説明

細胞培養デバイス、細胞培養システム、及び細胞培養方法

【課題】足場材を用いた培養を長期間に亘って行うことのできる細胞培養デバイス、並びにそれを用いた細胞培養システム及び細胞培養方法を提供する。
【解決手段】細胞が収容される培養室300と、前記培養室300に連通した培地導入流路400及び培地排出流路500を備えた細胞培養デバイス10において、前記培養室300と培地排出流路500の間に多孔質フィルタ600とを設ける。これにより、培養室300に固定された足場材700が使用中に剥がれた場合でも、それを多孔質フィルタ600によって捕捉することができるため、該足場材によって培地排出流路500が閉塞されるのを防ぎ、長期間の培養を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養デバイス、並びにそれを用いた細胞培養システム及び細胞培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞培養は、一般的にシャーレ等の容器に細胞及び液体状の培地を収容した状態で行われる。しかし、近年、半導体製造分野での微細加工技術の進歩に伴って医療やバイオテクノロジーの研究分野でも微細加工技術によって製造されたマイクロデバイスの応用が進められており、こうしたマイクロデバイスを用いた細胞培養が行われるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
細胞培養用のマイクロデバイス(細胞培養デバイス)は平板状基材の内部に培養室と微小流路を形成して成るものであり、該培養室に細胞及び培地を収容して細胞培養を行い、前記微小流路を利用して培地の交換を行うものとなっている。
【0004】
ところで、近年、人工臓器の開発に期待が寄せられており、その一環である人工肝臓の開発についても数多くの研究がなされている。しかし、肝細胞は長期間の培養が困難であり、更に培養初期には肝機能を発現するものの、その後肝機能が著しく低下してしまうという問題があった。これに関し、本発明者らは適当な足場材(細胞培養担体)を使用することで内皮細胞にネットワークを形成させ、これと肝実質細胞を共培養することによって高い肝機能を発現させることができる旨を報告している(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-519598号公報([0037],図1A)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】藤山陽一、田川陽一、他5名、"管化内皮細胞培養システムを用いた肝実質細胞との共培養における肝機能の解析"、第30回日本分子生物学会年会予稿集、2007年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、細胞培養においては培養する細胞の種類に応じた足場材を用いることが有効である。こうした足場材としては一般にコラーゲン等から成る高分子ゲルがよく用いられる。しかし、上記のような細胞培養デバイスの培養室内面にこのような高分子ゲルをコーティングして足場材を形成した場合、培養中に該ゲルが剥がれて微小流路に目詰まりが生じる場合がある。そのため、従来の細胞培養デバイスではこのような足場材を用いた培養を長期間行うことは困難であった。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、足場材を用いた培養を長期間に亘って行うことのできる細胞培養デバイス、並びにそれを用いた細胞培養システム及び細胞培養方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明に係る細胞培養デバイスは、
a)細胞が収容される培養室と、
b)前記培養室に連通した培地導入流路と、
c)前記培養室に連通した培地排出流路と、
d)前記培養室と培地排出流路の間に設けられた多孔質フィルタと、
を有することを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、培養室に足場材をコーティングして細胞培養を行った場合において、使用中に足場材が剥離したとしても、それが多孔質フィルタによって捕捉されるため、該足場材による培地排出流路の目詰まりを防止することができる。そのため、本発明によれば、従来の細胞培養デバイスでは困難であった足場材を用いた長期培養を行うことが可能となる。なお、前記多孔質フィルタは、剥離した足場材は通過できないが培地は容易に通過できるものとする必要がある。そのため、該多孔質フィルタとしては平均孔径が0.1〜10μmのものを用いることが望ましい。このような多孔質フィルタとしては、例えばニトロセルロース等から成るシート状の多孔質膜を好適に用いることができる。
【0011】
また、上記本発明に係る細胞培養デバイスは、
本体と、該本体の上部に着脱可能に取り付けられる蓋部とを有し、
前記培養室が前記本体に形成され、且つ該培養室が前記本体の上面に開口部を有するものであり、
前記培地排出流路が前記蓋部に形成され、且つ該培地排出流路が前記開口部と対向する前記蓋部下面の位置に開口部を有するものであって、
前記多孔質フィルタが前記本体と蓋部の間に配置されているものとすることが望ましい。
【0012】
従来の細胞培養デバイスにおいて培養室の内部を足場材でコーティングする際には、一般に、液状化させた足場材を培地導入用(又は培地排出用)の流路から培養室へ流し込む方法がとられている。しかし、この方法では使用する足場材の種類によっては流路の中で足場材が固化して流路を閉塞してしまう場合があり、使用できる足場材の種類に制約があった。これに対し、上記構成から成る本発明の細胞培養デバイスによれば、本体から蓋部を取り外すことにより培養室に足場材を直接導入することができるため、流路を詰まらせることなく、容易に培養室内に足場材をコーティングすることができる。このため、上記本発明に係る細胞培養デバイスは、種々の足場材を用いた培養に使用することが可能である。また、細胞培養デバイスを本体と蓋部とに分割し、両者の間に多孔質フィルタを介在させる構成とすることにより、該多孔質フィルタを培養室と培地排出流路の間に容易に配置することができる。
【0013】
なお、多孔質フィルタに捕捉された足場材によって培養室と培地排出流路との接続部が完全に塞がれることがないよう、多孔質フィルタと培養室との接触面積はできるだけ広くすることが好ましい。そこで、例えば前記フィルタの培養室と接する領域の面積を、該フィルタと平行な断面における培養室の最大面積の50%以上とすることが望ましい。
【0014】
また、本発明に係る細胞培養デバイスは、前記本体と蓋部との接触面の少なくとも一方が自己吸着性を有する素材から成るものとすることが望ましい。
【0015】
このような構成によれば、ネジや粘着剤などの特別な固定手段を用いることなく蓋部を本体に安定して固定することができ、且つ必要に応じて容易に蓋部を着脱することが可能となる。前記の自己吸着性を有する素材としては、例えば、シリコンゴムやPDMS(ポリジメチルシロキサン)を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
また、本発明に係る細胞培養デバイスは、前記培養室と培地排出流路の接続部に対応する位置に貫通孔を備えた自己吸着性を有するシート材と前記貫通孔を閉塞するように配置された多孔質フィルタとを有するシール部材を、前記本体と蓋部の間に挟持して成るものとすることが望ましい。
【0017】
このような構成によれば、該シール部材によって本体と蓋部を着脱自在に貼り合わせることができると共に、培養室と培地排出流路の間に多孔質フィルタを配置させることができる。なお、前記シール部材は、本体及び蓋部の両方に対して着脱自在な状態としてもよく、蓋部の下面に固定された状態としてもよい。
【0018】
また、本発明に係る細胞培養システムは、上記細胞培養デバイスと、該細胞培養デバイスの培地導入流路に培地を送液する送液機構とを有することを特徴とするものである。
【0019】
このような細胞培養システムは、上述のような肝細胞の培養に好適に使用することができる。
即ち、本発明に係る細胞培養方法は、上記本発明に係る細胞培養システムを用いた細胞培養方法であって、前記細胞培養用デバイスの培養室に足場材をコーティングし、該培養室に培地を連続送液しながら該培養室内で内皮細胞と肝実質細胞とを共培養することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
以上の通り、上記本発明に係る細胞培養デバイス、並びにそれを用いた細胞培養システム及び細胞培養方法によれば、足場材を用いた細胞培養を長期間に亘って行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例に係る細胞培養デバイスの斜視図。
【図2】図1のA−A矢視断面図。
【図3】同実施例におけるカバー部を構成する各部材の平面図であって、(a)が蓋部材、(b)が第1シート部材、(c)が第2シート部材を示している。
【図4】同実施例における本体を構成する各部材の平面図であって、(d)が第1周面部材、(e)が第2周面部材、(f)が底面部材を示している。
【図5】同実施例の細胞培養デバイスを含む細胞培養システムの概略構成図。
【図6】同実施例に係る細胞培養デバイスを用いて培養した細胞の写真。
【図7】培養細胞の肝機能評価結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明する。図1は、本実施例に係る細胞培養デバイスの斜視図であり、図2は、図1のA−A矢視断面図である。
【0023】
本実施例に係る細胞培養デバイス10は、大きく分けて本体100とカバー部200から成る。更に、カバー部200は、図3に示すような蓋部材210、第1シート部材220、及び第2シート部材230で構成されており、本体100は、図4に示すような第1周面部材110、第2周面部材120、及び底面部材130で構成されている。
【0024】
底面部材130は合成石英から成り、第1周面部材110、第2周面部材120、及び蓋部材210は、PDMS(東レダウコーニング社製、SILPOT184)から成る。第1シート部材220及び第2シート部材230はシリコンゴムから成る。
【0025】
これらの部材はいずれも幅20mm、長さ20mmの平板形状を有しており、厚さは、蓋部材210が3mm、第1シート部材220及び第2シート部材230がそれぞれ0.1mm、第1周面部材110及び第2周面部材120がそれぞれ1.5mm、底面部材130が1mmである。
【0026】
第1周面部材110、第2周面部材120、及び第2シート部材230の中央にはそれぞれ直径10mmの貫通孔111、121、231が設けられている。また、第1シート部材220の中央には直径13.2mmの貫通孔221が設けられている。更に、第1周面部材110の隅には直径1.5mmの貫通孔112が設けられており、第2シート部材230、第1シート部材220、及び蓋部材210にも前記貫通孔112と対応する位置に直径1.5mmの貫通孔232、222、211が設けられている。更に、蓋部材210には、前記貫通孔211が設けられた隅と対向する隅に直径1.5mmの貫通孔212が設けられている。
【0027】
蓋部材210及び第1周面部材110の下面側には、それぞれ深さ0.1mmの凹部213、113が形成されている。前記凹部213は、図3(a)の点線で示すように、蓋部材210の中央部に設けられた直径11mmの円形の窪み、及び該窪みと前記貫通孔212を結ぶ幅2mmの溝で構成されている。また、前記凹部113は、図4(d)に示すように、第1周面部材110の貫通孔111の周縁部に設けられた幅1mmの円周形状の溝、及び該溝と前記貫通孔112を結ぶ幅2mmの溝とで構成されている。なお、これらの凹部213、113はいずれも型取りによって形成することができる。
【0028】
上記の蓋部材210、第1シート部材220、及び第2シート部材230をこの順に貼り合わせることによりカバー部200が形成される。また、上記の第1周面部材110、第2周面部材120、及び底面部材130をこの順に貼り合わせることにより本体100が形成される。なお、各部材を接合させる際には、強固な接着性を得るために、各部材の接合面を酸素プラズマや紫外線により活性化して接合させることが望ましい。
【0029】
なお、第1シート部材220に設けられた貫通孔221には、直径13mmの円形に打ち抜かれた多孔質膜から成るフィルタ600が嵌め込まれる。本実施例では、フィルタ600として市販のニトロセルロース系多孔質膜(ミリポア社製、AAWP、ポアサイズ0.8μm)を使用した。第2シート部材230に設けられた貫通孔231及び蓋部材210に設けられた凹部213の直径は、第1シート部材220に設けられた貫通孔221の直径よりも小さいため、上記のように蓋部材210、第1シート部材220、及び第2シート部材230を貼り合わせることにより、フィルタ600の周縁部が蓋部材210と第2シート部材230によって挟まれた状態となり安定に保持される。
【0030】
以上により形成された本体100の上部にカバー部200を重ね合わせることにより本実施例に係る細胞培養デバイス10が形成される。このとき、上記の貫通孔111、121によって培養室300が形成され、貫通孔211、222、232、112及び凹部113によって培地導入流路400が形成される。また、凹部213及び貫通孔212によって培地排出流路500が形成される。第2シート部材230を構成するシリコンゴムが自己吸着性を有するため、カバー部200は本体100に対して容易に着脱することができる。なお、本実施例における本体100及び蓋部材210がそれぞれ本発明における本体及び蓋部に相当し、第1シート部材220、第2シート部材230、及びフィルタ600が本発明におけるシール部材に相当する。
【0031】
以上により形成された本体100及びカバー部200をオートクレーブやアルコール等によって滅菌処理した後、カバー部200を外した状態で培養室300の底面に足場材700をコーティングする。足場材700としては、例えばEHS−gel(Engelbreth-Holm-Swarm sarcoma-derived matrix)を好適に用いることができる。EHS-gelは、EHSマウス肉腫細胞から単離した基底膜調製物であり、ラミニン、IV型コラーゲン及びプロテオグリカンを豊富に含んでいる。このEHS-gelは低温で液状化し、常温で固体状となるため、冷却した状態で培養室300に流し込み、常温で静置することにより培養室300の底面に固定させることができる。なお、このような足場材によるコーティングは、細胞培養デバイスの製造段階で行ってもよく、細胞培養デバイスを購入したユーザが行うようにしてもよい。
【0032】
上記のように本実施例の細胞培養デバイス10によれば、カバー部200を外した状態で培養室300に直接足場材700を流し込むことができ、従来の細胞培養デバイスのように培地導入用(又は培地排出用)の流路から足場材を導入する必要がないため、流路を詰まらせることなく培養室300にコーティングを施すことができる。
【0033】
上記の細胞培養デバイス10によって細胞培養を行う際には、カバー部200を外した状態で培養室300に培地及び細胞800を収容し、その後、カバー部200を本体100に取り付ける。このとき、第1シート部材220を構成するシリコンゴムの自己吸着性によりカバー部200が本体100に密着するため、培地導入流路400又は培地排出流路500以外の部分から培地が外部に漏れ出すことはない。なお、細胞800は組織片の形で培養室300に収容してもよく、個々の細胞に分離させた状態で収容してもよい。
【0034】
図5に本実施例に係る細胞培養デバイス10を用いた細胞培養システムの概略を示す。これは、上記の細胞培養デバイス10と、該細胞培養デバイス10に培地を連続送液する送液機構を組み合わせたものである。該送液機構は、培地貯留部910、培地供給管920、培地排出管930、廃液収容部940、送液ポンプ950、及び送液ポンプ950の動作を制御する制御部960を備えている。培地供給管920の一端は培地貯留部910に挿入され、他端は細胞培養デバイス10の培地導入流路400に挿入される。培地排出管930の一端は細胞培養デバイス10の培地排出流路500に挿入され、他端は廃液収容部940に挿入される。
【0035】
培地貯留部910に貯留された培地は、送液ポンプ950によって吸引され、培地供給管920を通って細胞培養デバイス10に送られる。細胞培養デバイス10に供給された培地は、図2中の矢印で示すように培地導入流路400を通過して培養室300の周面から培養室300内に導入される。また、培養室300への培地の導入に伴い、培養室300内の培地の一部が培養室300から外部へ排出される。このとき、培地は図2中の矢印で示すように培養室300の上方に配置されたフィルタ600を通過して培地排出流路500に到達し、該培地排出流路500に接続された培地排出管930を介して廃液収容部940に排出される。
【0036】
このように、本実施例に係る細胞培養デバイス10では、培養室300内の培地を培地排出流路500から排出する際にフィルタ600を通過させることにより、剥離した足場材700が培地排出流路500に進入するのを阻止して流路の目詰まりを防止することができる。また、図2に示すように、培地の導入を培養室300の周面から行い、培地の排出を培養室300の上部から行う構成とし、培養室300と各流路400、500との接続部を広くデザインしたことにより、局所的に強い流れが発生するのを防止して足場材700の剥離を抑制する効果も得られる。更に、培養室300の上部開口全体をフィルタ600で覆う構成としたことにより、フィルタ600の面積を広くすることができるため、フィルタ600に捕捉された足場材700によって培地排出流路500の入口が完全に塞がれる可能性を低減することができる。以上により、本実施例に係る細胞培養デバイスによれば、従来の細胞培養デバイスでは困難であった足場材を用いた長期培養を行うことが可能となる。
【0037】
以下、本実施例に係る細胞培養デバイスを用いた細胞培養実験について説明する。図6は、本実施例に係る細胞培養デバイスを用いて肝細胞の培養を行った結果を示す写真である。なお、ここでは足場材としてEHS−gelを使用しており、まず該EHS-gelをコーティングした培養室内に類胴内皮細胞を播種して内皮細胞ネットワークを形成させ、その後、該内皮細胞上に肝実質細胞を播種して細胞培養を行った。図6の写真から明らかなように、内皮細胞のネットワーク中に肝実質細胞が組み込まれており、生体内の肝組織に近い構造を持った共培養系が形成されている。
【0038】
上記肝細胞を用いた肝機能評価試験の結果を図7に示す。これは、本実施例の細胞培養デバイス又は一般的な細胞培養用シャーレを使用し、上記の類胴内皮細胞(図中の「GH7」)と肝実質細胞(図中の「肝細胞」)をそれぞれ単独又は両者の共培養系で培養して各培養細胞の尿素合成能(アンモニアを分解して尿素を合成する肝機能)を評価したものである。同図から明らかなように、肝実質細胞単独で培養した場合に比べて共培養系の方が高い肝機能を示している。特に、本発明の細胞デバイスで培養した細胞の方がシャーレで培養したものに比べて高い肝機能を示している。これは、シャーレを用いた培養では一定時間おきに培地交換を行ったのに対し、細胞培養デバイスを用いた培養では培地の連続供給(流速40μL/minで24時間連続送液)を行ったために組織にシェアストレス(ずり応力)が掛かり、より生体内に近い環境での培養が行われたためと考えられる。
【0039】
また、本実施例に係る細胞培養デバイスによれば、上述のように足場材の剥離による流路の詰まりを防止することができるため、こうした生体内に近い環境での肝細胞の培養を長期間に亘り安定して行うことが可能である。このため、薬物代謝試験等の様々な系における研究に利用可能であると共に、人工肝臓への展開も期待できる。
【0040】
以上、実施例を用いて本発明に係る細胞培養デバイス、細胞培養システム、及び細胞培養方法について説明を行ったが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で適宜変更が許容されるものである。例えば、上記細胞培養デバイスを構成する各部材の素材や寸法としては、上記に限らず種々の素材や寸法を採用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10…細胞培養デバイス
100…本体
110…第1周面部材
111、112、211、212、221、231、232…貫通孔
113、213…凹部
120…第2周面部材
130…底面部材
200…カバー部
210…蓋部材
220…第1シート部材
230…第2シート部材
300…培養室
400…培地導入流路
500…培地排出流路
600…フィルタ
700…足場材
800…細胞
910…培地貯留部
920…培地供給管
930…培地排出管
940…廃液収容部
950…送液ポンプ
960…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)細胞が収容される培養室と、
b)前記培養室に連通した培地導入流路と、
c)前記培養室に連通した培地排出流路と、
d)前記培養室と培地排出流路の間に設けられた多孔質フィルタと、
を有することを特徴とする細胞培養デバイス。
【請求項2】
本体と、該本体の上部に着脱可能に取り付けられる蓋部とを有し、
前記培養室が前記本体に形成され、且つ該培養室が前記本体の上面に開口部を有するものであり、
前記培地排出流路が前記蓋部に形成され、且つ該培地排出流路が前記開口部と対向する前記蓋部下面の位置に開口部を有するものであって、
前記多孔質フィルタが前記本体と蓋部の間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養デバイス。
【請求項3】
前記本体と蓋部の接触面の少なくとも一方が自己吸着性を有する素材から成ることを特徴とする請求項2に記載の細胞培養デバイス。
【請求項4】
前記培養室と培地排出流路の接続部に対応する位置に貫通孔を備えた自己吸着性を有するシート材と前記貫通孔を閉塞するように配置された多孔質フィルタとを有するシール部材を、前記本体と蓋部の間に挟持して成る請求項2に記載の細胞培養デバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の細胞培養デバイスと、該細胞培養デバイスの培地導入流路に培地を送液する送液機構とを有することを特徴とする細胞培養システム。
【請求項6】
請求項5に記載の細胞培養システムを用いた細胞培養方法であって、
前記細胞培養用デバイスの培養室に足場材をコーティングし、該培養室に培地を連続送液しながら該培養室内で内皮細胞と肝実質細胞とを共培養することを特徴とすることを特徴とする細胞培養方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−244713(P2011−244713A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118960(P2010−118960)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】