説明

細胞培養容器および細胞培養方法

【課題】培養空間において細胞の形態を制御し、弾性変形を可能にする細胞培養容器を提供すること。
【解決手段】本発明に係る細胞培養容器10は表面に複数の凹凸パターン(凹部12および凸部13)が形成された細胞培養容器10であって、パターンが設けられたエリア11が弾性変形できることを特徴とするものである。また、本発明の培養容器10を用いて細胞を培養する際に、周期的に変形を繰り返すことを特徴とする細胞培養方法である。これにより、細胞の形態を制御でき、延伸・圧縮といった生体内の力学的刺激を模倣した環境を与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内での試験と同様の薬剤感受性、毒性反応を示すように細胞を培養することができる細胞培養容器に関する。
【背景技術】
【0002】
組織から単離した細胞を試験、検査に用いる手法は、バイオテクノロジー関連分野では欠かせない方法となっている。疾病、病態の診断、新薬の探索及び薬効の判定、あるいは動物検査、植物検査、環境汚染物質の試験などに幅広く用いられている。そのため、バイオテクノロジー分野で使用される細胞類は、極めて多様化してきている。
【0003】
単離した細胞は、直ちに試験に用いられる場合もあるが、多くの場合、培養皿や試験管のなかで細胞培養が行われる。この培養細胞を用いて、種々の検査が行われる。細胞培養試験に用いられる細胞培養株には、生体内での試験と同様の薬剤感受性、毒性反応を示すことが要求される。すなわち、培養皿や試験管の中で生体に類似した細胞の機能を発現することが望まれている。
【0004】
上記細胞培養試験は、同一条件下、評価する薬物等の量、濃度などを変量し、その効果を測定するものである。そのため、細胞培養容器の材質、形状等も同一にする必要がある。この細胞培養容器としては、プラスチック製シャーレ、ガラス製シャーレ、容器内に固定されたガラスプレート、ウェルプレート等が一般的に用いられる。ウェルプレートには、6ウェル、12ウェル、48ウェル、96ウェルの各プレート又はシャーレがある。これらは、一般に、プレート全体の大きさはほぼ同じであり、ウェル数が大きくなるほど、1ウェルのサイズが小さくなる。この1ウェルが1培養皿に相当する。また、最近の微量化への流れから、さらに小口径で多数の培養皿からなる384ウェルプレートも使用され始めている。これらの培養皿の底部は平坦な平板状であり、この底面を培養面として用いている。
【0005】
しかしながら、組織細胞の培養に、従来の細胞培養容器を用いると、細胞が薄く伸びて方向性のない形態となる。また、細胞培養容器の表面にランダムに配置されるため、細胞間のネットワークは、複雑に交錯して形成される。そのため、生体内での細胞機能を再現できないという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1のように、微細な凹凸構造を有する細胞培養プレートを用いることで、生体内での細胞機能を再現する試みがなされている。
【0007】
一方、in vivoにおいて重要なのは、細胞形態だけでなくその他の外部環境の刺激も含まれる場合があると言われている。すなわち、細胞はそのような外部環境の刺激に応じ機能を調節している場合がある。例えば、音が耳から聴こえるのは、音波振動が有毛細胞で電気刺激に変わり神経細胞へと伝達するためである。また、筋肉は日常的に延伸・圧縮を受けている。このように、in vivoにおいては外部からの力学的刺激を受けている細胞も存在し、それらの細胞が機能を充分に発揮するためにはそのような環境に置かれる必要がある。
【0008】
そこで、軟質材料上で力学的刺激を与えながら培養する方法が用いられている(非特許文献1)。非特許文献1では,周期的な延伸・圧縮を行うことで細胞が力の働く方向へ配向させられることが示されている。
【0009】
しかしながら、非特許文献1では、前述したように細胞の形態が薄く伸びたけ形態となり、細胞は均一なネットワークを形成することなく、外部環境の刺激を与えているため、本来の生体内での機能を発現していない。
【0010】
【特許文献1】国際特許出願公開2006/075597
【非特許文献1】曽我部正博,2004年,バイオニクス,第1巻,p.44−49
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、従来の培養容器において細胞培養を行うと、凹凸のない平面状での培養のため、細胞が薄く伸びた形態をとり、生体内で本来発現する形態や機能を示さなくなってしまう問題があった。さらに,in vivoでは外部からの力学的刺激を受けている細胞も存在し、延伸および圧縮といった刺激を与えた状態での培養ができない問題があった。
【0012】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、本来in vivoでなければ発現しない形態や類似機能を示させることのできる細胞培養容器および細胞培養方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る細胞培養容器は表面に複数の凹凸パターンが形成された細胞培養容器であって、前記凹凸パターンが形成する空間構造の幅が1μm〜500μm、長さが1μm〜500μm、高さが1μm〜500μmであり、少なくとも前記凹凸パターンが設けられた領域が5%〜50%に延伸または5%〜50%に圧縮で弾性変形できることを特徴とするものである。また、周期的に変形できることが好ましい。
【0014】
また、前記凹凸パターンが設けられた領域の厚みが0.05mm〜1mmであることが好ましい。さらに、その領域が透明であることが好ましい。
また、前記凹凸パターンが設けられた領域に表面処理が行われていることが好ましい。
【0015】
また本発明は、表面に複数の凹凸パターンが形成され、該凹凸パターンが形成する空間構造の幅が1μm〜500μm、長さが1μm〜500μm、高さが1μm〜500μmである細胞培養容器において、前記凹凸パターン部に細胞を播種するステップ、
および少なくとも前記凹凸パターンが設けられた領域が周期的に変形を繰り返す状態で前記播種された細胞を培養するステップ
を備えることを特徴とする細胞培養方法である。
また、前記細胞を播種するステップにおいて、前記凹凸パターン部が所定の大きさで延伸されていても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前記凹凸パターンが形成する空間内において細胞を立体的に培養し、かつ、培養容器を変形させて、延伸または圧縮する環境下で培養することで、本来in vivoでなければ発現しない形態や類似機能を示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る細胞培養容器には凹凸パターンすなわち培養空間が形成されている。この培養空間を形成する凸凹部の幅、長さおよび高さを最適化することで、その空間内にて細胞を培養し、培養容器を延伸または圧縮することで、本来in vivoでなければ発現しない形態や類似機能を示させることができる。
【0018】
凹部にて細胞を培養する際には、凸部に囲まれた凹部の寸法は、細胞を培養するために最適な範囲とする必要がある。凹部の底面面積が大きすぎると、平板上での培養と同様、細胞は薄く伸び、立体的構造を形成しない。一方、凹部の底面面積が小さすぎると、細胞を収容できなくなる。従って、凹部の空間の寸法は、培養する細胞種に応じて、1または複数個が収容できる範囲とすることが好ましい。細胞が複数個集積した細胞塊を形成させる場合、その細胞塊が収容できる範囲とすることが好ましい。
【0019】
凸部上面にて細胞を培養する際には、凸部の寸法は、細胞を培養するために最適な範囲とする必要がある。凸部の上面面積が大きすぎると、平板上での培養と同様、細胞は薄く伸び、立体的構造を形成しない。一方、凸部の底面面積が小さすぎると、細胞が付着できなくなる。従って、凸部の寸法は、培養する細胞種に応じて、1または複数個が付着できる範囲とすることが好ましい。
【0020】
また、凸部の高さも細胞を培養するために最適な範囲とする必要がある。凹部にて細胞を培養する際には、高さが低すぎると、細胞が凸面上まで乗り越えてしまうため、培養に適さない。なお、培養する細胞種に応じ、凹凸パターンの幅、長さ、高さを便宜設定することにより、多様な培養系に適用することもできる。
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするために、以下の記載および図面は、便宜、簡略化されている。
【0022】
本発明の実施の形態に係る細胞培養容器の構成について図1、2、3を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る細胞培養容器の構成を示す写真であり、図2は凹凸パターンの電子顕微鏡像、図3は図2のIII−III断面図である。図1に示すように、細胞培養容器10は表面に複数の凹凸を有する領域11、凹部12、凸部13を備える。この凸部13で囲まれた空間が凹部12となる。また、この複数の凹凸を有する領域11を延伸または圧縮させる。
【0023】
図3において、凹部12の底面の幅がa、凸部13の上面の幅がb、高さがcを示した。凸部上面形状、凹部底面形状は特に制限されるものではなく、正方形、円、多角形以外にも種々の形状を採用することができる。
【0024】
凹部底面幅は、1μm〜500μmが好ましい。凸部上面にて細胞を培養する場合には、凹部には細胞が侵入不可能にするため、例えば凹部が正方形であれば、底面幅15μm以下が好ましく、作製が困難なため1μm以上が好ましい。凸部は細胞が接着するため、上面幅15μmより大きいことが好まく、通常の平板状底とは異なる空間を呈示するため、500μm以下が好ましい。凹部にて細胞を培養する場合には、凸部上面には細胞を付着させないため、凸部上面幅は15μm以下が好ましく、作製が困難なため1μm以上が好ましい。凹部は、例えば正方形であれば、1辺15μmより大きいのが好ましく、通常の平板状底とは異なる空間を呈示するため、500μm以下が好ましい。
【0025】
凸部高さすなわち凹部深さは、凹部にて細胞を培養する場合には、凸部への乗り上げを防ぐために、30μmより大きいのが好ましく、大き過ぎると作製が困難なため500μm以下であるのが好ましい。凸部にて培養する場合には、凹部の深さは、液の交換効率を高めるだけでよいので1μm以上あるのが好ましく、凹部底面幅が1μm〜15μmと狭く深すぎると作製が困難なため、30μm以下であるのが好ましい。
【0026】
複数の凹凸を有する領域を延伸若しくは圧縮することまたはその両方で変形をすることにより、生体内での培養環境を模倣できる。例えば、血管を形成する血管内皮細胞の場合、血流とともに延伸および/または圧縮を受けており、複数の凹凸パターンを有する表面にて配向した細胞のネットワークを形成させることで、細胞間接着が均一な方向性を持った状態で形成されるため細胞機能を高められ、凹凸パターン部の変形を周期的に与えることでその機能をさらに生体内と類似なものにさせることが可能となる。生体内と類似の機能が発現するのであれば、培養領域の変形は培養期間の一部でなされるものであってもよい。
また、細胞の播種を所定量の延伸をした状態で行い。細胞培養時に延伸量の大きい状態と小さい状態とを周期的に繰り返しても良い。
【0027】
複数の凹凸を有する領域の延伸あるいは圧縮方向に平行な1辺の長さをL、延伸後のその長さをL、圧縮後のその長さをLとすると、延伸率とは{(L―L)/L}×100(%)で表し、圧縮率とは{(L―L)/L}×100(%)で表す。血管の伸長(延伸)および収縮(圧縮)を考慮すると、延伸率は5%〜100%の範囲内であり、圧縮率は5%〜50%の範囲内である。また、延伸率は10%〜50%の範囲内であるのがより好ましい。
【0028】
複数の凹凸を有する領域11の厚みは、自己支持性があり延伸および圧縮に耐え得ることができ、観察性をも考慮した場合、0.05mm〜1mmであるのが好ましい。厚さが0.05mmより小さいと破断しやすく、自己支持性も悪くなり平面性の良い容器を作製できない。また、厚さが1mmよりも大きいと、光学顕微鏡での観察性が悪くなる。
【0029】
本発明の細胞培養容器の材質は、延伸または圧縮ができるように弾性変形が可能な軟質な材料であれば特に制限はないが、少なくとも複数の凹凸を有する領域11は、光学顕微鏡にて観察するために、透明であることが好ましい。例えば、ポリジメチルシロキサン等のシリコ−ン系ゴム、熱可塑性ポリウレタン、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、塩化ビニル樹脂、スチレン系エラストマー等が挙げられる。これらは単独でも、混合して用いても良い。こられには、透明性および細胞毒性に影響のない範囲で適宜、着色剤、増粘剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0030】
本発明の細胞培養容器上の凹凸パターンを作製する方法としては、特に限定されないが、例えば、モールドを用いた転写成形、3次元光造形、精密機械切削、ウェットエッチング、ドライエッチング、レーザー加工、放電加工等の方法が挙げられる。細胞培養容器の用途、要求される加工精度、コスト等を考慮してこれらの製造方法を適宜選択することが好ましい。
【0031】
モールドを用いて転写成形方法の具体例としては、金属構造体を型として樹脂成形で凹凸パターンを形成する方法が挙げられる。この方法は金属構造体の形状を高い転写率で樹脂へ凹凸パターンに再現することが可能であり、また汎用の樹脂材料を使用することにより材料コストを低くできるので好ましい。このような金属構造体の型を用いる方法は、低コストであり、高い寸法精度を満足できる点で優れている。
【0032】
上記金属構造体の製造方法としては、例えば、フォトリソグラフィによって作製されたレジストパターンや3次元光造形によって作製された樹脂パターンへのメッキ処理、精密機械切削、ウェットエッチング、ドライエッチング、レーザー加工、放電加工等が挙げられる。用途、要求される加工精度、コスト等を考慮して適宜選択すればよい。
【0033】
上記で得られた金属構造体を型として用いて樹脂へ凹凸パターンを成形する方法としては、例えば、射出成形、プレス成形、モノマーキャスト成形、溶剤キャスト成形、ホットエンボス成形、押出成形によるロール転写等の方法を挙げることができる。生産性及び型転写性の観点から射出成形を採用することが好ましい。
【0034】
本発明の細胞培養容器は、容器表面の親水性、生体適合性、細胞親和性等を向上させることを目的として、凹凸パターン表面側に表面処理を行い、改質層および/またはコーティング層が配されていてもよい。上記改質層を設ける方法としては、自己支持性を失う方法や100μm以上の極端な表面荒れを起こす方法でなければ特に制限はないが、例えば、薬品処理、溶剤処理、表面グラフト重合によるグラフトポリマーの導入等の化学的処理、コロナ放電、オゾン処理、プラズマ処理等の物理的処理等の方法が挙げられる。またコーティング層を設ける方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、スパッタ、蒸着等のドライコーティング、無機材料コーティング、ポリマーコーティング等のウェットコーティング等の方法が挙げられる。凹凸パターン上には、気泡の混入することなく培養液を注入するために親水性を付与することが望ましく、均一な親水性膜を形成させる方法として、プラズマ処理が好ましい。
【0035】
また、細胞親和性を考慮した場合には、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン等の細胞親和性タンパク質をコーティングすることがより好ましい。コラーゲン水溶液等を均一にコートするために、上述の親水性膜を形成させた後、コートすることが好ましい。通常、細胞培養においては、生体内環境を模倣して細胞外マトリックス表面での培養が望ましいため、上記のように均一な親水性無機膜を配した後に、培養細胞に適した細胞外マトリックスからなる有機膜を配することが特に好ましい。
【0036】
本発明の細胞培養方法は、細胞を培養するマイクロ容器のみに細胞を配置させ、その空間内で生体内に類似した形態や機能を発現させるため、適切な細胞数を播種する必要があり、細胞播種密度1.0×10〜1.0×10細胞/cmが好ましい。
【実施例】
【0037】
<培養方法>
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、20%ウシ胎児血清、Medium199/RPMI1640=1/1培地、2mML−グルタミン、2.5μg/mlアンフォテリシンB、ペニシリン/ストレプトマイシン=(100U/ml)/(100μg/ml)を含む培養液中で37℃、5%CO2 /95% air下で培養した。細胞の一酸化窒素(NO)産生量を活性の指標とすることとし、NO産生量は培養液の上清中のNO量をGriess法により測定した。
【0038】
[実施例1]
図3に示す凹凸パターン形状であって、a=20μm、b=80μm、c=50μmのパターンをフォトリソグラフィにより作製し、Ni電解メッキを行い、対応する凹凸形状を有する金型を得た。その金型に、東レ・ダウコーニング社製Silgard184(ベースポリマー:)を流し込み150℃、15分間加熱後、成形品を得た。その成形品表面をモリエンジニアリング社製プラズマ装置にて酸素プラズマ処理を行い親水化した後、70%エタノール滅菌を行い、凹凸パターン基材を得た。その凹凸基材上でHUVECを培養した。培養期間中、延伸量0%〜15%、1Hzの条件で周期的な延伸を与えた。
【0039】
[比較例1]
図3に示す凹凸パターン形状であって、a=20μm、b=80μm、c=50μmのパターンをフォトリソグラフィにより作製し、Ni電解メッキを行い、対応する凹凸形状を有する金型を得た。その金型を用い、ホットエンボス成形によりポリスチレン上にパターン転写を行い、前記寸法の樹脂成形品を作製した。その樹脂成形品表面をモリエンジニアリング社製プラズマ装置にて酸素プラズマ処理を行い親水化した後、γ線滅菌を行い、凹凸パターン基材を得た。その凹凸基材上でHUVECを培養した。
【0040】
[比較例2]
図1に示す細胞培養容器10と同じ外形寸法で培養領域が平面状である金型に東レ・ダウコーニング社製Silgard184(ベースポリマー:)を流し込み150℃、15分間加熱後、成形品を得た。その成形品表面をモリエンジニアリング社製プラズマ装置にて酸素プラズマ処理を行い親水化した後、70%エタノール滅菌を行い、凹凸パターン基材を得た。その凹凸基材上でHUVECを培養した。培養期間中、延伸量0%〜15%、1Hzの条件で周期的な延伸を与えた。
【0041】
実施例1で培養したHUVECは網目状のネットワークを形成し、制御された細胞構造を形成できた。ネットワークを形成し周期的な延伸を与えたHUVECのNO産生量は147μMであった。
【0042】
比較例1で培養したHUVECは網目状のネットワークを形成し、制御された細胞構造を形成できた。ネットワークを形成したHUVECのNO産生量は80μMであり、周期的な延伸を与えた場合に比べ活性が低かった。
【0043】
比較例2で培養したHUVECは網目状のネットワークを形成せず、延伸方向に配列した。なお、HUVECのNO産生量は65μMであり、低いものであった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施の形態に係る細胞培養容器の構成を示す写真である。
【図2】実施の形態に係る細胞培養容器の構成を示す電子顕微鏡像である。
【図3】実施の形態に係る細胞培養容器の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
10 細胞培養容器
11 凹凸パターンエリア
12 凹部
13 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数の凹凸パターンが形成された細胞培養容器であって、前記凹凸パターンが形成する空間構造の幅が1μm〜500μm、長さが1μm〜500μm、高さが1μm〜500μmであり、少なくとも前記凹凸パターンが設けられた領域が5%〜100%への延伸または5%〜50%への圧縮で弾性変形できることを特徴とする細胞培養容器。
【請求項2】
少なくとも前記凹凸パターンが設けられた領域が周期的に変形できることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項3】
前記凹凸パターンが設けられた領域の厚みが0.05mm〜1mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の細胞培養容器。
【請求項4】
前記凹凸パターンが設けられた領域が透明であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞培養容器。
【請求項5】
前記凹凸パターンが設けられた領域に表面処理が行われていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞培養容器。
【請求項6】
表面に複数の凹凸パターンが形成され、該凹凸パターンが形成する空間構造の幅が1μm〜500μm、長さが1μm〜500μm、高さが1μm〜500μmである細胞培養容器において、前記凹凸パターン部に細胞を播種するステップ、
および少なくとも前記凹凸パターンが設けられた領域が周期的に変形を繰り返す状態で前記播種された細胞を培養するステップ
を備えることを特徴とする細胞培養方法。
【請求項7】
前記細胞を播種するステップにおいて、前記凹凸パターン部に所定の延伸を与えた状態で細胞を播種することを特徴とする請求項6に記載の細胞培養方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−22275(P2010−22275A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187691(P2008−187691)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】