くなり、細胞分離に適合した幅を有する細胞混合液層を形成する。
【0117】
この場合、前記下板部支え台223の転がり回転部は、前記「2」に該当する下板部支え台移動一時制限溝225−2に一時的に固定された状態を維持する。
【0118】
以降、前記適合した幅を維持する細胞混合液層の上板部211の上面で、磁石213を通じて磁力を印加しながら、7〜15分間その状態を維持すると、細胞混合液層の上板部211側に特定細胞が移動されながら、同時に重力により特定細胞以外の残りの細胞も、細胞混合液層の下板部221側に移動される。
【0119】
最後に、前記「2」を外部に露出して位置させた前記バー移動ダイアル227を、前記「3」が外部に露出するように右側に回転させると、図22に示すように、前記下板部支え台移動バー224が左側に移動しながら、前記下板部223が下部に完全に移動し、上下板部の間隔が広くなり、細胞混合液層を解体させ、上板部211には特定細胞が、前記下板部221には特定細胞以外の残りの細胞がそれぞれ分離位置するようになる。
【0120】
この場合、前記下板部支え台223の転がり回転部は、前記「3」に該当する下板部支え台移動制限溝225−3に一時的に固定された状態を維持する。
【0121】
すると、図9におけると同様に、前記上体21の上板部211と、前記下体22の下板部221には、それぞれ特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞に分離され、以降、必要とする細胞を収去して用いるようになる。
【0122】
本発明の他の実施例による細胞分離装置20は、細胞混合液層の形成、形成された層の幅を調節、及び解体段階を、一時的に固定された状態を感覚的に分けるようにし、使用者が直接感じながら、簡便かつ正確に細胞分離過程を行うようになる。
【0123】
ところが、前記下板部221に吸着される細胞は、全て特定細胞以外の残りの細胞でなければならないが、実際は、特定細胞以外の残りの細胞が、重力により下板部221側に落ちるとき、一緒に凝り固まっていた特定細胞が、一部含まれるようになる。
【0124】
ここで、収去しようとする細胞には、一般に、磁性ビーズが付着した特定細胞が多く該当するが、臨床に用いるとき、特定細胞を指定して分離した後、磁性ビーズが全く付着していない特定細胞以外の残りの細胞を用いる場合もある。
【0125】
これにより、前記上板部211に吸着されている必要としない特定細胞以外の残りの細胞を分離しなければならない。
【0126】
先ず、特定細胞以外の残りの細胞と凝り固まっている特定細胞の分離を最適化する環境を作るために、図23に示すように、前記分離された上板部211の特定細胞を全て除去し、または新たな上板部211に交替する。
【0127】
また、上板部211に移動した特定細胞を補充する程度の量で、細胞が含まれていない緩衝液を注入収容した下板部221を備えた下体22に、空いている上板部211を備えた上体21を覆って一体に結合させる。
【0128】
この場合、図24に示すように、前記バー移動ダイアル227を、前記「3」を外部に露出して位置させた状態であるので、前記上板部211には空いており、前記下板部221にのみ特定細胞以外の残りの細胞水溶液が収容されるが、層を形成してはいない。
【0129】
次に、図25及び図26に示すように、前記「3」を外部に露出して位置させた前記バー移動ダイアル227を、前記「2」と「1」が順に外部に露出するように左側に回転させると、前記下板部支え台移動バー224が右側に移動しながら、前記下板部支え台223の転がり回転部と接触する上部の3段部分が高くなり、前記下板部支え台223を押し上げるようになる。
【0130】
この場合、前記下板部221が上部に移動しながら、上下板部の間隔が狭くなり、前記上板部211と下板部221に収容された特定細胞以外の残りの細胞混合液がぶつかりながら、細胞分離に適合した残りの細胞混合液層を形成させ、次いで、形成された層は上下に押圧された状態となる。
【0131】
次に、図26に示すように、前記「1」を外部に露出して位置させた前記バー移動ダイアル227をさらに左側に移動(図26において点線で示す)させると、前記下板部支え台223の転がり回転部と、前記下板部支え台振動発生部226が接触しながら、右側に移動するとき発生する振動が、前記下板部支え台223から下板部221に伝達される。
【0132】
ここで、前記バー移動ダイアル227を、反対に右側に移動させ、前記「1」に該当する下板部支え台移動制限溝225−1まで移動させる場合も、前記下板部支え台223の転がり回転部と、前記下板部支え台振動発生部226が接触しながら、左側に移動するときに発生する振動が、前記下板部支え台223から下板部221に伝達される。
【0133】
前記下板部221に伝達される振動が特定細胞以外の残りの混合液層に加えられながら進行する均質化過程は、前記上板部211と下板部221との間に形成された特定細胞以外の残りの細胞混合液層を保持しながら、複数回、例えば、10回未満繰り返す。
【0134】
すると、特定細胞以外の残りの細胞混合液層を保持した状態で、最大限振動が加えられ、前記重力により下板部221に落ちる特定細胞以外の残りの細胞と凝り固まったまま、下板部221に付いてあった特定細胞が落ちながら、前記磁石213から印加される磁力により上板部211側に移動するようになる。
【0135】
前記均質化過程を終えた後、図27に示すように、前記「2」を外部に露出して位置させ、「2」に該当する下板部支え台移動一時制限溝225−2に一時的に固定された状態で、7〜15分間そのまま放置すると、前記均質化した特定細胞以外の残りの細胞混合液層の上板部211側から磁石213を通じて印加される磁力により、特定細胞混合液層の上板部211側に特定細胞を移動させながら、同時に重力により、特定細胞以外の細胞を特定細胞混合液層の下板部121(→221)側に移動させる。
【0136】
この状態で、最後に、前記「2」を外部に露出して位置させた前記バー移動ダイアル227を、前記「3」が外部に露出するように右側に回転させると、図28に示すように、前記下板部支え台移動バー224が左側に移動しながら、前記下板部223が下部に完全に移動し、上下板部の間隔が広くなり、細胞混合液層を解体させ、上板部211には特定細胞が、前記下板部221には特定細胞以外の残りの細胞がそれぞれ分離位置するようになる。
【0137】
この場合、前記下板部支え台223の転がり回転部は、前記「3」に該当する下板部支え台移動一時制限溝225−3に一時的に固定された状態を維持する。
【0138】
これにより、前記分離された特定細胞以外の残りの細胞に含まれていた必要としない特定細胞をさらに分離し、上板部211から除去することにより、必要とする特定細胞以外の残りの細胞の純度を顕著に高めることができる。
【0139】
本発明の他の実施例による細胞分離装置30は、上述した本発明の一実施例による細胞分離装置と同一であり、ただ、細胞混合液が収容された下体の上に磁力が印加される上体を覆って一体に結合させた状態で、下板部を移動させ、上板部と下板部の間隔を調節しながら細胞を分離するのに対して、一つのハウジングの内部に上板部と下板部を設置した状態で、上板部を移動させ、上板部と下板部の間隔を調節しながら細胞を分離することに差があるところ、これを中心に説明する。
【0140】
本発明のまた他の実施例による細胞分離装置30は、前面の一部が開放されたハウジング31の内部に上板部支え台34と下板部支え台36が前後方側に移動可能に設置される。ここで、前記下板部支え台36は、前記ハウジング31の下部に固定設置され、前記上板部支え台34は、前記下板部支え台36と一定の距離を置いて上部に位置しながら、前記ハウジング31の内部において上下に移動可能に設置される。
【0141】
前記上板部支え台34と下板部支え台36には、上板部33と下板部35を収容する溝が形成されており、前記溝には、前記上板部33の細胞混合液吸着部と下板部35の細胞混合液収容部が対向しながら位置するように、上板部33と下板部35が設置される。
【0142】
また、前記上板部支え台34の上部には、上板部33の上面と対向して磁石32が設置される。
【0143】
また、前記上板部支え台34は、前記ハウジング31の外部の一側に設けられた上板部支え台移動ダイアル37と噛合され(図示せず)、上板部支え台移動ダイアル37の回転により上下に移動される。
【0144】
ここで、前記上板部支え台34が上下に移動する場合は、前記磁石32と上板部33も一体に移動される。
【0145】
また、前記上板部支え台移動ダイアル37の回転により、上下に移動する上板部支え台34の上下移動を制限する上板部支え台移動制限ストッパー38が前記ハウジング31の外部の一側に設けられる。
【0146】
前記上板部支え台移動制限ストッパー38は、細胞混合液層が保持されるように押し込む操作により、前記ハウジング31の内部に突出して形成された突出部が、前記上板部支え台34の上部側への移動を制限される。
【0147】
以下、このような構成を有する本発明のまた他の実施例による細胞分離装置30を用いて細胞を分離する過程について説明する。
【0148】
先ず、前記下板部支え台36をフロントローデイング方式で、使用者が立っている前方側に取り出し、細胞混合液収容部を上部に向けて、下板部35を溝に安着させた状態で、下板部35に細胞混合液を注入収容し、さらに後方側に入れる。
【0149】
次に、前記上板部支え台34をフロントローデイング方式で、使用者が立っている前方側に取り出し、細胞混合液吸着部を下部に向けて、上板部33を溝に安着させ、さらに後方側に入れる。前記過程は、逆順で行われても構わない。
【0150】
次に、前記上板部支え台移動ダイアル37の回転により、前記磁石32、上板部33、及び上板部支え台34が上下に移動しながら、上板部33を下板部35に近付いて移動させ、細胞混合液層を形成させ、形成された細胞混合液層の上板部33側から、磁石32を用いて、特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞を、それぞれ上板部33と下板部35側に移動させた状態で、さらに上板部33を下板部35から遠ざかって移動させて分離する。
【0151】
ここで、前記上板部支え台34と下板部支え台36が当接しながら、上板部33と下板部35との間に、細胞混合液層を押圧状態で形成させることができる。
【0152】
最後に、前記上板部支え台34を前方側に取り出し、前記上板部33に吸着されている特定細胞を収去し、または、前記下板部支え台36を前方側に取り出し、前記下板部35に残っている特定細胞以外の残りの細胞を収去するようになる。
【0153】
また、本発明の実施例による細胞分離装置10、20で行われた均質化過程も、前記上板部支え台移動制限ストッパー38を操作して具現することができる。
【0154】
以下、これらの実施例による細胞混合液から細胞を分離する過程を実験した内容について説明する。
【0155】
先ず、骨髄細胞をフラッシングして得られた細胞混合液を磁性ビーズで標識して用意する。それぞれの抗体に対する細胞混合液から特定細胞を分離するために用いられた細胞混合液の濃度は、107個/μlであり、温度に対する影響を排除させるために、細胞分離過程を4℃の低温室で行う。
【0156】
ここで、本発明の実施例による細胞分離装置10、20の場合は、上体と下体が一体に結合されて内部に密閉した空間を形成させ、細胞混合液を細胞混合液収容部に収容させた後、追加の操作や低温室がなくても約4℃の温度に維持される冷蔵庫等で7〜15分間放置した状態で、下板部移動ダイアルを「3」に位置させることにより、分離過程が完了され、極めて便利である。
【0157】
分離された特定細胞をポジティブとし、特定細胞以外の残りの細胞をネガティブと定義したとき、様々な抗体を用いて得たポジティブの分離効率の結果は、以下の通りである。
【0158】
【表1】
【0159】
また、分離された特定細胞以外に残りの細胞、すなわち、ネガティブを収集した後、分離エラー率(ポジティブがうまく分離されなかったまま、ネガティブに残っている比率)を確認した結果は、以下の通りである。
【0160】
【表2】
【0161】
以下、上述した本発明の実施例による細胞混合液層に磁力を印加して分離させた細胞の純度を向上させる過程に対する具体的な実験内容について説明する。
【0162】
この方法で説明する実験例は、ポジティブが下板部の水溶液であるネガティブ水溶液にある程度含まれているかを調べることにより分離エラーを確認可能に、分離後にネガティブ水溶液を収去して細胞の状態を測定したものである。
【0163】
基本的に実験例で用いられた細胞は、Ter119の抗体に反応する細胞であり、前記磁石から印加される磁力は0.5Tであり、露出時間は9分とする。
【0164】
【表3】
【0165】
表3から分かるように、分離しようとする細胞混合液中に特定細胞(ポジティブ)が13.30%(ここで、Control.002は対照群を意味し、分離のために用いる細胞混合液の状態を、実験前に測定することにより、細胞の状態と分離効率を比較するのに用いる)存在したときの分離結果は、以下の通りである。
【0166】
【表4】
【0167】
表4から分かるように、MB−P.022は、分離後のポジティブの状態を測定したものであり、93.77%の分離効率を示した。同時に、ネガティブには、10.10%のポジティブが含まれていることをMB1−N.023から分かる。
【0168】
ここで、10.10%のポジティブを含んでいるネガティブ水溶液中で、ポジティブを除去し、相対的にネガティブの純度を高める過程を行ったところ、ポジティブ(MB−P.022)を分離した後、同時に生じるネガティブ(MB1−N.0.23)中のポジティブをエラーとみなして調査された比率が、最初比率(10.10%)よりも2.09%低い8.01%であることが確認された。
【0169】
これにより、ネガティブ水溶液中にエラーで含まれていたポジティブは、約20.7%の減少と同時に、ネガティブは、相対的に約2.3%の純度が高くなることを確認した。
【0170】
また、ポジティブの場合も、Sca1に反応する細胞を対象として、同一の条件(0.5Tの磁力に9分間露出)で実験した。
【0171】
【表5】
【0172】
表5から分かるように、2.09%のポジティブを有している細胞を対象として分離したとき、ポジティブの場合6.30%、ネガティブの場合2.51%と確認された。
【0173】
ここで、特定細胞の比率が2.09%と小さいので、ポジティブを対象として純度向上過程をさらに行い、その比率は、13.55%として、最初比率に比べて約115%増加することを確認した。
【0174】
本発明は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載される発明の範囲内で、様々な変形が可能であり、このような変形も、この発明の範囲内に含まれる。
【0175】
本発明の実施例による細胞分離装置では、使用者の直接的な操作により、上板部または下板部を移動させ、細胞混合液層の形成と、形成された層の幅を調節、及び解体させるようにしているが、使用者の直接的な操作の代わりに、モーターのような駆動手段と、これをプログラムにより制御するマイクロプロセッサを用いて、予め設定された内容としての自動操作も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明の細胞分離装置及び方法によれば、上板部と、細胞混合液を収容する下板部とからなる細胞分離チップの上下間隔を調節し、細胞混合液層に形成、及び形成された細胞混合液層の幅調節と解体する過程を通じて、必要とする細胞を分離し、必要とする細胞を分離した状態で、均質化過程により、必要としない細胞をさらに除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明の一実施例による磁性ビーズが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液層に磁力を印加して細胞を分離する装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例による細胞分離装置において、上板部と下板部が装着されていない状態を示す図である。
【図3】本発明の一実施例による細胞分離装置において、下板部に細胞混合液が収容された状態を示す図である。
【図4】図3における下板部に収容された細胞混合液を細胞混合液層に形成させ、細胞を分離するために、上体で下体を覆って結合させた状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施例による細胞分離装置において、細胞分離するときの作動関係、及びその際の細胞混合液の状態を示す図である。
【図6】本発明の一実施例による細胞分離装置において、細胞分離するときの作動関係、及びその際の細胞混合液の状態を示す図である。
【図7】本発明の一実施例による細胞分離装置において、細胞分離するときの作動関係、及びその際の細胞混合液の状態を示す図である。
【図8】本発明の一実施例による細胞分離装置において、細胞分離するときの作動関係、及びその際の細胞混合液の状態を示す図である。
【図9】図8の過程以降に上体と下体を分離させたとき、上板部と下板部の状態を示す図である。
【図10】図9の上板部に残っている特定細胞の純度を高めるために、下板部の特定細胞以外の残りの細胞を除去した後、新たな水溶液で収容した状態を示す図である。
【図11】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図12】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図13】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図14】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図15】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図16】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図17】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図18】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図19】本発明の他の実施例による磁性ビーズが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液層に磁力を印加して細胞を分離する装置の分解斜視図である。
【図20】本発明の他の実施例による細胞分離装置を用いて細胞を分離する過程を示す図である。
【図21】本発明の他の実施例による細胞分離装置を用いて細胞を分離する過程を示す図である。
【図22】本発明の他の実施例による細胞分離装置を用いて細胞を分離する過程を示す図である。
【図23】図22の過程以降、下板部に残っている特定細胞以外の残りの細胞の純度を高めるために、上板部の特定細胞を除去し、下板部に新たな水溶液を適量収容した状態を示す図である。
【図24】図23における上体と下体が結合され、特定細胞以外の残りの水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図25】図23における上体と下体が結合され、特定細胞以外の残りの水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図26】図23における上体と下体が結合され、特定細胞以外の残りの水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図27】図23における上体と下体が結合され、特定細胞以外の残りの水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図28】図23における上体と下体が結合され、特定細胞以外の残りの水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図29】本発明のまた他の実施例による磁性ビーズが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液層に磁力を印加し、細胞を分離する装置を示す図である。
【図30】本発明のまた他の実施例による磁性ビーズが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液層に磁力を印加し、細胞を分離する装置を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞を分離する装置及び方法に関し、より詳しくは、磁性キャリアが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液に磁力を印加し、必要とする細胞を分離する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,602,422号(マイクロコラムシステム)では、小鋼球が積層されているコラムの内部に、磁性キャリアとしての磁性ビーズが付着した特定細胞が混合された細胞混合液を、重力方向に入れながら、外部側面から磁力を印加すると、特定細胞は、磁化した鋼球間の空隙に移動する過程で吸着され、特定細胞以外の残りの細胞は、下方へ流れるようになるが、ここで、鋼球に付着して分離された特定細胞は、加えられていた磁力を除去した後、緩衝液を流して収去する。
【0003】
しかしながら、前記コラム型細胞分離装置を用いて、様々なサイズの細胞を分離する場合は、前記鋼球間に生成する空隙のサイズが細胞の移動を妨害することがあるため、分離しようとする特定細胞の吸着程度やサイズのような特性と磁性ビーズのサイズに応じて、用いられる鋼球のサイズもその都度交替しなれればならない。
【0004】
また、前記細胞混合液中に混合されている細胞が、直接鋼球の表面に付着して、分離された特定細胞の収去を難しくすることもある。
【0005】
しかも、細胞が凝集しながら鋼球間の空隙に詰まる現象を無くすために、分離過程中にピペット等で周期的に均質化しなければならないという煩雑さもあった。
【0006】
一方、米国特許第5,602,042号(混合液から生体粒子を磁気的に分離する方法及び装置)では、磁石と平板を有する分離手段を、密閉した容器に満たされた混合液の内部に漬浸した状態で、上下及び回転運動しながら印加する磁力により、磁性ビーズが付着した生体粒子を平板に付着分離させる。
【0007】
しかしながら、前記容器型細胞分離装置を用いて分離する場合、前記分離手段を混合液から外部に取り出す過程で、分離手段のハウジングの側面に付いていた他の生体粒子も平板に集まって分離効率が極めて低くなるようになる。
【0008】
また、密閉した容器に混合液を満たした状態で分離するので、多量の試料を必要として多くの費用がかかり、上下及び回転運度のメカニズムを具現する分離手段が複雑となり、分離手段のハウジングのような露出部分が混合液と直接に接触しながら、混合液の汚染の可能性が高くなる。
【0009】
これから、本発明者らにより提案された韓国特許出願第2004−25421号(液滴状の細胞懸濁液を用いた細胞分離装置及び方法)では、磁性ビーズが付着した特定細胞が含まれている細胞混合液を、液滴状の細胞混合液で生成させ、ここに磁力を印加して上部に特定細胞、及び下部に特定細胞以外の残りの細胞に分けた後、緩衝液のみを別途に前記液滴状の細胞混合液にさらに供給し、下部の特定細胞以外の残りの細胞を重力により完全に分離させた状態で、特定細胞のみを収去させることにより、細胞分離装置の構造と工程の単純化を実現した。
【特許文献1】米国特許第5,602,042号
【特許文献2】韓国特許出願第2004−25421号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記液滴状の細胞混合液を用いて細胞を分離する場合、細胞混合液を液滴状に形成させる装置と過程が複雑となる。
【0011】
また、前記液滴状の細胞混合液の下部が吊るして空気に露出した状態であるため、微細な周辺空気の流れにも、内部の特定細胞以外の残りの細胞が動揺し、しかも、分離しようとする特定細胞以外の残りの細胞を除去するために緩衝液をさらに注入する過程において、下部にあった特定細胞以外の残りの細胞の一部がさらに上部の特定細胞側に移動してしまい、分離効率が低くなるという問題点があった。
【0012】
一方、前記分離過程中に特定細胞以外の残りの細胞の一部が、特定細胞が収去される面に付いてある場合は、収去された特定細胞を用いて行なう以降の実験に悪影響を及ぼすこともあるので、特定細胞の純度を最大限高くする必要があった。
【0013】
本発明は、上板部と、その下部に対向して位置する細胞混合液を収容した下板部との間隔を調節して、細胞混合液層を形成し、及び形成された細胞混合液層の上板部から磁力を印加しながら幅の調節と解体を行うことにより、細胞を簡便かつ高効率で分離する細胞分離装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するため、本発明による細胞分離装置は、磁性キャリアが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液が、上方に膨らんだ形態に収容される細胞混合液収容部が上面に設けられる下板部と、前記下板部の上部に対向して位置し、前記細胞混合液収容部に収容された細胞混合液を下面に吸着させる上板部と、前記上板部の上面に位置する磁力印加手段と、前記上板部または下板部に結合され、前記上板部と下板部の間隔が狭くまたは広くなるように調節する上下板部間隔調節手段とを備え、前記細胞混合液収容部に収容された細胞混合液が、前記上板部の下面に吸着されて細胞混合液層に形成されるように、前記上下板部間隔調節手段で上板部と下板部の間隔を狭く調節し、前記形成された細胞混合液層に前記磁力印加手段により印加される磁力により、上板部側に移動された特定細胞と、重力により下板部側に移動された特定細胞以外の残りの細胞を、細胞混合液層が解体され、それぞれ上板部の下面と下板部の細胞混合液水溶液に分離位置されるように、前記上下板部間隔調節手段で、上板部と下板部の間隔を広く調節することを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記上板部は、下面に前記細胞混合液が吸着される細胞混合液吸着部を形成し、前記細胞混合液吸着部に対応して下板部の細胞混合液収容部を位置させてもよい。
【0016】
好ましくは、下方に開放された上部ハウジングと上方に開放された下部ハウジングをそれぞれ設け、前記上部ハウジングの内部には、前記磁力印加手段、及び前記磁力印加手段が上面に位置するように上板部が設けられ、前記下部ハウジングの内部には、前記下板部、及び前記下板部と結合するように前記上下板部間隔調節手段が設けられ、前記上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部が対向して位置するように、前記ハウジングの下側と下部ハウジングの上側を結合させた状態で、前記上下板部間隔調節手段で下板部を上下に強制移動させ、上板部と下板部との間隔を調節してもよい。
【0017】
好ましくは、前記上下板部間隔調節手段は、上部に前記下板部を収容する溝と、下部にボルト状の連結部を形成する下板部支え台と、前記下板部支え台のボルト状の連結部と螺合するナット状の連結部を有する下板部支え台移動ダイアルとを備え、前記下板部支え台移動ダイアルの回転により、下板部支え台を上下に移動させてもよい。
【0018】
好ましくは、前記上下板部間隔調節手段は、前記細胞混合液層が保持されるように、前記下板部支え台移動ダイアルの回転を制限するダイアル回転制限ストッパーをさらに有してもよい。
【0019】
好ましくは、前記ダイアル回転制限ストッパーは、前記下板部支え台移動ダイアルの下部と、前記下板部支え台移動ダイアルの回転を制限すべき位置で、前記下板部支え台移動ダイアルの下部と当接させるように、前記下部ハウジングの該当部分に設けられてもよい。
【0020】
好ましくは、前記上下板部間隔調節手段は、上部に前記下板部を収容する溝と、下部に軸を中心にして転がり回転する転がり回転部を突設する下板部支え台と、前記下板部支え台の転がり回転部と、上部に形成された一方から他方に行くほど高さが低くなる多段部分が接触しながら、前記下板部支え台を上下に移動させる下板部支え台移動バーと、前記下板部支え台移動バーの側面に形成されたギア直線部と側面に沿って形成されたギア周縁部が噛合されるバー移動ダイアルとを備え、前記バー移動ダイアルを回転させ、前記下板部支え台の転がり回転部と接触する前記下板部支え台移動バーの多段部分の高さが変化しながら、前記下板部支え台を上下に移動させてもよい。
【0021】
好ましくは、前記多段部分には、前記下板部支え台の移動を一時的に制限する下板部支え台移動一時制限溝がさらに形成されてもよい。
【0022】
好ましくは、前記下板部支え台移動バーは、前記多段部分のうち、最高段を延長させ、ここに、複数の溝を形成させた下板部支え台振動発生部がさらに設けられてもよい。
【0023】
好ましくは、ハウジングを備え、前記ハウジングの内部に、前記上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部が対向して位置するように上板部と下板部が設けられ、前記磁力印加手段が、前記上板部の上面に位置するように設けられ、前記上下板部間隔調節手段が、前記上板部と結合するように設けられ、前記上下板部間隔調節手段で上板部を上下に移動させ、上板部と下板部の間隔を調節するようにしてもよい。
【0024】
好ましくは、前記上下板部間隔調節手段は、前記細胞混合液層が保持されるように、前記上板部支え台の上部側に移動を制限する上板部支え台移動制限ストッパーをさらに含んでいてもよい。
【0025】
また、本発明による細胞分離方法は、(a)下板部の細胞混合液収容部に上方に膨らんだ形態に収容された磁性キャリアが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液を、前記下板部の細胞混合液収容部に対向して位置する上板部の下面で吸着するように、前記上板部と下板部の間隔が狭くなるように調節し、細胞混合液層に形成させるステップと、(b)前記ステップ(a)で形成された細胞混合液層の上板部側から磁力を印加し、細胞混合液層の上板部側に特定細胞を移動させながら、重力により特定細胞以外の残りの細胞も、細胞混合液層の下板部側に移動させるステップと、(c)前記ステップ(b)で細胞混合液層の上板部側に移動された特定細胞と、下板部側に移動された特定細胞以外の残りの細胞が、前記上板部と下板部の間隔を広くし、前記細胞混合液層が解体されながら、上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部にそれぞれ分離位置させるステップとからなることを特徴とする。
【0026】
好ましくは、前記細胞混合液層に形成させるステップ(a)以降、前記上板部と下板部の間隔を調節し、前記細胞混合液層の幅を、必要とする細胞の分離を最適化する状態に維持させるステップをさらに行わせてもよい。
【0027】
好ましくは、(d1)前記ステップ(c)で分離され、下板部に位置する特定細胞以外の残りの細胞を全て除去または新たな下板部に交替し、前記下板部にいずれの細胞も入っていない緩衝液のみを注入収容した後、上板部と下板部の間隔を狭くし、特定細胞混合液層を形成させるステップと、(e1)前記ステップ(d1)で形成された特定細胞混合液層を保持しながら、前記上板部と下板部の間隔を複数回繰り返し変化させて、特定細胞混合層を均質化させるステップと、(f1)前記ステップ(e1)で均質化した特定細胞混合液層の上板部側から印加される磁力により特定細胞混合液層の上板部側に特定細胞を移動させながら、重力により特定細胞以外の残りの細胞を特定細胞混合液層の下板部側に移動させるステップと、(g1)前記ステップ(f1)で特定細胞混合液層の上板部側と下板部側に移動された特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞が、前記上板部と下板部の間隔を広くし、前記混合収容液層が解体されながら、上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部にそれぞれ分離位置させるステップとをさらに行わせてもよい。
【0028】
好ましくは、(d2)前記ステップ(c)で分離され、上板部に位置する特定細胞を全て除去または新たな上板部に交替し、前記下板部にいずれも細胞も入っていない緩衝液をさらに注入収容した後、上板部と下板部の間隔を狭くし、特定細胞以外の残りの細胞混合液層を形成させるステップと、(e2)前記ステップ(d2)で形成された残りの細胞混合液層を保持しながら、前記上板部と下板部の間隔を複数回繰り返し変化させ、残りの細胞混合液層を均質化させるステップと、(f2)前記ステップ(e2)で均質化した残りの細胞混合液層の前記上板部側から印加される磁力により、残りの細胞混合液層の上板部側に特定細胞を移動させながら、重力により特定細胞以外の残りの細胞を、残りの細胞混合液層の下板部側に移動させるステップと、(g2)前記ステップ(f2)で残りの細胞混合液層の上板部側と下板部側に移動された特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞が、前記上板部と下板部の間隔を広くし、前記残りの細胞混合液層が解体されながら、上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部にそれぞれ分離位置させるステップとをさらに行わせてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の細胞分離装置及び方法によると、上板部と、細胞混合液を収容する下板部とからなる細胞分離チップの上下間隔を調節し、細胞混合液層に形成、及び形成された細胞混合液層の幅調節と解体する過程を通じて、必要とする細胞を分離することにより、大きさに制限されず、全ての細胞の分離を一つの細胞分離チップで行うことができ、分離過程も、ピペット操作、回転、緩衝液注入のような別の追加工程無しに、簡便に行うことができ、相対的に強い磁力を細胞に露出させながら、分離条件に応じて細胞混合液層の幅を調節して分離効率を最大に高める一方、必要とする細胞を分離した状態で、均質化過程を通じて、必要としない細胞をさらに除去して、分離効率がさらに向上する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の一実施例による細胞分離装置10は、図1乃至図4に示すように、上体11と下体12からなり、細胞混合液が収容された下体12上に磁力が印加される上体11を覆って一体に結合させた状態で、細胞を分離する過程を行う。
【0031】
前記上体11は、上板部111と、前記上板部111の上面に位置し、磁力を印加する磁石113と、下側に開放し、前記上板部111と磁石113を内部に収容設置する上部ハウジング115と、前記上板部111を前記上部ハウジング115に固定させる上板部固定手段114とで構成されている。
【0032】
前記上板部111は、下面に形成された細胞混合液吸着部112に、前記下体12に収容された細胞混合液が吸着されるようにする。前記上板部111は、3mm以内の厚さを有する平らかつ透明なチップ形態に具現され得る。
【0033】
前記細胞混合液吸着部112は、前記上板部111が生体適合性物質として、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレンまたはポリイミドのような親水性物質であれば、溝を形成させまたは生体適合性物質中に、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のような疎水性物質でリングを形成させることができる。この場合、細胞混合液が前記溝の内部に吸着され、または細胞混合液が吸着される周囲を、前記リングで取り囲みながら境界を形成させる。
【0034】
前記磁石113は、前記上部ハウジング115の内部に収容された状態で固設される。前記磁石113は、細胞混合液吸着部112に磁力が集中して印加されるように、前記細胞混合液吸着部112に対応して位置させることが好ましい。この場合、前記磁石113の大きさは、前記細胞混合液吸着部112の大きさと同じまたは小さめに形成させ、磁力が充分に及ぶように、細胞混合液吸着部112の厚さを3mm以内である上板部111よりも薄く形成させる。
【0035】
前記磁石113から印加される磁力は、前記下体12に収容された細胞混合液の磁性ビーズが付着した特定細胞を上板部111側に移動させるために、前記特定細胞に作用する重力の大きさを克服可能な程度以上の大きさを維持する。
【0036】
本発明の実施例では、前記磁石113として、例えば、永久磁石であるネオジムを用いて、最小の空間を占めながらも、略0.5Tの相対的に強い磁力を発生させる。これにより、本発明の実施例による細胞分離装置は、高い分離効率を維持するとともに、小型化を実現することができる。
【0037】
前記上板部固定手段114は、前記磁石113と上面が対向して位置する上板部111を上部ハウジング115に固定させる。
【0038】
前記下体12は、下板部121と、前記下板部121が安着した状態で、分離過程を行うように支持する下板部支え台123と、前記下板部支え台123を上下に移動させるように回転する下板部支え台移動ダイアル124と、上方に開放され、前記下板部121、下板部支え台123、及び下板部支え台移動ダイアル124とを内部に収容設置する下部ハウジング126とで構成されている。
【0039】
また、前記下板部支え台移動ダイアル124の下部と、前記下部ハウジング126の該当部分には、前記下板部支え台移動ダイアル124が、一定の範囲以上に回転しないように制限するダイアル回転制限ストッパー125、125’、125”が設置される。
【0040】
前記下板部121は、分離しようとする細胞混合液が上面に設けられた細胞混合液収容部122において、上方に膨らんだ形態で収容させる。前記下板部121は、3mm以内の厚さを有する平らかつ透明なチップ形態に具現され、この場合、前記上板部111と一組の細胞分離チップをなし、1回限りの使用とすることが好ましい。
【0041】
前記細胞混合液収容部122は、円形またはこれに類似した形態であり、前記下板部121に液体を、水平な固体表面上に載せるとき、液体表面と固体表面がなす接触角が90°内外またはそれ以上に維持されるように、表面をコート処理しまたは溝を形成させ、ここに、細胞混合液を一定量注入収容し、上方に膨らんだ形態の細胞混合液に形成させる。
【0042】
ここで、前記細胞混合液収容部122を溝に形成する場合、前記下板部121が親水性物質であれば、前記溝の外部に細胞混合液が流れ出せず、別の処理を必要としないが、前記下板部121が疎水性物質であれば、前記溝の内部を親水性物質でコートして、細胞混合液がよく吸着されるようにする。
【0043】
前記細胞混合液収容部122は、前記上板部111の細胞混合液吸着部112に対応して位置するように形成し、収容される細胞混合液が前記細胞混合液吸着部112に吸着されながら層を形成させる。
【0044】
前記層は、上方には磁力が、下方には重力が作用する液体からなる空間を形成させ、この空間中で、磁性ビーズが付着した特定細胞と、これらの特定細胞以外の残りの細胞が、互いに正反対に作用する力により確実に分離され得る環境を与える。
【0045】
前記細胞混合液吸着部112と細胞混合液収容部122との間において、細胞混合液層を形成させて細胞を分離する場合は、細胞混合液を動的状態ではなく、静的な状態で、前記細胞混合液吸着部112に磁力が最大限印加されながら細胞分離過程が行われるので、簡便かつ高効率となり、また分離に必要な細胞混合液の量のみが用いられればよいので、費用節減となる。
【0046】
このような細胞混合液層を形成する前記上板部111の細胞混合液吸着部112と前記下板部121の細胞混合液収容部122は、大きさや個数に応じて、分離しようとする細胞の量を決定することができ、同時に複数種の細胞分離も可能であるので、状況に合わせた細胞分離を行うことができる。
【0047】
ここで、前記細胞混合液収容部122は、収容される細胞混合液の体積、すなわち、面積が増加すると、重力の影響が大きくなるとともに接触角が小さくなる。
【0048】
これにより、本発明の実施例では、分離のために細胞混合液層の幅を略2〜3mmの範囲内で維持するように、前記細胞混合液収容部122の直径を略18mmを超えないようにし、好ましくは、14mmとし、最適の分離環境を維持させる。
【0049】
前記下板部支え台123は、上部に前記下板部121を収容する溝を形成し、前記下板部121が前記溝の内部に安着した状態で分離過程を行うようにする。
【0050】
また、前記下板部支え台123は、前記下部ハウジング126の内部で上下に移動可能に設置され、下部にボルト状の連結部を形成し、前記ボルト状の連結部と螺合するナット状の連結部を有する前記下板部支え台移動ダイアル124の回転により上下に移動するとともに、前記下板部121を上下に移動させる。
【0051】
前記下板部支え台移動ダイアル124は、前記下部ハウジング126の前面側において、外部に周縁の一部を露出させた状態で、前記下板部支え台123を上下に移動可能に露出した部分を左右に回転させるように設置される。
【0052】
前記下板部支え台移動ダイアル124が左右に回転しながら、前記下板部支え台123を上下に移動させ、下板部121の上下位置を調節することにより、前記細胞混合液収容部122に収容された細胞混合液が、前記細胞混合液吸着部112に吸着され、前記上板部111と下板部との間に層を形成させ、または形成された細胞混合液層を解体させる。
【0053】
ここで、前記下板部支え台移動ダイアル124に、前記細胞混合液層が形成及び解体される位置や範囲を、数字や文字または色等で表示し、細胞分離操作過程を簡便にすることができる。
【0054】
例えば、前記下板部支え台移動ダイアル124の周縁に、左側から右側へ「1」、「2」及び「3」の数字を表示し、「1」は、細胞混合液層が押圧された状態を意味し、「2」は、細胞混合液層が分離に適当な幅を維持する状態を意味し、「3」は、細胞混合液層が解体された状態を意味するものとする。
【0055】
本発明の一実施例による細胞分離装置10では、前記細胞混合液収容部122の直径を14mmとした場合、前記上板部111と下板部121との間の間隙を、「1」の場合に2mm、「2」の場合に2.5〜3mm、「3」の場合に5〜6mmと設定することができる。
【0056】
これにより、本発明の一実施例による細胞分離装置10では、前記下板部支え台123と、前記下板部支え台移動ダイアル124が、細胞混合液層の形成と、形成された細胞混合液層の幅を調節及び解体する過程を行うように、前記下板部121を移動させ、前記上板部111と下板部121の間隔が狭くまたは広くなるように調節する上下板部間隔調節手段の機能を行う。
【0057】
前記上板部111と下板部121の間隔を狭くまたは広く調節しながら、細胞混合液層を形成、及び形成された層を解体させて細胞を分離する場合は、層の内部において、重力と磁力により定められる細胞の分布と、重力により定められる層の形成及び解体が同時に決定されるので、追加の機器的な接近がなくても、自然に分離を導き出すことができるようになる。
【0058】
また、前記下板部支え台移動ダイアル124の下部の前記ダイアル回転制限ストッパー125は、前記「1」と「3」に該当する位置に突起状に形成される。
【0059】
また、前記下部ハウジング126の底面のダイアル回転制限ストッパー125’は、前記「1」が、前記下部ハウジング126の前面側において、外部に露出して位置するとき、「3」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125と当接しながら、これ以上の回転ができないように、該当位置に突起状に設けられ、また、前記「3」が外部に露出して位置するときも、「1」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125と当接しながら、これ以上の回転ができないように、該当位置に突起状に設けられる。
【0060】
したがって、前記下板部支え台移動ダイアル124は、前記ダイアル回転制限ストッパー125、125’により、前記「1」と「3」の範囲内でのみ回転させ、特に注意を払わずに、簡便に細胞混合液層の形成と、形成された層を解体させる過程を行うようにする。
【0061】
前記下部ハウジング126は、開放された上側が上部ハウジング115の開放された下側と一体に結合するように形成される。前記上部ハウジング126の周縁には、突出部を形成させ、前記上部ハウジング115との結合を容易にしている。
【0062】
前記下部ハウジング126と上部ハウジング115が結合されながら、内部に密閉した空間を形成させ、細胞混合液層を形成する周辺の水分蒸発や温度変化を最小化するともに、細胞が分離過程中に生存する最適の環境を維持させる。
【0063】
一方、本発明の一実施例による細胞分離装置10での分離された特定細胞に、必要としない特定細胞以外の残りの細胞が一緒に付いてある場合、層を保持させた状態で、均質化する過程を通じて分離除去し、特定細胞の純度をさらに高めることができる。
【0064】
前記均質化過程を行う際に、層が保持される範囲内でのみ、下板部支え台移動ダイアル124が回転するように、ダイアル回転制限ストッパー125”を下部ハウジング126の前面の一側に設置する。
【0065】
前記ダイアル回転制限ストッパー125”は、左側または右側に移動位置可能に設けられ、前記下部ハウジング126の前面の一側において、左側または右側に移動する際に、前記下板部支え台移動ダイアル124が位置した方向に形成された突出部分が、前記下部ハウジング126の内部において、左右に同時に移動される。
【0066】
したがって、前記ダイアル回転制限ストッパー125”を左側に移動位置させると、前記下板部支え台移動ダイアル124が、前記「2」が露出して位置するとき、前記「1」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125を突出部分で遮断して、これ以上回転不可能になるので、細胞混合液層を保持しながら、迅速かつ簡便に均質化過程を行うことができるようにする。
【0067】
しかし、前記ダイアル回転制限ストッパー125”を右側に移動位置させた場合は、前記「2」が露出して位置するときも、前記「1」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125を突出部分で遮断せず、前記下板部支え台移動ダイアル124が右側に「3」まで回転可能になる。
【0068】
本発明の一実施例による細胞分離装置10は、前記上板部111と下板部121が細胞を分離する度に、新たに交替しながら使用される場合を考慮して、上板部111と下板部121からなる細胞分離チップと、前記細胞分離チップの上板部111と下板部121の間隔を調節しながら、印加される磁力により細胞を分離するように操作する細胞分離操作部で区分することもできる。
【0069】
以下、上述したような構成を有する本発明の一実施例による細胞分離装置10を用いて細胞を分離する過程について説明する。
【0070】
先ず、図3に示すように、本発明の一実施例による細胞分離装置10の上体11を下体12から分離させ、前記下体12の下板部121に、磁性ビーズが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液を、例えば、直径が14mmである細胞混合液収容部122毎に500μlを注入収容する。
【0071】
次に、図4に示すように、前記下体12に上体11を覆って一体に結合させる。ここで、図5に示すように、前記下体12の前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「1」を外部に露出して位置させた場合は、前記「3」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125と、前記下部ハウジング126の底面に設けられた前記ダイアル回転制限ストッパー125’が当接しながら、前記下板部支え台移動ダイアル124をこれ以上左側に回転させることができないようになる。
【0072】
この場合、前記上板部111の細胞混合液吸着部112と下板部121の細胞混合液収容部122との間で、特定細胞とこれ以外の残りの細胞が均一に分布した細胞混合液層が押圧された状態で形成される。
【0073】
次に、前記「1」を外部に露出して位置させた前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「2」が外部に露出するように右側に回転させると、図6に示すように、前記下板部支え台移動ダイアル124の下部に設けられたダイアル回転制限ストッパー125が右側に移動するが、前記下部ハウジング126の底面に設けられたダイアル回転制限ストッパー125’とは当接しないようになる。
【0074】
この場合、前記下板部121が下部に移動しながら、上板部111との間隔が広くなり、押圧された状態の細胞混合液層が細胞分離に適合した幅を有する層に形成される。
【0075】
ところが、細胞を分離する全ての場合に、前記上板部111と下板部121との間で形成された細胞混合液層の幅を一定に維持することが、かえって好ましくないこともあり得る。
【0076】
一般に、調節される細胞混合液層の上下の幅を、すなわち、上板部111と下板部121の間隔を広くするほど、特定細胞に加えられる磁力と、特定細胞以外の残りの細胞に加えられる重力により、細胞の分離を確実に行うこうができる。
【0077】
しかし、細胞混合液層が形成された後、メーカー毎に異なる磁性ビーズの性質(大きさ、密度、磁化程度等)を全て受容可能な互換性(汎用性の確保)を持たせ、または、細胞混合液に含まれた特定細胞の含有程度(細胞濃度)が異なるので、分離しようとする特定細胞そのものの特性に適切に対処し、または、用いられる細胞分離用のチップで、上板部111と下板部121の材質が親水性であるか或いは疎水性であるかにより、吸着程度が異なることを調節するためにも、上板部11と下板部121の間隔を調節して、必要とする細胞の分離を最適の状態に維持させなければならない。
【0078】
これにより、前記形成された細胞混合液層の幅をもう少し広くすることが、最適の細胞分離状態を維持すると仮定すると、図7に示すように、前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「2」が外部に露出する場合よりも、少し右側に回転させ、前記下板部121が、図6の場合よりも下部にさらに移動するようにする。
【0079】
この場合、前記下板部支え台移動ダイアル124の下部に設けられたダイアル回転制限ストッパー125が、右側にさらに移動するが、前記下部ハウジング126の底面に設けられたダイアル回転制限ストッパー125’とは当接しない。
【0080】
以降、前記最適の幅を維持する細胞混合液層の上板部111の上面で、磁石113を通じて磁力を印加しながら、7〜15分間その状態を保持すると、細胞混合液層の上板部111側に特定細胞が移動されながら、同時に重力により特定細胞以外の残りの細胞も、細胞混合液層の下板部121側に移動される。
【0081】
最後に、前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「3」が外部に露出するように右側に回転させると、図8に示すように、前記「1」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125が右側に移動しながら、前記下部ハウジング126の底面に設けられた該当ダイアル回転制限ストッパー125’と当接し、前記下板部支え台移動ダイアル124の回転を制限する。
【0082】
この場合、前記下板部121が下部に完全に移動しながら、細胞混合液層を解体させ、前記上板部111には特定細胞が、前記下板部121には特定細胞以外の残りの細胞がそれぞれ分離位置するようになる。
【0083】
したがって、前記下板部支え台移動ダイアル124は、前記ダイアル回転制限ストッパー125、125’により、前記「1」と「3」の範囲内でのみ回転しながら、簡便に細胞混合液層の形成と、形成された層の幅を調節及び解体させながら、細胞を分離する過程を行う。
【0084】
すると、図9に示すように、前記上体11の上板部111と、前記下体12の下板部121には、それぞれ特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞に分離され、以降、必要とする細胞を収去して用いるようになる。
【0085】
ここで、図4に示すように、前記下体12に上体11を覆って一体に結合させるとき、前記下体12の前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「2」または「3」を外部に露出して位置させ、前記下板部支え台移動ダイアル124を左右に回しながら、細胞混合液層を保持または形成させてもよい。
【0086】
本発明の一実施例による細胞分離装置10は、操作が簡単であり、小型として携帯可能であり、4℃を維持しなければならない特定細胞分離の場合、別途の場所に移動または追加の冷却器がなくても、冷蔵庫に入れて分離することができるので、簡便である。
【0087】
ところが、前記上板部111に吸着される細胞は、全て特定細胞でなければならないが、実際に層を形成するとき、特定細胞以外の残りの細胞が吸着され、または、特定細胞が前記磁石113から印加される磁力により、上板部111側に引かれて移動するとき、一緒に凝り固まっていた特定細胞以外の残りの細胞が一部含まれることもある。これにより、上板部111に吸着されている必要としない特定細胞以外の残りの細胞を分離しなければならない。
【0088】
したがって、先ず、特定細胞と凝り固まっていた特定細胞以外の残りの細胞の分離を最適化する環境を作るために、図10に示すように、分離された下板部121の特定細胞以外の残りの細胞を全て除去し、または、新たな下板部121に交替し、細胞が含まれていない緩衝液を注入収容した下板部121を備えた下体12に特定細胞が吸着されていない上板部111を備えた上体11を覆って一体に結合させる。
【0089】
この場合、図11に示すように、前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「3」を外部に露出して位置させた状態であるので、上板部111には、特定細胞が位置し、前記下板部121には緩衝液が位置されるが、層を形成してはいない。
【0090】
次に、図12及び図13に示すように、前記「3」を外部に露出して位置させた前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「2」と「1」が順に外部に露出するように左側に回転させると、前記下板部支え台移動ダイアル124の下部に設けられたダイアル回転制限ストッパー125が左側に移動しながら、前記下部ハウジング126の底面に設けられたダイアル回転制限ストッパー125’と当接し、前記下板部支え台移動ダイアル124をこれ以上左側に回転させないようにする。
【0091】
この場合、前記下板部121が上部に移動しながら、上下板部の間隔が狭くなり、前記上板部111に吸着された特定細胞と下板部121に収容された緩衝液が合わせられながら、細胞分離に適合した特定細胞混合液層を形成させ、形成された層は、さらに上下に押圧された状態となる。
【0092】
次に、図14に示すように、前記「1」を外部に露出して位置させた前記下板部支え台移動ダイアル124をそのまま保持しながら、前記ダイアル回転制限ストッパー125”を左側に移動位置させる。
【0093】
次に、図15に示すように、前記ダイアル回転制限ストッパー125”を左側に移動位置させた状態で、前記「1」を外部に露出して位置させた前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「2」が外部に露出するように右側に回転させると、前記ダイアル回転制限ストッパー125”が前記「1」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125の右側への移動を遮断し、前記下板部支え台移動ダイアル124をさらに右側に回転させないようにする。
【0094】
次に、前記上板部111と下板部121との間に形成された特定細胞混合液層を保持しながら、図15及び図16に示すような過程を複数回、例えば、10回未満繰り返し、特定細胞混合液層を迅速かつ簡便に均質化する。
【0095】
すると、特定細胞混合液層を保持した状態で、上下に最大限揺り動かし、前記磁石113に反応する特定細胞と凝り固まったまま、上板部111に付いてあった特定細胞以外の残りの細胞が落ちながら単一細胞化する。
【0096】
前記均質化過程を終えた後、図15に示すように、前記「2」を外部に露出して位置させた状態で、7〜15分間そのまま放置すると、前記均質化した特定細胞混合液層の上板部111側から磁石113を通じて印加される磁力により、特定細胞混合液層の上板部111側に特定細胞を移動させながら、同時に重力により、特定細胞以外の細胞を特定細胞混合液層の下板部121側に移動させる。
【0097】
このような状態で、図17に示すように、前記ダイアル回転制限ストッパー125”を右側に移動位置させた後、前記下板部支え台移動ダイアル124を、前記「3」が外部に露出するように右側に回転させると、図18に示すように、前記「1」に該当する前記ダイアル回転制限ストッパー125が右側に移動しながら、前記下部ハウジング126の底面に設けられた該当前記ダイアル回転制限ストッパー125’と当接し、前記下板部支え台移動ダイアル124の回転を制限する。
【0098】
この場合、前記下板部121が下部に完全に移動しながら、細胞混合液層を解体させ、前記上板部111に特定細胞と前記下板部121に特定細胞以外の残りの細胞にそれぞれ分離位置させる。
【0099】
これにより、前記分離された特定細胞に含まれていた特定細胞以外の残りの細胞をさらに分離し、上板部111から除去することにより、必要とする特定細胞の純度を顕著に高めることができる。
【0100】
本発明の他の実施例による細胞分離装置20は、図19に示すように、上述した本発明の一実施例による細胞分離装置10と同一であり、ただ、上下板部間隔調節手段に差があるが、以下、上下板部間隔調節手段を中心として説明する。
【0101】
上述した本発明の一実施例による細胞分離装置10の上下板部間隔調節手段が、下板部121の上下位置を調節するために、前記下板部支え台123の下部に形成されたボルト状の連結部と螺合するナット状の連結部を有する前記下板部支え台移動ダイアル124を回転させ、前記下板部支え台123を上下に移動させることを、本発明の他の実施例による細胞分離装置20では、前記下板部支え台移動バー224の側面に形成されたギア直線部とギアに結合されるギア周縁部を有するバー移動ダイアル227を回転させ、前記下板部支え台223の下部に形成された転がり回転部と接触する前記下板部支え台移動バー224の上部に形成された3段部分の高さが変化するように左右に移動しながら、前記下板部支え台223を上下に移動させることに差がある。
【0102】
本発明の他の実施例による細胞分離装置20における前記3段部分は、本発明の一実施例による細胞分離装置10の前記下板部支え台移動ダイアル124の周縁に表示された「1」、「2」及び「3」のような意味で用いられる。
【0103】
前記下板部支え台223は、本発明の一実施例による細胞分離装置10の前記下板部支え台123の下部にボルト状の連結部が形成されこととは異なり、下部に軸を中心に回転する転がり回転部を突設する。
【0104】
前記下板部支え台移動バー224は、本発明の他の実施例では、上部に前記「1」乃至「3」に該当する前記下板部支え台223の上下移動を具現するために、左側から右側に高さが低くなるように3段部分を形成させるが、必要に応じて段を変形することができ、各段間を傾斜して連結する。
【0105】
前記下板部支え台223の下部に突設された転がり回転部は、前記下板部支え台移動バー224の上部に形成された3段部分と接触状態を維持する。
【0106】
これにより、前記下板部支え台移動バー224を左右に移動させると、前記3段部分の高さが変化しながら、接触状態を保持する転がり回転部を有する下板部支え台223が上下に移動するようになる。
【0107】
前記3段部分には、前記下板部支え台223の移動を一時的に制限する下板部支え台移動一時制限溝225が、各段毎に形成される。
【0108】
前記下板部支え台移動一時制限溝225は、一定以上の力が加えられるまで、一時的に固定され、前記「1」、「2」及び「3」を感覚的に分けて、使用者に層の形成と形成された層の幅を調節及び解体操作の便利さを提供する。
【0109】
また、前記下板部支え台移動バー224の上部には、前記「1」に該当する前記下板部支え台移動一時制限溝225から延長され、複数の溝が設けられた下板部支え台振動発生部226が設けられる。
【0110】
前記下板部支え台振動発生部226で発生する振動は、前記下板部支え台223を介して前記下板部221に伝達され、特定細胞以外の残りの細胞混合液層の均質化過程を行う。
【0111】
前記バー移動ダイアル227は、前記下部ハウジング228の前面側において、外部に周縁の一部を露出させた状態で、露出した部分を左右に回転させると、前記下板部支え台移動バー224が左右に移動して設置される。
【0112】
ここで、前記バー移動ダイアル227の側面に沿って形成されたギア周縁部と、下板部支え台移動バー224の側面に形成されたギア直線部が噛合されるようにし、前記バー移動ダイアル227を回転させ、前記下板部支え台223の下部に形成された転がり回転部と接触する前記下板部支え台移動バー224の上部に形成された3段部分の高さが変化しながら、前記下板部支え台223を上下に移動させる。
【0113】
以下、このような構成を有する本発明の他の実施例による細胞分離装置20を用いて細胞を分離する過程について説明する。
【0114】
先ず、本発明の他の実施例による細胞分離装置20の下体22に細胞混合液を注入収容した後、上体21を覆って一体に結合させる。ここで、図20に示すように、前記下体22の前記バー移動ダイアル227を、前記「1」を外部に露出して位置させると、前記下板部支え台移動バー224の左側に形成された前記「1」に該当する下板部支え台移動一時制限溝225−1に、前記下板部支え台223の転がり回転部が一時的に固定された状態に位置するようになる。
【0115】
この場合、前記上板部211の細胞混合液吸着部212と下板部221の細胞混合液収容部222との間で、特定細胞とその以外の残りの細胞が均一に分布された細胞混合液層が押圧された状態で形成される。
【0116】
次に、前記「1」を外部に露出して位置させた前記バー移動ダイアル227を、前記「2」が外部に露出するように右側に回転させると、図21に示すように、前記下板部支え台移動バー224が左側に移動しながら、前記下板部支え台223が下部へ移動し、上下板部の間隔が広くなり、細胞分離に適合した幅を有する細胞混合液層を形成する。
【0117】
この場合、前記下板部支え台223の転がり回転部は、前記「2」に該当する下板部支え台移動一時制限溝225−2に一時的に固定された状態を維持する。
【0118】
以降、前記適合した幅を維持する細胞混合液層の上板部211の上面で、磁石213を通じて磁力を印加しながら、7〜15分間その状態を維持すると、細胞混合液層の上板部211側に特定細胞が移動されながら、同時に重力により特定細胞以外の残りの細胞も、細胞混合液層の下板部221側に移動される。
【0119】
最後に、前記「2」を外部に露出して位置させた前記バー移動ダイアル227を、前記「3」が外部に露出するように右側に回転させると、図22に示すように、前記下板部支え台移動バー224が左側に移動しながら、前記下板部223が下部に完全に移動し、上下板部の間隔が広くなり、細胞混合液層を解体させ、上板部211には特定細胞が、前記下板部221には特定細胞以外の残りの細胞がそれぞれ分離位置するようになる。
【0120】
この場合、前記下板部支え台223の転がり回転部は、前記「3」に該当する下板部支え台移動制限溝225−3に一時的に固定された状態を維持する。
【0121】
すると、図9におけると同様に、前記上体21の上板部211と、前記下体22の下板部221には、それぞれ特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞に分離され、以降、必要とする細胞を収去して用いるようになる。
【0122】
本発明の他の実施例による細胞分離装置20は、細胞混合液層の形成、形成された層の幅を調節、及び解体段階を、一時的に固定された状態を感覚的に分けるようにし、使用者が直接感じながら、簡便かつ正確に細胞分離過程を行うようになる。
【0123】
ところが、前記下板部221に吸着される細胞は、全て特定細胞以外の残りの細胞でなければならないが、実際は、特定細胞以外の残りの細胞が、重力により下板部221側に落ちるとき、一緒に凝り固まっていた特定細胞が、一部含まれるようになる。
【0124】
ここで、収去しようとする細胞には、一般に、磁性ビーズが付着した特定細胞が多く該当するが、臨床に用いるとき、特定細胞を指定して分離した後、磁性ビーズが全く付着していない特定細胞以外の残りの細胞を用いる場合もある。
【0125】
これにより、前記上板部211に吸着されている必要としない特定細胞以外の残りの細胞を分離しなければならない。
【0126】
先ず、特定細胞以外の残りの細胞と凝り固まっている特定細胞の分離を最適化する環境を作るために、図23に示すように、前記分離された上板部211の特定細胞を全て除去し、または新たな上板部211に交替する。
【0127】
また、上板部211に移動した特定細胞を補充する程度の量で、細胞が含まれていない緩衝液を注入収容した下板部221を備えた下体22に、空いている上板部211を備えた上体21を覆って一体に結合させる。
【0128】
この場合、図24に示すように、前記バー移動ダイアル227を、前記「3」を外部に露出して位置させた状態であるので、前記上板部211には空いており、前記下板部221にのみ特定細胞以外の残りの細胞水溶液が収容されるが、層を形成してはいない。
【0129】
次に、図25及び図26に示すように、前記「3」を外部に露出して位置させた前記バー移動ダイアル227を、前記「2」と「1」が順に外部に露出するように左側に回転させると、前記下板部支え台移動バー224が右側に移動しながら、前記下板部支え台223の転がり回転部と接触する上部の3段部分が高くなり、前記下板部支え台223を押し上げるようになる。
【0130】
この場合、前記下板部221が上部に移動しながら、上下板部の間隔が狭くなり、前記上板部211と下板部221に収容された特定細胞以外の残りの細胞混合液がぶつかりながら、細胞分離に適合した残りの細胞混合液層を形成させ、次いで、形成された層は上下に押圧された状態となる。
【0131】
次に、図26に示すように、前記「1」を外部に露出して位置させた前記バー移動ダイアル227をさらに左側に移動(図26において点線で示す)させると、前記下板部支え台223の転がり回転部と、前記下板部支え台振動発生部226が接触しながら、右側に移動するとき発生する振動が、前記下板部支え台223から下板部221に伝達される。
【0132】
ここで、前記バー移動ダイアル227を、反対に右側に移動させ、前記「1」に該当する下板部支え台移動制限溝225−1まで移動させる場合も、前記下板部支え台223の転がり回転部と、前記下板部支え台振動発生部226が接触しながら、左側に移動するときに発生する振動が、前記下板部支え台223から下板部221に伝達される。
【0133】
前記下板部221に伝達される振動が特定細胞以外の残りの混合液層に加えられながら進行する均質化過程は、前記上板部211と下板部221との間に形成された特定細胞以外の残りの細胞混合液層を保持しながら、複数回、例えば、10回未満繰り返す。
【0134】
すると、特定細胞以外の残りの細胞混合液層を保持した状態で、最大限振動が加えられ、前記重力により下板部221に落ちる特定細胞以外の残りの細胞と凝り固まったまま、下板部221に付いてあった特定細胞が落ちながら、前記磁石213から印加される磁力により上板部211側に移動するようになる。
【0135】
前記均質化過程を終えた後、図27に示すように、前記「2」を外部に露出して位置させ、「2」に該当する下板部支え台移動一時制限溝225−2に一時的に固定された状態で、7〜15分間そのまま放置すると、前記均質化した特定細胞以外の残りの細胞混合液層の上板部211側から磁石213を通じて印加される磁力により、特定細胞混合液層の上板部211側に特定細胞を移動させながら、同時に重力により、特定細胞以外の細胞を特定細胞混合液層の下板部121(→221)側に移動させる。
【0136】
この状態で、最後に、前記「2」を外部に露出して位置させた前記バー移動ダイアル227を、前記「3」が外部に露出するように右側に回転させると、図28に示すように、前記下板部支え台移動バー224が左側に移動しながら、前記下板部223が下部に完全に移動し、上下板部の間隔が広くなり、細胞混合液層を解体させ、上板部211には特定細胞が、前記下板部221には特定細胞以外の残りの細胞がそれぞれ分離位置するようになる。
【0137】
この場合、前記下板部支え台223の転がり回転部は、前記「3」に該当する下板部支え台移動一時制限溝225−3に一時的に固定された状態を維持する。
【0138】
これにより、前記分離された特定細胞以外の残りの細胞に含まれていた必要としない特定細胞をさらに分離し、上板部211から除去することにより、必要とする特定細胞以外の残りの細胞の純度を顕著に高めることができる。
【0139】
本発明の他の実施例による細胞分離装置30は、上述した本発明の一実施例による細胞分離装置と同一であり、ただ、細胞混合液が収容された下体の上に磁力が印加される上体を覆って一体に結合させた状態で、下板部を移動させ、上板部と下板部の間隔を調節しながら細胞を分離するのに対して、一つのハウジングの内部に上板部と下板部を設置した状態で、上板部を移動させ、上板部と下板部の間隔を調節しながら細胞を分離することに差があるところ、これを中心に説明する。
【0140】
本発明のまた他の実施例による細胞分離装置30は、前面の一部が開放されたハウジング31の内部に上板部支え台34と下板部支え台36が前後方側に移動可能に設置される。ここで、前記下板部支え台36は、前記ハウジング31の下部に固定設置され、前記上板部支え台34は、前記下板部支え台36と一定の距離を置いて上部に位置しながら、前記ハウジング31の内部において上下に移動可能に設置される。
【0141】
前記上板部支え台34と下板部支え台36には、上板部33と下板部35を収容する溝が形成されており、前記溝には、前記上板部33の細胞混合液吸着部と下板部35の細胞混合液収容部が対向しながら位置するように、上板部33と下板部35が設置される。
【0142】
また、前記上板部支え台34の上部には、上板部33の上面と対向して磁石32が設置される。
【0143】
また、前記上板部支え台34は、前記ハウジング31の外部の一側に設けられた上板部支え台移動ダイアル37と噛合され(図示せず)、上板部支え台移動ダイアル37の回転により上下に移動される。
【0144】
ここで、前記上板部支え台34が上下に移動する場合は、前記磁石32と上板部33も一体に移動される。
【0145】
また、前記上板部支え台移動ダイアル37の回転により、上下に移動する上板部支え台34の上下移動を制限する上板部支え台移動制限ストッパー38が前記ハウジング31の外部の一側に設けられる。
【0146】
前記上板部支え台移動制限ストッパー38は、細胞混合液層が保持されるように押し込む操作により、前記ハウジング31の内部に突出して形成された突出部が、前記上板部支え台34の上部側への移動を制限される。
【0147】
以下、このような構成を有する本発明のまた他の実施例による細胞分離装置30を用いて細胞を分離する過程について説明する。
【0148】
先ず、前記下板部支え台36をフロントローデイング方式で、使用者が立っている前方側に取り出し、細胞混合液収容部を上部に向けて、下板部35を溝に安着させた状態で、下板部35に細胞混合液を注入収容し、さらに後方側に入れる。
【0149】
次に、前記上板部支え台34をフロントローデイング方式で、使用者が立っている前方側に取り出し、細胞混合液吸着部を下部に向けて、上板部33を溝に安着させ、さらに後方側に入れる。前記過程は、逆順で行われても構わない。
【0150】
次に、前記上板部支え台移動ダイアル37の回転により、前記磁石32、上板部33、及び上板部支え台34が上下に移動しながら、上板部33を下板部35に近付いて移動させ、細胞混合液層を形成させ、形成された細胞混合液層の上板部33側から、磁石32を用いて、特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞を、それぞれ上板部33と下板部35側に移動させた状態で、さらに上板部33を下板部35から遠ざかって移動させて分離する。
【0151】
ここで、前記上板部支え台34と下板部支え台36が当接しながら、上板部33と下板部35との間に、細胞混合液層を押圧状態で形成させることができる。
【0152】
最後に、前記上板部支え台34を前方側に取り出し、前記上板部33に吸着されている特定細胞を収去し、または、前記下板部支え台36を前方側に取り出し、前記下板部35に残っている特定細胞以外の残りの細胞を収去するようになる。
【0153】
また、本発明の実施例による細胞分離装置10、20で行われた均質化過程も、前記上板部支え台移動制限ストッパー38を操作して具現することができる。
【0154】
以下、これらの実施例による細胞混合液から細胞を分離する過程を実験した内容について説明する。
【0155】
先ず、骨髄細胞をフラッシングして得られた細胞混合液を磁性ビーズで標識して用意する。それぞれの抗体に対する細胞混合液から特定細胞を分離するために用いられた細胞混合液の濃度は、107個/μlであり、温度に対する影響を排除させるために、細胞分離過程を4℃の低温室で行う。
【0156】
ここで、本発明の実施例による細胞分離装置10、20の場合は、上体と下体が一体に結合されて内部に密閉した空間を形成させ、細胞混合液を細胞混合液収容部に収容させた後、追加の操作や低温室がなくても約4℃の温度に維持される冷蔵庫等で7〜15分間放置した状態で、下板部移動ダイアルを「3」に位置させることにより、分離過程が完了され、極めて便利である。
【0157】
分離された特定細胞をポジティブとし、特定細胞以外の残りの細胞をネガティブと定義したとき、様々な抗体を用いて得たポジティブの分離効率の結果は、以下の通りである。
【0158】
【表1】
【0159】
また、分離された特定細胞以外に残りの細胞、すなわち、ネガティブを収集した後、分離エラー率(ポジティブがうまく分離されなかったまま、ネガティブに残っている比率)を確認した結果は、以下の通りである。
【0160】
【表2】
【0161】
以下、上述した本発明の実施例による細胞混合液層に磁力を印加して分離させた細胞の純度を向上させる過程に対する具体的な実験内容について説明する。
【0162】
この方法で説明する実験例は、ポジティブが下板部の水溶液であるネガティブ水溶液にある程度含まれているかを調べることにより分離エラーを確認可能に、分離後にネガティブ水溶液を収去して細胞の状態を測定したものである。
【0163】
基本的に実験例で用いられた細胞は、Ter119の抗体に反応する細胞であり、前記磁石から印加される磁力は0.5Tであり、露出時間は9分とする。
【0164】
【表3】
【0165】
表3から分かるように、分離しようとする細胞混合液中に特定細胞(ポジティブ)が13.30%(ここで、Control.002は対照群を意味し、分離のために用いる細胞混合液の状態を、実験前に測定することにより、細胞の状態と分離効率を比較するのに用いる)存在したときの分離結果は、以下の通りである。
【0166】
【表4】
【0167】
表4から分かるように、MB−P.022は、分離後のポジティブの状態を測定したものであり、93.77%の分離効率を示した。同時に、ネガティブには、10.10%のポジティブが含まれていることをMB1−N.023から分かる。
【0168】
ここで、10.10%のポジティブを含んでいるネガティブ水溶液中で、ポジティブを除去し、相対的にネガティブの純度を高める過程を行ったところ、ポジティブ(MB−P.022)を分離した後、同時に生じるネガティブ(MB1−N.0.23)中のポジティブをエラーとみなして調査された比率が、最初比率(10.10%)よりも2.09%低い8.01%であることが確認された。
【0169】
これにより、ネガティブ水溶液中にエラーで含まれていたポジティブは、約20.7%の減少と同時に、ネガティブは、相対的に約2.3%の純度が高くなることを確認した。
【0170】
また、ポジティブの場合も、Sca1に反応する細胞を対象として、同一の条件(0.5Tの磁力に9分間露出)で実験した。
【0171】
【表5】
【0172】
表5から分かるように、2.09%のポジティブを有している細胞を対象として分離したとき、ポジティブの場合6.30%、ネガティブの場合2.51%と確認された。
【0173】
ここで、特定細胞の比率が2.09%と小さいので、ポジティブを対象として純度向上過程をさらに行い、その比率は、13.55%として、最初比率に比べて約115%増加することを確認した。
【0174】
本発明は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載される発明の範囲内で、様々な変形が可能であり、このような変形も、この発明の範囲内に含まれる。
【0175】
本発明の実施例による細胞分離装置では、使用者の直接的な操作により、上板部または下板部を移動させ、細胞混合液層の形成と、形成された層の幅を調節、及び解体させるようにしているが、使用者の直接的な操作の代わりに、モーターのような駆動手段と、これをプログラムにより制御するマイクロプロセッサを用いて、予め設定された内容としての自動操作も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明の細胞分離装置及び方法によれば、上板部と、細胞混合液を収容する下板部とからなる細胞分離チップの上下間隔を調節し、細胞混合液層に形成、及び形成された細胞混合液層の幅調節と解体する過程を通じて、必要とする細胞を分離し、必要とする細胞を分離した状態で、均質化過程により、必要としない細胞をさらに除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明の一実施例による磁性ビーズが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液層に磁力を印加して細胞を分離する装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例による細胞分離装置において、上板部と下板部が装着されていない状態を示す図である。
【図3】本発明の一実施例による細胞分離装置において、下板部に細胞混合液が収容された状態を示す図である。
【図4】図3における下板部に収容された細胞混合液を細胞混合液層に形成させ、細胞を分離するために、上体で下体を覆って結合させた状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施例による細胞分離装置において、細胞分離するときの作動関係、及びその際の細胞混合液の状態を示す図である。
【図6】本発明の一実施例による細胞分離装置において、細胞分離するときの作動関係、及びその際の細胞混合液の状態を示す図である。
【図7】本発明の一実施例による細胞分離装置において、細胞分離するときの作動関係、及びその際の細胞混合液の状態を示す図である。
【図8】本発明の一実施例による細胞分離装置において、細胞分離するときの作動関係、及びその際の細胞混合液の状態を示す図である。
【図9】図8の過程以降に上体と下体を分離させたとき、上板部と下板部の状態を示す図である。
【図10】図9の上板部に残っている特定細胞の純度を高めるために、下板部の特定細胞以外の残りの細胞を除去した後、新たな水溶液で収容した状態を示す図である。
【図11】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図12】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図13】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図14】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図15】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図16】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図17】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図18】図10において、上体と下体が結合され、特定細胞水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図19】本発明の他の実施例による磁性ビーズが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液層に磁力を印加して細胞を分離する装置の分解斜視図である。
【図20】本発明の他の実施例による細胞分離装置を用いて細胞を分離する過程を示す図である。
【図21】本発明の他の実施例による細胞分離装置を用いて細胞を分離する過程を示す図である。
【図22】本発明の他の実施例による細胞分離装置を用いて細胞を分離する過程を示す図である。
【図23】図22の過程以降、下板部に残っている特定細胞以外の残りの細胞の純度を高めるために、上板部の特定細胞を除去し、下板部に新たな水溶液を適量収容した状態を示す図である。
【図24】図23における上体と下体が結合され、特定細胞以外の残りの水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図25】図23における上体と下体が結合され、特定細胞以外の残りの水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図26】図23における上体と下体が結合され、特定細胞以外の残りの水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図27】図23における上体と下体が結合され、特定細胞以外の残りの水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図28】図23における上体と下体が結合され、特定細胞以外の残りの水溶液を均質化させた後、細胞を分離する過程を示す図である。
【図29】本発明のまた他の実施例による磁性ビーズが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液層に磁力を印加し、細胞を分離する装置を示す図である。
【図30】本発明のまた他の実施例による磁性ビーズが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液層に磁力を印加し、細胞を分離する装置を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性キャリアが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液が、上方に膨らんだ形態に収容される細胞混合液収容部が上面に設けられる下板部と、
前記下板部の上部に対向して位置し、前記細胞混合液収容部に収容された細胞混合液を下面に吸着させる上板部と、
前記上板部の上面に位置する磁力印加手段と、
前記上板部または下板部に結合され、前記上板部と下板部の間隔が狭くまたは広くなるように調節する上下板部間隔調節手段とを備え、
前記細胞混合液収容部に収容された細胞混合液が、前記上板部の下面に吸着されて細胞混合液層に形成されるように、前記上下板部間隔調節手段で上板部と下板部の間隔を狭く調節し、
前記形成された細胞混合液層に前記磁力印加手段により印加される磁力により、上板部側に移動された特定細胞と、重力により下板部側に移動された特定細胞以外の残りの細胞を、細胞混合液層が解体され、それぞれ上板部の下面と下板部の細胞混合液水溶液に分離位置されるように、前記上下板部間隔調節手段で、上板部と下板部の間隔を広く調節することを特徴とする細胞分離装置。
【請求項2】
前記上板部は、
下面に前記細胞混合液が吸着される細胞混合液吸着部を形成し、
前記細胞混合液吸着部に対応して下板部の細胞混合液収容部を位置させることとを特徴とする請求項1に記載の細胞分離装置。
【請求項3】
下方に開放された上部ハウジングと上方に開放された下部ハウジングをそれぞれ設け、
前記上部ハウジングの内部には、前記磁力印加手段、及び前記磁力印加手段が上面に位置するように上板部が設けられ、
前記下部ハウジングの内部には、前記下板部、及び前記下板部と結合するように前記上下板部間隔調節手段が設けられ、
前記上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部が対向して位置するように、前記ハウジングの下側と下部ハウジングの上側を結合させた状態で、前記上下板部間隔調節手段で下板部を上下に強制移動させ、上板部と下板部との間隔を調節することを特徴とする請求項1に記載の細胞分離装置。
【請求項4】
前記上下板部間隔調節手段は、
上部に前記下板部を収容する溝と、下部にボルト状の連結部を形成する下板部支え台と、
前記下板部支え台のボルト状の連結部と螺合するナット状の連結部を有する下板部支え台移動ダイアルとを備え、
前記下板部支え台移動ダイアルの回転により、下板部支え台を上下に移動させることを特徴とする請求項2に記載の細胞分離装置。
【請求項5】
前記上下板部間隔調節手段は、
前記細胞混合液層が保持されるように、前記下板部支え台移動ダイアルの回転を制限するダイアル回転制限ストッパーをさらに有することを特徴とする請求項4に記載の細胞分離装置。
【請求項6】
前記ダイアル回転制限ストッパーは、
前記下板部支え台移動ダイアルの下部と、前記下板部支え台移動ダイアルの回転を制限すべき位置で、前記下板部支え台移動ダイアルの下部と当接させるように、前記下部ハウジングの該当部分に設けられることを特徴とする請求項5に記載の細胞分離装置。
【請求項7】
前記上下板部間隔調節手段は、
上部に前記下板部を収容する溝と、下部に軸を中心にして転がり回転する転がり回転部を突設する下板部支え台と、
前記下板部支え台の転がり回転部と、上部に形成された一方から他方に行くほど高さが低くなる多段部分が接触しながら、前記下板部支え台を上下に移動させる下板部支え台移動バーと、
前記下板部支え台移動バーの側面に形成されたギア直線部と側面に沿って形成されたギア周縁部が噛合されるバー移動ダイアルとを備え、
前記バー移動ダイアルを回転させ、前記下板部支え台の転がり回転部と接触する前記下板部支え台移動バーの多段部分の高さが変化しながら、前記下板部支え台を上下に移動させることを特徴とする請求項3に記載の細胞分離装置。
【請求項8】
前記多段部分には、前記下板部支え台の移動を一時的に制限する下板部支え台移動一時制限溝がさらに形成されることを特徴とする請求項7に記載の細胞分離装置。
【請求項9】
前記下板部支え台移動バーは、前記多段部分のうち、最高段を延長させ、ここに、複数の溝を形成させた下板部支え台振動発生部がさらに設けられることを特徴とする請求項8に記載の細胞分離装置。
【請求項10】
ハウジングを備え、
前記ハウジングの内部に、前記上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部が対向して位置するように上板部と下板部が設けられ、
前記磁力印加手段が、前記上板部の上面に位置するように設けられ、
前記上下板部間隔調節手段が、前記上板部と結合するように設けられ、
前記上下板部間隔調節手段で上板部を上下に移動させ、上板部と下板部の間隔を調節することを特徴とする請求項1に記載の細胞分離装置。
【請求項11】
前記上下板部間隔調節手段は、
前記細胞混合液層が保持されるように、前記上板部支え台の上部側に移動を制限する上板部支え台移動制限ストッパーをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の細胞分離装置。
【請求項12】
(a)下板部の細胞混合液収容部に上方に膨らんだ形態に収容された磁性キャリアが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液を、前記下板部の細胞混合液収容部に対向して位置する上板部の下面で吸着するように、前記上板部と下板部の間隔が狭くなるように調節し、細胞混合液層に形成させるステップと、
(b)前記ステップ(a)で形成された細胞混合液層の上板部側から磁力を印加し、細胞混合液層の上板部側に特定細胞を移動させながら、重力により特定細胞以外の残りの細胞も、細胞混合液層の下板部側に移動させるステップと、
(c)前記ステップ(b)で細胞混合液層の上板部側に移動された特定細胞と、下板部側に移動された特定細胞以外の残りの細胞が、前記上板部と下板部の間隔を広くし、前記細胞混合液層が解体されながら、上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部にそれぞれ分離位置させるステップとを含むことを特徴とする細胞分離方法。
【請求項13】
前記細胞混合液層に形成させるステップ(a)以降、前記上板部と下板部の間隔を調節し、前記細胞混合液層の幅を、必要とする細胞の分離を最適化する状態に維持させるステップをさらに行うことを特徴とする請求項12に記載の細胞分離方法。
【請求項14】
(d1)前記ステップ(c)で分離され、下板部に位置する特定細胞以外の残りの細胞を全て除去または新たな下板部に交替し、前記下板部にいずれの細胞も入っていない緩衝液のみを注入収容した後、上板部と下板部の間隔を狭くし、特定細胞混合液層を形成させるステップと、
(e1)前記ステップ(d1)で形成された特定細胞混合液層を保持しながら、前記上板部と下板部の間隔を複数回繰り返し変化させて、特定細胞混合層を均質化させるステップと、
(f1)前記ステップ(e1)で均質化した特定細胞混合液層の上板部側から印加される磁力により特定細胞混合液層の上板部側に特定細胞を移動させながら、重力により特定細胞以外の残りの細胞を特定細胞混合液層の下板部側に移動させるステップと、
(g1)前記ステップ(f1)で特定細胞混合液層の上板部側と下板部側に移動された特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞が、前記上板部と下板部の間隔を広くし、前記混合収容液層が解体されながら、上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部にそれぞれ分離位置させるステップとをさらに行うことを特徴とする請求項12に記載の細胞分離方法。
【請求項15】
(d2)前記ステップ(c)で分離され、上板部に位置する特定細胞を全て除去または新たな上板部に交替し、前記下板部にいずれも細胞も入っていない緩衝液をさらに注入収容した後、上板部と下板部の間隔を狭くし、特定細胞以外の残りの細胞混合液層を形成させるステップと、
(e2)前記ステップ(d2)で形成された残りの細胞混合液層を保持しながら、前記上板部と下板部の間隔を複数回繰り返し変化させ、残りの細胞混合液層を均質化させるステップと、
(f2)前記ステップ(e2)で均質化した残りの細胞混合液層の前記上板部側から印加される磁力により、残りの細胞混合液層の上板部側に特定細胞を移動させながら、重力により特定細胞以外の残りの細胞を、残りの細胞混合液層の下板部側に移動させるステップと、
(g2)前記ステップ(f2)で残りの細胞混合液層の上板部側と下板部側に移動された特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞が、前記上板部と下板部の間隔を広くし、前記残りの細胞混合液層が解体されながら、上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部にそれぞれ分離位置させるステップとをさらに行うことを特徴とする請求項12に記載の細胞分離方法。
【請求項1】
磁性キャリアが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液が、上方に膨らんだ形態に収容される細胞混合液収容部が上面に設けられる下板部と、
前記下板部の上部に対向して位置し、前記細胞混合液収容部に収容された細胞混合液を下面に吸着させる上板部と、
前記上板部の上面に位置する磁力印加手段と、
前記上板部または下板部に結合され、前記上板部と下板部の間隔が狭くまたは広くなるように調節する上下板部間隔調節手段とを備え、
前記細胞混合液収容部に収容された細胞混合液が、前記上板部の下面に吸着されて細胞混合液層に形成されるように、前記上下板部間隔調節手段で上板部と下板部の間隔を狭く調節し、
前記形成された細胞混合液層に前記磁力印加手段により印加される磁力により、上板部側に移動された特定細胞と、重力により下板部側に移動された特定細胞以外の残りの細胞を、細胞混合液層が解体され、それぞれ上板部の下面と下板部の細胞混合液水溶液に分離位置されるように、前記上下板部間隔調節手段で、上板部と下板部の間隔を広く調節することを特徴とする細胞分離装置。
【請求項2】
前記上板部は、
下面に前記細胞混合液が吸着される細胞混合液吸着部を形成し、
前記細胞混合液吸着部に対応して下板部の細胞混合液収容部を位置させることとを特徴とする請求項1に記載の細胞分離装置。
【請求項3】
下方に開放された上部ハウジングと上方に開放された下部ハウジングをそれぞれ設け、
前記上部ハウジングの内部には、前記磁力印加手段、及び前記磁力印加手段が上面に位置するように上板部が設けられ、
前記下部ハウジングの内部には、前記下板部、及び前記下板部と結合するように前記上下板部間隔調節手段が設けられ、
前記上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部が対向して位置するように、前記ハウジングの下側と下部ハウジングの上側を結合させた状態で、前記上下板部間隔調節手段で下板部を上下に強制移動させ、上板部と下板部との間隔を調節することを特徴とする請求項1に記載の細胞分離装置。
【請求項4】
前記上下板部間隔調節手段は、
上部に前記下板部を収容する溝と、下部にボルト状の連結部を形成する下板部支え台と、
前記下板部支え台のボルト状の連結部と螺合するナット状の連結部を有する下板部支え台移動ダイアルとを備え、
前記下板部支え台移動ダイアルの回転により、下板部支え台を上下に移動させることを特徴とする請求項2に記載の細胞分離装置。
【請求項5】
前記上下板部間隔調節手段は、
前記細胞混合液層が保持されるように、前記下板部支え台移動ダイアルの回転を制限するダイアル回転制限ストッパーをさらに有することを特徴とする請求項4に記載の細胞分離装置。
【請求項6】
前記ダイアル回転制限ストッパーは、
前記下板部支え台移動ダイアルの下部と、前記下板部支え台移動ダイアルの回転を制限すべき位置で、前記下板部支え台移動ダイアルの下部と当接させるように、前記下部ハウジングの該当部分に設けられることを特徴とする請求項5に記載の細胞分離装置。
【請求項7】
前記上下板部間隔調節手段は、
上部に前記下板部を収容する溝と、下部に軸を中心にして転がり回転する転がり回転部を突設する下板部支え台と、
前記下板部支え台の転がり回転部と、上部に形成された一方から他方に行くほど高さが低くなる多段部分が接触しながら、前記下板部支え台を上下に移動させる下板部支え台移動バーと、
前記下板部支え台移動バーの側面に形成されたギア直線部と側面に沿って形成されたギア周縁部が噛合されるバー移動ダイアルとを備え、
前記バー移動ダイアルを回転させ、前記下板部支え台の転がり回転部と接触する前記下板部支え台移動バーの多段部分の高さが変化しながら、前記下板部支え台を上下に移動させることを特徴とする請求項3に記載の細胞分離装置。
【請求項8】
前記多段部分には、前記下板部支え台の移動を一時的に制限する下板部支え台移動一時制限溝がさらに形成されることを特徴とする請求項7に記載の細胞分離装置。
【請求項9】
前記下板部支え台移動バーは、前記多段部分のうち、最高段を延長させ、ここに、複数の溝を形成させた下板部支え台振動発生部がさらに設けられることを特徴とする請求項8に記載の細胞分離装置。
【請求項10】
ハウジングを備え、
前記ハウジングの内部に、前記上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部が対向して位置するように上板部と下板部が設けられ、
前記磁力印加手段が、前記上板部の上面に位置するように設けられ、
前記上下板部間隔調節手段が、前記上板部と結合するように設けられ、
前記上下板部間隔調節手段で上板部を上下に移動させ、上板部と下板部の間隔を調節することを特徴とする請求項1に記載の細胞分離装置。
【請求項11】
前記上下板部間隔調節手段は、
前記細胞混合液層が保持されるように、前記上板部支え台の上部側に移動を制限する上板部支え台移動制限ストッパーをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の細胞分離装置。
【請求項12】
(a)下板部の細胞混合液収容部に上方に膨らんだ形態に収容された磁性キャリアが付着した特定細胞が混合されている細胞混合液を、前記下板部の細胞混合液収容部に対向して位置する上板部の下面で吸着するように、前記上板部と下板部の間隔が狭くなるように調節し、細胞混合液層に形成させるステップと、
(b)前記ステップ(a)で形成された細胞混合液層の上板部側から磁力を印加し、細胞混合液層の上板部側に特定細胞を移動させながら、重力により特定細胞以外の残りの細胞も、細胞混合液層の下板部側に移動させるステップと、
(c)前記ステップ(b)で細胞混合液層の上板部側に移動された特定細胞と、下板部側に移動された特定細胞以外の残りの細胞が、前記上板部と下板部の間隔を広くし、前記細胞混合液層が解体されながら、上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部にそれぞれ分離位置させるステップとを含むことを特徴とする細胞分離方法。
【請求項13】
前記細胞混合液層に形成させるステップ(a)以降、前記上板部と下板部の間隔を調節し、前記細胞混合液層の幅を、必要とする細胞の分離を最適化する状態に維持させるステップをさらに行うことを特徴とする請求項12に記載の細胞分離方法。
【請求項14】
(d1)前記ステップ(c)で分離され、下板部に位置する特定細胞以外の残りの細胞を全て除去または新たな下板部に交替し、前記下板部にいずれの細胞も入っていない緩衝液のみを注入収容した後、上板部と下板部の間隔を狭くし、特定細胞混合液層を形成させるステップと、
(e1)前記ステップ(d1)で形成された特定細胞混合液層を保持しながら、前記上板部と下板部の間隔を複数回繰り返し変化させて、特定細胞混合層を均質化させるステップと、
(f1)前記ステップ(e1)で均質化した特定細胞混合液層の上板部側から印加される磁力により特定細胞混合液層の上板部側に特定細胞を移動させながら、重力により特定細胞以外の残りの細胞を特定細胞混合液層の下板部側に移動させるステップと、
(g1)前記ステップ(f1)で特定細胞混合液層の上板部側と下板部側に移動された特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞が、前記上板部と下板部の間隔を広くし、前記混合収容液層が解体されながら、上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部にそれぞれ分離位置させるステップとをさらに行うことを特徴とする請求項12に記載の細胞分離方法。
【請求項15】
(d2)前記ステップ(c)で分離され、上板部に位置する特定細胞を全て除去または新たな上板部に交替し、前記下板部にいずれも細胞も入っていない緩衝液をさらに注入収容した後、上板部と下板部の間隔を狭くし、特定細胞以外の残りの細胞混合液層を形成させるステップと、
(e2)前記ステップ(d2)で形成された残りの細胞混合液層を保持しながら、前記上板部と下板部の間隔を複数回繰り返し変化させ、残りの細胞混合液層を均質化させるステップと、
(f2)前記ステップ(e2)で均質化した残りの細胞混合液層の前記上板部側から印加される磁力により、残りの細胞混合液層の上板部側に特定細胞を移動させながら、重力により特定細胞以外の残りの細胞を、残りの細胞混合液層の下板部側に移動させるステップと、
(g2)前記ステップ(f2)で残りの細胞混合液層の上板部側と下板部側に移動された特定細胞と特定細胞以外の残りの細胞が、前記上板部と下板部の間隔を広くし、前記残りの細胞混合液層が解体されながら、上板部の下面と下板部の細胞混合液収容部にそれぞれ分離位置させるステップとをさらに行うことを特徴とする請求項12に記載の細胞分離方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公表番号】特表2008−543326(P2008−543326A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518015(P2008−518015)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際出願番号】PCT/KR2006/001077
【国際公開番号】WO2006/091060
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(507417695)
【出願人】(507416724)
【出願人】(507416735)セルバイオ シーオー., エルティーディー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際出願番号】PCT/KR2006/001077
【国際公開番号】WO2006/091060
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(507417695)
【出願人】(507416724)
【出願人】(507416735)セルバイオ シーオー., エルティーディー (1)
【Fターム(参考)】
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